以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
また、実施の形態において、連続紙(印字媒体)を印字のために搬送する方向、具体的には、連続紙をプリンターの用紙供給部からサーマルヘッド部に送る方向を印字方向といい、特に説明がない場合、搬送方向上流とは印字方向において上流側のことをいい、搬送方向下流とは印字方向において下流側のことをいう。
図1は、本実施の形態に係るプリンターの外観を示す全体斜視図である。本実施の形態のプリンター1は、例えば、連続紙(印字媒体)の台紙に仮着されたラベルに、文字、記号、図形またはバーコード等のような情報を印字するラベル印字機能を備えている。
プリンター1の正面のフロントカバー2には、操作パネル3と、電源スイッチ4と、発行口(媒体排出口)5とが設けられている。操作パネル3には、印字操作に必要なメッセージ等を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、プリンター1の動作を操作する複数のキー(ラインキー、フィードキー、ファンクションキー、方向指示キーおよびキャンセルキー等)と、プリンター1の操作状態を示す複数のLED(Light Emitting Diode)とが配置されている。また、プリンター1の一方の側面には、オープンカバー6が2箇所のヒンジ7により上下方向に開閉自在に装着されている。さらに、プリンター1の背面は、バックカバー8で覆われている。
次に、プリンター1の内部構造に概略について、図2を参照して説明する。図2はプリンター1の内部を示す斜視図である。なお、以下の説明ではプリンター1の正面側(フロントカバー側)を前方(搬送方向下流側)といい、背面側(バックカバー側)を後方(搬送方向上流側)という。
プリンター1の内部の後方には、用紙供給部(媒体供給部)10が配置されており、その前方には、印字部11が配置されている。また、印字部11の上方には、インクリボン部12が配置されている。
プリンター1の内部の後方に配置された用紙供給部10は、連続紙Pを前方の印字部11に供給する構成部であり、支持軸10aと、その一端に配置されたロールガイド10bとを備えている。支持軸10aは、ロール状に巻き取られた連続紙Pを回転自在支持する構成部である。また、ロールガイド10bは、ロール状の連続紙Pを固定する構成部であり、連続紙Pの幅に応じて位置を変えられるように、支持軸10aの軸方向に沿って移動自在に設置されている。
用紙供給部10の前方に配置された印字部11は、連続紙Pのラベル等に印字を行う構成部であり、印字ヘッド部13と、その下方に配置された支持部14と、支持部14の後方に配置されたダンパ部15とを備えている。
印字ヘッド部13は、支持部14に対して開閉自在の状態でプリンター1の内部に設置されている。そして、印字ヘッド部13が支持部14に対して閉止状態にある時、印字ヘッド部13と支持部14との間に通紙ルート(媒体搬送路)が形成される。この通紙ルートは、プリンター1の正面のフロントカバー2に設けられた発行口(図1参照)に連通している。
印字ヘッド部13の下方に配置された支持部14には、印字ヘッド部13の閉止状態を維持するヘッドロックレバー16が設置されている。このヘッドロックレバー16を手動で後方に倒すと、印字ヘッド部13の閉止状態が解除される。印字ヘッド部13の前方部分が持ち上がるため、印字ヘッド部13が開放状態となる。すなわち、印字ヘッド部13が支持部14に対して離間する方向へ移動する。
支持部14の後方に配置されたダンパ部15は、連続紙Pにテンションを付与して正確なラベル印字を行う構成部であり、アウターダンパ部15aとインナーダンパ部15bとを備えている。アウターダンパ部15aおよびインナーダンパ部15bは、印字ヘッド部13が閉止状態にある時、それぞれ連続紙Pにテンションを付与可能なように、搖動自在に設置されている。
印字部11の上方に配置されたインクリボン部12は、印字用インクが塗布されたインクリボンRBの供給および巻き取を行う構成部であり、リボン供給部12aと、その斜め前方に配置されたリボン巻き取り部12bとを備えている。リボン供給部12aは、ロール状に巻き取られたインクリボンRBを回転自在に支持する構成部であり、リボン巻き取り部12bは、印字済みのインクリボンRBを巻き取り回収する構成部である。
インクリボンRBをインクリボン部12に装着する際は、印字ヘッド部13を支持部14に対して開放状態にした後、リボン供給部12aから引き出したインクリボンRBを印字ヘッド部13とラベル押さえ(図示せず)との間に通し、インクリボンRBの先端部分をボン巻き取り部12bで巻き取る。
印字工程時には、リボン供給部12aから繰り出されたインクリボンRBと、用紙供給部10から繰り出された連続紙Pとが印字ヘッド部13と支持部14との間に搬送される。そして、連続紙Pのラベル等に印字処理がなされた後、連続紙Pは、フロントカバー2の発行口5から外部に排出され、印字済みのインクリボンRBは、リボン巻き取り部12bに回収される。
次に、上記した印字部11の構成について図3および図4を参照して説明する。図3および図4に示すように、印字部11の印字ヘッド部13は、その前方部分が後方の回転軸S1を支点として上下方向に回動(すなわち、開閉)自在の状態でヘッド支持板17に指示されている。
図3(B)に示すように、印字ヘッド部13の下面(通紙ルートに対向する面)には、サーマルヘッド部18がその印字面を通紙ルートに向けた状態で設置されている。サーマルヘッド部18は、その印字面に配置された印字ライン18Lにより連続紙Pのラベル等に印字を行う手段である。図示は省略するが、サーマルヘッド部18の印字ライン18Lには、通電により発熱する複数の発熱抵抗体(発熱素子)が連続紙Pの幅方向(連続紙Pの搬送方向に対して直交する方向)に沿って配置されている。
印字ヘッド部13の前方側の下面には、サーマルヘッド部18を挟むように一対の凹状爪部19が設けられており、凹状爪部19のそれぞれの後方には、印字ヘッド部13の両側面から外方に突出するピン20が設けられている。印字ヘッド部13は、回転軸S1に装着されたトーションバネ21(図4)により開放方向に付勢されている。一方、印字ヘッド部13の下部のピン20に支持部14のロック爪部22が係止されることにより閉止状態が維持される。ロック爪部22は、ヘッドロックレバー16を後方に倒した時、それに連動して移動し、ピン20から外れるようになっている。そして、ロック爪部22がピン20から外れると、トーションバネ21の付勢力により印字ヘッド部13が開放状態となる(図3(B)参照)。
