JP2015193191A - 樹脂射出成形体の製造方法 - Google Patents

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裕 高橋
和匡 近藤
Kazumasa Kondo
和匡 近藤
正史 下鵜瀬
Masashi Shimouse
正史 下鵜瀬
君洋 辻
Kimihiro Tsuji
君洋 辻
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Abstract

【課題】色ムラやウエルドラインが改善された樹脂射出成形体を提供する。【解決手段】キャビティ面の温度を60℃以上とした射出成形用金型にプロピレン−α−オレフィン共重合体を射出し、射出成形用金型のキャビティ面温度が、該樹脂射出時の金型キャビティ面の温度より10℃以上低い状態で樹脂成形体の排出を行い、該樹脂の射出から排出までの時間が2時間以内とする。【選択図】図1(a)

Description

本発明は、樹脂射出成形体の製造方法に関する。更に詳しくはプロピレン−α−オレフィン共重合体の樹脂射出成形体を製造する方法に関する。
近年、部品分野においては、省資源、コスト面などの社会的要請から数多くの部品において、金属から樹脂への転換が進められており、要求される物性の多様化、構造の複雑化が生じている。
従来、単成分の樹脂や表面に塗装を施す前提の樹脂射出成形体では、表面外観やウエルドラインの発生は大きな問題にならなかった。
しかし、物性を制御するために、熱可塑性樹脂を複合化したり、エラストマー、ガラス繊維などの強化剤、タルクなどのフィラー(充填剤)を添加した樹脂組成物や、塗装工程を省略するために、着色剤としてカーボンブラックやアルミ粒子を添加した樹脂組成物等の複数成分が含まれる樹脂組成物の射出成形体は、成形体表面に色ムラやウエルドラインが発生しやすいといった問題があった。
そのため、上記問題を解決するために、ウエルドラインが生じにくい樹脂の探索や樹脂の成形条件について、数多く検討が行われている。
例えば、特許文献1には、金型のキャビティ表面の温度を原料樹脂の結晶化ピーク温度±50℃として、結晶化が遅い原料樹脂を射出によってキャビティ面に供給し、キャビティ表面の温度を下げて原料樹脂を固化する合成樹脂成形方法が開示されている。
特許文献2には、溶融された熱可塑性樹脂を金型内部に射出する際に、当該金型の温度が、射出する熱可塑性樹脂の熱変形温度より0〜100℃高くなるように設定する成形方法において、5〜100℃/分の温度勾配で急加熱および/または急冷する射出成形方法が開示されており、上記射出成形方法でポリカーボネート(以降、「PC」と略すことがある)/ABS樹脂組成物を成形したことが記載されている。
特許文献3には、熱可塑性樹脂の溶融組成物を射出成形するに際し、加熱時の金型温度が熱可塑性樹脂の熱変形温度より0℃〜100℃高くなるように設定され、冷却後の取出し時の金型温度が熱可塑性樹脂の熱変形温度より0℃〜100℃低くなるように設定された金型に射出する無塗装自動車外板用成形品の成形方法が開示されており、上記射出成形方法でPC/脂環式ポリエステル樹脂共重合体を成形したことが記載されている。
特許文献4には、芳香族化合物を繰り返し単位として有する特定のポリカーボネート共重合体樹脂組成物を、金型温度が100〜140℃に設定された金型内に充填後、100℃未満に冷却して成形品を取り出す成形方法が開示されており、上記射出成形方法で特定の構造を持つPC共重合体を成形したことが記載されている。
特開2001−191378号公報 特開2001−150506号公報 特開2004−291274号公報 特開2005−324416号公報
しかし、引用文献1〜4の実施例の何れにも、ウエルドラインが生じる形状の金型を用いたことは開示されておらず、本発明者等の検討によれば、上記成形方法で射出成形を行ったとしても、樹脂によっては射出成形体の色ムラやウエルドラインが改善しないことが明らかになった。
本発明は、上記状況に鑑みてなされたもので、その課題は色ムラやウエルドラインが改善された樹脂射出成形体の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の樹脂を特定の射出成形条件で成形することにより、色ムラやウエルドラインが改善された樹脂射出成形体が得られることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は下記[1]〜[11]に存する。
[1]キャビティ面の温度を60℃以上とした射出成形用金型にプロピレン−α−オレフィン共重合体を射出し、前記射出成形用金型のキャビティ面温度が、該樹脂射出時の金型キャビティ面の温度より10℃以上低い状態で樹脂成形体の排出を行い、該樹脂の射出から排出までの時間が2時間以内である樹脂射出成形体の製造方法。
[2]前記射出成形用金型が、電磁誘導加熱式金型である[1]に記載の樹脂射出成形体の製造方法。
[3]前記プロピレン−α−オレフィン共重合体に、更にフィラーが含まれる[1]又は[2]に記載の樹脂射出成形体の製造方法。
[4]前記プロピレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して、更にフィラー8〜150重量部を含有する[3]に記載の樹脂射出成形体の製造方法。
[5]前記プロピレン−α−オレフィン共重合体に、更に着色剤が含まれる[1]〜[4]の何れか一項に記載の樹脂射出成形体の製造方法。
[6]前記プロピレン−α−オレフィン共重合体がランダム共重合体もしくはブロック共重合体である[1]〜[5]の何れか一項に記載の樹脂射出成形体の製造方法。
[7]前記プロピレン−α−オレフィン共重合体がプロピレン−エチレン共重合体である[1]〜[6]の何れか一項に記載の樹脂射出成形体の製造方法。
[8]前記プロピレン−エチレン共重合体が、メタロセン触媒を用いて得られる、エチレン含有量が0.1〜25重量%のプロピレン−エチレン共重合体である[7]に記載の樹脂射出成形体の製造方法。
[9]前記プロピレン−エチレン共重合体がプロピレン−エチレンランダム共重合体であって、該プロピレン−エチレン共重合体がメタロセン触媒により重合されたプロピレン−エチレンランダム共重合体及び2種以上のプロピレン−エチレンランダム共重合体を逐次重合することによって得られるプロピレン−エチレンブロック共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種である[7]又は[8]に記載の樹脂射出成形体の製造方法。
[10]前記プロピレン−エチレン共重合体がプロピレン−エチレンランダム共重合体であって、該プロピレン−エチレンランダム共重合体が以下に規定する要件を有する[9]に記載の樹脂射出成形体の製造方法。
プロピレン−エチレンランダム共重合体:次の(ア−i)及び(ア−ii)に規定する要件を有する。
(ア−i):DSC法により測定された融解ピーク温度(Tm)が110℃〜150℃である。
(ア−ii):メルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)が0.5g/10分〜200g/10分である。
[11]前記プロピレン−エチレン共重合体がプロピレン−エチレンブロック共重合体であって、該プロピレン−エチレンブロック共重合体が以下に規定する要件を有する[9]に記載の樹脂射出成形体の製造方法。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(ア):次の(ア−iii)〜(ア−vi)に規定する要件を有する。
