JP2005318557A - 輻射情報管理装置及び通信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 不要輻射電波を測定し、その測定結果を基に不要輻射電波を管理する輻射情報管理装置を提供する。
【解決手段】 測定部41は、平衡伝送路50から輻射される不要輻射電波を測定する。比較部42は、測定部41が測定した不要輻射電波の測定値を、予め設定された基準値と比較して、比較結果を管理情報作成部43に通知する。管理情報作成部43は、比較結果を参照して、測定値が基準値を超えたことを表す情報を含む不要輻射電波に関する管理情報を作成し、通信装置100と通信装置200とに通知する。通信装置100と通信装置200は、送られてきた不要輻射電波に関する管理情報を基に、送信電力を低減する対策を講じる。通信装置100と通信装置200の間の通信において、平衡伝送路50からの輻射される不要輻射電波を基準値以内に抑制できる。
【選択図】 図2
【解決手段】 測定部41は、平衡伝送路50から輻射される不要輻射電波を測定する。比較部42は、測定部41が測定した不要輻射電波の測定値を、予め設定された基準値と比較して、比較結果を管理情報作成部43に通知する。管理情報作成部43は、比較結果を参照して、測定値が基準値を超えたことを表す情報を含む不要輻射電波に関する管理情報を作成し、通信装置100と通信装置200とに通知する。通信装置100と通信装置200は、送られてきた不要輻射電波に関する管理情報を基に、送信電力を低減する対策を講じる。通信装置100と通信装置200の間の通信において、平衡伝送路50からの輻射される不要輻射電波を基準値以内に抑制できる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、平衡伝送路を用いてデータ伝送を行う通信機及びその関連技術に関するものである。
対をなす通信ケーブルから構成される平衡伝送路に、データをディファレンシャルモード(差動モード)で伝送する平衡伝送システムが知られている。そのような平衡伝送システムの一つとして、電力伝送に使用される一対のメタリックケーブルに高周波信号を重畳し、データ伝送を行う電力線通信システムがある。
電力線通信システムは、情報家電の急激な発展に伴い、一般の家庭への普及が期待されている。一般の家庭内での電力線通信システムは、複数のコンピュータを相互接続する時、あるいは、コンピュータと他の情報家電機器を接続する時、新たなケーブルを敷設することなく、既に家庭内に設置されている電力線を平衡伝送路として利用できるという、利点を有する。
このような1対のメタリックケーブルを使用してデータ伝送を行う場合、伝送路となる1対のメタリックケーブルの不平衡から生じるEMC(Electromagnetic Compatibility)の問題がある。
図8は、従来技術による平衡伝送システムの概略図である。図8は、メタリックケーブルからなる平衡伝送路(線路3と線路4)を介して、送信機1と受信機2とがデータ伝送を行っている。平衡伝送システムにおいては、平衡伝送路は、本来、送信機1から受信機2まで完全に平衡であることが要求される。しかしながら、実際には、送信機1の回路部および受信機2の回路部における不平衡要素や、線路途中における不平衡成分などがあり、平衡伝送路は、完全に平衡であるとはいえない。
例えば、家庭内の電力線を利用する電力線通信システムでは、図8の送信機1は、居間のコンセントに接続されたモデム(パソコン用)であり、受信機2は、書斎のコンセントに接続されたモデム(プリンター用)である。居間にあるパソコンと書斎にあるプリンターが、家庭内の電力線を介して、データの平衡伝送を行っている時、同じ家庭内の他の家電機器、例えば掃除機が、別のコンセントに差し込まれ使用されると、掃除機が、図8の漏洩抵抗6となり、平衡伝送路(線路3と線路4)に対する不平衡要因となる。
このような平衡伝送システムを構成する平衡伝送路の不完全な平衡度に起因して、上述したEMC問題が発生する。
