JP2015193344A - 車両用制動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】より長時間のブレーキ加圧制御を実行することを可能とする車両用制動制御装置を提供する。【解決手段】補助加圧源100で発生させるM/C圧を各車輪FL〜RRのW/C圧の最大値に設定する。これにより、必要以上にM/C圧を発生させなくて良くなる。そして、各車輪FL〜RRのW/C圧を発生させる際に、高圧なM/C圧を減圧してW/C圧として用いる必要が無くなるため、各減圧制御弁21、22、41、42を通じてリザーバ20、40に排出されるブレーキ液量を低減できる。したがって、モータ60の作動頻度を低減させることが可能となり、モータ60の温度上昇が抑制されて、ブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。【選択図】図1

Description

本発明は、車体速度を所定速度に制御するように各車輪の制動力を制御する車両用制動制御装置に関するものである。
従来、特許文献1において、車両安定制御(以下、ESC(Electronic stability control)という)やトラクション制御(以下、TRC(Traction control)という)等に用いられる加圧機能を持った液圧制御ユニットが開示されている。この制御ユニットは、マスタシリンダ(以下、M/Cという)とホイールシリンダ(以下、W/Cという)とを接続する管路の間、つまりドライバのブレーキ操作をW/C圧として伝える伝達経路においてブレーキペダル側を上流側、W/C側を下流側とすると、M/Cよりも下流側においてポンプを作動させることでW/Cの加圧を行う構成とされている。
しかしながら、このような液圧ユニットを用いる場合、連続作動時間が長時間になるブレーキ加圧制御、例えばオフロードでの定速走行制御を実行しようとすると、ポンプで加圧する際にポンプを駆動するモータに大電流が流れるため、モータが発熱し、作動時間が制限されるという問題があった。
これに対して、特許文献2において、通常ブレーキにも用いられる耐久性の高いM/Cの加圧源とアンチロックブレーキ制御(以下、ABS(Antilock Brake System)という)などに用いられる液圧制御ユニットを組み合わせて、ブレーキ加圧制御を行うようにしたシステムが提案されている。このシステムには、M/Cの上流側に備えられた加圧源による加圧助勢によって高圧なM/C圧を発生させ、M/Cの下流側に備えられた液圧制御ユニットによるブレーキ液圧調整によって各W/C圧を調整し、所望する制動力を発生させる。このようなシステムでは、生産数の多いABS制御に用いられる液圧制御ユニットを用いることや周辺部品の共通化によるコスト低減や、加圧制御の有無にかかわらず共通のABS制御を行えることによる開発工数低減などの効果が得られる。
特開2004−90679号公報 特開2013−107562号公報
上記した特許文献2に示されたM/Cの上流側に備えられた加圧源によってM/C圧を加圧助勢するシステムでは、M/C圧の加圧に使用頻度の高い通常ブレーキ時にも用いられる耐久性の高い加圧源を用いることができる。一方、ABS制御用の液圧ユニットは、ABS制御の作動条件に基づいて耐久性などの性能目標が決められている。例えば、時速200km/hから路面摩擦係数0.2程度の凍結路でABS作動によって車両を停止させることを想定しても、ABS作動時間は30秒程度と短い。また、サーキット走行などを想定しても、ABSが作動するような急減速が行われるタイミングの間には加速する時間があるため、長時間連続してABS作動を続けることもない。
そのため、連続作動時間が長時間となるようなブレーキ加圧制御を行おうとしても、M/Cの下流側での液圧制御ユニットを用いたW/C圧の調整を長時間行えないため、ブレーキ加圧制御の作動時間が限られるという問題が発生し得る。特に、高圧なM/C圧を発生させつつ液圧制御ユニットによってW/C圧を調整するという形態では、減圧制御時にリザーバ内に排出されるブレーキ液をポンプ作動によって汲み出す頻度が多くなるが、ポンプ駆動用のモータには大電流が流れるため、モータの発電により作動時間が制限される可能性がある。
本発明は上記点に鑑みて、より長時間のブレーキ加圧制御を実行することを可能とする車両用制動制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の車両用制動制御装置は、ブレーキ操作部材の操作に基づいてM/C圧を発生させるM/Cと、M/Cに作用して、ブレーキ操作部材の操作によらずに任意のM/C圧を発生可能な補助加圧源と、M/Cと接続されると共に各車輪に対応して備えられ、W/C圧が発生させられることによって各車輪に対して制動力を発生させるW/Cと、M/CとW/Cとの間に配置され、W/C圧の調整を行う液圧調整部と、補助加圧源と液圧調整部を用いて、補助加圧源にてブレーキ操作部材の操作に基づく圧力を上回るM/C圧を発生させ、かつ、液圧調整部にて各車輪に任意の制動力を発生させるブレーキ加圧制御を実行する制御部と、を有した構成とされている。
このような構成において、液圧調整部には、M/CとW/Cとの間を接続する主管路に設けられると共に主管路の連通・遮断を制御する増圧制御弁と、主管路における増圧制御弁とW/Cとの間に接続された減圧管路を通じて主管路からブレーキ液が排出されるリザーバと、減圧管路の連通・遮断を制御する減圧制御弁と、リザーバと主管路におけるM/Cと増圧制御弁との間とを接続する還流管路を通じてリザーバに排出されたブレーキ液を主管路に返流するポンプと、ポンプを駆動するモータと、が備えられ、液圧調整部は、ブレーキ加圧制御における減圧制御として減圧制御弁を連通させることで主管路からリザーバにブレーキ液を排出させることで、W/C圧を減圧する制御を実行し、制御部は、ブレーキ加圧制御の実行中にモータの作動を抑制する抑制制御を行うことを特徴としている。
このように、ブレーキ加圧制御を実行する際にモータの作動を抑制する抑制制御を行うようにしている。このため、モータの作動頻度を低減させることが可能となり、モータの温度上昇が抑制されて、ブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
請求項2に記載の発明では、制御部は、モータの作動抑制が必要か否かを判定するモータ作動抑制判定部を有し、ブレーキ加圧制御の実行中にモータ作動抑制判定部にてモータの作動抑制が必要と判定されると、抑制制御として、減圧制御によるリザーバへのブレーキ液の排出を抑制する減圧抑制制御を行うことを特徴としている。
このように、抑制制御として、減圧制御によるリザーバへのブレーキ液の排出を抑制する減圧抑制制御を行うことで、各減圧制御弁を通じてリザーバに排出されるブレーキ液量を低減でき、上記請求項1に示した効果を得ることができる。
請求項3に記載の発明では、制御部は、減圧抑制制御として、ブレーキ加圧制御により最も高いW/C圧が要求されている車輪のW/CをM/Cと連通させると共にリザーバと遮断される増圧状態とし、当該車輪以外の車輪のW/CのW/C圧を増圧制御弁および減圧制御弁を用いて圧力調整することを特徴としている。
このように、補助加圧源で発生させるM/C圧を各車輪のW/C圧の最大値に設定し、ブレーキ加圧制御により最も高いW/C圧が要求されている車輪のW/CをM/Cと連通させている。このため、必要以上にM/C圧を発生させなくて良くなる。そして、各車輪のW/C圧を発生させる際に、最も高いW/C圧が要求されている車輪のW/C圧を減圧するときには、リザーバを介して減圧することなく、連通されているM/C圧を低下することで減圧することが出来るため、各減圧制御弁を通じてリザーバに排出されるブレーキ液量を低減できる。
請求項4に記載の発明では、制御部は、ブレーキ加圧制御の制御要求による最も高いW/C圧の圧力変動が小さいときには大きいときと比較して、モータの出力を低下させることを特徴としている。
このように、ブレーキ加圧制御の制御要求に基づく各車輪のW/C圧の最大圧の変動が大きいとき、つまり補助加圧源で発生させるM/C圧の変動の大きさを検出し、その大きさに応じてモータ出力を制御している。これにより、ポンプバックによるブレーキ液圧脈動を低減し、ブレーキ加圧制御への影響を小さくすることが可能となる。
請求項5に記載の発明では、制御部は、減圧抑制制御として、車輪速度が基準速度を上回った車輪の車輪速度を抑制する制御において、左右輪の両方の車輪速度が基準速度を上回った場合には高い方の車輪のみ車輪速度を抑制する左右速度差制御を実行することを特徴としている。
このように、左右速度差制御を実行することで、左右独立制御と比較して、制御対象輪としてW/Cが加圧される車輪が少なくなるため、全車輪トータルでのW/Cの加圧量が減少し、減圧制御においてリザーバに排出されるブレーキ液量も減少する。これにより、リザーバからのブレーキ液の吸出しを行うためのモータの作動頻度を低減でき、モータの温度上昇が抑制されて、ブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
請求項6に記載の発明では、制御部は、減圧抑制制御として、各車輪の車輪速度を基準速度に近づける速度維持制御において、複数の車輪を1つのグループとして、グループ毎にグループ内の複数の車輪について同一のブレーキ液圧制御を行う平均制御を実行することを特徴としている。
このように、平均制御を実行することで、4輪独立制御と比較して、制御対象輪に対して発生させられるW/C圧が平均化されて変動が抑制されるため、全車輪トータルでのW/Cの減圧量が減少し、減圧制御においてリザーバに排出されるブレーキ液量も減少する。また、何れか一つのグループを選択して、同一グループのW/CをM/Cと連通し、M/C圧によって増減圧することが出来るため、M/Cと連通しているW/Cについては、リザーバを介さずに減圧することが可能になる。これにより、リザーバからのブレーキ液の吸出しを行うためのモータの作動頻度を低減でき、モータの温度上昇が抑制されて、ブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
請求項7に記載の発明では、制御部は、減圧抑制制御として、減圧制御の際に減圧速度が所定の減圧勾配以下となるように制限する減圧速度抑制制御を実行することを特徴としている。
このように、減圧速度抑制制御によって減圧制御の際の減圧速度が所定の減圧勾配以下となるようにすれば、リザーバに排出されるブレーキ液量が減少する。したがって、リザーバからのブレーキ液の吸出しを行うためのモータの作動頻度を低減でき、モータの温度上昇が抑制されて、ブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
請求項8に記載の発明では、制御部は、減圧抑制制御として、減圧制御の際に減圧量が所定の減圧量以下となるように制限する減圧量抑制制御を実行することを特徴としている。
このように、減圧速度抑制制御によって減圧制御の際の減圧量が所定の減圧量以下となるようにしても、リザーバに排出されるブレーキ液量が減少する。したがって、リザーバからのブレーキ液の吸出しを行うためのモータの作動頻度を低減でき、モータの温度上昇が抑制されて、ブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
請求項9に記載の発明では、モータ作動抑制判定部は、予め定められた種類のブレーキ加圧制御が実行されたときに、モータの作動抑制が必要と判定することを特徴としている。
このように、予め定められた種類のブレーキ加圧制御が実行された場合に、モータの作動が長時間になる可能性がある。このため、モータ作動抑制判定部では、予め定められた種類のブレーキ加圧制御が実行された際に、モータの作動抑制が必要であると判定することができる。
請求項10に記載の発明では、モータ作動抑制判定部は、モータの温度を取得し、モータの温度が予め定められた温度閾値を超えたときに、モータの作動抑制が必要と判定することを特徴としている。
このように、モータの温度を取得し、モータの温度に基づいてモータの作動抑制が必要であると判定することもできる。
請求項11に記載の発明では、制御部は、リザーバに蓄積されたブレーキ液の蓄積量となるリザーバ内液量が予め定められた容量閾値を超えたことや予め定められた停止閾値となったことを判定するリザーバ容量判定手段を有し、抑制制御として、リザーバ内液量が容量閾値を超えるとモータを作動させてリザーバ内からブレーキ液を吸出し、リザーバ内液量が容量閾値となるとモータを停止させることを特徴としている。
このように、リザーバ内液量が容量閾値を超えたときにのみモータを駆動することで、リザーバ内に蓄積されたブレーキ液の汲み取りを行うためのモータの作動頻度を更に低減させることが可能となる。これにより、更にモータの温度上昇が抑制されて、よりブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
請求項12に記載の発明では、液圧調整部は、ポンプを作動させることでM/C圧よりもW/C圧を増圧させる下流加圧部を有し、制御部は、抑制制御として、補助加圧源によって発生させられるM/C圧に基づいてW/C圧を発生させつつ、同一のW/C圧を発生させる複数の車輪よりも高いW/C圧を発生させる車輪に対して、下流加圧部にてW/C圧を増圧させる2重加圧制御を行うことを特徴としている。
このようにすれば、例えばブレーキ加圧制御においては4輪同圧のW/C圧にすることが要求され、他の制御機能において1輪のみがW/C圧を増加させることが要求された場合に、M/C圧を4輪同圧とされるW/C圧に設定しつつ、1輪のみのW/C圧をM/Cの下流側で増加させれば済む。このため、下流側で増加していない方のブレーキ系統に含まれる車輪のW/Cについては、M/Cと連通してM/C圧によってW/C圧を増減圧可能であり、リザーバを介しての減圧が必要なくなる。したがって、リザーバに排出されるブレーキ液量を減少させられる。これにより、リザーバからのブレーキ液の吸出しを行うためのモータの作動頻度を低減でき、モータの温度上昇が抑制されて、ブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
本発明の第1実施形態にかかるブレーキシステム1の液圧回路の基本構成を示す図である。 ブレーキ加圧制御時に実行されるブレーキ制御の基本フローチャートである。 図2−1に続くブレーキ加圧制御時に実行されるブレーキ制御の基本フローチャートである。 図2−2に続くブレーキ加圧制御時に実行されるブレーキ制御の基本フローチャートである。 第1実施形態に示す制御を行った場合のタイムチャートである。 本発明の第2実施形態で説明するブレーキ加圧制御としてTRCが実行される際のTRCのフローチャートである。 ブレーキ加圧制御としてDACが実行される際のDACのフローチャートである。 図2に示したステップ126で実行される下流制御での減圧制御における減圧制限処理のフローチャートである。 第2実施形態に示す制御を行った場合のタイムチャートである。 本発明の第3実施形態にかかるブレーキシステム1の液圧回路の基本構成を示す図である。 ブレーキ加圧制御時に実行されるブレーキ制御の基本フローチャートである。 図9−1に続くブレーキ加圧制御時に実行されるブレーキ制御の基本フローチャートである。 図9−2に続くブレーキ加圧制御時に実行されるブレーキ制御の基本フローチャートである。 第2実施形態に示す制御を行った場合のタイムチャートである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
本発明の一実施形態にかかる車両用制動制御装置を構成するブレーキシステムについて説明する。図1は、本実施形態にかかるブレーキシステム1の液圧回路の基本構成を示した図である。ここでは前後配管の液圧回路を構成する車両に本発明の一実施形態にかかるブレーキシステム1を適用した例について説明するが、X配管などの車両についても適用可能である。
図1に示すブレーキシステム1では、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル11が操作されると、後述する補助加圧源100からのブレーキ液圧が伝えられるハイドロブースタ12にてブレーキペダル11の操作力が加圧助勢され、M/C13内にM/C圧が発生させられる。例えば、ブレーキペダル11の操作量を検出するストロークセンサ11aが備えられており、通常ブレーキ時には、ストロークセンサ11aでの検出結果に基づいて定められた助勢圧であるサーボ圧が発生するように、補助加圧源100が作動し、M/C圧の加圧助勢が行われ、ブレーキペダル11の操作量を超えるM/C圧が発生させられる。具体的には、M/C13内の図示しないマスタピストンが操作力とサーボ圧によって押圧され、マスタピストンによって区画されるプライマリ室とセカンダリ室とに同圧のM/C圧が発生させられる。M/C圧は、液圧調整部を構成するブレーキ液圧制御用アクチュエータ50を通じて各W/C14、15、34、35に伝えられる。
M/C13には、プライマリ室およびセカンダリ室それぞれと連通する通路を有するマスタリザーバ13aが備えられており、このマスタリザーバ13aから補助加圧源100へのブレーキ液供給が行われる。また、ハイドロブースタ12からは、余剰なブレーキ液がマスタリザーバ13aに返流されるようになっている。
ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50は、第1配管系統50aと第2配管系統50bとを有しており、図示しないアルミ製などのブロックに各種部品が組み付けられることで一体化された構成とされている。第1配管系統50aは、右後輪RRと左後輪RLに加えられるブレーキ液圧を制御するリア系統、第2配管系統50bは、左前輪FLと右前輪FRに加えられるブレーキ液圧を制御するフロント系統とされる。
なお、各系統50a、50bの基本構成は同様であるため、以下では第1配管系統50aについて説明し、第2配管系統50bについては説明を省略する。
第1配管系統50aは、上述したM/C圧を左後輪RLに備えられたW/C14および右後輪RRに備えられたW/C15に伝達し、W/C圧を発生させる主管路となる管路Aを備えている。
管路Aは、W/C14、15側において、2つの管路A1、A2に分岐する。管路A1にはW/C14へのブレーキ液圧の増圧を制御する第1増圧制御弁17が備えられ、管路A2にはW/C15へのブレーキ液圧の増圧を制御する第2増圧制御弁18が備えられている。
第1、第2増圧制御弁17、18は、連通・遮断状態を制御できる2位置電磁弁により構成されている。具体的には、第1、第2増圧制御弁17、18は、内蔵されたソレノイドコイルへの制御電流がゼロとされる時(非通電時)には連通状態となり、ソレノイドコイルに制御電流が流される時(通電時)に遮断状態に制御されるノーマルオープン型となっている。
管路Aにおける第1、第2増圧制御弁17、18および各W/C14、15の間とリザーバ20とを結ぶ減圧管路となる管路Bには、連通・遮断状態を制御できる2位置電磁弁により構成される第1減圧制御弁21と第2減圧制御弁22とがそれぞれ配設されている。これら第1、第2減圧制御弁21、22は、内蔵されたソレノイドコイルへの制御電流がゼロとされる時(非通電時)には遮断状態となり、ソレノイドコイルに制御電流が流される時(通電時)に連通状態に制御されるノーマルクローズ型となっている。
リザーバ20と主管路である管路Aとの間には還流管路となる管路Cが配設されている。この管路Cにはリザーバ20からM/C13側あるいはW/C14、15側に向けてブレーキ液を吸入吐出する自吸式のポンプ19が設けられている。ポンプ19は、モータ60によって駆動され、モータ60は図示しないモータリレーに対する通電が制御されることで駆動される。
以上、第1配管系統50aについて説明したが、第2配管系統50bも同様の構成であり、第1配管系統50aに備えられた各構成と同様の構成を第2配管系統50bも備えている。具体的には、第1、第2増圧制御弁17、18と対応する第3、第4増圧制御弁37、38、第1、第2減圧制御弁21、22と対応する第3、第4減圧制御弁41、42、ポンプ19と対応するポンプ39、リザーバ20と対応するリザーバ40、管路A〜Cと対応する管路E〜Gがある。
なお、各系統50a、50bがブレーキ液を供給するW/C14、15、34、35については、リア系統となる第1配管系統50aよりもフロント系統となる第2配管系統50bの方の容量を大きくすることができる。これにより、フロント側においてより大きな制動力を発生させることができる。トラック等ではリア系統とフロント系統が同じ容量とされて、各系統50a、50bで同じ構成とされる。
さらに、図1に示すように、本実施形態にかかるブレーキシステム1の液圧回路には、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50に加えて、ブレーキペダル11の操作にはよらずに任意のM/C圧を発生させられる補助加圧源100が備えられている。補助加圧源100には、液圧ポンプ101、アキュムレータ102、電動モータ103、圧力センサ104および第1、第2制御弁105、106などが備えられている。
液圧ポンプ101は、マスタリザーバ13aとハイドロブースタ12とを接続する管路Iに備えられ、電動モータ103によって駆動されるもので、マスタリザーバ13aのブレーキ液を吸入吐出する。この液圧ポンプ101が吐出したブレーキ液がアキュムレータ102に供給される。液圧ポンプ101は、高圧となるアキュムレータ102に吐出可能なポンプによって構成されており、本実施形態では内接歯車型のギヤポンプであるトロコイドポンプによって液圧ポンプ101を構成している。
アキュムレータ102も管路Iに備えられ、管路Iのうち液圧ポンプ101の吐出側に配設され、液圧ポンプ101によるブレーキ液の吐出に基づいてブレーキ液圧を蓄える。このアキュムレータ102で蓄圧されたブレーキ液圧がアキュムレータ圧に相当し、ブレーキペダル11の操作力を加圧助勢するためのブレーキ液圧としてハイドロブースタ12に伝えられる。
電動モータ103は、アキュムレータ圧が所定の下限値を下回ることに応答して駆動されることでアキュムレータ圧を上昇させ、アキュムレータ圧が所定の上限値を上回ることに応答して停止させられる。これにより、アキュムレータ圧を所定圧力範囲に維持している。
圧力センサ104は、アキュムレータ圧を監視するためものであり、管路Iのうち液圧ポンプ101の吐出側に備えられる。この圧力センサ104で検出されたアキュムレータ圧が常に所定範囲内に保たれるように、圧力センサ104の検出信号に基づいて電動モータ103の駆動が行われている。
第1制御弁105は、管路Iに備えられ、管路Iの連通遮断を制御する電磁弁である。この第1制御弁105が連通状態になると管路Iを通じてハイドロブースタ102にアキュムレータ圧を伝達することでM/C圧の加圧助勢を行い、遮断状態になるとアキュムレータ圧の伝達を停止する。例えば、通常ブレーキ時には、ストロークセンサ11aの検出結果に応じて所定の助勢圧であるサーボ圧が発生するように第1制御弁105がサーボ圧の発生に必要な分だけ連通状態とされ、M/C圧の加圧助勢が行われるようになっている。また、ブレーキ加圧制御を行う場合には、ストロークセンサ11aの検出結果にかかわらず、その制御要求に基づいて第1制御弁105が所定のサーボ圧が発生するように連通状態とされる。これによって、M/C圧が発生させられる。
なお、ブレーキ加圧制御とは、制御要求に基づいてW/C圧を発生させることで制動力を発生させ、車両制御を行うことを意味している。例えば、加速時に車輪のスリップを抑制するトラクション制御(TRC(Traction Control System))や、クロール制御(CRAWL Control)と呼ばれる砂地、ダート、岩石路などのオフロードや雪道、急勾配な坂道などの速度調整が必要となる路面において車体速度を一定速度に維持する制御や、ダウンヒルアシスト制御(以下、DAC(Downhill Assist Control)という)と呼ばれる降坂路において車体速度を一定速度に維持する制御などがブレーキ加圧制御に該当する。
第2制御弁106は、ハイドロブースタ12とマスタリザーバ13aとの間を繋ぐ管路Jに備えられ、管路Jの連通遮断を制御する電磁弁である。この第2制御弁106が連通状態になると管路Jを通じてハイドロブースタ102からマスタリザーバ13aに所定の助勢圧であるサーボ圧を発生しているブレーキ液を戻すことでM/C圧の減圧調整が行えるようになっている。
このようにして、本実施形態にかかるブレーキシステム1の液圧回路が構成されている。さらに、本実施形態にかかるブレーキシステム1には、図1に示すように、ブレーキシステム1の液圧回路を制御する制御部として、ブレーキ制御用の電子制御装置(以下、ブレーキECUという)70が備えられている。ブレーキECU70は、ストロークセンサ11aの検出信号や図示しない車輪速度センサの検出信号などを入力し、これらに基づいて各種演算を行うと共に各種制御弁17、18、21、22、37、38、41、42、105、106の制御やモータ60、103の制御を行っている。これにより、M/C圧の加圧助勢を行ったり、各車輪FL〜RRのW/C14、15、34、35に発生させられるW/C圧の調整を行っている。
例えば、ブレーキECU70は、通常ブレーキ時にはストロークセンサ11aの検出信号に基づいて、ブレーキ加圧制御時には制御要求に基づいて、第1制御弁105を連通させると共に必要に応じて第2制御弁106を連通させることでM/C圧の加圧助勢を行う。これにより、加圧助勢されたM/C圧に基づいて、通常ブレーキ時には、ドライバによるブレーキペダル11の操作量に応じた制動力が発生させられる。また、ブレーキ加圧制御時には、制御要求に応じた制動力が発生させられる。このとき、制御要求に応じた制動力を発生させるにあたり、ブレーキECU70は、ブレーキ加圧制御実行中におけるモータ60の作動を抑制するための抑制制御として、以下に示す(1)〜(4)の各制御を実行している。
(1)ブレーキ加圧制御時には、ブレーキ加圧制御の制御要求に基づいて各車輪FL〜RRそれぞれに対して要求されたW/C圧を発生させるが、このときのW/C圧を補助加圧源100によるM/C圧の加圧助勢によって発生させるようにする。これにより、例えば、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50に加圧機能を持たせてポンプ19、39の作動によってW/C圧を発生させる場合と比較して、モータ60の作動頻度を低減させることが可能となる。したがって、モータ60の温度上昇が抑制されて、ブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
また、このときに、ブレーキECU70では、M/C圧が各車輪FL〜RRそれぞれに対して要求されたW/C圧の最大圧となるように、第1、第2制御弁105、106を制御し、M/C圧によってW/C圧を調整する。すなわち、M/C13の上流側に配置される補助加圧源100によって高いM/C圧を発生させつつ、それをM/C13の下流側に配置されるブレーキ液圧制御用アクチュエータ50の作動によって各車輪FL〜RRのW/C圧として必要なブレーキ液圧まで低下させるのではなく、初めから各車輪FL〜RRのW/C圧の中の最大圧となるようにM/C圧を調整する。
このようにすれば、必要以上にM/C圧を発生させることが無くなる。また、各車輪FL〜RRのW/C圧を発生させる際に、高圧なM/C圧を減圧してW/C圧として用いる必要が無くなるため、各減圧制御弁21、22、41、42を通じてリザーバ20、40に排出されるブレーキ液量を低減できる。したがって、モータ60の作動頻度を低減させることが可能となり、モータ60の温度上昇が抑制されて、ブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
(2)上記した(1)の制御のように、M/C圧が各車輪FL〜RRごとに要求されるW/C圧の最大圧となるように調整する場合において、車輪FL〜RRのうち発生させたいW/C圧が最大圧より低い車輪については、M/C13の下流側に配置されるブレーキ液圧制御用アクチュエータ50の作動によって必要なW/C圧まで低下させる。また、車輪FL〜RRのうちW/C圧が最大圧とされる車輪については、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50の作動によるブレーキ液圧の調整は行わない。
このようにすれば、車輪FL〜RRのうちW/C圧が最大圧とされる車輪についてはリザーバ20、40にブレーキ液を排出する必要がなくなる。また車輪FL〜RRのうち最大圧とされない車輪についても、最大圧からの減圧を行えば良いだけであるため、それ以上に高圧なM/C圧を発生させてから減圧して所望のW/C圧にする場合と比較して、リザーバ20、40へのブレーキ液の流入量を抑制することが可能となる。このため、リザーバ20、40からのブレーキ液の吸出しを行うためのモータ60の作動頻度を低減でき、更にモータ60の温度上昇が抑制されて、よりブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
なお、これら(1)、(2)の制御は、抑制制御のうち、ブレーキ加圧制御での減圧制御におけるリザーバ20、40へのブレーキ液の排出を抑制する減圧抑制制御に相当する。
(3)上記した(2)の制御のように、M/C13の下流側に配置されるブレーキ液圧制御用アクチュエータ50で各車輪FL〜RRのW/C圧を制御した場合、リザーバ20、40に蓄積されたリザーバ内液量を推定する。そして、推定したリザーバ内液量がリザーバ20、40で蓄積可能なリザーバ容量以下に設定された容量閾値を超えた場合には、モータ60を駆動させてリザーバ20、40内のブレーキ液を汲み取り、リザーバ内液量が停止閾値、例えば0になるとモータ60を停止させる。
このようにすれば、リザーバ20、40内に蓄積されたブレーキ液の汲み取りを行うためのモータ60の作動頻度を更に低減させることが可能となる。これにより、更にモータ60の温度上昇が抑制されて、よりブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
(4)また、補助加圧源100によるM/C圧の加圧助勢を行う際に、M/C13の下流側のブレーキ液圧制御用アクチュエータ50の作動によって、ポンプ19、39からブレーキ液がM/C13側に戻されるポンプバックが行われると、それによるブレーキ液圧の脈動が大きく、狙った圧力に制御することが難しい。
したがって、ブレーキ加圧制御の制御要求に基づいて各車輪FL〜RRに要求されるW/C圧の最大圧の変動が大きいときには、ポンプバックによるブレーキ液圧脈動が大きくても、ブレーキ加圧制御への影響が小さいため、このときにはモータ60を駆動させてリザーバ20、40内のブレーキ液を汲み取ってM/C13側に戻す。そして、W/C圧の最大圧の変動が小さいときには、ポンプバックによるブレーキ液圧脈動が大きいとブレーキ加圧制御への影響が大きく現れるため、このときにはモータ60の出力を低下させる。例えば、モータ60の回転数を低下させたり、モータ60の駆動を複数回に分けて行うことでモータ60の出力を低下させる。これにより、ポンプバックによるブレーキ液圧脈動を低減し、ブレーキ加圧制御への影響を小さくすることが可能となる。
以上のように、ブレーキ加圧制御を実行する際には、上記した(1)〜(4)の制御を実行するようにしている。続いて、このようにして実行されるブレーキ加圧制御時における補助加圧源100およびブレーキ液圧制御用アクチュエータ50の制御の詳細について説明する。図2−1〜図2−3は、ブレーキ加圧制御時に実行されるブレーキ制御の基本フローチャートである。この図に示す処理は、所定の制御周期毎に実行される。なお、ここではブレーキ加圧制御の一例としてクロール制御を例に挙げるが、他のブレーキ加圧制御についても同様である。
まず、ステップ100では、各車輪FL〜RRの現在のW/C圧CurrentPressFL〜CurrentPressRRを取得する各輪液圧取得処理を行う。例えば、図示しないW/C圧センサを各W/C14、15、34、35に対して備えること、もしくは、W/C圧推定によって、各車輪FL〜RRのW/C圧CurrentPressFL〜CurrentPressRRを取得することができる。W/C圧推定については、例えば対象車輪と対応する減圧制御弁21、22、41、42の作動時間に基づいて、M/C圧からの減圧量を演算し、M/C圧から減圧量分を差し引くことで行うことができる。
続くステップ102では、クロール制御に基づく各車輪FL〜RRの目標W/C圧TargetPressFL〜TargetPressRRを取得する各輪目標液圧取得処理を行う。これについては、クロール制御の制御要求によって決まっていることから、その制御要求が示す値を目標W/C圧TargetPressFL〜TargetPressRRとすれば良い。すなわち、クロール制御であれば、車速がドライバが設定した基準速度となるようにするために必要な各車輪FL〜RRの目標W/C圧が求められていることから、それを本ステップにおける目標W/C圧TargetPressFL〜TargetPressRRとしている。
次に、ステップ104では、M/C13の上流側に配置された補助加圧源100で発生させる上流目標圧TargetMaxPress(n)の演算を行う上流目標圧演算を行う。具体的には、次式を用いて、ステップ104で取得した目標W/C圧TargetPressFL〜TargetPressRRの中から最大値を選択する。なお、上流目標圧TargetMaxPress(n)における“n”は自然数であり、今回の演算周期を意味している。
(数1)
TargetMaxPress(n)=MAX(TargetPressFL, TargetPressFR, TargetPressRL, TargetPressRR)
そして、ステップ106に進み、上流目標圧変動量演算を行う。具体的には、数式2に基づき、ステップ104の演算結果に基づいて今回の制御周期における上流目標圧TargetMaxPress(n)と前回の制御周期における上流目標圧TargetMaxPress(n-1)との差から上流目標圧変動量ΔTargetMaxPress(n)を演算する。また、この上流目標圧変動量ΔTargetMaxPress(n)をフィルタ処理することで、フィルタ後の上流目標圧変動量ΔTargetMaxPressF(n)を求める。ここでいうフィルタ処理は、上流目標圧変動量ΔTargetMaxPress(n)の変化を緩やかにするための処理であり、例えばローパスフィルタによるフィルタリングを行っている。なお、数式2中においてΔTは制御周期を表している。
(数2)
ΔTargetMaxPress(n)=(TargetMaxPress(n)−TargetMaxPress(n-1))/ΔT
そして、ステップ108に進む。以下のステップ108〜128に示す処理は、ここでは1回の処理としてまとめて書いてあるが、各車輪FL〜RRそれぞれに対して1回ずつ行われる。また、以下の説明および図中に示した“**”は、各車輪FL〜RRを統括的に表記した記号であり、例えばステップ108〜128に示す処理が左前輪FLに対して実行されるときには、“**”が“FL”を示していることを意味している。
ステップ108では、上流目標圧TargetMaxPress(n)と各車輪FL〜RRの目標W/C圧TargetPress**との偏差(以下、圧力偏差という)を演算し、その圧力偏差が差圧調整を必要とする大きさであると考えられる差圧閾値DiffPressを超えているか否かを判定する。ここで否定判定された場合には、当該偏差が大きくなく、差圧調整が必要とされないことを意味していることから、ステップ110に進み、M/C13の下流側に設けられたブレーキ液圧制御用アクチュエータ50の制御(以下、下流制御という)として、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50のうち対象車輪に対応する部分について増圧モードを設定する。すなわち、増圧制御弁17、18、37、38のうち対象車輪に対応する増圧制御弁を常時連通状態とするフルオン状態とし、M/C圧がそのまま対象車輪のW/C圧として印加される増圧状態となるモードとする。
また、この場合には、リザーバ20、40へのブレーキ液の排出が無いため、ステップ112に進んで前回の制御周期におけるリザーバ内液量EstReserv*(n-1)をそのまま今回の制御周期におけるリザーバ内液量EstReserv*(n)に設定する。なお、リザーバ内液量などを示す際に用いている“*”は、第1、第2配管系統50a、50bそれぞれのリザーバ20、40であることを意味しており、各配管系統を示す“1”、“2”を示している。すなわち、同一配管系統内では異なる車輪でもリザーバ20、40のうち同じものにブレーキ液を排出することになる。このため、ブレーキ液の排出もしくは吸出しがある場合には、車輪FL〜RRごとにその車輪が属している配管系統のリザーバ20、40に排出された量を加算したり、吸出された量を減算することで、各リザーバ20、40に蓄積されたリザーバ内液量を求めている。
一方、ステップ108で肯定判定された場合には、上記した圧力偏差が差圧調整を必要とする大きさであることを意味していることから、ステップ114に進み、各車輪FL〜RRの目標W/C圧TargetPress**と現在のW/C圧CurrentPress**との偏差(以下、各輪偏差という)が差圧閾値DiffPressを超えているか否かを判定する。
ここで肯定判定された場合、現在のW/C圧CurrentPress**が目標W/CTargetPress**よりも小さいことを意味しているため、ステップ116に進んで下流制御として、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50のうち対象車輪に対応する部分について増圧制御を行う。具体的には、ステップ112で増圧モードを設定する場合よりも緩やかに対象車輪のW/C圧を増加させる。つまり、本ステップの対象車輪となるのは、目標W/C圧TargetPress**が最大圧とされる車輪ではないもののW/C圧を増加させたい車輪であることから、比較的緩やかにW/C圧を増加させれば良い。このため、例えば増圧制御弁17、18、37、38のうち対象車輪と対応するものをパルス増圧したり、ソレノイドへの指示電流値を線形的(リニア)に調整することで、W/C圧を緩やかに増圧させるようにする。なお、この場合にも、リザーバ20、40へのブレーキ液の排出が無いため、ステップ118に進んで前回の制御周期におけるリザーバ内液量EstReserv*(n-1)をそのまま今回の制御周期におけるリザーバ内液量EstReserv*(n)に設定する。
また、ステップ114で否定判定された場合には、ステップ120に進み、上記した各輪偏差が負の差圧閾値−DiffPress未満であるか、つまり現在のW/C圧CurrentPress**が目標W/C圧TargetPress**を超えてしまっているか否か判定する。ここで否定判定された場合には、現在のW/C圧CurrentPress**と目標W/CTargetPress**とがあまり差が無いことから、ステップ122に進んで下流制御として保持制御を行う。これにより、例えば増圧制御弁17、18、37、38のうち対象車輪と対応するものを遮断状態にして、現在のW/C圧CurrentPress**を保持する。なお、この場合には、リザーバ20、40へのブレーキ液の排出が無いため、ステップ124に進んで前回の制御周期におけるリザーバ内液量EstReserv*(n-1)をそのまま今回の制御周期におけるリザーバ内液量EstReserv*(n)に設定する。
そして、ステップ120で肯定判定された場合には、現在のW/C圧CurrentPress**が目標W/CTargetPress**を超えていて対象車輪のW/C圧を減少させる必要があることから、ステップ126に進んで下流制御として減圧制御を行う。これにより、例えば減圧制御弁21、22、41、42のうち対象車輪と対応するものを連通状態にして、現在のW/C圧CurrentPress**を減圧する。また、この場合には、減圧する分のブレーキ液がリザーバ20、40に排出されることになるため、ステップ128に進んでリザーバ内液量推定処理を行う。例えば、今回の制御周期におけるリザーバ内液量EstReserv*(n)を前回の制御周期におけるリザーバ内液量EstReserv*(n-1)に対して今回の減圧量を加算することで演算する。
この後、ステップ130に進み、M/C13の下流側に配置されるブレーキ液圧制御用アクチュエータ50内のモータ60が駆動(ON)されているか、つまりリザーバ20、40内からのブレーキ液の吸出しが行われているか否かを判定する。ここで肯定判定された場合には、ステップ132に進んでリザーバ内液量EstReserv*(n)を補正してからステップ134に進み、否定判定された場合には、そのままステップ134に進む。具体的には、ステップ132では、ステップ112、118、124、128で設定されたリザーバ内液量EstReserv*(n)からモータ60の駆動によるブレーキ液の吸出量となるモータ駆動流量を引いた値に設定する。ただし、この値が負の値になることはないため、数式3のように、リザーバ内液量EstReserv*(n)と0のいずれか大きい値を採用することで、リザーバ内液量EstReserv*(n)が負の値にならないようにしている。
(数3)
EstReserv*(n)=MAX(EstReserv*(n)−モータ駆動流量, 0)
続くステップ134では、第1、第2配管系統50a、50bに備えられたリザーバ20、40のいずれか一方でも満杯に近い状態であることを検出すべく、各リザーバ20、40のリザーバ内液量EstReserv*(n)のいずれか大きい方が容量閾値ReservThresholdを超えているか否かを判定する。ブレーキECU70のうち、この判定を行う部分がリザーバ容量判定手段に相当する。ここで肯定判定されればステップ136に進み、M/C13の下流側に配置されるブレーキ液圧制御用アクチュエータ50内のモータ60を駆動(ON)する。これにより、リザーバ20、40内のブレーキ液が吸出され、リザーバ内液量を減少させることが可能となる。
また、ステップ134で否定判定された場合やステップ136の処理を行った後にはステップ138に進み、第1、第2配管系統50a、50bに備えられたリザーバ20、40の両方が空の状態であることを検出すべく、各リザーバ20、40のリザーバ内液量EstReserv*(n)のいずれか大きい方が停止閾値となる0であるか否かを判定する。ここで肯定判定されればステップ140に進み、モータ60を停止(OFF)してからステップ142に進み、否定判定されればモータ60を停止させることなくそのままステップ142に進む。
そして、ステップ142以降において、ポンプバックによる影響を考慮した制御を行う。具体的には、ステップ142では、ステップ130と同様に、モータ60が駆動(ON)されているか否かを判定する。ここで否定判定される場合には、ポンプバックが発生しないため、ステップ144に進んでM/C13の下流側に設けられたブレーキ液圧制御用アクチュエータ50に備えられるモータ60の制御(以下、下流モータ制御という)としてモータ回転数=0を設定して処理を終了する。また、肯定判定された場合には、ステップ146に進み、ブレーキ加圧制御の制御要求に基づく各車輪FL〜RRに要求されるW/C圧の最大圧の変動が大きいか否かを判定する。具体的には、上流目標圧変動量ΔTargetMaxPress(n)とフィルタ後の上流目標圧変動量ΔTargetMaxPressF(n)それぞれの絶対値のいずれか大きい方が変動量閾値ΔPressTresholdを超えているか否かを判定している。
そして、ステップ146で肯定判定された場合には、ポンプバックによるブレーキ液圧脈動が生じてもブレーキ加圧制御への影響が少ないと考えられるため、ステップ148に進んで下流モータ制御としてモータ回転数を最大値に設定する。逆に、ステップ146で否定判定された場合には、ポンプバックによるブレーキ液圧脈動が生じるとブレーキ加圧制御への影響が大きいと考えられるため、ステップ150に進んで下流モータ制御としてモータ回転数を最大値よりも低い値にダウンさせる。このようにして、ポンプバックを加味したモータ回転数が設定される。
なお、ステップ146では、上流目標圧変動量ΔTargetMaxPress(n)の絶対値のみを変動量閾値ΔPressTresholdと比較しても良いが、上流目標圧変動量ΔTargetMaxPress(n)の変動がパルス的なものであった場合に、それに対応してモータ回転数を調整できない。このため、フィルタ後の上流目標圧変動量ΔTargetMaxPressF(n)の絶対値も含めて、上流目標圧変動量ΔTargetMaxPress(n)とフィルタ後の上流目標圧変動量ΔTargetMaxPressF(n)それぞれの絶対値のいずれか大きい方と変動量閾値ΔPressTresholdと比較するようにしている。
以上のようにして、ブレーキ加圧制御時における補助加圧源100およびブレーキ液圧制御用アクチュエータ50の制御が実行される。図3は、上記のような制御を行った場合における補助加圧源100で発生させるM/C圧と第2配管系統50bの2輪FL、FRについてのW/C圧およびリザーバ20に蓄積されたリザーバ内液量のタイムチャートの一例を示している。なお、ここでは簡略化のため第2配管系統50bの2輪FL、FRのW/C圧に基づいて補助加圧源100で発生させるM/C圧を発生させる場合を示しているが、実際には4輪FL〜RRのW/C圧に基づいて発生させられる。
図3に示すように、ブレーキ加圧制御からの制御要求で決まる各車輪FL、FRのW/C圧の最大圧が補助加圧源100で発生させるM/C圧に設定される。そして、各車輪FL、FRのW/C圧が最大圧よりも低いときには、対象車輪側の減圧制御弁21、22を連通状態にすることでブレーキ液をリザーバ40側に排出し、W/C圧を低下させる。このとき、リザーバ40に徐々にブレーキ液が蓄積されていくが、リザーバ内液量が容量閾値ReservThresholdを超えるまではモータ60は駆動させられず、容量閾値ReservThresholdを超えると駆動させられる。そして、リザーバ20からブレーキ液が吸出され、リザーバ内液量が0になると、モータ60が停止させられる。
以上説明したように、本実施形態では、上記の(1)の制御として、補助加圧源100で発生させるM/C圧を各車輪FL〜RRのW/C圧の最大値に設定している(ステップ104)。このため、必要以上にM/C圧を発生させなくて良くなる。そして、各車輪FL〜RRのW/C圧を発生させる際に、高圧なM/C圧を減圧してW/C圧として用いる必要が無くなるため、各減圧制御弁21、22、41、42を通じてリザーバ20、40に排出されるブレーキ液量を低減できる。したがって、モータ60の作動頻度を低減させることが可能となり、モータ60の温度上昇が抑制されて、ブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
また、上記の(2)の制御として、車輪FL〜RRのうち発生させたいW/C圧が最大圧より低い車輪については、M/C13の下流側に配置されるブレーキ液圧制御用アクチュエータ50の作動によって必要なW/C圧まで低下させられる(ステップ114、116、120〜126)。また、車輪FL〜RRのうちW/C圧が最大圧とされる車輪については、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50の作動によるブレーキ液圧の調整は行わなくて済む(ステップ108、110)。これによっても、リザーバ20、40へのブレーキ液の流入量を抑制することが可能となる。このため、リザーバ20、40からのブレーキ液の吸出しを行うためのモータ60の作動頻度を低減でき、更にモータ60の温度上昇が抑制されて、よりブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
また、上記の(3)の制御として、リザーバ20、40に蓄積されたリザーバ内液量を推定している(ステップ112、118、124、128、132)、推定したリザーバ内液量がリザーバ20、40で蓄積可能なリザーバ容量以下に設定された容量閾値を超えた場合には、モータ60を駆動させてリザーバ20、40内のブレーキ液を汲み取り、リザーバ内液量が0になるとモータ60を停止させている(ステップ134〜138)。このようにすれば、リザーバ20、40内に蓄積されたブレーキ液の汲み取りを行うためのモータ60の作動頻度を更に低減させることが可能となる。これにより、更にモータ60の温度上昇が抑制されて、よりブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
さらに、上記の(4)の制御として、ブレーキ加圧制御の制御要求に基づく各車輪FL〜RRのW/C圧の最大圧の変動が大きいとき、つまり補助加圧源100で発生させるM/C圧の変動の大きさを検出し、その大きさに応じてモータ回転数を制御している(ステップ142〜148)。これにより、ポンプバックによるブレーキ液圧脈動を低減し、ブレーキ加圧制御への影響を小さくすることが可能となる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、よりモータ60の温度上昇を抑制できるようにするものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
第1実施形態で説明したように、補助加圧源100で発生させるM/C圧を各車輪FL〜RRのW/C圧の最大値に設定しているため、必要以上にM/C圧を発生させなくて良くなり、モータ60の作動頻度を低減させることが可能となる。これにより、モータ60の温度上昇が抑制されて、ブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
しかしながら、それでもモータ60を作動させることによってモータ60の温度が上昇し得るため、本実施形態では、モータ60の作動を抑制するための抑制制御として、以下の(5)〜(9)の制御を行う。
(5)モータ60の温度を取得し、モータ60の温度が所定の温度閾値を超えた場合に、モータ60の温度に応じてモータ60の作動抑制が必要と判定して、各種制御における減圧制御でのW/C圧の減圧量を低減させる制御に切替える。これにより、リザーバ20、40へのブレーキ液の排出量を低減できるため、モータ60の作動頻度を低減させられ、モータ60の温度上昇を抑制することが可能となる。
(6)モータ60の温度を取得し、モータ60の温度に応じてブレーキ加圧制御の制御形態を設定する。上記(5)の制御によってモータ60の温度上昇を抑制できるが、モータ温度が所定の温度閾値以上に上昇した場合には、さらにモータ60の作動頻度を低下させるのが好ましい。このため、実行されるモータ加圧制御がTRCである場合、モータ温度が第1温度閾値以下であれば左右独立制御とし、第1温度閾値を超えると左右速度差制御に制御形態を切替えるようにする。
TRCでは、車輪速度センサの検出信号から演算される各車輪速度と推定車体速度との偏差が、加速スリップが発生していると想定される速度閾値を超えると、加速スリップを減少させるべく、制御対象輪のW/Cを加圧して制動力を発生させる。つまり、車輪速度が基準速度を上回った車輪について、車輪速度を抑制する制御を行っている。左右独立制御は、左右輪において加速スリップが発生した場合、左右輪それぞれ独立して制御対象輪のW/Cを加圧する制御形態であり、左右輪の両方において加速スリップが発生した場合には両方共にW/Cが加圧される。左右速度差制御は、左右輪のうち速度が速い方の車輪のみについて、W/Cを加圧する制御形態である。
したがって、左右独立制御と比較して、左右速度差制御の場合には、制御対象輪としてW/Cが加圧される車輪が少なくなるため、全車輪トータルでのW/Cの加圧量が減少し、TRCの減圧制御においてリザーバ20、40に排出されるブレーキ液量も減少する。これにより、リザーバ20、40からのブレーキ液の吸出しを行うためのモータ60の作動頻度を低減でき、モータ60の温度上昇が抑制されて、ブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
(7)上記した(6)と同様に、モータ温度が所定の温度閾値以上に上昇した場合に、実行されるモータ加圧制御がDACである場合にもモータ温度に応じて制御形態を切替える。具体的には、DACである場合には、モータ温度が第2温度閾値未満であれば4輪独立制御とし、第2温度閾値以上になると左右平均制御に切替え、さらに第2温度閾値よりも大きな第3温度閾値以上になると4輪平均制御に切替える。
DACでは、車輪速度センサの検出信号から演算される各車輪速度とドライバが設定する基準速度との偏差が所定の閾値を超えると、各車輪速度が基準速度に近づくように速度維持制御を行っており、制御対象輪のW/Cを加圧して制動力を発生させる。4輪独立制御は、4輪ぞれぞれ独立して制御対象輪のW/Cを加圧する制御形態であり、4輪それぞれで車輪速度と基準速度との偏差が所定の閾値を超えた場合には4輪すべてW/Cが加圧される。左右平均制御は、左右対称輪(左右前輪もしくは左右後輪)で必要とされるW/C圧の平均値を演算し、その平均値のW/C値となるように左右対称輪のW/Cを加圧する制御形態である。また、4輪平均制御は、4輪それぞれで必要とされるW/C圧の平均値を演算し、その平均値のW/C値となるように4輪のW/Cを加圧する制御形態である。
したがって、4輪独立制御と比較して、左右平均制御の場合には、制御対象輪に対して発生させられるW/C圧が平均化されて変動が抑制されるため、全車輪トータルでのW/Cの減圧量が減少し、DACの減圧制御においてリザーバ20、40に排出されるブレーキ液量も減少する。さらに、左右平均制御の場合は、平均化された左右の組み合わせの中で最も高いW/C圧の組み合わせのW/CをM/C13と連通し、M/C圧によってW/C圧の増減圧が可能となり、M/C13と連通された組み合わせのW/Cはリザーバ20、40を介することなく減圧が可能となる。同様4輪平均制御の場合は、すべての輪のW/C14、15、34、35をM/C13と連通し、M/C圧によってW/C圧の増減圧が可能となり、ずべての輪のW/C14、15、34、35はリザーバ20、40を介することなく減圧が可能となる。これにより、リザーバ20、40からのブレーキ液の吸出しを行うためのモータ60の作動頻度を低減でき、モータ60の温度上昇が抑制されて、ブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
ただし、各車輪で必要とされるW/C圧の液圧差が大きい場合、例えば1輪のみロックに近づいている状況である場合には、その車輪についてのみ独立制御としても良い。これにより、1輪がロックしてしまうことを抑制でき、より車両の安定性を確保することが可能となる。
(8)モータ60の温度を取得し、モータ60の温度に応じてブレーキ加圧制御における減圧制御での減圧勾配を所定の減圧勾配以下となるようにして減圧を緩やかにする減圧速度抑制制御を行う。具体的には、減圧制御において、モータ温度が第4温度閾値を超えている場合に減圧勾配を緩やかにする。これにより、リザーバ20、40に排出されるブレーキ液量が減少する。したがって、リザーバ20、40からのブレーキ液の吸出しを行うためのモータ60の作動頻度を低減でき、モータ60の温度上昇が抑制されて、ブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
(9)モータ60の温度を取得し、モータ60の温度に応じてブレーキ加圧制御における減圧制御での減圧量が所定の減圧量以下となるように制限する減圧量抑制制御を行う。具体的には、減圧制御において、モータ温度が第5温度閾値を超えている場合に減圧量を制限する。このようにしても、リザーバ20、40に排出されるブレーキ液量が減少する。したがって、リザーバ20、40からのブレーキ液の吸出しを行うためのモータ60の作動頻度を低減でき、モータ60の温度上昇が抑制されて、ブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
なお、これら(5)〜(9)の制御も、抑制制御のうち、ブレーキ加圧制御での減圧制御におけるリザーバ20、40へのブレーキ液の排出を抑制する減圧抑制制御に相当する。
以上のように、ブレーキ加圧制御を実行する際には、第1実施形態で説明した(1)〜(4)の制御を実行するのに加えて、上記した(5)〜(9)の制御を実行するようにしている。続いて、このようにして実行されるブレーキ加圧制御時における補助加圧源100およびブレーキ液圧制御用アクチュエータ50の制御の詳細について説明する。図4は、ブレーキ加圧制御としてTRCが実行される際のTRCのフローチャートである。図5は、ブレーキ加圧制御としてDACが実行される際のDACのフローチャートである。図6は、図2に示したステップ126で実行される下流制御での減圧制御における減圧制限処理のフローチャートである。なお、本実施形態でも基本フローチャートについては第1実施形態と同様図2に示したものが用いられるため、第1実施形態と異なる図4〜図6に示すフローチャートによる作動についてのみ説明する。
まず、図4を参照してTRCでの作動について説明する。ステップ200では、M/C13の下流側に位置しているブレーキ液圧制御用アクチュエータ50に備えられるモータ60の温度であるモータ温度MotorTempを取得する下流モータ温度取得処理を行う。例えば、図示しない温度センサをモータ60に備えること、もしくは、モータ60の駆動時間からの推定演算によって、モータ温度MotorTempを取得することができる。続く、ステップ202では、図示しない車輪速度センサの検出信号に基づいて各車輪速度VwFL〜VwRRを演算する各輪車輪速度演算処理を行う。また、ステップ204では、ステップ202で演算した各車輪速度VwFL〜VwRRに基づいて、車体速度V0を推定する車体速度推定演算処理を行う。車体速度V0の推定については、周知となっている手法を用いて行うことができる。
続いて、ステップ206に進み、モータ温度MotorTempが第1温度閾値TempThreshold1を超えているか否かを判定する。ここで否定判定されればモータ温度MotorTempの上昇を抑える必要がないため、ステップ208に進んでTRCとして左右独立制御が行われるようにする。具体的には、車体速度V0に対してTRC用の所定の目標車輪速度TragetVwTRCを足した値(V0+TragetVwTRC)をTRCの制御介入閾値として、各車輪速度Vw**と制御介入閾値との差(Vw**−V0−TragetVwTRC)を車輪速度偏差DiffVw**(n)として演算する。この場合、各車輪速度Vw**がそれぞれ独立して車体速度V0と比較されることになる。
一方、ステップ206で肯定判定されればモータ温度MotorTempの上昇を抑える必要があることから、ステップ210に進んでTRCとして左右速度差制御が行われるように制御形態を切替える。具体的には、左右対称輪の車輪速度Vw##に対してTRC用の所定の目標車輪速度TragetVwTRCを足した値(Vw##+TragetVwTRC)をTRCの制御介入閾値として、各車輪速度Vw**と制御介入閾値との差(Vw**−Vw##−TragetVwTRC)を車輪速度偏差DiffVw**(n)として演算する。ここで左右対称輪の車輪速度Vw##とは、右前輪FRであれば左前輪FL、左後輪RLであれば右後輪RRというように、同じ車軸で連結される反対側の車輪における車輪速度のことを意味している。このように制御形態を切替えた場合、制御対象輪について左右対称輪の車輪速度Vw##からの速度差に基づいてTRCが行われることになるため、左右輪のうち速度が速い方のみについてW/Cを加圧することになる。なお、以下の説明においても、制御対象輪に対する左右対称もしくは同一配管系統内におけるもう一方の車輪を示す場合に、“##”を用いている。
この後、ステップ212に進み、TRCの制御演算処理を行う。すなわち、今回の制御周期の際に求めた車輪速度偏差DiffVw**(n)と前回の制御周期の際に求めた車輪速度偏差DiffVw**(n-1)との差を制御周期ΔTで割ることで、偏差量微分値ΔDiffVw**を演算する。
そして、ステップ214に進み、TRCの制御量演算処理としてフィードバック量の演算を行う。ここでは、TRCの制御量ControlVw**を次式より求めている。なお、数式4中において、Gain1、Gain2は、フィードバックゲインとして設定される任意の定数である。
(数4)
ControlVw**=MAX((ControlVw**(n-1)+DiffVw**×Gain1+ΔDiffVw**×Gain2), 0)
このように、前回の制御周期の際に用いたTRCの制御量ControlVw**(n-1)に対して今回の制御周期の際に求められたTRCの制御量ControlVw**(n)に定数Gain1を掛けた値と偏差量微分値ΔDiffVw**に定数Gain2を掛けた値とを足すことで、今回の制御周期でのTRCの制御量ControlVw**を演算できる。ただし、この数値は負の値にはならないため、この値と0のいずれか大きい値を採用することで、今回の制御周期でのTRCの制御量ControlVw**が負の値にならないようにしている。
この後、ステップ216に進み、ステップ214で演算した今回の制御周期でのTRCの制御量ControlVw**を液圧換算するTRCの目標液圧演算処理を行う。これにより、TRCからの制御要求として必要とされるW/C圧の目標液圧が演算される。
次に、図5を参照してDACでの作動について説明する。ステップ300では、図4のステップ200と同様に、モータ60の温度であるモータ温度MotorTempを取得する下流モータ温度取得処理を行う。続く、ステップ302では、図4のステップ202と同様に、各車輪速度VwFL〜VwRRを演算する各輪車輪速度演算処理を行う。
そして、ステップ304に進み、モータ温度MotorTempが第2温度閾値TempThreshold2を超えているか否かを判定する。ここで否定判定されればモータ温度MotorTempの上昇を抑える必要がないため、ステップ306に進んで各車輪速度Vw**がDACとして設定された基準速度となるように4輪独立制御する。具体的には、ドライバが設定した基準速度を目標車輪速度TragetVwDACとして、各車輪速度Vw**と目標車輪速度TargetVwDACとの差(Vw**−TragetVwDAC)を車輪速度偏差DiffVw**(n)として演算する。この場合、各車輪速度Vw**がそれぞれ独立して目標車輪速度TragetVwDACと比較されることになる。
一方、ステップ304で肯定判定されればモータ温度MotorTempの上昇を抑える必要があることから、ステップ308に進む。そして、モータ温度MotorTempが第3温度閾値TempThreshold3を超えているか否かを判定する。ここで否定判定されればモータ温度MotorTempの上昇を抑える必要があるものの、まずは比較的軽度に抑えられるように、ステップ310に進んでDACとして左右平均制御が行われるように制御形態を切替える。具体的には、制御対象輪の車輪速度Vw**とその車輪の左右対称輪の車輪速度Vw##の平均値を演算し、その平均値とDAC用の目標車輪速度TragetVwDACとの差((Vw**+Vw##)/2−TragetVwDAC)を車輪速度偏差DiffVw**(n)として演算する。このように制御形態を切替えたた場合、制御対象輪の車輪速度Vw**とその車輪の左右対称輪の車輪速度Vw##の平均値に基づいてDACが行われることになるため、左右輪のW/Cの加圧が同様に行われることになる。
また、ステップ308で肯定判定された場合、否定判定された場合よりも更にモータ温度MotorTempの上昇を抑える必要があることから、ステップ312に進んでDACとして4輪平均制御が行われるように制御形態を切替える。具体的には、4輪FL〜RRすべての車輪速度Vw**の平均値を演算し、その平均値とDAC用の目標車輪速度TragetVwDACとの差((VwFL+VwFR+VwRL+VwRR)/4−TragetVwDAC)を車輪速度偏差DiffVw**(n)として演算する。このように制御形態を切替えたた場合、4輪FL〜RRすべての車輪速度Vw**の平均値に基づいてDACが行われることになるため、4輪FL〜RRのW/Cの加圧が同様に行われることになる。
この後は、ステップ314〜318において、図4のステップ212〜216と同様の処理を行うことで、DACからの制御要求として必要とされるW/C圧の目標液圧が演算される。
続いて、図6を参照して下流制御での減圧制御での作動について説明する。ステップ400では、図4のステップ200と同様に、モータ60の温度であるモータ温度MotorTempを取得する下流モータ温度取得処理を行う。続く、ステップ402、404では、図2のステップ100、102と同様に、各車輪FL〜RRのW/C圧CurrentPressFL〜CurrentPressRRを取得すると共に、クロール制御に基づく各車輪FL〜RRの目標W/C圧TargetPressFL〜TargetPressRRを取得する。また、ステップ406では、図2のステップ104と同様に、M/C13の上流側に配置された補助加圧源100で発生させる上流目標圧TargetMaxPress(n)の演算を行う。
そして、ステップ408に進んで、モータ温度MotorTempが第4温度閾値TempThreshold4を超えていて、制御対象輪の目標W/C圧TargetPress**が上流目標圧TargetMaxPress(n)未満であり、かつ、制御対象輪の目標W/C圧TargetPress**が前回の制御周期の際の目標W/C補正値TargetPressF1**(n-1)未満であるか否かを判定する。前回の制御周期の際の目標W/C補正値TargetPressF1**(n-1)とは、後述するステップ410もしくはステップ412で前回の制御周期の際に演算された値である。
モータ温度MotorTempが第4温度閾値TempThreshold4を超えている場合には、モータ温度MotorTempの上昇を抑える必要がある。このため、ステップ408で否定判定された場合には、ステップ410に進み、第1各輪目標圧補正演算処理の結果として、制御対象輪の目標W/C圧TargetPress**をそのまま、つまり補正することなく、今回の制御周期での目標W/C補正値TargetPressF1**(n)とする。そして、ステップ408で否定判定された場合には、ステップ412に進み、第1各輪目標圧補正演算処理として、数式5に基づいて今回の制御周期での目標W/C補正値TargetPressF1**(n)を演算する。
(数5)
TargetPressF1**(n)=MIN((TargetPress**+PressAdjust1), TargetPressF1**(n-1), TargetMaxPress(n))
すなわち、目標W/C圧TargetPress**に対して第1補正量PressAdjust1を加算した値と、前回の制御周期の際の目標W/C補正値TargetPressF1**(n-1)と、上流目標圧TargetMaxPress(n)の3つのうちの、最小値を今回の制御周期での目標W/C補正値TargetPressF1**(n)とする。
今回の制御周期での目標W/C補正値TargetPressF1**(n)を目標W/C圧TargetPress**に対して第1補正量PressAdjust1を加算した値に設定すれば、目標W/C圧TargetPress**をそのまま設定する場合と比較して減圧量を制限することが可能となる。
ただし、減圧初期時から、今回の制御周期での目標W/C補正値TargetPressF1**(n)を目標W/C圧TargetPress**に対して第1補正量PressAdjust1を加算した値に設定すると、例えば減圧制御に切り替わった直後などにおいて、今回の制御周期での目標W/C補正値TargetPressF1**(n)が減圧制御に切り替わる直前の目標W/C補正値TargetPressF1**(n) よりも大きな値になってしまう。このため、目標W/C圧TargetPress**に対して第1補正量PressAdjust1を加算した値が前回の制御周期の際の目標W/C補正値TargetPressF1**(n-1)よりも大きい場合には、前回の制御周期の際の目標W/C補正値TargetPressF1**(n-1)が今回の制御周期での目標W/C補正値TargetPressF1**(n)として設定されるようにしている。
また、今回の制御周期での目標W/C補正値TargetPressF1**(n)が少なくとも上流目標圧TargetMaxPress(n)を超えることはないため、最大でも上流目標圧TargetMaxPress(n)が設定されるようにしている。
このようにして、第1各輪目標圧補正演算処理が完了すると、ステップ414に進み、モータ温度MotorTempが第5温度閾値TempThreshold5を超えていて、制御対象輪の今回の制御周期での目標W/C補正値TargetPressF1**(n)が上流目標圧TargetMaxPress(n)未満であり、かつ、制御対象輪の今回の制御周期での目標W/C補正値TargetPressF1**(n)が前回の制御周期の際の目標W/C補正値TargetPressF2**(n-1)未満であるか否かを判定する。前回の制御周期の際の目標W/C補正値TargetPressF2**(n-1)とは、後述するステップ416もしくはステップ418で前回の制御周期の際に演算された値である。
モータ温度MotorTempが第5温度閾値TempThreshold5を超えている場合には、モータ温度MotorTempの上昇を抑える必要がある。このため、ステップ414で否定判定された場合には、ステップ416に進み、第2各輪目標圧補正演算処理の結果として、制御対象輪の今回の制御周期での目標W/C補正値TargetPressF1**(n)をそのまま、つまり補正することなく、今回の制御周期での目標W/C補正値TargetPressF2**(n)とする。そして、ステップ414で否定判定された場合には、ステップ418に進み、第2各輪目標圧補正演算処理として、数式6に基づいて今回の制御周期での目標W/C補正値TargetPressF2**(n)を演算する。
(数6)
TargetPressF2**(n)=MAX((TargetPressF2**(n-1)−PressAdjust2), TargetPressF1**(n))
すなわち、前回の制御周期での目標W/C補正値TargetPressF2**(n)に対して第2補正量PressAdjust2を減算した値と、今回の制御周期の際の目標W/C補正値TargetPressF1**(n)のうちいずれか大きい方を今回の制御周期での目標W/C補正値TargetPressF2**(n)とする。これにより、前回の制御周期での目標W/C補正値TargetPressF2**(n-1)からの減圧勾配が第2補正量PressAdjust2によって定義される値に制限される。このようにして、下流制御における減圧制御におけるW/C圧の目標液圧が演算される。
以上説明したように、TRC、DACおよび下流制御を含む各種制御における減圧制御において、モータ温度MotorTempが所定の温度閾値を超えた場合に、各種制御における減圧制御でのW/C圧の減圧量を低減させる制御に切替えるようにしている。すなわち、TRCにおいて、モータ温度MotorTempが第1温度閾値TempThreshold1を超えると、左右独立制御から左右速度差制御に切替えることで、減圧量を低減させられる制御形態への切替えが行われるようにしている。また、DACにおいて、モータ温度MotorTempが第2温度閾値TempThreshold2を超えると4輪独立制御から左右平均制御に切替え、さらに第3温度閾値TempThreshold3を超えると4輪平均制御に切替えることで、減圧量を低減させられる制御形態への切替えが行われるようにしている。また、下流制御での減圧制御において、モータ温度MotorTempが第4温度閾値TempThreshold4を超えると減圧量を制限し、モータ温度MotorTempが第5温度閾値TempThreshold5を超えると減圧勾配を制限することで、減圧量を低減させられる制御形態への切替えが行われるようにしている。
図7は、上記のような制御を行った場合における補助加圧源100で発生させるM/C圧と第2配管系統50bの2輪FL、FRについてのW/C圧およびリザーバ20に蓄積されたリザーバ内液量のタイムチャートの一例を示している。なお、ここでは簡略化のため第2配管系統50bの2輪FL、FRのW/C圧に基づいて補助加圧源100で発生させるM/C圧を発生させる場合を示しているが、実際には4輪FL〜RRのW/C圧に基づいて発生させられる。
例えば、モータ60の温度が上昇して第5温度閾値を超えていたとすると、減圧制御でのW/C圧の減圧量が制限される。このため、図7に示すように、減圧量の制限が無い場合であれば、W/C圧が減圧されることで、より早くからリザーバ内液量が増加していき、モータ60を早くから駆動する必要がある。これに対して、W/C圧の減圧量が制限されると、目標液圧が減圧制限無しの場合のように低下しても、第2補正量PressAdjust2以上に低下しないとW/C圧が減圧させられない。このため、リザーバ20、40へのブレーキ液の排出が抑制され、リザーバ内液量が緩やかにしか増加せず、モータ60の駆動タイミングが遅くなる。
このように、モータ温度MotorTempが所定の温度閾値を超えた場合に各種制御における減圧制御でのW/C圧の減圧量を低減させる制御に切替えているため、リザーバ20、40に排出されるブレーキ液量が減少する。したがって、リザーバ20、40からのブレーキ液の吸出しを行うためのモータ60の作動頻度を低減でき、モータ60の温度上昇が抑制されて、ブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、他の制御機能からの制動要求があったときのモータ60の温度上昇の抑制を図るものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図8は、本実施形態において使用されるブレーキシステム1の液圧回路の基本構成を示した図である。この図に示すように、本実施形態では、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50における第1、第2配管系統50a、50bにおける管路A、Eそれぞれに、M/C13側とW/C14、15、34、35側との間の差圧を発生させる第1、第2差圧制御弁16、36を備えると共に、M/C13と各リザーバ20、40とを繋ぐ管路D、Gを備えている。第1、第2差圧制御弁16、36は、連通・差圧状態を制御できる電磁弁により構成されており、他の制御機能による制動要求があったときにポンプ19、39を作動させることでW/C圧を増圧させられる下流加圧部を構成している。具体的には、第1、第2差圧制御弁16、36は、内蔵されたソレノイドコイルへの制御電流がゼロとされる時(非通電時)には連通状態となり、ソレノイドコイルに制御電流が流される時(通電時)にはその制御電流の大きさに応じた差圧を発生させる。また、各リザーバ20、40は、調圧リザーバにて構成されており、高圧なM/C圧が発生させれたときに、それがポンプ19、39に直接印加されることを抑制できるようにしている。
第1実施形態で説明したように、補助加圧源100で発生させるM/C圧を各車輪FL〜RRのW/C圧の最大値に設定しているため、必要以上にM/C圧を発生させなくて良くなり、モータ60の作動頻度を低減させることが可能となる。これにより、モータ60の温度上昇が抑制されて、ブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
しかしながら、他の制御機能からの制動要求が出された場合に、それに基づいて補助加圧源100で発生させるM/C圧を各車輪FL〜RRのW/C圧の最大値に設定すると、他機能からの制動要求が出されていない車輪との差圧が大きくなる。これにより、リザーバ20、40に排出されるブレーキ液量が増加し、モータ60の作動頻度が増加して、モータ温度の上昇を招くことになるため、本実施形態では、モータ60の作動を抑制するための抑制制御として、以下の(10)の制御を行う。
(10)ブレーキ加圧制御の制動要求に基づいてM/C圧を各車輪FL〜RRごとに要求されるW/C圧の最大圧としている際に、他の制御機能から1輪もしくは複数輪に対してW/C圧の増圧要求が出されることがある。例えば、ブレーキ加圧制御としてクロール制御を行っている際に、小回り制御が実行されて、4輪のうちの一部に対してW/C圧の増圧要求が出される場合などが該当する。なお、小回り制御とは、ステアリングの最大操作量の際の操舵輪の角度とホイールベースとによって決まる車両の旋回半径よりも小さな旋回半径となるように、例えば旋回内側後輪に制動力を発生させて、内回りのモーメントを発生させる制御をいう。小回り制御などでは、4輪のうちの一部のみを制御対象として制動力を発生させることになる。
このような場合には、他の制御機能によるW/C圧の増加分を加味した全車輪FL〜RRのW/C圧の最大圧となるようにM/C圧を制御するのではなく、W/C圧の増加分をM/C13の下流側に配置されるブレーキ液圧制御用アクチュエータ50の加圧機能によって発生させる。つまり、補助加圧源100が発生させるM/C圧に基づいてW/C圧を発生させつつ、同一のW/C圧を発生させる複数の車輪よりも高いW/C圧が要求される車輪に対しては、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50の加圧機能によってW/C圧を増圧させる2重加圧制御を行う。
このようにすれば、例えばクロール制御などのブレーキ加圧制御においては4輪同圧のW/C圧にすることが要求され、小回り制御において1輪のみがW/C圧を増加させることが要求された場合に、M/C圧を4輪同圧とされるW/C圧に設定しつつ、1輪のみのW/C圧をM/C13の下流側で増加させれば済む。このため、小回り制御にて下流側で加圧されたブレーキ系統ではないブレーキ系統のW/Cについてリザーバを介した減圧が必要なくなる。したがって、他の制御機能によるW/C圧の増加分を加味した全車輪FL〜RRのW/C圧の最大圧となるようにM/C圧を制御した場合に比べ、リザーバ20、40に排出されるブレーキ液量を減少させられる。これにより、リザーバ20、40からのブレーキ液の吸出しを行うためのモータ60の作動頻度を低減でき、モータ60の温度上昇が抑制されて、ブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
なお、この(10)の制御も、抑制制御のうち、ブレーキ加圧制御での減圧制御におけるリザーバ20、40へのブレーキ液の排出を抑制する減圧抑制制御に相当する。
続いて、このようにして実行されるブレーキ加圧制御時における補助加圧源100およびブレーキ液圧制御用アクチュエータ50の制御の詳細について説明する。図9−1〜図9−3は、本実施形態にかかるブレーキ加圧制御時に実行されるブレーキ制御の基本フローチャートである。この図に示す処理は、所定の制御周期毎に実行される。なお、図9に示す処理のうち、図2に示した第1実施形態と異なる部分について主に説明する。また、ここではブレーキ加圧制御の一例としてクロール制御を例に挙げ、他の制御機能として小回り制御を例に挙げるが、クロール制御以外の他のブレーキ加圧制御や小回り制御以外の他の制御機能についても同様である。
まず、ステップ500、502では、図2のステップ100、102と同様の手法によって各輪液圧取得処理や各輪目標液圧取得処理を行う。そして、ステップ504に進み、他制御各輪目標液圧取得処理を行う。具体的には、他の制御機能となる小回り制御に基づく各車輪FL〜RRの目標W/C圧TargetPressOtherFL〜TargetPressOtherRRを取得する。これについては、小回り制御の制御要求によって決まっていることから、その制御要求が示す値を目標W/C圧TargetPressOtherFL〜TargetPressOtherRRとすれば良い。例えば、小回り制御であれば、ステアリングの最大操作量の際の操舵輪の角度とホイールベースとによって決まる車両の旋回半径よりも小さな旋回半径となるように、例えば旋回内側後輪の目標W/C圧が求められている。したがって、それを本ステップにおける目標W/C圧TargetPressOtherFL〜TargetPressOtherRRとしている。
続くステップ506では、図2のステップ104と同様の手法によって上流目標圧演算を行って上流目標圧TargetMaxPress(n)を演算したのち、ステップ508に進み、他制御系統輪目標液圧演算を行う。つまり、下記の数式7を用いて、ステップ504で求めた制御対象輪の目標W/C圧TargetPressOther**とその制御対象輪と同一配管系統の他方の車輪の目標W/C圧TargetPressOther##のいずれか大きい方を演算することにより、今回の制御周期での他制御系統輪目標液圧TargetPress*を演算する。
(数7)
TargetPress*=MAX(TargetPressOther**, TargetPressOther##)
次に、ステップ510に進んで下流目標差圧演算を行う。すなわち、下記の数式8に示すように、ステップ508で演算した他制御系統輪目標液圧TargetPress*とステップ506で演算した上流目標圧TargetMaxPress(n)との差を下流目標差圧TargetDiffPress*(n)とする。ただし、下流目標差圧TargetDiffPress*(n)が負の値になることはないため、数式8に示すように、他制御系統輪目標液圧TargetPress*とステップ506で演算した上流目標圧TargetMaxPress(n)との差と0のいずれか大きい値を採用している。
(数8)
TargetDiffPress*(n)=MAX((TargetPress*−TargetMaxPress(n)), 0)
その後、ステップ512に進み、予備演算を行う。具体的には、下記の数式9に基づいて、各車輪FL〜RRにおけるクロール制御での目標W/C圧TargetPress**と小回り制御での目標W/C圧TargetPressOther**のいずれか大きい方を選択することで、各輪目標圧TargetPressAll**を演算する。また、下記の数式10に基づいて、配管系統ごとに上流目標圧TargetMaxPress(n)に対して下流目標差圧TargetDiffPress*(n)を加算した値として系統上流目標圧TargetMaxPressAll*を演算する。
(数9)
TargetPressAll**=MAX(TargetPress**, TargetPressOther**)
(数10)
TargetMaxPressAll*=TargetMaxPress(n)+TargetDiffPress*(n)
そして、ステップ514〜534において、第1実施形態で説明した図2のステップ108〜128と同様の処理を行うことで、下流制御の制御形態を決めると共に、リザーバ内液量を推定する。ただし、ステップ514では、系統上流目標圧TargetMaxPressAll*と各輪目標圧TargetPressAll**との偏差(以下、系統圧力偏差という)を演算し、その系統圧力偏差が必要とする大きさであると考えられる差圧閾値DiffPressを超えているか否かを判定する。また、ステップ520、526では、車輪毎に各輪目標圧TargetPressAll**と現在のW/C圧CurrentPress**との偏差(各輪偏差)が差圧閾値DiffPressを超えているか否か、もしくは、負の差圧閾値−DiffPress未満であるか否かを判定する。
続いて、ステップ536、538において、第1実施形態における図2のステップ130、132と同様に、モータ60が駆動されているか否かを判定し、肯定判定された場合にはリザーバ内液量EstReserv*(n)を補正する。そして、ステップ536で否定判定された場合にはステップ540に進んでモータ60が駆動させられている時間を示すモータONカウンタMotorOnCounterをクリアする。また、ステップ538でリザーバ内液量EstReserv*(n)の補正が終わったらステップ542に進み、モータONカウンタMotorOnCounterのカウントアップする。
そして、ステップ544に進み、(a)各リザーバ20、40のリザーバ内液量EstReserv*(n)のいずれか大きい方が容量閾値ReservThresholdを超えていること、(b)第1配管系統50aにおける今回の制御周期の下流目標差圧TargetDiffPress1(n)が前回の制御周期の下流目標差圧TargetDiffPress1(n-1)より大きいこと、(c)第2配管系統50bにおける今回の制御周期の下流目標差圧TargetDiffPress2(n)が前回の制御周期の下流目標差圧TargetDiffPress2(n-1)より大きいこと、のいずれか1つが成り立つか否かを判定する。
リザーバ内液量EstReserv*(n)のいずれか大きい方が容量閾値ReservThresholdを超えていれば、第1、第2配管系統50a、50bに備えられたリザーバ20、40のいずれか一方でも満杯に近い状態である。また、第1、第2配管系統50a、50bのいずれかについて、今回の制御周期の下流目標差圧TargetDiffPress*(n)が前回の制御周期の下流目標差圧TargetDiffPress*(n-1)より大きければ、差圧制御弁16、36を作動させてモータ60を駆動する状況である。したがって、上記の(a)〜(c)のいずれか1つでも満たせば、ステップ546に進んで下流モータ制御としてモータ60を駆動(ON)させてステップ548に進み、いずれも満たさなければそのままステップ548に進む。
ステップ548では、(d)各リザーバ20、40のリザーバ内液量EstReserv*(n)のいずれか大きい方が0であること、(e)第1配管系統50aにおける今回の制御周期の下流目標差圧TargetDiffPress1(n)が前回の制御周期の下流目標差圧TargetDiffPress1(n-1)以下であること、(f)第2配管系統50bにおける今回の制御周期の下流目標差圧TargetDiffPress2(n)が前回の制御周期の下流目標差圧TargetDiffPress2(n-1)以下であること、(g)モータONカウンタMotorOnCounterが所定値Aを超えていること、のすべてが成り立つか否かを判定する。
リザーバ内液量EstReserv*(n)のいずれか大きい方が0であれば、第1、第2配管系統50a、50bに備えられたリザーバ20、40のいずれも空の状態である。また、第1、第2配管系統50a、50bについて、今回の制御周期の下流目標差圧TargetDiffPress*(n)が前回の制御周期の下流目標差圧TargetDiffPress*(n-1)以下であれば、差圧制御弁16、36で差圧を発生させる状況ではない。さらに、モータONカウンタMotorOnCounterが所定値Aを超えるまでモータ60を駆動し続けることで、差圧制御弁16、36を作動させて一瞬加圧したとしても、目標圧に到達するまではモータ60を停止(OFF)させないようにできる。したがって、上記の(d)〜(g)のすべてを満たせば、ステップ550に進んで下流モータ制御としてモータ60を停止(OFF)させ、いずれか1つでも満たさなければそのまま処理を終了する。
図10は、上記のような制御を行った場合における補助加圧源100で発生させるM/C圧と各車輪FL〜RRについてのW/C圧およびリザーバ20に蓄積されたリザーバ内液量のタイムチャートの一例を示している。
この図に示すように、基本的には、ブレーキ加圧制御からの制動要求に基づいて補助加圧源100で発生させるM/C圧を各車輪FL〜RRのW/C圧の最大値に設定している。しかしながら、他の制御機能からのW/C圧の増圧要求があったときには、その増圧分をブレーキ液圧制御用アクチュエータ50で発生させている。このため、他の制御機能からのW/C圧の増圧要求があった場合に、M/C13の下流側においてモータ60を駆動することで制御対象輪のW/C圧を増圧させるだけで良く、M/C圧を最大圧に設定した場合のように、制御対象輪とは別のブレーキ系統の非制御対象輪については、高くしたM/C圧から所望のW/C圧まで低下させる必要がなく、M/C13とW/Cが連通され、リザーバ20、40を介さずにW/C圧を減圧することが可能となる。このため、リザーバ20、40へのブレーキ液の排出が抑制される。
以上説明したように、クロール制御などの連続作動時間が比較的長時間行われるような主となるブレーキ加圧制御に加えて、他の制御機能からの制御要求に基づいてW/C圧の増加の要求が出されることがある。その場合に、他の制御機能によるW/C圧の増加分を加味した全車輪FL〜RRのW/C圧の最大圧となるようにM/C圧を制御するのではなく、W/C圧の増加分をM/C13の下流側に配置されるブレーキ液圧制御用アクチュエータ50の加圧機能によって発生させるようにしている。したがって、リザーバ20、40に排出されるブレーキ液量を減少させられる。これにより、リザーバ20、40からのブレーキ液の吸出しを行うためのモータ60の作動頻度を低減でき、モータ60の温度上昇が抑制されて、ブレーキ加圧制御を長時間行えるようにすることが可能となる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
例えば、車両用制動制御装置を構成するブレーキシステム1の一例として図1に示す構成を例に挙げたが、M/C13の上流側に配置される補助加圧源100の構成や、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50の構成については、他の構成としても良い。例えば、第1、第2実施形態の制御を行う場合においても、第3本実施形態で示した第1、第2差圧制御弁16、36を備えた構成としても良い。
また、スリップを抑制する制御としてTRCを例に挙げて説明したが、車輪速度が基準速度を上回った車輪の車輪速度を抑制する他の制御についても、(6)と同様の制御を行うことができる。さらに、速度維持制御として、DACを例に挙げて説明したが、各車輪FL〜RRの車輪速度を基準速度に近づける制御であれば他の制御においても、(7)と同様の制御を行うことができる。なお、(7)の制御では、左右輪もしくは4輪をグループとして平均制御を行う場合を例に挙げて説明したが、複数の車輪を1つのグループとして、グループ毎にグループ内の複数の車輪について同一のブレーキ液圧制御を実行する平均制御であれば良い。
また、運転者の急ブレーキを補助するBA制御(Brake Assist)などに比べ、クロール制御やTRCやDACを含めて予め定められた種類のブレーキ加圧制御が実行された場合に、モータ60の作動が長時間になる可能性がある。このため、ブレーキECU70は、予め定められた種類のブレーキ加圧制御が実行された際に、モータ60の作動抑制が必要であると判定することができる。また、モータ60の温度が高くなったときにもモータ60の作動抑制が必要と判定することができる。このように、ブレーキECU70に、モータ60の作動抑制が必要か否かを判定するモータ作動抑制判定部を備え、必要と判定された場合に、抑制制御として、減圧制御によるリザーバ20、40へのブレーキ液の排出を抑制する減圧抑制制御を行うようにしても良い。
1…ブレーキシステム、11…ブレーキペダル、12…ハイドロブースタ、13…M/C、14、15、34、35…W/C、16、36…第1、第2差圧制御弁、17、18、37、38…第1〜第4増圧制御弁、19、39…ポンプ、20、40…リザーバ、21、22、41、42…第1〜第4減圧制御弁、50…ブレーキ液圧制御用アクチュエータ、60…モータ、70…ブレーキECU、100…補助圧力源、101…液圧ポンプ、102…アキュムレータ、103…電動モータ、104…圧力センサ、105、106…第1、第2制御弁

Claims (12)

  1. ブレーキ操作部材の操作に基づいてマスタシリンダ圧を発生させるマスタシリンダと、
    前記マスタシリンダに作用して、前記ブレーキ操作部材の操作によらずに任意のマスタシリンダ圧を発生可能な補助加圧源と、
    前記マスタシリンダと接続されると共に各車輪に対応して備えられ、ホイールシリンダ圧が発生させられることによって前記各車輪に対して制動力を発生させるホイールシリンダと、
    前記マスタシリンダと前記ホイールシリンダとの間に配置され、前記ホイールシリンダ圧の調整を行う液圧調整部と、
    前記補助加圧源と前記液圧調整部を用いて、前記補助加圧源にて前記ブレーキ操作部材の操作に基づく圧力を上回る前記マスタシリンダ圧を発生させ、かつ、前記液圧調整部にて前記各車輪に任意の制動力を発生させるブレーキ加圧制御を実行する制御部と、を有し、
    前記液圧調整部には、前記マスタシリンダと前記ホイールシリンダとの間を接続する主管路に設けられると共に前記主管路の連通・遮断を制御する増圧制御弁と、前記主管路における前記増圧制御弁と前記ホイールシリンダとの間に接続された減圧管路を通じて前記主管路からブレーキ液が排出されるリザーバと、前記減圧管路の連通・遮断を制御する減圧制御弁と、前記リザーバと前記前記主管路における前記マスタシリンダと前記増圧制御弁との間とを接続する還流管路を通じて前記リザーバに排出された前記ブレーキ液を前記主管路に返流するポンプと、前記ポンプを駆動するモータと、が備えられ、
    前記液圧調整部は、前記ブレーキ加圧制御における減圧制御として前記減圧制御弁を連通させることで前記主管路から前記リザーバにブレーキ液を排出させることで、前記ホイールシリンダ圧を減圧する制御を実行し、
    前記制御部は、前記ブレーキ加圧制御の実行中に前記モータの作動を抑制する抑制制御を行うことを特徴とする車両用制動制御装置。
  2. 前記制御部は、前記モータの作動抑制が必要か否かを判定するモータ作動抑制判定部を有し、前記ブレーキ加圧制御の実行中に前記モータ作動抑制判定部にて前記モータの作動抑制が必要と判定されると、前記抑制制御として、前記減圧制御による前記リザーバへのブレーキ液の排出を抑制する減圧抑制制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両用制動制御装置。
  3. 前記制御部は、前記減圧抑制制御として、前記ブレーキ加圧制御により最も高いホイールシリンダ圧が要求されている車輪の前記ホイールシリンダを前記マスタシリンダと連通させると共に前記リザーバと遮断される増圧状態とし、当該車輪以外の車輪の前記ホイールシリンダのホイールシリンダ圧を前記増圧制御弁および前記減圧制御弁を用いて圧力調整することを特徴とする請求項2に記載の車両用制動制御装置。
  4. 前記制御部は、前記ブレーキ加圧制御の制御要求による最も高いホイールシリンダ圧の圧力変動が小さいときには大きいときと比較して、前記モータの出力を低下させることを特徴とする請求項3に記載の車両用制動制御装置。
  5. 前記制御部は、前記減圧抑制制御として、車輪速度が基準速度を上回った車輪の前記車輪速度を抑制する制御において、左右輪の両方の車輪速度が前記基準速度を上回った場合には高い方の車輪のみ前記車輪速度を抑制する左右速度差制御を実行することを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載の車両用制動制御装置。
  6. 前記制御部は、前記減圧抑制制御として、前記各車輪の車輪速度を基準速度に近づける速度維持制御において、複数の車輪を1つのグループとして、グループ毎にグループ内の複数の車輪について同一のブレーキ液圧制御を行う平均制御を実行することを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1つに記載の車両用制動制御装置。
  7. 前記制御部は、前記減圧抑制制御として、前記減圧制御の際に減圧速度が所定の減圧勾配以下となるように制限する減圧速度抑制制御を実行することを特徴とする請求項2ないし6のいずれか1つに記載の車両用制動制御装置。
  8. 前記制御部は、前記減圧抑制制御として、前記減圧制御の際に減圧量が所定の減圧量以下となるように制限する減圧量抑制制御を実行することを特徴とする請求項2ないし7のいずれか1つに記載の車両用制動制御装置。
  9. 前記モータ作動抑制判定部は、予め定められた種類のブレーキ加圧制御が実行されたときに、前記モータの作動抑制が必要と判定することを特徴とする請求項2ないし8のいずれか1つに記載の車両用制動制御装置。
  10. 前記モータ作動抑制判定部は、前記モータの温度を取得し、前記モータの温度が予め定められた温度閾値を超えたときに、前記モータの作動抑制が必要と判定することを特徴とする請求項2ないし9のいずれか1つに記載の車両用制動制御装置。
  11. 前記制御部は、前記リザーバに蓄積されたブレーキ液の蓄積量となるリザーバ内液量が予め定められた容量閾値を超えたことや予め定められた停止閾値となったことを判定するリザーバ容量判定手段を有し、前記抑制制御として、前記リザーバ内液量が前記容量閾値を超えると前記モータを作動させて前記リザーバ内からブレーキ液を吸出し、前記リザーバ内液量が前記容量閾値となると前記モータを停止させることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の車両用制動制御装置。
  12. 前記液圧調整部は、前記ポンプを作動させることで前記マスタシリンダ圧よりも前記ホイールシリンダ圧を増圧させる下流加圧部を有し、
    前記制御部は、前記抑制制御として、前記補助加圧源によって発生させられるマスタシリンダ圧に基づいて前記ホイールシリンダ圧を発生させつつ、同一のホイールシリンダ圧を発生させる複数の車輪よりも高いホイールシリンダ圧を発生させる車輪に対して、前記下流加圧部にてホイールシリンダ圧を増圧させる2重加圧制御を行うことを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1つに記載の車両用制動制御装置。
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