JP2015193514A - 熱可塑性樹脂膜及び合わせガラス - Google Patents

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善永 林
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成裕 乾
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Abstract

【課題】優れた遮熱性及び優れた可視光透過性などの光学機能を発現させつつ、耐衝撃性を高めることができる熱可塑性樹脂膜を提供する。
【解決手段】本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含む複数の第1の熱可塑性樹脂層と、熱可塑性樹脂を含む複数の第2の熱可塑性樹脂層とを備え、前記第1,第2の熱可塑性樹脂層が、厚み方向に交互に積層された多層構造を有し、前記第1,第2の熱可塑性樹脂層の厚み方向の積層数の合計が500層以上であり、前記第1,第2の熱可塑性樹脂層との全体の厚みが100μm以上であり、前記第2の熱可塑性樹脂層の材料の引張弾性率が100MPa以上、1200MPa以下であり、前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層との固有屈折率の差の絶対値が0.03以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂を含む層が複数積層されている熱可塑性樹脂膜に関する。また、本発明は、上記熱可塑性樹脂膜を合わせガラス用中間膜として用いた合わせガラスに関する。
合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片の飛散量が少なく、安全性に優れている。このため、上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に広く使用されている。上記合わせガラスは、一対のガラス板の間に合わせガラス用中間膜を挟み込むことにより、製造されている。
近年、自動車用及び建築物用の合わせガラスとして、遮熱性に優れる合わせガラスに対する要望が高まってきている。上記のような従来の合わせガラスでは、安全性に優れているものの、遮熱性に劣るという問題点がある。
一般に、光線のなかでも、780nm以上の波長を有する赤外線のエネルギー量は、紫外線と比べて小さい。しかし、赤外線は、熱的作用が大きく、物質に吸収されて温度上昇をもたらす。このため、赤外線は、熱線と呼ばれている。自動車のフロントガラスやサイドガラス、建物のガラス窓やガラスドアから入る、熱的作用の大きな赤外線を遮断すれば、遮熱性が高まり、自動車や建物内部の温度上昇が抑えられる。そこで、赤外線を効果的に遮断する方法が種々検討されている。
赤外線を遮断するガラスとして、例えば、熱線カットガラスが知られている。この熱線カットガラスは直射太陽光の遮断を目的として、金属蒸着又はスパッタリング加工等によって、ガラス板の表面に金属/金属酸化物の多層コーティングを行うことで得られる。しかし、このような多層コーティングは、外部からの擦傷に弱く、耐薬品性も劣る。
一方で、例えば、ガラス板と中間膜との間に多層コーティングを積層した熱線カットガラスが用いられることがある。しかしながら、このような熱線カットガラスは、高価である。また、多層コーティングが厚いため、可視光透過率が低くなって、透明性が損なわれることがある。さらに、コーティング層を構成する材料が可視光領域に吸収を持つために、特定の着色が強くなるという問題がある。さらに、多層コーティングと中間膜との接着性が低下し、中間膜の剥離や白化が起こることがある。
例えば、下記の特許文献1,2には、可塑化ポリビニルブチラール樹脂シートの間に、金属及び/又は金属酸化物を薄膜コーティグ又は蒸着したポリエステルフィルムを積層した合わせガラスが提案されている。しかし、これらの合わせガラスは、ポリビニルブチラール樹脂シートとポリエステルフィルムとの間の界面で剥離が起こることがあり、一体化された複合材料として用いる際に重要な接着性に問題がある。
また、無機粒子などの熱線吸収性の材料を膜中に分散させることで、可視光線を透過し赤外光線を遮断する樹脂膜の成形技術が提案されている。例えば、下記の特許文献3には、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)又はアンチモンドープ酸化錫粒子(ATO粒子)などの遮熱性能を有する金属酸化物粒子を分散させた中間膜が開示されている。
また更に、主に樹脂材料を用いて形成されており、かつ複数の層が厚み方向に積層された多層構造を有する多層フィルムが知られている。フィルムを構成する樹脂材料を選択することにより、光反射性をある程度発現させることができる。また、多層フィルムが、一定の柔軟性及び可撓性を有する樹脂材料のみで形成されている場合に、フィルムの成形性や、押出、射出、プレス及び延伸等による他の部材との複合加工性が高くなり、軽量化、大面積化、環境負荷の低減、コストの低減等の観点で、品質や工業化において利点がある。
このような樹脂材料により形成された多層フィルムを、光学部材として利用した例が、下記の特許文献4に記載されている。特許文献4では、化学構造が異なる複数のポリエステル系樹脂に無機材料を添加し、積層することで、得られる積層フィルムの近赤外域の光線反射率を高めている。
特公昭61−52093号公報 特開昭64−36442号公報 WO01/25162A1 特開2008−200924号公報
特許文献3に記載のような合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスでは、遮熱性が十分に高くならないことがあり、更に光照射によって黄色に変色して、可視光透過率が低下することがある。このため、可視光透過率に下限規制のある自動車用フロントガラスに、合わせガラスを使う際に問題となることが予想される。さらに、ポリビニルブチラール樹脂を用いた膜においては、添加粒子の影響により、強靭性や接着性などの力学特性が低下しやすく、合わせガラス用中間膜の重要な特性である安全性が損なわれることがある。
特許文献4に記載のような積層フィルムでは、上記の特許文献3と同様に、遮熱性が十分に高くならないことがあり、特に波長の短い近赤外域の光の反射又は吸収性のみでは、得られる遮熱性は不十分である。更には、光照射後に黄色に変色して、可視域の光線透過性が低下することがある。このため、可視光透過率に下限規制のある自動車用フロントガラスに使う際に問題となることが予想される。一方、光学機能の獲得を優先するために、合わせガラス用中間膜において重要である強靭性等の力学的特徴が省みられていないことがある。また、ポリエステル樹脂のように比較的剛直な樹脂を上記中間膜に利用すると、例えば車両用や建築物用の合わせガラスとして用いた場合、耐衝撃性や耐貫通性などの実用性能が不十分となる。さらに、ガラス板などの他の部材と複合する際の変形追従性や、積層間の接着性が低下したりして、加工性が損なわれることがある。
本発明の目的は、優れた遮熱性及び優れた可視光透過性などの光学機能を発現させつつ、耐衝撃性を高めることができる熱可塑性樹脂膜を提供することである。また、本発明は、上記熱可塑性樹脂膜を合わせガラス用中間膜として用いた合わせガラスを提供することも目的とする。
本発明の広い局面によれば、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含む複数の第1の熱可塑性樹脂層と、熱可塑性樹脂を含む複数の第2の熱可塑性樹脂層とを備え、前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層とが、厚み方向に交互に積層された多層構造を有し、前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層との厚み方向の積層数の合計が500層以上であり、前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層との全体の厚みが100μm以上であり、前記第2の熱可塑性樹脂層の材料の引張弾性率が100MPa以上、1200MPa以下であり、前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層との固有屈折率の差の絶対値が0.03以上である、熱可塑性樹脂膜が提供される。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜のある特定の局面では、前記第2の熱可塑性樹脂層に含まれる前記熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂とは異なる熱可塑性樹脂である。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜のある特定の局面では、前記第2の熱可塑性樹脂層に含まれる前記熱可塑性樹脂が、アクリル酸エステル、共役ジエン単量体及びスチレン単量体からなる群から選ばれる少なくとも2種を共重合して得られる熱可塑性樹脂である。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜のある特定の局面では、入射光の反射率が、入射波長300〜800nmにおいて20%以下であり、かつ入射波長800〜2500nmにおいて50%以上である。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜のある特定の局面では、引裂エネルギーが、0.05J/mm以上である。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、合わせガラスを得るために好適に用いられ、合わせガラス用中間膜であることが好ましい。