EMC問題には、図8の平衡伝送路(線路3と線路4)からの不要輻射電波が他の機器へ及ぼす影響と、他の機器から平衡伝送路(線路3と線路4)へ混入するノイズが及ぼす当該平衡伝送システムへの影響とがある。平衡伝送路の平衡度が悪化すると、不要輻射電波は、増大し、より大きな問題を惹起する。このことについては、非特許文献1に詳しく述べられている。
従って、平衡伝送システムにおけるEMC問題の解決のためには、平衡伝送路の平衡度悪化に起因する不要輻射電波の正確な測定と、その測定結果に基づいた、不要輻射電波低減の対策が重要である。
しかしながら、従来の平衡伝送システムは、上述した問題に十分に対応できない。
井手口健、外1名、「情報通信システムの電磁ノイズ問題と対応技術」、森北出版、PP.99〜134、1997年11月25日。
井手口健、外1名、「情報通信システムの電磁ノイズ問題と対応技術」、森北出版、PP.99〜134、1997年11月25日。
そこで本発明は、不要輻射電波を測定し、その測定結果を基に不要輻射電波を管理する輻射情報管理装置と、その測定結果を基に不要輻射電波を低減する通信装置を提供することを目的とする。
請求項1記載の輻射情報管理装置は、通信装置が使用する平衡伝送路の輻射電波を測定する測定部と、測定部が測定した輻射電波の測定値を、予め設定された基準値と比較する比較部とを備え、比較部は、測定値が基準値を超えた場合、比較結果を通信装置に通知する。
この構成によれば、輻射情報管理装置は、平衡伝送路の不要な輻射電波を測定し、その測定値を、不要輻射許容値などの基準値と比較し、測定値が基準値を超えた場合に、その結果を通信装置に通知できる。通信装置は、受け取った通知を基に、不要な輻射電波を低減するための対策を講じることができる。
請求項2記載の輻射情報管理装置は、輻射電波に関する管理情報を作成する管理情報作成部をさらに備え、測定値が基準値を超えた場合、管理情報作成部は、輻射電波に関する管理情報を作成し、作成した管理情報を通信装置に通知する。
この構成によれば、輻射情報管理装置は、平衡伝送路の不要な輻射電波を測定し、その測定値を、不要輻射許容値などの基準値と比較し、測定値が基準値を超えた場合に、その結果を基に輻射電波に関する管理情報を作成し、通信装置に通知できる。通信装置は、受け取った管理情報を基に、不要な輻射電波を低減するための対策を講じることができる。
請求項3記載の輻射情報管理装置では、測定部は、予め設定された周波数について、平衡伝送路の輻射電波を測定し、比較部は、測定部が測定した輻射電波の測定値を、予め設定された基準値と比較し、測定値が基準値を超えた場合、管理情報作成部は、測定値が基準値を超えた周波数に関する情報を含む管理情報を作成する。
この構成によれば、輻射情報管理装置は、不要な輻射電波が基準値を超えた周波数を示す管理情報を作成できるので、その管理情報を通知された通信装置は、不要輻射電波低減の対策を、周波数ごとにきめ細かく、かつ、効率よく、実施できる。
請求項4記載の輻射情報管理装置では、測定部は、通信装置が使用する周波数域での、平衡伝送路の輻射電波の平均的実効値を測定する。
この構成によれば、輻射情報管理装置は、不要な輻射電波の値を、通信装置が使用する周波数域全体で平均した実効値として測定すればよいので、輻射情報管理装置は、簡便な装置を利用して、不要な輻射電波の値を測定できる。
請求項5記載の輻射情報管理装置では、測定部は、平衡伝送路の送信端における輻射電波を測定する。
この構成によれば、輻射情報管理装置は、平衡伝送路でもっとも不要な輻射電波が強いとされる送信端において、輻射電波を測定するので、もっとも効率的な、不要輻射電波低減対策を講じることができる。
請求項6記載の輻射情報管理装置では、測定部は、平衡伝送路の受信端における輻射電波を測定する。
この構成によれば、平衡伝送路の途中において伝送路の平衡度が変化し、送信端よりも受信端において、輻射電波が大きくなる場合にも、効果的な不要輻射電波低減対策を講じることができる。
請求項7記載の輻射情報管理装置では、測定部は、コイルを用いた電磁誘導作用を利用して、平衡伝送路の輻射電波を測定する。
