JP2015195270A - 基板処理装置 - Google Patents

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林 義典
Yoshinori Hayashi
義典 林
小林 信雄
Nobuo Kobayashi
信雄 小林
晃一 濱田
Koichi Hamada
晃一 濱田
秀晃 寺門
Hideaki Terakado
秀晃 寺門
裕樹 齊藤
Hiroki Saito
裕樹 齊藤
黒川 禎明
Sadaaki Kurokawa
禎明 黒川
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Abstract

【課題】エッチング処理液として使用されるリン酸溶液内のリン酸濃度を精度良く計測し適切なリン酸溶液を提供することで、エッチング処理の精度向上、歩留まりの向上を図るとともにエッチング処理液の無駄を排除できる基板処理装置を提供する。
【解決手段】リン酸、純水の供給を受けてエッチング処理液として使用されるリン酸溶液を生成するリン酸溶液浴槽1と、生成されたリン酸溶液の温度を維持したままリン酸溶液に含まれるリン酸の濃度をラマンスペクトル法を利用して計測するリン酸濃度計測部2と、リン酸溶液を使用してエッチング処理を行う処置部3と、各部の働きを制御するとともに、これら各部をつなぐ配管内のリン酸溶液を移動させる送液部14の駆動や配管に設けられているバルブVの開閉を制御する制御部4とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、基板処理装置に関する。
半導体装置の一例である半導体デバイスを製造する工程において、半導体基板上にはエッチング対象膜となる窒化膜(例えば、Si3N4膜)が塗布されている。この窒化膜に対して選択的にエッチングが行われる。
当該窒化膜に対するエッチングには、エッチング処理液として高温高濃度のリン酸(H3PO4)の溶液が使用される。当該リン酸溶液は、主要成分となるリン酸に、例えば純水を加えることで所望の希釈率となったエッチング処理液として生成される。
ここでリン酸用液中のリン酸の濃度を決定する方法として、例えば、以下の特許文献1に記載されている発明がある。特許文献1に記載されている発明は、混合液体の濃度の変化を比重として捉える発明である。混合液体が供給される筒状容器内に釣糸状の細い糸につり下げられたフロートを入れ、このフロートの浮力の変動をロードセルに伝え、電気的に比重を計測する。さらに、基準温度における換算比重が演算され、当該演算された比重を予め設定されている上限比重と下限比重と比較し、管理限界を外れた場合は警告する。
また、比重を利用した別の方法として、例えば、特許文献2に開示されている方法もある。特許文献2に記載されている発明は、リン酸溶液が供給された処理槽の重量(総重量)を基に、処理槽の自重との差を求める。この差がリン酸溶液の重量(液重量)であり、当該液重量をリン酸溶液の体積で除するとリン酸溶液の比重が算出できる。このリン酸溶液の比重は濃度を反映していることから、リン酸溶液の比重を算出することでリン酸溶液の濃度を得ることができる。
特開2000−074810号公報 特開2013−168563号公報
しかしながら、上述した特許文献1、或いは、特許文献2に記載の発明では、以下のような不具合が生じ得る。
すなわち、例えば、特許文献1に記載の発明を実施する場合、混合液体の温度によっては機器の耐熱温度以下に冷却してから比重を計測する必要が出る可能性がある。特にリン酸溶液の場合、エッチング処理液として使用される際の温度は160℃前後の高温であるため、その可能性が一層高くなる。
また、上記特許文献1では、換算比重を演算する際の基準温度は20℃であり、仮に高温のリン酸溶液を当該基準温度である20℃まで温度を低下させてしまうと、リン酸溶液内に溶解している、例えばシリカが析出してしまう。シリカが析出すると、配管内に析出したシリカが溜まってしまい配管を詰まらせたり、パーティクル増加等のトラブルを招来することになり、肝心なエッチング処理液を処置部に供給することができなくなってしまう。
さらに、リン酸溶液の濃度を計測するためにリン酸溶液の温度を低下させると、当該温度変化によって液−液間の相互溶解度に変化を生ずる可能性があり、リン酸の濃度を計測する際には、実際の使用される際のリン酸溶液の液組成が担保されない可能性が考えられる。
また、特許文献2に記載の発明では、リン酸の濃度を得るためにリン酸溶液の比重を算出することが必要になるが、この比重算出にあたっては、処理槽の重量やリン酸溶液の重量を算出しなければならない。特に処理槽の重量を算出するに当たっては、当該重量を計測するためのロードセルを基板処理装置に組み込む必要がある。このように基板の処理を行う装置としては必須の構成要素ではない機器を組み込まなければならないとすると、基板処理装置の装置構成が大がかりになるとともに、設置の費用も増加する。
そして何よりエッチング処理液としてリン酸溶液が使用される場合、リン酸溶液の濃度や組成が変化してしまうと、エッチング処理が適切な制御の下、行われなくなってしまう。そのためには、エッチング処理液であるリン酸溶液内のリン酸の濃度を厳格に制御する必要がある。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、エッチング処理液として使用されるリン酸溶液内のリン酸濃度を精度良く計測し適切なリン酸溶液を提供することによって、エッチング処理の精度向上、歩留まりの向上を図るとともに、エッチング処理液の無駄を排除することができる基板処理装置を提供することにある。
実施形態に係る基板処理装置は、リン酸供給部と、純水供給部とからそれぞれリン酸、純水の供給を受けて、エッチング処理液として使用されるリン酸溶液を生成するリン酸溶液浴槽と、生成されたリン酸溶液の温度を維持したままリン酸溶液に含まれるリン酸の濃度をラマンスペクトル法を利用して計測するリン酸濃度計測部と、リン酸溶液を使用してエッチング処理を行う処置部と、リン酸溶液浴槽と、リン酸濃度計測部と、処置部の働きを制御するとともに、これら各部をつなぐ配管内のリン酸溶液を移動させる送液部の駆動や配管に設けられているバルブの開閉を制御する制御部とを備える。
本発明によれば、エッチング処理液として使用されるリン酸溶液内のリン酸濃度を精度良く計測し適切なリン酸溶液を提供することによって、エッチング処理の精度向上、歩留まりの向上を図るとともに、エッチング処理液の無駄を排除することができる基板処理装置を提供することができる。
実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示すブロック図である。 実施形態に係るエッチング処理液を生成し処置部に供給するまでの流れを示すフローチャートである。 実施形態に係るエッチング処理液を生成し処置部に供給するまでの流れの中で、リン酸溶液中のリン酸の濃度を計測する流れを示すフローチャートである。 リン酸用液中のリン酸の濃度を計測する際に用いるラマンスペクトル法について説明する際に使用するグラフである。 リン酸用液中のリン酸の濃度を計測する際に用いるラマンスペクトル法について説明する際に使用するグラフである。 リン酸用液中のリン酸の濃度を計測する際に用いるラマンスペクトル法について説明する際に使用するグラフである。 リン酸用液中のリン酸の濃度を計測する際に用いるラマンスペクトル法について説明する際に使用するグラフである。 実施形態に係る基板処理装置の別の全体構成を示すブロック図である。 実施形態に係るエッチング処理液を生成し処置部に供給するまでの流れの中で、リン酸溶液中のリン酸の濃度を計測する流れを示すフローチャートである。 実施形態に係るリン酸濃度計測部の構成の詳細を示す模式図である。 実施形態に係るリン酸濃度計測部がレーザ光を照射する領域における配管をポリプロピレンとした際の優位性を示すグラフである。 実施形態に係るリン酸濃度計測部における外乱の排除について説明する模式図である。 実施形態に係るリン酸濃度計測部において焦点距離を設定する際の根拠を示すグラフである。 実施形態に係るリン酸濃度計測部の別の構成を示す模式図である。 実施形態に係るリン酸濃度計測部の別の構成を示す模式図である。 実施形態に係るリン酸の濃度とラマンスペクトルとの関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る基板処理装置Sの全体構成を示すブロック図である。実施形態に係る基板処理装置Sは、大きくエッチング処理液であるリン酸溶液を生成するリン酸溶液浴槽1と、リン酸溶液中のリン酸の濃度を計測するリン酸濃度計測部2と、リン酸溶液を使用してエッチング処理を行う処置部3とから構成されている。