図3(A)に示すように、印字ヘッド部13の閉止状態時には、印字ヘッド部13の凹状爪部19が、支持部14に設けられたプラテンローラー部23のプラテン軸S2に嵌合され、印字ヘッド部13に設けられた押圧装置(図示せず)によりサーマルヘッド部18の印字面がその下方のプラテンローラー部23に押し付けられる。また、図4に示すように、プラテン軸S2の一方の端部には、ギアG1が接続されている。このギアG1は、連結ギアG2、G3を介してギアG4に接続されていると共に、例えば、タイミングベルト(図示せず)等を介してステッピングモーターのような駆動体の回転軸に係合されている。
図4に示すように、ダンパ部15に設けられたアウターダンパ部15aは、前方側から後方側に向かって斜め下方に延びている。前方側の回転軸S3(図3参照)を中心にして、後方部が上下方向に搖動自在の状態でダンパ支持部材25に支持されている。図4に示すダンパ部15のコイルバネ26は、アウターダンパ部15aが上方側(後方側)に行き過ぎないように抑制する共に、アウターダンパ部15aを搖動自在の状態で支持する部材である。
一方、ダンパ部15に設けられたインナーダンパ部15bは、後方側から前方側に向かって斜め下方向に延びており、後方側の回転軸S4(図3参照)を中心にして、前方部が上下方向に搖動自在の状態でアウターダンパ部15aの後方部に支持されている。
アウターダンパ部15aの下部には、一対の幅調整ガイド27が回転軸S3、S4の軸方向に沿って移動自在の状態で設置されている。これらの幅調整ガイド27は、用紙供給部10から搬送された連続紙Pの幅方向の両端に当接し、連続紙Pの搬送をガイドする構成部である。幅調整ガイド27のそれぞれは、アウターダンパ部15aの背面側のガイド操作部28に接続されている。ガイド操作部28は、連続紙Pの幅に合わせて幅調整ガイド27を移動すると共に、幅調整ガイド27の位置を固定するための摘みである。
アウターダンパ部15aを支持するダンパ支持部材25は、前方側の回転軸S5(図4参照)を中心にして後方部分が上下方向に搖動自在の状態でプリンター1内に支持されている。ダンパ支持部材25は、その後方部分が回転軸S5に装着されたトーションバネ30により回転軸S5を中心にして上方に開く方向(ダンパ部15全体が持ち上がる方向)付勢されている。ヘッド支持板17の抑止部17aがアウターダンパ部15a側に位置している間は抑止部17aに抑えられ、閉止状態が維持されている。
このダンパ支持部材25の上部には、ダンパ支持部材25の長手方向に沿って延びる長溝部25aが形成されている。この長溝部25aには、上記ヘッド支持板17のピン17bが長溝部25aに沿って移動自在の状態で嵌められている。これにより、印字ヘッド部13を支持するヘッド支持板17は、ダンパ支持部材25と係合されている。
支持部14のプラテンローラー部23は、用紙供給手段10から供給された連続紙Pを通紙ルートに沿って発行口(図1参照)へ搬送する手段であり、正逆両方向に回転可能な状態で支持部14の軸支されている。
プラテンローラー部23の本体は、例えば、細長い円筒状のゴム等のような弾性部材により形成されている。また、プラテン軸S2は、例えば、細長い円柱状の金属により形成されており、その長手方向両端部がプラテンローラー部23の本体の両端部から突出された状態で本体の円筒内に挿入され、固定されている。
支持部14の上面においてプラテンローラー部23よりも搬送方向の上流側には、センサーユニット41が配置されている。センサーユニット41は、搬送されてきた連続紙Pの位置を検出するセンサーを収容する容器である。
図5は、印字用紙の一例である連続紙Pの平面図、図6は、図5のIII−III線断面図であり、連続紙Pは、帯状の台紙70と、台紙70上に仮着した複数枚のラベル片71(用紙片)と、を有する。
台紙70のラベル片71の仮着された面と反対面側(裏側)に、位置検出用マーク72をあらかじめ印刷するとともに、互いに隣り合うラベル片71の間にギャップ73を設け、ギャップ73に位置して台紙切断用のミシン目74を形成している。なお、ギャップ73は、位置検出用としてこれを利用することができる。
図6に示すように、ラベル片71は、ラベル基材75と、ラベル基材75の裏面側の粘着剤層76と、を有している。粘着剤層76においてラベル片71を台紙70上に仮着している。
ラベル基材75には、感熱紙と普通紙の2種類がある。ラベル基材75が感熱紙である場合は、その表面に、予め決められた温度領域に達した時に特定の色(黒や赤等)に発色する感熱発色層が形成されている。ラベル基材75が普通紙である場合、インクリボンRBを用いることでラベル片71に印字が行われる。
図7は、支持部14の斜視図である。支持部14の上面においてプラテンローラー部23よりも搬送上流側には、連続紙Pの搬送をガイドする用紙ガイド部24(媒体ガイド部)24が設置されている。用紙ガイド部24は、その上面の高さが搬送方向上流から搬送方向下流に向かって高くなるように傾斜した状態で設置される。
用紙ガイド部24の上方には、ラベル押さえ40と、ラベル押さえ40の支持及び位置決めを行うセンサーユニット41が配置されている。センサーユニット41は、支持部14の支持フレーム14aに対して、プランテンローラー部23のプラテン軸S2と平行方向に移動可能に構成されている。
ラベル押さえ40は、連続紙Pのばたつきを防止する部材であり、ダンパ部15を通って用紙ガイド部24の上面に搬送されてきた連続紙Pは、用紙ガイド部24の上面とラベル押さえの下面との隙間を通ってプラテンローラー部23に搬送される。センサーユニット41は、用紙ガイド部24の上面に搬送れてきた連続紙Pの位置を検出する。ラベル押さえ40は、その一部に取り付けられたセンサーユニットロックレバー60によってセンサーユニット41に固定されるよう構成されている。
図8(A)(B)は、センサーユニット41の長手方向に沿った側面図、図9はセンサーユニット41の長手方向に沿った要部断面図である。
センサーユニット41は、合成樹脂の成型体等によって構成された上部センサー取り付け部42と下部センサー取り付け部43とを備えている。図8に示すように、上部センサー取り付け部42と下部センサー取り付け部43とは、それらの後端側(図8の左側)の軸支部44を介して互いに回動可能に連結されている。
例えば、上部センサー取り付け部42の先端側(図8の右側)を指等で上方に持ち上げると、図8(B)に示すように、上部センサー取り付け部42が軸支部44を支点として回動し、両者の先端側が互いに広く離間する(開いた状態となる)。また、この状態で上部センサー取り付け部42から指等を離すと、上部センサー取り付け部42がその自重によって逆方向に回動し、図8(A)に示すように、両者の先端側が互いに近接する(閉じた状態となる)。
図8に示すように、上部センサー取り付け部42の両側面には、プリンター1のラベル押さえ40を支持するための上部ガイド溝52が設けられている。一方、下部センサー取り付け部43の両側面には、センサーユニット41をプリンター1の支持部14に装着するための下部ガイド溝53が設けられている。また、上部センサー取り付け部42の一方の側面には、ラベル押さえ40をセンサーユニット41の所定の位置に固定するための凸部54が設けられている。さらに、下部センサー取り付け部43の底面には、鋸刃状の凹凸溝55がセンサーユニット41の長手方向に沿って設けられている。この凹凸溝55は、センサーユニット41の支持フレーム14a(図7参照)に対する相対位置を決定するために用いられる。図8に模式的に示すように、凹凸溝55には、センサーユニット41をプリンター1に装着した時に支持部14に取り付けられた板バネ31が係合されるようになっている。
図9に示すように、センサーユニット41の内部には、透過型センサー45と反射型センサー49とが配置されている。上部センサー取り付け部42の内壁に設けられた嵌合溝42aには、透過型センサー45を構成する受光素子45Bおよびコネクタ50が実装された上部センサー基板(上部センサ本体)47が着脱自在に嵌め込まれている。また、下部センサー取り付け部43の内壁に設けられた嵌合溝43aには、透過型センサー45を構成する発光素子45A、反射型センサー49およびコネクタ51が実装された下部センサー基板(下部センサ本体)48が着脱自在に嵌め込まれている。
透過型センサー45を構成する下部センサー基板48に実装された発光素子45Aおよび上部センサー基板47に実装された受光素子45Bは、上下方向に対向する位置に配置されている。透過型センサー45は連続紙Pを通過した発光素子45Aからの光信号を受光素子45Bで検出する。台紙70とラベル片71との光透過率の違いにより、連続紙Pの位置検出を行う。ラベル片71とギャップ73とを判別することができる。
下部センサー基板48に実装された反射型センサー49は、その内部に発光素子49Aと受光素子49Bとを備えており、発光素子49Aと受光素子49Bとは並んで配置されている。反射型センサー49は、連続紙Pの表面で反射した黒と白と光信号に基づいて連続紙Pの位置検出を行う。台紙70の裏側に印刷された黒の位置検出用マーク72と台紙70との光反射率の違いにより、台紙70と位置検出用マーク72を判別することができる。すなわち、センサーユニット41は、発光素子と受光素子とを備える二種類の位置検出用の光学センサー(透過型センサー45と反射型センサー49)を備えており、連続紙Pの種類に応じてこれらの二種類の位置検出センサーのいずれか一方を選択的に使用できる構成となっている。
センサーユニニット41において、上記2枚のセンサー基板(上部センサー基板47および下部センサー基板48)が嵌め込まれた部分が、上記センサー取り付け部42の下面と下部センサー取り付け部43との間に隙間Cが形成されている。この隙間Cは、センサーユニット41をプリンター1の支持部14に装着した時に、連続紙Pの幅方向の一部が通過する通紙ルートとなっている。
本実施の形態では二種類の光学センサー、透過型センサー45と反射型センサー49とはセンサーユニット41の長手方向に沿って配置されている。つまり、透過型センサー45と反射型センサー49とは連続紙Pの幅方向の同一線上に配置されている。但し、二種類の光学センサーの配置は何ら限定されない。
図10は、光学センサー(透過型センサー45と反射型センサー49)により連続紙Pの位置を検出する原理を示している。
透過型センサー45と反射型センサー49の発光素子45A,49Aとしては、例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられ、受光素子45B,49Bとしては、例えばフォトトランジスタ(PT:Photo Transistor)が用いられる。発光ダイオードLEDは、カソード端子が接地され、アノード端子が制限抵抗R1を介して電源電圧Vcc1の電源に接続されている。
一方、フォトトランジスタPTは、エミッタ端子が接地され、コレクタ端子が負荷抵抗R2を介して電源電圧Vcc2の電源に接続されている。即ち、フォトトランジスタPTは、コレクタ端子を出力端子としたエミッタ接地回路となるように接続されている。
フォトトランジスタPTのコレクタ端子には、光学センサーとしての出力信号を出力する出力端子が設けられ、その出力端子から出力される出力信号の電圧(出力電圧)Voutが出力されるようになっている。
上述のようにフォトトランジスタPTは、エミッタ接地回路として構成されているため、出力端子からの出力電圧Voutは、フォトトランジスタPTが高受光量のときのオン状態の場合にローレベル値となり、フォトトランジスタPTが低受光量のときのオフ状態の場合にハイレベル値となる。
なお、フォトトランジスタPTを、エミッタフォロワ回路として構成してもよく、その場合、エミッタ端子を出力端子として、出力端子からの出力電圧Voutは、フォトトランジスタPTが高受光量のときのオン状態の場合にハイレベル値、フォトトランジスタPTが低受光量のときのオフ状態の場合にローレベル値となる。したがって、フォトトランジスタのオン/オフ状態(高受光量と低受光量の状態)と出力電圧Voutのローレベル値とハイレベル値との関係が反転する。いずれの場合でも、光学センサーにより用紙を検出することができる。
