JP2015192048A - 基板処理装置および基板処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】処理液のミストやヒュームがチャンバ蓋部の内部空間に進入することを抑制する【解決手段】基板処理装置1は、蓋内部空間231を形成するチャンバ蓋部23と、本体内部空間221を形成するチャンバ本体22と、蓋内部空間231に配置される遮蔽板51と、遮蔽板51を回転する遮蔽板回転機構55と、遮蔽板51の上面511に膜形成液を供給する膜形成液供給部とを備える。チャンバ蓋部23は、蓋本体部233の下端部から径方向内方に拡がるとともに中央部に下部開口232が設けられた環状の蓋底面部234を備える。回転する遮蔽板51の上面511に供給された膜形成液が、遠心力により遮蔽板51の上面511から蓋底面部234の上面235へと流れることにより、遮蔽板51と蓋底面部234との間に環状の液膜95が形成される。これにより、処理液のミストやヒューム等が蓋内部空間231へと進入することを抑制することができる。【選択図】図8

Description

本発明は、基板を処理する技術に関する。
従来より、半導体基板(以下、単に「基板」という。)の製造工程では、基板処理装置を用いて基板に対して様々な処理が施される。例えば、表面上にレジストのパターンが形成された基板上に薬液を供給することにより、基板の表面に対してエッチング等の処理が行われる。また、エッチング処理の終了後、基板上に除去液を供給してレジストを除去したり、基板上に洗浄液を供給して基板を洗浄する処理も行われる。
基板の処理を酸素が存在する環境下(例えば、大気中)において行う場合、酸素が基板に対して悪影響を及ぼす場合がある。例えば、処理に用いる薬液中に酸素が溶け込み、当該薬液が基板の表面に接触することにより、基板の表面に悪影響が生じることがある。特に、表面に金属膜が形成された基板の処理では、当該金属膜が処理中に酸化するおそれがある。このような金属膜の酸化は、極力防止することが求められる。
基板の処理液による処理では、例えば、除去液である処理液に酸素が溶け込んで処理液の酸素濃度が高くなると、当該処理液により基板上の金属膜が酸化することがある。金属酸化物は当該処理液によりエッチングされるため、金属膜の膜減りが生じる。そこで、特許文献1の基板処理装置では、基板保持機構に保持された基板に対向する遮断部材が設けられる。遮断部材は、基板に対向する基板対向面と、基板対向面の周囲から基板保持機構に向かって突出する周壁部とを備える。特許文献1の基板処理装置では、遮断部材を設けることにより、基板表面の雰囲気を遮断部材の外部の雰囲気から遮断し、基板表面の雰囲気の酸素濃度の上昇を抑制することが図られる。
特許文献2では、ウエハを回転するスピンチャックと、スピンチャックの上方に設けられた遮断板と、スピンチャックを収容する処理カップと、ウエハに処理液を供給する処理液ノズルとを備えた基板処理装置が開示されている。処理カップの上方には、ウエハからの処理液が外部に飛散することを防止するスプラッシュガードが設けられる。特許文献2の基板処理装置では、回転する遮断板の上面に向けて洗浄液が吐出されることにより、洗浄液が遮断板の周縁から振り切られて飛散し、スプラッシュガードに付着している処理液が洗浄液で洗い流される。
特開2010−56218号公報 特開2003−45838号公報
ところで、特許文献1の基板処理装置では、遮断部の内部が外部と完全に隔離されていないため、基板上の雰囲気の酸素濃度低減に限界がある。また、遮断部の内部の酸素濃度を迅速に低減することにも限界がある。一方、チャンバ本体の内部に基板を搬入した後に、チャンバ本体の上部開口をチャンバ蓋部にて閉塞してチャンバ(処理室)を形成し、密閉されたチャンバ内に不活性ガス等を供給して低酸素状態とすることが考えられる。この場合、チャンバ内にて基板上に供給された処理液のミストやヒュームが、基板の上方を覆うチャンバ蓋部の内面に付着する可能性がある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、処理液のミストやヒュームがチャンバ蓋部の内部空間に進入することを抑制することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、基板を処理する基板処理装置であって、下部開口を有し、径方向の大きさが前記下部開口よりも大きい蓋内部空間を形成するチャンバ蓋部と、本体内部空間を形成するとともに、前記チャンバ蓋部と共にチャンバを形成するチャンバ本体と、前記本体内部空間において水平状態で基板を保持する基板保持部と、前記基板の上面に処理液を供給する処理液供給部と、前記蓋内部空間に配置されて前記基板の前記上面に対向し、前記下部開口を閉塞可能な遮蔽板と、前記上下方向を向く中心軸を中心として前記遮蔽板を回転する遮蔽板回転機構と、前記遮蔽板の上面に膜形成液を供給する膜形成液供給部とを備え、前記チャンバ蓋部が、上下を反転したカップ状の蓋本体部と、前記蓋本体部の下端部から径方向内方に拡がるとともに中央部に前記下部開口が設けられた環状の蓋底面部とを備え、前記チャンバ内において、前記遮蔽板が前記チャンバ蓋部の前記下部開口から上方に離間した状態で、回転する前記遮蔽板の前記上面に供給された膜形成液が、遠心力により前記遮蔽板の前記上面から前記蓋底面部の上面へと流れることにより、前記遮蔽板と前記蓋底面部との間に環状の液膜が形成される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記遮蔽板の下面の中央部に設けられたガス噴出口から前記遮蔽板の前記下面と前記基板の前記上面との間の空間にガスを供給するガス供給部をさらに備える。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の基板処理装置であって、前記処理液供給部が、処理液を吐出する吐出ヘッドと、水平方向に延びる部材であり、自由端部に前記吐出ヘッドが固定され、固定端部が前記蓋内部空間において前記チャンバ蓋部の前記蓋本体部に取り付けられるヘッド支持部とを備え、前記基板処理装置が、前記固定端部を中心として前記吐出ヘッドを前記ヘッド支持部と共に回転するヘッド回転機構をさらに備え、前記基板上に処理液が供給される際には、前記ヘッド回転機構により前記吐出ヘッドおよび前記ヘッド支持部が回転することにより、前記吐出ヘッドが前記遮蔽板と前記下部開口との間に配置され、前記吐出ヘッドから前記下部開口を介して前記基板の前記上面に処理液が吐出される。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記膜形成液供給部が、前記中心軸を中心として周状に配置されるとともに前記遮蔽板の前記上面に向けて膜形成液を吐出する複数の膜形成液吐出口を備える。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記遮蔽板の前記上面が、前記膜形成液供給部から供給される膜形成液に対して親液性を有する。
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記遮蔽板の前記上面が、前記径方向外方へと向かうに従って下方に向かう傾斜面である。
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記蓋底面部の前記上面が、前記径方向外方へと向かうに従って下方に向かい、前記チャンバ蓋部の前記蓋底面部と前記蓋本体部との接続部に、前記蓋内部空間内の膜形成液を排出する排出ポートが設けられる。
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記液膜の形成と並行して、前記遮蔽板よりも上方から前記蓋内部空間にガスが供給されて前記蓋内部空間に前記ガスが充填される。
