JP2015194007A - ショベル用電動旋回装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】安全性を確保しつつ、ノイズによる異常状態の誤検出を防止可能な電動旋回装置を提供する。【解決手段】電動旋回装置500は、走行機構および走行機構に旋回自在に搭載された上部旋回体を備える産業車両に搭載され、走行機構に対して上部旋回体を旋回駆動させる。レゾルバ22は、旋回用電動機21の回転を検出する。RD(レゾルバ・デジタル)コンバータ38は、レゾルバ22からのレゾルバ信号にもとづいて旋回用電動機21の回転数を検出するとともに、異常の有無を検出可能に構成される。駆動信号生成部35は、RDコンバータ38により検出された旋回用電動機21の回転数にもとづいて駆動信号を生成する。異常判定部34は、旋回用電動機21の回転数ωが大きいほど短くなるようにしきい値時間を設定し、RDコンバータ38が異常を検出する状態が、しきい値時間より長く持続すると、異常状態と判定する。【選択図】図3
Description
本発明は、ショベルに搭載される電動旋回装置に関する。
近年のパワーショベルやクレーンをはじめとする建設機械において、上部旋回体の動力源として、油圧モータと交流電動機のハイブリッド型が利用される。ハイブリッド型の旋回動力源は、上部旋回体の加速時において、交流電動機によって油圧モータをアシストし、減速時においては交流電動機によって回生運転を行い、発電エネルギーによってバッテリを充電する。特許文献1から3には関連技術が開示される。
電動旋回装置は、交流電動機と、交流電動機の回転数を検出するレゾルバと、交流電動機の目標トルク(あるいは回転数)ならびにレゾルバの出力にもとづいて、制御信号を生成するコントローラと、制御信号にもとづいて交流電動機を駆動するインバータと、を備える。
レゾルバは、励磁信号を与えると、交流電動機の回転数に応じた2つの信号(レゾルバ信号という)を出力する。レゾルバ信号は、RD(レゾルバ−デジタル)コンバータによって、回転数を示す信号に変換される。
RDコンバータは、2つのレゾルバ信号をA/D変換し、励磁信号の周波数成分を抽出する。そして、励磁信号と同期して2つのレゾルバ信号をサンプリングする。RDコンバータは、サンプリングされた2つのデータにもとづいて、回転電動機の回転角を検出する。
RDコンバータにおいて、レゾルバ信号にノイズが混入すると、回転角、ひいては回転速度を誤検出することになる。たとえば旋回用電動機21が目標速度で回転しているにもかかわらず、検出された回転数がそれより低い値を示すと、旋回用電動機21の回転数を高める方向にフィードバックがかかり制御不能となる。これは安全性の観点から好ましくない。
かかる事情から、RDコンバータは、異常検出機能を備えるのが一般的である。そして、異常状態が検出されると、旋回用電動機21の回転を緊急停止するなど、何らかの保護処理を講じていた。
本発明者は、RDコンバータの異常検出について検討した結果、以下の課題を認識するに至った。
従来では、RDコンバータにより異常状態が所定時間にわたり連続して検出されると、緊急停止を行っていた。ここで高速旋回中に制御不能となると危険であることから、緊急停止の必要性は、旋回用電動機21の回転数が高いほど、つまり高速に上部旋回体を旋回させているときほど高いといえる。したがって、所定時間は、高速旋回時において十分な安全性が高く確保できるように、短く設定する必要があった。
ところが高速旋回時を基準として所定時間を設定すると、低速旋回時においてごく短時間のノイズが発生した場合にも、緊急停止するという問題がある。低速旋回時に緊急停止が頻発すると、作業者に不快感を与えることとなり好ましくない。なお、この課題を当業者の一般的な認識としてとらえてはならず、本発明者が独自に認識したものである。
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、安全性を確保しつつ、ノイズによる異常状態の誤検出を防止可能な電動旋回装置の提供にある。
本発明のある態様は、走行機構および走行機構に旋回自在に搭載された上部旋回体を備える産業車両に搭載され、走行機構に対して上部旋回体を旋回駆動させる電動旋回装置に関する。電動旋回装置は、旋回用電動機と、旋回用電動機の回転に応じたレゾルバ信号を発生するレゾルバと、レゾルバ信号にもとづいて旋回用電動機の回転数を検出するとともに、異常の有無を検出可能に構成されたRD(レゾルバ・デジタル)コンバータと、RDコンバータにより検出された旋回用電動機の回転数にもとづいて駆動信号を生成する駆動信号生成部と、駆動信号にもとづいて旋回用電動機を駆動するインバータと、旋回用電動機の回転数が大きいほど短くなるようにしきい値時間を設定し、RDコンバータが異常を検出する状態が、しきい値時間より長く持続すると、異常状態と判定する異常判定部と、を備える。
この態様によると、旋回用電動機の回転数(回転速度)に応じてしきい値時間を設定することにより、高速旋回時には異常判定の基準を厳しく設定し、低速旋回時には基準を緩めることで、安全性を確保しつつ、ノイズによる異常状態の誤検出を防止できる。
しきい値時間は、旋回用電動機の回転数ωに実質的に反比例してもよい。
しきい値時間には上限値が設定されてもよい。
これにより、回転数が低いときに、しきい値時間が長くなり過ぎるのを防止でき、低速旋回時の安全性を確保できる。
これにより、回転数が低いときに、しきい値時間が長くなり過ぎるのを防止でき、低速旋回時の安全性を確保できる。
RDコンバータは、クロック信号と同期して動作するものであり、制御周期ΔTごとに、異常の有無を示す異常検出信号を更新するよう構成され、異常判定部は、しきい値時間τに応じたカウントしきい値NTHを、NTH=τ/ΔTに設定し、異常検出信号が連続してアサートされるサイクル数Nをカウントし、カウント値Nがカウントしきい値NTHを超えると異常と判定してもよい。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、安全性を確保しつつ、ノイズによる異常状態の誤検出を防止できる。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
図1は、実施の形態に係る建設機械の一例であるショベル1の外観を示す斜視図である。ショベル1は、主として走行機構2と、走行機構2の上部に旋回機構3を介して回動自在に搭載された上部旋回体(以下、単に旋回体ともいう)4とを備えている。
旋回体4には、ブーム5と、ブーム5の先端にリンク接続されたアーム6と、アーム6の先端にリンク接続されたバケット10とが取り付けられている。バケット10は、土砂、鋼材などの吊荷を捕獲するための設備である。ブーム5、アーム6、及びバケット10は、それぞれブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によって油圧駆動される。また、旋回体4には、バケット10の位置や励磁動作および釈放動作を操作する操作者を収容するための運転室4aや、油圧を発生するためのエンジン11といった動力源が設けられている。エンジン11は、例えばディーゼルエンジンで構成される。
図2は、実施の形態に係るショベル1の電気系統や油圧系統などのブロック図である。なお、図2では、機械的に動力を伝達する系統を二重線で、油圧系統を太い実線で、操縦系統を破線で、電気系統を細い実線でそれぞれ示している。
ショベル1は電動発電機12および減速機13を備えており、エンジン11及び電動発電機12の回転軸は、共に減速機13の入力軸に接続されることにより互いに連結されている。エンジン11の負荷が大きいときには、電動発電機12が自身の駆動力によりエンジン11の駆動力を補助(アシスト)し、電動発電機12の駆動力が減速機13の出力軸を経てメインポンプ14に伝達される。一方、エンジン11の負荷が小さいときには、エンジン11の駆動力が減速機13を経て電動発電機12に伝達されることにより、電動発電機12が発電を行う。電動発電機12は、例えば、磁石がロータ内部に埋め込まれたIPM(Interior Permanent Magnetic)モータによって構成される。電動発電機12の駆動と発電との切りかえは、ショベル1における電気系統の駆動制御を行うコントローラ30により、エンジン11の負荷等に応じて行われる。
減速機13の出力軸にはメインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続されており、メインポンプ14には高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続されている。コントロールバルブ17は、ショベル1における油圧系の制御を行う装置である。コントロールバルブ17には、図1に示した走行機構2を駆動するための油圧モータ2A及び2Bの他、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9が高圧油圧ラインを介して接続されており、コントロールバルブ17は、これらに供給する油圧を運転者の操作入力に応じて制御する。
パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26(操作手段)が接続されている。操作装置26は、旋回用電動機21、走行機構2、ブーム5、アーム6、及びバケット10を操作するための操作装置であり、操作者によって操作される。操作装置26には、油圧ライン27を介してコントロールバルブ17が接続され、また、油圧ライン28を介して圧力センサ29が接続される。操作装置26は、パイロットライン25を通じて供給される油圧(1次側の油圧)を操作者の操作量に応じた油圧(2次側の油圧)に変換して出力する。操作装置26から出力される2次側の油圧は、油圧ライン27を通じてコントロールバルブ17に供給されるとともに、圧力センサ29によって検出される。
圧力センサ29は、操作装置26に対して旋回機構3を旋回させるための操作が入力されると、この操作量を油圧ライン28内の油圧の変化として検出する。圧力センサ29は、油圧ライン28内の油圧を表す電気信号を出力する。この電気信号は、コントローラ30に入力され、旋回用電動機21の駆動制御に用いられる。
コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)及び内部メモリを含む演算処理装置によって構成され、内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムをCPUが実行することにより実現される。コントローラ30は、各種センサ及び操作装置26等からの操作入力を受けて、インバータ18A、18B、18C及び蓄電手段101等の駆動制御を行う。
油圧モータ310は、ブーム5が下げられるときにブームシリンダ7から吐出される油によって回転されるように構成されており、ブーム5が重力に従って下げられるときのエネルギを回転力に変換するために設けられている。油圧モータ310は、コントロールバルブ17とブームシリンダ7の間の油圧管7Aに設けられている。ブーム回生用発電機300で発電された電力は、回生エネルギとしてインバータ18Bを経て蓄電手段101に供給される。
旋回用電動機21は、図1の旋回機構3に設けられ、上部旋回体4を回動させる。旋回用電動機21は交流電動機であり、旋回体4を旋回させる旋回機構3の動力源である。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続される。旋回用インバータ18Cは、蓄電手段101からの電力を受け、旋回用電動機21を駆動する。また旋回用電動機21の回生運転時には、旋回用電動機21からの電力を蓄電手段101に回収する。
旋回用電動機21が力行運転を行う際には、旋回用電動機21の回転駆動力の回転力が旋回減速機24にて増幅され、旋回体4が加減速制御され回転運動を行う。また、旋回体4の慣性回転により、旋回減速機24にて回転数が増加されて旋回用電動機21に伝達され、回生電力を発生させる。
レゾルバ22は、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転位置及び回転角度を検出するセンサであり、旋回用電動機21と機械的に連結することで回転軸21Aの回転角度及び回転方向を検出する。レゾルバ22が回転軸21Aの回転角度を検出することにより、旋回機構3の回転角度及び回転方向が導出される。メカニカルブレーキ23は、機械的な制動力を発生させる制動装置であり、コントローラ30からの指令によって、旋回用電動機21の回転軸21Aを機械的に停止させる。旋回減速機24は、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転速度を減速して旋回機構3に機械的に伝達する減速機である。
続いて電気系統について詳細に説明する。電気系統は主として、コントローラ30、電源装置100、インバータ18A〜18Cを備える。
(アシスト)
アシスト用のインバータ18Aの2次側(出力)端には、電動発電機12が接続される。インバータ18Aは、コントローラ30の一部であるアシスト用インバータコントローラ30Aからの指令にもとづき、電動発電機12の運転制御を行う。
アシスト用のインバータ18Aの2次側(出力)端には、電動発電機12が接続される。インバータ18Aは、コントローラ30の一部であるアシスト用インバータコントローラ30Aからの指令にもとづき、電動発電機12の運転制御を行う。
(ブーム回生)
インバータ18Bの2次側(出力)端には、ブーム回生用発電機300が接続されている。上述のようにブーム回生用発電機300は、ブーム5が重力の作用により下げられるときに、位置エネルギを電気エネルギに変換する電動作業要素である。インバータ18Bは、コントローラ30のブーム回生用のインバータコントローラ30Bによって制御され、ブーム回生用発電機300が発生する電気エネルギを直流電力に変換し、電源装置100に回収する。
インバータ18Bの2次側(出力)端には、ブーム回生用発電機300が接続されている。上述のようにブーム回生用発電機300は、ブーム5が重力の作用により下げられるときに、位置エネルギを電気エネルギに変換する電動作業要素である。インバータ18Bは、コントローラ30のブーム回生用のインバータコントローラ30Bによって制御され、ブーム回生用発電機300が発生する電気エネルギを直流電力に変換し、電源装置100に回収する。
(旋回)
旋回用電動機21、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、旋回減速機24、旋回用インバータ18Cおよびコントローラ30の一部である旋回用のインバータコントローラ30Cは、電動旋回装置500を構成する。
旋回用電動機21は、PWM(Pulse Width Modulation)制御指令により旋回用インバータ18Cによって交流駆動される。旋回用電動機21としては、例えば、磁石埋込型のIPMモータが好適である。
旋回用電動機21、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、旋回減速機24、旋回用インバータ18Cおよびコントローラ30の一部である旋回用のインバータコントローラ30Cは、電動旋回装置500を構成する。
旋回用電動機21は、PWM(Pulse Width Modulation)制御指令により旋回用インバータ18Cによって交流駆動される。旋回用電動機21としては、例えば、磁石埋込型のIPMモータが好適である。
旋回用インバータコントローラ30Cは、操作入力に応じた回転速度指令を受け、レゾルバ22により検出される旋回用電動機21の旋回速度が、回転速度指令と一致するように、旋回用インバータ18Cを制御する。
(電源)
蓄電手段101とコントローラ30の一部であるコンバータコントローラ30Dは、電源装置100を構成する。蓄電手段101は、例えば蓄電池であるバッテリと、バッテリの充放電を制御する昇降圧コンバータ(双方向DC/DCコンバータ)と、正極及び負極の直流配線からなるDCバスとを備えている(図示せず)。蓄電器としては、リチウムイオン電池等の充電可能な2次電池、キャパシタ、そのほか電力の授受が可能なその他の形態の電源を用いてもよい。DCバスには、インバータ18A〜インバータ18Cそれぞれの1次側(直流入力)が接続されている。コントローラ30Dは、DCバスに生ずるDCリンク電圧が所定の電圧レベルとなるように、双方向DC/DCコンバータを制御する。電源装置100は、電動発電機12等が力行運転する際には、双方向DC/DCコンバータを昇圧動作させ、電動発電機12等が回生運転する際には、双方向DC/DCコンバータを降圧動作させ、電動発電機12が発生した電力を蓄電器に回収する。
蓄電手段101とコントローラ30の一部であるコンバータコントローラ30Dは、電源装置100を構成する。蓄電手段101は、例えば蓄電池であるバッテリと、バッテリの充放電を制御する昇降圧コンバータ(双方向DC/DCコンバータ)と、正極及び負極の直流配線からなるDCバスとを備えている(図示せず)。蓄電器としては、リチウムイオン電池等の充電可能な2次電池、キャパシタ、そのほか電力の授受が可能なその他の形態の電源を用いてもよい。DCバスには、インバータ18A〜インバータ18Cそれぞれの1次側(直流入力)が接続されている。コントローラ30Dは、DCバスに生ずるDCリンク電圧が所定の電圧レベルとなるように、双方向DC/DCコンバータを制御する。電源装置100は、電動発電機12等が力行運転する際には、双方向DC/DCコンバータを昇圧動作させ、電動発電機12等が回生運転する際には、双方向DC/DCコンバータを降圧動作させ、電動発電機12が発生した電力を蓄電器に回収する。
すなわち、インバータ18Aが電動発電機12を力行運転させる際には、必要な電力をバッテリ及び昇降圧コンバータからDCバスを介して電動発電機に供給する。また、電動発電機12を回生運転させる際には、電動発電機12により発電された電力をDCバス及び昇降圧コンバータを介してバッテリに充電する。なお、昇降圧コンバータの昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス電圧値、バッテリ電圧値、及びバッテリ電流値にもとづき、コンバータコントローラ30Dによって行われる。これにより、DCバスを、予め定められた一定電圧値に蓄電された状態に維持することができる。
以上がショベル1の全体構成である。続いて、実施の形態に係る電動旋回装置500について詳細に説明する。
図3は、実施の形態に係る電動旋回装置500の構成を示すブロック図である。電動旋回装置500は、旋回用インバータ18C、インタフェース回路19、旋回用電動機21、レゾルバ22、コントローラ30の一部であるインバータコントローラ30Cを備える。
たとえば旋回用電動機21は三相交流電動機であり、旋回用インバータ18Cは、U相、V相、W相のスイッチング回路を含む。
旋回用インバータ18Cを構成するスイッチング回路は、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのパワートランジスタで構成され、パワートランジスタは、インテリジェントパワーモジュール(IPM:Intelligent Power Module)に内蔵されている。IPMは、温度センサ等の各種センサを搭載しており、各種センサは、過電流、制御電源電圧低下、出力短絡、温度異常といった事象を検出し、これらの事象を検出した場合には、IPMエラー信号を出力する。ここで、温度異常の事象は、インバータの温度が所定の運転停止温度以上になったことを意味する。運転停止温度は、例えば100℃に設定される。IPMは、IPMエラー信号を検出すると、駆動対象のモータやインバータの焼損防止のために、駆動対象のモータを駆動するための電流の供給を停止する。
インバータコントローラ30Cは、駆動信号生成部35、RDコンバータ38、異常判定部34、を備える。
レゾルバ22は、旋回用電動機21の回転位置の変化を検出する。レゾルバ22はRDコンバータ38により制御される。具体的にはRDコンバータ38は、たとえば正弦波の励磁信号S10を生成する。インタフェース回路19のアンプ19aは、励磁信号S10を増幅し、レゾルバ22に供給する。励磁信号S10を受けたレゾルバ22は、励磁信号と同じ周波数を有する第1レゾルバ信号S11、第2レゾルバ信号S12を出力する。インタフェース回路19のフィルタ19bは、レゾルバ信号S11、S12のノイズを除去する。
レゾルバ信号S11、S12はそれぞれ、旋回用電動機21の回転位置に応じた振幅を有する。RDコンバータ38は、レゾルバ信号S11、S12にもとづいて、旋回用電動機21の回転数ωを示す旋回速度値S3を算出し、減算器31に出力する。RDコンバータ38の具体的な構成は特に限定されず、公知技術を用いればよい。
駆動信号生成部35は、RDコンバータ38により検出された旋回用電動機21の回転数ωにもとづいて、駆動信号S8を生成する。インバータ18Cは駆動信号S8にもとづいて、旋回用電動機21を駆動する。
たとえば駆動信号生成部35は、減算器31、PI制御部32、トルクリミッタ33、PWM信号生成部40を備える。減算器31は、旋回用電動機21の旋回速度ωREFを指示する速度指令値S4から旋回速度値S3を減算し、それらの偏差を出力する。速度指令値S4は例えば操作装置26の操作量に応じた指令値である(図2参照)。
PI制御部32は、減算器31から出力された偏差にもとづいて、旋回用電動機21の回転速度ωを速度指令値ωREFに近づけて偏差が小さくなるようにPI制御を行い、その制御のためのトルク電流指令値S5を生成する。
トルクリミッタ33は、PI制御部32から出力されたトルク電流指令値S5によって旋回用電動機21に生じるトルクが、旋回用電動機21の許容トルク値以下になるように、トルク電流指令値S5を所定のトルクリミット値(トルクの上限値)S6以下の範囲に制限する。旋回用インバータ18Cを制御するインバータコントローラ30Cでは、通常時には、例えば加速時トルクリミット値XUは駆動対象の旋回用電動機21における定格トルクの150%、減速時トルクリミット値XDは定格トルクの250%に設定される。
PWM信号生成部40は、トルク制限されたトルク電流指令値S7を、設定されたキャリア周波数でパルス幅変調(Pulse Width Modulation)することにより、インバータ18Cの各相のスイッチング素子(IGBT)に対する駆動信号(ゲート駆動パルス)S8を生成する。
レゾルバ信号S11、S12にノイズが混入すると、RDコンバータ38の回転数ωの検出精度が悪化する。また励磁信号S10やレゾルバ信号S11、S12が伝送するラインが地絡したり天絡すると、回転数ωの検出が不能となる。そこでRDコンバータ38には、異常検出機能が備わっている。
具体的にはRDコンバータ38は、レゾルバ信号S11、S12の信号レベルが所定の正常範囲から逸脱すると、異常検出信号S13をアサート(たとえばハイレベル)する。異常判定部34は、異常検出信号S13を監視し、異常検出信号S13にもとづいて異常の有無を判定する。
異常判定部34は、旋回用電動機の回転数ωが大きいほど短くなるようにしきい値時間τを設定する。たとえば異常判定部34は、しきい値時間τを、回転数ωに実質的に反比例するように設定してもよい。
τ=θ/ω
θは所定の定数である。
τ=θ/ω
θは所定の定数である。
しきい値時間τは、ある上限値τMAX以下に制限することが望ましい。図4は、回転数ωとしきい値時間τの関係を示す図である。
異常判定部34は、異常検出信号S13がアサートされる状態、言い換えれば、レゾルバ信号の振幅が正常範囲から逸脱した状態が、しきい値時間τより長く持続すると、異常状態と判定する。
たとえば、RDコンバータ38は、所定のクロックCKと同期して動作しており、制御周期ΔTごとに、異常検出信号S13を更新する。
異常判定部34は、旋回用電動機21の回転数ωに反比例するしきい値時間τに応じたカウントしきい値NTHを設定する。
NTH=τ/ΔT
異常判定部34は、旋回用電動機21の回転数ωに反比例するしきい値時間τに応じたカウントしきい値NTHを設定する。
NTH=τ/ΔT
そして異常判定部34は、異常検出信号S13が連続してアサートされるサイクル数Nをカウントし、カウント値Nがカウントしきい値NTHを超えると異常と判定し、保護信号S14をアサートする。保護信号S14がアサートされると、コントローラ30Cは、所定の保護処理を実行する。たとえばコントローラ30Cは、保護信号S14がアサートされると、旋回用電動機21への通電を停止してもよい。
以上が電動旋回装置500の構成である。続いてその動作を説明する。図5(a)〜(c)は、図3の電動旋回装置500の異常検出動作を示す波形図である。
レゾルバ信号S11、S12が正常範囲に収まっているとき、図5(a)に示すように異常検出信号S13はネゲート(ローレベル)されている。この場合、保護信号S14はネゲートを維持する。
レゾルバ信号S11、S12が正常範囲に収まっているとき、図5(a)に示すように異常検出信号S13はネゲート(ローレベル)されている。この場合、保護信号S14はネゲートを維持する。
あるサイクルにおいて、レゾルバ信号S11、S12が正常範囲から逸脱すると、図5(b)、(c)に示すように、異常検出信号S13がアサートされる。図5(b)では、2サイクルにわたって連続して異常検出信号S13がアサートされており、図5(b)では、4サイクルにわたって連続して異常検出信号S13がアサートされる。
旋回用電動機21の回転数ωに応じて定まるカウントしきい値NCOUNTが3であるとする。この場合、図5(b)ではカウント値Nは最大2であるから、保護信号S14はアサートされない。図5(c)では3サイクルより長く連続して異常検出信号S13がアサートされており、カウント値Nがしきい値NTHを超える4サイクル目に保護信号S14がアサートされ、回路保護が実行される。
以上が電動旋回装置500の動作である。この電動旋回装置500によれば以下の効果を得ることができる。
電動旋回装置500では、旋回用電動機21の回転数(回転速度)ωに応じてしきい値時間τを設定することとした。これにより、高速旋回時には異常判定の基準を厳しく設定し、低速旋回時には基準を緩めることで、安全性を確保しつつ、ノイズによる異常状態の誤検出を防止できる。
特に、回転数ωに実質的に反比例するようにしきい値時間τを設定することで、安全性と誤検出の防止の効果を好適にバランスさせることができる。
またしきい値時間τには上限値τMAXを設定することとした。これにより回転数ωが低いときに、しきい値時間τが長くなり過ぎるのを防止でき、低速旋回時において用いるべきしきい値時間τを回転数ωとは無関係に設定することができる。
さらに実施の形態では、カウントしきい値NTHを、NTH=τ/ΔTに設定し、カウント値Nとカウントしきい値NTHの比較により異常判定を行うこととした。これによりデジタル制御との親和性を高めることができ、CPU(Central Processing Unit)やマイコンなどのプロセッサによって、異常判定部34の機能を実現できる。