図11(A)、(B)は、後述のセンサーレベル調整部によりセンサーレベル調整が適切に行われた反射型センサー49、透過型センサー45の各々が、移送路に沿って連続紙Pが移送されている際に出力する出力信号の電圧変化の様子を概略的に例示した図である。なお、図11(A)、(B)は、各々の電圧変化が発生するタイミングを実際のタイミングに合わせて示したものではない。
反射型センサー49は、発光素子49Aから移送路に検出光を投光し、その検出光が移送路における連続紙Pの台紙70の裏面に照射される位置を検出位置とする。
そして、台紙70の裏面に設けられた位置検出用マーク72以外の部分(非マーク部)が検出位置を通過している状態、即ち、“位置検出用マーク非検出”状態の時には、台紙70の裏面で検出光が反射されるため、受光素子49Bでの受光量が高く、受光素子49Bがオン状態となる。このとき、反射型センサー49からは、図11(A)に示すローレベル電圧(ローレベル値)の出力信号が出力される。
一方、位置検出用マーク72の部分(マーク部)が検出位置を通過している状態、即ち、“位置検出用マーク検出”状態の時には、位置検出用マーク72で検出光が吸収されるため、受光素子49Bでの受光量が低く、受光素子49Bがオフ状態となる。このとき、反射型センサー49からは、図11(A)に示すハイレベル電圧(ハイレベル値)の出力信号が出力される。
したがって、反射型センサー49の出力信号を取得し、その電圧(出力電圧)のレベルを検出することで、反射型センサー49の検出位置に位置検出用マーク72が検出されたか否かを判断することができる。たとえば、出力電圧がある閾値以下である場合には、検出位置に位置検出用マーク72が検出されない“位置検出用マーク非検出”状態であると判断することができ、出力電圧がある閾値以上である場合には、検出位置に位置検出用マーク72が検出された“位置検出用マーク検出”状態であると判断することができる。
透過型センサー45は、発光素子45Aから移送路に検出光を投光し、その検出光が移送路における連続紙Pに照射される位置を検出位置とする。
そして、連続紙Pのギャップ73以外の部分(ラベル片71が仮着された台紙70部分:非ギャップ部)が検出位置を通過している状態、即ち、“ギャップ非検出”状態の時には、連続紙Pを検出光が殆ど透過しないため、受光素子45Bでの受光量が低く、受光素子45Bがオフ状態となる。このとき、透過型センサー45からは、図11(B)に示すハイレベル値の出力信号が出力される。
一方、ギャップ73の部分(ギャップ部)が検出位置を通過している状態、即ち、“ギャップ検出”状態の時には、ギャップ73(台紙70)を検出光が透過するため、受光素子45Bでの受光量が高く、受光素子45Bがオン状態となる。このとき、透過型センサー45からは、図11(B)に示すローレベル値の出力信号が出力される。
したがって、上述の位置検出用マーク72の検出と同様に、透過型センサー45の出力信号を取得し、その電圧(出力電圧)のレベルを検出することでき、透過型センサー45の検出位置にギャップ73が検出されたか否かを判断することができる。
図12は、プリンター1に設けられている制御部500の構成例を示すブロック図である。制御部500は、CPU(central processing unit:中央演算装置)501と、ROM(read only memory)502と、RAM(random access memory)503と、搬送制御部504と、印字制御部505と、用紙検出部507と、通信インタフェース508(通信手段)と、IOポート509と、電源部510とを含んでおり、これらはバスラインを介して相互に接続されて、各種データの送受が相互に行うことができる。
各部の主な作用について簡単に説明すると、CPU501は、所定の制御プログラムを実行することによって、制御部500全体を統括的に制御するとともに、各部に所要の処理や制御を実行させる。
ROM52は、CPU501が読み出して実行する上記制御プログラムを記憶している。
RAM503は、CPU501が実行する処理に必要な各種データや印字に必要な印字データ、印字フォーマットなどを記憶する。
搬送制御部504は、CPU501からの指示信号にしたがい、プラテンローラー部23に連結された駆動モーター600を制御し、プラテンローラー部23の回転/停止を制御する。これにより、通紙ルートの連続紙Pの搬送が制御される。
印字制御部505は、CPU501から供給される印字すべき文字、図形、およびバーコードなどの印字データに対応する印字信号を生成し、その印字信号をサーマルヘッド部18に供給して連続紙Pへの印字を行う。
用紙検出部507は、光学センサー(透過型センサー45と反射型センサー49)により用紙搬送路の連続紙Pが有する位置検出用マーク72、又はギャップ73を検出してCPU501にその情報を与える。CPU501は、搬送制御部504による連続紙Pの搬送の制御と共に、用紙検出部507からの情報に基づいてサーマルヘッド部18による印字のタイミングを制御してラベル片71の適切な位置への印字を実施する。用紙検出部507は、後述するセンサーレベル調整部520を含んでいる。
通信インタフェース508は、パーソナルコンピュータ(PC)などの外部機器(ホスト機器700)と接続して通信を行うためのものであり、印字データを供給するホスト機器700との間で印字データやコマンドの送受信を行うことができる。通信インタフェース508としては無線によるものが望ましく、例えば、2.45GHz帯の電波を利用したBluetooth(登録商標)規格のインタフェースが採用される。ただし、通信インタフェース508は、赤外線を利用したIrDA(Infrared Data Association)規格の通信インタフェースや、無線LANに用いられる規格の通信インタフェース等、任意の規格の無線通信インタフェースでよい。また、有線により通信を行うための通信インタフェースであってもよい。
IOポート509は、操作パネル3が接続され、CPU501から供給される表示すべき情報を示す表示データを出力して操作パネル3に表示させる。また、操作パネル3からの操作に対応した操作信号をCPU501に与える。
電源部510は電源回路を備えており、電源スイッチ4に対する押下操作を監視する。プリンター1の電源がオン状態で、電源スイッチ4が押下されるとCPU501は電源部510に制御信号を出力し、電源をオフする。また、プリンター1の電源がオフ状態で、電源スイッチ4が押下されるとCPU501は電源部510に制御信号を出力し、電源をオフする。
図13は、用紙検出部507およびセンサーレベル調整部520の概略ブロック図であって、センサーレベル調整部520は、発光電流設定回路522および受光感度設定回路523を有している。
操作パネル3から入力されたセンサーレベル調整コマンドに基づきCPU501から発光電流設定回路522に制御信号が送信され、発光電流設定回路522は透過型センサー45および反射型センサー49それぞれの発光素子45A、49Aにおける発光電流(発光量)を多段階に設定することができる。
操作パネル3から入力されたセンサーレベル調整コマンドに基づきCPU501から受光感度設定回路523に制御信号が送信され、受光感度設定回路523は透過型センサー45および反射型センサー49それぞれの受光素子45B、49Bにおける受光感度を多段階に設定することができる。
発光電流設定回路522と受光感度設定回路523は、具体的には、例えば図14のように構成される。透過型センサー45および反射型センサー49は発光素子と受光素子の配置以外は、同様に構成された回路により駆動される。透過型センサー45および反射型センサー49のうちの任意の1つの光学センサーに対して設けられる発光電流設定回路522と受光感度設定回路523が示されている。
一方、発光電流設定回路522は、可変抵抗部522Aと抵抗設定部522Bとから構成され、受光感度設定回路523は、可変抵抗部523Aと抵抗設定部523Bとから構成されている。
発光ダイオードLEDは、カソード端子が接地され、アノード端子が可変抵抗部522Aを介して電源電圧Vcc1の電源に接続されている。
可変抵抗部522Aは、発光ダイオードLEDに電源から供給される電流(発光電流)を制限する制限抵抗R1を構成しており、並列に接続された複数の抵抗R11〜R1m(mは正の整数)と、それらの抵抗R11〜R1mの各々に直列に接続されたスイッチS11〜S1mとから構成されている。
各スイッチS11〜S1mは、例えば、トランジスタを使用した半導体スイッチであり、それらのオン/オフ状態は、抵抗設定部522Bからの信号によって電気的に切り替えられるようになっている。
抵抗設定部522Bは、各スイッチS11〜S1mのオン/オフ状態の組み合わせを変更することで、抵抗R11〜R1mのうち、可変抵抗部522Aの両端子に有効に接続する抵抗を選択し、制限抵抗R1の抵抗値(R1)を多段的に切り替えるようにしている。
これによって、発光ダイオードLEDに供給される電流(発光電流)の大きさが切り替えられ、発光ダイオードLEDの発光量が多段的に切り替えられるようになっている。
なお、制限抵抗R1の抵抗値を変更するための構成、発光ダイオードLEDの発光量を変更するための構成は、ここで説明したものに限らない。
一方、フォトトランジスタPTは、エミッタ端子が接地され、コレクタ端子が可変抵抗部523Aを介して電源電圧Vcc2の電源に接続されている。即ち、フォトトランジスタPTは、コレクタ端子を出力端子としたエミッタ接地回路となるように接続されている。
可変抵抗部523Aは、コレクタ負荷となる負荷抵抗R2を構成している。可変抵抗部523Aは、可変抵抗部522Aと同様に構成されているため簡単に説明すると、並列に接続された複数の抵抗R21〜R2n(nは正の整数)と、それらの抵抗R21〜R2mの各々に直列に接続されたスイッチS21〜S2nとから構成されている。
各スイッチS21〜S2nは、抵抗設定部523Bからの信号によって切り替えられ、オン/オフ状態の組み合わせが変更されることで、負荷抵抗R2の抵抗値(R2)が多段的に切り替えられるようになっている。
これによって、フォトトランジスタPTの受光感度が多段的に切り替えられるようになっている。
フォトトランジスタPTは、エミッタ接地回路として構成されているため、出力端子からの出力電圧Voutは、フォトトランジスタPTが高受光量のときのオン状態の場合にローレベル値となり、フォトトランジスタPTが低受光量のときのオフ状態の場合にハイレベル値となる。
以上の如く構成された、本実施の形態の発光電流設定回路522は、発光素子45A、49Aにおける発光量を、「大(LED7)」から「小(LED1)」まで七段階に切り替えるものとし、制限抵抗R1(可変抵抗部522A)は、それに対応して「小(R11)」から「大(R17)」まで七段階に切り替えられるものとして構成される。
一方、受光感度設定回路523は、受光素子45B、49Bにおける受光感度を「良好(PT1)」から「悪い(PT128)」までの128段階(128タップ)に切り替えられるものとし、負荷抵抗R2(可変抵抗部523A)は、それに対応して「小(R21)」から「大(R2128)」までの128段階に切り替えられるものとして構成される。なお、通常は負荷抵抗R2が小さい方が、フォトトランジスタPTの応答速度が速いため、本明細書では、負荷抵抗R2が小さい程、受光感度が「良好」とし、負荷抵抗R2が大きい程、受光感度が「悪い」と表現している。
したがって、透過型センサー45および反射型センサー49において設定される発光量と受光感度の組み合わせが、それぞれで7×128=896通り存在し、発光量と受光感度の組み合わせからなる896通りの状態のうちのいずれかの状態で透過型センサー45および反射型センサー49が動作するようになっている。なお、このようにして切り替えられる透過型センサー45および反射型センサー49の動作の状態を以下、動作条件というものとすると、この動作条件は、発光量と受光感度を変更可能な要素として設定され、発光量と受光感度のいずれかを変更することによって切り替えられる。
最適な動作条件を選択するため、896通りの組み合わせを全て実行し、最適な発光量と受光感度を選択することができる。しかしながら、この方法ではセンサーレベルの調整に時間が掛るという問題がある。また、ハイレベル値とローレベル値の差が大きい場合であっても、センサー寿命を長くするため発光素子45A、49Aおよび受光素子45B、49Bに流れる電流を可能な限り小さくできる発光量と受光感度を選択する必要がある。
本実施の形態のセンサーレベル調整部520では、受光素子45B、49Bの受光感度を予め固定する。可変抵抗部523Aは負荷抵抗R2として抵抗値(R21:抵抗値小)から抵抗値(R2128:抵抗値大)まで選択できるが、本実施の形態において予め設定された抵抗値(R280)を選択し、受光素子45B、49Bの受光感度を設定する。
受光素子45B、49Bの負荷抵抗R2を抵抗値(R280)とするのは次の理由である。第一にセンサーレベルを調整した後においても、使用される台紙によってはセンサーレベルを再度調整する必要があるからである。抵抗値(R280)とすれば、抵抗値の大きい側、つまりR2128までの48段階の範囲で抵抗値を調整ができ、また抵抗値の小さい側、つまりR21までの79段階の範囲で抵抗値を調整ができるからである。また、負荷抵抗R2として、抵抗値(R280)より小さい抵抗値(R264)等を基準として固定することもできる。しかしながら、負荷抵抗R2を小さくすることは受光素子45B、49Bに流れる電流が抵抗値(R280)より大きくなることを意味する。流れる電流を可能な限り小さくしセンサー寿命を長くする観点から負荷抵抗R2は大きい方が好ましい。つまり、センサーレベルを再調整およびセンサー寿命の観点から負荷抵抗R2として、抵抗値(R280)が設定される。予め設定された抵抗値は可変抵抗部の(R280)の抵抗値設定範囲の中央値より大きな抵抗値であることが好まし。
負荷抵抗R2の可変抵抗部523Aが128タップの場合で説明したが、例えば、可変抵抗部523Aが64タップの場合であれば、負荷抵抗R2として、例えば抵抗値(R240)が設定されることになる。つまり、負荷抵抗R2として、可変抵抗部523Aのタップ数の1/2より大きい抵抗値であり、かつ再調整のためのタップ数が残されている抵抗値が設定されることになる。ここで、タップ数128の可変抵抗部523Aの場合おいて、負荷抵抗R2として抵抗値(R280)を設定したが、これ限定されることなくプリンター1の構成よっては、例えば、負荷抵抗R2として抵抗値(R282)等が設定される場合がある。
受光素子45B、49Bの受光感度を固定した状態で、発光素子45A、49Aの発光量は最も小さい発光量(LED1)に設定される。これは、省エネの観点からである。また、センサーレベル調整において発光素子45A,49Aにながれる電流をできる限り小さくすることが省エネにつながるからである。また、発光素子45A,49Aの寿命も長くすることができる。
次に、この状態で光学センサーを駆動させて、受光素子45B、49Bから出力される出力電圧を検出する。つまり、負荷抵抗R2をR280に設定したときの出力電圧を検出する。検出された出力電圧が、予め定めた電圧値(発光素子用設定電圧値)より小さいか否かを判断する。ここで発光素子用設定電圧値とは、透過型センサー45(受光素子45B)および反射型センサー49(受光素子49B)ごとに定められた値であって、それぞれの特性を考慮して任意に定められる電圧値で、発光素子45A、45Bの発光量を定めるための電圧値を意味する。ここで、発光素子用設定電圧値はローレベル値であり、発光素子用設定電圧値より受光素子45B、49Bの出力電圧が低ければ、ハイレベル値とローレベル値と差が十分に大きいと判断される。発光素子用設定電圧値として、受光素子45B、49Bの飽和電圧になる前の最大電圧値を設定することが好ましい。受光素子45B、49Bに対する発光素子用設定電圧値を同じ値に設定することも、また異なる値に設定することもできる。
受光素子45B、49Bから検出された出力電圧が発光素子用設定電圧値より小さければ、このときの発光素子45A、49Aの発光量(LED1)が適切な発光量として決定される。受光素子45B、49Bの出力電圧が発光素子用設定電圧値より大きければ、発光素子45A、49Aの発光量が一段階上げられ、発光素子45A、49Aの発光量は、次の段階の発光量(LED2)に設定される。発光素子45A、49Aの発光量(LED2)で光学センサーを駆動し、光学センサー(透過型センサー45と反射型センサー49)を駆動させて、受光素子45B、49Bから出力される出力電圧を検出する。受光素子45B、49Bから検出された出力電圧が、発光素子用設定電圧値より小さくなるまで、検出された出力電圧と発光素子用設定電圧値の比較、発光量の増加が繰り返される。受光素子45B、49Bから検出された出力電圧が、発光素子用設定電圧値より小さくなったときの、発光素子45A、49Aの発光量が最適発光量として決定される。
次に、負荷抵抗R2である抵抗値(R280)をリセットし、負荷抵抗R2として抵抗値(R21:最も小さい抵抗値)に設定する。上述の処理で決定された最適発光量で発光素子45A、49Aを発光させて、光学センサーを駆動(透過型センサー45と反射型センサー49)させる。ことのき最適発光量は固定され、基本的には変更されない。
次に、この状態で光学センサーを駆動させて、受光素子45B、49Bから出力される出力電圧を検出する。つまり、負荷抵抗R2を抵抗値(R21)に設定したときの出力電圧を検出する。検出された出力電圧が、予め定めた電圧値(受光素子用設定電圧値)より小さいか否かを判断する。受光素子45B、49Bから検出された出力電圧が受光素子用設定電圧値より小さければ、このときの受光素子45B、49Bの抵抗値R21が適切な負荷抵抗R2として決定される。ここで受光素子用設定電圧値とは、透過型センサー45(受光素子45B)および反射型センサー49(受光素子49B)ごとに定められた値であって、それぞれの特性を考慮して任意に定められる電圧値で、受光素子45B、49Bの負荷抵抗R2を定めるための電圧値を意味する。ここで、受光素子用設定電圧値はローレベル値であり、発光素子用設定電圧値より受光素子45B、49Bの出力電圧が低ければ、ハイレベル値とローレベル値と差が十分に大きいと判断される。受光素子用設定電圧値として、受光素子45B、49Bの飽和電圧になる前の最大電圧値を設定することが好ましい。受光素子45B、49Bに対する受光素子用設定電圧値を同じ値に設定することも、また異なる値に設定することもできる。
受光素子用設定電圧値と発光素子用設定電圧値とを同じ値に設定とすることも、また異なる値に設定することもできる。受光素子用設定電圧値がよりも発光素子用設定電圧値大きいことがより好ましい。