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記チャンバが形成されるよりも前に、前記遮蔽板が前記チャンバ蓋部の前記下部開口に重ねられた状態で、前記遮蔽板よりも上方から前記蓋内部空間にガスが供給されて前記蓋内部空間に前記ガスが充填される。
請求項10に記載の発明は、下部開口を有し、径方向の大きさが前記下部開口よりも大きい蓋内部空間を形成するチャンバ蓋部と、本体内部空間を形成するとともに、前記チャンバ蓋部と共にチャンバを形成するチャンバ本体と、前記蓋内部空間に配置されて前記基板の上面に対向し、前記下部開口を閉塞可能な遮蔽板と、前記上下方向を向く中心軸を中心として前記遮蔽板を回転する遮蔽板回転機構とを備え、前記チャンバ蓋部が、前記中心軸を中心とする蓋本体部と、前記蓋本体部の下端部から径方向内方に拡がるとともに中央部に前記下部開口が設けられた環状の蓋底面部とを備える基板処理装置において、基板を処理する基板処理方法であって、a)前記チャンバ内において、前記チャンバ蓋部の前記下部開口から上方に離間した状態で回転する前記遮蔽板の前記上面に膜形成液を供給し、遠心力により前記遮蔽板の前記上面から前記蓋底面部の上面へと流れる前記膜形成液により、前記遮蔽板と前記蓋底面部との間に環状の液膜を形成する工程と、b)前記液膜が形成されている状態で、前記基板の上面に処理液を供給する工程とを備える。
本発明では、処理液のミストやヒュームがチャンバ蓋部の内部空間に進入することを抑制することができる。
基板処理装置の構成を示す断面図である。 基板処理装置を示す断面図である。 基板処理装置を示す断面図である。 チャンバ蓋部内におけるスキャンノズルを示す図である。 気液供給部および気液排出部を示すブロック図である。 基板の処理の流れを示す図である。 基板処理装置を示す断面図である。 基板処理装置を示す断面図である。 基板処理装置を示す断面図である。 基板処理装置の他の例を示す断面図である。
図1は、本発明の一の実施の形態に係る基板処理装置1の構成を示す断面図である。基板処理装置1は、略円板状の半導体基板9(以下、単に「基板9」という。)に処理液を供給して基板9を1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。図1では、基板処理装置1の一部の構成の断面には、平行斜線の付与を省略している(他の断面図においても同様)。
基板処理装置1は、チャンバ21と、基板保持部31と、基板回転機構35と、第1移動機構41と、第2移動機構42と、第3移動機構43と、遮蔽板51と、遮蔽板回転機構55と、ハウジング11とを備える。ハウジング11は、チャンバ21、基板保持部31、遮蔽板51等を収容する。
チャンバ21は、上下方向を向く中心軸J1を中心とする有蓋および有底の略円筒状である。チャンバ21は、チャンバ本体22と、チャンバ蓋部23とを備える。チャンバ本体22とチャンバ蓋部23とは上下方向に対向する。図1に示す状態では、チャンバ本体22とチャンバ蓋部23とは上下方向に離間している。チャンバ本体22は、中心軸J1を中心とする有底略円筒状であり、本体内部空間221を形成する。チャンバ蓋部23は、中心軸J1を中心とする有蓋略円筒状であり、蓋内部空間231を形成する。チャンバ本体22の外径とチャンバ蓋部23の外径とは、およそ等しい。
チャンバ本体22は、略円形の上部開口222を有する。チャンバ蓋部23は、略円形の下部開口232を有する。チャンバ本体22の上部開口222は、チャンバ蓋部23の下部開口232と上下方向に対向する。チャンバ本体22の上部開口222の直径と、チャンバ蓋部23の下部開口232の直径とは、およそ等しい。また、中心軸J1を中心とする径方向におけるチャンバ蓋部23の蓋内部空間231の大きさは、下部開口232の径方向の大きさ(すなわち、直径)よりも大きい。チャンバ本体22およびチャンバ蓋部23の構造の詳細については後述する。
基板保持部31は、中心軸J1を中心とする略円板状である。基板保持部31は、基板9の下方に配置され、水平状態で基板9の外縁部を保持する。図1に示す状態では、基板保持部31は、上下方向においてチャンバ本体22とチャンバ蓋部23との間に位置する。基板保持部31の直径は、基板9の直径よりも大きい。基板保持部31の直径は、チャンバ本体22の上部開口222の直径、および、チャンバ蓋部23の下部開口232の直径よりも小さい。チャンバ本体22の上部開口222およびチャンバ蓋部23の下部開口232は、基板9および基板保持部31と上下方向に対向する。基板回転機構35は、基板保持部31の下方に配置される。基板回転機構35は、中心軸J1を中心として基板9を基板保持部31と共に回転する。
遮蔽板51は、中心軸J1を中心とする略円板状である。遮蔽板51は、チャンバ蓋部23の内部空間である蓋内部空間231に配置される。遮蔽板51の径方向の大きさ(すなわち、直径)は、チャンバ蓋部23の下部開口232の直径よりも大きいことが好ましい。遮蔽板51は、チャンバ蓋部23の下部開口232を閉塞可能である。遮蔽板51は、基板保持部31に保持される基板9の上面91と下部開口232を介して上下方向に対向する。
遮蔽板回転機構55は、遮蔽板51の上方に配置される。遮蔽板回転機構55は、例えば、中空軸モータである。遮蔽板回転機構55により、遮蔽板51が、チャンバ蓋部23の蓋内部空間231において中心軸J1を中心として回転する。遮蔽板回転機構55による遮蔽板51の回転は、基板回転機構35による基板9の回転とは独立して行われる。
遮蔽板回転機構55の回転軸551は、ハウジング11の上部に設けられた貫通孔、および、チャンバ蓋部23の上部に設けられた貫通孔を介して、遮蔽板51に接続される。ハウジング11の当該貫通孔の周囲の部位と、チャンバ蓋部23の当該貫通孔の周囲の部位とは、上下方向に伸縮可能な略円筒状の伸縮部材111(例えば、ベローズ)により接続される。また、回転軸551には略円板状のフランジ部553が設けられており、フランジ部553の外周部と、ハウジング11の上記貫通孔の周囲の部位とが、上下方向に伸縮可能な略円筒状の伸縮部材552(例えば、ベローズ)により接続される。基板処理装置1では、フランジ部553および伸縮部材552により、ハウジング11内の空間と、ハウジング11外の空間とが隔離される。また、伸縮部材111により、チャンバ蓋部23内の空間と、ハウジング11内かつチャンバ蓋部23外の空間とが隔離される。
第1移動機構41は、例えば、ハウジング11の上側に配置される。第1移動機構41は、遮蔽板回転機構55と共に遮蔽板51を上下方向に移動する。遮蔽板51は、第1移動機構41により、チャンバ蓋部23の蓋内部空間231において上下方向に移動する。上述のように、遮蔽板51はチャンバ蓋部23の下部開口232よりも大きいため、遮蔽板51が下部開口232を介してチャンバ蓋部23の外部(後述の蓋底面部234の下方)へと移動することはない。第1移動機構41は、例えば、モータとボールねじとを備える(第2移動機構42および第3移動機構43においても同様)。
チャンバ蓋部23は、蓋本体部233と、蓋底面部234とを備える。蓋本体部233は、中心軸J1を中心とする有蓋略円筒状である。換言すれば、蓋本体部233は、上下を反転したカップ状である。既述のように、蓋本体部233の中央部における貫通孔、すなわち、チャンバ蓋部23の上部における貫通孔は、伸縮部材111,552、ハウジング11の上部の一部、および、フランジ部553により閉塞される。当該貫通孔を閉塞するこれらの部材は、蓋本体部233の一部と捉えられてよい。また、伸縮部材111,552により形成される筒状の空間は、蓋内部空間231の一部である。
蓋底面部234は、中心軸J1を中心とする略円環板状であり、中央部に上述の下部開口232が設けられる。蓋底面部234は、蓋本体部233の下端部から径方向内方に拡がる。蓋底面部234の上面235および下面236は、径方向外方へと向かうに従って下方に向かう傾斜面である。チャンバ蓋部23の蓋底面部234と蓋本体部233との接続部には、蓋部排出ポート237が設けられる。蓋部排出ポート237を介して、蓋内部空間231内の液体およびガスが排出される。