そしてこれら各部を制御するための制御部4が併せて設けられている。制御部4は、基板処理装置Sの全体を制御する。そのため、基板処理装置Sを構成する各部とは電気的に接続されており、制御部4と各部との間で信号のやり取りがなされることを可能としている。
なお、図面に示す制御部4からは各部との接続を示す矢印が上方へ1つ及び、リン酸濃度計測部2に対してのみ示されており、その他の各部とは接続されていないように示されているが、これはあくまでも図示の都合上このように示されているに過ぎず、実際には上述したように制御部4と基板処理装置Sを構成する各部とが電気的に接続されている。
リン酸溶液は、リン酸供給部11から供給されるリン酸と、純水供給部12から供給される純水がリン酸溶液浴槽1内で混ぜ合わせられることによって生成される。すなわち、リン酸溶液浴槽1は、リン酸溶液を生成する場所、或いは装置である。例えば、リン酸溶液浴槽1はタンクであり、図1において図示していないが、リン酸と純水とを混ぜ合わせるための機構を備えている。
リン酸溶液におけるリン酸の濃度は予め規定されている。そのため、当該規定に従った濃度のリン酸溶液を生成するべく、制御部4から各供給部に対してリン酸溶液浴槽1へ供給される量が指示される。具体的には、制御部4が、リン酸供給部11とリン酸溶液浴槽1とをつなぐ配管に設けられている第1のバルブV1の開閉と純水供給部12とリン酸溶液浴槽1とをつなぐ配管に設けられている第2のバルブV2の開閉とを制御することによって行われる。
また、生成されたリン酸溶液は、リン酸溶液浴槽1からリン酸溶液加熱部13に送られて、エッチング処理に使用される際の温度を基に、約165℃前後の温度を維持するよう
に加熱される。加熱されたリン酸溶液は、リン酸溶液浴槽1とリン酸溶液加熱部13との間をつなぐ循環路Cを介してリン酸溶液浴槽1へと戻る。すなわち、リン酸溶液は、リン酸溶液浴槽1を基点とする循環路C内を加熱循環している。
なお、循環路C内をリン酸溶液を循環させるべく、当該循環路Cには送液部14が設けられている。この送液部14は、いわばポンプであり、図1の循環路Cを構成する各部をつなぐ矢印の方向にリン酸溶液が流れるように循環させる。
リン酸溶液浴槽1において生成されたリン酸溶液は循環路C内を循環する間にリン酸溶液加熱部13において予め設定されている温度となるまで、或いは、当該温度を維持するべく、加熱される。リン酸溶液をエッチング処理液として使用する際には、例えば、160℃の高温にしておく必要があるからである。
さらに、循環路Cにおける送液部14とリン酸溶液浴槽1との間に第3のバルブV3が設けられており、送液部14と処置部3との間をつなぐ配管Eには第4のバルブV4が設けられている。
リン酸溶液を循環路C内で循環させておく場合は、制御部4からの指示が第3のバルブV3に出され、第3のバルブV3は開放となる。一方この場合、制御部4は、送液部14と処置部3とをつなぐ配管E上に設けられている第4のバルブV4を閉止とする制御を行う。制御部4によるこのような制御によって、生成されたリン酸溶液は循環路C内を循環する。
一方、リン酸溶液が生成され、所定の濃度、温度等、生成の条件を全て満たした場合には、処置部3において行われるエッチング処理に使用するため、リン酸溶液浴槽1から処置部3に生成されたリン酸溶液が供給される。この場合、制御部4は、第3のバルブV3を閉止とし、第4のバルブV4を開放とする制御を行い、リン酸溶液が循環路Cを循環せずに配管Eを通って処置部3に供給されるようにする。
なお、循環路Cにおいてリン酸溶液加熱部13において加熱されたリン酸溶液がリン酸溶液浴槽1へと戻る経路上には、図1において図示していないが、リン酸溶液の温度を計測する機構が設けられていても良い。リン酸溶液の温度を計測する機構は、リン酸溶液加熱部13において加熱されリン酸溶液浴槽1との間を循環しているリン酸溶液の温度が所定の温度を保持しているか否かを確認するべく、リン酸溶液の温度を計測する。計測されたリン酸溶液の温度は、制御部4へと送信される。制御部4では送信された温度情報を基に、例えば、リン酸溶液加熱部13に対して加熱処理を行うように指示する。
なお、本発明の実施の形態においては、リン酸溶液を循環路C内を循環させる間に加熱し攪拌することを前提に説明を行う。すなわち、循環路C内をリン酸溶液が循環する間に、加熱され所定の温度が維持されるとともに、リン酸溶液を生成する上で混ぜ合わせるリン酸と純水とが攪拌され、設定通りのリン酸溶液が生成される。但し必ずしもこの構成を採用しなければならないわけではなく、例えば、リン酸溶液浴槽1自体が加熱機構や攪拌機構を備え設定された通りのリン酸溶液を生成することとしても良い。また、リン酸濃度計測部2やリン酸溶液温度計測部15もリン酸溶液浴槽1に設けられている構成を採用しても良い。
さらに、送液部14とリン酸溶液浴槽1とをつなぐ循環路Cの経路上には、リン酸濃度計測部2が設けられている。
リン酸濃度計測部2は、リン酸溶液中のリン酸の濃度を計測する。計測されたリン酸の
濃度に関する情報は、制御部4へと送信され、予め設定されている濃度となっているか、判断される。もし適切な濃度ではない場合は、制御部4は、リン酸供給部11、或いは、純水供給部12に対して指示を出し、適切な濃度のリン酸溶液が生成されるようにする。
本発明の実施の形態においては、リン酸濃度計測部2では、ラマンスペクトル法を利用してリン酸の濃度を計測する。従ってここでのリン酸濃度計測部2としては、ラマン散乱分光分析装置が採用される。計測方法としてラマンスペクトル法を採用することから、リン酸溶液浴槽1とリン酸溶液加熱部13との間で循環している高温・高濃度のリン酸溶液内のリン酸の濃度を、非接触で略リアルタイムに計測することができる。
図1に示すように、リン酸濃度計測部2は、レーザ照射部21と、プローブ22と、ラマン分光器23と、計測制御部24とから構成されている。レーザ照射部21は、循環路Cを循環しているリン酸溶液に対してレーザ光を照射する。プローブ22は、レーザ照射部21が循環路C内を流れるリン酸溶液に対して照射したレーザ光の散乱光を受光する。また、併せてプローブ22は、レーザ照射部21を保持する支持体としての役割を果たしている。
ラマン分光器23は、プローブ22で受光したリン酸溶液のレーザ光の散乱光を分光する。ラマン分光器23でリン酸溶液の散乱光から把握されたスペクトルに関する情報は、計測制御部24へ送信される。計測制御部24は、スペクトルを解析し、リン酸溶液中のリン酸の濃度を算出する。併せて、計測制御部24は、リン酸濃度計測部2を構成する各部を制御する。
なお、ラマンスペクトル法を用いてリン酸溶液中のリン酸の濃度を計測するリン酸濃度計測部2における各部の詳細な機能については、後述する。
処置部3は、シリコンウェハに対するエッチング処理を行う。リン酸濃度計測部2においてリン酸の濃度が計測されると、当該計測結果は、制御部4に送信される。制御部4では、受信した計測結果を基に、生成されたリン酸溶液をエッチング処理液として使用可能か判断する。リン酸の濃度がリン酸溶液中において予め設定されている濃度であることが確認された場合には、リン酸溶液浴槽1と処置部3とをつなぐ配管Eに設けられている第4のバルブV4を開放するよう指示し(この時第3のバルブV3は閉止となる)、送液部14を介してリン酸溶液浴槽1から処置部5へリン酸溶液が供給される。
処置部3では供給されたリン酸溶液をエッチング処理液として使用し、シリコンウェハ上のSiN膜を選択的に除去するエッチング処理を行う。処置部3では、シリコンウェハ1枚1枚に対して個別にエッチング処理を行う、枚葉処理を行う。
処置部3において使用されたリン酸溶液は、ポンプP1によってリン酸溶液回収部15に送液される。リン酸溶液回収部15では、リン酸溶液を回収するための様々な処理が制御部4の指示に基づいて行われ、再利用が不可能なリン酸溶液については廃液処理となる。一方、再利用が可能なリン酸溶液は、ポンプP2によってリン酸溶液浴槽1に送られて循環路C内を循環する間に再度加熱され、エッチング処理液として再使用される。