請求項8コイルは、空芯コイルか有芯コイルのいずれかである。
請求項9記載の輻射情報管理装置では、コイルは、薄膜コイルである。
これらの構成によれば、輻射情報管理装置は、もっとも一般的で、かつ動作が安定しているコイルを用いて、平衡伝送路の輻射電波を測定できる。
請求項10記載の輻射情報管理装置では、測定部は、磁界感応型半導体素子を利用して、平衡伝送路の輻射電波を測定する。
この構成によれば、輻射情報管理装置は、例えばホール素子のような、磁界感応型半導体素子を利用して、効率よく平衡伝送路の輻射電波を測定できる。また、ホール素子を電子回路の一部とすることにより、小型の輻射情報管理装置を実現できる。
請求項11記載の通信装置は、平衡伝送路を用いて通信を行う通信装置であって、平衡伝送路に信号を送信する送信部と、送信部が平衡伝送路に注入する送信電力を制御する制御部と、平衡伝送路の輻射電波に関する輻射情報を管理する輻射情報管理部とを備え、輻射情報管理部は、平衡伝送路の輻射電波を測定する測定部と、測定部が測定した輻射電波の測定値を、予め設定された基準値と比較する比較部とを有し、比較部は、測定値が基準値を超えた場合、比較結果を制御部に通知し、制御部は、比較結果に基づいて、送信部が平衡伝送路に注入する送信電力を制御する。
この構成によれば、輻射情報管理部は、平衡伝送路の不要な輻射電波を測定し、その測定値を、不要輻射許容値などの基準値と比較し、測定値が基準値を超えた場合に、制御部は、送信部が平衡伝送路に注入する送信電力を制御する。その結果、基準値以上の輻射電波を放出しないように、送信電力を制御することができる。
請求項12記載の通信装置では、輻射情報管理部は、輻射電波に関する管理情報を作成する管理情報作成部をさらに備え、管理情報作成部は、輻射電波の測定値が基準値を超えた場合、輻射電波に関する管理情報を作成し、作成した管理情報を制御部に通知し、制御部は、管理情報に基づいて、送信部が平衡伝送路に注入する送信電力を制御する。
この構成によれば、輻射情報管理部は、平衡伝送路の不要な輻射電波を測定し、その測定値を、不要輻射許容値などの基準値と比較し、測定値が基準値を超えた場合に、その結果を基に輻射電波に関する管理情報を作成する。制御部は、管理情報を基に、送信部が平衡伝送路に注入する送信電力を制御する。その結果、基準値以上の輻射電波を放出しないように、送信電力を制御することができる。
請求項13記載の通信装置では、測定部は、予め設定された周波数について、平衡伝送路の輻射電波を測定し、比較部は、測定部が測定した輻射電波の測定値を、予め設定された基準値と比較し、測定値が基準値を超えた場合、管理情報作成部は、測定値が基準値を超えた周波数に関する情報を含む管理情報を作成する。
この構成によれば、輻射情報管理部は、不要な輻射電波が基準値を超えた周波数を示す管理情報を作成できるので、制御部は、その管理情報に基づいて、不要な輻射電波が基準値を超えた周波数に関係するキャリアの送信電力を低減するといった、きめ細かな不要輻射電波の低減策を講ずることができる。
請求項14記載の通信装置では、測定部は、通信装置が使用する周波数域での、平衡伝送路の輻射電波の平均的実効値を測定する。
この構成によれば、輻射情報管理部は、不要な輻射電波の値を、通信装置が使用する周波数域全体で平均した実効値として測定すればよい。制御部は、その測定結果に基づいて、不要輻射電波を抑制できる。その結果、不要輻射電波の抑制を簡便に制御できる。
請求項15記載の通信装置では、測定部は、平衡伝送路の送信端における輻射電波を測定する。
この構成によれば、送信を行う通信装置は、平衡伝送路でもっとも不要な輻射電波が強いとされる自身の送信端において、輻射電波を測定するので、もっとも効率的な、不要輻射電波低減対策を講じることができる。
請求項16記載の通信装置では、測定部は、平衡伝送路の受信端における輻射電波を測定する。
この構成によれば、平衡伝送路の途中において伝送路の平衡度が変化し、送信端よりも受信端において輻射電波が大きくなる場合、受信端の通信装置が受信端での輻射電波を測定し、送信端の通信装置に測定結果を通知することにより、効果的な不要輻射電波低減対策を講じることができる。