図1に示す状態では、遮蔽板51は、チャンバ蓋部23の下部開口232に重ねられる。このとき、遮蔽板51の下面512は、下部開口232の周囲の全周に亘って蓋底面部234の上面235に接する。具体的には、遮蔽板51の下面512の外周部が、蓋底面部234の上面235のうち下部開口232近傍の部位に全周に亘って接する。これにより、チャンバ蓋部23の下部開口232が遮蔽板51により閉塞され、下部開口232の上方の蓋内部空間231が閉空間となる。なお、本実施の形態においては、遮蔽板51と蓋底面部234との接触部は完全な気密構造ではないため、蓋内部空間231は外部の空間から完全には遮断されていないが、当該接触部がシール部材等を備えた気密構造とされ、蓋内部空間231が外部の空間から隔離された密閉空間とされてもよい。
第2移動機構42は、チャンバ本体22の側方に配置され、チャンバ蓋部23を上下方向に移動する。具体的には、チャンバ蓋部23は、図1に示す「上位置」と図2に示す「下位置」との間を第2移動機構42により移動する。チャンバ蓋部23が上位置に配置された状態では、下部開口232が基板保持部31上の基板9よりも上方に位置し、チャンバ蓋部23が下位置に配置された状態では、下部開口232が基板保持部31上の基板9よりも下方に位置する。チャンバ蓋部23が上位置から、上位置よりも下方の下位置へと移動する際には、第1移動機構41により遮蔽板51も上下方向に移動する。実際には、遮蔽板51のチャンバ蓋部23に対する上下方向の相対位置が変更される。このように、第1移動機構41および第2移動機構42は、遮蔽板51を、チャンバ蓋部23の蓋内部空間231においてチャンバ蓋部23に対して相対的に上下方向に移動する遮蔽板移動機構である。
図1に示すように、チャンバ本体22は、外筒部223と、外筒接続部224と、カップ部225と、本体底部226とを備える。カップ部225は、中心軸J1を中心とする略円筒状である。カップ部225は、チャンバ蓋部23の下方にて基板回転機構35の径方向外側に全周に亘って位置する。カップ部225は、中心軸J1を中心とする略円筒状のカップ側壁部227aと、カップ側壁部227aの上端から径方向内方へと拡がる略円環板状のカップ天蓋部227bとを備える。
外筒部223は、中心軸J1を中心とする略円筒状である。外筒部223は、カップ部225の径方向外側に全周に亘って位置する。外筒部223は、例えば、それぞれが周状の複数の山折り線とそれぞれが周状の複数の谷折り線とが上下方向に交互に並ぶベローズである。外筒部223、カップ部225および基板保持部31の下方には、有底略円筒状の本体底部226が配置される。外筒部223の下端部は、本体底部226の側壁部の上端部に全周に亘って接続される。本体底部226の底面部には、本体排出ポート226aが設けられる。本体排出ポート226aは、チャンバ本体22の内部空間である本体内部空間221において、基板9、基板保持部31およびカップ部225の下方に配置される。本体排出ポート226aを介して、チャンバ本体22内の液体およびガスが、チャンバ本体22外(すなわち、チャンバ21外)へと排出される。本体底部226では、周方向に配列される複数の本体排出ポート226aが設けられてもよい。
外筒接続部224は、中心軸J1を中心とする略円環板状である。外筒接続部224は、外筒部223の上端部とカップ部225の外縁部とを接続する。具体的には、外筒接続部224は、外筒部223の上端部と、カップ天蓋部227bの外縁部とを接続する。外筒接続部224により、外筒部223の上端部とカップ部225との間の間隙が閉塞される。
第3移動機構43は、チャンバ本体22の側方に配置され、チャンバ本体22の一部を上下方向に移動する。具体的には、第3移動機構43によりチャンバ本体22のカップ部225が、図1および図2に示す「下位置」と図3に示す「上位置」との間を移動する。カップ部225が下位置に配置された状態では、上部開口222が基板保持部31上の基板9よりも下方に位置し、カップ部225が上位置に配置された状態では、上部開口222が基板保持部31上の基板9よりも上方に位置する。カップ部225が上下方向に移動する際には、外筒部223が上下方向に伸縮する。なお、基板処理装置1では、チャンバ本体22の本体底部226および基板保持部31は上下方向には移動しない。
図2に示すように、チャンバ蓋部23が下位置に位置し、チャンバ本体22のカップ部225も下位置に位置する状態では、チャンバ本体22の上部開口222にチャンバ蓋部23の下部開口232を対向させつつ、当該上部開口222がチャンバ蓋部23により覆われる。これにより、内部に密閉空間(すなわち、蓋内部空間231および本体内部空間221を含む空間であり、以下、「チャンバ空間」という。)を有するチャンバ21が、チャンバ蓋部23およびチャンバ本体22により形成される。詳細には、チャンバ蓋部23における蓋本体部233と蓋底面部234との接続部が、チャンバ本体22の外筒部223と、外筒接続部224を介して全周に亘って接することによりチャンバ21が形成される。
また、図3に示すように、チャンバ本体22のカップ部225が上位置に位置し、チャンバ蓋部23も上位置に位置する状態でも同様に、チャンバ本体22の上部開口222にチャンバ蓋部23の下部開口232が近接して、チャンバ蓋部23が上部開口222を覆う。これにより、チャンバ本体22がチャンバ蓋部23と共にチャンバ21を形成する。図2および図3に示すように、チャンバ21の内部(すなわち、チャンバ空間)には、基板9および基板保持部31が収容される。一方、図1に示すように、チャンバ蓋部23が上位置に位置し、チャンバ本体22のカップ部225が下位置に位置する状態では、チャンバ蓋部23の下部開口232が上部開口222から上方に離間する。したがって、基板保持部31上の基板9の周囲において、チャンバ蓋部23の蓋底面部234と、カップ部225のカップ天蓋部227bとの間に環状の間隙が形成され、チャンバ21が開放される(すなわち、上部開口222が実質的に開放される。)。以上のように、第2移動機構42および第3移動機構43は、チャンバ蓋部23をチャンバ本体22に対して上下方向に相対的に移動し、チャンバ本体22の上部開口222をチャンバ蓋部23により覆うことによりチャンバ21を形成するチャンバ開閉機構である。
図4は、チャンバ蓋部23の内部を示す図であり、中心軸J1に垂直なチャンバ蓋部23の断面を示す。図4では、遮蔽板51を二点鎖線にて示している。図3および図4に示すように、チャンバ蓋部23には、吐出部であるスキャンノズル186が取り付けられる。スキャンノズル186は、蓋内部空間231に配置され、基板9の上面91に向けて処理液を吐出する。スキャンノズル186は、吐出ヘッド861と、ヘッド支持部862とを備える。吐出ヘッド861は、下方に向けて処理液を吐出する。ヘッド支持部862は、吐出ヘッド861を支持する略水平方向に延びる部材である。ヘッド支持部862は、平面視において(図4参照)、径方向外側に凸となるように湾曲している。換言すれば、スキャンノズル186は略円弧状であり、蓋内部空間231では、スキャンノズル186は、ヘッド支持部862が蓋本体部233の側壁部に沿うように配置される。ヘッド支持部862の一方の端部(すなわち、固定端部)は、蓋内部空間231においてチャンバ蓋部23の蓋本体部233の天蓋部238(図3参照)に取り付けられる。ヘッド支持部862の他方の端部(すなわち、自由端部)には吐出ヘッド861が固定される。
