JP2015192644A - スフェロイドの評価方法およびスフェロイド評価装置 - Google Patents

スフェロイドの評価方法およびスフェロイド評価装置 Download PDF

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Abstract

【課題】スフェロイドを撮像した画像から、当該スフェロイドの崩壊度を客観的に、かつ安定的に評価することを可能とする技術を提供する。【解決手段】スフェロイドおよびその周囲領域を含む画像のうちスフェロイドが占めるスフェロイド領域を特定する工程と、スフェロイド領域の画像濃度から、スフェロイドの光学濃度の平均値および該光学濃度の前記スフェロイド内でのばらつきを求める工程と、スフェロイド領域の輪郭から、スフェロイドの円形度を求める工程と、スフェロイド領域の周縁部および中央部それぞれの画像濃度からスフェロイドの鮮明度を求める工程と、光学濃度の平均値およびばらつきと、円形度と、鮮明度とを所定の演算式に代入してスフェロイドの崩壊度を求める工程とを備える。【選択図】図3

Description

この発明は、スフェロイドを撮像した画像から当該スフェロイドの崩壊度を評価する評価方法および評価装置に関するものである。
化合物が細胞に及ぼす影響を調べるための実験の1つとして、コロニー形成法が知られている。この方法は、培養環境が適切であれば細胞が増殖を繰り返してコロニーを形成することから、評価対象の化合物を添加した環境で細胞を培養し、その環境下で形成されるコロニーの数を計数することにより、化合物が細胞の生死にどのような影響を与えているかを評価しようとするものである(例えば、特許文献1参照)。この方法では一般的に、寒天培地等の表面で二次元的に増殖する細胞コロニーが計数対象となる。
一方、より生体に近い細胞の培養方法として三次元培養があり、この場合、培養された細胞が球状の塊となることからスフェロイド(細胞集塊)と呼ばれる。スフェロイドは1個の細胞から増殖するだけではなく、複数の細胞が互いに寄り集まって形成される。このことから、その観察においては、複数の細胞によるスフェロイド形成能力またはスフェロイド維持能力を判断する必要がある。
特表2005−502354号公報
スフェロイドは立体的構造を有していることから、一方向からの観察のみではその状態を的確に判断することが困難である。そのため、スフェロイドの状態を定量的に評価する方法としては、培地に試薬を添加し、細胞の生化学的反応により生じる吸光や発光を測定することが行われる。しかしながら、このような測定は測定結果のばらつきが大きく、また試薬等が高コストである。それに加えて、測定に際してスフェロイドが破壊されるため、継続的な実験を行うことができないという問題があった。
このため、スフェロイドの状態を非侵襲で観察して簡便にかつ的確に評価するための技術の確立が望まれる。例えばスフェロイドの光学像を撮像し、その画像からスフェロイドの状態を判断することが考えられるが、画像を分析してスフェロイドの状態を自動的に評価する技術はこれまで確立されておらず、熟練者による主観的判断に委ねられているのが現状である。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、スフェロイドを撮像した画像から、当該スフェロイドの崩壊度を客観的に、かつ安定的に評価することを可能とする技術を提供することを目的とする。
この発明の一の態様は、スフェロイドを撮像した画像から当該スフェロイドの崩壊度を評価するスフェロイドの評価方法であって、上記目的を達成するため、前記スフェロイドおよびその周囲領域を含む前記画像のうち前記スフェロイドが占めるスフェロイド領域を特定する工程と、前記スフェロイド領域の画像濃度から、前記スフェロイドの光学濃度の平均値および該光学濃度の前記スフェロイド内でのばらつきを求める工程と、前記スフェロイド領域の輪郭から、前記スフェロイドの円形度を求める工程と、前記スフェロイドおよびその周囲領域の画像濃度から前記スフェロイドの鮮明度を求める工程と、前記光学濃度の平均値およびばらつきと、円形度と、鮮明度とを所定の演算式に代入して前記スフェロイドの崩壊度を求める工程とを備えている。
また、この発明の他の態様は、スフェロイドを撮像した画像から当該スフェロイドの崩壊度を判定するスフェロイド評価装置であって、上記目的を達成するため、前記スフェロイドおよびその周囲領域を含む画像を取得する画像取得手段と、前記画像のうち前記スフェロイドが占めるスフェロイド領域を特定し、前記スフェロイド領域の画像濃度から、前記スフェロイドの光学濃度の平均値および該光学濃度の前記スフェロイド内でのばらつきを求め、前記スフェロイド領域の輪郭から前記スフェロイドの円形度を求め、前記スフェロイドおよびその周囲領域の画像濃度から前記スフェロイドの鮮明度を求める画像処理手段と、前記光学濃度の平均値およびばらつきと、円形度と、鮮明度とに基づき前記スフェロイドの崩壊度を求める崩壊度算出手段とを備えている。
活性の高いスフェロイドは、培地内で多数の細胞が結び付いて球形に近い形状を有しているが、衰弱した細胞はスフェロイド形成能力が失われ、細胞間の結びつきが弱まってスフェロイドは崩壊する。すなわちスフェロイドの形状が維持できなくなる。したがって、その崩壊の程度を定量化して表すことができれば便宜である。これまでは、スフェロイドを例えば顕微鏡などで直接観察して、あるいは、ある方向からスフェロイドを撮像した画像に基づいて、化合物の添加によるスフェロイドの状態変化である崩壊度を熟練者が主観的に判断している。
そこで、これらの発明では、スフェロイドを撮像した画像から当該スフェロイドの崩壊度を自動的に定量化することにより、スフェロイドの崩壊度を客観的に、かつ安定的に評価することができるようにしている。具体的には、画像から特定されるスフェロイド領域について、その光学濃度の平均値とばらつき、円形度および鮮明度を求め、これらの情報に基づいてスフェロイドの崩壊度を求める。
活性の高い細胞からなるスフェロイドでは、その輪郭が円形に近く鮮明である。これに対し、崩壊の進むスフェロイドでは形状が崩れ輪郭も不鮮明になる。また、生細胞は比較的淡く均一な色合いを有するのに対し、死滅した細胞では色が濃くなる。そのため、死滅した細胞が含まれるスフェロイドでは、光学濃度が全体的に高濃度となり、そのばらつきも大きくなる。
スフェロイドの状態を表すこれらの指標は画像から定量化して求めることが可能であり、それらの値に基づく演算によりスフェロイドの崩壊度を求めることで、本発明では、スフェロイドの状態に関して客観的かつ安定的な評価が可能となっている。
ここで、崩壊度を求める演算式については、例えば、崩壊度を指標する数値が付与されたスフェロイドの画像を複数収集し、収集された画像のそれぞれについて求めたスフェロイドの光学濃度の平均値およびばらつきと、円形度と、鮮明度とを原因系とし、当該画像の崩壊度の数値を結果系とする回帰分析を実行することにより求めることが可能である。
スフェロイドの崩壊度については種々の観点から総合的に判断する必要があり、崩壊度自体を客観的数値のみから一義的に定めることは現時点では困難である。一方、熟練者であれば、スフェロイド画像の目視観察によって比較的高い再現性で崩壊度を判定することが可能である。そこで、複数のスフェロイド画像について、各画像と例えば熟練者により予め判定された崩壊度とを対応付けておき、各画像から求められたスフェロイドの光学濃度の平均値およびばらつきと、円形度と、鮮明度との数値から演算によって求められる崩壊度の値と、当該画像に対応付けられた崩壊度の値とが高い確率で一致するような演算式を導出すればよい。
このような演算式を特定する方法として回帰分析が知られている。具体的には、スフェロイドの光学濃度の平均値およびばらつきと、円形度と、鮮明度とを原因系とし、画像に対応付けられた崩壊度の値を結果系とする回帰分析を行うことで、原因系と結果系とを対応付ける演算式を特定することができる。回帰分析の手法については従来より研究されており、その手法を適用して演算式を定めることにより、熟練者の判断と相関性の高い評価結果を、主観的判断に頼ることなく得ることが可能となる。
前述したスフェロイドの光学的特徴から、演算式は、スフェロイドの光学濃度の平均値が高いほど崩壊度が高くなるものであることが望ましく、スフェロイドの光学濃度のばらつきが大きいほど崩壊度が高くなるものであることが望ましく、スフェロイドの円形度が小さいほど崩壊度が高くなるものであることが望ましく、またスフェロイドの鮮明度が小さいほど崩壊度が高くなるものであることが望ましい。これらは、スフェロイドの崩壊に関する科学的知見を演算結果に反映させるための条件である。なお、崩壊度の高さを数値表現するに際してどのような値を与えるかについては特に限定されない。例えば崩壊が進んだスフェロイドほど崩壊度として大きな数値が与えられてもよく、その逆であってもよい。また、崩壊度が離散的な数値によって段階的に表現されてもよい。
また、スフェロイドの鮮明度は、例えばスフェロイドの周縁部の光学濃度とスフェロイド全体の光学濃度との比の値として定義することが可能である。輪郭の鮮明なスフェロイドでは、スフェロイドの周縁部までその中央部と同程度の光学濃度が維持されるが、輪郭の不鮮明な、つまりスフェロイドと周囲領域との境界が曖昧なスフェロイドでは、周縁部の光学濃度が中央部より低くなる傾向がある。したがって、スフェロイドの周縁部の光学濃度とスフェロイド全体の光学濃度との比の値が1に近ければ輪郭が鮮明であり、値が小さいほど不鮮明であるということができる。
また、スフェロイドの鮮明度は、例えばスフェロイド領域の輪郭におけるエッジ強度に対応する画素値を有する画素の光学濃度として定義されてもよい。より具体的には、スフェロイド領域の輪郭に対応する各画素について画素の輝度値に基づきエッジ検出フィルタ演算によりそれぞれ求めたエッジ強度の平均値をSa、スフェロイドの周囲領域の画素の輝度の平均値をIsとしたとき、次式:
Sh=log10{Is/(Is−Sa/4)}
の左辺Shとして鮮明度が定義されてもよい。詳しくは後述するが、このような定義に基づく鮮明度を導入することで、スフェロイドの崩壊度をより精度よく評価することが可能となる。
また例えば、スフェロイドを形成する細胞種に応じて演算式が異なる構成であってもよい。細胞種によってその色合いやスフェロイドの形状、崩壊に伴って現れる変化の特徴などが異なることから、様々な細胞種に対して単一の演算式を定義することは難しい。細胞種に応じて異なる演算式を定義することができるようにすれば、複数の細胞種にも対応することができる。また、細胞の培養方法ごとに異なる演算式が定義されてもよい。
また、この発明にかかるスフェロイド評価装置において、例えば、画像取得手段は、スフェロイドを含む培地を担持する容器を保持する保持部と、保持部に保持された容器内のスフェロイドを撮像して画像を取得する撮像部とを有するものであってもよい。このような構成によれば、スフェロイドの撮像とその崩壊度の評価とを単一の装置で行うことができる。
この場合、撮像部は、スフェロイドを非侵襲で撮像するものであることが好ましい。このような構成によれば、撮像後の試料(スフェロイド)についてさらに培養を継続することが可能であり、例えば同一のスフェロイドが経時的にどのように変化するかを評価することが可能となる。
また例えば、画像取得手段は、外部の撮像装置により撮像された、または外部の記憶装置に記憶されたスフェロイドの画像データを受け入れる構成であってもよい。すなわち、本発明にかかるスフェロイド評価装置は自身が撮像機能を有するものに限定されず、外部から与えられた画像データに基づき評価のみを行うものであってもよい。このような構成によれば、例えば既存の撮像装置と組み合わせることにより、上記した評価機能を付与することが可能となる。
本発明によれば、スフェロイドの画像から機械的に導出可能な情報に基づいてスフェロイドの崩壊度が評価される。そのため、利用者の主観的判断に頼ることなく、客観的かつ安定的な評価が可能となる。
本発明にかかるスフェロイド評価装置の一実施形態の概略構成を示す図である。 スフェロイドの外観を模式的に示す図である。 この実施形態におけるスフェロイドの評価処理を示すフローチャートである。 崩壊度の計算式の概念を示す図である。 スフェロイド崩壊度の計算式を特定する処理を示すフローチャートである。 崩壊度の正規化の原理を示す図である。
図1は本発明にかかるスフェロイド評価装置(以下、「評価装置」と略称する)の一実施形態の概略構成を示す図である。この評価装置1は、ウェルプレートWPの上面に形成されたウェルWと称される窪部に注入された液体中で培養されるスフェロイド(細胞集塊)を撮像し、その崩壊度を評価する装置である。以下、各図における方向を統一的に示すために、図1に示すようにXYZ直交座標軸を設定する。ここでXY平面が水平面、Z軸が鉛直軸を表す。より詳しくは、(+Z)方向が鉛直上向き方向を表している。
ウェルプレートWPは、創薬や生物科学の分野において一般的に使用されているものであり、平板状のプレートの上面に、断面が略円形の筒状に形成され底面が透明で平坦なウェルWが複数設けられている。1つのウェルプレートWPにおけるウェルWの数は任意であるが、例えば96個(12×8のマトリクス配列)のものを用いることができる。各ウェルWの直径および深さは代表的には数mm程度である。なお、この評価装置1が対象とするウェルプレートのサイズやウェルの数はこれらに限定されるものではなく任意であり、例えば384穴のものであってもよい。
ウェルプレートWPの各ウェルWには、培地としての液体が所定量注入され、この液体中において所定の培養条件で培養されたスフェロイドが、この撮像装置1の撮像対象となる。培地は適宜の試薬が添加されたものでもよく、また液状でウェルWに投入された後ゲル化するものであってもよい。後述するように、この撮像装置10では、例えばウェルWの内底面で培養されたスフェロイドを撮像対象とすることができる。常用される一般的な液量は、50ないし200マイクロリットル程度である。
評価装置1は、試料を液体とともに各ウェルWに担持するウェルプレートWPの下面周縁部に当接して、ウェルプレートWPを略水平姿勢に保持するホルダ11と、ホルダ11の上方に配置される照明部12と、ホルダ11の下方に配置される撮像部13と、これら各部の動作を制御するCPU141を有する制御部14とを備えている。
照明部12は、ホルダ11により保持されたウェルプレートWPに向けて適宜の拡散光(例えば白色光)を出射する。より具体的には、例えば光源としての白色LED(Light Emitting Diode)光源と拡散板とを組み合わせたものを、照明部12として用いることができる。照明部12により、ウェルプレートWPに設けられたウェルW内のスフェロイドが上方から照明される。
ホルダ11により保持されたウェルプレートWPの下方に、撮像部13が設けられる。撮像部13には、ウェルプレートWPの直下位置に図示を省略する撮像光学系が配置されており、撮像光学系の光軸は鉛直方向(Z方向)に向けられている。
撮像部13により、ウェルW内のスフェロイドが撮像される。具体的には、照明部12から出射されウェルWの上方から液体に入射した光が撮像対象物を照明し、ウェルW底面から下方へ透過した光が、撮像光学系を介して図示しない撮像素子の受光面に入射する。撮像光学系により撮像素子の受光面に結像する撮像対象物の像が、撮像素子により撮像される。撮像素子としては例えばCCDセンサまたはCMOSセンサを用いることができ、二次元イメージセンサおよび一次元イメージセンサのいずれであってもよい。
撮像部13は、制御部14に設けられたメカ制御部146によりXYZ方向に移動可能となっている。具体的には、メカ制御部146が、CPU141からの制御指令に基づき、撮像部13をX方向およびY方向に移動させることにより、撮像部13がウェルWに対し水平方向に移動する。またZ方向への移動によりフォーカス調整がなされる。1つのウェルW内の撮像対象物が撮像されるときには、メカ制御部146は、観察光学系130の光軸が当該ウェルWの中心と一致するように、撮像部13を水平方向に位置決めする。撮像部13の撮像素子が一次元イメージセンサである場合には、イメージセンサの長手方向と直交する方向に撮像部13を走査させることにより二次元画像を撮像することができる。このような撮像方法では、撮像対象であるスフェロイドに対し非接触、非破壊かつ非侵襲で撮像を行うことができ、撮像によるスフェロイドへのダメージを抑えることができる。
また、図において点線矢印で示すように、メカ制御部146は、撮像部13をXY方向に移動させる際、照明部12を撮像部13と一体的にXY方向に移動させる。すなわち、照明部12は、その光中心が撮像光学系の光軸と略一致するように配置されており、撮像部13がXY方向に移動するとき、これと連動してXY方向に移動する。これにより、どのウェルWが撮像される場合でも、当該ウェルWの中心および照明部12の光中心が常に撮像光学系の光軸上に位置することとなり、各ウェルWに対する照明条件を一定にして、撮像条件を良好に維持することができる。
撮像部13の撮像素子から出力される画像信号は、制御部14に送られる。すなわち、画像信号は制御部14に設けられたADコンバータ(A/D)143に入力されてデジタル画像データに変換される。CPU141は、受信した画像データに基づき適宜画像処理を実行する。制御部14はさらに、画像データを記憶保存するための画像メモリ144と、CPU141が実行すべきプログラムやCPU141により生成されるデータを記憶保存するためのメモリ145とを有しているが、これらは一体のものであってもよい。CPU141は、メモリ145に記憶された制御プログラムを実行することにより、後述する各種の演算処理を行う。
その他に、制御部14には、インターフェース(IF)部142が設けられている。インターフェース部142は、ユーザからの操作入力の受け付けや、ユーザへの処理結果等の情報提示を行うほか、通信回線を介して接続された外部装置との間でのデータ交換を行う。なお、制御部14は、上記したハードウェアを備えた専用装置であってもよく、またパーソナルコンピュータやワークステーション等の汎用処理装置に、後述する処理機能を実現するための制御プログラムを組み込んだものであってもよい。汎用処理装置を用いる場合、評価装置1には、撮像部13等の各部を動作させるために必要最小限の制御機能が備わっていれば足りる。
上記のように構成された評価装置1は、ウェルW内で培養されたスフェロイドの状態、より具体的にはスフェロイドのバイアビリティ(生存能力)を評価するために用いられる。例えば創薬スクリーニングの分野では、薬剤候補の化合物をがん細胞などの標的細胞に投与してその変化が観察される。特に近年では生体内での細胞の状態に近いスフェロイド(細胞集塊)を用いたスクリーニングが求められるようになってきており、本評価装置1はこのような用途に好適に利用することが可能である。
化合物が細胞に対しどのような薬効を示すかは、細胞を阻害するために必要な化合物の濃度、つまり阻害濃度(Inhibitory Concentration;IC)によって定量的に表すことができる。一般的には、化合物を投与された細胞の50%を阻害する濃度である半数阻害濃度(IC50)によって、当該化合物の薬効を表すことができる。この目的のために、化合物を投与された後の細胞の生存率を求める技術が必要となる。
二次元培養された細胞においては、生きている細胞は増殖して細胞コロニーを成長させる一方、死んだ細胞はコロニーを形成しない。したがって、化合物を作用させた細胞がコロニーを形成すればその細胞は生きていることを示す。従来から行われているスクリーニング手法である「コロニー形成法」は、この原理を利用し、コロニーの形成数を計測することで細胞生存率を見積もる技術である。
これに対して、既に多数の細胞が集まって立体的構造を形成したスフェロイドにおいては、薬効により細胞が死滅してもスフェロイドの数が増減するのではなく、細胞のスフェロイド形成能力の減退に起因してスフェロイドの崩壊が生じる。したがって、細胞生存率を求めるためには、スフェロイドの崩壊の度合いを定量的に評価する必要がある。
図2はスフェロイドの外観を模式的に示す図である。図2(a)に示されるスフェロイドSp1はバイアビリティの高い細胞によって構成された例であり、図に示すように、比較的淡い色彩の細胞C1によって球形に近い形状が形作られる。そのため、スフェロイドSp1を撮像した二次元画像では、スフェロイドSp1の輪郭が略円形である。このようなスフェロイドSp1は崩壊度が低いということができる。
一方、スフェロイドを構成する細胞の一部が死滅すると、図2(b)に示すスフェロイドSp2のように、衰弱または死滅した細胞C2の色が濃くなり、また細胞間の結合力が弱まってスフェロイドSp2の輪郭が不定形となってくる。このようなスフェロイドSp2は、スフェロイドSp1よりも崩壊度が高いということができる。さらに崩壊が進行すると、図2(c)に示すスフェロイドSp3のように、細胞が次第にスフェロイド表面から離脱し、離脱した細胞C3はスフェロイドSp3の周囲に堆積してゆく。このため、スフェロイドSp3の輪郭自体が不鮮明となる。このような状態のスフェロイドSp3の崩壊度は、スフェロイドSp2よりも高いということができる。
このように、スフェロイドの崩壊度は、スフェロイドの色合いおよび形状などの外見的変化を観察することによってある程度推定することが可能である。しかしながら、崩壊の現れ方は細胞種や投与する物質の種類などの試料作成条件により異なり、また同じ試料作成条件でもばらつきが生じる。そのため、崩壊度を適切に評価するためにはこれらの外見的変化を総合的に判断する必要がある。そのような判断基準はこれまで確立されておらず、現状では熟練した判定者による目視観察で主観的に崩壊度が判定されるに留まっている。このため、判定者にかかる負荷が大きく、また判定結果のばらつきが避けられない。
この評価装置1は、スフェロイドの画像から定量的に求められるスフェロイドの特徴量に基づいてスフェロイドの崩壊度を求めることによって、判定者の主観によるばらつきを排除して、定量的かつ安定的にスフェロイドの状態を評価することを目的とするものである。以下、この評価装置1を用いたスフェロイドの評価処理について説明する。
図3はこの実施形態におけるスフェロイドの評価処理を示すフローチャートである。この処理では、ウェルプレートWPのウェルW内で培養されたスフェロイドを撮像し、その画像から求められる特徴量に基づいて、スフェロイドの崩壊度を定量的に求める。この処理は、制御部14に設けられたCPU141が、予め設定された制御プログラムに基づいて装置各部を作動させることにより実行される。
この処理では、まずウェルプレートWPの各ウェルに評価対象となる細胞の播種が行われる(ステップS101)。具体的には、ウェルプレートWPの各ウェルWに適宜の培地が注入され、そこに細胞が播種される。ウェルプレートWPは例えば図示しないインキュベータユニット内で所定の培養条件下に保持され、各ウェルW内においてスフェロイドが培養される(ステップS102)。薬剤候補である化合物のスクリーニングを目的とする場合には、所定のタイミングで化合物が各ウェルWに添加される。こうして評価対象となるスフェロイドを含む試料が作成される。
作成された試料を担持するウェルプレートWPは、必要なタイミングで評価装置1のホルダ11に載置される(ステップS103)。そして、撮像部13により、各ウェルWに担持されるスフェロイドの撮像が行われる(ステップS104)。この実施形態では、ウェルWの上方から照明光を入射させ、ウェルW底面から透過する光を撮像部13が受光することで撮像が行われるが、撮像方法はこれに限定されるものではなく任意である。
こうしてウェルW内のスフェロイドが撮像されると、続いて、撮像された画像からスフェロイドに対応する領域の抽出が行われる(ステップS105)。スフェロイド領域の流出は、画像に含まれるスフェロイドとその周辺の背景領域との画像濃度差に基づいて行うことが可能である。すなわち、画像全体、またはそのうち背景部分と推定できる領域の平均画像濃度を求め、画像内の各画素のうち平均画像濃度との画像濃度との差分が所定の閾値以上である領域を、スフェロイドの領域とみなすことができる。スフェロイドの背景に相当する培地は一般的に無色またはスフェロイドを構成する細胞よりも薄い色合いを有しているので、このようにして比較的色の濃い領域を抽出することで、スフェロイドの領域を背景部分から分離して特定することが可能である。
なお、スフェロイドの輪郭部分を抽出するという必要性から、スフェロイドを撮像した画像は、その視野内にスフェロイドが完全に収まったものであることが望ましい。つまり、撮像画像はスフェロイドの全体とその周囲を取り巻く背景領域とを含むものであることが望ましい。
こうして特定された画像内のスフェロイド領域において、当該領域の光学濃度とそのばらつき(具体的には光学濃度の標準偏差)が求められる(ステップS106)。前記したように、衰弱した細胞は生細胞よりも濃い色合いに変化するので、スフェロイド領域内における光学濃度の高い領域の存在は、スフェロイドを構成する細胞の衰弱を表す。このような濃度変化は、スフェロイド領域の全体に現れることもあり、また局所的に現れることもある。そこで、スフェロイド領域の濃度を表す特徴量として、当該領域全体における光学濃度の平均値と、そのスフェロイド領域内でのばらつきを指標する標準偏差とが求められる。
スフェロイド全体の光学濃度(Optical Density)の平均値ODは、例えば、スフェロイド内部の各画素の輝度の平均値I1と、スフェロイドの周囲の背景領域内の各画素の輝度の平均値I2とから、次式:
OD=log10(I2/I1)
により求めることができる。また、光学濃度の標準偏差SD(Standard Deviation)については、例えば、スフェロイド領域のうち撮像原理上濃度のばらつきが不可避的に大きくなる周縁部を除いた領域(例えばスフェロイド領域の面積の50%に相当する面積を有するスフェロイド中央領域)内の各画素の輝度値分布における標準偏差の値として求めることができる。
さらに、画像におけるスフェロイドの輪郭形状を表す特徴量として、スフェロイド領域の輪郭の円形度および鮮明度がそれぞれ算出される(ステップS107、S108)。スフェロイドの円形度Crについては、例えば画像におけるスフェロイド領域の面積をS、その輪郭の周囲長をLとしたとき、次式:
Cr=4πS/L2
により求めることができる。
また、スフェロイドの輪郭が鮮明であればスフェロイド領域内の周縁部まで中央部と同等の濃度を有すると考えられるが、周縁部で濃度が低下していると輪郭が不鮮明となる。したがって、例えばスフェロイド全体とその周縁部とでの光学濃度の比の値によって鮮明度Shを表すことができる。具体的には、次式:
Sh=ODp/OD
により鮮明度Shを表すことができる。ここで、値ODpは、スフェロイド周縁部の光学濃度であり、スフェロイドの周縁領域、具体的には例えばスフェロイドの輪郭から一定範囲(例えば直径の10%に相当する幅)内のスフェロイド内部領域の輝度平均値I3と背景領域の輝度平均値I2とから、次式:
ODp=log10(I2/I3)
により表すことができる。
また、鮮明度Shを、以下のようにスフェロイドの輪郭のエッジ強度を用いて定義してもよい。スフェロイドが鮮明な輪郭を有していれば、その画像においてスフェロイドの内部と外部との境界である輪郭のエッジ強度が高くなると考えられる。このことから、輪郭のエッジ強度を適宜に正規化した値をもって鮮明度を表すことが可能である。例えば次のように、輪郭におけるエッジ強度に対応する画素値を有する画素を仮想的に設定し、当該画素の画素値が表す光学濃度の値を鮮明度の値として用いることができる。
まず、スフェロイドの輪郭を抽出する。具体的には、画像を構成する画素のうち、スフェロイドの輪郭部分に位置する画素(以下、「輪郭画素」という)を適宜の画像処理によって特定する。輪郭抽出のための画像処理としては種々の公知技術があり、ここでは詳しい説明を省略する。なお、輪郭画素はスフェロイドの内部と外部との境界に位置する画素であるが、当該輪郭画素自体はスフェロイドの内側に属するものとする。言い換えれば、画像におけるスフェロイドの輪郭部分に接しかつスフェロイド内部に含まれる画素が、輪郭画素として特定される。
続いて、こうして求められる輪郭画素についてエッジ強度を算出する。エッジ強度を求める処理としては種々のエッジ検出フィルタ処理を適用することができる。例えばSobelフィルタ、差分フィルタ、Prewittフィルタ、Robertsフィルタ、ラプラシアンフィルタ等の各種フィルタ処理を好適に適用することが可能である。ここではエッジ検出フィルタの例としてSobelフィルタ演算を適用した場合について説明する。
特定された各輪郭画素の輝度値に対して、(3×3)のSobelフィルタ演算を行う。画像の水平方向(x方向)および垂直方向(y方向)におけるSobelフィルタ演算の係数行列については、それぞれ次式により表すことができる。
Figure 2015192644
また、輪郭画素ごとに求めたx方向での演算結果をSx、y方向での演算結果をSyにより表すとき、当該輪郭画素のエッジ強度Seについては次式により表すことができる。
Figure 2015192644
このようにして求められた値Seは、他の画素に対する当該輪郭画素のエッジ強度を相対的に表す数値であり、計算の原理上、輝度値のスケールが4倍に強調されたものとなっている。したがって、エッジ強度Seの値を4で除することにより、画素の輝度値と同じスケールの数値範囲に正規化されたエッジ強度を得ることができる。1つのスフェロイドに属する輪郭画素各々のエッジ強度Seの平均値をSaとすると、値(Sa/4)は、1つのスフェロイドの輪郭が有する平均的な正規化エッジ強度を表し、これが当該スフェロイドの輪郭の鮮明さを指標する値となる。
ただし、スフェロイドの輪郭を取り巻く背景領域の濃度や照明条件のばらつき(シェーディング)の影響を排除する必要がある。そこで、輪郭画素を上記のようにして求められる正規化エッジ強度(Sa/4)を輝度値として有する画素に置き換えた仮想的な画像を考え、当該画像における輪郭画素の光学濃度を、当該スフェロイドの鮮明度Shとして定義する。すなわち次式:
Sh=log10{Is/(Is−Sa/4)}
により鮮明度Shを定義する。ここで、値Isはスフェロイドの背景領域の輝度平均値であり、前出の輝度平均値I2と同じものである。背景領域の輝度を加味した光学濃度の次元で示すことにより、スフェロイドの背景領域や照明ばらつきの影響を排して各スフェロイドの鮮明度Shを客観的に表し、異なるスフェロイド間でも比較可能な数値として表すことが可能となる。
本願発明者の知見によれば、このようにスフェロイド輪郭の鮮明度Shを定義した場合、画像において輪郭が明瞭に視認されるスフェロイドについては鮮明度Shが1に近い値となる一方、見た目の輪郭の不鮮明さが増すほど鮮明度Shが0に近づく値となることが確認された。すなわち、上記定義により、スフェロイド輪郭の鮮明さを、熟練した判定者の判定結果と高い相関性を有する優れた精度で、かつ定量的に表現することができる。
このようにして、撮像された画像におけるスフェロイド領域の外形的特徴を表す特徴量として、スフェロイド領域の光学濃度の標準偏差SDと光学濃度の平均値OD、スフェロイド輪郭の円形度Cr、およびスフェロイド輪郭の鮮明度Shがそれぞれ求められる。こうして求められた各数値から、スフェロイドの崩壊度が算出される(ステップS109)。その算出方法については後述する。
撮像および崩壊度の算出が済んだ試料については、引き続き培養を継続するか否かが判断される(ステップS110)。培養が必要であれば試料(具体的には試料を担持するウェルプレートWP)がインキュベータユニットに戻されて所定の培養環境で引き続き培養される(ステップS102)。継続して培養を行う必要がなければ、処理は終了される。
この評価装置1では、試料を照射した照明光の透過光が撮像部13により検出されて試料(スフェロイド)の光学像が撮像される。このような撮像方法では試料を非侵襲で撮像することができ、試料に与えるダメージが少ない。そのため、撮像に供された試料をさらに培養して、スフェロイドの形状の経時的変化を観察するという目的に供することが可能である。そのため、スフェロイドの変化を一定時間ごとに撮像するいわゆるタイムラプス撮像と、その結果に基づくスフェロイドの評価とが可能になっている。
次に、上記特徴量からスフェロイドの崩壊度を求める方法について説明する。スフェロイド崩壊度をどのように定量化するかについては未だ明確な定義はなく、熟練者の主観的判定に依存していることは前述した通りである。そこで、この実施形態では、上記のようにして求められる各特徴量(光学濃度の標準偏差SD、その平均値OD、円形度Crおよび鮮明度Sh)を独立変数として、熟練者の判定結果と高い相関を示すことのできる計算式(関数)を定義し、この計算式を用いて、任意のスフェロイドについてその崩壊度を算出する。
図4は崩壊度の計算式の概念を示す図である。スフェロイドの崩壊度Hについては、上記各特徴量(光学濃度の標準偏差SD、その平均値OD、円形度Crおよび鮮明度Sh)を独立変数とする関数F0を用いて、次式:
H=F0(SD,OD,Cr,Sh) … (式1)
と表すことができる。ただし、この実施形態では、各特徴量の値を一定の数値範囲にスケーリングした上で計算式に当てはめるようにしている。これは、各特徴量の数値範囲がまちまちであることに起因して計算が煩雑になったり誤差が増大したりすることを避けるためである。
具体的には、図4に示すように、スケーリングのための関数F1、F2、F3、F4と、スケーリング後の特徴量を独立変数とする関数F5とを導入して、次式:
H1=F5(F1(SD),F2(OD),F3(Cr),F4(Sh)) … (式2)
により、崩壊度を表すこととする。なお、詳しくは後述するが、(式2)右辺で与えられる値はスフェロイドの崩壊度を指標するものであるが、本実施形態において最終的に求めようとする崩壊度Hと同じものではない。その意味で、ここでは崩壊度を符号H1により表している。各特徴量のスケーリングについては、各細胞の活性が高く崩壊していないスフェロイドにおいて数値が1となり、崩壊の度合いが進むにつれて数値が大きくなるように、適宜に定めることができる。
光学濃度の標準偏差SDに対応するスケーリング関数F1については、例えば次のように定めることができる。まず、崩壊していない理想的なスフェロイドを仮定し、この仮想スフェロイドにおける光学濃度の標準偏差を考える。細胞の光学濃度は均一ではないからこの標準偏差は0より大きい有限の値を有するが、このような理想的なスフェロイドでは細胞間の光学濃度のばらつきが極めて小さい。したがってその標準偏差も小さな値となり、実際のスフェロイドでは、それより大きな値を取ると考えられる。その意味において、光学濃度の標準偏差SDは、この仮想スフェロイドにおいて最も小さくなると考えられる。そこで、この仮想スフェロイドの光学濃度の標準偏差を符号SDminにより表す。
実際のスフェロイドに適用するスケーリング関数F1については、スフェロイドが理想的な状態に近い、つまり光学濃度のばらつきが小さければ値が1に近づき、ばらつきが大きいほど大きな値となるような計算式とすればよい。例えば、パラメータi、pを用いて次式:
F1(SD)={i×(SD−SDmin)+1} … (式3)
により表すことができる。これにより、光学濃度のばらつきの観点から見たスフェロイドの崩壊度が数値化される。
次に、光学濃度の平均値ODに対応するスケーリング関数F2については、例えば、崩壊していないスフェロイドであって光学濃度が最も高いものの光学濃度を符号ODmaxにより表し、パラメータj、qを用いて次式:
F2(OD)={j×(OD/ODmax−1)+1} … (式4)
により表すことができる。ただし、光学濃度の平均値ODがODmax以下であるスフェロイドについては、一律にF2(OD)=1とする。
このような定義の意味するところは次の通りである。光学濃度の平均値ODがODmax以下である、つまり光学濃度が一定値よりも低いスフェロイドは、光学濃度の観点からは細胞の活性が高く崩壊していないものと見なして、スケーリング後の数値を1とする。光学濃度が上記一定値よりも高いスフェロイドは死滅した細胞が含まれる可能性が高く、光学濃度が高いほど値が大きくなる。これにより、光学濃度(平均値)の観点から見たスフェロイドの崩壊度が数値化される。
スフェロイドの円形度Crに対応するスケーリング関数F3については、円形度がある閾値m以上であるスフェロイドについては値1を返し、円形度が閾値mより小さいスフェロイドについては、パラメータk、rを用いて次式:
F3(Cr)={k×(m−Cr)+1) … (式5)
で表される関数を定義することができる。
スフェロイドの鮮明度Shに対応するスケーリング関数F4についても同様であり、鮮明度がある閾値n以上であるスフェロイドについては値1を返し、鮮明度が閾値nより小さいスフェロイドについては、パラメータl、sを用いて次式:
F4(Sh)={l×(n−Sh)+1) … (式6)
で表される関数を定義することができる。
上記のようにしてスケーリングされた特徴量から崩壊度を求める関数F5としては、例えば、スケーリングされた各特徴量を互いに掛け合わせる、あるいは適宜重みづけをして加算するものが考えられる。すなわち、次式:
F5={F1(SD)×F2(OD)×F3(Cr)×F4(Sh)} … (式7)
F5={a×F1(SD)+b×F2(OD)
+c×F3(Cr)+d×F4(Sh)} … (式8)
のいずれかを用いることができる。なお、指数tは、数値の上昇傾向を整えるために導入されるパラメータである。ここでは(式8)を用いることとするが、細胞種や培地の状態に応じて(式7)および(式8)を使い分けるようにしてもよい。
崩壊度Hを関数F0で表すに当たっては、上記したパラメータa、b、c、d、i、j、k、l、m、n、p、q、r、s、tを定める必要がある。これらを理論的かつ一義的に定める手法については未だ確立されていない。そこで、この実施形態では、スフェロイドの画像から上記原理で求めた崩壊度Hと、熟練者により判定される当該スフェロイドの崩壊度の判定結果とができるだけ高い相関を示すように、各パラメータが定められる。具体的には、例えば次のようにすることができる。
図5はスフェロイド崩壊度の計算式を特定する処理を示すフローチャートである。まず、崩壊の度合いが様々に異なる複数のスフェロイド画像を収集する(ステップS201)。計算式の精度を高めるためにはできるだけ多くの画像が収集されることが望ましい。この目的のために、例えば、複数ウェルWを有するウェルプレートWPの各ウェルWに同種の培地を注入して同一種の細胞を播種することで予めスフェロイドを培養し、これらを撮像した画像を用いることができる。1つのウェルWに1つずつ培養されたスフェロイドを撮像するようにしてもよく、また1つのウェルWに複数のスフェロイドが培養されてそれぞれが個別に撮像されてもよい。また、同じ細胞種、同じ培地について過去に撮像されたスフェロイドの画像が収集されてもよい。
そして、収集された画像のスフェロイドについて、熟練者の判定により崩壊度が付与される(ステップS202)。崩壊度については、例えば0,1,2,3の4段階とすることができ、崩壊していないと判断されるスフェロイドには崩壊度0が付与される一方、崩壊の度合いが進むほど大きな数値が付与される。なお、崩壊度の区分は4段階に限定されるものではなく任意である。
収集された画像から、各スフェロイドの特徴量、すなわち光学濃度の標準偏差SDおよび平均値OD、円形度Cr、鮮明度Shが求められる(ステップS203)。そして、算出された各特徴量SD、OD、Cr、Shを(式8)に代入することで求められる関数F5の値、すなわち崩壊度HがステップS202で付与された値とできるだけよく一致するように、上式における各パラメータを求めればよい。例えば、複数の画像のそれぞれについて求めた特徴量SD、OD、Cr、Shを原因系とし、付与された崩壊度を結果系とする回帰分析を実行することで(ステップS204)、上式における各パラメータを定めることが可能である。回帰分析については種々の手法が公知であり、本実施形態にもそれらの公知技術を適用することが可能であるため、説明を省略する。また、各種の機械学習技術に基づき計算式が特定されてもよい。
このようにして、崩壊度Hを表す計算式のパラメータa、b、c、d、i、j、k、l、m、n、p、q、r、s、tが定められると、崩壊度が判定されていないスフェロイドについても、当該スフェロイドの特徴量と計算式とに基づき、崩壊度を算出することが原理上は可能となる。ただし、この実施形態ではさらに以下のようにして計算式の調整を行う(ステップS205)。
計算により求められる崩壊度Hの数値を熟練者の判定結果と一致させるためには、崩壊度Hを0から3までの数値範囲で表す必要がある。しかしながら、評価対象物であるスフェロイドは比較的大きな個体ばらつきを有すること、および、ステップS202において判定者がスフェロイドに崩壊度を付与する際にも判定結果のばらつきが生じ得ることから、それらのばらつきを含んだ状態で求められた計算式の結果の数値範囲は必ずしも0から3までとはならないことがある。これを修正するための正規化が必要である。
図6は崩壊度の正規化の原理を示す図である。複数のスフェロイド画像について判定者が与えたスフェロイドの崩壊度をH0、回帰分析により特定された計算式(関数F5)から求められる当該スフェロイドの崩壊度をH1として、H0−H1空間にプロットする。そうすると、図6(a)に示すように、外形的特徴が種々に異なるスフェロイドについて同一の計算式で求められた崩壊度H1はある程度のばらつきを有する。この崩壊度H1を正規化して最終的な崩壊度Hを求めるに際して、原理的には、計算による崩壊度の最大値H1maxに崩壊度H=3を、最小値H1minに崩壊度H=0を対応付けて正規化すればよいことになる。
しかしながら、このように各スフェロイドについて計算されるH1の値には、画像ノイズや判定者の誤判定により異常な値となったものも含まれ得る。そこで、この実施形態では、図6(b)に示すように、複数のスフェロイドについて計算により求められた崩壊度H1のうち、値の大きなものから順に一定の範囲(例えば上位10%)に入るものを、全て次位の値H2maxに置き換える。崩壊度H1のうち、値の小さなものについても同様に、例えば下位10%の値を次位の値H2minに置き換える。つまり、置換後の崩壊度を符号H2で表すとすると、
・H1>H2maxのとき、H2=H2max
・H1<H2minのとき、H2=H2min
・H2min≦H1≦H2maxのとき、H2=H1
と場合分けして表すことができる。
そして、置換後の崩壊度の最大値H2maxに崩壊度H=3を、最小値H2minに崩壊度H=0を対応付ける。こうして正規化することで、全てのスフェロイドについて崩壊度Hを0から3までの数値範囲で表すことができ、しかも、値が突出したデータによって計算の精度が低下することも避けられる。
任意のスフェロイドについて崩壊度Hを計算するためには、当該スフェロイドについて特徴量SD、OD、Cr、Shを求め、それらの値と、パラメータが決定された関数F1〜F5とに基づき値H1を計算する。そして、計算値H1がH2maxを超える場合およびH2minに満たない場合には、それぞれH2maxおよびH2minに値が丸め、値H2を求める。
この値H2を、図6(b)の関係から得られる次式:
H=3×(H2−H2min)/(H2max−H2min) … (式9)
に代入することで、崩壊度Hが最終的に求められる。ここで右辺の定数3は、崩壊度Hを0から3までの値で表すための正規化係数である。この実施形態では判定者による崩壊度の判定が0から3までの4段階で行われることに対応して正規化係数が3となっている。
より一般的には、崩壊度がz段階で表されるとき、次式:
H=(z−1)×(H2−H2min)/(H2max−H2min) … (式10)
によって、崩壊度Hを0から(z−1)までの値として求めることができる。ここで、値H2は、スフェロイドの特徴量SD、OD、Cr、Shの値を前記(式1)から(式8)までに代入することで求まる値であり、(式10)の右辺は、特徴量SD、OD、Cr、Shを独立変数とする関数F0に他ならない。
上記理論展開から明らかなように、(式10)によれば、スフェロイドの光学濃度のばらつきが大きいほど崩壊度が大きな値となり、またスフェロイドの光学濃度の平均値が高いほど崩壊度は大きな値を示す。また、スフェロイド輪郭の円形度が低いほど崩壊度が大きな値となり、スフェロイド輪郭の鮮明度が低いほど、崩壊度としては大きな値を示す。
なお、細胞種により、また培地の状態により、スフェロイドの外見的特徴は異なっている。そのため、上記したスフェロイドの特徴量に基づく計算式の特定は、細胞種ごとに、また培地の状態ごとに行われる必要がある。こうして細胞種ごと、培地の状態ごとに特定された計算式は、同じ条件(細胞種および培地)で培養されたスフェロイドに対して適用することができ、スフェロイドの特徴量からその崩壊度を、判定者の主観によらず客観的に、かつ安定的に求めることができる。なお、異なる計算式を定義するに際しては、形式的には同じ計算式でパラメータのみを変更する方法と、計算式の形式自体を異ならせる方法とが考えられる。
以上説明したように、上記実施形態のスフェロイド評価装置1においては、ホルダ11が本発明の「保持部」として、また撮像部13が本発明の「撮像部」としてそれぞれ機能し、これらが一体的に本発明の「画像取得手段」として機能している。そして、CPU141が、本発明の「画像処理手段」および「崩壊度算出手段」としての機能を有している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記した計算式は、本発明の技術思想に適用可能な計算方法の一例を示したものであり、適用される計算式は上記に限定されるものではなく任意である。
また、上記実施形態では、崩壊度の高さが数値の大きさによって表され、スフェロイドの崩壊が進むほど崩壊度の数値が大きくなるように、崩壊度が定義されている。しかしながら、これとは逆に、崩壊が進むにつれて数値が小さくなるような指標により、崩壊度が表されてもよい。
また、上記実施形態では崩壊度が離散的な数値に限定されず、スフェロイドの状態に応じて連続的な値を取り得るように崩壊度が定義される。こうすることで、例えば離散的な崩壊度が同じスフェロイドであっても、より崩壊度の高いものと低いものとを定量的に区別することができるからである。しかしながら、判定者による判定と同様に、計算により求められる崩壊度が離散的な多段階の数値を取るように、計算式が定義されてもよい。これを可能とするためには、例えば計算により求められた崩壊度の数値を四捨五入したり、整数部分のみを結果とするように、計算式の調整が行われてもよい。
また、上記実施形態では、水平姿勢に保持されるウェルプレートWPの上方から照明光がウェルWに入射し、ウェルW底面に透過する光が撮像部13により受光されて撮像が行われる。しかしながら、本発明は撮像されたスフェロイドの画像の処理に特徴を有するものであり、画像の撮像原理は上記に限定されず任意のものであってよい。ただし、明視野撮像によるものが好ましい。
また例えば、上記実施形態では本発明の「画像取得手段」として撮像部13を用いているが、本発明にかかるスフェロイド評価装置は、それ自体が撮像機能を有することを必須とするものではない。すなわち、外部の撮像装置で撮像された、あるいは外部の記憶装置に記憶保存された画像データを受け入れて、画像処理のみを行う態様であってもよい。この場合には、外部から画像データを受け付けるインターフェース部142が本発明の「画像取得手段」として機能することになる。
この場合、撮像装置としては既に製品化されたものを利用することができるので、例えば汎用のパーソナルコンピュータに、本発明にかかる処理を実行するための制御プログラムを組み込んだものを撮像装置と組み合わせることで、本発明のスフェロイド評価装置を構成することができる。したがって、本発明は、上記実施形態のような完結した装置として実施可能である他、撮像装置と組み合わせたパーソナルコンピュータに組み込まれる制御プログラムとして提供されることも可能である。
また、上記実施形態では、熟練者の主観的判定結果と一致するような崩壊度の計算式を特定することを目的としたが、他の評価方法、例えばATPアッセイ、MTTアッセイ等による評価結果との間で高い相関性を示すような計算式を求めるようにしてもよい。
この発明は、培養されたスフェロイドの崩壊度を定量的に評価する目的に適用することができ、例えば、創薬スクリーニングを目的としてスフェロイドに作用させた化合物の薬効を定量的に評価する際に利用することができる。
1 スフェロイド評価装置
11 ホルダ(保持部)
13 撮像部(撮像部、画像取得手段)
141 CPU(画像処理手段、崩壊度算出手段)
142 インターフェース部
Sp1,Sp2,Sp3 スフェロイド
W ウェル
WP ウェルプレート(容器)

Claims (15)

  1. スフェロイドを撮像した画像から当該スフェロイドの崩壊度を評価するスフェロイドの評価方法において、
    前記スフェロイドおよびその周囲領域を含む前記画像のうち前記スフェロイドが占めるスフェロイド領域を特定する工程と、
    前記スフェロイド領域の画像濃度から、前記スフェロイドの光学濃度の平均値および該光学濃度の前記スフェロイド内でのばらつきを求める工程と、
    前記スフェロイド領域の輪郭から、前記スフェロイドの円形度を求める工程と、
    前記スフェロイドおよびその周囲領域の画像濃度から、前記スフェロイドの鮮明度を求める工程と、
    前記光学濃度の平均値およびばらつきと、円形度と、鮮明度とを所定の演算式に代入して前記スフェロイドの崩壊度を求める工程と
    を備えるスフェロイドの評価方法。
  2. 前記演算式は、
    崩壊度を指標する数値が付与されたスフェロイドの画像を複数収集し、
    収集された画像のそれぞれについて求めたスフェロイドの光学濃度の平均値およびばらつきと、円形度と、鮮明度とを原因系とし、当該画像の崩壊度の数値を結果系とする回帰分析を実行することにより求められる、請求項1に記載のスフェロイドの評価方法。
  3. 前記演算式による演算結果では、前記スフェロイドの光学濃度の平均値が高いほど崩壊度が高くなる請求項1または2に記載のスフェロイドの評価方法。
  4. 前記演算式による演算結果では、前記スフェロイドの光学濃度のばらつきが大きいほど崩壊度が高くなる請求項1ないし3のいずれかに記載のスフェロイドの評価方法。
  5. 前記演算式による演算結果では、前記スフェロイドの円形度が小さいほど崩壊度が高くなる請求項1ないし4のいずれかに記載のスフェロイドの評価方法。
  6. 前記演算式による演算結果では、前記スフェロイドの鮮明度が小さいほど崩壊度が高くなる請求項1ないし5のいずれかに記載のスフェロイドの評価方法。
  7. 前記スフェロイドの鮮明度は、前記スフェロイドの周縁部の光学濃度と前記スフェロイド全体の光学濃度との比の値として定義される請求項1ないし6のいずれかに記載のスフェロイドの評価方法。
  8. 前記スフェロイドの鮮明度は、前記スフェロイド領域の輪郭におけるエッジ強度に対応する画素値を有する画素の光学濃度として定義される請求項1ないし6のいずれかに記載のスフェロイドの評価方法。
  9. 前記スフェロイドの鮮明度は、前記スフェロイド領域の輪郭に対応する各画素について画素の輝度値に基づきエッジ検出フィルタ演算によりそれぞれ求めたエッジ強度の平均値をSa、前記スフェロイドの周囲領域の画素の輝度の平均値をIsとしたとき、次式:
    Sh=log10{Is/(Is−Sa/4)}
    の左辺Shとして定義される請求項8に記載のスフェロイドの評価方法。
  10. 前記スフェロイドを形成する細胞種に応じて前記演算式を異ならせる請求項1ないし9のいずれかに記載のスフェロイドの評価方法。
  11. スフェロイドを撮像した画像から当該スフェロイドの崩壊度を判定するスフェロイド評価装置において、
    前記スフェロイドおよびその周囲領域を含む画像を取得する画像取得手段と、
    前記画像のうち前記スフェロイドが占めるスフェロイド領域を特定し、前記スフェロイド領域の画像濃度から、前記スフェロイドの光学濃度の平均値および該光学濃度の前記スフェロイド内でのばらつきを求め、前記スフェロイド領域の輪郭から前記スフェロイドの円形度を求め、前記スフェロイドおよびその周囲領域の画像濃度から前記スフェロイドの鮮明度を求める画像処理手段と、
    前記光学濃度の平均値およびばらつきと、円形度と、鮮明度とに基づき前記スフェロイドの崩壊度を求める崩壊度算出手段と
    を備えるスフェロイド評価装置。
  12. 前記崩壊度算出手段は、前記スフェロイドとその崩壊度を指標する数値とが対応付けられた複数の画像それぞれについて、スフェロイドの光学濃度の平均値およびばらつきと、円形度と、鮮明度とを求めて原因系とし、当該画像の崩壊度の数値を結果系として回帰分析を実行し、その結果に基づき求めた演算式と、前記光学濃度の平均値およびばらつきと、円形度と、鮮明度とから、前記スフェロイドの崩壊度を求める請求項11に記載のスフェロイド評価装置。
  13. 前記画像取得手段は、前記スフェロイドを含む培地を担持する容器を保持する保持部と、前記保持部に保持された前記容器内の前記スフェロイドを撮像して前記画像を取得する撮像部とを有する請求項11または12に記載のスフェロイド評価装置。
  14. 前記撮像部は、前記スフェロイドを非侵襲で撮像する請求項13に記載のスフェロイド評価装置。
  15. 前記画像取得手段は、外部の撮像装置により撮像された、または外部の記憶装置に記憶された前記スフェロイドの画像データを受け入れる請求項11または12に記載のスフェロイド評価装置。
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