請求項17記載の通信装置では、測定部は、コイルを用いた電磁誘導作用を利用して、平衡伝送路の輻射電波を測定する。
請求項18記載の通信装置では、コイルは、空芯コイルか有芯コイルのいずれかである。
請求項19記載の通信装置では、コイルは、薄膜コイルである。
これらの構成によれば、通信装置は、もっとも一般的で、かつ動作が安定しているコイルを用いて、平衡伝送路の輻射電波を測定できる。
請求項20記載の通信装置では、測定部は、磁界感応型半導体素子を利用して、平衡伝送路の輻射電波を測定する。
この構成によれば、通信装置は、例えばホール素子のような、磁界感応型半導体素子を利用して、効率よく平衡伝送路の輻射電波を測定できる。また、ホール素子を電子回路の一部とすることにより、小型の輻射情報管理装置を実現できる。
本発明によれば、不要輻射電波を測定し、その測定結果を基に不要輻射電波を管理する輻射情報管理装置と、その測定結果を基に不要輻射電波を低減する通信装置を提供できる。
以下図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における平衡伝送システムに用いる輻射情報管理装置40のブロック図である。
図1は、本発明の実施の形態1における平衡伝送システムに用いる輻射情報管理装置40のブロック図である。
本形態の輻射情報管理装置40は、測定部41と比較部42とを備える。
輻射情報管理装置40の測定部41は、通信装置100と通信装置200とが、平衡伝送路50を用いて通信を行っているとき、平衡伝送路50から輻射される不要輻射電波を測定する。比較部42は、測定部41が測定した不要輻射電波の測定値を、予め設定された基準値と比較して、比較結果を通信装置100と通信装置200とに通知する。
今、通信装置100が送信側であると仮定する。通信装置100は、輻射情報管理装置40から送られてきた不要輻射電波の比較結果を検討し、比較結果が予め定められた基準値を超えている場合、通信装置100は、送信電力を低減する対策を講じる。このようにすることで、通信装置100から通信装置200への通信において、平衡伝送路50からの不要輻射電波を基準値以内に抑制することができる。
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における平衡伝送システムに用いる輻射情報管理装置40のブロック図である。
図2は、本発明の実施の形態2における平衡伝送システムに用いる輻射情報管理装置40のブロック図である。
本形態の輻射情報管理装置40は、測定部41、比較部42、及び、管理情報作成部43を備える。
輻射情報管理装置40の測定部41は、通信装置100と通信装置200とが、平衡伝送路50を用いて通信を行っているとき、平衡伝送路50から輻射される不要輻射電波を測定する。比較部42は、測定部41が測定した不要輻射電波の測定値を、予め設定された基準値と比較して、比較結果を管理情報作成部43に通知する。測定値が予め定められた基準値を超えている場合、管理情報作成部43は、比較結果を参照して、測定値が基準値を超えたことを表す情報を含む不要輻射電波に関する管理情報を作成し、作成した管理情報を通信装置100と通信装置200とに通知する。
今、通信装置100が送信側であると仮定する。通信装置100は、輻射情報管理装置40から送られてきた不要輻射電波に関する管理情報を検討し、管理情報が不要輻射電波の測定値が予め定められた基準値を超えていることを示している場合、通信装置100は、送信電力を低減する対策を講じる。このようにすることで、通信装置100から通信装置200への通信において、平衡伝送路50からの不要輻射電波を基準値以内に抑制することができる。
本形態では、輻射情報管理装置40は、不要輻射電波に関する管理情報を作成する。この管理情報をデータベースとして利用することにより、輻射情報管理装置40は、平衡伝送システムが設置されている環境に適合した、不要輻射電波に関するきめ細かい管理を行うことができる。