チャンバ蓋部23の天蓋部238の上面には、ヘッド回転機構863が設けられる。ヘッド回転機構863は、ヘッド支持部862の固定端部を中心として、吐出ヘッド861をヘッド支持部862と共に略水平に回転する。ヘッド回転機構863により、吐出ヘッド861が下部開口232の上方の吐出位置(図4中の二点鎖線にて示すスキャンノズル186参照)と、蓋内部空間231において下部開口232に対して径方向に離れた待機位置(図4中の実線にて示すスキャンノズル186参照)とに選択的に配置される。換言すると、ヘッド回転機構863は、吐出ヘッド861が基板9の上面91に対向する吐出位置と、スキャンノズル186の全体が蓋底面部234の上方に位置する待機位置(カップ天蓋部227bの上方の位置でもある。)とにスキャンノズル186を配置可能である。このように、ヘッド回転機構863は、吐出部であるスキャンノズル186を蓋内部空間231において移動する吐出部移動機構である。待機位置に配置されたスキャンノズル186が、上下方向に移動する遮蔽板51と接触することはない。なお、吐出部移動機構は、吐出ヘッド861およびヘッド支持部862を上下方向に移動するヘッド昇降機構を含んでいてもよい。
図1に示すように、遮蔽板回転機構55の回転軸551内には、上部中央ノズル181が設けられる。上部中央ノズル181の下端の中央部には、基板9の上面91に向けて処理液を吐出する処理液吐出口が設けられる。後述の純水供給部814(図5参照)から送出される純水は、処理液吐出口から吐出される。また、上部中央ノズル181の下端において、処理液吐出口の周囲には、略環状のガス噴出口が設けられる。後述の不活性ガス供給部816から送出される不活性ガスは、ガス噴出口から遮蔽板51の下方の空間(すなわち、遮蔽板51の下面512と基板9の上面91との間の空間)に向けて供給される。上部中央ノズル181の下端は、上下方向において、遮蔽板51の下面512とおよそ同じ位置に配置される。すなわち、上部中央ノズル181の処理液吐出口およびガス噴出口は、遮蔽板51の下面512の中央部に設けられている。
基板保持部31の中央には、下部ノズル180が取り付けられる。下部ノズル180は、基板9を挟んで、上部中央ノズル181と対向する。下部ノズル180の上端部は基板9の下面92から僅かに離間する。チャンバ蓋部23の蓋本体部233の天蓋部238には、複数の外側蓋ノズル182および複数の内側蓋ノズル189が設けられる。複数の外側蓋ノズル182および複数の内側蓋ノズル189は、遮蔽板51の上方に位置し、上下方向において遮蔽板51の上面511に対向する。複数の外側蓋ノズル182は、中心軸J1を中心として周状に配置される。複数の内側蓋ノズル189は、複数の外側蓋ノズル182よりも径方向内側(中心軸J1側)にて、中心軸J1を中心として周状に配置される。各内側蓋ノズル189の下端には、後述する膜形成液を吐出擦る膜形成液吐出口が設けられる。複数の膜形成液吐出口は、遮蔽板51の上方において、中心軸J1を中心として周状に配置される。
図5は、基板処理装置1が備える気液供給部18および気液排出部19を示すブロック図である。気液供給部18は、処理液供給部811と、ガス供給部812と、膜形成液供給部810とを備える。処理液供給部811は、スキャンノズル186と、上部中央ノズル181と、下部ノズル180と、薬液供給部813と、純水供給部814とを備える。薬液供給部813は、弁を介してスキャンノズル186に接続される。純水供給部814は、弁を介して上部中央ノズル181に接続される。純水供給部814は、また、弁を介して下部ノズル180にも接続される。
ガス供給部812は、上部中央ノズル181と、複数の外側蓋ノズル182と、不活性ガス供給部816とを備える。不活性ガス供給部816は、弁を介して上部中央ノズル181に接続される。不活性ガス供給部816は、また、弁を介して複数の外側蓋ノズル182にも接続される。膜形成液供給部810は、複数の内側蓋ノズル189と、純水供給部814とを備える。純水供給部814は、弁を介して複数の内側蓋ノズル189に接続される。
気液供給部18では、上部中央ノズル181が、処理液供給部811およびガス供給部812により共有される。また、純水供給部814が、処理液供給部811および膜形成液供給部810により共有される。処理液供給部811、ガス供給部812および膜形成液供給部810は、互いに独立した構成要素により構成されてもよい。また、チャンバ21に設けられるノズルの配置は、適宜変更されてよい。
気液排出部19は、本体排出ポート226aと、蓋部排出ポート237と、気液分離部193と、本体排気部194と、薬液回収部195aと、排液部196と、気液分離部197と、蓋排気部198と、薬液回収部195bと、排液部199とを備える。チャンバ本体22に設けられる本体排出ポート226aは、気液分離部193に接続される。気液分離部193は、本体排気部194、薬液回収部195aおよび排液部196にそれぞれ弁を介して接続される。チャンバ蓋部23に設けられる蓋部排出ポート237は、気液分離部197に接続される。気液分離部197は、蓋排気部198、薬液回収部195bおよび排液部199にそれぞれ弁を介して接続される。気液供給部18および気液排出部19の各構成は、制御部10により制御される。第1移動機構41、第2移動機構42、第3移動機構43、基板回転機構35および遮蔽板回転機構55(図1参照)も制御部10により制御される。
薬液供給部813からスキャンノズル186を介して基板9上に供給される薬液は、例えば、ポリマー除去液、あるいは、フッ酸や水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液等のエッチング液である。純水供給部814は、上部中央ノズル181および下部ノズル180を介して基板9に純水(DIW:deionized water)を供給する。処理液供給部811は、上記薬液および純水以外の処理液(例えば、イソプロピルアルコール(IPA)等の溶剤、あるいは、他の酸やアルカリ溶液、除去液等)を供給する他の供給部を備えていてもよい。
後述するように、純水供給部814から複数の内側蓋ノズル189を介して遮蔽板51の上面511に供給される純水は、蓋内部空間231において液膜を形成する膜形成液でもある。膜形成液供給部810は、純水以外の膜形成液を供給する他の供給部を備えていてもよい。不活性ガス供給部816から供給されるガスは、例えば、窒素(N)ガスである。ガス供給部812は、窒素ガス以外の不活性ガス、または、不活性ガス以外のガスを供給する他の供給部を備えていてもよい。
次に、図6を参照しつつ基板処理装置1による基板9の処理の流れについて説明する。基板処理装置1では、まず、図1に示すように、チャンバ蓋部23が上位置に位置し、チャンバ本体22のカップ部225が下位置に位置する。換言すれば、チャンバ21が開放された状態となる。また、遮蔽板51の下面512が蓋底面部234の上面235に接するように、遮蔽板51がチャンバ蓋部23の下部開口232に平面視において重ねられる。これにより、下部開口232が閉塞されて蓋内部空間231が閉空間となる。さらに、基板処理装置1では、ガス供給部812(図5参照)の複数の外側蓋ノズル182から蓋内部空間231に窒素ガスが供給されるとともに、蓋内部空間231内のガスが蓋部排出ポート237からチャンバ蓋部23の外部へと排出される。したがって、蓋内部空間231に窒素ガスが充填される(ステップS11)。基板処理装置1では、原則として、蓋内部空間231への窒素ガスの供給、および、蓋内部空間231内のガスの排出が常時行われる。
なお、ステップS11では、必ずしも、チャンバ蓋部23の下部開口232が遮蔽板51により気密に密閉されている必要はなく、遮蔽板51が下部開口232に重なっている状態であれば、遮蔽板51と蓋底面部234との間に若干の間隙が存在するような閉塞の形態であってもよい。このような閉塞の形態であっても、ガス供給部812から蓋内部空間231への窒素ガスの供給量が制御され、蓋内部空間231への窒素ガスの流入量と、当該間隙および蓋部排出ポート237からのガスの流出量とをおよそ等しくすることにより、蓋内部空間231に窒素ガスが充填される。そして、当該窒素ガスの流入量等を適切に制御することにより、蓋内部空間231内の酸素濃度をプロセス上必要な程度まで低減した低酸素状態とすることができる。なお、図1では、基板9を図示しているが、ステップS11は、基板9が基板処理装置1に搬入されるよりも前に行われる。
