JP6362900B2 - 電動旋回装置およびコントローラ - Google Patents

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Description

本発明は、電動旋回装置に関する。
近年のパワーショベルやクレーンをはじめとする建設機械において、上部旋回体の動力源として、油圧モータと交流電動機のハイブリッド型が利用される。ハイブリッド型の旋回動力源は、上部旋回体の加速時において、交流電動機によって油圧モータをアシストし、減速時においては交流電動機によって回生運転を行い、発電エネルギによってバッテリを充電する。
電動旋回装置は、交流電動機と、交流電動機の回転数を検出するレゾルバと、交流電動機の目標回転数ならびにレゾルバの出力にもとづいて、制御信号を生成するコントローラと、制御信号にもとづいて交流電動機を駆動するインバータと、を備える。
図1は、電動旋回装置の電気系統の制御ブロック図である。電動旋回装置500rの制御量は、回転数ωresである。誤差検出器31は、交流電動機の回転数ωresを指示する角速度指令値(単に速度指令ともいう)ωcmdと、レゾルバにより検出される実際の回転数を示す角速度検出値ωresの誤差(偏差)を検出する。速度指令ωcmdは、操作レバーに対する操作入力に応じた信号である。
PIコントローラ33は、誤差がゼロとなるように調節される制御指令値τinを生成する。たとえば制御指令値τinは、回転電動機のトルク指令値である。制御対象60は、電動機の動特性をモデル化したものである。
特開2010−106511号公報 特開2008−88659号公報 特開2010−275855号公報
ショベルの旋回軸制御系の設計においては、操作者の操作感が重要視される。たとえば速度指令ωcmdは、図1に示すように台形波形となる。一方、交流電動機の旋回速度を台形波形で制御すると、操作者は、急旋回、急停止するような感覚を覚える。良好な操作感を得るためには、図1に示すように、台形波形よりも鈍った波形にもとづいて旋回速度を制御することが好ましいことが経験的に知られている。
制御ループ中のフィードバックゲインを調節し、適度な応答遅れを導入することで、台形波形の速度指令ωcmdに対して実際の旋回速度を鈍らせることができ、所望の操作感に近づけることが可能である。しかしながら、操作感を優先してフィードバックゲインを調節すると、外乱、過電流、過電圧等の抑制にかかわる制御性能が犠牲になりうる。反対にこれらの制御性能を優先してフィードバックゲインを調節すると、操作感が犠牲になる。つまりそれらは両立することが困難なトレードオフの関係にある。
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、良好な操作感と高い制御性能を両立しうる電動旋回装置の提供にある。
本発明のある態様は、走行機構および走行機構に旋回自在に搭載された上部旋回体を備える産業車両に搭載され、走行機構に対して上部旋回体を旋回駆動させる電動旋回装置に関する。電動旋回装置は、旋回用電動機と、操作入力に応じた1次速度指令を受け、波形整形された2次速度指令を出力する操作感調整器と、旋回用電動機の回転数を検出する回転角センサと、2次速度指令と回転角センサにより検出された旋回用電動機の回転数が一致するように駆動信号を生成するコントローラと、指令値にもとづいて旋回用電動機を駆動するインバータと、を備える。2次速度指令は、少なくとも、1次速度指令と2次速度指令の差分に応じた速度誤差に比例する比例項と、速度誤差の積分値に応じた積分項と、を含む。
この態様によると、メインの速度制御系とは別に、操作感を調節するためのPIコントローラを含む操作感調整器を設けることにより、制御性能を犠牲にせずに、良好な操作感を実現できる。そして、操作感調整器をPI制御系で実現することで、比例項によって即応性(即応感)を、積分項によって加速性(加速感)を調節することができるため、目標とする操作感に直感的に近づけることができる。
2次速度指令は、比例項および積分項に加えて、速度誤差の微分値に応じた微分項をさらに含んでもよい。この場合、操作感調整器をPID制御系で実現することとなり、微分項によって粘性(滑らかさ)を調節することができるため、より目標とする操作感に直感的に近づけることができる。
操作感調整器は、仮想的な質量を制御対象とするPIコントローラまたはPIDコントローラを含んでもよい。
操作感調整器は、1次速度指令と2次速度指令の差分に応じた速度誤差を生成する減算器と、速度誤差を積分して積分係数1/Kを乗算する第1積分器と、第1積分器の出力と速度誤差を加算する加算器と、加算器の出力または速度誤差に比例係数Kを乗算する乗算器と、乗算器の出力を積分し、2次速度指令を出力する第2積分器と、を含んでもよい。
操作感調整器は、速度誤差を微分し、微分係数Kを乗算する微分器をさらに含んでもよい。加算器は、第1積分器の出力と速度誤差に加えて、微分器の出力を加算してもよい。
操作感調整器は、式(1)の伝達関数G(s)を有してもよい。
G(s)=(as+a)/(b+bs+b) …(1)
ただしa、a、b、b、bは定数
操作感調整器は、式(2)の伝達関数G(s)を有してもよい。
G(s)=(a+as+a)/(b+bs+b) …(2)
ただしa、a、a、b、b、bは定数
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、良好な操作感と高い制御性能を両立できる。
電動旋回装置の電気系統の制御ブロック図である。 実施の形態に係る建設機械の一例であるショベルの外観を示す斜視図である。 実施の形態に係るショベルの電気系統や油圧系統などのブロック図である。 実施の形態に係る電動旋回装置の構成を示すブロック図である。 操作感調整器の制御ブロック図である。 図4の電動旋回装置の動作波形図である。 第1変形例に係る操作感調整器の制御ブロック図である。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
図2は、実施の形態に係る建設機械の一例であるショベル1の外観を示す斜視図である。ショベル1は、主として走行機構2と、走行機構2の上部に旋回機構3を介して回動自在に搭載された上部旋回体(以下、単に旋回体ともいう)4とを備えている。
旋回体4には、ブーム5と、ブーム5の先端にリンク接続されたアーム6と、アーム6の先端にリンク接続されたバケット10とが取り付けられている。バケット10は、土砂、鋼材などの吊荷を捕獲するための設備である。ブーム5、アーム6、及びバケット10は、それぞれブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によって油圧駆動される。また、旋回体4には、バケット10の位置や励磁動作および釈放動作を操作する操作者を収容するための運転室4aや、油圧を発生するためのエンジン11といった動力源が設けられている。エンジン11は、例えばディーゼルエンジンで構成される。
図3は、実施の形態に係るショベル1の電気系統や油圧系統などのブロック図である。なお、図3では、機械的に動力を伝達する系統を二重線で、油圧系統を太い実線で、操縦系統を破線で、電気系統を細い実線でそれぞれ示している。
ショベル1は電動発電機12および減速機13を備えており、エンジン11及び電動発電機12の回転軸は、共に減速機13の入力軸に接続されることにより互いに連結されている。エンジン11の負荷が大きいときには、電動発電機12が自身の駆動力によりエンジン11の駆動力を補助(アシスト)し、電動発電機12の駆動力が減速機13の出力軸を経てメインポンプ14に伝達される。一方、エンジン11の負荷が小さいときには、エンジン11の駆動力が減速機13を経て電動発電機12に伝達されることにより、電動発電機12が発電を行う。電動発電機12は、例えば、磁石がロータ内部に埋め込まれたIPM(Interior Permanent Magnetic)モータによって構成される。電動発電機12の駆動と発電との切りかえは、ショベル1における電気系統の駆動制御を行うコントローラ30により、エンジン11の負荷等に応じて行われる。
減速機13の出力軸にはメインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続されており、メインポンプ14には高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続されている。コントロールバルブ17は、ショベル1における油圧系の制御を行う装置である。コントロールバルブ17には、図2に示した走行機構2を駆動するための油圧モータ2A及び2Bの他、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9が高圧油圧ラインを介して接続されており、コントロールバルブ17は、これらに供給する油圧を運転者の操作入力に応じて制御する。
パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26(操作手段)が接続されている。操作装置26は、旋回用電動機21、走行機構2、ブーム5、アーム6、及びバケット10を操作するための操作装置であり、操作者によって操作される。操作装置26には、油圧ライン27を介してコントロールバルブ17が接続され、また、油圧ライン28を介して圧力センサ29が接続される。操作装置26は、パイロットライン25を通じて供給される油圧(1次側の油圧)を操作者の操作量に応じた油圧(2次側の油圧)に変換して出力する。操作装置26から出力される2次側の油圧は、油圧ライン27を通じてコントロールバルブ17に供給されるとともに、圧力センサ29によって検出される。
圧力センサ29は、操作装置26に対して旋回機構3を旋回させるための操作が入力されると、この操作量を油圧ライン28内の油圧の変化として検出する。圧力センサ29は、油圧ライン28内の油圧を表す電気信号を出力する。この電気信号は、コントローラ30に入力され、旋回用電動機21の駆動制御に用いられる。
コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)及び内部メモリを含む演算処理装置によって構成され、内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムをCPUが実行することにより実現される。コントローラ30は、各種センサ及び操作装置26等からの操作入力を受けて、インバータ18A、18B、18C及び蓄電手段101等の駆動制御を行う。
油圧モータ310は、ブーム5が下げられるときにブームシリンダ7から吐出される油によって回転されるように構成されており、ブーム5が重力に従って下げられるときのエネルギを回転力に変換するために設けられている。油圧モータ310は、コントロールバルブ17とブームシリンダ7の間の油圧管7Aに設けられている。ブーム回生用発電機300で発電された電力は、回生エネルギとしてインバータ18Bを経て蓄電手段101に供給される。
旋回用電動機21は、図2の旋回機構3に設けられ、上部旋回体4を回動させる。旋回用電動機21は交流電動機であり、旋回体4を旋回させる旋回機構3の動力源である。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続される。旋回用インバータ18Cは、蓄電手段101からの電力を受け、旋回用電動機21を駆動する。また旋回用電動機21の回生運転時には、旋回用電動機21からの電力を蓄電手段101に回収する。
旋回用電動機21が力行運転を行う際には、旋回用電動機21の回転駆動力の回転力が旋回減速機24にて増幅され、旋回体4が加減速制御され回転運動を行う。また、旋回体4の慣性回転により、旋回減速機24にて回転数が増加されて旋回用電動機21に伝達され、回生電力を発生させる。
レゾルバ22は、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転位置及び回転角度を検出するセンサであり、旋回用電動機21と機械的に連結することで回転軸21Aの回転角度及び回転方向を検出する。レゾルバ22が回転軸21Aの回転角度を検出することにより、旋回機構3の回転角度及び回転方向が導出される。メカニカルブレーキ23は、機械的な制動力を発生させる制動装置であり、コントローラ30からの指令によって、旋回用電動機21の回転軸21Aを機械的に停止させる。旋回減速機24は、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転速度を減速して旋回機構3に機械的に伝達する減速機である。
続いて電気系統について詳細に説明する。電気系統は主として、コントローラ30、電源装置100、インバータ18A〜18Cを備える。
(アシスト)
アシスト用のインバータ18Aの2次側(出力)端には、電動発電機12が接続される。インバータ18Aは、コントローラ30の一部であるアシスト用インバータコントローラ30Aからの指令にもとづき、電動発電機12の運転制御を行う。
(ブーム回生)
インバータ18Bの2次側(出力)端には、ブーム回生用発電機300が接続されている。上述のようにブーム回生用発電機300は、ブーム5が重力の作用により下げられるときに、位置エネルギを電気エネルギに変換する電動作業要素である。インバータ18Bは、コントローラ30のブーム回生用のインバータコントローラ30Bによって制御され、ブーム回生用発電機300が発生する電気エネルギを直流電力に変換し、電源装置100に回収する。
(旋回)
旋回用電動機21、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、旋回減速機24、旋回用インバータ18Cおよびコントローラ30の一部である旋回用インバータコントローラ30Cは、電動旋回装置500を構成する。
旋回用電動機21は、PWM(Pulse Width Modulation)制御指令により旋回用インバータ18Cによって交流駆動される。旋回用電動機21としては、例えば、磁石埋込型のIPMモータが好適である。
旋回用インバータコントローラ30Cは、操作入力に応じた回転速度指令を受け、レゾルバ22により検出される旋回用電動機21の旋回速度が、回転速度指令と一致するように、旋回用インバータ18Cを制御する。
(電源)
蓄電手段101とコントローラ30の一部であるコンバータコントローラ30Dは、電源装置100を構成する。蓄電手段101は、例えば蓄電池であるバッテリと、バッテリの充放電を制御する昇降圧コンバータ(双方向DC/DCコンバータ)と、正極及び負極の直流配線からなるDCバスとを備えている(図示せず)。蓄電器としては、リチウムイオン電池等の充電可能な2次電池、キャパシタ、そのほか電力の授受が可能なその他の形態の電源を用いてもよい。DCバスには、インバータ18A〜インバータ18Cそれぞれの1次側(直流入力)が接続されている。コントローラ30Dは、DCバスに生ずるDCリンク電圧が所定の電圧レベルとなるように、双方向DC/DCコンバータを制御する。電源装置100は、電動発電機12等が力行運転する際には、双方向DC/DCコンバータを昇圧動作させ、電動発電機12等が回生運転する際には、双方向DC/DCコンバータを降圧動作させ、電動発電機12が発生した電力を蓄電器に回収する。
すなわち、インバータ18Aが電動発電機12を力行運転させる際には、必要な電力をバッテリ及び昇降圧コンバータからDCバスを介して電動発電機に供給する。また、電動発電機12を回生運転させる際には、電動発電機12により発電された電力をDCバス及び昇降圧コンバータを介してバッテリに充電する。なお、昇降圧コンバータの昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス電圧値、バッテリ電圧値、及びバッテリ電流値にもとづき、コンバータコントローラ30Dによって行われる。これにより、DCバスを、予め定められた一定電圧値に蓄電された状態に維持することができる。
以上がショベル1の全体構成である。続いて、実施の形態に係る電動旋回装置500について詳細に説明する。
図4は、電動旋回装置500の構成を示すブロック図である。電動旋回装置500は、旋回用インバータ18C、旋回用電動機21、レゾルバ22、コントローラ30の一部である旋回用インバータコントローラ30Cを備える。
たとえば旋回用電動機21は三相交流電動機であり、旋回用インバータ18Cは、U相、V相、W相のスイッチング回路を含む。
旋回用インバータ18Cを構成するスイッチング回路は、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのパワートランジスタで構成され、パワートランジスタは、インテリジェントパワーモジュール(IPM:Intelligent Power Module)に内蔵されている。IPMは、温度センサ等の各種センサを搭載しており、各種センサは、過電流、制御電源電圧低下、出力短絡、温度異常といった事象を検出し、これらの事象を検出した場合には、IPMエラー信号を出力する。ここで、温度異常の事象は、インバータの温度が所定の運転停止温度以上になったことを意味する。運転停止温度は、例えば100℃に設定される。IPMは、IPMエラー信号を検出すると、駆動対象のモータやインバータの焼損防止のために、駆動対象のモータを駆動するための電流の供給を停止する。この場合には、ショベル1の動作自体も停止され、連続運転が中断される。
レゾルバ22は、回転角センサの一種であり、RDコンバータ38とともに、旋回用電動機21の回転数ωの検出値ωresを生成する。旋回用インバータコントローラ30Cは、検出された旋回用電動機21の回転数ωRESにもとづいて、駆動信号S8を生成する。インバータ18Cは駆動信号S8にもとづいて、旋回用電動機21を駆動する。
旋回用インバータコントローラ30Cは、RDコンバータ38に加えて、コントローラ32、操作感調整器40を備える。
操作感調整器40は、操作入力に応じた1次速度指令ωcmd1を受け、波形整形された2次速度指令ωcmd2を出力する。1次速度指令ωcmd1は、図3の圧力センサ29により生成される電気信号もしくはそれに応じたデータであってもよい。
コントローラ32は、2次速度指令ωcmd2と回転角センサであるレゾルバ22により検出された旋回用電動機21の回転数(速度検出値)ωresが一致するように駆動信号S8を生成する。コントローラ32は、速度コントローラ34および駆動信号生成部36を含む。速度コントローラ34は、2次速度指令ωcmd2と速度検出値ωresが一致するように調節されるトルク指令値(電流指令値)S5を生成する。駆動信号生成部36は、たとえばパルス幅変調器を含み、トルク指令値S5に応じたデューティ比を有する駆動信号S8を生成する。より詳しくは、駆動信号生成部36は、旋回用電動機21に流れる電流を検出する電流センサと、電流の検出値がトルク指令値S5と一致するように調節されるデューティ指令値を生成するトルクコントローラと、デューティ指令値に応じたデューティ比を有するパルス信号を生成するパルス幅変調器と、を含んでもよい。なお駆動信号生成部36の構成は特に限定されない。
操作感調整器40により生成される2次速度指令ωcmd2は、少なくとも、1次速度指令ωcmd1と2次速度指令ωcmd2の差分に応じた速度誤差Δωに比例する比例項と、速度誤差Δωの積分値に応じた積分項と、を含む。
図5は、操作感調整器40の制御ブロック図である。図5の操作感調整器40は、仮想的な質量を制御対象とするPIコントローラを含む。操作感調整器40は、操作感コントローラ41および第1積分器50を備える。操作感コントローラ41は、1次速度指令ωcmd1と2次速度指令ωcmd2の差分Δωがゼロに近づくように調節される中間値S1を生成する。第1積分器50は制御対象に相当し、その伝達関数は1/sである。第1積分器50は、中間値S1を積分し、2次速度指令ωcmd2を生成する。
操作感コントローラ41は、PIコントローラであり、減算器42、第2積分器44、加算器46、乗算器48を含む。減算器42は、1次速度指令ωcmd1と2次速度指令ωcmd2の差分に応じた速度誤差Δωを生成する。第2積分器44は、速度誤差Δωを積分し、積分係数1/Kを乗算する。加算器46は、第2積分器44の出力と速度誤差Δωを加算する。乗算器48は、加算器46の出力に比例係数Kを乗算し、中間値を生成する。なお乗算器48の位置は、図5のそれには限定されず、減算器42と加算器46の間に設けてもよい。
この操作感調整器40の伝達関数G(s)は、以下の式で与えられる。
G(s)=K(Ks+1)/(K+K(Ks+1))
より一般化すれば、式(1)を得る。
G(s)=(as+a)/(b+bs+b) …(1)
ただしa、a、b、b、bは定数である。図5の操作感調整器40においては、各定数は以下の通りである。
=K
=K
=K
=K
=K
以上が電動旋回装置500の構成である。続いてその動作を説明する。図6は、図4の電動旋回装置500の動作波形図である。
図6には、1次速度指令ωcmd1、2次速度指令ωcmd2、旋回用電動機21の速度の検出値ωresが示される。操作感調整器40によって、1次速度指令ωcmd1が2次速度指令ωcmd2に波形整形される。そしてコントローラ32およびインバータ18Cによって、2次速度指令ωcmd2に追従するように、旋回用電動機21の回転が制御される。
この電動旋回装置500によれば、メインの速度制御系(図4のコントローラ32)とは別に、操作感を調節するためのPIコントローラを含む操作感調整器40を設けることにより、制御性能を犠牲にせずに、良好な操作感を実現できる。
そして図5に示すように、操作感調整器40をPI制御系で構成したことで、2次速度指令ωcmd2の波形を2つのパラメータ、すなわち比例係数Kと積分係数1/Kにもとづいて直感的に調節することができる。具体的には、比例係数Kによって即応性(即応感)を調節でき、積分係数1/Kによって加速性(加速感)を調節することができる。
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例を説明する。
(第1変形例)
図5では、操作感調整器40がPIコントローラを含む場合を説明したが、操作感調整器40はPIDコントローラを含んでもよい。
図7は、第1変形例に係る操作感調整器40aの制御ブロック図である。操作感コントローラ41は、図5の操作感コントローラ41に加えて、微分器49をさらに含む。微分器49は、速度誤差Δωを微分し、微分係数Kを乗算する。加算器46は、第2積分器44の出力と速度誤差に加えて、微分器49の出力を加算する。
この操作感調整器40aの伝達関数G(s)は、以下の式で与えられる。
G(s)=K(K+Ks+1)/(K+K(K+Ks+1))
より一般化すれば、式(2)を得る。
G(s)=(a+as+a)/(b+bs+b) …(2)
ただしa、a、a、b、b、bは定数である。図7の操作感調整器40aにおいては、各定数は以下の通りである。
=K
=K
=K
=K+K
=K
=K
この操作感調整器40aによれば、微分項を導入したことにより、微分係数Kに応じて粘性、すなわち滑らかさを調節することができ、調節できるパラメータが増えるため、より理想的な操作感に近づけることができる。
(第2変形例)
実施の形態では、本発明に係るハイブリッド型建設機械の一例として、ショベル1を示したが、本発明のハイブリッド型建設機械の他の例としては、旋回機構を備えるリフティングマグネット車両やクレーン等が挙げられる。
1…ショベル、2…走行機構、2A…油圧モータ、3…旋回機構、4…旋回体、4a…運転室、5…ブーム、6…アーム、7…ブームシリンダ、7A…油圧管、8…アームシリンダ、9…バケットシリンダ、10…バケット、11…エンジン、12…電動発電機、13…減速機、14…メインポンプ、15…パイロットポンプ、16…高圧油圧ライン、17…コントロールバルブ、18,18A,18B…インバータ、18C…旋回用インバータ、19…インタフェース回路、21…旋回用電動機、21A…回転軸、22…レゾルバ、23…メカニカルブレーキ、24…旋回減速機、25…パイロットライン、26…操作装置、27,28…油圧ライン、29…圧力センサ、30…コントローラ、30A,30C…インバータコントローラ、30D…コンバータコントローラ、32…コントローラ、34…速度コントローラ、36…駆動信号生成部、38…RDコンバータ、40…操作感調整器、41…操作感コントローラ、42…減算器、44…第2積分器、46…加算器、48…乗算器、49…微分器、50…第1積分器、300…ブーム回生用発電機、310…油圧モータ、500…電動旋回装置。

Claims (8)

  1. 走行機構および前記走行機構に旋回自在に搭載された上部旋回体を備える産業車両に搭載され、前記走行機構に対して前記上部旋回体を旋回駆動させる電動旋回装置であって、
    旋回用電動機と、
    操作入力に応じた1次速度指令を受け、波形整形された2次速度指令を出力する操作感調整器と、
    前記旋回用電動機の回転数を検出する回転角センサと、
    前記2次速度指令と前記回転角センサにより検出された前記旋回用電動機の回転数が一致するように駆動信号を生成するコントローラと、
    前記駆動信号にもとづいて前記旋回用電動機を駆動するインバータと、
    を備え、
    前記操作感調整器には、自身の出力である2次速度指令がフィードバックされており、前記操作感調整器は、前記1次速度指令とフィードバックされた前記2次速度指令の差分を生成し、
    前記操作感調整器から出力される前記2次速度指令は、少なくとも、
    前記差分に比例する比例項と、
    前記差分の積分値に応じた積分項と、
    を含むことを特徴とする電動旋回装置。
  2. 前記2次速度指令は、前記比例項および前記積分項に加えて、前記差分の微分値に応じた微分項をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電動旋回装置。
  3. 前記操作感調整器は、仮想的な質量を制御対象とするPIコントローラまたはPIDコントローラを含むことを特徴とする請求項1に記載の電動旋回装置。
  4. 前記操作感調整器は、
    前記1次速度指令とフィードバックされた前記2次速度指令の差分がゼロに近づくように調節される中間値を生成する操作感コントローラと、
    前記中間値を積分し、前記2次速度指令を出力する第1積分器と、
    を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電動旋回装置。
  5. 産業車両に搭載され、前記産業車両の操作手段の操作量に応じて動作する交流回転電動機のコントローラであって、
    前記操作量に応じた1次速度指令を受け、波形整形された2次速度指令を出力する操作感調整と、
    前記2次速度指令と、回転角センサにより検出された前記交流回転電動機の回転数が一致するように駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
    を備え、
    前記操作感調整部には、自身の出力である2次速度指令がフィードバックされており、前記操作感調整部は、前記1次速度指令とフィードバックされた前記2次速度指令の差分を生成し、
    前記操作感調整部から出力される前記2次速度指令は、少なくとも、
    前記差分に比例する比例項と、
    前記差分の積分値に応じた積分項と、
    を含むことを特徴とするコントローラ
  6. 前記2次速度指令は、前記比例項および前記積分項に加えて、前記差分の微分値に応じた微分項をさらに含むことを特徴とする請求項に記載のコントローラ
  7. 前記操作感調整は、仮想的な質量を制御対象とするPIコントローラまたはPIDコントローラを含むことを特徴とする請求項に記載のコントローラ
  8. 前記操作感調整は、
    前記1次速度指令とフィードバックされた前記2次速度指令の差分がゼロに近づくように調節される中間値を生成する操作感コントローラと、
    前記中間値を積分し、前記2次速度指令を出力する第1積分器と、
    を含むことを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載のコントローラ
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