輻射情報管理装置40は、平衡伝送路50からの不要輻射電波をどこで測定してもかまわないが、通信装置100または通信装置200が設置されている近傍の平衡伝送路50に対して不要輻射電波を測定することが効果的である。
以下に、平衡伝送路50からの不要輻射電波の測定を行った模擬実験について説明する。
図3は、不要輻射電波測定の模擬実験システムの構成図である。電波暗室内において、平衡伝送路50として、長さ5mのVVFケーブル(ビニル絶縁ビニルシース平形ケーフル;一般住宅の屋内配線に使われる電力線ケーブル)を、床上1mの高さに張り、その両端にモデム101とモデム201とを接続する。モデム101とモデム201は、それぞれの接地端子が、床面に配置された接地基板に接続されている。
モデム101とモデム201は、図2に示す平衡伝送システムの通信装置100と通信装置200にそれぞれ相当する。以下の説明では、モデム101を送信端とし、モデム201を受信端とする。
不要輻射電波を測定するための検出手段として、縦3cm×横4cm、巻数100ターンの矩形空芯コイル110を用い、その出力をスペクトルアナライザ120で周波数ごとに測定する。
このように設定された模擬平衡伝送システムにおいて、モデム101とモデム201との間で通信を行い、VVFケーブルからの不要輻射電波を矩形空芯コイル110で検出し、スペクトルアナライザ120で周波数ごとに測定する。
図4は、不要輻射電波に関する模擬実験の測定結果の図である。図4は、矩形空芯コイル110を送信端であるモデム101の近傍に設置して、VVFケーブルからの送信端における不要輻射電波を測定した結果である。
図5は、不要輻射電波に関する模擬実験の測定結果の図である。図5は、矩形空芯コイル110を受信端であるモデム201の近傍に設置して、VVFケーブルからの受信端における不要輻射電波を測定した結果である。
図4と図5において、横軸は、周波数(MHz)を、縦軸は、不要輻射電波の信号レベル(dBm)を、それぞれ示している。
いずれの測定においても、モデム101とモデム201は、2MHzから30MHzの周波数の内、許可されている周波数を使って、通信を行っている。
図4と図5を比較すると、図4では、25MHzから28MHあたりの周波数域において、不要輻射電波が大きく観測されていることが分かる(図4の領域A)。一方、図5では、7MHzから13MHzの周波数域において、図4には観測されていない強度の不要輻射電波が観測されている(図5の領域B)。
このように、上述したような簡単な模擬実験においても、不要輻射電波の周波数分布は、その測定場所によって違っている。これは、モデム101とモデム201の僅かな構造的な違い、及び、周囲の環境から混入する電波の違いに原因すると思われる。実際の家庭内配電ケーブルでは、配線は複雑であり、かつ、途中で他の家電機器が接続されているので、不要輻射電波は、その測定場所によって、さらに違いが大きいことが予想される。
図4と図5の測定結果を具体的な例として、図2に示した本形態の輻射情報管理装置40の動作をさらに説明する。
測定部41は、図4または図5に示されるような不要輻射電波を測定し、比較部42は、その測定値を予め設定された基準値と比較する。例えば、図4に示す送信端における測定例において、基準値をレベル「−60dBm」とすると、比較部42は、周波数14.6MHzから16.0MHzの領域Cと、周波数26.3MHzから28.0MHzの領域Aにおいて、測定値が基準値を超えていることを、管理情報作成部43に通知する。
管理情報作成部43は、比較部42からの通知を受けて、「送信端の測定において、周波数14.6MHzから16.0MHzの領域Cと、周波数26.3MHzから28.0MHzの領域Aにおいて、測定値が基準値を超えている」ことを含む管理情報を作成し、通信装置100と通信装置200(上述の模擬実験では、モデム101とモデム201)に通知する。
この結果、通信装置100は、管理情報に示されている、測定値が基準値を超えた周波数領域に関係するキャリアの送信出力を低減し、不要輻射電波が基準値を超えないように制御する。