続いて、上述のようにチャンバ蓋部23がチャンバ本体22から離間した状態で、基板9が、ハウジング11に設けられた搬出入口(図示省略)から外部の搬送機構によりハウジング11内に搬入される。基板9は、蓋底面部234の下面236とカップ天蓋部227bの上面との間の間隙を通過して遮蔽板51の下方へと移動し、基板保持部31により保持される(ステップS12)。ステップS12では、基板9がチャンバ本体22の上部開口222よりも上方にて基板保持部31により保持される。
基板9が基板保持部31に保持されると、第2移動機構42が駆動することによりチャンバ蓋部23が下降し、チャンバ蓋部23が、図1に示す上位置から図2に示す下位置に移動する。換言すれば、チャンバ蓋部23がチャンバ本体22に対して上下方向に相対的に移動する。そして、チャンバ本体22の上部開口222がチャンバ蓋部23により覆われることにより、チャンバ21が閉塞される(ステップS13)。すなわち、基板9および基板保持部31を内部に収容するチャンバ21が形成される。このとき、第1移動機構41が駆動することにより、遮蔽板51がチャンバ蓋部23に対して相対的に上昇し、チャンバ21内において、遮蔽板51がチャンバ蓋部23の下部開口232から上方に離間する。
上述のように、チャンバ蓋部23が上位置から下位置へと移動することにより、基板保持部31に保持された基板9は、チャンバ蓋部23の下部開口232を通過して蓋内部空間231へと移動する。換言すれば、ステップS13においてチャンバ21が形成された状態で、基板9はチャンバ空間のうち蓋内部空間231に位置する。蓋内部空間231には、上述のように、チャンバ21が形成されるよりも前に窒素ガスが充填されているため、基板9を蓋内部空間231へと移動することにより、基板9の周囲を迅速に窒素ガス雰囲気(すなわち、低酸素雰囲気)とすることができる。蓋内部空間231では、基板9の上面91と遮蔽板51の下面512とは上下方向に対向して近接する。
図2に示す状態では、遮蔽板51よりも上方に位置する複数の外側蓋ノズル182から蓋内部空間231に窒素ガスが供給されることにより、蓋内部空間231の気圧が本体内部空間221の気圧よりも高くなる。換言すれば、蓋内部空間231が陽圧状態とされる。このため、蓋内部空間231の窒素ガスが、遮蔽板51とチャンバ蓋部23の蓋底面部234との間の間隙から、下部開口232および上部開口222を介して本体内部空間221へと流出する(すなわち、蓋内部空間231から本体内部空間221へと送出される。)。また、本体内部空間221内のガスは、本体排出ポート226aからチャンバ21の外部へと排出される。これにより、チャンバ21の形成から所定時間経過後に、本体内部空間221にもガス供給部812からの窒素ガスが充填される。換言すれば、ガス供給部812によりチャンバ21内に窒素ガスが供給されて充填される(ステップS14)。以下、ステップS14の処理を、「ガス置換処理」という。
ステップS14におけるガス置換処理では、複数の外側蓋ノズル182に加えて、上部中央ノズル181もチャンバ21内への窒素ガスの供給に利用される。すなわち、ガス供給部812からの窒素ガスは、上部中央ノズル181のガス噴出口を介して、遮蔽板51の下面512と基板9の上面91との間の空間にも供給される。これにより、遮蔽板51と基板9との間の空間の雰囲気を、迅速に窒素ガス雰囲気に置換することができる。なお、ステップS11〜S13の間のいずれのステップにおいても、必要に応じて第2ガス噴出口185から窒素ガスを供給してもよい。特に、ステップS13において第2ガス噴出口185から窒素ガスを供給することにより、ステップS14のガス置換処理をさらに効率良く行うことができる。
次に、第2移動機構42および第3移動機構43が駆動することにより、チャンバ蓋部23およびチャンバ本体22のカップ部225が上昇し、チャンバ蓋部23およびカップ部225はそれぞれ、図2に示す下位置から図7に示す上位置へと移動する。換言すると、第2移動機構42および第3移動機構43により、基板9が基板保持部31と共にチャンバ21に対して相対的に下降する。第2移動機構42および第3移動機構43は、基板9を基板保持部31と共にチャンバ21に対して上下方向に相対的に移動する基板移動機構である。このとき、第1移動機構41が駆動することにより、遮蔽板51のチャンバ蓋部23に対する相対位置は変更されない。すなわち、第1移動機構41により、遮蔽板51がチャンバ蓋部23の下部開口232から上方に離間した状態が維持される。
上述のように、チャンバ21が下位置から上位置へと移動することにより、チャンバ21内において、基板9および基板保持部31が蓋内部空間231から下部開口232および上部開口222を介して本体内部空間221へと移動する(ステップS15)。これにより、カップ部225が、チャンバ蓋部23の下方にて基板9および基板保持部31の径方向外側に全周に亘って位置する。
基板9および基板保持部31が本体内部空間221に位置すると、基板回転機構35による基板9の回転が開始される。また、下部開口232の径方向外側の待機位置に配置されたスキャンノズル186へと、薬液供給部813(図5参照)から所定量の薬液が供給される。これにより、待機位置に配置された状態における吐出ヘッド861(図4参照)からの薬液の吐出、すなわち、プリディスペンスが行われる(ステップS16)。吐出ヘッド861から吐出された薬液は、蓋底面部234の上面235にて受けられ、蓋部排出ポート237へと導かれる。蓋部排出ポート237を通過した薬液は、図5に示す気液分離部197に流入する。薬液回収部195bでは、気液分離部197から薬液が回収され、フィルタ等を介して薬液から不純物等が除去された後、再利用される。
プリディスペンスが終了すると、図7に示すヘッド回転機構863によりスキャンノズル186の吐出ヘッド861およびヘッド支持部862が回転する。これにより、図8に示すように、吐出ヘッド861が遮蔽板51の下面512と蓋底面部234の上面235との間を通過して、遮蔽板51と下部開口232との間、すなわち、基板9の上方の吐出位置に配置される。さらに、ヘッド回転機構863が制御部10に制御され、基板9の上方における吐出ヘッド861の往復移動が開始される。吐出ヘッド861は、基板9の中心部と外縁部とを結ぶ所定の移動経路に沿って水平方向に継続的に往復移動する。
続いて、遮蔽板回転機構55による遮蔽板51の回転が開始される。また、膜形成液供給部810(図5参照)において、純水供給部814から複数の内側蓋ノズル189へと膜形成液である純水が供給され、複数の膜形成液吐出口から、遮蔽板51の上面511に向けて膜形成液が吐出される。チャンバ21内において、回転する遮蔽板51の上面511に供給された膜形成液は、遠心力により遮蔽板51の上面511上に拡がる。遮蔽板51の上面511は、膜形成液に対して親液性を有する。本実施の形態では、遮蔽板51の上面511は親水性を有する。このため、膜形成液は、遮蔽板51の上面511上において略均一に拡がる。
遮蔽板51の上面511上に拡がった膜形成液は、遠心力により遮蔽板51の上面511から蓋底面部234の上面235へと流れる。膜形成液は、遮蔽板51の上面511の外縁から、全周に亘って径方向外方へと流れ、これにより、遮蔽板51と蓋底面部234との間に環状の液膜95が形成される(ステップS17)。図8では、液膜95を太破線にて描く(図9および図10においても同様)。図8に示すように、スキャンノズル186のヘッド支持部862は、液膜95を貫通している。蓋底面部234の上面235にて受けられた液膜95を形成する純水(すなわち、膜形成液)は、蓋部排出ポート237へと導かれる。蓋部排出ポート237を通過した膜形成液は、図5に示す気液分離部197および排液部199を介して廃棄される。
チャンバ蓋部23では、上述のように、蓋底面部234の上面235が、径方向外方へと向かうに従って下方に向かう傾斜面である。このため、上面235上の膜形成液が、中央の下部開口232に向かって移動することが防止される。また、上面235上の膜形成液が速やかに径方向外方へと移動するため、蓋内部空間231からの膜形成液の速やかな排出を実現することができる。