なお、制御部4においてリン酸溶液中のリン酸の濃度が予め設定されている濃度と異なる場合には、制御部4は、第4のバルブV4を閉止してリン酸溶液浴槽1から処置部3へのリン酸溶液の供給を停止する。
次に、基板処理装置Sにおいてエッチング処理液であるリン酸溶液が生成されて処置部3へ供給され、エッチング処理が行われる大きな流れについて説明する。図2は、実施形
態に係るエッチング処理液を生成し処置部3に供給するまでの流れを示すフローチャートである。
まず、リン酸溶液浴槽1にリン酸供給部11からリン酸が供給される。この際制御部4は必要量のリン酸がリン酸溶液浴槽1に供給されるように、第1のバルブV1の開閉を制御する。またリン酸溶液浴槽1に純水供給部12から純水が供給される。この際制御部4は必要量の純水がリン酸溶液浴槽1に供給されるように、第2のバルブV2の開閉を制御する。このようにリン酸と純水が供給された後、リン酸溶液浴槽1においてエッチング処理液となるリン酸溶液が生成される(ST1)。
また、生成されたリン酸溶液は、エッチング処理の際には略160℃の高温の状態で使用されることから、循環路Cを循環させ、経路上に設けられているリン酸溶液加熱部13にて設定されている温度まで加熱される(ST2)。このように加熱されたリン酸溶液は、循環路Cを循環する間保温される。なおリン酸溶液が循環路C内を循環している間は、第3のバルブV3が開放、第4のバルブV4が閉止となるよう、制御部4によって制御される。
循環路Cには、リン酸濃度計測部2が設けられている。リン酸濃度計測部2では、ラマンスペクトル法を用いて、リン酸溶液中のリン酸の濃度を計測する(ST3)。
ここで、ラマンスペクトル法を利用したリン酸の濃度の計測方法について、図3ないし図7を利用して以下、説明する。
図3は、実施形態に係るエッチング処理液を生成し処置部3に供給するまでの流れの中で、リン酸溶液中のリン酸の濃度を計測する流れを示すフローチャートである。また、図4ないし図7は、リン酸用液中のリン酸の濃度を計測する際に用いるラマンスペクトル法について説明する際に使用するグラフである。
まず、リン酸溶液中のリン酸の濃度を計測するに当たって、制御部4は、循環路C内を循環しているリン酸溶液の温度が所定の温度に維持されているか否かを確認する(ST21)。上述したように、図1に示す基板処理装置Sには、循環しているリン酸溶液の温度を計測する装置は示されていないが、制御部4は図示しない温度計測部からのリン酸溶液の温度に関する情報を入手して、循環路C内を循環するリン酸溶液の温度が所定の温度に維持されるように制御する。
このように循環するリン酸溶液の温度が所定の温度に維持されるように制御するには、リン酸溶液中に含まれるリン酸の濃度を正確に計測するためである。すなわち、ここで計測の対象とするリン酸はオルトリン酸であるが、例えば、リン酸の組成が異なってしまいピロリン酸(二リン酸)やポリリン酸(三リン酸)となっても、リン酸溶液の温度が維持されていればいずれの組成のリン酸の濃度であっても計測することが可能となるからである。
また、例えば、処置部3においてエッチング処理が行われる際にリン酸溶液がエッチング処理液として使用され、その後リン酸溶液回収部15において回収されると、当該回収されたリン酸溶液にはエッチング処理を行った基板の窒化膜(例えば、Si3N4膜)のシリカ(Si)がリン酸溶液中に溶解していることが考えられる。このような状態でリン酸溶液の温度が低下してしまうと、シリカの析出を招くことになる。そのため、例えばリン酸の濃度を計測するに当たってリン酸溶液の温度を低くする処理を行ってしまうと、シリカが析出してしまうことになる。また、そもそも基板のエッチング処理を行う際に、窒化膜のエッチング処理を向上させるためにリン酸溶液にシリカを添加することもある。こ
の場合はリン酸溶液の温度が低下することによるシリカの析出の可能性が高くなる。
従ってこのような現象を招来することを回避する必要があり、そのためには、生成されたリン酸溶液がエッチング処理液として処置部3に供給される温度(略160℃)を維持しつつリン酸の濃度を計測する必要がある。
そこで本発明の実施の形態においては、リン酸溶液にレーザ光を照射して作出される散乱光をラマンスペクトル法にて解析することで、リン酸溶液中のリン酸の濃度を計測することとしている。ラマンスペクトル法を利用することによって、リン酸溶液の温度を低くする処理を行う必要がなくなり、高温高濃度のままリン酸溶液中のリン酸の濃度を計測することができる。
制御部4が循環するリン酸溶液の温度が所定の温度に維持されていることを確認すると(ST21のYES)、リン酸濃度計測部2の計測制御部24は、レーザ照射部21にリン酸溶液に向けてレーザ光を照射するよう指示する(ST22)。リン酸溶液にレーザ光を照射すると、散乱光が発生する。プローブ22ではこの散乱光を受光する(ST23)。ラマン分光器23では、プローブ22が受光した散乱光のスペクトルを計測する(ST24)。
図4は、リン酸溶液中のリン酸の濃度ごとに現われるラマンスペクトルをグラフに示したものである。このグラフにおいて、縦軸に散乱強度[cls(classical least squares)]が示される。一方横軸には、ラマンスペクトルの振動数[cm−1]が示されている。
図4に示すグラフでは6種類の濃度の異なるリン酸に関するラマンスペクトルが線種を変えて示されている。このグラフを見ると、リン酸の濃度が0wt%の場合における散乱強度が最も小さく、リン酸の濃度が85.5wt%の場合における散乱強度が最も大きく示されている。すなわち、リン酸溶液中のリン酸の濃度が濃くなれば濃くなる程、散乱強度が強くなることが理解できる。
またグラフ中において2つの四角で囲んだ領域における中心の振動数においては、リン酸の濃度に拘わらずいずれも散乱強度が強く発現している。左側の四角で囲まれた領域における中心の振動数が略490[cm−1]であり、右側の四角で囲まれた領域における中心の振動数が略910[cm−1]である。従って、これら2つの振動数において発現するスペクトルを利用すれば、リン酸溶液中のリン酸の濃度を把握することができると考えられる。
図5は、振動数が490[cm−1]の場合と910[cm−1]の場合を抜き出してリン酸の濃度ごとの散乱強度を示したグラフである。図5のグラフでは、縦軸に散乱強度、横軸にリン酸溶液中のリン酸の濃度が示されている。このグラフによると、いずれの振動数の場合もリン酸の濃度が高くなるに従って散乱強度が強くなり、特に80wt%を超えると急激に散乱強度が強くなる。
また、図5に示すグラフからは2種類の振動数ごとの散乱強度が把握できるが、換言すれば、1つの散乱強度から2つのリン酸の濃度が把握されることになってしまい、リン酸溶液中のリン酸の濃度を算出するには適切ではない。
そこで、次に振動数が490[cm−1]の場合と910[cm−1]の場合の相関関係を検討してみる。図6は、振動数が490[cm−1]の場合と910[cm−1]の場合の相関関係を示すグラフである。このグラフでは、縦軸に振動数が910[cm−1
]の場合を、横軸に振動数が490[cm−1]の場合を示している。
このように両振動数の相関関係を見てみると、1次の直線で近似でき、決定係数Rも0.9695との値が示されていることから、両振動数には相関関係が存在するものと考えられる。
このことから、振動数490[cm−1]を分母とし、振動数910[cm−1]を分子とした相対散乱強度を求め、リン酸の濃度との関係を確認してみると、図7に示すグラフのように表わすことができる。
図7は、振動数490[cm−1]と910[cm−1]との相対散乱強度とリン酸の濃度との関係を示すグラフである。縦軸に振動数910[cm−1]を振動数490[cm−1]で除して算出される相対散乱強度を取り、横軸にリン酸の濃度を取る。すると、1次の直線で近似でき、決定係数Rも0.9892との値が示されていることから、両者には良好な相関関係が存在するものと考えられる。すなわち、振動数490[cm−1]と910[cm−1]との値から算出される相対散乱強度が把握できれば、リン酸の濃度も算出することができることになる。
ラマン分光器23で計測されたスペクトルを基に、計測制御部24では振動数490[cm−1]及び910[cm−1]のそれぞれの散乱強度を算出するとともに(ST25)、両者の相対散乱強度も算出する(ST26)。
そして予め求められている、例えば、図7に示すような振動数490[cm−1]と910[cm−1]との相対散乱強度とリン酸の濃度との関係(検量線データ)を基に、算出された相対散乱強度を比較する(ST27)。図7のグラフからも分かるとおり、相対散乱強度とリン酸の濃度とは1対1の関係にあるので、相対散乱強度が算出されれば、リン酸溶液中のリン酸の濃度を算出することができる(ST28)。
計測制御部24では、算出されたリン酸の濃度に関するデータを制御部4に送信する(図2のST4)。制御部4では、リン酸濃度計測部2の計測制御部24から送信されたリン酸溶液中のリン酸の濃度に関する情報を取得し、現在循環路C内を循環しているリン酸溶液中のリン酸の濃度が適切であるか否かを判断する(ST5)。
制御部4において、計測制御部24から送信されたリン酸の濃度が適切であると判断された場合には(ST5のYES)、生成されたリン酸溶液をエッチング処理液として使用することが可能となる(ST6)。そこで、制御部4はリン酸溶液浴槽1と処置部3とをつなぐ配管Eに設けられている第4のバルブV4を開放し、一方、循環路C内に設けられている第3のバルブV3を閉止することで、リン酸溶液浴槽1から処置部3へリン酸溶液の供給を行う(ST7)。処置部3では、供給されたリン酸溶液をエッチング処理液として使用し、エッチング処理を行う。
なお、ここではン酸溶液浴槽1から処置部3へリン酸溶液の供給を行うに当たって、リン酸溶液浴槽1と処置部3とをつなぐ配管Eに設けられている第4のバルブV4を開放し、循環路C内に設けられている第3のバルブV3を閉止する例を挙げたが、例えば、いずれのバルブも開放しておく制御も考えられる。すなわち、循環路C内を循環するリン酸溶液のリン酸の濃度を計測しつつ、処置部3へリン酸溶液を供給する場合である。この場合に異常が発生した場合には、第4のバルブV4を閉止して処置部3へのリン酸溶液の供給を停止する。
一方、リン酸の濃度について制御部4において確認した結果、適切な値となっていない
と判断した場合には(ST5のNO)、生成されたリン酸溶液がエッチング処理液として使用するに不適である旨、基板処理装置Sの操作者に対して報知する(ST8)。併せて、配管Eの第4のバルブV4を閉止してこのようなリン酸溶液を処置部3へ供給することを停止する(ST9)。
または、未だ処置部3へリン酸溶液が供給されていない場合には、制御部4は、第4のバルブV4を閉止し第3のバルブV3を開放したままとし、リン酸溶液が処置部3に供給されないように制御する。リン酸の濃度が制御されていないリン酸溶液をエッチング処理液として使用すると、エッチング処理を制御することができず、歩留まりを悪化させることになるからである。
そして、このようなリン酸溶液は、エッチング処理液として使用することができないことから、再度リン酸溶液を生成するよう、制御部4は各部に指示を出す(ST10)。基板処理装置Sでは、再びステップST1に戻り、リン酸溶液を再生成する。
なおこの他の対応として、例えば、操作者に対する報知を行わずにリン酸溶液を処置部3へ供給することを停止し、リン酸溶液を再生成することも考えられる。或いは、操作者へ報知した後、リン酸溶液を処置部3へ供給することを停止し、リン酸溶液を再生成することなく基板処理装置Sまで停止させてしまうことも考えられる。
以上、エッチング処理液を生成し処置部に供給するまでの流れ、及びリン酸溶液中のリン酸の濃度をラマンスペクトル法を用いて計測する方法について説明をした。
基板処理装置Sでは、リン酸溶液中のリン酸の濃度を計測するリン酸濃度計測部2は、循環路C内を循環するリン酸溶液を対象としてリン酸の濃度を計測している。但し、リン酸の濃度を計測する場所はこの1カ所に限定されることはない。例えば、第4のバルブV4が開放されてリン酸溶液浴槽1から処置部3へリン酸溶液が供給される際のリン酸の濃度を計測することも可能である。
図8は、実施形態に係る基板処理装置S1の別の全体構成を示すブロック図である。これまで説明してきた基板処理装置Sとの構成上の違いは、リン酸濃度計測部2Aの構成である。基板処理装置S同様、循環路C内を循環するリン酸溶液のリン酸の濃度を計測するためにレーザ光を照射するのは、第1のレーザ照射部21Aである。また、レーザ光が照射されて発生する散乱光を受光するのは、第1のプローブ22Aである。
さらに、リン酸濃度計測部2Aにおいては、リン酸溶液浴槽1と処置部3とをつなぐ配管E内を流れるリン酸溶液中のリン酸の濃度も計測することとしている。これは、循環路C内のリン酸溶液中のリン酸の濃度と、配管E内のリン酸溶液中のリン酸の濃度とをそれぞれ計測して比較することで、両者のリン酸溶液においてリン酸の濃度に差異がないことを確認するためである。すなわち、両者に差異が発見された場合、循環路C内のリン酸溶液中のリン酸の濃度に濃度不均一な状態があることを示している。
このように配管E内のリン酸溶液中のリン酸の濃度を計測するべく、図8に示す基板処理装置S1においては、リン酸濃度計測部2A内にもう1組リン酸の濃度を計測する機器を設ける。配管E内のリン酸溶液に対しては、第2のレーザ照射部21Bがレーザ光を照射する。また、第2のプローブ22Bにおいてレーザ光が照射されて発生する散乱光を受光する。
さらに2カ所からリン酸溶液に照射したレーザ光の散乱光が帰ってくるため、いずれの配管を流れるリン酸溶液中のリン酸の濃度を計測しているか不明にならないように、それ
ぞれのプローブにはシャッターが設けられている。すなわち、第1のプローブ22Aには、第1のシャッター25が接続されており、第2のプローブ22Bには、第2のシャッター26が接続されている。
計測制御部24が第1のシャッター25と第2のシャッター26を、一方が開いている際には他方を閉めるという制御を適宜行うことによって、ラマン分光器23に循環路C内を循環するリン酸溶液の散乱光、或いは、配管E内を流れるリン酸溶液の散乱光を入れることができる。
図9は、図8に示す基板処理装置S1において、実施形態に係るエッチング処理液を生成し処置部3に供給するまでの流れの中で、リン酸溶液中のリン酸の濃度を計測する流れを示すフローチャートである。循環路C内のリン酸溶液中のリン酸の濃度を計測する流れは、例えば、図2或いは、図3に示すフローチャートを利用して説明した通りである(ST1ないしST4)。
循環路C内のリン酸溶液中のリン酸の濃度を計測すると、その計測結果は制御部4に送信されてリン酸の濃度が適切であるか否かの判断が行われる(ST5)。その際、制御部4が受信した計測結果であるリン酸の濃度は記憶される(ST31)。これは以下において説明する、配管E内を流れるリン酸の濃度が計測された際に両者の計測結果を比較する必要があるからである。
なお、図9に示すフローチャートでは、制御部4が循環路C内のリン酸溶液中のリン酸の濃度を受信した後、当該濃度が適切であるか否かを判断する前に記憶する流れで示しているが、制御部4が循環路C内のリン酸溶液中のリン酸の濃度を記憶する処理はこの流れに限定されるわけではない。
制御部4が循環路C内のリン酸溶液中のリン酸の濃度を受信し、当該濃度が適切であるか否か判断した結果、適切である場合には(ST5のYES)、当該生成されたリン酸溶液はエッチング処理液としてエッチング処理に使用することができる(ST6)。そこで、制御部4は、第3のバルブV3を閉止し、第4のバルブV4を開放する制御を行い、リン酸溶液浴槽1から処置部3へリン酸溶液を供給する(ST7)。
第4のバルブV4が開放されると、送液部14によって循環路Cから送り出されるリン酸溶液は、配管Eを通り処置部3へ送液される。そこで、この配管E内を流れるリン酸溶液のリン酸の濃度を計測するべく、リン酸濃度計測部2Aの計測制御部24は第2のレーザ照射部21Bに対してレーザを照射するよう指示する。すなわち、ラマンスペクトル法を利用して、配管E内を流れるリン酸溶液のリン酸の濃度を計測する(ST32)。なお、ラマンスペクトル法を利用してのリン酸濃度の計測の流れは、図3のフローチャートに示されている通りである。
第2のレーザ照射部21Bが配管E内を流れるリン酸溶液に対してレーザ光を照射すると散乱光が発生する。発生した散乱光は第2のプローブ22Bにおいて受光され、ラマン分光器23において受光した散乱光のスペクトルを計測する。