上述した模擬実験では、測定部41に相当するスペクトルアナライザ120は、不要輻射電波の検出手段として空芯コイルを使用したが、不要輻射電波の検出手段は、空芯コイルに限定されるものではない。
検出手段として、高透磁率のフェライトコアにコイルを巻いた有芯コイルを用いれば、検出感度を高め、かつ、検出感度の指向性を高めることができる。この有芯コイルは、周囲の環境からのノイズとなる電波に対しては低感度で、平衡伝送路50からの不要輻射電波に対しては高感度に反応するように配置することができる。この結果、高感度の測定部41を実現できる。
また、検出手段に、薄膜コイルを用いることもできる。この場合には、薄膜コイルを、測定部41の電子回路の一部として同じ基板上に形成することができるので、測定部41を小型に実現できる。
さらに、検出手段に、ホール素子に代表されるような磁界感応型半導体素子を利用することもできる。この場合には、小型で高感度の検出手段を持った測定部41を実現できる。
上述した模擬実験では、測定部41に相当するスペクトルアナライザ120は、不要輻射電波の信号を周波数ごとに測定したが、不要輻射電波の平均的実効値を測定しても、同様の効果が得られる。この場合には、通信装置100は、キャリアごとの送出電力の制御はせずに、全送信電力を一括して制御すればよい。この結果、不要輻射電波に関する簡便な抑制制御が可能となる。
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3における通信装置100のブロック図である。
図6は、本発明の実施の形態3における通信装置100のブロック図である。
本形態の通信装置100は、送信部10と、制御部20と、輻射情報管理部30とを備え、輻射情報管理部30は、測定部31と比較部32とを有する。
以下に、本形態の通信装置100の動作の概要を述べる。
送信部10は、入力端子60から入力された入力信号で変調したキャリアを、相手方の通信装置200に向けて、平衡伝送路50に送出する。
輻射情報管理部30では、測定部31は、送信部10から平衡伝送路50に送出されたキャリアによる、平衡伝送路50からの不要輻射電波を、通信装置100の近傍において検出する。測定部31の不要輻射電波の検出手段としては、本発明の実施の形態2で述べた、空芯コイル、有芯コイル、薄膜コイル、あるいは、磁界感応型半導体素子を利用できる。
比較部32は、測定部31が測定した不要輻射電波の測定値を、予め設定された基準値と比較し、測定値が基準値を超えている場合は、比較結果を制御部20に通知する。
制御部20は、比較部32の比較結果に基づいて、送信部10の送信出力を制御して、不要輻射電波が基準値を超えないようにする。
測定部31の測定と、比較部32の比較と、制御部20の制御とを実時間で連続的に実施することにより、通信装置100の平衡伝送路50からの不要輻射電波を、常に基準値以下に抑えることができる。
本形態のおける測定部31は、本発明の実施の形態2と同様に、不要輻射電波を周波数ごとに測定しても良いし、使用周波数帯域での不要輻射電波の平均的実効値を測定しても良い。不要輻射電波を周波数ごとに測定する場合には、制御部20は、不要輻射電波が基準値を超えた周波数に関係するキャリアの送信電力を低減するように、細かな制御を行える。不要輻射電波の平均的実効値を測定する場合には、制御部20は、全キャリアの送信電力を一様に低減するように、簡便な制御を行える。
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施の形態4における通信装置100のブロック図である。
図7は、本発明の実施の形態4における通信装置100のブロック図である。
本形態の通信装置100は、送信部10と、制御部20と、輻射情報管理部30とを備え、輻射情報管理部30は、測定部31と比較部32と管理情報作成部33とを有する。
以下に、本形態の通信装置100の動作の概要を述べる。