ステップS17における液膜95の形成は、スキャンノズル186が待機位置に位置する状態で行われてもよく、スキャンノズル186の待機位置から吐出位置への移動と並行して行われてもよい。また、プリディスペンス時の薬液を再利用する必要がない場合等、上記液膜95の形成は、ステップS15とステップS16との間に行われてもよい。
基板処理装置1では、ステップS17における液膜95の形成と並行して、複数の外側蓋ノズル182から蓋内部空間231に窒素ガスが供給されて蓋内部空間231に窒素ガスが充填される。複数の外側蓋ノズル182からの窒素ガスの供給は、液膜95を乱さない程度の比較的小さい流量にて行われる。
蓋内部空間231に液膜95が形成されると、薬液供給部813から吐出ヘッド861へと薬液が供給され、蓋内部空間231内において水平方向に揺動する吐出ヘッド861から、下部開口232を介して、本体内部空間221内の基板9の上面91に薬液が吐出される(ステップS18)。基板9への薬液の供給は、液膜95が形成された状態で行われる。
吐出ヘッド861からの薬液は、回転する基板9の上面91に連続的に供給される。薬液は、遠心力により上面91上を径方向外方へと拡がり、上面91全体が薬液により被覆される。水平方向に揺動する吐出ヘッド861から回転中の基板9へと薬液が供給されることにより、基板9の上面91に薬液をおよそ均一に供給することができる。また、基板9上の薬液の温度の均一性を向上することもできる。その結果、基板9に対する薬液処理の均一性を向上することができる。
回転する基板9の外縁から飛散する薬液は、カップ部225により受けられ、カップ部225の下方に配置された本体排出ポート226aへと導かれる。本体排出ポート226aを通過した薬液は、図5に示す気液分離部193に流入する。薬液回収部195aでは、気液分離部193から薬液が回収され、フィルタ等を介して薬液から不純物等が除去された後、再利用される。
また、チャンバ21が形成された状態では、上部開口222のエッジであるカップ天蓋部227bの内縁部が、下部開口232のエッジである蓋底面部234の内縁部と当接する。これにより、基板9の上面91から飛散する薬液が、蓋底面部234の下面236に付着することが防止される(後述のステップS19の処理において同様)。したがって、後述する基板9の搬出(および、次の基板9の搬入)の際に、基板9が通過する経路を形成する蓋底面部234の下面236から、基板9の上面91に液体が落下することが防止される。
基板処理装置1では、基板9に対する薬液の供給が行われている間も、上述のように、ガス供給部812による窒素ガスの供給が継続され、チャンバ空間における窒素ガス雰囲気が確保されることが好ましい(後述の純水の供給時において同様)。また、上部中央ノズル181のガス噴出口からも窒素ガスが噴出され、基板9の周囲における窒素ガス雰囲気がより確実に確保されてもよい。
薬液の供給開始から所定時間経過すると、スキャンノズル186から基板9への薬液の供給が停止される。また、ヘッド回転機構863により、スキャンノズル186が遮蔽板51の下面512と蓋底面部234の上面235との間を通過して、図7に示すように、下部開口232と上下方向に重ならない待機位置へと移動する。このように、スキャンノズル186から基板9への処理液の供給時に、ヘッド回転機構863によりスキャンノズル186が吐出位置に配置され、スキャンノズル186から基板9への処理液の非供給時に、ヘッド回転機構863によりスキャンノズル186が待機位置に配置される。
スキャンノズル186が待機位置へと移動すると、リンス液である純水が、純水供給部814(図5参照)により上部中央ノズル181および下部ノズル180を介して基板9の上面91および下面92に供給される(ステップS19)。基板9への純水の供給は、上述の液膜95が形成された状態で行われる。
純水供給部814からの純水は、基板9の上面91および下面92の中央部に連続的に供給される。純水は、基板9の回転により上面91および下面92の外周部へと拡がり、基板9の外縁から外側へと飛散する。基板9から飛散する純水は、カップ部225にて受けられ、本体排出ポート226aへと導かれる。本体排出ポート226aを通過した純水は、気液分離部193および排液部196(図5参照)を介して廃棄される。これにより、基板9の上面91のリンス処理および下面92の洗浄処理と共に、カップ部225内の洗浄も実質的に行われる。純水の供給開始から所定時間経過すると、純水供給部814からの純水の供給が停止される。また、遮蔽板51の上面511への純水の供給、および、遮蔽板51の回転が停止され、液膜95の形成が終了する。
基板9に対する処理液(薬液および純水)の供給が終了すると、第2移動機構42および第3移動機構43が駆動することにより、チャンバ蓋部23およびチャンバ本体22のカップ部225が下降し、チャンバ蓋部23およびカップ部225はそれぞれ、図7に示す上位置から図2に示す下位置へと移動する。換言すると、第2移動機構42および第3移動機構43により、基板9が基板保持部31と共にチャンバ21に対して相対的に上昇する。このとき、第1移動機構41が駆動することにより、遮蔽板51のチャンバ蓋部23に対する相対位置は変更されない。すなわち、第1移動機構41により、遮蔽板51がチャンバ蓋部23の下部開口232から上方に離間した状態が維持される。
上述のように、チャンバ21が上位置から下位置へと移動することにより、チャンバ21内において、基板9が本体内部空間221から上部開口222および下部開口232を介して蓋内部空間231へと移動する(ステップS20)。図2に示すように、蓋内部空間231では、基板9の上面91と遮蔽板51の下面512とは上下方向に対向して近接する。
続いて、蓋内部空間231に配置された基板9が、基板回転機構35により基板保持部31と共に中心軸J1を中心として比較的高速にて回転する。これにより、基板9上の処理液(主として、純水)が、上面91および下面92上を径方向外方へと移動し、基板9の外縁から周囲へと飛散する。その結果、基板9上の処理液が除去される(ステップS21)。以下、ステップS21の処理を、「乾燥処理」という。ステップS21における基板9の回転速度は、ステップS18,S19における基板9の回転速度よりも大きい。
ステップS21において、回転する基板9から飛散した処理液は、蓋本体部233の内側面および蓋底面部234の上面235にて受けられ、蓋本体部233と蓋底面部234との接続部へと移動する。当該処理液(すなわち、ステップS21において基板9上から除去された処理液)は、蓋部排出ポート237、気液分離部197および排液部199(図5参照)を介して廃棄される。チャンバ蓋部23では、上述のように、蓋底面部234の上面235が、径方向外方へと向かうに従って下方に向かう傾斜面である。このため、上面235上の処理液が、中央の下部開口232に向かって移動することが防止される。また、上面235上の処理液が速やかに径方向外方へと移動するため、蓋内部空間231からの処理液の速やかな排出を実現することができる。
蓋内部空間231において基板9が回転する際には、遮蔽板回転機構55により、遮蔽板51が、基板9の上面91に上下方向に近接した位置にて、基板9と同じ回転方向に基板9の回転速度とおよそ等しい回転速度にて中心軸J1を中心として回転する。基板9の上面91に近接して遮蔽板51が配置されることにより、基板9から飛散した処理液が、蓋本体部233の内側面にて跳ね返って基板9の上面91に再付着することを抑制(または防止)することができる。また、遮蔽板51が回転することにより、遮蔽板51の上面511および下面512に付着した処理液および膜形成液を周囲へと飛散させ、遮蔽板51上から除去することができる。
ステップS21における乾燥処理では、複数の外側蓋ノズル182に加えて、上部中央ノズル181も窒素ガスを噴出する。すなわち、上部中央ノズル181のガス噴出口を介して、遮蔽板51の下面512と基板9の上面91との間の空間に窒素ガスが供給される。これにより、基板9と遮蔽板51との間の空間から、より一層速やかに処理液を排出することができ、基板9の乾燥を促進することができる。
基板9の乾燥処理が終了すると、基板回転機構35による基板9の回転が停止される。また、第2移動機構42が駆動することにより、チャンバ蓋部23が図2に示す位置から上昇し、図1に示す上位置に配置される。これにより、チャンバ蓋部23とチャンバ本体22とが上下方向に離間し、チャンバ21が開放される(ステップS22)。そして、上述の一連の処理が施された基板9が、外部の搬送機構により蓋底面部234の下面236とカップ天蓋部227bの上面との間の間隙を通過し、ハウジング11に設けられた搬出入口(図示省略)を介してハウジング11外へと搬出される(ステップS23)。
実際には、第2移動機構42の駆動に並行して第1移動機構41も駆動することにより、図1に示すチャンバ21の開放状態では、遮蔽板51がチャンバ蓋部23の下部開口232を閉塞する。また、蓋内部空間231への窒素ガスの供給、および、蓋内部空間231内のガスの排出も継続される。したがって、上記ステップS23における基板9の搬出に並行して、次の基板9に対するステップS11として、蓋内部空間231に窒素ガスを充填する処理が行われる。
また、蓋内部空間231に供給される窒素ガスにより、蓋内部空間231の乾燥(湿度の低減)、すなわち、チャンバ蓋部23の内面、遮蔽板51の上面511、および、待機位置に配置されたスキャンノズル186の乾燥も行われる。ステップS11の処理は、チャンバ蓋部23の内面およびスキャンノズル186の乾燥処理と捉えることが可能である。そして、次の基板9が搬入されて基板保持部31により保持されると(ステップS12)、上記と同様にステップS13〜S23の処理が行われる。
以上に説明したように、基板処理装置1では、チャンバ蓋部23の蓋内部空間231に、径方向の大きさが下部開口232よりも大きい遮蔽板51が設けられる。そして、基板9が搬入されてチャンバ21が形成されるよりも前に、遮蔽板51が下部開口232を閉塞した状態で、ガス供給部812から供給されるガスがチャンバ蓋部23の蓋内部空間231に充填される。これにより、チャンバ21の形成後、チャンバ21内を迅速に所望のガス雰囲気とすることができる。その結果、チャンバ21の形成から当該ガス雰囲気における基板9の処理開始までの時間を短縮することができ、基板処理装置1の生産性を向上することができる。
上述のように、ガス供給部812から供給されるガスを窒素ガス等の不活性ガスとすることにより、低酸素雰囲気における基板9の処理液による処理を迅速に行うことができる。その結果、基板9の上面91上に設けられた金属膜の酸化等を抑制することができる。また、チャンバ21が形成された直後に(チャンバ21が形成されると同時に)、基板9が、予めガスが充填されている蓋内部空間231に位置するため、基板9の装置内への搬入後、速やかに基板9の周囲を所望のガス雰囲気とすることができる。
ステップS18およびステップS19では、膜形成液供給部810により遮蔽板51と蓋底面部234との間に環状の液膜95が形成された状態で、処理液供給部811から基板9の上面91への処理液の供給が行われる。このため、処理液のミストやヒューム等が、液膜95を通過して遮蔽板51と蓋底面部234との間の間隙から蓋内部空間231へと進入することを抑制することができる。
上述のように、液膜95が形成される際には、膜形成液供給部810において、中心軸J1を中心として周状に配置される複数の膜形成液吐出口から遮蔽板51の上面511に向けて膜形成液が吐出される。これにより、遮蔽板51上における膜形成液の液膜の厚さの均一性を向上することができる。その結果、周方向における液膜95の均一性を向上することができる。また、遮蔽板51の上面511が、膜形成液供給部810から供給される膜形成液に対して親液性を有することにより、遮蔽板51上における膜形成液の液膜の厚さの均一性をさらに向上することができる。その結果、周方向における液膜95の均一性をより一層向上することができる。
ステップS18の薬液処理では、ヘッド支持部862が、遮蔽板51とチャンバ蓋部23の蓋底面部234との間の間隙に位置する。遮蔽板51と蓋底面部234との間には、上述のように、環状の液膜95が形成されており、上記間隙のヘッド支持部862以外の領域は、液膜95により閉塞される。このため、蓋内部空間231に位置するスキャンノズル186により基板9に処理液を供給する際であっても、処理液のミストやヒューム等が蓋内部空間231へと進入することを抑制することができる。
基板処理装置1では、制御部10の制御により、スキャンノズル186から基板9への処理液の供給時に、スキャンノズル186が吐出位置に配置され、かつ、遮蔽板51がスキャンノズル186の上方に配置される。また、スキャンノズル186から基板9への処理液の非供給の期間におけるスキャンノズル186の乾燥時に、スキャンノズル186が待機位置に配置され、かつ、遮蔽板51により下部開口232が閉塞される。よって、本体内部空間221に比べて小さい蓋内部空間231に供給されるガスにより、スキャンノズル186を効率よく乾燥することができ、スキャンノズル186を清浄に保つことができる。
チャンバ蓋部23が、蓋内部空間231内の液体を排出する蓋部排出ポート237を備え、スキャンノズル186が待機位置に配置された状態で、プリディスペンスが行われる。これにより、基板処理装置1において、プリディスペンス用の液受け構造を省略することができる。また、ヘッド回転機構863がチャンバ蓋部23の上面に設けられることにより、チャンバ蓋部23の外側面に設けられる場合に比べて、スキャンノズル186におけるヘッド支持部862を短くすることができる。
上述のように、ガス供給部812は、遮蔽板51の下面512の中央部に設けられたガス噴出口を介して、遮蔽板51の下面512と基板9の上面91との間の空間にガスを供給する。これにより、ステップS18およびステップS19において、所望のガス雰囲気にて処理液による基板9の処理を行うことができる。また、液膜95が形成されることにより、上記ガス噴出口からガスが供給される空間を、チャンバ空間よりも小さくすることができる。
基板処理装置1では、上述のように、ステップS17における液膜95の形成と並行して、複数の外側蓋ノズル182から蓋内部空間231に窒素ガスが供給されて蓋内部空間231に窒素ガスが充填される。このため、処理液による基板9の処理終了後に基板9を蓋内部空間231へと移動することにより、所望のガス雰囲気における基板9の乾燥処理を迅速に開始することができる。
基板処理装置1では、図9に示すように、遮蔽板51の上面511が、径方向外方へと向かうに従って下方に向かう傾斜面であってもよい。この場合、複数の内側蓋ノズル189から遮蔽板51の上面511に供給された膜形成液が、重力によっても径方向外方へと移動する。これにより、遮蔽板51の回転速度が比較的低い場合であっても、遮蔽板51と蓋底面部234との間に環状の液膜95を適切に形成することができる。
上記基板処理装置1では様々な変形が可能である。
例えば、上部中央ノズル181から薬液が吐出され、スキャンノズル186から純水が吐出されてもよい。この場合、上部中央ノズル181から薬液を吐出する際に、遮蔽板51が下部開口232に近接することにより、基板9の上面91から飛散した薬液がスキャンノズル186に付着することが防止される。また、薬液供給部813および純水供給部814の双方が弁を介して上部中央ノズル181およびスキャンノズル186の一方に接続され、薬液および純水が当該一方のノズルから選択的に吐出されてよい。この場合であっても、上述と同様に、遮蔽板51と蓋底面部234との間に環状の液膜95が形成されることにより、処理液のミストやヒューム等が蓋内部空間231へと進入することを抑制することができる。
基板処理装置1の設計によっては、互いに異なる種類の処理液を吐出する複数のスキャンノズルが蓋内部空間231に設けられてよい。この場合に、蓋底面部234の上面235上に複数のスキャンノズルからの薬液をそれぞれ回収する複数のポッドが設けられてもよい。複数のスキャンノズルが個別のポッドにおいてプリディスペンスを行うことにより、薬液を個別に回収することが容易に可能となる。
上記実施の形態では、スキャンノズル186を回転するヘッド回転機構863が、チャンバ蓋部23に設けられるが、ヘッド回転機構863は、ハウジング11外、例えば、ハウジング11の上面上に設けられてもよい。この場合、ヘッド回転機構863を薬液等の雰囲気から遠ざけることができ、ヘッド回転機構863の長期間の使用を可能とすることができる。
また、基板処理装置1の設計によっては、処理液を吐出する吐出部を、片持ち状のスキャンノズル以外の形態とすることも可能である。また、吐出部を吐出位置と待機位置とに選択的に配置する吐出部移動機構が、吐出部を直線的に移動する機構等であってもよい。
基板9に対する処理の種類によっては、処理液供給部811により、処理液の液滴や蒸気が基板9の上面91に供給されてよい。
膜形成液供給部810では、必ずしも、周状に配置される複数の膜形成液吐出口が設けられる必要はなく、1つの膜形成液吐出口がチャンバ蓋部23に設けられてもよい。例えば、中心軸J1を中心とする環状の膜形成液吐出口が、チャンバ蓋部23に設けられてもよい。この場合であっても、遮蔽板51上における膜形成液の液膜の厚さの均一性を向上することができ、その結果、周方向における液膜95の均一性を向上することができる。
図1に示す例では、上述のチャンバ開閉機構が、チャンバ蓋部23を移動する第2移動機構42と、チャンバ本体22のカップ部225を移動する第3移動機構43とを含むが、例えば、第2移動機構42および第3移動機構43の一方が省略され、他方のみがチャンバ開閉機構として利用されてもよい。また、図1に示す例では、遮蔽板移動機構が、遮蔽板51を移動する第1移動機構41と、チャンバ蓋部23を移動する第2移動機構42とを含むが、第1移動機構41および第2移動機構42の一方が省略され、他方のみが遮蔽板移動機構として利用されてもよい。
図1に示す例では、上述の基板移動機構が、チャンバ蓋部23を移動する第2移動機構42と、チャンバ本体22のカップ部225を移動する第3移動機構43とを含むが、基板移動機構は、例えば、基板保持部31をチャンバ21内において上下方向に移動する機構であってもよい。
チャンバ本体22では、同心円状に配置された複数のカップがカップ部225として設けられてもよい。この場合、基板9上に供給される処理液の種類が切り替えられる際に、基板9からの処理液を受けるカップも切り替えられることが好ましい。これにより、複数種類の処理液が利用される際に、複数の処理液を容易に分別して回収または廃棄することができる。
図10に示すように、チャンバ蓋部23とチャンバ本体22のカップ部225とが一繋がりの部材として形成されたチャンバ21aが採用されてもよい。換言すれば、チャンバ本体22はチャンバ蓋部23と共にチャンバ21aを形成する。基板処理装置1aでは、カップ天蓋部227bの中央の開口(すなわち、チャンバ本体22の上部開口)がチャンバ蓋部23により覆われることによりチャンバ21aが形成されている。チャンバ本体22の上部開口は、チャンバ蓋部23の下部開口232でもある。
チャンバ21aでは、チャンバ蓋部23に側部開口239が設けられ、基板9のチャンバ21a内への搬入およびチャンバ21a外への搬出の際に基板9が側部開口239を通過する。側部開口239は、側部開口開閉機構39により開閉される。図10の基板処理装置1aでは、図1の基板処理装置1における第3移動機構43が省略され、第2移動機構42によりチャンバ蓋部23およびカップ部225が上下方向に移動する。これにより、基板9が蓋内部空間231と本体内部空間221とに選択的に配置される。基板処理装置1aにおいても、基板9が本体内部空間221に配置される際に処理液による処理が行われ、基板9が蓋内部空間231に配置される際に基板9の乾燥処理が行われる。
処理液による処理では、上述と同様に、遮蔽板51とカップ天蓋部227b(チャンバ蓋部23の蓋底面部でもある。)との間に環状の液膜95が形成された状態で、基板9の上面91への処理液の供給が行われる。このため、処理液のミストやヒューム等が、液膜95を通過して遮蔽板51とカップ天蓋部227bとの間の間隙から蓋内部空間231へと進入することを抑制することができる。
基板処理装置1,1aでは、半導体基板以外の様々な基板に対する処理が行われてもよい。また、基板処理装置1,1aでは、ポリマー除去やエッチングに限らず、塩酸やフッ酸など様々な処理液を用いて、低酸素環境下で行うことが望ましい様々な液処理を行うことができる。低酸素状態を実現するためにチャンバ21に供給されるガスも、窒素ガスには限定されず、アルゴン等の他の不活性ガスであってもよい。チャンバ21に供給されるガスは、チャンバ21内を所望のガス雰囲気とするためのガス、例えば、ガス組成比が管理された混合ガス(すなわち、複数種類のガスが混合されたもの)であってもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
1,1a 基板処理装置
9 基板
21,21a チャンバ
22 チャンバ本体
23 チャンバ蓋部
31 基板保持部
51 遮蔽板
55 遮蔽板回転機構
91 (基板の)上面
95 液膜
181 上部中央ノズル
189 内側蓋ノズル
221 本体内部空間
231 蓋内部空間
232 下部開口
233 蓋本体部
234 蓋底面部
235 (蓋底面部の)上面
237 蓋部排出ポート
511 (遮蔽板の)上面
512 (遮蔽板の)下面
810 膜形成液供給部
811 処理液供給部
812 ガス供給部
861 吐出ヘッド
862 ヘッド支持部
863 ヘッド回転機構
J1 中心軸
S11〜S23 ステップ

Claims (10)

  1. 基板を処理する基板処理装置であって、
    下部開口を有し、径方向の大きさが前記下部開口よりも大きい蓋内部空間を形成するチャンバ蓋部と、
    本体内部空間を形成するとともに、前記チャンバ蓋部と共にチャンバを形成するチャンバ本体と、
    前記本体内部空間において水平状態で基板を保持する基板保持部と、
    前記基板の上面に処理液を供給する処理液供給部と、
    前記蓋内部空間に配置されて前記基板の前記上面に対向し、前記下部開口を閉塞可能な遮蔽板と、
    前記上下方向を向く中心軸を中心として前記遮蔽板を回転する遮蔽板回転機構と、
    前記遮蔽板の上面に膜形成液を供給する膜形成液供給部と、
    を備え、
    前記チャンバ蓋部が、
    上下を反転したカップ状の蓋本体部と、
    前記蓋本体部の下端部から径方向内方に拡がるとともに中央部に前記下部開口が設けられた環状の蓋底面部と、
    を備え、
    前記チャンバ内において、前記遮蔽板が前記チャンバ蓋部の前記下部開口から上方に離間した状態で、回転する前記遮蔽板の前記上面に供給された膜形成液が、遠心力により前記遮蔽板の前記上面から前記蓋底面部の上面へと流れることにより、前記遮蔽板と前記蓋底面部との間に環状の液膜が形成されることを特徴とする基板処理装置。
  2. 請求項1に記載の基板処理装置であって、
    前記遮蔽板の下面の中央部に設けられたガス噴出口から前記遮蔽板の前記下面と前記基板の前記上面との間の空間にガスを供給するガス供給部をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
  3. 請求項1または2に記載の基板処理装置であって、
    前記処理液供給部が、
    処理液を吐出する吐出ヘッドと、
    水平方向に延びる部材であり、自由端部に前記吐出ヘッドが固定され、固定端部が前記蓋内部空間において前記チャンバ蓋部の前記蓋本体部に取り付けられるