JP2016069278A - 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】合わせガラスの剛性を高めることができ、かつ中間膜のリサイクル性を高めることができる合わせガラス用中間膜を提供する。【解決手段】本発明に係る合わせガラス用中間膜は、第1の層と、前記第1の層の第1の表面側に配置された第2の層とを備え、前記第1の層が、ポリビニルアセタール樹脂に由来する骨格及び第2の樹脂成分に由来する骨格を有する共重合体を含み、前記第2の層が、ポリビニルアセタール樹脂を含み、前記第1の層中の前記共重合体を構成する前記第2の樹脂成分が、アクリル重合体、ウレタン重合体、シリコーン重合体、ゴム、又は酢酸ビニル重合体である。【選択図】図1

Description

本発明は、合わせガラスを得るために用いられる合わせガラス用中間膜に関する。また、本発明は、上記合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスに関する。
合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片の飛散量が少なく、安全性に優れている。このため、上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に広く使用されている。上記合わせガラスは、2つのガラス板の間に合わせガラス用中間膜を挟み込むことにより、製造されている。
上記合わせガラス用中間膜としては、1層の構造を有する単層の中間膜と、2層以上の構造を有する多層の中間膜とがある。
上記合わせガラス用中間膜の一例として、下記の特許文献1には、アセタール化度が60〜85モル%のポリビニルアセタール樹脂100重量部と、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の内の少なくとも一種の金属塩0.001〜1.0重量部と、30重量部を超える可塑剤とを含む遮音層が開示されている。この遮音層は、単層で中間膜として用いられ得る。
さらに、下記の特許文献1には、上記遮音層と他の層とが積層された多層の中間膜も記載されている。遮音層に積層される他の層は、アセタール化度が60〜85モル%のポリビニルアセタール樹脂100重量部と、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の内の少なくとも一種の金属塩0.001〜1.0重量部と、30重量部以下である可塑剤とを含む。
下記の特許文献2には、33℃以上のガラス転移温度を有するポリマー層である中間膜が開示されている。特許文献2では、上記ポリマー層が、厚みが4.0mm以下であるガラス板の間に配置されることが記載されている。
特開2007−070200号公報 US2013/0236711A1
特許文献1,2に記載のような従来の中間膜を用いた合わせガラスでは、剛性が低いことがある。このため、例えば自動車のサイドドアに使用される場合、合わせガラスを固定する枠がなく、合わせガラスの剛性が低いことに起因する撓みが原因で、ガラスの開閉に支障をきたすことがある。
また、近年、合わせガラスを軽量化するために、ガラス板の厚みを薄くすることが求められている。2つのガラス板の間に中間膜が挟み込まれた合わせガラスにおいて、ガラス板の厚みを薄くすると、剛性を充分に高く維持することが極めて困難であるという問題がある。
また、中間膜を得るために、中間膜を得るために少なくとも1回用いられた回収材料(回収中間膜)を再利用することが望まれている。
本発明の目的は、合わせガラスの剛性を高めることができ、かつ中間膜のリサイクル性を高めることができる合わせガラス用中間膜を提供することである。また、本発明は、上記合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することも目的とする。
本発明の広い局面によれば、第1の層と、前記第1の層の第1の表面側に配置された第2の層とを備え、前記第1の層が、ポリビニルアセタール樹脂に由来する骨格及び第2の樹脂成分に由来する骨格を有する共重合体を含み、前記第2の層が、ポリビニルアセタール樹脂を含み、前記第1の層中の前記共重合体を構成する前記第2の樹脂成分が、アクリル重合体、ウレタン重合体、シリコーン重合体、ゴム、又は酢酸ビニル重合体である、合わせガラス用中間膜が提供される。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、前記第1の層中の前記共重合体における前記第2の樹脂成分に由来する骨格が示す損失正接のピーク温度が−30℃以上、10℃以下である。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、前記第1の層中の前記共重合体における前記ポリビニルアセタール樹脂に由来する骨格と前記第1の層中の前記共重合体における前記第2の樹脂成分に由来する骨格との合計100重量%中、前記第1の層中の前記共重合体における前記ポリビニルアセタール樹脂に由来する骨格の含有量が5重量%以上、60重量%以下、前記第1の層中の前記共重合体における前記第2の樹脂成分に由来する骨格の含有量が40重量%以上、95重量%以下である。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、前記第1の層中の前記共重合体を構成する前記第2の樹脂成分が、アクリル重合体である。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、前記合わせガラス用中間膜は、前記第1の層の前記第1の表面とは反対の第2の表面側に配置された第3の層を備え、前記第3の層が、ポリビニルアセタール樹脂を含む。
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、前記第2の層が可塑剤を含み、前記第3の層が可塑剤を含む。
本発明の広い局面によれば、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、上述した合わせガラス用中間膜とを備え、前記第1の合わせガラス部材と前記第2の合わせガラス部材との間に、前記合わせガラス用中間膜が配置されている、合わせガラスが提供される。
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、第1の層と、上記第1の層の第1の表面側に配置された第2の層とを備え、上記第1の層が、ポリビニルアセタール樹脂に由来する骨格及び第2の樹脂成分に由来する骨格を有する共重合体を含み、上記第2の層が、ポリビニルアセタール樹脂を含み、上記第1の層中の上記共重合体を構成する上記第2の樹脂成分が、アクリル重合体、ウレタン重合体、シリコーン重合体、ゴム、又は酢酸ビニル重合体であるので、中間膜を用いた合わせガラスの剛性を高めることができ、かつ中間膜のリサイクル性を高めることができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。 図2は、図1に示す合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を模式的に示す断面図である。 図3は、曲げ剛性の測定方法を説明するための模式図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(合わせガラス用中間膜)
本発明に係る合わせガラス用中間膜(本明細書において、「中間膜」と略記することがある)は、2層以上の構造を有する。
本発明に係る中間膜は、第1の層と、上記第1の層の第1の表面側に配置された第2の層とを備える。上記第2の層は、ポリビニルアセタール樹脂を含む。上記第1の層は、ポリビニルアセタール樹脂に由来する骨格(ポリビニルアセタール樹脂ユニット)及び第2の樹脂成分に由来する骨格(第2の樹脂成分ユニット)を有する共重合体を含む。上記第1の層中の上記共重合体を構成する上記第2の樹脂成分は、アクリル重合体、ウレタン重合体、シリコーン重合体、ゴム、又は酢酸ビニル重合体である。上記第2の樹脂成分は、ポリビニルアセタール樹脂とは異なる樹脂である。上記共重合体は、ポリビニルアセタール樹脂に由来する骨格及び第2の樹脂成分に由来する骨格を有し、ポリビニルアセタール樹脂−第2の樹脂成分共重合体である。
本発明に係る中間膜では、上記の構成が備えられているので、中間膜を用いた合わせガラスの剛性を高めることができ、合わせガラスの耐貫通性を高めることができる。また、合わせガラスを得るために、中間膜は、第1の合わせガラス部材と第2の合わせガラス部材との間に配置される。第1の合わせガラス部材の厚みが薄くても、本発明に係る中間膜の使用により、合わせガラスの剛性を充分に高くすることができる。また、第1の合わせガラス部材と第2の合わせガラス部材との双方の厚みが薄くても、本発明に係る中間膜の使用により、合わせガラスの剛性を充分に高くすることができる。
例えば、ガラス板の厚みが薄くても、中間膜に起因して合わせガラスの剛性を高めることができれば、合わせガラスを軽量化することができる。合わせガラスが軽量であると、合わせガラスに用いる材料の量を少なくすることができ、環境負荷を低減することができる。さらに、軽量である合わせガラスを自動車に用いると、燃費を向上させることができ、結果として環境負荷を低減することができる。本発明では、中間膜の剛性が高いので、合わせガラスの軽量化に対応できる。
また、第1の合わせガラス部材と第2の合わせガラス部材との双方の厚みが厚いと、本発明に係る中間膜の使用により、合わせガラスの剛性をかなり高くすることができる。
ところで、中間膜を得るために、中間膜を得るために少なくとも1回用いられた回収材料(回収中間膜)が再利用されることがある。中間膜を得るために少なくとも1回用いられた回収材料(回収中間膜)としては、中間膜の製造工程で発生する中間膜の両端の不要部分(耳)、合わせガラスの製造工程で発生する中間膜の周囲の不要部分(トリム)、合わせガラスの製造工程にて発生した合わせガラスの不良品からガラス板を分離し、除去して得られる合わせガラス用中間膜、並びに使用済の車両及び老朽化した建築物を解体することで得られた合わせガラスから、ガラス板を分離し、除去して得られる中間膜等が挙げられる。なお、中間膜の製造工程で発生する不要となった中間膜も、中間膜を得るために少なくとも1回用いられた回収材料に相当する。中間膜材料を再混練した後のヘイズが低いと、中間膜材料を再利用することができる。本発明では、再混練後のヘイズを低くすることができ、リサイクル性を高めることができる。