送信部10は、入力端子60から入力された入力信号で変調したキャリアを、相手方の通信装置200に向けて、平衡伝送路50に送出する。
輻射情報管理部30では、測定部31は、送信部10から平衡伝送路50に送出されたキャリアによる、平衡伝送路50からの不要輻射電波を、通信装置100の近傍において検出する。測定部31の不要輻射電波の検出手段としては、本発明の実施の形態2で述べた、空芯コイル、有芯コイル、薄膜コイル、あるいは、磁界感応型半導体素子を利用できる。
比較部32は、測定部31が測定した不要輻射電波の測定値を、予め設定された基準値と比較し、測定値が基準値を超えている場合は、比較結果を管理情報作成部33に通知する。
管理情報作成部33は、比較部32が通知してきた比較結果を基に、測定値が基準値を超えたことを表す情報を含む不要輻射電波に関する管理情報を作成し、作成した管理情報を制御部20に通知する。
制御部20は、管理情報作成部33の管理情報に基づいて、送信部10の送信出力を制御して、不要輻射電波が基準値を超えないようにする。
本発明の実施の形態3と同様に、本形態の100においても、測定部31の測定と、比較部32の比較と、管理情報作成部33の管理情報作成と、制御部20の制御とを実時間で連続的に実施することにより、通信装置100の平衡伝送路50からの不要輻射電波を、常に基準値以下に抑えることができる。
本形態のおける測定部31は、本発明の実施の形態2と同様に、不要輻射電波を周波数ごとに測定しても良いし、使用周波数帯域での不要輻射電波の平均的実効値を測定しても良い。
測定部31が不要輻射電波を周波数ごとに測定する場合には、比較部32は、不要輻射電波の信号を周波数ごとに基準値と比較し、基準値を超えた周波数と信号レベルについて管理情報作成部33に通知する。管理情報作成部33は、不要輻射電波が基準値を超えた周波数と信号レベルに関する情報を含む管理情報を作成する。制御部20は、この管理情報に基づいて、送信部10が送出する各キャリアの送信出力を制御する。その結果、通信装置100は、不要輻射電波の抑制に対して、細かな制御を行える。
測定部31が不要輻射電波の平均的実効値を測定する場合には、比較部32は、測定された平均的実効値を別に定められた基準値と比較し、平均的実効値が基準値を超えている場合は、その旨を管理情報作成部33に通知する。管理情報作成部33は、不要輻射電波の平均的実効値が基準値を超えたことを示す情報を含む管理情報を作成する。制御部20は、この管理情報に基づいて、送信部10が送出する全キャリアの送信出力を一様に低減する。その結果、通信装置100は、不要輻射電波の抑制に対して、簡便な制御を行える。
本形態では、管理情報作成部33は、不要輻射電波に関する管理情報を作成する。この管理情報をデータベースとして利用することにより、輻射情報管理部30は、平衡伝送システムが設置されている環境に適合した、不要輻射電波に関するきめ細かい管理を行うことができる。
本発明に係わる輻射情報管理装置と通信装置は、例えば、電力線通信等、平衡伝送路を用いて通信を行う通信分野とその応用分野において利用できる。
1 送信機
2 受信機
3、4 線路
5 浮遊容量
6 漏洩抵抗
10 送信部
20 制御部
30 輻射情報管理部
31、41 測定部
32、42 比較部
33、43 管理情報作成部
40 輻射情報管理装置
50 平衡伝送路
60 入力端子
100、200 通信装置
101、201 モデム
110 矩形コイル
120 スペクトルアナライザ
2 受信機
3、4 線路
5 浮遊容量
6 漏洩抵抗
10 送信部
20 制御部
30 輻射情報管理部
31、41 測定部
32、42 比較部
33、43 管理情報作成部
40 輻射情報管理装置
50 平衡伝送路
60 入力端子
100、200 通信装置
101、201 モデム
110 矩形コイル
120 スペクトルアナライザ
Claims (20)
- 通信装置が使用する平衡伝送路の輻射電波を測定する測定部と、
前記測定部が測定した輻射電波の測定値を、予め設定された基準値と比較する比較部とを備え、