なお、この際、図3に示すラマンスペクトル法を利用したリン酸の濃度を計測する流れを示すフローチャートには示されていないが、計測制御部24は第1のプローブ22Aで受光したスペクトルをラマン分光器23へと入れるのか、或いは、第2のプローブ22Bで受光したスペクトルをラマン分光器23へと入れるのかを判断し、第1のシャッター25、或いは、第2のシャッター26を適宜開閉する制御を行う。
第2のプローブ22Bにおいて受光したスペクトルを解析した結果得られた、配管E内を流れるリン酸溶液のリン酸の濃度は、制御部4に送信される(ST33)。これで制御部4には、循環路C内のリン酸溶液中のリン酸の濃度と配管E内のリン酸溶液中のリン酸の濃度とが集められたことになる。そこで制御部4では、両者の濃度を比較する(ST34)。
比較の結果、差異がなければ(ST35のNO)、循環路C内を循環するリン酸溶液に濃度不均一な状態はなく、処置部3にリン酸溶液をエッチング処理液として供給することに何ら問題はない。そこで、ステップST7へ戻り、リン酸溶液を処置部3へ供給するwよりを継続する。
一方、比較の結果差異があると認められる場合には(ST35のYES)、制御部4は、配管Eの第4のバルブV4を閉止するとともに第3のバルブV3を開放し、リン酸溶液浴槽1において、リン酸溶液の濃度を均一化する処理を行うよう制御する(ST36)。上述したように、リン酸溶液浴槽1には、リン酸と純水とを混ぜ合わせるための機構が備えられていることから、例えば、当該機構を使用して循環路C内を循環するリン酸溶液の濃度が不均一とならないように処理を行う。
当該均一化の処理が行われた後、制御部4はリン酸溶液の濃度が均一化されたか否かを判断するべく、再度循環路C内を循環するリン酸溶液のリン酸の濃度と配管E内を流れるリン酸溶液のリン酸の濃度を計測し比較する(上述した、ST3ないしST36)。
以上、ここでは、比較の結果差異があると認められる場合にはリン酸溶液の濃度を均一化する処理を行うことを説明した。但し、例えば、別の処理の流れも考えられる。
すなわち、比較の結果差異があると認められる場合には、一旦操作者に対して差異が生じている旨報知し、リン酸溶液を処置部3へ供給することを停止させる。この状態で、再度リン酸溶液を生成し、この再生成されたリン酸溶液を処置部3へ供給する。但し、あくまでも差異の有無を確認するためであり、処置部3内には基板を搬入しない状態とする。つまり処置部3へのリン酸溶液の供給はダミーということになる。リン酸溶液がダミーとはいえ処置部3へ供給されることになるため、ステップST32で説明したように、第2のレーザ照射部21Bが配管E内を流れるリン酸溶液に対してレーザ光を照射し、第2のプローブ22Bが受光した散乱光のスペクトルをラマン分光器23において計測する。
その結果、差異がなければ循環路C内を循環するリン酸溶液に濃度不均一な状態はなく、処置部3にリン酸溶液をエッチング処理液として供給することに問題はないことになるため、このままリン酸溶液を処置部3へ供給し、今度は基板も搬入してエッチング処理を行う。一方、制御部4によって再度差異が生じていると判断された場合には、操作者に対して報知する。
以上のような処理を行うのは、次の理由からである。すなわち、これまで説明した通り、リン酸溶液中のリン酸の濃度が適切でない限り、リン酸溶液浴槽1と処置部3とをつなぐ配管Eにはリン酸溶液が供給されない。従って、差異が生じているということは、配管E内にシリカやリン酸の結晶、或いは、不純物が析出している可能性があると考えることができる。つまり、リン酸溶液が配管Eに供給されない間に配管Eに滞留しているリン酸溶液の温度が低下し、例えば、レーザ光を照射する領域にシリカが析出している可能性が考えられるからである。
なおここでは詳細な説明を割愛するが、生成されたリン酸溶液の濃度が所定の濃度となっていない場合には(ST5のNO)、その旨報知された後、当該リン酸溶液を処置部3
へ供給することを停止するとともに、再度リン酸溶液を生成することになる(ST8ないしST10)。
次に、上述したような基板処理装置の構成に拘わらず、リン酸濃度計測部2、或いは、リン酸濃度計測部2A(以下、これらをまとめて「リン酸濃度計測部2」と表わす)と計測対象となるリン酸用液が流れる配管との位置関係等、如何に外乱を回避し、リン酸の濃度を高い精度で計測するかについて説明する。
図10は、実施形態に係るリン酸濃度計測部2の構成の詳細を示す模式図である。リン酸濃度計測部2の内部構成は、例えば、図1や図8に示す基板処理装置の全体構成図に示す通りであるが、本発明の実施の形態においてリン酸濃度計測部2を循環路C、或いは、配管Eに取り付けられる際には、図10に示す構成が採用される。
リン酸濃度計測部2の配管への取り付け構成であるが、リン酸濃度計測部2を構成するレーザ照射部21とプローブ22が図の左側に示されている。もちろんこれらとラマン分光器23、計測制御部24とは電気的に接続されているが、図10に示す取り付け構成においては、図示を省略している。
図の中央には、上下方向にリン酸溶液が流れる配管Gが示されている。図10の矢印に示されているように、リン酸溶液は、当該配管Gを下から上に向けて上向きに流れる。リン酸溶液をこの向きに流すのは、配管G内をリン酸溶液が流れている際に、リン酸溶液内に気泡等が混入することを防ぐためである。
また配管Gを挟んでリン酸濃度計測部2と対向する位置には、鏡Mが設けられている。詳細は後述するが、リン酸溶液にレーザ光を照射することによって発生し得る様々な外乱となり得る光を逃がすために用いられる。
さらに配管G及び鏡Mを内部に収める暗箱Dが設けられている。暗箱Dは配管Gの周囲にある光を遮断し、その内部を暗くしておくことで、様々な光による外乱を排除してリン酸濃度の計測精度を向上させるために用いる。リン酸溶液に対してレーザ光を照射するリン酸濃度計測部2のレーザ照射部21は、その設置に当たって当該暗箱Dに密着させて設置される。このように設置することで、レーザ照射部21と暗箱Dとの接触領域から暗箱D内に侵入する光を排除することができる。
これまで説明してきた通り、当該配管G内を流れるリン酸溶液中のリン酸の濃度を、リン酸濃度計測部2において計測する。そのため配管G内のリン酸溶液に対してレーザ光を照射することになる。すなわち、レーザ照射部21から照射されたレーザ光は、一点鎖線Xによって示される光軸に沿って照射される。
但し、例えば、配管がテフロン(登録商標)系の配管材料を利用している場合等、配管Gの材質によっては適切な散乱光をリン酸濃度計測部2において受光することができず、結果として正確なリン酸の濃度を計測することができない場合も考えられる。そのためレーザ光が入射する領域のみ配管Gの材質を変更することで対応することも可能であるが、その際にはこれまで通り、高温のリン酸溶液が流れることを考慮した材料の選定も必要となる。
そこで、本発明の実施の形態においては、配管Gにおいてレーザ光が入射する領域(以下、この領域を「領域W」と表わす)とその他の領域とに分けて、それぞれに異なった配管材料を使用して上記要求を満たすこととしている。
配管Gは、2種類の部材から構成されている。レーザ照射部21によってレーザ照射が
なされる領域Wは第1の配管G1で構成されており、その他の領域は第2の配管G2で構成されている。
まず、第2の配管G2は、これまでと同様、テフロン(登録商標)系の材質を用いた配管が使用される。これは、現在採用されている材質であり、高温高濃度のリン酸溶液を流すに当たって適切な選択である。また、リン酸溶液が流れる配管の全てを、例えば、後述する第1の配管G1において採用する材質で置き換えるというのは、基板処理装置のコストの増大を招く等現実的ではない。むしろ、リン酸の濃度を計測する上ではリン酸溶液中のリン酸の濃度を計測する際にレーザ光を照射する領域Wのみを第1の配管G1に変更するだけで十分な効果を奏するものと考えられる。
第1の配管G1には、例えば、配管材料としてポリプロピレン(polypropylene)を採用することができる。ポリプロピレンは、耐熱性に優れるため、高温高濃度のリン酸溶液を流す点について問題はない。また、ポリプロピレンはリン酸溶液中のリン酸の濃度を計測する上で必要となるラマンスペクトルを受光するに適した材質であるといえる。
図11は、実施形態に係るリン酸濃度計測部2がレーザ光を照射する領域Wにおける配管をポリプロピレンとした際の優位性を示すグラフである。図11に示すグラフにおいて、縦軸には散乱強度が示されており、横軸には振動数が示されている。ここで比較したのは、第1の配管G1として採用するポリプロピレンの配管に水を流した場合、リン酸溶液を流した場合、及びテフロン(登録商標)系の材質(PTFE)からなる配管に水を流した場合の3つの場合である。
まずポリプロピレンの配管に水を流した場合のラマンスペクトル(符号Jで示す濃い実線)をみると、振動数が300[cm−1]ないし1300[cm−1]においてほぼ変化が生じることがないことがわかる。一方、同じポリプロピレンの配管にリン酸溶液を流した場合のラマンスペクトル(符号Kで示す破線)は、略490[cm−1]、略910[cm−1]の領域で非常に顕著な散乱強度を示している。この特徴はこれまで例えば図4に示すグラフを用いて説明した場合と同じ特徴を示している。従って、ポリプロピレンの配管にリン酸溶液を流してリン酸溶液中のリン酸の濃度を計測することは可能であることが理解できる。
一方、PTFEの配管に水を流した場合のラマンスペクトル(符号Lで示す薄い実線)であるが、ポリプロピレンの配管にリン酸溶液を流した場合と全く趣が異なるグラフとなって現われている。例えば、略490[cm−1]の部分ではいずれも突起(角)として散乱強度が現われているが、略910[cm−1]の部分では、ポリプロピレンの配管にリン酸溶液を流した場合とは逆に低い散乱強度に留まる。むしろ、略910[cm−1]を含む両側の振動数(略850[cm−1]、略950[cm−1])において比較的強い散乱強度が記録され、ポリプロピレンの配管にリン酸溶液を流した場合のラマンスペクトルと顕著な違いを示している。
図11に示すグラフからすれば、リン酸溶液中のリン酸の濃度を計測するに当たっては、レーザ光が照射される領域Wには通常の配管材料であるPTFEの配管ではなく、ポリプロピレンの配管を採用することが好ましい。ポリプロピレンの配管を介してリン酸溶液にレーザ光を照射することで良好なラマンスペクトルを入手することができる。
一方、領域W以外の領域における配管、すなわち、第2の配管G2においては特にレーザ光が照射されることもないことから、領域Wを形成する第1の配管G1のようにその材質としてポリプロピレンを採用する必然性は少なく、これまで通りPTFEの配管を採用すれば足りる。
そこで、本発明の実施の形態においては、図10に示すように、領域Wを形成する第1の配管G1(破線のハッチングで示されている)の材質としてポリプロピレンを採用し、領域W以外の領域における第2の配管G2の材質としてテフロン(登録商標)系の材質が採用される。
次に、リン酸の濃度を計測するためにリン酸溶液に対してレーザ光を照射したことによって発生する散乱光に影響を与える外乱に対する対処について説明する。図12は、実施形態に係るリン酸濃度計測部における外乱の排除について説明する模式図である。
上述したようにレーザ照射部21から照射されたレーザ光は光軸Xに沿って第1の配管G1内に入射する。領域Wに設けられている第1の配管G1のうち、レーザ光が入射する第1の配管G1Aにレーザ光が当たると拡散して、破線Yで示す領域に拡散することになる。暗箱D内には、鏡Mが設けられており、第1の配管G1を透過して入射したレーザ光は鏡Mに反射して図12に示す実線の矢印の方向に出射する。
例えば、第1の配管G1Aに入射したレーザ光Y1は鏡Mに反射すると、実線の矢印y1の方向に出射する。また、光軸Xに沿って入射したレーザ光は、実線の矢印x1の方向に出射する。第1の配管G1Aに入射したレーザ光Y2は鏡Mに反射すると、一旦暗箱D内の壁に反射して実線の矢印y2の方向に出射することになる。
上述したように、レーザ光をリン酸溶液に照射して発生する散乱光をプローブ22で受光し、ラマンスペクトルを得ることでリン酸溶液中のリン酸の濃度を計測する。しかし、例えば、レーザ光Y1,Y2、或いは、X1が配管のいずれかの箇所に反射して散乱光となり、当該散乱光をプローブ22が受光してしまうと、リン酸の濃度を正確に計測することが困難となってしまう。この意味でレーザ光Y1,Y2、及び、X1はリン酸の濃度を計測するに不要な外乱であり、この外乱をできるだけ排除することでリン酸濃度の計測精度も向上する。
そこで、本発明の実施の形態においては、暗箱D内に鏡Mを設け、外乱となる光を散乱光としてプローブ22が受光しない向きに向けて出射させることでリン酸濃度の計測精度を向上させることとしている。
また、外乱の排除という観点から、リン酸溶液にレーザ光を照射する際の焦点もできるだけ流れているリン酸溶液のうち第1の配管G1の概ね中央となるようにレーザ照射部21の位置を設定する。具体的には、レーザ光の焦点Fを第1の配管G1の概ね中央に設定するよう、第1の配管G1Aとレーザ照射部21との距離を適宜調整する。
図13は、実施形態に係るリン酸濃度計測部2において焦点距離WDを設定する際の根拠を示すグラフである。図13に示すグラフにおいて、縦軸には、振動数490[cm−1]と910[cm−1]との相対散乱強度が示されている。一方横軸にはレーザ照射部21から焦点Fまでの距離(焦点距離)WDを示している。また、このグラフに示されている実験結果は、ポリプロピレンの配管にリン酸溶液を流し、これまで説明してきたリン酸の濃度を計測する方法でリン酸溶液のスペクトルを計測して得られたものである。
図13に示すグラフには、2つの実線で示される線が表わされており、グラフの上方、大きく山形で示される線が相対散乱強度を示している。このグラフによると、焦点距離WDが7mm強となる距離に向けて次第に相対散乱強度が強くなっていき、この距離を超えると大きく相対散乱強度が弱くなる。
一方、この相対散乱強度を示す線の下に示されている線は、相対散乱強度を2次微分し
て示したものである。2次微分で示される線をみると、傾きが正負で変化する変曲点が上述した焦点距離WDが7mm強となる距離において現われている。
但し、発明者が別途行った、第2の配管G2の配管材料として利用されているテフロン(登録商標)系の配管内にリン酸溶液を流してリン酸溶液中のリン酸の濃度を計測する実験の結果からはこの焦点距離WDを7mm強とするのは好ましくない可能性が考えられる。すなわち、レーザ照射部21から配管内のリン酸溶液にレーザ光を照射した場合、配管を構成する材料からの散乱光も当然発生する。発明者が行った実験によれば、焦点距離WDを7mm強の位置にレーザ照射部21を設置してレーザ光を照射した場合、相対散乱強度が最も強くなるのは、配管を構成する材料からの散乱光が受光されたからとの推論が成り立つ可能性があるとの結論に達した。
この点を考慮すると、このような結論を得た実験結果と類似する相対散乱強度の動きを示す図13のグラフにおいて、符号Qで示される焦点距離WDを7mmを含む領域における相対散乱強度は、配管材料であるポリプロピレンにレーザ光が反射し散乱光として受光されて得られたものであると考えられる。
一方、2次微分で示される線をみた場合、傾きが正負で変化する変曲点は上述した焦点距離WDが7mm強となる距離のみならず、焦点距離WDが3mmから5mmとなる距離においても現われていることが把握できる。この符号Rで示される領域では、符号Qで示される領域に比べれば相対散乱強度は弱いものの、逆に配管材料であるポリプロピレンからの散乱光の影響が少ないと考えられる。
以上、図13に示すグラフを検討した結果、例えば、第1の配管G1Aとレーザ照射部21との距離は、3mmないし5mmの距離とすることが好ましいと考えられる。なお、この結果はあくまでも実験に基づいて得られた結果であり、実際の基板処理装置Sにおいて計測対象となるリン酸溶液が流れる配管に対してリン酸濃度計測部2を取り付ける場合には適宜調整が必要となることは当然である。
また、実施形態に係るリン酸濃度計測部の構成として、暗箱Dを設置している。暗箱Dの設置位置は上述したような位置であるが、これはリン酸溶液中のリン酸の濃度を計測するべく照射されるレーザ光によって生ずる散乱光以外の光が外乱として発生し、リン酸濃度計測部2に入ることを防止するためである。
リン酸溶液が流れる配管を備える基板処理装置Sは、通常工場内に設置されていることから、特に暗いということもなく、例えば、天井には蛍光灯が点灯しているような環境にある。このような環境の下、暗箱Dを設置することなく配管内を流れるリン酸溶液中のリン酸の濃度を計測することとすると、照射されたレーザ光の散乱光のみならず、基板処理装置の各部に反射する蛍光灯等の様々な光の散乱光の影響が大きく出ることになる。このような環境でリン酸の濃度を計測しても正確なリン酸の濃度を計測することは難しく、その精度は低いと考えられる。
