JP2015195143A - カーボンナノチューブ分散液および非水電解質二次電池 - Google Patents

カーボンナノチューブ分散液および非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、非水電解質二次電池電極活物質の導電助剤として添加した場合、サイクル特性を飛躍的に向上させる効果を持ったカーボンナノチューブ分散液に関する。
【解決手段】 BET比表面積値が70〜250m/gのカーボンナノチューブ粉末を2〜15重量%含有した分散液であって、温度25℃、ずり速度 383s−1における粘度値が2〜110mPa・sであることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液。
【選択図】 なし

Description

本発明は、非水電解質二次電池電極活物質の導電助剤として添加した場合、サイクル特性を飛躍的に向上させる効果を持ったカーボンナノチューブ分散液を提供する。
近年、AV機器やパソコン等の電子機器のポータブル化、コードレス化が急速に進んでおり、これらの駆動用電源として小型、軽量で高エネルギー密度を有する二次電池への要求が高くなっている。このような状況下において、充放電電圧が高く、充放電容量も大きいという長所を有するリチウムイオン二次電池が注目されている。
このリチウムイオン二次電池において、近年では、高速・高容量化、高寿命化が加速している。これら特性の向上目的で、正極ならびに負極活物質に導電助剤を添加して電極を作製し、リチウムイオン二次電池を設計することが既に行われている。例えば、正極活物質の導電助剤としては、一般にはアセチレンブラック等が用いられることが多い。しかしながら、アセチレンブラック添加等では、サイクル特性を飛躍的に向上させるほどの効果は得られていないのが現状である。
そこで、高い電気伝導性を示す炭素材料である炭素繊維やカーボンナノチューブが注目されている。特に径の細いカーボンナノチューブを導電助剤とすることにより、活物質間の間隙に多数の導電経路が形成され、充放電の際に起こる活物質の体積変化による容量劣化を防止する効果が期待される。しかしながら、炭素繊維やカーボンナノチューブの粉末は、径が細いほど電極合剤中での分散が困難となる。したがって、導電助剤として用いることができる炭素繊維やカーボンナノチューブの粉末は比較的径が太いものに限定されていた。
一方、カーボンナノチューブは、従来から、例えば透明導電材料として期待され、応用されてきた。例えば、透明導電性膜の材料として、特許文献1〜5のようなカーボンナノチューブ分散液が知られている。
特開2010−254546号公報 特開2012−56789号公報 特開2012−214320号公報 特開2009−242126号公報 特開2010−195671号公報
即ち、特許文献1、2は平均外径4nm以下、動的光散乱法による平均粒子径100〜4000nm、カーボンナノチューブの平均長さ0.5〜5μmの水分散液の記載があるが、濃度が1%程度の低濃度であること、分散剤の添加量がカーボンナノチューブ100重量部に対し、50〜1000重量部と非常に多量であるため、非水電解質二次電池電極活物質の導電助剤としては好ましくない。
また、特許文献3〜5には、カーボンナノチューブ水分散液の長期分安定性を実現するため、様々な分散剤あるいは添加剤の記載がある。これら分散剤・添加剤を使用した水分散液は透明導電膜作製を目的としており、カーボンナノチューブの濃度が高々1%であって、非水電解質二次電池電極活物質の導電助剤として使用するには希薄すぎるため好ましくない。
そこで、本発明は、非水電解質二次電池電極活物質の導電助剤として添加することができ、サイクル特性を飛躍的に向上させる効果を持ったカーボンナノチューブ分散液を得ることを技術的課題とする。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、BET比表面積値が70〜250m/gのカーボンナノチューブ粉末を2〜15重量%含有した分散液であって、温度25℃、ずり速度 383s−1における粘度値が2〜110mPa・sであることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液である(本発明1)。
また、本発明は、動的光散乱法によって測定した分散粒子径d50が100〜600nmである本発明1記載のカーボンナノチューブ分散液である(本発明2)。
また、本発明は、分散液中のカーボンナノチューブの長さを透過型電子顕微鏡画像から算出したカーボンナノチューブ長さd50が、0.5〜2.0μmである本発明1または本発明2記載のカーボンナノチューブ分散液である(本発明3)。
また、本発明は、含有するカーボンナノチューブ粉末のC純度が90%以上である本発明1〜本発明3のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散液である(本発明4)。
また、本発明は、分散媒が水であることを特徴とする本発明1〜本発明4のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散液である(本発明5)。
また、本発明は、分散媒が非水系分散媒であることを特徴とする本発明1〜本発明4のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散液である(本発明6)。
また、本発明は、本発明1〜本発明6のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散液を用いた電極合剤を使用したことを特徴とする非水電解質二次電池である(本発明7)。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液を非水電解質二次電池電極活物質の導電助剤として添加した場合、サイクル特性を飛躍的に向上させることができる。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
先ず、本発明に係るカーボンナノチューブ分散液について述べる。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液は、BET比表面積値が70〜250m/gのカーボンナノチューブ粉末を2〜15重量%含有した分散液であって、温度25℃、ずり速度 383s−1における粘度値が2〜80mPa・sであることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液である。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液中に含有されるカーボンナノチューブ粉末のBET比表面積値が70m/g未満の場合には、カーボンナノチューブのチューブ径が太いため、これを導電助剤として活物質に添加して電極を作製した場合、活物質間の間隙中に存在するチューブ本数が少ないため、十分な導電経路が確保されない。このため、電極活物質に対する導電性付与効果が十分に得られないので好ましくない。一方、カーボンナノチューブのBET比表面積が250m/gを超える場合には、分散媒中にカーボンナノチューブを分散させることが困難になるため好ましくない。BET比表面積値のより好ましい範囲は、80〜245m/gである。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液中に含有されるカーボンナノチューブ粉末の含有量が2重量%未満の場合、カーボンナノチューブ含有濃度が低すぎるため、電極活物質に対して必要十分な量のカーボンナノチューブが添加された電極合剤を調製することが困難となるため、好ましくない。一方、15重量%を越える場合、分散液中のカーボンナノチューブの分散が困難となるため、好ましくない。カーボンナノチューブ粉末含有量のより好ましい範囲は、2〜14重量%である。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液において、粘度値が2mPa・sを下回る分散液を調製することは困難である。一方、110mPa・sを越える場合、電極合剤の調製時にスラリーの粘度が高くなりすぎるため、電極作製が困難となり好ましくない。分散液粘度のより好ましい範囲は、2〜105mPa・sである。
本発明におけるカーボンナノチューブ分散液の動的光散乱法によって測定した分散粒子径d50は、100〜600nmであることが好ましい。分散粒子径d50が100nm未満の場合には、分散処理過程でカーボンナノチューブがダメージを受け、その繊維長が短くなりすぎていることに対応するため、好ましくない。600nmを越える場合には、分散液中のカーボンナノチューブが大きな凝集体を形成し、分散不良となっており好ましくない。分散粒子径d50のより好ましい範囲は、100〜580nmである。
本発明におけるカーボンナノチューブ分散液中のカーボンナノチューブ長さを透過型電子顕微鏡画像から算出したカーボンナノチューブ長さd50は、0.5〜2.0μmであることが好ましい。カーボンナノチューブ長さd50が0.5μm未満の場合には、分散処理過程でカーボンナノチューブがダメージを受け、その繊維長が短くなりすぎていることに対応するため、好ましくない。2.0μmを越える場合には、分散液中のカーボンナノチューブが大きな凝集体を形成し、分散不良となっており好ましくない。カーボンナノチューブ長さd50のより好ましい範囲は、0.55〜2.0μmである。
本発明におけるカーボンナノチューブ分散液中に含有されるカーボンナノチューブ粉末のC純度は、90%以上であることが好ましい。C純度が90%未満の場合、電極活物質に対する導電性付与効果が十分に得られないので好ましくない。C純度のより好ましい範囲は、91%以上である。
次に、本発明におけるカーボンナノチューブ分散液の製造法について述べる。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液は、カーボンナノチューブ粉末、分散剤、および分散媒を所定量添加混合し、適切な分散装置を用いて混合・分散することによって得ることができる。
本発明において用いるカーボンナノチューブ粉末は、単層のカーボンナノチューブ、多層のカーボンナノチューブのいずれでもよく、分散液の用途に応じて選択することができる。また、カーボンナノチューブ粉末の製造方法も特に限定されるものではなく、熱CVD・プラズマCVDなどの熱分解法、アーク放電法、レーザー蒸発法等いずれを用いてもよい。
本発明において用いる分散剤は、分散媒の種類に応じて適宜選択する。水系分散媒の場合は、多糖類高分子を用いることが好ましい。ここでいう多糖類とは、単糖分子が2個以上縮合した糖のことであり、その官能基を変換または修飾した誘導体も含まれる。具体的には、デンプン、グリコーゲン、アガロース、ペクチン、セルロースなどがあげられる。なかでも、修飾された多糖類の誘導体であるカルボキシルメチルセルロース類が好ましい。有機非水系分散媒の場合は、分散媒への溶解性が高く、カーボンナノチューブへの吸着能を有するものが好ましい。例えば、アクリレート類、アクリル酸、メタクリル酸などのアクリルモノマーの共重合体、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアセタール類、ポリエステル、セルロース誘導体等のポリマーまたはこれらの共重合体などが使用できる。なかでも、ポリビニルアセタール類が好ましく、その一例としてポリビニルブチラールが挙げられる。本発明において用いる分散剤の添加量は、カーボンナノチューブ100重量部に対し、0.5〜30重量部が好ましい。より好ましくは、カーボンナノチューブ100重量部に対し、0.5〜25重量部である。
本発明において用いる分散媒は、製造する分散液の用途に応じて適宜選択する。カーボンナノチューブ分散液を非水電解質二次電池負極活物質の導電助剤として添加する場合は、分散媒として水を用いることが多い。一方、カーボンナノチューブ分散液を非水電解質二次電池正極活物質の導電助剤として添加する場合は、通常、非水系分散媒が用いられる。非水系分散媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、2−プロパノールなどが好ましく用いられる。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散液を得るために使用可能な分散装置は、カーボンナノチューブ粉末、分散剤、および分散媒を含有する混合物を十分に混合・分散できる装置であれば特に限定されない。これのような装置としては、ナノマイザー、アルティマイザー、超音波分散機などの分散メディアを使用しない分散装置、ボールミル、ビーズミル、スパイクミル、ペイントシェイカー、高速撹拌装置等があげられる。
上記にあげた分散装置を使用し、発振周波数、メディア粒子径、処理時間、処理流量、装置回転数、装置内圧力、処理温度などの分散条件を適宜選択することによって、本発明に係るカーボンナノチューブ分散液を得ることができる。
次に、本発明に係るカーボンナノチューブ分散液を用いた非水電解質二次電池について述べる。
非水電解質二次電池は、負極、正極、セパレータおよび電解質から構成される。
二次電池用負極は、活物質として天然黒鉛等のグラファイト系材料と結着剤と分散媒を混合して塗料化した電極合剤を調製し、集電箔上に塗布・成形して得られる。なお、負極活物質の表面抵抗を低減する目的で、導電助剤を添加する場合がある。
二次電池用正極は、活物質として、リチウム含有酸化マンガン、マンガン酸リチウム、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、リン酸鉄リチウム、五酸化バナジウム及びこれらの化合物の一部を他の元素で置換した化合物の一種または二種以上と結着剤と分散媒を混合して塗料化した電極合剤を調製し、集電箔上に塗布・成形して得られる。なお、正極活物質の表面抵抗を低減する目的で、導電助剤を添加する場合がある。
本発明おける非水電解質二次電池は、本発明に係るカーボンナノチューブ分散液を用いた電極合剤を使用する。本発明に係るカーボンナノチューブ分散液を電極合剤に添加することで、カーボンナノチューブが負極活物質または正極活物質の導電助剤として作用する。
セパレータには、通常ポリプロピレン製マイクロポーラスフィルム等が用いられる。電解液には、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ジエチル、1,2−ジメトキシエタンなどの溶媒にLiPF、LiClO、LiCFSO、LiN(CFSO、LiBFなどのリチウム塩を溶解させたものが用いられる。
本発明における非水電解質二次電池のサイクル特性は、84%以上が好ましい。より好ましくは、85%以上である。
<作用>
本発明において最も重要な点は、本発明に係るカーボンナノチューブ分散液を非水電解質二次電池電極活物質の導電助剤として添加した場合、サイクル特性を飛躍的に向上させることができるという点である。
本発明においてサイクル特性が飛躍的に向上するのは、活物質表面へのカーボンナノチューブ被覆による表面抵抗の低減、および充放電にともなう活物質の体積変化による容量劣化防止(活物質間の導電経路の維持確保)の効果によるものと考えられる。
本発明の代表的な実施の形態は、次の通りである。
本発明に用いるカーボンナノチューブ粉末は、内部に金属等の原子を有するものでも良く、カップ状のカーボンが積層したカップスタック型、バンブー型いずれでも良い。また、単層、二層、多層いずれのカーボンナノチューブでも良い。また、カーボンナノチューブ粉末の製造方法も特に限定されるものではなく、熱CVD・プラズマCVDなどの熱分解法、アーク放電法、レーザー蒸発法等いずれを用いてもよい。
カーボンナノチューブ粉末の比表面積は、「モノソーブMS−11」(カンタクロム株式会社)を用いて、BET法により測定した値で示した。
カーボンナノチューブ粉末のC純度は、所定量のカーボンナノチューブ粉末を空気中、1050℃で3時間焼成し、残留した灰分重量から算出した。
カーボンナノチューブ分散液の粘度は、E型粘度計を用い、温度25℃、ずり速度381S−1の条件下で測定した。
カーボンナノチューブ分散液中に含まれるカーボンナノチューブ粉末の含有量は、所定量のカーボンナノチューブ分散液を120℃で乾燥し、固形分重量から算出した。
カーボンナノチューブ分散液中に分散したカーボンナノチューブの分散粒子径d50(nm)は、動的光散乱式粒度分布測定装置(大塚電子株式会社製 FPAR1000)を用いて測定した。
カーボンナノチューブ分散液中に分散したカーボンナノチューブの長さは、下記の通り、透過型電子顕微鏡を用いて測定する。まず、分散液をカーボン・マイクロ・グリッド上に捕集・乾燥し、透過型電子顕微鏡を用い、2000倍で観察・撮影し、12μm×10μmの視野内に存在すカーボンナノチューブの長さを繊維に沿って計測する。一視野当りのサンプリング数は、50〜100程度、最低10視野以上について、サンプリングを行い、標本点数500〜700を確保して統計精度をあげる。得られたカーボンナノチューブ長さのデータについて、統計計算処理を実施し、カーボンナノチューブ長さd50(μm)を算出する。
非水電解質二次電池の電池特性は、下記製造法によって単層のラミネートセルを作製して評価した。
<カーボンナノチューブ分散液を負極合剤に添加する場合>
カーボンナノチューブ分散液を負極活物質の導電助剤として負極合剤に添加する場合の単層ラミネートセルは、以下のように作製した。
(正極の作製)
ニッケル・コバルト・マンガン三元系リチウム複合酸化物(NCM111:平均粒子径10μm)とアセチレンブラックと結着剤のポリフッ化ビニリデンとを重量比で93:4:3となるように精秤し、乳鉢で十分に混合してからN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーを調製した。次に、このスラリーを集電体のアルミニウム箔に塗布し、110℃で真空乾燥してから所定の大きさに打ち抜き、一軸プレス機を用いてプレスし、正極板とした。
(負極の作製)
活物質である表面改質天然黒鉛とカーボンナノチューブ分散液とカルボキシメチルセルロース(CMC)と結着剤のスチレンブタジエンゴム(SBR)とを活物質:カーボンナノチューブ:CMC:SBR=96:2:1:1.5(重量部数)となるように混合し、水に分散させて負極合剤スラリーを調製した。次に、このスラリーを集電体の銅箔に塗布し、80℃で乾燥してから所定の大きさに打ち抜き、一軸プレス機を用いてプレスし、負極板とした。
(電解液の調製)
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との体積比30:70の混合溶液に電解質として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットル混合して電解液とした。
(単層ラミネートセルの組み立て)
下記のようにして単層ラミネートセルを作製した。なお、以下の操作は下露点−80℃以下のアルゴン雰囲気中で実施した。セパレータを介して正極・負極を対向させ、積層体を作製する。該積層体をアルミラミネートで包み、三辺をヒートシールした。その後、これに電解液を注入し、真空シールして試験用ラミネートセルとした。
<カーボンナノチューブ分散液を正極合剤に添加する場合>
カーボンナノチューブ分散液を正極活物質の導電助剤として正極合剤に添加する場合の単層ラミネートセルは、以下のように作製した。
(正極の作製)
活物質であるニッケル・コバルト・マンガン三元系リチウム複合酸化物(NCM111:平均粒子径10μm)とカーボンナノチューブ分散液とアセチレンブラック(AB)と結着剤のポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを活物質:カーボンナノチューブ:AB:PVDF=93:2:1:4(重量部数)となるように混合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーを調製した。次に、このスラリーを集電体のアルミニウム箔に塗布し、110℃で真空乾燥してから所定の大きさに打ち抜き、一軸プレス機を用いてプレスし、正極板とした。
(負極の作製)
活物質である表面改質天然黒鉛とアセチレンブラック(AB)とカルボキシメチルセルロース(CMC)と結着剤のスチレンブタジエンゴム(SBR)とを活物質:AB:CMC:SBR=96:2:1:1.5(重量部数)の比率で混合し、水に分散させて負極合剤スラリーを調製した。次に、このスラリーを集電体の銅箔に塗布し、80℃で乾燥してから所定の大きさに打ち抜き、一軸プレス機を用いてプレスし、負極板とした。
(電解液の調製)
エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)との体積比10:20の混合溶液に電解質として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットル混合して電解液とした。
(単層ラミネートセルの組み立て)
下記のようにして単層ラミネートセルを作製した。なお、以下の操作は下露点−80℃以下のアルゴン雰囲気中で実施した。セパレータを介して正極・負極を対向させ、積層体を作製する。該積層体をアルミラミネートで包み、三辺をヒートシールした。その後、これに電解液を注入し、真空シールして試験用ラミネートセルとした。
<電池評価>
前記単層ラミネートセルを用いて、二次電池の充放電試験を行った。測定条件としては、正極に対する電流密度を0.2mA/cmとし、カットオフ電圧が1.1Vから3.0Vの間で充放電を繰り返した。初期放電容量は、0.1C率での測定値を使用した。サイクル特性は、1C率での充放電サイクルを60℃の恒温条件下で繰り返し、300サイクル目の放電容量値に対する初回放電容量値の割合(百分率)を放電容量維持率として表した。
実施例1
BET比表面積164m/g、C純度94.5%のカーボンナノチューブ粉末4.5g、カルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルファインケム株式会社製)の3%水溶液30.0g、イオン交換水55.5gを100mlビーカーに測り取り、スパチュラ等を用いてダマがなくなるまで十分に混合・撹拌する。得られた混合スラリーを超音波分散機(米国ブランソン社製、超音波ホモジナイザーMODEL−450D;3/4“ホーン)にセットし、出力80Wで20分間分散処理する。なお、分散処理中に摩擦熱によりスラリー温度が上昇するので、50℃を超えないように十分冷却しながら分散処理する。カーボンナノチューブ分散液の調整条件を表1に示す。
得られたカーボンナノチューブ分散液の粘度は41.3mPa・s、カーボンナノチューブ含有量は5.14重量%、分散粒子径d50は416nm、カーボンナノチューブ長さd50は1.21μmであった。カーボンナノチューブ分散液の特性を表2に示す。
前記カーボンナノチューブ分散液を負極活物質の導電助剤として電極合剤に添加した非水電解質二次電池のサイクル特性は87.7%であった。
実施例2〜10
表1のカーボンナノチューブ分散液の調製条件に示すように、カーボンナノチューブ粉末の種類、含有量、分散媒種類、分散剤種類分散剤添加量、分散処理条件を種々変化させた以外は前記実施例1と同様にして、様々なカーボンナノチューブ分散液を得た。
分散媒が溶剤である実施例7,8については、カーボンナノチューブ分散液を正極活物質の導電助剤として添加した非水電解質二次電池のサイクル特性を測定した。
比較例1〜3
表1のカーボンナノチューブ分散液の調製条件に示すように、カーボンナノチューブ粉末、分散剤添加量、分散処理条件を種々変化させた以外は、前記実施例1と同様にして、様々なカーボンナノチューブ分散液を得た。
なお、実施例1で使用したものと同一のカーボンナノチューブ粉末を分散液とすることなく、粉末のまま用い、前記<カーボンナノチューブ分散液を負極合剤に添加する場合>にしたがって、負極の作製を試みた。しかしながら、得られた負極合剤スラリー(分散媒は水)の分散状態が劣悪なため、集電体銅箔への塗布が不可能となり、負極板が作製できなかった。
前記と同様に、実施例1で使用したものと同一のカーボンナノチューブ粉末を分散液とすることなく、粉末のまま用い、前記<カーボンナノチューブ分散液を正極合剤に添加する場合>にしたがって、正極の作製を試みた。この場合も、正極合剤スラリー(分散媒はN−メチル−2−ピロリドン)の分散状態が劣悪なため、集電体アルミニウム箔への塗布が不可能となり、正極板が作製できなかった。
参考例1
負極活物質にカーボンナノチューブ分散液を添加しなかった他は、<カーボンナノチューブ分散液を負極合剤に添加する場合>と同様の製造法によって作製した非水電解質二次電池のサイクル特性は79.3%であった。
参考例2
正極活物質にカーボンナノチューブ分散液を添加しなかった他は、<カーボンナノチューブ分散液を正極合剤として添加する場合>と同様の製造法によって作製した非水電解質二次電池のサイクル特性は78.5%であった。
表1にカーボンナノチューブ分散液の調整条件を、表2にカーボンナノチューブ分散液の特性を示す。
Figure 2015195143
Figure 2015195143
実施例に示すとおり、本発明に係るカーボンナノチューブ分散液は、サイクル特性を飛躍的に向上させる効果を持つので、非水電解質二次電池用の正極・負極いずれの活物質の導電助剤としても好適である。

Claims (7)

  1. BET比表面積値が70〜250m/gのカーボンナノチューブ粉末を2〜15重量%含有した分散液であって、温度25℃、ずり速度 383s−1における粘度値が2〜110mPa・sであることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液。
  2. 動的光散乱法によって測定した分散粒子径d50が100〜600nmである請求項1記載のカーボンナノチューブ分散液。
  3. 分散液中のカーボンナノチューブの長さを透過型電子顕微鏡画像から算出したカーボンナノチューブ長さd50が、0.5〜2.0μmである請求項1または請求項2記載のカーボンナノチューブ分散液。
  4. 含有するカーボンナノチューブ粉末のC純度が90%以上である請求項1〜請求項3のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散液。
  5. 分散媒が水であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散液。
  6. 分散媒が非水系分散媒であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散液。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散液を用いた電極合剤を使用したことを特徴とする非水電解質二次電池。
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