(ア−iii):エチレン含有量7重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(ア−A)を30重量%〜95重量%、成分(ア−A)よりも3重量%〜20重量%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(ア−B)を70重量%〜5重量%からなる。
(ア−iv):DSC法により測定された融解ピーク温度(Tm)が110℃〜150℃である。
(ア−v):固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接曲線において、tanδ曲線が単一のピークを0℃以下に有する。
(ア−vi):メルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)が0.5g/10分〜200g/10分である。
[12]上記[1]〜[11]の何れか一項に記載の樹脂射出成形体の製造方法を用いて製造された成形体。
本発明の樹脂射出成形体の製造方法は、従来の射出成形方法で成形体を製造する方法と比較して、ウエルドの発生を抑制することができ、優れた外観の成形体を得ることができる。このことから、複雑な形状をもつ成形品、例えば自動車用内装材、オーディオ、カーナビゲーション機器、携帯電話の筐体等に、有用に使用することができる。
特に本発明の効果は顔料が添加された樹脂を原料に成形体を製造する時に有用である。
この発明で用いる樹脂射出成形用金型で、電磁誘導加熱式金型の例であり、固定型をキャビティ面12aから見た正面図 この発明で用いる樹脂射出成形用金型で、電磁誘導加熱式金型の例であり、可動型をキャビティ面12bから見た正面図 この発明で用いる樹脂射出成形用金型で、電磁誘導加熱式金型の例を示す縦断断面図 ウエルドの状態を示す模式図 実施例において使用する電磁誘導加熱式金型の固定型をキャビティ面12aから見た正面図
この発明にかかる樹脂射出成形体の製造方法は、プロピレン−α−オレフィン共重合体を所定の条件で射出成形を行い射出成形体を製造する方法である。
[プロピレン−α−オレフィン共重合体]
本発明で用いるプロピレン−α−オレフィン共重合体とは、プロピレンとα−オレフィンの共重合体をいい、プロピレンとα−オレフィンのランダム共重合体やブロック共重合体、交互共重合体などを挙げることができる。中でもランダム共重合体又はブロック共重合体が好ましく、ランダム共重合体又はランダム共重合体構造を含むブロック共重合体がより好ましい。
このプロピレンとα−オレフィンの共重合体を構成するプロピレン単位とα−オレフィン単位の組成比は、プロピレン−α−オレフィン共重合体中にプロピレン単位を75〜99.9重量%の範囲で含むことが好ましく、さらに好ましくは85〜99.9重量%の範囲で含むことが望ましい。この範囲とすることにより、射出成形体でのウエルドの発生を抑制することができる。これらプロピレン−α−オレフィン共重合体は、単独又は2種以上の共重合体を混合して用いてもよい。
前記プロピレン−α−オレフィン共重合体の融点は、特に限定されないが、示差走査熱量分析(DSC)法で測定した融点が、通常150℃以下、好ましくは135℃以下であり、一方下限は、通常110℃以上、好ましくは120℃以上である。
プロピレン−α−オレフィン共重合体の融点が上記範囲にある場合、樹脂の流動性や柔軟性が射出成形をする上で好ましい範囲となる傾向にある。
前記プロピレン−α−オレフィン共重合体の構成成分であるα−オレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1等を用いることができる。中でもα−オレフィンとしてエチレンを用いることが好ましい。
また、前記プロピレン−α−オレフィン共重合体は、高立体規則性重合触媒を用いることによって得ることができ、高立体規則性重合触媒としては、塩化チタン、アルコキシチタン等を出発材料として調製されたチタン化合物を用いた、いわゆる担持型チーグラーナッタ触媒、あるいは、メタロセン触媒を使用することができる。特に得られる樹脂に透明性が求められる場合は、メタロセン触媒により製造されたものが好ましい。
前記プロピレン−α−オレフィン共重合体は、常法によって得られるもののほか、市販品を使用することができる。市販品としては、例えば、チーグラー系触媒を使用した製品例として日本ポリプロ(株)製「ノバテックPP」(商品名)シリーズ、メタロセン系触媒を使用した製品例として日本ポリプロ(株)製「ウィンテック」(商品名)シリーズ、日本ポリプロ(株)製「ウェルネクス」(商品名)シリーズ、ダウ・ケミカル日本(株)製「バーシファイ」(商品名)シリーズや、エクソンモービル社製「ビスタマックス」シリーズや三井化学(株)製「ノティオ」(商品名)シリーズ等のなかから、適合するものを使用することができる。
[プロピレン−エチレン共重合体]
本発明で用いられるプロピレン−α−オレフィン共重合体のα−オレフィンとしてエチレンを用いると、高外観、高転写性の成形体が得られやすく好ましい。このようなプロピレン−エチレン共重合体としては、公知の共重合体であれば特に限定されないが、例えばプロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体等が挙げられ、プロピレン−エチレンランダム共重合体又は2種以上のプロピレン−エチレンランダム共重合体構造を逐次重合することによって得られるプロピレン−エチレンブロック共重合体が好ましい。
また、上記プロピレン−エチレン共重合体は、単独又は2種以上の共重合体を混合して用いてもよい。2種以上のプロピレン−エチレン共重合体を混合する場合は、プロピレン−エチレンランダム共重合体と2種以上のプロピレン−エチレンランダム共重合体構造を逐次重合することによって得られるプロピレン−エチレンブロック共重合体との混合樹脂を用いることが、成形体の外観の点で好ましい。
プロピレン−エチレンランダム共重合体とプロピレン−エチレンランダム共重合体構造を含むプロピレン−エチレンブロック共重合体の混合樹脂を用いる場合の混合比は、混合樹脂100重量%に対して、プロピレン−エチレンランダム共重合体構造を含むプロピレン−エチレンブロック共重合体が5〜70重量%含まれることが成形品の外観の点で好ましい。
上記プロピレン−エチレン共重合体のエチレン含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは1重量%以上であり、一方上限は25重量%以下が好ましく、更に好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下が好ましい。プロピレン−エチレン共重合体のエチレン含有量が上記範囲にあることで、成形体の透明性や機械的物性を良好なものとすることができる。
このプロピレン−エチレン共重合体の融解ピーク温度(Tm)は、示差走査熱量分析(DSC)法で測定した温度が150℃以下のものが好ましく、145℃以下のものがより好ましい。融解ピーク温度が150℃を極端に超えると、柔軟性が低下する傾向がある。また、融解ピーク温度が110℃未満のプロピレン−エチレン共重合体は、製造が困難であるため、110℃〜150℃であることが好ましい。
本発明において、溶融ピーク温度(Tm)はセイコー・インスツルメンツ社製DSC6200型を用い、サンプル5.0mgを採り200℃で5分間保持後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させて測定する。
なお、他の同等の測定装置を用いて、融解ピーク温度(Tm)を測定することも可能である。
また、このプロピレン−エチレン共重合体は、固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接曲線において、tanδ曲線が単一のピークを0℃以下に有することが好ましい。
さらに、このプロピレン−エチレン共重合体樹脂の、230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)は、通常0.5〜200g/10分であり、5〜150g/10分が好ましい。この範囲を外れると、成形性が低下するという問題点を生じる場合がある。尚、本発明において、MFRはJIS K7210に準拠し測定される値である。
前記プロピレン−エチレン共重合体を得るために用いられる重合プロセスは、特に限定されるものではなく、公知の重合プロセスが使用可能である。例えば、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等が使用できる。また、これらの重合法の1種または2種以上を組み合わせて多段重合を行って重合することもできる。さらには、2種以上のプロピレン−エチレン重合体を機械的に溶融混練することによっても製造することができる。
また、前記プロピレン−エチレン共重合体は、高立体規則性重合触媒を用いることによって得ることができ、高立体規則性重合触媒としては、塩化チタン、アルコキシチタン等を出発材料として調製されたチタン化合物を用いた、いわゆる担持型チーグラーナッタ触媒、あるいは、メタロセン触媒を使用することができる。特に得られる樹脂に透明性が求められる場合は、メタロセン触媒により製造されたものが好ましい。
[プロピレン−エチレンランダム共重合体]
プロピレン−エチレンランダム共重合体は、プロピレンに対してエチレンが不規則に配列した共重合体であれば特に限定されない。好ましい様態は上述の[プロピレン−エチレン共重合体]と同様であるが、特に以下(ア−i)及び(ア−ii)の要件を共に充足したプロピレン−エチレンランダム共重合体が好ましい。
(ア−i)融解ピーク温度(Tm)
プロピレン−エチレンランダム共重合体のDSC(示差走査熱量計)法により測定されたTmは、通常110〜150℃、好ましくは115〜148℃、より好ましくは120〜145℃である。Tmが上記範囲であると機械的物性に優れた成形体を得ることができる。
(ア−ii)メルトフローレート(MFR)
プロピレン−エチレンランダム共重合体のJIS K7210に準拠して測定されたMFR(230℃、2.16kg荷重)は、通常0.5〜200g/10分、好ましくは3〜150g/10分、より好ましくは5〜50g/10分である。MFRが上記範囲にあると得られる樹脂射出成形体のウエルドが抑制される。
[プロピレン−エチレンブロック共重合体(ア)]
前記の2種以上のプロピレン−エチレンランダム共重合体構造を逐次重合することによって得られるプロピレン−エチレンブロック共重合体の好ましい例として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(ア)について以下に示す。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(ア)は、後述する(ア−iii)工程に規定するように、後述するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(ア−A)と、後述するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(ア−B)を逐次重合することで得られる、通称でのブロック共重合体であり、必ずしも成分(ア−A)と成分(ア−B)とが完全にブロック状に結合されたものでなくてもよい。
また、原料のプロピレン−エチレンブロック共重合体は、二種以上を併用することもできる。
(1)各要件
(ア−iii)プロピレン−エチレンブロック共重合体(ア)の製造工程
プロピレン−エチレンブロック共重合体(ア)は、メタロセン系触媒を用いて、第1工程で、エチレン含有量が7重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(ア−A)30〜95重量%重合し、第2工程で、成分(ア−A)よりも3〜20重量%多くのエチレンを、好ましくは6〜18重量%多くのエチレンを、より好ましくは8〜16重量%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(ア−B)を70〜5重量%逐次重合することで得られる。
ここで、成分(ア−B)と、成分(ア−A)のエチレン含有量の差異が3重量%未満であると、外観性能が低下するおそれがある。一方、20重量%を超えると、成分(ア−A)と成分(ア−B)との相溶性が低下するおそれがある。
すなわち、プロピレン−エチレンブロック共重合体(ア)において、第1工程と第2工程でエチレン含有量が所定の範囲で異なる成分を逐次重合することが、樹脂組成物及びその成形体において、高外観を発現するために必要であり、また、反応器への反応生成物の付着などの問題を防止するなどのために、成分(ア−A)を重合した後で、成分(ア−B)を重合する方法を用いることが必要である。
なお、成分(ア−A)及び成分(ア−B)のエチレン含有量は、以下の方法により決定される。
<温度昇温溶離分別(TREF)とT(C)の算出>
プロピレン−エチレンランダム共重合体およびプロピレン−エチレンブロック共重合体の結晶性分布を、温度昇温溶離分別(以下、単に「TREF」ともいう。)により評価する手法は、当該業者によく知られるものであり、例えば、次の文献などで詳細な測定法が示されている。
・G.Glockner,J.Appl.Polym.Sci.:Appl.Polym.Symp.;45,1−24(1990)
・L.Wild,Adv.Polym.Sci.;98,1−47(1990)
・J.B.P.Soares,A.E.Hamielec,Polymer;36,8,1639−1654(1995)
本発明の成分(ア−A)及び成分(ア−B)などの特定は、TREFによる。
(TREF測定方法)
本発明においては、TREFの測定は具体的に以下のように測定を行う。試料を140℃でオルトジクロルベンゼン(ODCB(0.5mg/mLBHT入り))に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後、溶媒であるODCB(0.5mg/mLBHT入り)を1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のODCBに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
本発明で用いた装置などの概要は、下記の通りであり、同等の装置等を用いて決定することも可能である。
・TREFカラム:4.3mmφ×150mmステンレスカラム
・カラム充填材:100μm、表面不活性処理ガラスビーズ
・加熱方式:アルミヒートブロック
・冷却方式:ペルチェ素子(ペルチェ素子の冷却は水冷)
・温度分布:±0.5℃
・温調器:(株)チノー製:デジタルプログラム調節計KP1000(バルブオーブン)
・加熱方式:空気浴式オーブン
・測定時温度:140℃
・温度分布:±1℃
・バルブ:6方バルブ、4方バルブ
・注入方式:ループ注入方式
・検出器:波長固定型赤外検出器、FOXBORO社製:MIRAN 1A
・検出波長:3.42μm
・高温フローセル:LC−IR用ミクロフローセル、光路長1.5mm、窓形状2φ×4mm長丸、合成サファイア窓板
・試料濃度:5mg/mL
・試料注入量:0.1mL
(ii)成分(ア−A)と成分(ア−B)の分離:
先のTREFにより求めたT(C)を基に、分取型分別装置を用い昇温カラム分別法により、T(C)における可溶成分とT(C)における不溶成分とに分別し、NMRにより各成分のエチレン含有量を求める。
昇温カラム分別法とは、例えば、次の文献などで詳細な測定法が示されている。
Macromolecules;21,314−319(1988)
具体的には、本発明において以下の方法を用いる。
(分別条件)
直径50mm、高さ500mmの円筒状カラムにガラスビーズ担体(80〜100メッシュ)を充填し、140℃に保持する。
次に、140℃で溶解したサンプルのODCB溶液(10mg/mL)200mLを前記カラムに導入する。その後、該カラムの温度を0℃まで10℃/時間の降温速度で冷却する。0℃で1時間保持後、10℃/時間の昇温速度でカラム温度をT(C)まで加熱し、1時間保持する。なお、一連の操作を通じてのカラムの温度制御精度は±1℃とする。
次いで、カラム温度をT(C)に保持したまま、T(C)のODCBを20mL/分の流速で800mL流すことにより、カラム内に存在するT(C)で可溶な成分を溶出させ回収する。
次いで10℃/分の昇温速度で当該カラム温度を140℃まで上げ、140℃で1時間保持後、140℃の溶媒(ODCB)を20mL/分の流速で800mL流すことにより、T(C)で不溶な成分を溶出させ回収する。
分別によって得られたポリマーを含む溶液は、エバポレーターを用いて20mLまで濃縮された後、5倍量のメタノール中に析出される。析出ポリマーをろ過して回収後、真空乾燥器により一晩乾燥する。
(iii)13C−NMRによるエチレン含有量の測定:
前記分別により得られた成分それぞれについてのエチレン含有量は、プロトン完全デカップリング法により測定した13C−NMRスペクトルを解析することにより求める。代表例として、本発明で用いた方法を以下に説明する。
・機種:日本電子(株)製GSX−400(炭素核共鳴周波数400MHz)
・溶媒:ODCB/重ベンゼン=4/1(体積比)
・濃度:100mg/mL
・温度:130℃
・パルス角:90°
・パルス間隔:15秒
・積算回数:5,000回以上
スペクトルの帰属は、例えば以下の文献などを参考に行えばよい。
・Macromolecules;17,1950(1984)
上記条件により測定されたスペクトルの帰属は表1の通りである。表中Sααなどの記号は以下の文献の表記法に従い、Pはメチル炭素、Sはメチレン炭素、Tはメチン炭素をそれぞれ表わす。
・Carman,Macromolecules;10,536(1977)
Figure 2015193191
以下、「P」を共重合体連鎖中のプロピレン単位、「E」をエチレン単位とすると、連鎖中にはPPP、PPE、EPE、PEP、PEE、及びEEEの6種類のトリアッドが存在し得る。Macromolecules,15,1150(1982)などに記されているように、これらトリアッドの濃度と、スペクトルのピーク強度とは、以下の<1>〜<6>の関係式で結び付けられる。
[PPP]=k×I(Tββ) <1>
[PPE]=k×I(Tβδ) <2>
[EPE]=k×I(Tδδ) <3>
[PEP]=k×I(Sββ) <4>
[PEE]=k×I(Sβδ) <5>
[EEE]=k×[I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4} <6>
ここで[ ]はトリアッドの分率を示し、例えば、[PPP]は、全トリアッド中のPPPトリアッドの分率である。
従って、
[PPP]+[PPE]+[EPE]+[PEP]+[PEE]+[EEE]=1 <7>
である。
また、kは定数であり、Iはスペクトル強度を示し、例えばI(Tββ)はTββに帰属される28.7ppmのピークの強度を意味する。
上記<1>〜<7>の関係式を用いることにより、各トリアッドの分率が求まり、さらに下式によりエチレン含有量が求まる。
エチレン含有量(モル%)=([PEP]+[PEE]+[EEE])×100
なお、プロピレンランダム共重合体には、少量のプロピレン異種結合(2,1−結合及び/または1,3−結合)が含まれ、それにより、以下の微小なピークを生じる。
Figure 2015193191
正確なエチレン含有量を求めるには、これら異種結合に由来するピークも考慮して計算に含める必要があるが、異種結合由来のピークの完全な分離・同定が困難であり、また異種結合量が少量であることから、本発明におけるエチレン含有量は、実質的に異種結合を含まないチーグラー・ナッタ触媒で製造された共重合体の解析と同じく、<1>〜<7>の関係式を用いて求めることとする。
エチレン含有量のモル%から重量%への換算は以下の式を用いて行う。
エチレン含有量(重量%)=(28×X/100)/{28×X/100+42×(1−X/100)}×100
ここでXは、モル%表示でのエチレン含有量である。また、プロピレン−エチレンブロック共重合体全体のエチレン含有量[E]Wは、上記より測定された成分(ア−A)と成分(ア−B)それぞれのエチレン含有量[E]Aと[E]B及びTREFより算出される各成分の重量比率W(A)とW(B)重量%から以下の式により算出される。
[E]W={[E]A×W(A)+[E]B×W(B)}/100 (重量%)
(ア−iv)融解ピーク温度(Tm)
プロピレン−エチレンブロック共重合体(ア)のDSC(示差走査熱量計)法により測定されたTmは、通常110〜150℃、好ましくは115〜148℃、より好ましくは120〜145℃である。Tmが110℃未満であると、樹脂組成物及びその成形体の剛性が低下するおそれがある。一方、150℃を超えると、製品外観などが低下するおそれがある。
(ア−v)温度−損失正接曲線におけるtanδ曲線のピーク温度
プロピレン−エチレンブロック共重合体(ア)は、固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接曲線において、tanδ曲線は単一のピークを0℃以下に有する。
すなわち、本発明においては、樹脂組成物及びその成形体の良好なウェルド外観性などを発現するために、プロピレン−エチレンブロック共重合体における、2種類の成分が相分離していないことが好ましい。相分離していない場合、tanδ曲線が単一のピークを0℃以下に示す。
固体粘弾性測定(DMA)は、短冊状の試料片に特定周波数の正弦歪みを与え、発生する応力を検知することで行う。ここでは、周波数は1Hzを用い、測定温度は−60℃から段階状に昇温し、サンプルが融解して測定不能になるまで行う。
また、歪みの大きさは0.1%〜0.5%程度が推奨される。得られた応力から、公知の方法によって貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”を求め、これの比で定義される損失正接(=損失弾性率/貯蔵弾性率)を温度に対してプロットする。プロピレン−エチレンブロック共重合体(ア)の成形体では、0℃以下の温度領域で鋭いピークを示す。なお、一般に0℃以下でのtanδ曲線のピークは、非晶部のガラス転移を観測するものである。
本発明で用いた固体粘弾性測定(DMA)は、具体的には、下記の通りであり、同等の装置等を用いて測定も可能である。
試料は下記条件により射出成形した厚さ2mmのシートから、10mm幅×18mm長×2mm厚の短冊状に切り出したものを用いる。
・装置…レオメトリック・サイエンティフィック社製:ARES。
・規格番号:JIS−7152(ISO294−1)
・周波数:1Hz
・測定温度:−60℃から段階状に昇温し、試料が融解するまで。
歪:0.1〜0.5%の範囲
・成形機:東洋機械金属社製TU−15射出成形機
・成形機設定温度:ホッパ下から80,80,160,200,200,200℃
・金型温度:40℃
・射出速度:200mm/秒(金型キャビティー内の速度)
・射出圧力:800kgf/cm
・保持圧力:800kgf/cm
・保圧時間:40秒
・金型形状:平板(厚さ2mm、幅30mm、長さ90mm)
(ア−vi)メルトフローレート(MFR)
プロピレン−エチレンブロック共重合体(ア)のJIS K7210に準拠して測定されたMFR(230℃、2.16kg荷重)は、通常0.5〜200g/10分、好ましくは3〜150g/10分、より好ましくは5〜50g/10分である。MFRが0.5g/10分未満であると、樹脂組成物及びその成形体において、成形性が低下するおそれがあり、200g/10分を超えても成形性が低下するおそれがある。MFRは、重合条件(重合温度、コモノマー量、水素添加量等)を調整したり、分子量降下剤を用いるなどして制御することができる。
[付加的成分]
本発明で用いるプロピレン−α−オレフィン共重合体には、必要に応じて、付加的成分を配合することができる。
この付加的成分としては、従来公知のプロピレン−α−オレフィン共重合体用配合剤として使用される添加剤であればよく、例えば、分子量降下剤、フェノール系酸化防止剤、燐系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等の酸化防止剤、中和剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、金属不活性剤、過酸化物、充填剤、抗菌防黴剤、蛍光増白剤といった各種添加剤を加えることができる。
これら付加的成分の配合量は、一般にプロピレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して、0.0001〜3重量部、好ましくは0.001〜1重量部である。
本発明の製造方法に於いて、得られる樹脂射出成形体は外観に優れるという特徴を有する。樹脂射出成形体の外観を良好にする目的で、プロピレン−α−オレフィン共重合体に、更に着色剤が含まれるのが好ましい。
前記着色剤は、例えば染料や顔料が使用できるが、成形品の発色や耐久性の点から顔料が好ましく用いられる。顔料としては例えば、亜鉛華、鉛白、リトポン、二酸化チタン、沈降性硫酸バリウム、バライト粉、鉛丹、酸化鉄赤、黄鉛、亜鉛黄(亜鉛黄1種、亜鉛黄2種)、ウルトラマリン青、プロシア青(フェロシアン化鉄カリ)、カーボンブラック、アルミフレーク等が挙げられ、発色性や外観の点からカーボンブラック、アルミフレークが好ましく用いられる。
前記分子量降下剤は、例えば、各種の有機過酸化物や、分解(酸化)促進剤と称されるものなどが使用でき、有機過酸化物が好適である。
有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルパーアセテート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチル−ジ−パーアジペート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、メチル−エチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジキュミルパーオキサイド、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルキュミルパーオキサイド、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス−t−ブチルパーオキシブタン、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−サイメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラ−メチルブチルハイドロパーオキサイド及び2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ハイドロパーオキシ)ヘキサンのグループから選ばれる1種または2種以上からなるものを挙げることができる。
前記フェノール系酸化防止剤の具体例としては、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸などを挙げることができる。
前記燐系酸化防止剤の具体例としては、トリス(ミックスド、モノ及びジノニルフェニルホスファイト)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトなどを挙げることができる。
前記硫黄系酸化防止剤の具体例としては、ジ−ステアリル−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−チオ−ジ−プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリル−チオ−プロピオネート)などを挙げることができる。
前記中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイト、ミズカラック(水沢化学(株)製)などを挙げることができる。
前記光安定剤の具体例としては、ヒンダードアミン系の安定剤があげられ、これの具体例としては、琥珀酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス{N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ}−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]、ポリ[(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]などを挙げることができる。
前記滑剤の具体例としては、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、エチレンビスステアロイドなどの高級脂肪酸アミド、シリコンオイル、高級脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
前記帯電防止剤としては、高級脂肪酸グリセリンエステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド、アルキルジエタノールアミド脂肪酸モノエステルなどを挙げることができる。
[フィラー]
本発明のプロピレン−α−オレフィン共重合体は、更に、フィラーを配合するのが好ましい。
前記フィラーとしては、タルク、マイカ、繊維等を用いることができる。中でも、成形品の機械物性向上のために繊維が好ましく用いられる。
前記繊維としては、無機繊維、有機繊維等を用いることができる。無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維等があげられる。また、有機繊維としては、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、セルロース系繊維等があげられる。機械的強度の向上や成形品の重量調整という点からは無機繊維が好ましく、中でもガラス繊維がより好ましく用いられる。これらの繊維は、短繊維であっても、長繊維であってもよい。
これらフィラーの配合量は、プロピレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して好ましくは8〜150重量部、より好ましくは10〜100重量部、更に好ましくは15〜50重量部である。
[フィラー及び着色成分並びに付加的成分の添加方法]
前記のフィラー及び着色成分並びに付加的成分は、任意の段階で添加し溶融混練することができ、また、溶融混練中に添加してもよい。さらには、溶融混練後に直接添加、あるいは、マスターバッチとして添加することも可能である。また、これらの複合的な手法により添加してもよい。
一般的には、酸化防止剤、中和剤などの添加剤を配合して、混合、溶融、混練された後、製品に成形され使用される。成形時に本発明の効果を著しく損なわない範囲で他の樹脂、あるいは、その他の付加的成分(マスターバッチを含む)を添加し使用することも可能である。
混合、溶融、混練は、従来公知のあらゆる方法を用いることができるが、通常、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブラーミキサー、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、一軸又は二軸の混練押出機にて実施することができる。これらの中でも一軸又は二軸の混練押出機により混合あるいは溶融混練を行うことが好ましい。
[プロピレン−α−オレフィン共重合体の成形方法]
次に、プロピレン−α−オレフィン共重合体を用いて射出成形体を製造する方法について説明する。以下において、「プロピレン−α−オレフィン共重合体」を、単に「樹脂」と称する場合がある。
<射出成形方法>
本発明にかかる樹脂成形体の製造方法は、射出成形用金型(以下、単に「金型」と称する。)を用いた製造方法である。
まず、射出成形用金型を昇温する。
射出成形用金型に樹脂を射出する際のキャビティ面の温度は60℃以上であり、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃以上、特に好ましくは。105℃以上、最も好ましくは120℃以上である。一方、温度の上限は特に限定されないが、通常250℃以下、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは160℃以下、特に好ましくは150℃以下、最も好ましくは140℃以下である。射出時のキャビティ面の温度が上記範囲にあると表面外観に優れた成形体が得られやすい。
樹脂を射出成形用金型に射出する際の射出速度は通常20cm/秒以上、好ましくは40cm/秒以上である。上限は特に限定されないが、通常200cm/秒以下、好ましくは150cm/以下である。射出速度を上記範囲とすることで、樹脂射出成形体のウエルドを抑制できる傾向にある。
次いで、キャビティ12内に樹脂を射出して充填すると共に、圧力を保持する。所定時間経過した後、金型を冷却し、得られた樹脂成形体を取り出す。前記保持する時間としては、通常30秒以内、好ましくは15秒以内である。30秒より長いと、過充填状態となり金型が開かなくなる、バリが発生しやすいという問題点を生じる場合がある。一方、保持時間の下限は、通常2秒以上、好ましくは5秒以上である。2秒より短いと、充填不足になり、転写ムラやヒケが目立つという問題点を生じる場合がある。
また、前記の冷却開始から冷却終了までの時間を冷却時間とし、樹脂射出量が1kg未満の成形体を製造する場合の冷却時間は、通常360秒以内、好ましくは180秒以内、より好ましくは120秒以内である。一方、冷却時間の下限は、10秒以上がよく、15秒以上が好ましい。また、樹脂射出量が1kg以上の成形体を製造する場合、冷却時間は、通常10分以内、好ましくは5分以内、より好ましくは2分以内であり、下限は通常5秒以上、好ましくは10秒以上、更に好ましくは30秒以上、より好ましくは1分以上である。
冷却時間が長すぎると、成形サイクルが長くなり、十分な生産性が得られないという問題が生じる場合があり、冷却時間が短すぎると、成形体内部の冷却が不十分となり、製品取出し時に変形を引き起こしたり、製品取出し後の収縮が大きくなるという問題点を生じる場合がある。
さらに、前記の射出用金型からの樹脂成形体の排出は、その射出成形用金型のキャビティ面温度が、該樹脂射出時の金型キャビティ面の温度より10℃以上低い状態で行う必要があり、30℃以上が好ましく、45℃以上がより好ましい。上記範囲にあることで、ウエルドの少ない成形体を製造することができる。なお、(該樹脂射出時の金型キャビティ面の温度)−(射出成形用金型のキャビティ面温度)(以下、「ΔT」と略することがある。)の上限は特に限定されないが、通常250℃以下、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは150℃以下、特に好ましくは130℃以下、最も好ましくは110℃以下である。
さらにまた、前記樹脂の射出から樹脂成形体を取り出すまでの成形時間は、2時間以内、好ましくは1時間以内、より好ましくは10分以内、更に好ましくは5分以内、最も好ましくは3分以内である。成形時間が長すぎると目的の寸法が得られにくいという問題点を生じる場合がある。下限は特に限定されないが、保圧時間と冷却時間の合計以上である。
なお、本発明における成形時間とは、樹脂を金型に充填してから金型を開き、樹脂成形体の排出を行うまでの時間を意味し、上記保圧時間と冷却時間の和を意味する。
特に、樹脂射出時のキャビティ面の温度、成形体排出時のキャビティ面の温度、成形時間の全ての条件をみたすことにより、得られる成形体の表面の外観を良好にし、ウエルドの発生を抑制するとともに、成形体の表面硬度や耐傷付き性を向上させることができる。
特定のプロピレン−α−オレフィン共重合体を上述した成形条件で成形することで、得られる成形品のウエルドラインが抑制され、外観が向上するのか作用は明らかではないが、以下の様に推測する。
結晶化速度の遅いプロピレン−α−オレフィン共重合体を用いることで、金型冷却後も樹脂キャビティ内で樹脂が移動し、成形体表面のウエルドラインを埋めているものと考えられる。対して、ホモポリプロピレン樹脂は結晶化速度が速いため、冷却と同時に成形体表面が結晶化し、ウエルドラインが消失しなかったと考えられる。
ところで、前記ウエルドは、キャビティに通じるランナー・ゲート、すなわち、樹脂の流路が複数ある場合、それぞれのランナー・ゲート出口からでた溶融樹脂が衝突する位置で生じる。すなわち、図2(a)(b)に示すように、1つのランナー・ゲート出口からの溶融樹脂流pと、他の1つのランナー・ゲート出口からの溶融樹脂流p’とが衝突したとき、その衝突部における会合角θや、その衝突部における凹み部の深さdによって、ウエルドが発生の有無が影響される。図2(a)に示すように、θが小さかったり、dが大きかったりすると、ウエルドが視認され、ウエルド発生と認識される。一方、図2(b)に示すように、θが大きかったり、dが小さかったりすると、ウエルドが視認できず、ウエルドは発生せずと認識される。具体的には、θが130°以下の場合や、dが1μm以上の場合だと、ウエルドが視認される。
<樹脂射出成形用金型>
本発明に用いる樹脂射出成形用金型としては、蒸気式、加圧熱水式、オイル式、電磁誘導加熱式等の公知の加熱方法を用いる金型を用いることができるが、キャビティ面を急加熱、急冷却可能な電磁誘導加熱式金型を用いることが好ましい。
電磁誘導加熱式金型としては、図1(a)〜(c)に示すような金型を例として挙げることができる。
次に、図1(a)〜(c)に示す樹脂成形用電磁誘導加熱式金型を用いた樹脂の射出成形方法について説明する。射出成形用金型11は、所定の肉厚、幅、長さ、外周の高さを有する箱型形状であり、固定型11aに角状の凸部a及び丸状の凹部b1’及びb2’を設け、可動型11bに角状の凹部a’及び丸状の凸部b1及びb2を設けた形状を有する。
まず、射出成形用金型11の固定型11a及び可動型11bを開けた状態(製品を取り出した直後)で、上記誘導コイル15aに通電し、固定型11a及び可動型11bの磁性金属部14aの加熱を開始し、2つの型11a及び11bを突き合わせて、金型11を閉じ、所定温度に昇温させる。このときの温度は、前記した温度とする。
次いで、ノズル穴13a、ランナー・ゲート13bを通じて、キャビティ12内に樹脂を充填すると共に、圧力を保持する。所定時間経過した後、冷却機構によって、金型を冷却する。前記の保持する時間や、冷却時間は、前記した通りである。
降温完了後、金型を開いて、樹脂成形体を取り出すことによって、樹脂成形体を得ることができる。
ところで、上記の誘導コイル15aに通電することにより、固定型11a及び可動型11bの磁性金属部14aを加熱して、所定温度に昇温する際、上記においては、金型11を閉じると記載したが、所定範囲内に開けた状態とし、キャビティ12内の圧力を保持するときに、金型11を閉じる操作をすると、得られる樹脂成形体の寸法精度を向上させることができ、ひけが発生するのを抑制することができ、得られる樹脂成形体表面の粗さを減らすことができ、さらに、得られる樹脂成形体の角にまで樹脂を確実に充填させることができる。
上記の金型11を開ける量は、キャビティの最大厚みの5%以上がよく、10%以上が好ましい。5%より少ないとひけやそり変形を低減する効果が少なくなる傾向がある。一方、上限は、30%がよく、20%が好ましい。30%より多いと、キャビティを圧縮するときに大きい力が必要となる。
<自動車用部品>
この発明の製造方法で製造される樹脂成形体は、複雑な形状を持つ自動車用内装材、オーディオ、カーナビーゲーション機器、携帯電話、テレビの筐体や枠部材等に、有用に使用することができる。
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
<原料>
(樹脂1:プロピレン−エチレンブロック共重合体)
・日本ポリプロ(株)製:プロピレン−エチレンブロック共重合体:商品名「ウェルネクスRMG02」
メタロセン系触媒、MFR(230℃、2.16kg荷重)20g/10分、エチレン含有量5.9重量%、融解ピーク温度(Tm)=130℃、tanδ曲線が単一のピークを−11℃に示す。
共重合体(100重量%)中に、エチレン含有量1.8重量%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分56重量%とエチレン含有量11重量%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分44重量%を含み、該エチレン含有量の異なる2種類のプロピレン−エチレンランダム共重合体を逐次重合することによって得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体。
(樹脂2:プロピレン−エチレンランダム共重合体)
・日本ポリプロ(株)製:プロピレン−エチレンランダム共重合体:商品名「ウィンテック WSX02」、
メタロセン系触媒、MFR(230℃、2.16kg荷重)25g/10分、エチレン含有量3.5重量%、融点(Tm)=125℃。
(樹脂3:樹脂組成物)
樹脂1と樹脂2の重量比が1:9になるように混合し、射出成形機のシリンダーに投入した。
(樹脂4:樹脂組成物)
樹脂1と樹脂2の重量比が3:7になるように混合し、射出成形機のシリンダーに投入した。
(樹脂5:樹脂組成物)
樹脂1と樹脂2の重量比が5:5になるように混合し、射出成形機のシリンダーに投入した。
(樹脂6:プロピレン−エチレンブロック共重合体)
・日本ポリプロ(株)製:商品名「ニューコン NBC03HR」
チーグラー系触媒、MFR(230℃、2.16kg荷重)28g/10分、プロピレン単独重合体部分73重量%、プロピレン−エチレン共重合体部分27重量%、プロピレン−エチレン共重合体部分のエチレン含有量37重量%、融点(Tm)=161℃
(樹脂7:ホモポリプロピレン樹脂)
・日本ポリプロ(株)製:商品名「ノバテック MA04A」
チーグラー系触媒、MFR(230℃、2.16kg荷重)40g/10分、プロピレン単独重合体、融点(Tm)=166℃
(フィラー)
・ガラス繊維…日本電気硝子(株)製:T−480H、以下「GF」と略する。
(着色剤)
・アルミ顔料マスターバッチ…東京インキ(株)製:PPCM−810V
ポリオレフィン樹脂をベースとして、アルミ顔料を40重量%含有。
<ΔTの定義>
「樹脂射出時キャビティ面の温度」と「排出時キャビティ面の温度」との差をΔTとする。
<ウエルドラインの発生の有無の判断方法>
図3の(2)に相当する位置について、下記の基準にしたがい目視で評価した。
○:ウエルドライン無し
×:ウエルドライン有り
<色ムラ>
図3の(2)に相当する位置について、下記の基準にしたがい目視で評価した
○:色ムラ無し
×:色ムラ有り
<総合評価>
ウエルドラインの評価と色ムラの評価より、下記の基準で判断した。
○…ウェルドライン無し、色ムラ無し
△…ウエルドライン無し、色ムラ有り
×…ウエルドライン有り
[製造例1 フィラー含有樹脂ペレットの製造]
シリンダ温度が210℃に設定された日本製鋼所(株)製:押出機(TEX30)のホッパーに表3又は4に示す樹脂ペレットを投入した後、回転数100rpmの条件で、押出機の途中からガラス繊維を樹脂ペレット100重量部に対して表3又は4に示す重量部で添加した。その後、ガラス繊維が練りこまれたガラス繊維含有樹脂を押し出し、冷却槽を介して得られるストランドをペレタイズすることでフィラー含有樹脂のペレットを得た。
[実施例1]
<金型装置>
名機製作所(株)製:200t射出成形機に図1(b)〜(c)、図3に示す電磁誘導加熱式金型を取り付けた。
この金型は、肉厚2.5mm、幅250mm×長さ310mmx外周の高さ10mmの箱型形状に、170mm×115mmの角段部、φ20の丸段部2個、φ40の丸段部を有する形状である。
誘導コイル15aとしては、肉厚1mm、外径14mmの銅管を用いた。この誘導コイル15aは、誘導コイル15aとキャビティ面12a、12bとの距離の最大と最小の差が、3mm以内となるように配置した。また、キャビティの対角中心を基準としたとき、最も外側に配される誘導コイルが、キャビティ外周縁から5mm内側までの最外誘導コイル設置範囲Aの範囲内となるように、誘導コイル15aを配置した。
この金型を図示していない電磁誘導加熱装置から銅管に通電し、キャビティ面12a、12bを表1に示す温度に昇温し、次いで、ノズル13a、ランナー・ゲート13bを通じて、キャビティ12内に樹脂を充填した。充填完了後圧力を保持し、図示していない冷却装置から貫通孔18、銅管製誘導コイルに通水して、キャビティ面を冷却し、金型を開いて樹脂成形体を排出した。
<成形条件>
樹脂1 100重量部とアルミ顔料マスターバッチ2重量部をドライブレンドした後、上記射出成形機のホッパーに投入し、シリンダー温度210℃で溶融させた。
その後キャビティ面温度が134℃となったことを確認した後、キャビティ内に射出速度48cm/secで樹脂を充填し、充填完了後、30MPaの保持圧力で10秒間圧力を保持した。
その後、キャビティ面温度を46℃となるように60秒かけて冷却した後、金型を開いて樹脂成形体を排出した。樹脂の射出から排出までの時間は70秒であった。
得られた成形体に対して、図3の(2)に相当する位置におけるウエルドライン、色ムラの有無を確認し、結果を表3に記載した。
[実施例2〜16]
表3に示す樹脂及び成形条件とした以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に記載した。
なお、フィラーとしてガラス繊維を用いる場合は、製造例1に示す方法で製造したガラス繊維含有ペレットを用いた。実施例2〜16の何れも樹脂の射出から排出までの時間は120秒以内であった。
[比較例1〜17]
表4に示す樹脂及び成形条件とした以外は実施例1と同様に行った。結果を表4に記載した。なお、フィラーとしてガラス繊維を用いる場合は、製造例1に示す方法で製造したガラス繊維含有ペレットを用いた。比較例1〜17の何れも樹脂の射出から排出までの時間は120秒以内であった。
Figure 2015193191
Figure 2015193191
実施例、比較例より、キャビティ面の温度を60℃以上とした射出成形用金型に本発明で規定する樹脂を射出し、射出成形用金型の金型キャビティ面温度が、該樹脂射出時の金型キャビティ面の温度より10℃以上低い状態で樹脂成形体の排出を行った結果、ウエルドや色ムラのない外観に優れた成形体が得られることがわかる。
また、比較例8,17より、ホモポリプロピレン樹脂を用いた場合は、本発明で規定する成形条件で成形しても、十分な外観向上効果が得られないことがわかった。
11 射出成形用金型
11a 固定型
11b 可動型
12 キャビティ
12a、12b キャビティ面
13a ノズル穴
13b ランナー・ゲート
14a 磁性金属部
14b 非磁性金属部
15 誘導コイル保持部
15a 誘導コイル
16a、16b 断熱材
17 母型
18 貫通孔
19 エジェクターピン
a、b1、b2 凸部
a’、b1’、b2’ 凹部
p、p’ 溶融樹脂流
A 最外誘導コイル設置範囲

Claims (12)

  1. キャビティ面の温度を60℃以上とした射出成形用金型にプロピレン−α−オレフィン共重合体を射出し、
    前記射出成形用金型のキャビティ面温度が、該樹脂射出時の金型キャビティ面の温度より10℃以上低い状態で樹脂成形体の排出を行い、
    該樹脂の射出から排出までの時間が2時間以内である樹脂射出成形体の製造方法。
  2. 前記射出成形用金型が、電磁誘導加熱式金型である請求項1に記載の樹脂射出成形体の製造方法。
  3. 前記プロピレン−α−オレフィン共重合体に、更にフィラーが含まれる請求項1又は2に記載の樹脂射出成形体の製造方法。
  4. 前記プロピレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して、更にフィラー8〜150重量部を含有する請求項3に記載の樹脂射出成形体の製造方法。
  5. 前記プロピレン−α−オレフィン共重合体に、更に着色剤が含まれる請求項1〜4の何れか一項に記載の樹脂射出成形体の製造方法。
  6. 前記プロピレン−α−オレフィン共重合体がランダム共重合体もしくはブロック共重合体である請求項1〜5の何れか一項に記載の樹脂射出成形体の製造方法。
  7. 前記プロピレン−α−オレフィン共重合体がプロピレン−エチレン共重合体である請求項1〜6の何れか一項に記載の樹脂射出成形体の製造方法。
  8. 前記プロピレン−エチレン共重合体が、メタロセン触媒を用いて得られる、エチレン含有量が0.1〜25重量%のプロピレン−エチレン共重合体である請求項7に記載の樹脂射出成形体の製造方法。
  9. 前記プロピレン−エチレン共重合体がプロピレン−エチレンランダム共重合体であって、
    該プロピレン−エチレン共重合体がメタロセン触媒により重合されたプロピレン−エチレンランダム共重合体及び2種以上のプロピレン−エチレンランダム共重合体を逐次重合することによって得られるプロピレン−エチレンブロック共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項7又は8に記載の樹脂射出成形体の製造方法。
  10. 前記プロピレン−エチレン共重合体がプロピレン−エチレンランダム共重合体であって、該プロピレン−エチレンランダム共重合体が以下に規定する要件を有する請求項9に記載の樹脂射出成形体の製造方法。
    プロピレン−エチレンランダム共重合体:次の(ア−i)及び(ア−ii)に規定する要件を有する。
    (ア−i):DSC法により測定された融解ピーク温度(Tm)が110℃〜150℃である。
    (ア−ii):メルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)が0.5g/10分〜200g/10分である。
  11. 前記プロピレン−エチレン共重合体がプロピレン−エチレンブロック共重合体であって、
    該プロピレン−エチレンブロック共重合体が以下に規定する要件を有する請求項9に記載の樹脂射出成形体の製造方法。
    プロピレン−エチレンブロック共重合体(ア):次の(ア−iii)〜(ア−vi)に規定する要件を有する。
    (ア−iii):エチレン含有量7重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(ア−A)を30重量%〜95重量%、成分(ア−A)よりも3重量%〜20重量%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(ア−B)を70重量%〜5重量%からなる。
    (ア−iv):DSC法により測定された融解ピーク温度(Tm)が110℃〜150℃である。
    (ア−v):固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接曲線において、tanδ曲線が単一のピークを0℃以下に有する。
    (ア−vi):メルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)が0.5g/10分〜200g/10分である。
  12. 上記請求項1〜11の何れか一項に記載の樹脂射出成形体の製造方法を用いて製造された成形体。
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CN113874404B (zh) * 2019-05-31 2024-06-04 住友化学株式会社 聚合物组合物、成型体、光学构件和聚合物组合物的制造方法

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