そこで、本発明の実施の形態においては、レーザ光を照射するレーザ照射部21を暗箱Dに密着させて照射されるレーザ光が散乱することを回避し、また外乱である計測場所が受ける様々な光を遮断するべく、暗箱Dを用いている。
なお、本発明の実施の形態を説明する際に利用する図10等の図面においては、レーザ照射部21が暗箱Dに接触した状態であるが、例えば、レーザ照射部21自体を暗箱D内に含めてしまうように暗箱Dを設置することも可能である。
図14は、実施形態に係るリン酸濃度計測部2の別の構成を示す模式図である。図14に示すリン酸濃度計測部2Xは、暗箱D内に配管及び鏡M1が含まれている点ではこれまでの構成と同じである。但し、1点、図10を用いて説明したリン酸濃度計測部2の構成と異なる点が設けられている。
この相違点は、レーザ光が入射する領域Wにおける第1の配管G1と第2の配管G2の構成に関してである。ポリプロピレンで形成される第1の配管G1は、例えば図10に示す配管Gでは、第2の配管G2の内部に設けられていた。すなわち、第1の配管G1の外径が第2の配管G2の内径に接するように形成されている。
一方、図14に示すリン酸濃度計測部2Xにおいては、第1の配管G1は、第2の配管G2の外側に設けられ、第1の配管G1の内径が第2の配管G2の外径に接するように形成されている。このように第1の配管G1を既存の配管である第2の配管G2の外側に設ける(以下、このような構成を適宜「外継ぎ」と表わす)ことで、より簡便に既存の配管に暗箱Dを備えるリン酸濃度計測部を設けることが可能となる。
また、第1の配管G1が第2の配管G2に対して外継ぎとなっていることから、暗箱D内に設けられる鏡M1の取り付け位置も図10に示すリン酸濃度計測部2とは異なる。図10に示すリン酸濃度計測部2では、第2の配管G2の端部に鏡Mの一端部が取り付けられているが、図14に示すリン酸濃度計測部2Xにおいては、鏡M1の一端部は外継ぎとなる第1の配管G1Bであって、第2の配管G2の端部の位置に取り付けられている。
さらに、図15は、実施形態に係るリン酸濃度計測部2の別の構成を示す模式図である。図15に示すリン酸濃度計測部2Yの基本的な構成は図14に示すリン酸濃度計測部2Xの構成と同様である。すなわち、第1の配管G1は第2の配管G2の外側に設けられており、配管Gとしては外継ぎとなる。
一方、鏡M2の接続箇所等が図14に示すリン酸濃度計測部2Xの構成とは異なる。すなわち、リン酸濃度計測部2Xでは、鏡M1はその一端部が外継ぎとなる第1の配管G1Bであって、第2の配管G2の端部の位置に取り付けられているが(図14に示す破線の矢印参照)、リン酸濃度計測部2Yにおける鏡M2は、第1の配管G1Bの端部に設けられている(図15に示す実線の矢印参照)。第1の配管G1は、上述したように、ポリプロピレンで形成されている。ここに、例えば、入射側に設けられている第1の配管G1Aからリン酸溶液に対してレーザ光が照射されると、出射側の第1の配管G1Bから暗箱内部にレーザ光が出射される。この際第1の配管G1Bをレーザ光が出射する時にポリプロピレン内部をレーザ光が散乱する。そして散乱したレーザ光は、第1の配管G1Bの端部から暗箱内に出射することになる。
そこで鏡M2を第1の配管G1Bの端部にその端部を配置するように設けることによって、ポリプロピレンで形成される第1の配管G1B内を散乱するレーザ光も漏れなく鏡M2を介して一定方向に逃がすことで、外乱の排除を徹底する。
また、リン酸濃度計測部2Yを構成する鏡M2は、その取り付け角度を変更することができるように鏡可動部Hを備えている。すなわち、鏡M2の一方の端部は、第1の配管G1Bの端部に接続されているが、当該接続部は可動とされている。そして、鏡可動部Hは2カ所(それぞれ鏡可動部H1,H2)に設けられており、鏡M2の他方の端部が当該鏡可動部Hに接している。
本発明の実施の形態におけるリン酸濃度計測部2Yにおいては、鏡可動部Hとしてネジを利用している。鏡可動部Hは、暗箱Dを貫通するネジHaと当該ネジHaを動かすつま
みHbを備えている。また、ネジHaは、暗箱D内を水平に移動し、暗箱D内にあるネジHaの端部が鏡M2の他方の端部と接触することで鏡M2をその位置に固定する。
リン酸濃度計測部2Yでは鏡可動部Hが2カ所に設けられており、鏡M2を、例えば、鏡M2を実線示す位置、二点鎖線で示す位置となるよう、2つの取り付け角度をもって固定することができる。このように鏡M2の取り付け角度を変更することで、外乱成分を確認しながら鏡M2を適切な位置に配置することができる。
なお、ここでは上述したように鏡可動部Hをネジを利用して構成し、2つの取り付け角度をもって固定可能としたが、例えば、鏡M2の一方の端部における接続部に回転駆動可能とする駆動部を備え、制御部4によって当該駆動部を制御する構成を採用することで、鏡M2の取り付け角度を任意に設定することができることとしても良い。
以上説明したように、エッチング処理液として使用されるリン酸溶液内のリン酸濃度をラマンスペクトル法を使用して精度良く計測し適切なリン酸溶液を提供することによって、エッチング処理の精度向上、歩留まりの向上を図るとともに、エッチング処理液の無駄を排除することができる基板処理装置を提供することができる。
特に、リン酸溶液中のリン酸の濃度をラマンスペクトル法を利用して計測することにより、リン酸の濃度を計測するために生成されたリン酸溶液の温度を下げるという処理を行わずに済むことから、リン酸溶液中に溶解しているシリカの析出を抑えることができる。このようにシリカの析出を抑えることができれば、リン酸溶液が流れる配管が閉塞することやパーティクルが増加することを防止することができる。
また、リン酸溶液の温度を下げる処理が不要であることから、当該処理を行うための構成を別途採用しなくて済むため、基板処理装置に新たな構成を追加する必要性がない。従って装置構成が簡便となり新たな構成を採用することに伴うコストアップも避けることができる。
また、リン酸の濃度を計測する対象となるリン酸溶液の温度を下げる処理が不要であるということは、温度変位によるリン酸溶液内の相互溶解の変化を回避できリン酸溶液の組成を担保することができることにつながる。このことは、エッチング処理液のリン酸溶液の処理能力の安定化に寄与し、エッチング処理の精度向上、歩留まりの向上を図ることができる。
さらに、リン酸溶液中のリン酸の濃度を計測するリン酸濃度計測部として、ラマンスペクトル法による濃度計測に必要な構成のみならず、計測する対象となるリン酸溶液が流れる箇所の配管を含め暗箱で覆う構成を採用している。暗箱で配管を覆うことで、リン酸の濃度を計測する際に使用するレーザ光以外の光が外乱としてラマン分光器に入力されることを防止することができる。これによってより高精度にリン酸の濃度を計測することが可能となる。
また、暗箱内に鏡をレーザ光が出射する位置であって光軸との角度が鋭角となるように設けることによって、出射したレーザ光が外乱となってラマン分光器に入力されることを防止することができる。これによってより高精度にリン酸の濃度を計測することが可能となる。さらに鏡の取り付け角度を適宜変更することができるように構成することで、外乱となる光の種類に応じて適切に当該光を逃がすことができる。このため、不要な光がラマン分光器に入らないので、精度良くリン酸の濃度を計測することができる。
そして、ラマンスペクトル法を用いたリン酸の濃度の計測をより高精度に行うべく、ポ
リプロピレンを用いてリン酸溶液が流れる配管を形成する。配管の材料としてポリプロピレンを採用することで、これまでのようなテフロン(登録商標)系の材料と異なり、リン酸溶液のラマンスペクトルをより良く把握することが可能となる。また、ポリプロピレンは高温への耐性があることから、リン酸の濃度を計測するに当たってリン酸溶液の温度を下げる処理が不要となるため、上述したような不具合の発生を抑えることができる。
なお、これまではラマンスペクトル法を利用して、リン酸溶液にレーザ光を照射し、その散乱光をラマン分光器にて分光し、計測制御部にて解析を行うことで、リン酸の濃度を算出する例を挙げて説明した。具体的には、振動数490[cm−1]と910[cm−1]との相対散乱強度とリン酸の濃度との関係を用いてラマンスペクトルからリン酸の濃度を算出した。