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例を説明する。
実施の形態では、しきい値時間τが回転数ωに実質的に反比例する場合を説明したが本発明はそれには限定されない。しきい値時間τは、回転数ωを引数とする任意の関数で定義してもよい。
実施の形態では、本発明に係るハイブリッド型建設機械の一例として、ショベル1を示したが、本発明のハイブリッド型建設機械の他の例としては、旋回機構を備えるリフティングマグネット車両やクレーン等が挙げられる。
1…ショベル、2…走行機構、2A…油圧モータ、3…旋回機構、4…旋回体、4a…運転室、5…ブーム、6…アーム、7…ブームシリンダ、7A…油圧管、8…アームシリンダ、9…バケットシリンダ、10…バケット、11…エンジン、12…電動発電機、13…減速機、14…メインポンプ、15…パイロットポンプ、16…高圧油圧ライン、17…コントロールバルブ、18,18A,18B…インバータ、18C…旋回用インバータ、19…インタフェース回路、21…旋回用電動機、21A…回転軸、22…レゾルバ、23…メカニカルブレーキ、24…旋回減速機、25…パイロットライン、26…操作装置、27,28…油圧ライン、29…圧力センサ、30…コントローラ、30A,30C…インバータコントローラ、30D…コンバータコントローラ、31…減算器、32…PI制御部、34…異常判定部、35…駆動信号生成部、38…RDコンバータ、40…PWM信号生成部、100…蓄電手段、300…ブーム回生用発電機、310…油圧モータ、500…電動旋回装置、S1…電流検出値、S3…旋回速度値、S4…速度指令値、S5…トルク電流指令値、S6…トルクリミット値、S7…トルク電流指令値、S10…励磁信号、S11,S12…レゾルバ信号、S13…異常検出信号、S14…保護信号。
Claims (4)
- 走行機構および前記走行機構に旋回自在に搭載された上部旋回体を備えるショベルに搭載され、前記走行機構に対して前記上部旋回体を旋回駆動させるショベル用電動旋回装置であって、
旋回用電動機と、
前記旋回用電動機の回転に応じたレゾルバ信号を発生するレゾルバと、
前記レゾルバ信号にもとづいて前記旋回用電動機の回転数を検出するとともに、異常の有無を検出可能に構成されたRD(レゾルバ・デジタル)コンバータと、
前記RDコンバータにより検出された前記旋回用電動機の回転数にもとづいて駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
前記駆動信号にもとづいて前記旋回用電動機を駆動するインバータと、
前記旋回用電動機の回転数ωが大きいほど短くなるようにしきい値時間を設定し、前記RDコンバータが異常を検出する状態が、前記しきい値時間より長く持続すると、異常状態と判定する異常判定部と、
を備えることを特徴とするショベル用電動旋回装置。 - 前記しきい値時間は、前記旋回用電動機の回転数ωに実質的に反比例することを特徴とする請求項1に記載のショベル用電動旋回装置。
- 前記しきい値時間には、上限値が設定されることを特徴とする請求項1または2に記載のショベル用電動旋回装置。
- 前記RDコンバータは、クロック信号と同期して動作するものであり、制御周期ΔTごとに、異常の有無を示す異常検出信号を更新するよう構成され、
前記異常判定部は、しきい値時間τに応じたカウントしきい値NTHを、NTH=τ/ΔTに設定し、前記異常検出信号が連続してアサートされるサイクル数Nをカウントし、カウント値Nがカウントしきい値NTHを超えると異常と判定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のショベル用電動旋回装置。
Priority Applications (1)
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JP2014071882A JP2015194007A (ja) | 2014-03-31 | 2014-03-31 | ショベル用電動旋回装置 |
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-
2014
- 2014-03-31 JP JP2014071882A patent/JP2015194007A/ja active Pending
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