本発明の効果により一層優れることから、上記第1の層中の上記共重合体における上記第2の樹脂成分に由来する骨格が示す損失正接のピーク温度は好ましくは−30℃以上、より好ましくは−15℃以上、更に好ましくは−10℃以上、好ましくは10℃以下、より好ましくは3℃以下である。
上記中間膜は、2層の構造を有していてもよく、3層以上の構造を有していてもよく、上記第1の層及び上記第2の層に加えて第3の層を備えていてもよい。上記中間膜は、上記第1の層の上記第1の表面とは反対の第2の表面側に配置された第3の層を備えることが好ましい。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
図1に示す中間膜11は、2層以上の構造を有する多層の中間膜である。中間膜11は、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜11は、合わせガラス用中間膜である。中間膜11は、第1の層1と、第2の層2と、第3の層3とを備える。第1の層1の第1の表面1aに、第2の層2が配置されており、積層されている。第1の層1の第1の表面1aとは反対の第2の表面1bに、第3の層3が配置されており、積層されている。第1の層1は中間層である。第2の層2及び第3の層3はそれぞれ、保護層であり、本実施形態では表面層である。第1の層1は、第2の層2と第3の層3との間に配置されており、挟み込まれている。従って、中間膜11は、第2の層2と第1の層1と第3の層3とがこの順で積層された多層構造(第2の層2/第1の層1/第3の層3)を有する。
なお、第2の層2と第1の層1との間、及び、第1の層1と第3の層3との間にはそれぞれ、他の層が配置されていてもよい。第2の層2と第1の層1、及び、第1の層1と第3の層3とはそれぞれ、直接積層されていることが好ましい。他の層として、ポリエチレンテレフタレート等を含む層が挙げられる。
第1の層1は、上記共重合体を含む。第2の層2は、ポリビニルアセタール樹脂を含む。第3の層3は、ポリビニルアセタール樹脂を含むことが好ましい。
以下、本発明に係る中間膜を構成する各層(上記第1の層、上記第2の層及び上記第3の層)に用いることができる各成分の詳細を説明する。
(共重合体、第2の樹脂成分及びポリビニルアセタール樹脂)
上記第1の層は、上記共重合体を含む。上記共重合体は、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(1)と記載することがある)に由来する骨格及び第2の樹脂成分に由来する骨格を有する。上記第2の層は、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(2)と記載することがある)を含む。上記第3の層は、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(3)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂(1)と上記ポリビニルアセタール樹脂(2)と上記ポリビニルアセタール樹脂(3)とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。上記ポリビニルアセタール樹脂(1)、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なお、本明細書において、ポリビニルアセタール樹脂には、アセトアセタール化された樹脂が含まれる。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールのアセタール化物であることが好ましい。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に70〜99.9モル%である。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、より一層好ましくは1500以上、更に好ましくは1600以上、特に好ましくは2600以上、最も好ましくは2700以上、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3500以下である。上記平均重合度が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記平均重合度が上記上限以下であると、中間膜の成形が容易になる。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。
上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数は2〜5であることが好ましく、2、3又は4であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数が3以上であると、中間膜のガラス転移温度が充分に低くなる。また、上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数が2又は4であることが好ましく、この場合には、ポリビニルアセタール樹脂の生産が効率的である。
上記アルデヒドとして、一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、及びベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド又はn−バレルアルデヒドが好ましく、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド又はイソブチルアルデヒドがより好ましく、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド又はn−ブチルアルデヒドが更に好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは17モル%以上、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは22モル%以上、好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%未満、更に好ましくは30モル%以下、特に好ましくは25モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、中間膜の接着力がより一層高くなる。特に、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率が20モル%以上であると反応効率が高く生産性に優れ、また35モル%未満であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の各含有率は、好ましくは25モル%以上、好ましくは38モル%以下、より好ましくは35モル%以下、更に好ましくは32モル%以下、特に好ましくは30モル%以下、最も好ましくは27.5モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、中間膜の接着力がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、剛性が効果的に高くなる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)のアセチル化度(アセチル基量)は、好ましくは0.01モル%以上、より好ましくは0.1モル%以上、より一層好ましくは7モル%以上、更に好ましくは9モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは15モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、遮音性が高くなり、かつ、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。特に、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)のアセチル化度が0.1モル%以上、25モル%以下であると、耐貫通性に優れる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の各アセチル化度は、好ましくは0.01モル%以上、より好ましくは0.5モル%以上、好ましくは10モル%以下、より好ましくは2モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。
上記アセチル化度は、アセチル基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記アセチル基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは47モル%以上、より好ましくは60モル%以上、好ましくは80モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、第2の樹脂成分との相互作用が高くなり、強靭性が高くなり、かつ、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の各アセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは55モル%以上、より好ましくは67モル%以上、好ましくは75モル%以下、より好ましくは71モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
上記アセタール化度は、主鎖の全エチレン基量から、水酸基が結合しているエチレン基量と、アセチル基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。
なお、上記水酸基の含有率(水酸基量)、アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。但し、ASTM D1396−92による測定を用いてもよい。ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合は、上記水酸基の含有率(水酸基量)、上記アセタール化度(ブチラール化度)及び上記アセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出され得る。
合わせガラスの耐貫通性をより一層良好にする観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)は、アセチル化度(a)が8モル%以下であり、かつアセタール化度(a)が65モル%以上であるポリビニルアセタール樹脂(A)であるか、又はアセチル化度(b)が8モル%を超えるポリビニルアセタール樹脂(B)であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)は、上記ポリビニルアセタール樹脂(A)であってもよく、上記ポリビニルアセタール樹脂(B)であってもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂(A)のアセチル化度(a)は8モル%以下、好ましくは7.5モル%以下、より好ましくは7モル%以下、更に好ましくは6.5モル%以下、特に好ましくは5モル%以下、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.5モル%以上、更に好ましくは0.8モル%以上、特に好ましくは1モル%以上である。上記アセチル化度(a)が上記上限以下及び上記下限以上であると、可塑剤の移行を容易に制御でき、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(A)のアセタール化度(a)は65モル%以上、好ましくは67モル%以上、より好ましくは70モル%以上、より一層好ましくは70.5モル%以上、更に好ましくは71モル%以上、更に一層好ましくは71.5モル%以上、特に好ましくは72モル%以上、好ましくは85モル%以下、より好ましくは83モル%以下、更に好ましくは81モル%以下、特に好ましくは79モル%以下である。上記アセタール化度(a)が上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。上記アセタール化度(a)が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂(A)を製造するために必要な反応時間を短縮できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(A)の水酸基の含有率(a)は好ましくは18モル%以上、より好ましくは19モル%以上、更に好ましくは20モル%以上、特に好ましくは21モル%以上、好ましくは40モル%以下、より好ましくは37モル%以下、より一層好ましくは34モル%以下、更に好ましくは31モル%以下、更に一層好ましくは30モル%以下、特に好ましくは29モル%以下、最も好ましくは28モル%以下である。上記水酸基の含有率(a)が上記下限以上であると、上記第1の層の接着力がより一層高くなる。上記水酸基の含有率(a)が上記上限以下であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(B)のアセチル化度(b)は、8モル%を超え、好ましくは9モル%以上、より好ましくは9.5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上、特に好ましくは10.5モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは28モル%以下、更に好ましくは26モル%以下、特に好ましくは24モル%以下である。上記アセチル化度(b)が上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。上記アセチル化度(b)が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂(B)を製造するために必要な反応時間を短縮できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(B)のアセタール化度(b)は好ましくは50モル%以上、より好ましくは53モル%以上、更に好ましくは55モル%以上、特に好ましくは60モル%以上、好ましくは80モル%以下、より好ましくは78モル%以下、更に好ましくは76モル%以下、特に好ましくは74モル%以下である。上記アセタール化度(b)が上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。上記アセタール化度(b)が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂(B)を製造するために必要な反応時間を短縮できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(B)の水酸基の含有率(b)は好ましくは18モル%以上、より好ましくは19モル%以上、更に好ましくは20モル%以上、特に好ましくは21モル%以上、好ましくは38モル%以下、より好ましくは35モル%以下、より一層好ましくは31モル%以下、更に好ましくは30モル%以下、更に一層好ましくは29モル%以下、特に好ましくは28モル%以下である。上記水酸基の含有率(b)が上記下限以上であると、上記第2の層の接着力がより一層高くなる。上記水酸基の含有率(b)が上記上限以下であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(A)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(B)はそれぞれ、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、又は、ポリビニルブチラール−ポリビニルアセトアセタール樹脂(共アセタール樹脂)であることが好ましく、ポリビニルブチラール樹脂であることがより好ましい。
上記共重合体は、第1の層の形成時に、第1の層に含まれるポリビニルアセタール樹脂と第1の層に含まれる第2の樹脂成分とを混合した後、ポリビニルアセタール樹脂の一部と第2の樹脂成分の一部とを共重合させることで得られていてもよい。
上記共重合体は、予め合成又は準備された後に、第1の層の形成時に、第1の層に含まれるポリビニルアセタール樹脂と第1の層に含まれる第2の樹脂成分とともに混合されてもよい。
剛性をより一層高め、更に広い温度範囲に渡り剛性をより一層高め、特に遮音性をより一層高める観点からは、上記第2の樹脂成分は、アクリル重合体又は酢酸ビニル重合体であることがより好ましく、アクリル重合体であることが更に好ましい。上記重合体には、共重合体が含まれる。
剛性をより一層高め、更に広い温度範囲に渡り剛性をより一層高め、特に遮音性をより一層高める観点からは、アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸エステルを含む重合成分の重合体であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルの種類及び配合量を選択することで、上記第2の樹脂成分に由来する骨格が示すガラス転移温度を容易に制御できる。
剛性をより一層高め、更に広い温度範囲に渡り剛性をより一層高める観点からは、上記第1の層中の上記共重合体における上記第2の樹脂成分に由来する骨格が示すガラス転移温度は、上記第1の層中の上記共重合体における上記ポリビニルアセタール樹脂に由来する骨格が示すガラス転移温度よりも30℃以上低いことが好ましく、35℃以上低いことがより好ましい。なお、上記第1の層中の上記共重合体における上記第2の樹脂成分に由来する骨格が示すガラス転移温度と、上記第1の層中の上記共重合体における上記ポリビニルアセタール樹脂に由来する骨格が示すガラス転移温度との差の絶対値の上限は特に限定されない。この絶対値の上限は好ましくは100℃以下である。
剛性と遮音性とをバランス良く高める観点からは、上記第1の層中の上記共重合体における上記ポリビニルアセタール樹脂に由来する骨格と上記第1の層中の上記共重合体における上記第2の樹脂成分に由来する骨格との合計100重量%中において、好ましくは、上記第1の層中の上記共重合体における上記ポリビニルアセタール樹脂に由来する骨格の含有量が5重量%以上(好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上)、60重量%以下(好ましくは55重量%以下、より好ましくは50重量%以下)、上記第1の層中の上記共重合体における上記第2の樹脂成分に由来する骨格の含有量が40重量%以上(好ましくは45重量%以上、より好ましくは50重量%以上)、95重量%以下(好ましくは90重量%以下、より好ましくは85重量%以下)である。
(可塑剤)
上記第1の層は、可塑剤(以下、可塑剤(1)と記載することがある)を含まないか又は含む。上記第1の層は、可塑剤(1)を含むことが好ましい。上記第2の層は、可塑剤(以下、可塑剤(2)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第3の層は、可塑剤(以下、可塑剤(3)と記載することがある)を含むことが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との併用により、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含む層の合わせガラス部材又は他の層に対する接着力が適度に高くなる。上記可塑剤は特に限定されない。上記可塑剤(1)と上記可塑剤(2)と上記可塑剤(3)とは同一であってもよく、異なっていてもよい。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記可塑剤としては、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などの有機リン酸可塑剤等が挙げられる。なかでも、有機エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
上記一塩基性有機酸エステルとしては、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、n−ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
上記多塩基性有機酸エステルとしては、多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物等が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
上記有機エステル可塑剤としては、トリエチレングリコールジ−2−エチルプロパノエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリレート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。上述のアジピン酸エステル以外の他のアジピン酸エステルを用いてもよい。
上記有機リン酸可塑剤としては、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
上記可塑剤は、下記式(1)で表されるジエステル可塑剤であることが好ましい。
Figure 2016069278
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、炭素数2〜10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn−プロピレン基を表し、pは3〜10の整数を表す。上記式(1)中のR1及びR2はそれぞれ、炭素数5〜10の有機基であることが好ましく、炭素数6〜10の有機基であることがより好ましい。
上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)又はトリエチレングリコールジ−2−エチルプロパノエートを含むことが好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート又はトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレートを含むことがより好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートを含むことが更に好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂(2)100重量部に対する上記可塑剤(2)の含有量(以下、含有量(2)と記載することがある)、並びに上記ポリビニルアセタール樹脂(3)100重量部に対する上記可塑剤(3)の含有量(以下、含有量(3)と記載することがある)はそれぞれ、好ましくは1重量部以上、より好ましくは3重量部以上、更に好ましくは20重量部以上、特に好ましくは25重量部以上、好ましくは40重量部以下、より好ましくは35重量部以下、更に好ましくは32重量部以下、特に好ましくは30重量部以下である。上記含有量(2)及び上記含有量(3)が上記下限以上であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。特に、上記含有量(2)及び上記含有量(3)が20重量部以上であると、剛性が効果的に高くなる。上記含有量(2)及び上記含有量(3)が上記上限以下であると、中間膜の機械的強度がより一層高くなり、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。特に、上記含有量(2)及び上記含有量(3)が35重量部以下であると、合わせガラスの耐貫通性が効果的に高くなる。
上記共重合体100重量部に対する上記可塑剤(1)の含有量(以下、含有量(1)と記載することがある)は、好ましくは0重量部(未使用)以上、より好ましくは1重量部以上、更に好ましくは3重量部以上、好ましくは80重量部以下、より好ましくは70重量部以下、更に好ましくは50重量部以下、特に好ましくは30重量部以下である。上記第1の層は、上記第2の樹脂成分又は上記共重合体を含むので、可塑剤を用いなくてもよく、可塑剤を用いる場合でも可塑剤の含有量を少なくすることができる。可塑剤は比較的高価であるので、可塑剤の使用量を少なくすることで、中間膜のコストを低くすることができる。
中間膜のコストを低くするために、上記含有量(2)は、上記含有量(1)よりも多いことが好ましく、上記含有量(3)は、上記含有量(1)よりも多いことが好ましい。この場合に、中間膜のコストを低くする観点からは、上記含有量(2)と上記含有量(1)との差の絶対値、並びに上記含有量(3)と上記含有量(1)との差の絶対値はそれぞれ、好ましくは2重量部以上、より好ましくは5重量部以上、更に好ましくは8重量部以上である。上記含有量(2)と上記含有量(1)との差の絶対値、並びに上記含有量(3)と上記含有量(1)との差の絶対値はそれぞれ、好ましくは40重量部以下、より好ましくは35重量部以下、より一層好ましくは32重量部以下、更に好ましくは30重量部以下、更に一層好ましくは22重量部以下、特に好ましくは20重量部以下、最も好ましくは15重量部以下である。
(遮熱性化合物)
上記中間膜は、遮熱性化合物を含むことが好ましい。上記第1の層は、遮熱性化合物を含むことが好ましい。上記第2の層は、遮熱性化合物を含むことが好ましい。上記第3の層は、遮熱性化合物を含むことが好ましい。上記遮熱性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
成分X:
上記中間膜は、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも1種の成分Xを含むことが好ましい。上記第1の層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記第2の層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記第3の層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記成分Xは遮熱性化合物である。上記成分Xは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記成分Xは特に限定されない。成分Xとして、従来公知のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物を用いることができる。
上記成分Xとしては、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、ナフタロシアニン、ナフタロシアニンの誘導体、アントラシアニン及びアントラシアニンの誘導体等が挙げられる。上記フタロシアニン化合物及び上記フタロシアニンの誘導体はそれぞれ、フタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記ナフタロシアニン化合物及び上記ナフタロシアニンの誘導体はそれぞれ、ナフタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記アントラシアニン化合物及び上記アントラシアニンの誘導体はそれぞれ、アントラシアニン骨格を有することが好ましい。
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、上記成分Xは、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、ナフタロシアニン及びナフタロシアニンの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、フタロシアニン及びフタロシアニンの誘導体の内の少なくとも1種であることがより好ましい。
遮熱性を効果的に高め、かつ長期間にわたり可視光線透過率をより一層高いレベルで維持する観点からは、上記成分Xは、バナジウム原子又は銅原子を含有することが好ましい。上記成分Xは、バナジウム原子を含有することが好ましく、銅原子を含有することも好ましい。上記成分Xは、バナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニン及びバナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニンの誘導体の内の少なくとも1種であることがより好ましい。中間膜及び合わせガラスの遮熱性を更に一層高くする観点からは、上記成分Xは、バナジウム原子に酸素原子が結合した構造単位を有することが好ましい。
上記成分Xを含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記成分Xの含有量は、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.005重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上、特に好ましくは0.02重量%以上、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、更に好ましくは0.05重量%以下、特に好ましくは0.04重量%以下である。上記成分Xの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、遮熱性が充分に高くなり、かつ可視光線透過率が充分に高くなる。例えば、可視光線透過率を70%以上にすることが可能である。
遮熱粒子:
上記中間膜は、遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第1の層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第2の層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第3の層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記遮熱粒子は遮熱性化合物である。遮熱粒子の使用により、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。上記遮熱粒子は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
合わせガラスの遮熱性をより一層高める観点からは、上記遮熱粒子は、金属酸化物粒子であることがより好ましい。上記遮熱粒子は、金属の酸化物により形成された粒子(金属酸化物粒子)であることが好ましい。
可視光よりも長い波長780nm以上の赤外線は、紫外線と比較して、エネルギー量が小さい。しかしながら、赤外線は熱的作用が大きく、赤外線が物質に吸収されると熱として放出される。このため、赤外線は一般に熱線と呼ばれている。上記遮熱粒子の使用により、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。なお、遮熱粒子とは、赤外線を吸収可能な粒子を意味する。
上記遮熱粒子の具体例としては、アルミニウムドープ酸化錫粒子、インジウムドープ酸化錫粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子(ATO粒子)、ガリウムドープ酸化亜鉛粒子(GZO粒子)、インジウムドープ酸化亜鉛粒子(IZO粒子)、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子(AZO粒子)、ニオブドープ酸化チタン粒子、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子、タリウムドープ酸化タングステン粒子、ルビジウムドープ酸化タングステン粒子、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)、錫ドープ酸化亜鉛粒子、珪素ドープ酸化亜鉛粒子等の金属酸化物粒子や、六ホウ化ランタン(LaB)粒子等が挙げられる。これら以外の遮熱粒子を用いてもよい。なかでも、熱線の遮蔽機能が高いため、金属酸化物粒子が好ましく、ATO粒子、GZO粒子、IZO粒子、ITO粒子又は酸化タングステン粒子がより好ましく、ITO粒子又は酸化タングステン粒子が特に好ましい。特に、熱線の遮蔽機能が高く、かつ入手が容易であるので、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)が好ましく、酸化タングステン粒子も好ましい。
上記酸化タングステン粒子は、下記式(X1)又は下記式(X2)で一般に表される。上記中間膜では、下記式(X1)又は下記式(X2)で表される酸化タングステン粒子が好適に用いられる。
・・・式(X1)
上記式(X1)において、Wはタングステン、Oは酸素を表し、y及びzは2.0<z/y<3.0を満たす。
・・・式(X2)
上記式(X2)において、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta及びReからなる群から選択される少なくとも1種の元素、Wはタングステン、Oは酸素を表し、x、y及びzは、0.001≦x/y≦1、及び2.0<z/y≦3.0を満たす。
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、酸化タングステン粒子は、金属ドープ酸化タングステン粒子であることが好ましい。上記「酸化タングステン粒子」には、金属ドープ酸化タングステン粒子が含まれる。上記金属ドープ酸化タングステン粒子としては、具体的には、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子、タリウムドープ酸化タングステン粒子及びルビジウムドープ酸化タングステン粒子等が挙げられる。
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、セシウムドープ酸化タングステン粒子が特に好ましい。中間膜及び合わせガラスの遮熱性を更に一層高くする観点からは、該セシウムドープ酸化タングステン粒子は、式:Cs0.33WOで表される酸化タングステン粒子であることが好ましい。
上記遮熱粒子の平均粒子径は好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.02μm以上、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下である。平均粒子径が上記下限以上であると、熱線の遮蔽性が充分に高くなる。平均粒子径が上記上限以下であると、遮熱粒子の分散性が高くなる。
上記「平均粒子径」は、体積平均粒子径を示す。平均粒子径は、粒度分布測定装置(日機装社製「UPA−EX150」)等を用いて測定できる。
上記遮熱粒子を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記遮熱粒子の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、特に好ましくは1.5重量%以上、好ましくは6重量%以下、より好ましくは5.5重量%以下、更に好ましくは4重量%以下、特に好ましくは3.5重量%以下、最も好ましくは3.0重量%以下である。上記遮熱粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、遮熱性が充分に高くなり、かつ可視光線透過率が充分に高くなる。
上記遮熱粒子を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)は、上記遮熱粒子を0.1g/m以上、12g/m以下の割合で含有することが好ましい。上記遮熱粒子の割合が上記範囲内である場合には、遮熱性が充分に高くなり、かつ可視光線透過率が充分に高くなる。上記遮熱粒子の割合は、好ましくは0.5g/m以上、より好ましくは0.8g/m以上、更に好ましくは1.5g/m以上、特に好ましくは3g/m以上、好ましくは11g/m以下、より好ましくは10g/m以下、更に好ましくは9g/m以下、特に好ましくは7g/m以下である。上記割合が上記下限以上であると、遮熱性がより一層高くなる。上記割合が上記上限以下であると、可視光線透過率がより一層高くなる。
(金属塩)
上記中間膜は、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の内の少なくとも1種の金属塩(以下、金属塩Mと記載することがある)を含むことが好ましい。上記第1の層は、上記金属塩Mを含むことが好ましい。上記第2の層は、上記金属塩Mを含むことが好ましい。上記第3の層は、上記金属塩Mを含むことが好ましい。上記金属塩Mの使用により、中間膜と合わせガラス部材との接着性又は中間膜における各層間の接着性を制御することが容易になる。上記金属塩Mは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記金属塩Mは、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択された少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。中間膜中に含まれている金属塩は、K及びMgの内の少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。
また、上記金属塩Mは、炭素数2〜16の有機酸のアルカリ金属塩又は炭素数2〜16の有機酸のアルカリ土類金属塩であることがより好ましく、炭素数2〜16のカルボン酸マグネシウム塩又は炭素数2〜16のカルボン酸カリウム塩であることが更に好ましい。
上記炭素数2〜16のカルボン酸マグネシウム塩及び上記炭素数2〜16のカルボン酸カリウム塩としては特に限定されないが、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム、2−エチル酪酸マグネシウム、2−エチルブタン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム及び2−エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。
上記金属塩Mを含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)におけるMg及びKの含有量の合計は、好ましくは5ppm以上、より好ましくは10ppm以上、更に好ましくは20ppm以上、好ましくは300ppm以下、より好ましくは250ppm以下、更に好ましくは200ppm以下である。Mg及びKの含有量の合計が上記下限以上及び上記上限以下であると、中間膜と合わせガラス部材との接着性又は中間膜における各層間の接着性をより一層良好に制御できる。
(紫外線遮蔽剤)
上記中間膜は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第1の層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第2の層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第3の層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。紫外線遮蔽剤の使用により、中間膜及び合わせガラスが長期間使用されても、可視光線透過率がより一層低下し難くなる。上記紫外線遮蔽剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記紫外線遮蔽剤には、紫外線吸収剤が含まれる。上記紫外線遮蔽剤は、紫外線吸収剤であることが好ましい。
上記紫外線遮蔽剤としては、例えば、金属系紫外線遮蔽剤(金属を含有する紫外線遮蔽剤)、金属酸化物系紫外線遮蔽剤(金属酸化物を含有する紫外線遮蔽剤)、ベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤(ベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤)、ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤(ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤)、トリアジン系紫外線遮蔽剤(トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤)、マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤(マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤)、シュウ酸アニリド系紫外線遮蔽剤(シュウ酸アニリド構造を有する紫外線遮蔽剤)及びベンゾエート系紫外線遮蔽剤(ベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤)等が挙げられる。
上記金属系紫外線遮蔽剤としては、例えば、白金粒子、白金粒子の表面をシリカで被覆した粒子、パラジウム粒子及びパラジウム粒子の表面をシリカで被覆した粒子等が挙げられる。紫外線遮蔽剤は、遮熱粒子ではないことが好ましい。
上記紫外線遮蔽剤は、好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤、ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤、トリアジン系紫外線遮蔽剤又はベンゾエート系紫外線遮蔽剤であり、より好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤又はベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤であり、更に好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤である。
上記金属酸化物系紫外線遮蔽剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウム等が挙げられる。さらに、上記金属酸化物系紫外線遮蔽剤に関して、表面が被覆されていてもよい。上記金属酸化物系紫外線遮蔽剤の表面の被覆材料としては、絶縁性金属酸化物、加水分解性有機ケイ素化合物及びシリコーン化合物等が挙げられる。
上記絶縁性金属酸化物としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。上記絶縁性金属酸化物は、例えば5.0eV以上のバンドギャップエネルギーを有する。
上記ベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「TinuvinP」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin320」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin326」)、及び2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin328」)等のベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤が挙げられる。紫外線を吸収する性能に優れることから、上記紫外線遮蔽剤は、ハロゲン原子を含むベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤であることが好ましく、塩素原子を含むベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤であることがより好ましい。
上記ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤としては、例えば、オクタベンゾン(BASF社製「Chimassorb81」)等が挙げられる。
上記トリアジン系紫外線遮蔽剤としては、例えば、ADEKA社製「LA−F70」及び2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(BASF社製「Tinuvin1577FF」)等が挙げられる。
上記マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤としては、2−(p−メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチル、テトラエチル−2,2−(1,4−フェニレンジメチリデン)ビスマロネート、2−(p−メトキシベンジリデン)−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル4−ピペリジニル)マロネート等が挙げられる。
上記マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤の市販品としては、Hostavin B−CAP、Hostavin PR−25、Hostavin PR−31(いずれもクラリアント社製)が挙げられる。
上記シュウ酸アニリド系紫外線遮蔽剤としては、N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシ−5−t−ブチルフェニル)シュウ酸ジアミド、N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシ−フェニル)シュウ酸ジアミド、2−エチル−2’−エトキシ−オキシアニリド(クラリアント社製「SanduvorVSU」)などの窒素原子上に置換されたアリール基などを有するシュウ酸ジアミド類が挙げられる。
上記ベンゾエート系紫外線遮蔽剤としては、例えば、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(BASF社製「Tinuvin120」)等が挙げられる。
期間経過後の可視光線透過率の低下をより一層抑制する観点からは、上記紫外線遮蔽剤を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.3重量%以上、特に好ましくは0.5重量%以上、好ましくは2.5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.8重量%以下である。特に、上記紫外線遮蔽剤を含む層100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量が0.2重量%以上であることにより、中間膜及び合わせガラスの期間経過後の可視光線透過率の低下を顕著に抑制できる。
(酸化防止剤)
上記中間膜は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第1の層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第2の層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第3の層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。上記フェノール系酸化防止剤はフェノール骨格を有する酸化防止剤である。上記硫黄系酸化防止剤は硫黄原子を含有する酸化防止剤である。上記リン系酸化防止剤はリン原子を含有する酸化防止剤である。
上記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤又はリン系酸化防止剤であることが好ましい。
上記フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,3’−t−ブチルフェノール)ブチリックアッシドグリコールエステル及びビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンゼンプロパン酸)エチレンビス(オキシエチレン)等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
上記リン系酸化防止剤としては、トリデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、及び2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチル−1−フェニルオキシ)(2−エチルヘキシルオキシ)ホスホラス等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
上記酸化防止剤の市販品としては、例えばBASF社製「IRGANOX 245」、BASF社製「IRGAFOS 168」、BASF社製「IRGAFOS 38」、住友化学工業社製「スミライザーBHT」、並びにBASF社製「IRGANOX 1010」等が挙げられる。
中間膜及び合わせガラスの高い可視光線透過率を長期間に渡り維持するために、上記中間膜100重量%中又は酸化防止剤を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は0.1重量%以上であることが好ましい。また、酸化防止剤の添加効果が飽和するので、上記中間膜100重量%中又は上記酸化防止剤を含む層100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は2重量%以下であることが好ましい。
(他の成分)
上記中間膜、上記第1の層、上記第2の層及び上記第3の層はそれぞれ、必要に応じて、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(合わせガラス用中間膜の他の詳細)
合わせガラスの剛性をより一層高める観点からは、上記第2の層及び上記第3の層のガラス転移温度はそれぞれ、好ましくは31℃以上、より好ましくは33℃以上、より一層好ましくは35℃以上である。上記第2の層及び上記第3の層のガラス転移温度の上限は特に限定されない。中間膜の遮音性をより一層高める観点から、上記第2の層及び上記第3の層のガラス転移温度は60℃以下であってもよい。
上記中間膜の厚みは特に限定されない。実用面の観点、並びに合わせガラスの耐貫通性及び剛性を充分に高める観点からは、中間膜の厚みは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.25mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。中間膜の厚みが上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性及び剛性が高くなる。中間膜の厚みが上記上限以下であると、中間膜の透明性がより一層良好になる。
中間膜の厚みをTとする。上記第1の層の厚みは、好ましくは0.0625T以上、より好ましくは0.1T以上、好ましくは0.375T以下、より好ましくは0.25T以下である。
上記第2の層及び上記第3の層の各厚みは、好ましくは0.3125T以上、より好ましくは0.375T以上、好ましくは0.9375T以下、より好ましくは0.9T以下である。上記第2の層及び上記第3の層の各厚みは、0.46875T以下であってもよく、0.45T以下であってもよい。また、上記第2の層及び上記第3の層の各厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、合わせガラスの剛性がより一層高くなり、可塑剤のブリードアウトを抑制できる。
上記第2の層及び上記第3の層の合計の厚みは、好ましくは0.625T以上、より好ましくは0.75T以上、好ましくは0.9375T以下、より好ましくは0.9T以下である。また、上記第2の層及び上記第3の層の合計の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、合わせガラスの剛性がより一層高くなり、可塑剤のブリードアウトを抑制できる。
本発明に係る中間膜の製造方法としては特に限定されない。本発明に係る中間膜の製造方法としては、各層を形成するための各樹脂組成物を用いて各層をそれぞれ形成した後に、例えば、得られた各層を積層する方法、並びに各層を形成するための各樹脂組成物を押出機を用いて共押出することにより、各層を積層する方法等が挙げられる。連続的な生産に適しているため、押出成形する製造方法が好ましい。
中間膜の製造効率が優れることから、上記第2の層と上記第3の層とに、同一のポリビニルアセタール樹脂が含まれていることが好ましく、上記第2の層と上記第3の層とに、同一のポリビニルアセタール樹脂及び同一の可塑剤が含まれていることがより好ましく、上記第2の層と上記第3の層とが同一の樹脂組成物により形成されていることが更に好ましい。
上記中間膜は、両側の表面の内の少なくとも一方の表面に凹凸形状を有することが好ましい。上記中間膜は、両側の表面に凹凸形状を有することがより好ましい。上記の凹凸形状を形成する方法としては特に限定されず、例えば、エンボスロール法、カレンダーロール法、及び異形押出法等が挙げられる。中でも定量的に一定の凹凸模様である多数の凹凸形状のエンボスを形成することができることから、エンボスロール法が好ましい。
(合わせガラス)
図2は、図1に示す合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を模式的に示す断面図である。
図2に示す合わせガラス31は、第1の合わせガラス部材21と、第2の合わせガラス部材22と、中間膜11とを備える。中間膜11は、第1の合わせガラス部材21と第2の合わせガラス部材22との間に配置されており、挟み込まれている。
中間膜11の第1の表面11aに、第1の合わせガラス部材21が積層されている。中間膜11の第1の表面11aとは反対の第2の表面11bに、第2の合わせガラス部材22が積層されている。第2の層2の外側の表面2aに第1の合わせガラス部材21が積層されている。第3の層3の外側の表面3aに第2の合わせガラス部材22が積層されている。
このように、本発明に係る合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、中間膜とを備えており、該中間膜が、本発明に係る合わせガラス用中間膜である。本発明に係る合わせガラスでは、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に、上記中間膜が配置されている。
上記合わせガラス部材としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。合わせガラスには、2枚のガラス板の間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。上記合わせガラスは、ガラス板を備えた積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、及び線入り板ガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
上記合わせガラス部材の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。また、上記合わせガラス部材がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.7mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。上記合わせガラス部材がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、好ましくは0.03mm以上、好ましくは0.5mm以下である。
本発明に係る中間膜の使用により、合わせガラスの厚みが薄くても、合わせガラスの剛性を高く維持することができる。合わせガラスを軽量化したり、合わせガラスの材料を少なくして環境負荷を低減したり、合わせガラスの軽量化によって自動車の燃費を向上させて環境負荷を低減したりする観点からは、上記ガラス板及び上記合わせガラス部材の厚みは、好ましくは2mm以下、より好ましくは1.8mm以下、より一層好ましくは1.6mm以下、より一層好ましくは1.5mm以下、より一層好ましくは1.4mm以下、より一層好ましくは1.3mm以下、より一層好ましくは1.2mm以下、より一層好ましくは1.1mm以下、更に好ましくは1mm以下、更に一層好ましくは0.8mm以下、特に好ましくは0.7mm以下である。合わせガラスの軽量化によって自動車の燃費を向上させて環境負荷を低減したりする観点からは、合わせガラスにおける2枚のガラス板の合計の厚み及び2枚の合わせガラス部材の合計の厚みは、好ましくは4mm以下、より好ましくは3.6mm以下、より一層好ましくは3.2mm以下、より一層好ましくは3mm以下、より一層好ましくは2.8mm以下、より一層好ましくは2.6mm以下、より一層好ましくは2.4mm以下、より一層好ましくは2.2mm以下、更に好ましくは2mm以下、更に一層好ましくは1.6mm以下、特に好ましくは1.4mm以下である。
上記合わせガラスの製造方法は特に限定されない。例えば、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に、中間膜を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバッグに入れて減圧吸引したりして、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材と中間膜との間に残留する空気を脱気する。その後、約70〜110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120〜150℃及び1〜1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、合わせガラスを得ることができる。上記合わせガラスの製造時に、第1の層と第2の層と第3の層とを積層してもよい。
上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。上記中間膜及び上記合わせガラスは、これらの用途以外にも使用できる。上記中間膜及び上記合わせガラスは、車両用又は建築用の中間膜及び合わせガラスであることが好ましく、車両用の中間膜及び合わせガラスであることがより好ましい。上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車に好適に用いられる。上記中間膜は、自動車の合わせガラスを得るために用いられる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
以下の材料を用意した。
(ポリビニルアセタール樹脂)
ポリビニルアセタール樹脂(A):n−ブチルアルデヒドを使用、ポリビニルアルコール(PVA)の平均重合度1700、水酸基の含有率30.6モル%、アセチル化度0.9モル%、アセタール化度(ブチラール化度)68.5モル%
ポリビニルアセタール樹脂(B):n−ブチルアルデヒドを使用、ポリビニルアルコール(PVA)の平均重合度800、水酸基の含有率34モル%、アセチル化度0.9モル%、アセタール化度(ブチラール化度)65.1モル%
ポリビニルアセタール樹脂(C):n−ブチルアルデヒドを使用、ポリビニルアルコール(PVA)の平均重合度1700、水酸基の含有率34モル%、アセチル化度5モル%、アセタール化度(ブチラール化度)61モル%
ポリビニルアセタール樹脂(D):n−ブチルアルデヒドを使用、ポリビニルアルコール(PVA)の平均重合度1700、水酸基の含有率34モル%、アセチル化度10モル%、アセタール化度(ブチラール化度)56モル%
ポリビニルアセタール樹脂に関しては、アセタール化度(ブチラール化度)、アセチル化度及び水酸基の含有率はJIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定した。なお、ASTM D1396−92により測定した場合も、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法と同様の数値を示した。
(第2の樹脂成分)
アクリルモノマー(A):アクリル酸エチル20重量%と、アクリル酸ブチル30重量%と、アクリル酸ベンジル20重量%と、アクリル酸2−ヒドロキシエチル30重量%とを含むアクリルモノマー
アクリルモノマー(B):アクリル酸エチル28重量%と、アクリル酸ブチル22重量%と、アクリル酸ベンジル30重量%と、アクリル酸2−ヒドロキシエチル20重量%とを含むアクリルモノマー
アクリルモノマー(C):アクリル酸エチル75重量%と、アクリル酸ベンジル25重量%とを含むアクリルモノマー
アクリルモノマー(D):アクリル酸エチル25重量%と、アクリル酸ブチル22重量%と、アクリル酸ベンジル23重量%と、アクリル酸2−ヒドロキシエチル30重量%とを含むアクリルモノマー
アクリルモノマー(E):アクリル酸エチル40重量%と、アクリル酸ブチル10重量%と、アクリル酸2−エチルヘキシル50重量%
アクリルモノマー(F):アクリル酸エチル40重量%と、アクリル酸ブチル20重量%と、アクリル酸2−エチルヘキシル10重量%と、アクリル酸2−ヒドロキシエチル30重量%とを含むアクリルモノマー
アクリルモノマー(G):アクリル酸エチル50重量%と、アクリル酸ベンジル10重量%と、アクリル酸2−ヒドロキシエチル40重量%とを含むアクリルモノマー
アクリルモノマー(H):アクリル酸エチル45重量%と、アクリル酸ブチル30重量%と、アクリル酸ベンジル25重量%とを含むアクリルモノマー
酢酸ビニルモノマー(I):酢酸ビニル100重量%である酢酸ビニルモノマー
(可塑剤)
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)
(紫外線遮蔽剤)
Tinuvin326(2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
(酸化防止剤)
BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)
(実施例1)
第1の層を形成するための組成物の作製:
ポリビニルアセタール樹脂(A)100重量部(共重合体合成時)と、アクリルモノマー(A)300重量部(共重合体合成時)とを用いて、共重合することにより共重合体(A)を形成した。この共重合体(A)400重量部と、紫外線遮蔽剤(Tinuvin326)0.2重量部と、酸化防止剤(BHT)0.2重量部とを混合し、第1の層を形成するための組成物を得た。
第2の層及び第3の層を形成するための組成物の作製:
ポリビニルアセタール樹脂(A)100重量部と、可塑剤(3GO)20重量部と、紫外線遮蔽剤(Tinuvin326)0.2重量部と、酸化防止剤(BHT)0.2重量部とを混合し、第2の層及び第3の層を形成するための組成物を得た。
中間膜の作製:
第1の層を形成するための組成物と、第2の層及び第3の層を形成するための組成物とを、共押出機を用いて共押出しすることにより、第2の層(厚み330μm)/第1の層(厚み100μm)/第3の層(厚み330μm)の積層構造を有する中間膜(厚み760μm)を作製した。
合わせガラスの作製:
洗浄及び乾燥した2つのガラス板(第1の合わせガラス部材及び第2の合わせガラス部材、クリアフロートガラス、縦25cm×横10cm×厚み2.5mm)を用意した。この2つのガラス板の間に、得られた中間膜を挟み込み、積層体を得た。得られた積層体をゴムバック内に入れ、2660Pa(20torr)の真空度で20分間脱気した。その後、脱気したままで積層体をオートクレーブ中で更に90℃で30分間保持しつつ、真空プレスした。このようにして予備圧着された積層体を、オートクレーブ中で135℃、圧力1.2MPa(12kg/cm)の条件で20分間圧着を行い、合わせガラスを得た。
(実施例2〜13及び比較例1,2)
第1の層を形成するための組成物に用いる配合成分の種類及び配合量、第2の層及び第3の層を形成するための組成物に用いる配合成分の種類及び配合量、第1の層の厚み、第2の層の厚み、第3の層の厚み、第1の合わせガラス部材及び第2の合わせガラス部材の厚みを、下記の表1〜3に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、中間膜及び合わせガラスを得た。表に示す共重合体(A)〜(I)は、表に示すポリビニルアセタール樹脂及び第2の樹脂成分を共重合させることにより得られ、ポリビニルアセタール樹脂に由来する骨格及び第2の樹脂成分に由来する骨格を有する共重合体である。なお、比較例1,2では、共重合体を用いなかった。比較例3では、ポリビニルアセタール樹脂とアクリル重合体とを用い、ポリビニルアセタール樹脂にアクリルモノマーを共重合させなかった。また、全ての実施例及び比較例では、実施例1と同じ種類の紫外線遮蔽剤及び酸化防止剤を、実施例1と同様の配合量(0.2重量部)で配合した。なお、共押出により中間膜を製造できない場合は、第1の層、第2の層及び第3の層を、溶液キャスト法又は熱プレス法でそれぞれ成形した後に積層することにより、容易に中間膜が得られた。
(評価)
(1)ガラス転移温度/損失正接のピーク温度
実施例及び比較例における第1の層の各組成を有する混練物を用意した。得られた混練物をプレス成型機でプレス成型して、厚みが0.35mmである樹脂膜Aを得た。得られた樹脂膜Aを25℃及び相対湿度30%の条件で2時間放置した。2時間放置した後に、TAINSTRUMENTS社製「ARES−G2」を用いて、粘弾性を測定した。治具として、直径8mmのパラレルプレートを用いた。3℃/分の降温速度で100℃から−50℃まで温度を低下させる条件、及び周波数1Hz及び歪1%の条件で測定を行った。得られた測定結果において、損失正接のピーク温度をガラス転移温度Tg(℃)とした。なお、共重合体では、高温側のピークが、上記共重合体におけるポリビニルアセタール樹脂に由来する骨格に由来し、低温側のピークが、上記共重合体における第2の樹脂成分に由来する骨格に由来していた。
(2)曲げ剛性
得られた合わせガラスを用意した。図3に模式的に示す試験方法で、曲げ剛性を評価した。測定装置としては、静的3点曲げ試験治具2810を備えたインストロンジャパンカンパニイリミテッド社製の万能材料試験機5966を使用した。測定条件としては、測定温度20±3℃、距離D1は18cm、距離D2は25cmとし、変位速度1mm/分でFの方向に合わせガラスに変形を加え、1.5mmの変位を加えたときの応力を測定し、曲げ剛性を算出した。曲げ剛性を下記の基準で判定した。
[曲げ剛性の判定基準]
○:応力が5MPa以上
△:応力が2MPa以上、5MPa未満
×:応力が2MPa未満
(3)第1の層の25℃での引張特性(剛性)
厚みが400μm程度の第1の層を形成するための組成物を用意し、オートグラフ(島津製作所社製「AG−IS」)を用いて引張速度200mm/分で引張試験を行い、25℃でのヤング率をそれぞれ評価した。引張特性を下記の基準で判定した。
[引張特性(剛性)の判定基準]
○○:ヤング率が2MPa以上
○:ヤング率が1MPa以上、2MPa未満
△:ヤング率が0.5MPa以上、1MPa未満
×:ヤング率が0.5MPa未満
(4)遮音性
合わせガラスをダンピング試験用の振動発生機(振研社製「加振機G21−005D」)により加振し、そこから得られた振動特性を機械インピーダンス測定装置(リオン社製「XG−81」)にて増幅し、振動スペクトルをFFTスペクトラムアナライザー(横河ヒューレッドパッカード社製「FFTアナライザー HP3582A」)により解析した。損失係数のピーク周波数を求め、更に20℃における3000Hzでの合わせガラスの損失係数を算出した。損失係数から遮音性を下記の基準で判定した。なお、損失係数が0.1以上であれば遮音性に優れており、損失係数が0.2以上であれば遮音性により一層優れている。
[遮音性の判定基準]
○:損失係数が0.2以上
△:損失係数が0.1以上、0.2未満
×:損失係数が0.1未満
(5)再混練後のへイズの測定
第1の層を形成するための組成物を用意した。この第1の層を形成するための組成物を130℃で10分間再混練し、再混練後の組成物を得た。ヘーズメーター(東京電色社製「TC−HIIIDPK」)を用いて、JIS K6714に準拠して、得られた合わせガラスのヘイズを測定した。再混練後のヘイズを下記の基準で判定した。
○:再混練後のヘイズが0.5%未満
△:再混練後のヘイズが0.5%以上、0.8%未満
×:再混練後のヘイズが0.8%以上
詳細及び結果を下記の表1〜3に示す。下記の表1〜3では、ポリビニルアセタール樹脂、共重合体、アクリル共重合体及び可塑剤以外の配合成分の記載は省略した。
Figure 2016069278
Figure 2016069278
Figure 2016069278
1…第1の層
1a…第1の表面
1b…第2の表面
2…第2の層
2a…外側の表面
3…第3の層
3a…外側の表面
11…中間膜
11A…中間膜(第1の層)
11a…第1の表面
11b…第2の表面
21…第1の合わせガラス部材
22…第2の合わせガラス部材
31…合わせガラス

Claims (7)

  1. 第1の層と、前記第1の層の第1の表面側に配置された第2の層とを備え、
    前記第1の層が、ポリビニルアセタール樹脂に由来する骨格及び第2の樹脂成分に由来する骨格を有する共重合体を含み、
    前記第2の層が、ポリビニルアセタール樹脂を含み、
    前記第1の層中の前記共重合体を構成する前記第2の樹脂成分が、アクリル重合体、ウレタン重合体、シリコーン重合体、ゴム、又は酢酸ビニル重合体である、合わせガラス用中間膜。
  2. 前記第1の層中の前記共重合体における前記第2の樹脂成分に由来する骨格が示す損失正接のピーク温度が−30℃以上、10℃以下である、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
  3. 前記第1の層中の前記共重合体における前記ポリビニルアセタール樹脂に由来する骨格と前記第1の層中の前記共重合体における前記第2の樹脂成分に由来する骨格との合計100重量%中、前記第1の層中の前記共重合体における前記ポリビニルアセタール樹脂に由来する骨格の含有量が5重量%以上、60重量%以下、前記第1の層中の前記共重合体における前記第2の樹脂成分に由来する骨格の含有量が40重量%以上、95重量%以下である、請求項1又は2に記載の合わせガラス用中間膜。
  4. 前記第1の層中の前記共重合体を構成する前記第2の樹脂成分が、アクリル重合体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
  5. 前記第1の層の前記第1の表面とは反対の第2の表面側に配置された第3の層を備え、
    前記第3の層が、ポリビニルアセタール樹脂を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
  6. 前記第2の層が可塑剤を含み、
    前記第3の層が可塑剤を含む、請求項5に記載の合わせガラス用中間膜。
  7. 第1の合わせガラス部材と、
    第2の合わせガラス部材と、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜とを備え、
    前記第1の合わせガラス部材と前記第2の合わせガラス部材との間に、前記合わせガラス用中間膜が配置されている、合わせガラス。
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