これに対して、同じくラマンスペクトル法を採用しつつも別の方法でリン酸溶液中のリン酸の濃度を計測する方法が考えられる。具体的には、振動数490[cm−1]と910[cm−1]との相対散乱強度における、ラマンスペクトルのピークとリン酸の濃度との関係を基にリン酸の濃度を算出する方法である。
図16は、実施形態に係るリン酸の濃度とラマンスペクトルとの関係を示すグラフである。図16に示すグラフにおいて、横軸はリン酸の濃度を示している。これはこれまで説明した相対散乱強度との関係で示した、例えば、図7に示すグラフと同じである。一方、縦軸については図7と図16とでは異なり、図16においては、振動数490[cm−1]と910[cm−1]との相対散乱強度における、ラマンスペクトルのピークを示している。
発明者が行ったこれまでの実験によれば、相対散乱強度を示すラマンスペクトルのピーク値は、リン酸の濃度が低ければそれだけ振動数は低くなり、反対にリン酸の濃度が高ければそれだけ振動数は高くなる傾向が把握できている。そこで、縦軸にラマンスペクトルのピーク値を示してその時のリン酸の濃度をプロットすると、図16に示すグラフのように表わすことができる。
すなわち、図16に示すように、相対散乱強度を示すラマンスペクトルのピーク値とリン酸の濃度とは破線で示す1次の直線で近似でき、決定係数Rも0.983との値が示されていることから、両者には良好な相関関係が存在するものと考えられる。すなわち、振動数490[cm−1]と910[cm−1]との相対散乱強度を示すラマンスペクトルのピーク値が把握できれば、リン酸の濃度も算出することができることになる。
従って、さらに振動数490[cm−1]と910[cm−1]との相対散乱強度を示すラマンスペクトルのピーク値とリン酸の濃度との関係を利用してリン酸溶液中のリン酸の濃度を算出すれば、エッチング処理液として使用されるリン酸溶液内のリン酸濃度をラマンスペクトル法を使用し、精度良く計測し適切なリン酸溶液を提供することによって、エッチング処理の精度向上、歩留まりの向上を図るとともに、エッチング処理液の無駄を排除することができる基板処理装置を提供することができる。
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 リン酸溶液浴槽
2 リン酸濃度計測部
3 処置部
4 制御部
11 リン酸供給部
12 純水供給部
13 リン酸溶液加熱部
14 送液部
15 リン酸溶液回収部
21 レーザ照射部
22 プローブ
23 ラマン分光器
24 計測制御部
S 基板処理装置

Claims (15)

  1. リン酸供給部と、純水供給部とからそれぞれリン酸、純水の供給を受けて、エッチング処理液として使用されるリン酸溶液を生成するリン酸溶液浴槽と、
    生成された前記リン酸溶液の温度を維持したまま前記リン酸溶液に含まれる前記リン酸の濃度をラマンスペクトル法を利用して計測するリン酸濃度計測部と、
    前記リン酸溶液を使用してエッチング処理を行う処置部と、
    前記リン酸溶液浴槽と、前記リン酸濃度計測部と、前記処置部の働きを制御するとともに、これら各部をつなぐ配管内の前記リン酸溶液を移動させる送液部の駆動や前記配管に設けられているバルブの開閉を制御する制御部と、
    を備えることを特徴とする基板処理装置。
  2. 前記リン酸濃度計測部は、
    前記循環路を流れる前記リン酸溶液に対してレーザ光を照射するレーザ照射部と、
    前記レーザ照射部が前記リン酸溶液に対して照射した前記レーザ光の散乱光を受光するプローブと、
    前記プローブで受光した前記散乱光を分光するラマン分光器と、
    前記ラマン分光器で把握した前記リン酸溶液のスペクトルを解析し、前記リン酸溶液中の前記リン酸の濃度を計測するとともに、前記リン酸濃度計測部を構成する各部を制御する計測制御部と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
  3. 前記リン酸濃度計測部は、
    前記循環路を流れる前記リン酸溶液に対してレーザ光を照射する第1のレーザ照射部と、
    前記第1のレーザ照射部が前記リン酸溶液に対して照射した前記レーザ光の散乱光を受光する第1のプローブと、
    前記第1のプローブで受光した前記散乱光を分光するラマン分光器と、
    前記第1のプローブと前記ラマン分光器との間に設けられ、前記第1のプローブで受光した前記散乱光を前記ラマン分光器へ入射させるか否かを切り替える第1のシャッターと、
    前記処置部に対して前記リン酸溶液を送液する配管を流れる前記リン酸溶液に対してレーザ光を照射する第2のレーザ照射部と、
    前記第2のレーザ照射部が前記リン酸溶液に対して照射した前記レーザ光の散乱光を受光する第2のプローブと、
    前記第2のプローブと前記ラマン分光器との間に設けられ、前記第2のプローブで受光した前記散乱光を前記ラマン分光器へ入射させるか否かを切り替える第2のシャッターと、
    前記ラマン分光器で把握した前記リン酸溶液のスペクトルを解析し、前記リン酸溶液中の前記リン酸の濃度を計測するとともに、前記リン酸濃度計測部を構成する各部を制御する計測制御部と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
  4. 前記リン酸溶液が流れる配管において、前記リン酸濃度計測部が前記レーザ光を照射する領域を構成する第1の配管は、その他の領域を構成する第2の配管と異なる材質を使用していることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の基板処理装置。
  5. 前記第1の配管を構成する材質は、ポリプロピレンであることを特徴とする請求項4に記載の基板処理装置。
  6. 前記第1の配管は、その外径が前記第2の配管の内径と接するように接続されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の基板処理装置。
  7. 前記第1の配管は、その内径が前記第2の配管の外径と接するように接続されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の基板処理装置。
  8. 前記レーザ照射部から照射される前記レーザ光の光路上であって前記レーザ光が照射される領域を含む前記リン酸溶液が流れる配管を覆う暗箱を備えていることを特徴とする請求項2ないし請求項7のいずれかに記載の基板処理装置。
  9. 前記暗箱内であって、前記第1の配管に入射した前記レーザ光が出射し、前記レーザ光が照射される領域に鏡が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の基板処理装置。
  10. 前記鏡は、前記配管に対してその取り付け角度が鋭角となるように取り付けられていることを特徴とする請求項9に記載の基板処理装置。
  11. 前記第1の配管が、その外径と前記第2の配管の内径とが接するように接続されている場合に、前記鏡の取り付け部は、前記第2の配管の端部に接するとともに、前記レーザ光が照射される位置に取り付けられることを特徴とするとする請求項9または請求項10に記載の基板処理装置。
  12. 前記鏡は、その取り付け角度を変更可能とされていることを特徴とする請求項11に記載の基板処理装置。
  13. 前記第1の配管が、その内径と前記第2の配管の外径とが接するように接続されている場合に、前記鏡の取り付け部は、前記第1の配管の端部に接するとともに、前記レーザ光が照射される位置に取り付けられることを特徴とするとする請求項9または請求項10に記載の基板処理装置。
  14. 前記第1の配管が、その内径と前記第2の配管の外径とが接するように接続されている場合に、前記鏡の取り付け部は、前記第1の配管であって、前記第2の配管の端部に位置する場所で接するとともに、前記レーザ光が照射される位置に取り付けられることを特徴とするとする請求項9または請求項10に記載の基板処理装置。
  15. 前記鏡は、その取り付け角度を変更可能とされていることを特徴とする請求項13または請求項14に記載の基板処理装置。

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