受光素子45B、49Bの出力電圧が受光素子用設定電圧値より大きければ、負荷抵抗R2の抵抗値が一段階増加され、負荷抵抗R2として抵抗値(R22)が設定される。決定された発光量で光学センサーを駆動し、受光素子45B、49Bから出力される出力電圧を検出する。受光素子45B、49Bから検出された出力電圧が、受光素子用設定電圧値より小さくなるまで、検出された出力電圧と受光素子用設定電圧値の比較、負荷抵抗R2の抵抗値の増加が繰り返される。受光素子45B、49Bから検出された出力電圧が、受光素子用設定電圧値より小さくなったときの、抵抗値が受光素子45B、49Bの負荷抵抗R2を最適負荷抵抗R2として決定される。
上述の処理を行うことにより、発光素子45A、49Aの発光量と、受光素子45B、49Bの最適負荷抵抗R2が決定され、この値が、例えば、制御部500のRAM503は記憶される。
なお、発光電流設定回路522は、必ずしも発光量を七段階に切り替える構成に限らず、少なくとも三段階以上の切替えを可能にする構成としてもよい。また、受光感度設定回路523は、必ずしも受光感度を128段階に切り替える構成に限らず、少なくとも32段階以上の切替えを可能にする構成としてもよい。本実施の形態のセンサーレベル調整部520におけるサンサーレベル調整方法を適用することができる。
本実施の形態のセンサーレベル調整装置520では、透過型センサー45および反射型センサー49の各々について、以下のようにしてそれらの出力信号(出力電圧Vout)の電圧レベルが適切となる最適な動作条件(発光量および負荷抵抗)を検出し、その動作条件で動作するように設定する。
出力信号の電圧レベルが適切とは、図11に示したように、透過型センサー45および反射型センサー49の各々から出力される出力信号のローレベル値が予め決められた適切な電圧レベルであることを示す。適切な電圧レベルとは、特定の電圧レベル(電圧値)に限らず、予め決められた電圧範囲内の任意の電圧値であること、すなわち、ローレベル値に対してはローレベル値として適切な電圧レベルであるとみなせる電圧範囲内の任意の電圧値であることも意味する。なお、ローレベル値の適切な電圧レベルは、透過型センサー45および反射型センサー49ごとに異なっていてもよい。
次に、センサーレベルの調整方法について、図15のフローチャートおよび図16、図17の光学センサーの受光素子として使用されるフォトトランジスタPTのコレクタ−エミッタ間の電圧(コレクタ−エミッタ間電圧)VCEと光電流(コレクタ電流)Icとの関係を示した特性図を参照して説明する。コレクタ−エミッタ間電圧VCEは図14に示したようにセンサーの出力電圧Voutを示す。
まず、センサーレベル調整を実施する際の前準備として、作業者は、通紙ルートに被検出サンプルを挿入し、透過型センサー45および反射型センサー49の検出位置に被検出サンプルを配置する。この被検出サンプルは、センサーレベル調整を実施している間(センサーレベル調整の開始から完了までの間)、通紙ルートにおいて移送されることなく静止状態に保持される。CPU501は操作パネル3からセンサーレベル調整コマンドの入力操作が行われると、センサーレベル調整を実施するための上述の前準備として、ステップS10において、被検出サンプルとしての台紙70が通紙ルートに差し込まれた否かを判断する。そして、YESと判断するまで、ステップS10の処理を繰り返す(ステップS10)。
被検出サンプルは、印字用紙としての連続紙Pのうち、ラベル片71も位置検出用マーク72も設けられていない台紙70のみの用紙を示す。このような被検出サンプルとしては、台紙70のみの専用の用紙を用いることができる。また、作業者が連続紙Pからラベル片71を剥離したものを用いることもできる。この場合には、ラベル片71を剥離した台紙70の位置検出用マーク72が透過型センサー45および反射型センサー49の検出位置に配置されないようにする。更に、連続紙Pの先頭部分にラベル片71も位置検出用マーク72もない台紙70のみの部分を設けておき、その部分を被検出サンプルとして使用できるようにすることもできる。
次に、CPU501により、センサーレベル調整部520に制御信号が送られ、抵抗設定部523Bは負荷抵抗R2として、予め定められたR280が設定される。R280が設定されるのは上述の理由からである。また、CPU501により、センサーレベル調整部520に制御信号が送られ、抵抗設定部522Bは制限抵抗R1として最も大きい抵抗値R17を選択する。これにより、発光素子45A,49Aの発光量は最も小さいLED1が選択される。発光素子45A,49AのLED1は同じ発光量であっても、異なる発光量であってもよい。透過型センサー45および反射型センサー49として機能させるための最も小さい発光量が設定されれば良いことを意味する(ステップS12)。
続いて、透過型センサー45に対しては検出位置にギャップ73が検出される“ギャップ検出”状態のときのローレベル値が出力信号(出力電圧Vout)として出力される状態となる。反射型センサー49に対して検出位置に位置検出用マーク72が検出されない“位置検出用マーク非検出”状態のときのローレベル値が出力信号(出力電圧Vout)として出力される状態なる。この状態において、受光素子45B、49Bの出力される出力電圧Voutを検出する(ステップS14)
次に、ステップS14で検出した出力電圧Voutが発光素子用設定電圧値より小さいか否かを判断する(ステップS16)。ステップS16においてNOと判定している間は、ステップS18において、発光量が「LED7」か否かを判定し、NOと判定した場合には、ステップS20において、発光量を一段階大きくし、例えば、発光量(LED2)として、ステップS14に戻る。即ち、発光量を「LED1」から「LED7」まで順に切り替えながらステップS14とステップS16の処理を繰り返す。
発光量を「LED1」から「LED7」のいずれかに設定し、ステップS16の処理においてYESと判定した場合には、ステップS24に移行する。ステップS18の処理においてYESと判定した場合に、適切な発光量が設定できなかったこととなり、異常終了の形で処理を終了する(ステップS22)。
ここで、ステップS12からステップS20の処理を図16に基づいて説明する。まず、ステップS12の処理において、発光量(LED1)と負荷抵抗R2(R280)が設定される。この状態で光学センサーが駆動される。図16は、センサーのフォトトランジスタのコレクタ・エミッタ間電圧を横軸、光電流(コレクタ電流)Icを縦軸とする特性図である。特性曲線CLED1は、発光量がLED1の場合のフォトトランジスタの特性曲線示し、負荷直線L(R280)は負荷抵抗R2(R280)の場合の負荷直線を示している。特性曲線CLED1と負荷直線L(R280)との交点が動作点となり、出力電圧Voutとして出力される。この出力電圧Voutと発光素子用設定電圧とが比較される。CLED1の場合、出力電圧Voutより発光素子用設定電圧より大きいので、次の発光量(LED2)が設定される。
特性曲線CLED2は、発光量がLED2の場合のフォトトランジスタの特性曲線示している。負荷抵抗R2は抵抗値(R280)に固定されているので、特性曲線CLED2と負荷直線L(R280)との交点が動作点となり、出力電圧Voutとして出力される。CLED2の場合、出力電圧Voutより発光素子用設定電圧より大きいので、次の発光量(LED3)が設定される。
特性曲線CLED3は、発光量がLED3の場合のフォトトランジスタの特性曲線示している。負荷抵抗R2は抵抗値(R280)に固定されているので、特性曲線CLED3と負荷直線L(R280)との交点が動作点となり、出力電圧Voutとして出力される。CLED3の場合、出力電圧Voutが発光素子用設定電圧より小さいので、発光量(LED3)が適切な発光量として判断される。
次に、図15のフローチャートに示すように、ステップS12からステップS20で適切な発光量と判断された、発光量が決定される。図16によれば、発光量(LED3)が決定される。さらに、負荷抵抗R2が抵抗値(R280)から抵抗値(R21)に設定される(ステップS24)。
ステップS14と同様に、透過型センサー45に対しては検出位置にギャップ73が検出される“ギャップ検出”状態のときのローレベル値が出力信号(出力電圧Vout)として出力される状態となる。反射型センサー49に対して検出位置に位置検出用マーク72が検出されない“位置検出用マーク非検出”状態のときのローレベル値が出力信号(出力電圧Vout)として出力される状態なる。この状態において、受光素子45B、49Bの出力される出力電圧Voutを検出する(ステップS26)。
次に、ステップS26で検出した出力電圧Voutが受光素子用設定電圧値より小さいか否かを判断する(ステップS28)。ステップS28においてNOと判定している間は、ステップS30において、負荷抵抗R2が「R280」か否かを判定し、NOと判定した場合には、ステップS32において、負荷抵抗Rを一段階大きくし、例えば、抵抗値(R22)として、ステップS26に戻る。即ち、負荷抵抗R2を「R21」から「R280」まで順に切り替えながらステップS26とステップS28の処理を繰り返す。
負荷抵抗R2を「R21」から「R280」のいずれかに設定し、テップS28の処理においてYESと判定した場合には、ステップS36に移行する。ステップS30の処理においてYESと判定した場合に、適切な負荷抵抗R2が設定できなかったこととなり、異常終了の形で処理を終了する(ステップS34)。
ここで、ステップS24からステップS32の処理を図17に基づいて説明する。まず、ステップS24の処理において、ステップS16で検出された発光量(LED3)と負荷抵抗R2(R21)が設定される。この状態で光学センサーが駆動される。図17は、センサーのフォトトランジスタのコレクタ・エミッタ間電圧を横軸、光電流(コレクタ電流)Icを縦軸とする特性図である。特性曲線CLED3は、発光量がLED3の場合のフォトトランジスタの特性曲線示し、負荷直線L(R21)は負荷抵抗R2の抵抗値(R21)の場合の負荷直線を示している。特性曲線CLED3と負荷直線L(R21)との交点が動作点となり、出力電圧Voutとして出力される。この出力電圧Voutと受光素子用設定電圧とが比較される。負荷直線L(R21)の場合、出力電圧Voutより受光素子用設定電圧より大きいので、負荷抵抗R2として、次の抵抗値(R22)が設定される。
出力電圧Voutより受光素子用設定電圧より小さくなるまで、負荷抵抗R2が漸次増加される。図17において、負荷抵抗R2として抵抗値(R256)を設定した場合、負荷直線L(R256)と特性曲線CLED3との交点である出力電圧Voutが、受光素子用設定電圧より小さくなるので、抵抗値(R256)が負荷抵抗R2として適切な抵抗値であると判断される。
次に、図15のフローチャートに示すように、ステップS12からステップS30の処理を通じて、適切な発光素子45A、49Bの発光量および受光素子45B、49Bの負荷抵抗R2が設定され(ステップS36)、基本的にセンサーレベルの自動調整が終了する。光学センサーとして、透過型センサー45と反射型センサー49との両方備えている場合、図15のフローチャートにしたがい、透過型センサー45と反射型センサー49とを同時にセンサーレベルを調整することができる。
次に、センサーレベルの自動調整で設定された負荷抵抗R2に対して、抵抗値を補正する場合について説明する。連続紙Pのギャップ73を検出する透過型センサー45のセンサーレベルを自動調整する場合、台紙70を静止させて自動調整を行っている。一方、実際の印字作業では、連続紙Pは搬送される。したがって、用紙検出は連続紙Pを搬送させた状態で行われる。そのため、台紙70を通過して受光素子45Bに到達する発光素子45Aからの発光量は、自動調整時と比較すると小さくなる。そのため、その降下する電圧分を補うため、負荷抵抗R2に対して補正が行われることが好ましい。電圧降下分を考慮して、設定された負荷抵抗R2にさらに抵抗値を上げる補正が行われる。したがって、センサーレベル調整部520に、負荷抵抗R2を補正する負荷抵抗補正手段を設けることが好ましい。
反射型センサー49の自動調整において、ラベル片71のない台紙70を用いて調整することが好ましい。連続紙Pにおいてラベル片71のある部分とギャップ73部分では発光素子49Aからの反射光の光量が異なる。発光素子49Aからの光は連続紙Pの裏面、ラベル片71の仮着されていない面に照射される。しかしながら、ラベル片71のある部分では、ギャップ73部分より大きな光量を反射する。つまり、出力電圧Voutは、ラベル片71部分ではギャップ73部分より低くなる。ラベル片71部分の出力電圧Voutを基準とすると、ギャップ73部分ではハイレベル値に対して十分な電位差が取れなくなり、位置検出用マーク72を検出できなくなる場合があるからである。
本発明は、用紙検出用の光学センサーを備えるプリンターにおいて広く利用することができる。