本発明の広い局面によれば、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、上述した熱可塑性樹脂膜である合わせガラス用中間膜とを備え、前記第1の合わせガラス部材と前記第2の合わせガラス部材との間に、前記合わせガラス用中間膜が配置されている、合わせガラスが提供される。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含む複数の第1の熱可塑性樹脂層と、熱可塑性樹脂を含む複数の第2の熱可塑性樹脂層とを備えており、上記第1の熱可塑性樹脂層と上記第2の熱可塑性樹脂層とが、厚み方向に交互に積層された多層構造を有し、更に上記第1の熱可塑性樹脂層と上記第2の熱可塑性樹脂層との厚み方向の積層数の合計が500層以上であり、上記第1の熱可塑性樹脂層と上記第2の熱可塑性樹脂層との全体の厚みが100μm以上であり、上記第2の熱可塑性樹脂層の材料の引張弾性率が100MPa以上、1200MPa以下であり、上記第1の熱可塑性樹脂層と上記第2の熱可塑性樹脂層との固有屈折率の差の絶対値が0.03以上であるので、優れた遮熱性及び優れた可視光透過性などの光学機能を発現させつつ、耐衝撃性を高めることができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る熱可塑性樹脂膜を示す模式的な断面図である。 図2は、本発明の第2の実施形態に係る熱可塑性樹脂膜を示す模式的な断面図である。 図3は、本発明の第3の実施形態に係る熱可塑性樹脂膜を示す模式的な断面図である。 図4は、本発明の第4の実施形態に係る熱可塑性樹脂膜を示す模式的な断面図である。 図5は、図1に示す熱可塑性樹脂膜を備えた合わせガラスを示す模式的な断面図である。 図6は、図3に示す熱可塑性樹脂膜を備えた合わせガラスを示す模式的な断面図である。 図7は、引裂き試験の評価に用いた直角形試験片の形状を示す図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含む複数の第1の熱可塑性樹脂層と、熱可塑性樹脂を含む複数の第2の熱可塑性樹脂層とを備える。本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、上記第1の熱可塑性樹脂層と上記第2の熱可塑性樹脂層とが、厚み方向に交互に積層された多層構造を有する。上記第1の熱可塑性樹脂層と上記第2の熱可塑性樹脂層との厚み方向の積層数の合計は500層以上である。上記第1の熱可塑性樹脂層と上記第2の熱可塑性樹脂層との全体の厚みは100μm以上である。上記第2の熱可塑性樹脂層の材料の引張弾性率は100MPa以上、1200MPa以下である。上記第1の熱可塑性樹脂層と上記第2の熱可塑性樹脂層との固有屈折率の差の絶対値は、0.03以上である。
本発明では、上述した構成が備えられているので、優れた遮熱性及び優れた可視光透過性などの光学機能を発現させつつ、耐衝撃性を高めることができる。また、熱可塑性樹脂膜において、入射波長350〜800nmにおける入射光の反射率を高めることができる。入射波長300〜800nmにおける入射光を少なくし、入射波長800〜2500nmにおける入射光を高くすることができる。また、熱可塑性樹脂膜において、引裂エネルギーを高めることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る熱可塑性樹脂膜を示す模式的な断面図である。
図1に示す樹脂膜1は、熱可塑性樹脂膜である。樹脂膜1は、複数の第1の熱可塑性樹脂層21と、複数の第2の熱可塑性樹脂層31とが、厚み方向に交互に500層以上積層されて構成されている積層体2である。積層体2は、図示の便宜上、第1の熱可塑性樹脂層21と、第2の熱可塑性樹脂層31との合計の積層数は約20層としているが、第1の熱可塑性樹脂層と、第2の熱可塑性樹脂層との厚み方向の合計の積層数は500層以上である。樹脂膜1は、多層構造を有する。
第1の熱可塑性樹脂層21と第2の熱可塑性樹脂層31とは、樹脂膜1及び積層体2の厚み方向に積層されている。複数の第1の熱可塑性樹脂層21の組成は同一であってもよく、異なっていてもよい。複数の第1の熱可塑性樹脂層21の組成は同一であることが好ましい。複数の第2の熱可塑性樹脂層31の組成は同一であってもよく、異なっていてもよい。複数の第2の熱可塑性樹脂層31の組成は同一であることが好ましい。
樹脂膜1では、複数の第1の熱可塑性樹脂層21と、複数の第2の熱可塑性樹脂層31とは、厚み方向に交互に積層されている。樹脂膜1は、第1の熱可塑性樹脂層21が第2の熱可塑性樹脂層31に挟み込まれた部分を有する。樹脂膜1は、第2の熱可塑性樹脂層31が第1の熱可塑性樹脂層21に挟み込まれた部分を有する。このように、第1の熱可塑性樹脂層21と第2の熱可塑性樹脂層31とが、厚み方向に交互に積層された多層構造を有することによって、樹脂膜の強靭性及び遮熱性を向上させることができる。
合計で500層以上積層されている第1の熱可塑性樹脂層21及び第2の熱可塑性樹脂層31の全てが連続して交互に積層されている必要は無く、第1の熱可塑性樹脂層21及び第2の熱可塑性樹脂層31が交互に積層された多層構造を部分的に有していれば、樹脂膜の強靭性及び遮熱性を向上させることができる。例えば、第1の熱可塑性樹脂層21及び第2の熱可塑性樹脂層31が交互に連続して250層積層した積層体を2つ用意し、2つの該積層体との間に、第3の層とを積層することによって、第1の熱可塑性樹脂層21と第2の熱可塑性樹脂層31とを厚み方向に合計500層積層した場合も、本発明の効果を得ることができる。樹脂膜1は、樹脂膜の強靭性及び遮熱性をより一層向上させることができるから、合計で500層以上積層されている第1の熱可塑性樹脂層21及び第2の熱可塑性樹脂層31の全てが、厚み方向に連続して交互に積層されていることが好ましい。
一方、合計で500層以上積層されている第1の熱可塑性樹脂層21及び第2の熱可塑性樹脂層31の全てが、厚み方向に連続して交互に積層されているのではなく、第1の熱可塑性樹脂層21及び第2の熱可塑性樹脂層31が連続して交互に積層された多層構造を部分的に有する場合、第1の熱可塑性樹脂層21及び第2の熱可塑性樹脂層31は交互に連続して20層以上積層されていることが好ましく、40層以上積層されていることがより好ましい。
樹脂膜1の、複数の第1の熱可塑性樹脂層21及び複数の第2の熱可塑性樹脂層31の厚みは、異なっていてもよく、同一であってもよい。図1に示す樹脂膜1において、第1の熱可塑性樹脂層21の厚みは、それぞれ異なっており、厚み方向に連続的に変化している。同様に、第2の熱可塑性樹脂層31の厚みは、それぞれ異なっており、厚み方向に連続的に変化している。このように互いに厚みが異なる第1の熱可塑性樹脂層21及び第2の熱可塑性樹脂層31が積層されていることが好ましい。互いに厚みが異なる第1の熱可塑性樹脂層21及び第2の熱可塑性樹脂層31が積層されていれば、樹脂膜の遮熱性がより一層向上する。樹脂膜の遮熱性が更により一層向上することから、互いに厚みが異なる第1の熱可塑性樹脂層21及び第2の熱可塑性樹脂層31が20層以上積層されていることが好ましく、40層以上積層されていることがより好ましい。
樹脂膜1を用いて合わせガラスを作製する場合、樹脂膜1では、積層体2の第1の表面2aは、合わせガラス部材が積層される面であり、積層体2の第1の表面2aとは反対の第2の表面2bは、合わせガラス部材が積層される面である。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る熱可塑性樹脂膜を示す模式的な断面図である。
図2に示す樹脂膜12は、第1の熱可塑性樹脂層21と第2の熱可塑性樹脂層31とが、厚み方向に交互に20層積層された構造単位11が、厚み方向に25個以上積層された積層体3である。なお、図示の便宜上、構造単位11を約3個積層としているが、該構造単位11は25個以上積層され、第1の熱可塑性樹脂層21及び第2の熱可塑性樹脂層31は、厚み方向に合計500層以上積層されている。
樹脂膜12で、25個以上積層された構造単位11は、全てが同じ形状をしていてもよく、異なっていてもよい。例えば、図2に示す樹脂膜12において、構造単位11を構成する、約10層の第1の熱可塑性樹脂層21及び約10層の第2の熱可塑性樹脂層31の厚みは、樹脂膜12及び構造単位11の厚み方向に連続的に変化しているが、他に、約10層の第1の熱可塑性樹脂層21及び約10層の第2の熱可塑性樹脂層31の厚みが全て同一である構造単位11が存在していてもよい。
樹脂膜12を用いて合わせガラスを作製する場合、樹脂膜12では、積層体3の第1の表面3aは、合わせガラス部材が積層される面であり、積層体3の第1の表面3aとは反対の第2の表面3bは、合わせガラス部材が積層される面である。
図3は、本発明の第3の実施形態に係る熱可塑性樹脂膜を示す模式的な断面図である。
図3に示す樹脂膜13は、図1に示す積層体2と、積層体2の第1の表面2aに積層された第3の層41と、積層体2の第2の表面2bに積層された第4の層42とを備える。第3の層41及び第4の層42はそれぞれ表面層である。第3の層41と第4の層42との組成は同一であってもよく、異なっていてもよい。1つの第3の層41が、積層体2の第1の表面2aのみに積層されていてもよく、第2の表面2bに第4の層42が積層されていなくてもよい。第3の層41及び第4の層42の2つの層が、積層体2の第1の表面2aと第2の表面2bとに1層ずつ積層されていることが好ましい。
第3の層41の積層体2側とは反対の外側の表面41aに、図示しないが、エンボスが形成されている。外側の表面41aは、必ずしもエンボスが形成されていなくてもよい。第4の層42の積層体2側と反対の外側の表面42aに、図示しないが、エンボスが形成されている。外側の表面42aは、必ずしもエンボスが形成されていなくてもよい。第3の層を設けることによって、更に第3の層と第4の層とを設けることによって、第1の熱可塑性樹脂層21及び第2の熱可塑性樹脂層31の各厚みよりも第3の層又は第4の層の厚みを厚くすることができ、第3の層又は第4の層の外側の表面にエンボスを容易に形成できる。但し、第3の層又は第4の層の厚みは、第1の熱可塑性樹脂層21及び第2の熱可塑性樹脂層31の各厚みよりも必ずしも厚くなくてもよい。
樹脂膜13を用いて合わせガラスを作製する場合、樹脂膜13では、第3の層41の外側の表面41aは、合わせガラス部材が積層される面であり、第4の層42の外側の表面42aは、合わせガラス部材が積層される面である。
図4は、本発明の第4の実施形態に係る熱可塑性樹脂膜を示す模式的な断面図である。
図4に示す樹脂膜14は、図2に示す積層体3と、積層体3の第1の表面3aに積層された第3の層41と、積層体3の第2の表面3bに積層された第4の層42とを備える。第3の層41及び第4の層42はそれぞれ表面層である。第3の層41と第4の層42との組成は同一であってもよく、異なっていてもよい。1つの第3の層41が、積層体3の第1の表面3aのみに積層されていてもよく、第2の表面3bに第4の層42が積層されていなくてもよい。第3の層41及び第4の層42の2つの層が、積層体3の第1の表面3aと第2の表面3bとに1層ずつ積層されていることが好ましい。
第3の層41の積層体3側とは反対の外側の表面41aに、図示しないが、エンボスが形成されている。外側の表面41aは、必ずしもエンボスが形成されていなくてもよい。第4の層42の積層体3側と反対の外側の表面42aに、図示しないが、エンボスが形成されている。外側の表面42aは、必ずしもエンボスが形成されていなくてもよい。第3の層を設けることによって、更に第3の層と第4の層とを設けることによって、第1の熱可塑性樹脂層21及び第2の熱可塑性樹脂層31の各厚みよりも第3の層又は第4の層の厚みを厚くすることができ、第3の層又は第4の層の外側の表面にエンボスを容易に形成できる。但し、第3の層又は第4の層の厚みは、第1の熱可塑性樹脂層21及び第2の熱可塑性樹脂層31の各厚みよりも必ずしも厚くなくてもよい。
樹脂膜14を用いて合わせガラスを作製する場合、樹脂膜14では、第3の層41の外側の表面41aは、合わせガラス部材が積層される面であり、第4の層42の外側の表面42aは、合わせガラス部材が積層される面である。
第3の層41及び第4の層42の各材料としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。樹脂膜13及び樹脂膜14を用いて得られる合わせガラスの耐衝撃性がより一層向上することから、上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルブチラール樹脂であることが好ましい。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜では、上記第1の熱可塑性樹脂層と上記第2の熱可塑性樹脂層との厚み方向の積層数の合計が500層以上であり、好ましくは600層以上、より好ましくは1000層以上である。上記積層数が上記下限以上であると、赤外線の反射に寄与する層界面数が多くなることで赤外線の反射性能が向上し、高い遮熱性能が得られ、また強靭性も向上する。上記積層数の合計は、特に限定されないが、例えば実用面から10000層以下である。
本発明における熱可塑性樹脂膜では、上記第1の熱可塑性樹脂層と上記第2の熱可塑性樹脂層との全体の厚みは100μm以上であり、好ましくは250μm以上である。このため、優れた遮熱性及び優れた可視光透過性などの光学機能を発現させつつ、耐衝撃性を高めることができる。上記第1の熱可塑性樹脂層と上記第2の熱可塑性樹脂層との全体の厚みは好ましくは3.0mm以下、より好ましくは1.5mm以下、更に好ましくは1.0mm以下である。
第2の熱可塑性樹脂層の材料の引張弾性率は、100MPa以上、1200MPa以下である。樹脂膜の成形性、柔軟性及び強靭性を高めるためには、上記第2の熱可塑性樹脂層の材料が、適度な弾性を有することが好ましい。上記引張弾性率は好ましくは200MPa以上、より好ましくは300MPa以上、好ましくは1000MPa以下、より好ましくは900MPa以下、更に好ましくは800MPa以下である。
本発明における熱可塑性樹脂膜では、上記第1の熱可塑性樹脂層及び上記第2の熱可塑性樹脂層の全ての層の1層の厚み(それぞれの層の各厚み)は、好ましくは0.2μm以上、より好ましくは0.3μm以上、更に好ましくは0.4μm以上、好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.9μm以下である。全ての層の1層の厚みが上記下限以上であると、樹脂膜内に形成される多層構造により、可視光及び赤外線をその波長に応じて選択的に反射又は透過させることが可能となり、透明性及び遮熱性により一層優れた樹脂膜を得ることが可能である。全ての層の1層の厚みが上記上限以下であると、可視光域の透明性がより一層高くなる。
本発明における熱可塑性樹脂膜では、上記第1の熱可塑性樹脂層及び上記第2の熱可塑性樹脂層の全ての層の1層の厚みが互いに異なる層が20層以上存在することがより好ましい。樹脂膜を構成する第1の熱可塑性樹脂層及び第2の熱可塑性樹脂層の層厚みを均等としないことで、広い範囲の光波長に対する反射特性を得ることができ、特に赤外線を広帯域の波長に対して反射させることが可能となり、透明かつ遮熱性を共に備えた樹脂膜が得られる。
上記熱可塑性樹脂膜の厚みは、特に限定されないが、実用的には、好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.1mm以上、更に好ましくは0.25mm以上、好ましくは3.0mm以下、より好ましくは1.5mm以下、更に好ましくは1.0mm以下である。熱可塑性樹脂膜の厚みが上記下限以上であると、強靭性、耐衝撃性及び可視光透過性がより一層高くなり、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。熱可塑性樹脂膜の厚みが上記上限以下であると、樹脂膜のコストが低くなる。
上記熱可塑性樹脂膜では、入射光の反射率(平均反射率)が、入射波長300〜800nmにおいて20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。上記熱可塑性樹脂膜では、入射光の反射率が、入射波長800〜2500nmにおいて50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。入射光の反射率が上記範囲内にあることで、樹脂膜を用いた合わせガラスなどは、高い赤外線反射性と可視光透過性を有することになり、遮熱性と可視光透過性とがより一層良好な樹脂膜を得ることができる。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜の引裂エネルギーは、0.05J/mm以上であることが好ましい。引裂エネルギーが上記下限以上であることで、強靭性及び耐衝撃性が充分に高くなる。樹脂膜を用いた合わせガラスを、例えば車両用や建築物用の合わせガラスとして用いた場合、耐衝撃性や耐貫通性などの性能が充分に発現する。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜の表面に、更にポリビニルアセタール樹脂を含む層などの他の樹脂層を積層することも可能である。さらに、熱可塑性樹脂膜の両側の表面の少なくとも一方に、エンボス加工が施されてもよい。エンボス加工を施す方法としては、例えば、リップエンボス法及びロールエンボス法等が挙げられる。
以下、上記第1の熱可塑性樹脂層及び上記第2の熱可塑性樹脂層の詳細について説明する。
(第1の熱可塑性樹脂層)
上記第1の熱可塑性樹脂層は、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含む。
(ポリビニルアセタール樹脂)
上記ポリビニルアセタール樹脂は、他の熱可塑性樹脂との接着性に優れることから、共押出によるフィルム成形に適している。また、上記ポリビニルアセタール樹脂は、ガラス及び金属等の材料に対して高い接着性を有し、更には優れた可視光透過性などで優れた光学的性質を有する。このため、上記ポリビニルアセタール樹脂は、本発明に係る熱可塑性樹脂膜を構成する樹脂材料として好適である。上記ポリビニルアセタール樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)をアルデヒドによりアセタール化して得られる。上記PVAは、通常、ポリ酢酸ビニル樹脂を鹸化することにより得られる。鹸化度が80〜99.8モル%であるPVAが一般的に用いられる。上記ポリビニルアセタール樹脂の平均分子量及び分子量分布は、特に限定されない。
成形性(製膜性)や物性等を考慮すると、PVAの平均重合度は好ましくは200以上、より好ましくは500以上、更に好ましくは1700以上、好ましくは3000以下、より好ましくは2500以下、更に好ましくは2300以下である。PVAの平均重合度が上記下限以上及び上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を用いた樹脂膜の強度が高くなり、合わせガラスの耐貫通性及び衝撃エネルギー吸収性が高くなり、樹脂膜の成形性が高くなり、合わせガラス部材との合わせ加工性も高くなる。
PVAの重合度は平均重合度を示す。該平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。
上記アルデヒドとして、一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、n−ブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド又はn−バレルアルデヒドが好ましく、n−ブチルアルデヒドがより好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、2種類以上のポリビニルアセタール樹脂が混合された混合ポリビニルアセタール樹脂であってもよく、アセタール化時に2種類以上のアルデヒドが併用された共ポリビニルアセタール樹脂であってもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは15モル%以上、より好ましくは18モル%以上、好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、樹脂膜の接着性が高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、樹脂膜の柔軟性が高くなり、樹脂膜の取扱い性が高くなる。また、上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率を高くすることによって、熱可塑性樹脂層の固有屈折率を高くすることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で示した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠して、原料となるポリビニルアルコールの水酸基が結合しているエチレン基量を測定することにより求めることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度(アセチル基量)は、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.5モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下、特に好ましくは10モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、上記ポリビニルアセタール樹脂と上記可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、樹脂膜の耐湿性が高くなる。また、上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度(アセチル基量)を高くすることによって、熱可塑性樹脂層の固有屈折率を低くすることができる。
上記アセチル化度は、主鎖の全エチレン基量から、アセタール基が結合しているエチレン基と、水酸基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で示した値である。上記アセタール基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂ノアセタール化度は、特に限定されないが、好ましくは40モル%以上、より好ましくは60モル%以上、好ましくは85モル%以下、より好ましくは75モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上及び上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなり、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。また、上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度を高くすることによって、熱可塑性樹脂層の固有屈折率を高くすることができる。
上記アセタール化度は、アセタール基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で示した値である。
上記アセタール化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により、アセチル基量とビニルアルコール量(水酸基の含有率)とを測定し、得られた測定結果からモル分率を算出し、ついで、100モル%からアセチル基量とビニルアルコール量とを差し引くことにより算出され得る。
ポリビニルアセタール樹脂のなかでも、PVAをn−ブチルアルデヒドによりブチラール化(アセタール化)して得られるポリビニルブチラール(PVB)樹脂が特に好適に用いられる。
(可塑剤)
ポリビニルアセタール樹脂を含む熱可塑性樹脂層は、可塑剤を含むことが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂に可塑剤を添加することで、樹脂膜の成形性、柔軟性及び強靭性が向上する。更に、第2の熱可塑性樹脂層の固有屈折率が第1の熱可塑性樹脂層の固有屈折率より高い場合には、ポリビニルアセタール樹脂に可塑剤を添加することで、第1の熱可塑性樹脂層の固有屈折率を低下させることができ、第2の熱可塑性樹脂層との固有屈折率差をより大きくして、可視光透過性及び遮熱性が高い樹脂膜を得ることができる。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステルなどの有機酸エステル可塑剤、並びに有機リン酸エステル可塑剤及び有機亜リン酸エステル可塑剤などの有機リン酸エステル可塑剤等が挙げられる。なかでも、有機酸エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
上記一塩基性有機酸エステルとしては、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、n−ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
上記多塩基性有機酸エステルとしては、多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物等が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。上記一塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル、並びにトリエチレングリコール又はトリプロピレングリコールと一塩基性有機酸とのエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、n−ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
上記多塩基性有機酸エステルとしては、多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物等が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
上記有機エステル可塑剤としては、トリエチレングリコールジ−2−エチルプロパノエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリレート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。上述のアジピン酸エステル以外の他のアジピン酸エステルを用いてもよい。
上記有機リン酸可塑剤としては、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
上記可塑剤は、下記式(1)で表されるジエステル可塑剤であることが好ましい。
Figure 2015193514
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、炭素数2〜10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn−プロピレン基を表し、pは3〜10の整数を表す。上記式(1)中のR1及びR2はそれぞれ、炭素数5〜10の有機基であることが好ましく、炭素数6〜10の有機基であることがより好ましい。
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、炭素数5〜10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn−プロピレン基を表し、pは3〜10の整数を表す。上記式(1)中のR1及びR2はそれぞれ、炭素数6〜10の有機基であることが好ましい。
上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)又はトリエチレングリコールジ−2−エチルプロパノエートであることが好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート又はトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレートであることがより好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートであることが更に好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含む層において、上記ポリビニルアセタール樹脂に対する可塑剤の添加量は、PVAの平均重合度、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度及びアセチル化度等によって適宜調整することができ、特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、上記可塑剤の含有量は好ましくは20重量部以上、より好ましくは30重量部以上、好ましくは100重量部以下、より好ましくは60重量部以下である。上記可塑剤の含有量が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂が十分に可塑化され、成形性(製膜性)が高くなり、かつ可塑剤のブリードアウトが生じ難くなり、樹脂膜の可視光透過性及び接着性がより一層良好になる。
(第2の熱可塑性樹脂層)
上記第2の熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂に関しては、上記第1の熱可塑性樹脂層と上記第2の熱可塑性樹脂層との固有屈折率の差の絶対値が0.03以上となるように、適宜選択される。上記熱可塑性樹脂は特に限定されない。上記第2の熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記第1の熱可塑性樹脂層及び上記第2の熱可塑性樹脂層の固有屈折率は、例えば、以下の方法によって測定できる。
第1の熱可塑性樹脂層を形成するための組成物を二軸スクリュー式押出機に供給して溶融混錬し、Tダイに導入して拡幅したのち開口部から吐出させ、直ちに冷却固化し、熱可塑性樹脂シートを得る。上記シートの幅方向中央部分より幅10mm、長さ30mmの採寸で切出したシート片を得る。このシート片について、アッベ屈折計(ERMA社製「ER−7MW」)を用いて、JIS K7142に準拠し、23℃で、D線(波長589.3nm)により、屈折率nDを測定する。得られた屈折率nDを固有屈折率とする。同様の方法により第2の熱可塑性樹脂層の固有屈折率を測定できる。
上記第1の熱可塑性樹脂層と上記第2の熱可塑性樹脂層とは、固有屈折率の差の絶対値が0.03以上であれば特に限定されず、第1の熱可塑性樹脂層の固有屈折率が第2の熱可塑性樹脂層の固有屈折率よりも高くてもよく、第2の熱可塑性樹脂層の固有屈折率が第1の熱可塑性樹脂層の固有屈折率よりも高くてもよい。多層構造が同じであるときに、光線反射性及び遮熱性がより高くなることから、上記第1の熱可塑性樹脂層と上記第2の熱可塑性樹脂層との固有屈折率の差の絶対値は、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.08以上である。上記固有屈折率の差の絶対値の上限は特に限定されない。上記固有屈折率の差の絶対値は、例えば1以下である。
上記第1の熱可塑性樹脂層の固有屈折率が上記第2の熱可塑性樹脂層の固有屈折率よりも0.03以上高い場合には、上記第2の熱可塑性樹脂層に含まれる上記熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂よりも低い固有屈折率を有する熱可塑性樹脂であることが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂より低い固有屈折率を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、フッ素樹脂等が挙げられる。上記フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
上記第2の熱可塑性樹脂層の固有屈折率が上記第1の熱可塑性樹脂層の固有屈折率よりも0.03以上高い場合には、上記第2の熱可塑性樹脂層に含まれる上記熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂よりも高い固有屈折率を有する熱可塑性樹脂であることが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂より高い固有屈折率を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アセチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、及び環状オレフィン樹脂等が挙げられる。なかでも、比較的固有屈折率が高いことから、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂又はポリエステル樹脂が好ましい。
上記第2の熱可塑性樹脂層に含まれる上記熱可塑性樹脂は、アクリル酸エステル、共役ジエン単量体及びスチレン単量体からなる群から選ばれる少なくとも2種を共重合して得られる熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂Rと記載することがある)であることが好ましい。この熱可塑性樹脂Rの固有屈折率は比較的高く、かつこの熱可塑性樹脂Rは適度な弾性率を有する。上記熱可塑性樹脂Rは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱可塑性樹脂Rは、下記式(11)で表されるアクリル酸エステルを重合成分として用いて得られることが好ましい。
Figure 2015193514
上記式(11)中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子が炭化水素基に結合した基、アミン構造を含む基が炭化水素基に結合した基、又はエーテル構造を含む基が炭化水素基に結合した基である。上記式(11)中、R1は、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
上記アクリル酸エステルの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−へキシル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸n−トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ナフチル、(メタ)アクリル酸2,4,6−トリクロロフェニル、(メタ)アクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルオリル、(メタ)アクリル酸2,3−ジブロモプロピル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸ヘキサフルオロイソプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3−トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ネオペンチルジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、二官能エポキシ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンテトラアクリレート、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルラウリロラクタム、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、PEG#200ジ(メタ)アクリレート、PEG#400ジ(メタ)アクリレート、PEG#600ジ(メタ)アクリレート、及び多官能ウレタンアクリレート等が挙げられる。なお、上記(メタ)アクリルは、アクリル又はメタクリルを意味する。上記アクリル酸エステルは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
樹脂膜の可視光透過性、遮熱性、強靭性、及び耐久性をより一層高める観点からは、(メタ)アクリロイル基の誘導基を分子側鎖に有するアクリル酸エステルを重合成分として用いることが好ましい。アクリル酸エステルは、メタクリル酸メチルであることがより好ましい。
上記熱可塑性樹脂Rを得るために用いる重合成分100モル%中、上記アクリル酸エステルの使用量及びメタクリル酸メチルの使用量はそれぞれ、好ましくは5モル%以上、好ましくは70モル%以下である。
上記共役ジエン単量体は、炭素−炭素原子間の二重結合を単量体内に二つ有し、共役構造を有する。上記共役ジエン単量体の具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、ミルセン及びクロロプレン等が挙げられる。上記共役ジエン単量体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
樹脂膜の可視光透過性、遮熱性、強靭性、及び耐久性をより一層高める観点からは、また重合反応性を高くし、かつ容易に入手する観点からは、1,3−ブタジエンが好ましい。
上記熱可塑性樹脂Rを得るために用いる重合成分100モル%中、上記共役ジエン単量体の使用量は好ましくは30モル%以上、好ましくは90モル%以下である。
上記スチレン単量体は、側鎖官能基としてフェニル基を有し、ビニル構造を有する。上記スチレン単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、p−クロロメチルスチレン、及びp−(2−クロロエチル)スチレン等が挙げられる。
樹脂膜の可視光透過性、遮熱性、強靭性、及び耐久性をより一層高める観点からは、また重合反応性を高くし、かつ容易に入手する観点からは、スチレンが好ましい。
上記熱可塑性樹脂Rを得るために用いる重合成分100モル%中、上記スチレン単量体の使用量は好ましくは5モル%以上、好ましくは70モル%以下である。
上記熱可塑性樹脂Rの具体例としては、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS)、メタクリル酸メチル−スチレン−ブタジエン共重合体(MBS)、スチレン−ブタジエン共重合体(SB)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SI)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、及びスチレン−ビニル・イソプレン−スチレンブロック共重合体(SVIS)等が挙げられる。中でも、一定の固有屈折率及び引張弾性率を有し、樹脂膜の可視光透過性、遮熱性、強靭性、及び耐久性をより一層高めることができるため、MS樹脂、MBS樹脂又はSB樹脂が好ましい。
上記熱可塑性樹脂を得る重合方法として、公知のラジカル重合方法を用いることができ、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法及び乳化重合法のいずれも選択可能である。
(他の成分)
上記熱可塑性樹脂膜において、上記第1の熱可塑性樹脂層、上記第2の熱可塑性樹脂層、上記第3の層及び上記第4の層に、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、接着力調整剤、耐湿剤、滑剤、着色剤、熱線反射剤、熱線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤を用いてもよい。これらの添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(熱可塑性樹脂膜の製造方法)
本発明における熱可塑性樹脂膜の製造方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、原料樹脂を押出機に供給して溶融混練し、押出機の先端に取り付けられた金型からフィルム状に押出した後、静電印荷キャスト法、タッチロール法、又はエアーナイフキャスト法により、冷却ロール上で冷却固化し、長尺状の膜に成膜する溶融押出法、並びに上記熱可塑性樹脂を有機溶媒に溶解した溶液を、ドラム、若しくは無端ベルト等の上に流延した後、有機溶媒を蒸発させて、長尺状の膜に成膜する溶液流延法等の成形法を用いることができる。製造が容易であり、製造コストが低い点で、溶融押出法が好ましい。
上記熱可塑性樹脂膜の製造方法としては、熱可塑性樹脂が厚み方向に多数積層される熱可塑性樹脂膜の製造方法であって、熱可塑性樹脂を、溶融押出法により溶融混練、及び積層拡張してフィルム状に成形し、多層溶融樹脂積層体を得る工程(1)と、上記溶融樹脂積層体をダイ開口部から吐出して、冷却ロールにより冷却して、熱可塑性樹脂膜を得る工程(2)とを有する、熱可塑性樹脂膜の製造方法が挙げられる。
上記工程(1)は、熱可塑性樹脂を溶融押出法により溶融混練した後、積層してから拡張する、又は拡張してから積層するなどによりフィルム状に成形し、溶融樹脂積層体を得る工程である。
上記溶融押出法としては、平面状の膜を成形するために、ダイリップ開口部を細長い形状とする必要があるので、Tダイ成形法が好ましい。上記Tダイ成形法において、上記Tダイには、樹脂流入部及びマニホールドが設けられる。マニホールドは、樹脂流入部よりも幅方向に長く、樹脂流入部に接続した構造を有する。上記、樹脂流入部から供給された樹脂は、マニホールド内で幅方向に拡大するように流れた後、ダイ開口部のリップランドへと輸送される。
上記溶融押出法としては、また、複数の熱可塑性樹脂組成物を膜状に成形して積層し、樹脂積層体を形成する溶融押出方法として、共押出法が挙げられる。上記共押出法は、複数の熱可塑性樹脂組成物を個別の成形機より溶融状態で押出した後、金型に導入し、金型内外で溶融状態のまま積層する方法である。上記共押出は、押出された熱可塑性樹脂組成物を積層するタイミングや成形精度によって、フィードブロック方式、マルチマニホールド方式、マルチスロットダイ方式、及びスタティックミキサー方式など数種類の方式に大別される。本発明では、比較的多数の層を高精度で積層する必要があることから、上記フィードブロック法が好ましい。
上記フィードブロック方式は、樹脂流入部で2種類以上の熱可塑性樹脂組成物を積層状態として、フラットダイのマニホールドに供給し、マニホールド内で積層状態を維持しながら幅方向を拡大させて、ダイリップ開口部から積層状態で吐出する方式である。上記フィードブロック方式は、積層される熱可塑性樹脂組成物ごとにマニホールドを設ける必要が無いので、他の方式に比べてフラットダイの構造を簡単にすることが可能であり、従って操業性及びメンテナンス性に優れる。
上記フィードブロックの構造は、主に複数の上流側流路と、合流部と、下流側流路とを有する。上流側流路から流入する複数の樹脂を、上記フィードブロック内の合流部において、樹脂流れを複数の流路に導入して分割し、かつ分割された樹脂流れが交互に積層されるように、樹脂流路を交互に配置して厚み方向に積層状態に合流させ、合流した溶融樹脂積層体を、下流側流路から下流側の流路アダプタやフラットダイ等に流出させて積層樹脂膜又はフィルムを成形する。
厚み方向に互いに異なる厚みを有する層を成形するためには、上記フィードブロック内合流部の樹脂流路を、20層以上備え、かつその幅が互いに異なる樹脂流路とすることが好ましい。なお、流路幅の比は得られる樹脂膜の1層当たりの厚み比率に対応し、従って流路幅は所望の厚み及び光学特性に応じて適宣設定される。
上記フィードブロック方式により得られた上記溶融樹脂積層体を、厚み方向に更に積層することで、溶融樹脂積層体よりも更に層数の増加した多層樹脂積層体を得る。上記多層樹脂積層体を得る方法としては、溶融樹脂積層体を厚み方向に積層する手法であれば特に限定されないが、例えば多層用ブロックを用いる方法が挙げられる。上記多層用ブロックとしては、上記フィードブロック内で合流し得られた溶融樹脂積層体を、その表面と垂直方向であり、かつ、製造時の樹脂積層体の流れ方向と平行方向に分割し、分割された樹脂積層体を厚み方向に再び積層し、これを繰り返すことにより多層溶融樹脂積層体を得ることが可能な流路ブロックを用いることができる。
上記共押出成形を実施する際には、熱可塑性樹脂組成物に含まれる樹脂の種類や組成等、目的とする層厚み及び膜幅並びに成形環境や操業性等を考慮して、適宜に、設備仕様、手法及び条件が選択される。
上記工程(1)において、熱可塑性樹脂組成物を溶融混練する温度は、上記熱可塑性樹脂が非晶性樹脂である場合、該非晶性樹脂のガラス転移温度をTg(℃)としたときに、好ましくは(Tg+50)℃以上、好ましくは(Tg+200)℃以下である。上記温度で溶融混練することにより、膜押出成形時の樹脂流動性に優れ、厚みや長さなどの寸法精度に優れた樹脂膜を得ることが可能である。
上記Tgは示差走査熱量計(TA Instruments社製「DSC2920 Modulated DSC」)を用い、下記の温度プログラム条件において求められる最終昇温時のガラス転移温度である。
温度プログラム条件:
室温から50℃までを10℃/分で昇温して50℃で5分間保持する。50℃から200℃までを10℃/分で昇温して200℃で5分間保持する。200℃から−50℃までを10℃/分で降温して−50℃で5分間保持する。−50℃から200℃までを10℃/分で昇温して200℃で5分間保持する。
以上に説明した工程(1)により、多層溶融樹脂積層体を得ることができる。
上記工程(2)は、上記溶融樹脂積層体をダイ開口部から吐出し、冷却ロールにより冷却して熱可塑性樹脂膜を得る工程である。上記溶融樹脂積層体を上記冷却ロールにより冷却する方法としては、特に限定されないが、静電印荷キャスト法、タッチロール法及びエアーナイフキャスト法が挙げられる。上記工程(2)では、上記樹脂積層体が冷却ロール上で冷却固化され、長尺状の多層フィルムに成形される。
上記工程(2)では、樹脂積層体を急冷することにより、熱可塑性樹脂膜が成形され、実質的に分子が無配向の熱可塑性樹脂膜が得られる。上記冷却ロールの表面温度は、上記熱可塑性樹脂が非晶性樹脂である場合に、該非晶性樹脂のガラス転移温度をTg(℃)としたときに、好ましくは(Tg−150)℃以上、好ましくは(Tg)℃以下である。
以上に説明した工程(2)により、上記熱可塑性樹脂膜を得ることができる。
(合わせガラス)
本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、合わせガラスを得るために好適に用いられる。本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、合わせガラス用中間膜であることが好ましい。
本発明に係る合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、上記熱可塑性樹脂膜である合わせガラス用中間膜とを備える。上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に、上記合わせガラス用中間膜が配置されている。
図5は、図1に示す熱可塑性樹脂膜を備えた合わせガラスを示す模式的な断面図である。
図5に示す合わせガラス15は、第1の合わせガラス部材51と、第2の合わせガラス部材52と、樹脂膜1とを備える。樹脂膜1は、第1の合わせガラス部材51と第2の合わせガラス部材52との間に配置されており、挟み込まれている。第1の合わせガラス部材51は、樹脂膜1である積層体2の第1の表面2aに積層されている。第2の合わせガラス部材52は、樹脂膜1である積層体2の第2の表面2bに積層されている。従って、合わせガラス15は、第1の合わせガラス部材51と、樹脂膜1である積層体2と、第2の合わせガラス部材52とがこの順で積層されて構成されている。
図6は、図3に示す熱可塑性樹脂膜を備えた合わせガラスを示す模式的な断面図である。
図6に示す合わせガラス16は、第1の合わせガラス部材51と、第2の合わせガラス部材52と、樹脂膜13とを備える。樹脂膜13は、第3の層41と積層体2と第4の層42とを有する。樹脂膜13は、第1の合わせガラス部材51と第2の合わせガラス部材52との間に配置されており、挟み込まれている。第1の合わせガラス部材51は、第3の層41の外側の表面41aに積層されている。第2の合わせガラス部材52は、第4の層42の外側の表面42aに積層されている。従って、合わせガラス16は、第1の合わせガラス部材51と、第3の層41と、積層体2と、第4の層42と、第2の合わせガラス部材52とがこの順で積層されて構成されている。
上記合わせガラス部材としては、ガラス板、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンフィルム、アクリルフィルム及びポリエステルフィルム等が挙げられる。合わせガラスには、2枚のガラス板の間に樹脂膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に樹脂膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。合わせガラスは、ガラス板を備えた積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。第1の合わせガラス部材及び第2の合わせガラス部材はそれぞれガラス板又はPETフィルムであることが好ましく、合わせガラスは、第1の合わせガラス部材及び第2の合わせガラス部材のうちの少なくとも一方としてガラス板を備えることが好ましい。
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、及び線入り板ガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
上記合わせガラス部材の厚みは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。また、合わせガラス部材がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは3mm以下である。合わせガラス部材がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、好ましくは0.03mm以上、好ましくは0.5mm以下である。
上記合わせガラスの製造方法は特に限定されない。例えば、第1の合わせガラス部材と第2の合わせガラス部材との間に、樹脂膜を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバックに入れて減圧吸引したりして、第1の合わせガラス部材と樹脂膜との間及び第1の合わせガラス部材と樹脂膜との間に残留する空気を脱気する。その後、約70〜110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120〜150℃及び1〜1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、合わせガラスを得ることができる。上記第2の層の上記積層体側とは反対の外側の表面にエンボスが形成されている場合には、第1と中間膜との間、及び第2の合わせガラス部材と中間膜との間に残留する空気をより一層効果的に脱気できる。
合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。合わせガラスは、これら以外にも使用できる。合わせガラスは、建築用又は車両用の合わせガラスであることが好ましく、車両用の合わせガラスであることがより好ましい。合わせガラスは、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。また、上記合わせガラスは、他の無機膜もしくは有機膜と積層して用いることにより、例えば遮音性を付与した遮音性合わせガラスなどの機能性合わせガラスとして用いることもできる。
なお、本発明の熱可塑性樹脂膜は、ガラス以外の剛性体と積層することにより、例えば、金属や無機材料等と積層することにより、制振素材として用いることもできる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
ポリビニルブチラール樹脂(平均重合度1700、アセチル化度0.7mol%、ブチラール化度69mol%)100重量部と、可塑剤であるトリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘサノエート40重量部と、接着力調整剤である酢酸マグネシウム/2−エチル酪酸マグネシウムの重量比1:1の混合物を、樹脂組成物全量に対してマグネシウム量が50ppmになるように、二軸スクリュー式押出成形機Iに供給して溶融混練し、第1の熱可塑性樹脂層を形成するための組成物(固有屈折率=1.4809)を得た。
同時に、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂(電気化学工業社製「デンカTXポリマー800LF」、引張弾性率=779MPa)を、二軸押出成形機Iに併設した二軸スクリュー押出成形機II(シリンダー径D=30mm、L/D=45)に供給して溶融混練し、第2の熱可塑性樹脂層を形成するための組成物(固有屈折率=1.5487)を得た。
上記第1の熱可塑性樹脂層を形成するための組成物及び上記第2の熱可塑性樹脂層を形成するための組成物を、それぞれフィードパイプを介して40層のフィードブロック(以下適宜「FB」と称す)に輸送し、かつ厚み方向に交互に合計20層積層されるように、FB内でこれらを合流させて樹脂積層体を作製した。更に、上記FBの下流部に、2分割して積層可能な多層用ブロックを合計4セット取付け、上記40層積層した樹脂積層体を、厚み方向に16個積層することにより積層数の合計を640層として、Tダイに導入して拡幅し、ダイリップ開口部から吐出させて溶融樹脂積層体を得た。Tダイは、ストレート型マニホールドを備え、かつ、ダイリップ開口部が長方形であり、その長手幅が1500mmで、かつ長手方向に対する垂直方向の幅が2.5mmであった。上記溶融樹脂積層体を、Tダイのダイリップ開口部から、クロムメッキを施し20℃に温度調整された冷却ロール上に、引取速度10m/分で溶融押出し、冷却固化させてシート状に連続成膜し、スリット工程で膜端部を、膜中心から左右対称に設置したシェア刃でスリットして除去し、巻取張力70N/m幅で塩化ビニル樹脂製コアにロール状に巻取り、幅方向の平均厚み(第1の熱可塑性樹脂層と第2の熱可塑性樹脂層との全体の厚み)が481μmの樹脂膜を作製した。
(実施例2)
メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂を、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(電気化学工業社製「デンカTHポリマーTH−11」、引張弾性率=509MPa)に変更し、第2の熱可塑性樹脂層を形成するための組成物(固有屈折率=1.5561)を得たこと以外は実施例1と同様にして、幅方向の平均厚みが461μmである樹脂膜を得た。
(実施例3)
メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂を、ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(電気化学工業社製「クリアレン530L」、引張弾性率=342MPa)に変更し、第2の熱可塑性樹脂層を形成するための組成物(固有屈折率=1.5807)を得たこと以外は実施例1と同様にして、幅方向の平均厚みが419μmである樹脂膜を得た。
(実施例4)
ポリビニルブチラール樹脂を、ポリビニルブチラール樹脂(平均重合度2300、アセチル化度15mol%、ブチラール化度61mol%)に変更し、第1の熱可塑性樹脂層を形成するための組成物(固有屈折率=1.4756)を得たこと以外は実施例1と同様にして、幅方向の平均厚みが490μmである樹脂膜を得た。
(実施例5)
合流した第2の熱可塑性樹脂層を形成する組成物及び第1の熱可塑性樹脂層を形成する組成物が各々20層となるように、40層のFB内で樹脂を合流して樹脂積層体を得て、かつ厚み方向に交互に積層した構造とし、上記FBの下流部に、2分割して積層可能な多層用ブロックを合計5セット取付け、上記40層積層した樹脂積層体を、厚み方向に32個積層することにより積層数の合計を1280としたこと以外は実施例1と同様にして、幅方向の平均厚みが702μmである樹脂膜を得た。
(比較例1)
押出機II、FB、多層用ブロックを使用せず、押出機IのみでPVB樹脂の単層膜を得たこと以外は実施例1と同様にして、幅方向の平均厚みが533μmである樹脂膜を得た。
(比較例2)
メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂を、ポリスチレン樹脂(東洋スチレン社製「トーヨースチロール、HRM26」、引張弾性率=1785MPa)に変更し、第2の熱可塑性樹脂層を形成するための組成物(固有屈折率=1.5910)を得たこと以外は実施例1と同様にして、幅方向の平均厚みが486μmである樹脂膜を得た。
(比較例3)
メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂を、ポリメチルメタクリレート樹脂(クラレ社製、商品名「パラペットHR−L」、引張弾性率=1450MPa)に変更し、第2の熱可塑性樹脂層を形成するための組成物(固有屈折率=1.4902)を得たこと以外は実施例1と同様にして、幅方向の平均厚みが462μmである樹脂膜を得た。
(比較例4)
合流した第2の熱可塑性樹脂層を形成する組成物及び第1の熱可塑性樹脂層を形成する組成物が各々10層となるように、20層のFB内で樹脂を合流して樹脂積層体を得て、かつ厚み方向に交互に積層した構造とし、上記FBの下流部に、2分割して積層可能な多層用ブロックを合計3セット取付け、上記20層積層した樹脂積層体を、厚み方向に8個積層することにより積層数の合計を160としたこと以外は実施例1と同様にして、幅方向平均厚みが505μmである樹脂膜を得た。
(比較例5)
合流した第2の熱可塑性樹脂層を形成する組成物及び第1の熱可塑性樹脂層を形成する組成物が各々10層となるように、20層のFB内で樹脂を合流して樹脂積層体を得て、かつ厚み方向に交互に積層した構造とし、上記FBの下流部に、2分割して積層可能な多層用ブロックを合計4セット取付け、上記20層積層した樹脂積層体を、厚み方向に16個積層することにより積層数の合計を320としたこと以外は実施例3と同様にして、幅方向の平均厚みが392μmである樹脂膜を得た。
(評価)
(1)固有屈折率
第1の熱可塑性樹脂層を形成するための組成物を二軸スクリュー式押出機に供給して溶融混錬し、Tダイに導入して拡幅したのち開口部から吐出させ、直ちに冷却固化しシート状の熱可塑性樹脂シートを得た。上記シートの幅方向中央部分より幅10mm、長さ30mmの採寸で切出したシート片を得た。得られたシート片について、アッベ屈折計(ERMA社製「ER−7MW」)を用いて、JIS K7142に準拠し、23℃で、D線(波長589.3nm)により屈折率nDを測定した。屈折率nDを、第1の熱可塑性樹脂層の固有屈折率とした。また、同様の方法により、第2の熱可塑性樹脂層の固有屈折率を測定した。
(2)引張弾性率
上記固有屈折率測定で用いた熱可塑性樹脂シートよりシート片を切出した。JIS K7127及びJIS K7161に記載の引張試験方法に準拠して測定した。なお、測定は、上記熱可塑性樹脂シートの長手方向及び幅方向について行い、その平均値を引張弾性率とした。また測定は、温度23℃、相対湿度50%RHの条件下で行った。
(3)樹脂膜の積層数、第1の熱可塑性樹脂層及び第2の熱可塑性樹脂層の全体における厚み(厚みの合計、最大厚み及び最小厚み)
上記樹脂膜の幅方向中央部分を、ミクロトームにより長手方向平行に切断し、膜断面を得た。該膜断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)(日立製作所社製「S−4800」)又はデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製「VHX−200」)を用いて観察して画像撮影し、断面の幅方向中心部の拡大画像を得た。該画像から全ての層の厚みを各々測定した。第1の熱可塑性樹脂層及び第2の熱可塑性樹脂層の全体における厚み(厚みの合計、最大厚み及び最小厚み)を算出した。なお、断面観察及び画像撮影は、実施例1〜5及び比較例2,3ではSEMを用い、比較例1,4〜5ではマイクロスコープを用いた。
(4)反射率
上記樹脂膜の表面を、♯400のサンドペーパーで研磨した後、黒色塗料を塗布し測定片を得た。続いて(日立ハイテクノロジー社製「U−4100」)を用いて、上記測定片の非研磨面より、波長350〜800nmの光を入射角5°で入射し、波長1nmピッチで反射率を測定した。得られた反射率データより算出した、波長300〜800nmにおける測定データの平均値、及び800〜2500nmにおける測定データの平均値を、反射率として求めた。
(5)引裂エネルギー
ダンベルカッターを用いて、上記樹脂膜を切り抜き、図7に示す形状の直角形試験片を用意した。JIS K7128に指定された方法に準拠し、A&D社製「テンシロン RTG−1310」を用いて、上記試験片の引裂き試験を行い、引張速度500mm/分で測定を行い、得られた引裂力−歪み曲線より、引裂エネルギーを算出した。
実施例及び比較例の詳細及び評価結果を下記の表1に示す。下記の表1において、「PVB」は、ポリビニルブチラール樹脂を示し、「MS樹脂」はメタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂を示し、「MBS樹脂」はメタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂を示し、「SB樹脂」はスチレン−ブタジエン共重合樹脂を示し、「PS樹脂」はポリスチレン樹脂を示し、「PMMA樹脂」はポリメチルメタクリレート樹脂を示す。
Figure 2015193514
上記の表1に示す結果から、実施例1〜5の樹脂膜では、遮熱性及び可視光透過性に優れており、更に耐衝撃性にも優れていた。実施例1〜5の樹脂膜の引裂エネルギーはいずれも0.05J/mm以上であり、この樹脂膜を用いて合わせガラスでは、優れた耐衝撃性及び優れた耐貫通性などが得られる。比較例1の樹脂膜では、単層であるため、赤外域に相当する入射波長800〜2500nmの光線反射性が劣っていた。比較例2の樹脂膜では、第2の熱可塑性樹脂層の材料の引張弾性率が大きく、耐衝撃性や耐貫通性などが劣っていた。比較例3の樹脂膜では、第1の熱可塑性樹脂層と第2の熱可塑性樹脂層との固有屈折率の差の絶対値が0.03未満であることから、赤外域における光線反射性に劣っていた。比較例4,5の樹脂膜では、積層数が500未満であることなどから、赤外域における光線反射性に劣り、更には引裂エネルギーが小さくなり、耐衝撃性や耐貫通性などが劣っていた。
1,12,13,14…樹脂膜
11…構造単位
15,16…合わせガラス
2,3…積層体
2a,3a…第1の表面
2b,3b…第2の表面
21…第1の熱可塑性樹脂層
31…第2の熱可塑性樹脂層
41…第3の層
41a…外側の表面
42…第4の層
42a…外側の表面
51…第1の合わせガラス部材
52…第2の合わせガラス部材

Claims (7)

  1. ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含む複数の第1の熱可塑性樹脂層と、熱可塑性樹脂を含む複数の第2の熱可塑性樹脂層とを備え、
    前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層とが、厚み方向に交互に積層された多層構造を有し、
    前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層との厚み方向の積層数の合計が500層以上であり、
    前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層との全体の厚みが100μm以上であり、
    前記第2の熱可塑性樹脂層の材料の引張弾性率が100MPa以上、1200MPa以下であり、
    前記第1の熱可塑性樹脂層と前記第2の熱可塑性樹脂層との固有屈折率の差の絶対値が0.03以上である、熱可塑性樹脂膜。
  2. 前記第2の熱可塑性樹脂層に含まれる前記熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂とは異なる熱可塑性樹脂である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂膜。
  3. 前記第2の熱可塑性樹脂層に含まれる前記熱可塑性樹脂が、アクリル酸エステル、共役ジエン単量体及びスチレン単量体からなる群から選ばれる少なくとも2種を共重合して得られる熱可塑性樹脂である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂膜。
  4. 入射光の反射率が、入射波長300〜800nmにおいて20%以下であり、かつ入射波長800〜2500nmにおいて50%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜。
  5. 引裂エネルギーが、0.05J/mm以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜。
  6. 合わせガラスを得るために用いられ、
    合わせガラス用中間膜である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜。
  7. 第1の合わせガラス部材と、
    第2の合わせガラス部材と、
    請求項6に記載の熱可塑性樹脂膜である合わせガラス用中間膜とを備え、
    前記第1の合わせガラス部材と前記第2の合わせガラス部材との間に、前記合わせガラス用中間膜が配置されている、合わせガラス。
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