前記比較部は、前記測定値が前記基準値を超えた場合、比較結果を前記通信装置に通知する輻射情報管理装置。 - 輻射電波に関する管理情報を作成する管理情報作成部をさらに備え、
前記測定値が前記基準値を超えた場合、前記管理情報作成部は、輻射電波に関する管理情報を作成し、作成した管理情報を前記通信装置に通知する、請求項1記載の輻射情報管理装置。 - 前記測定部は、予め設定された周波数について、前記平衡伝送路の輻射電波を測定し、
前記比較部は、前記測定部が測定した輻射電波の測定値を、予め設定された基準値と比較し、
前記測定値が前記基準値を超えた場合、前記管理情報作成部は、前記測定値が前記基準値を超えた周波数に関する情報を含む管理情報を作成する、請求項2記載の輻射情報管理装置。 - 前記測定部は、前記通信装置が使用する周波数域での、前記平衡伝送路の輻射電波の平均的実効値を測定する、請求項1から2記載の輻射情報管理装置。
- 前記測定部は、前記平衡伝送路の送信端における輻射電波を測定する、請求項1から4記載の輻射情報管理装置。
- 前記測定部は、前記平衡伝送路の受信端における輻射電波を測定する、請求項1から4記載の輻射情報管理装置。
- 前記測定部は、コイルを用いた電磁誘導作用を利用して、前記平衡伝送路の輻射電波を測定する、請求項1から6記載の輻射情報管理装置。
- 前記コイルは、空芯コイルか有芯コイルのいずれかである、請求項7記載の輻射情報管理装置。
- 前記コイルは、薄膜コイルである、請求項7記載の輻射情報管理装置。
- 前記測定部は、磁界感応型半導体素子を利用して、前記平衡伝送路の輻射電波を測定する、請求項1から6記載の輻射情報管理装置。
- 平衡伝送路を用いて通信を行う通信装置であって、
前記平衡伝送路に信号を送信する送信部と、
前記送信部が前記平衡伝送路に注入する送信電力を制御する制御部と、
前記平衡伝送路の輻射電波に関する輻射情報を管理する輻射情報管理部とを備え、
前記輻射情報管理部は、
前記平衡伝送路の輻射電波を測定する測定部と、
前記測定部が測定した輻射電波の測定値を、予め設定された基準値と比較する比較部とを有し、
前記比較部は、前記測定値が前記基準値を超えた場合、比較結果を前記制御部に通知し、
前記制御部は、前記比較結果に基づいて、前記送信部が前記平衡伝送路に注入する送信電力を制御する通信装置。 - 前記輻射情報管理部は、輻射電波に関する管理情報を作成する管理情報作成部をさらに備え、
前記管理情報作成部は、前記輻射電波の測定値が前記基準値を超えた場合、輻射電波に関する管理情報を作成し、作成した管理情報を前記制御部に通知し、
前記制御部は、前記管理情報に基づいて、前記送信部が前記平衡伝送路に注入する送信電力を制御する、請求項11記載の通信装置。 - 前記測定部は、予め設定された周波数について、前記平衡伝送路の輻射電波を測定し、
前記比較部は、前記測定部が測定した輻射電波の測定値を、予め設定された基準値と比較し、
前記測定値が前記基準値を超えた場合、前記管理情報作成部は、前記測定値が前記基準値を超えた周波数に関する情報を含む管理情報を作成する、請求項12記載の通信装置。 - 前記測定部は、前記通信装置が使用する周波数域での、前記平衡伝送路の輻射電波の平均的実効値を測定する、請求項11から12記載の通信装置。
- 前記測定部は、前記平衡伝送路の送信端における輻射電波を測定する、請求項11から14記載の通信装置。
- 前記測定部は、前記平衡伝送路の受信端における輻射電波を測定する、請求項11から14記載の通信装置。
- 前記測定部は、コイルを用いた電磁誘導作用を利用して、前記平衡伝送路の輻射電波を測定する、請求項11から14記載の通信装置。
- 前記コイルは、空芯コイルか有芯コイルのいずれかである、請求項17記載の通信装置。
- 前記コイルは、薄膜コイルである、請求項17記載の通信装置。
- 前記測定部は、磁界感応型半導体素子を利用して、前記平衡伝送路の輻射電波を測定する、請求項11から16記載の通信装置。
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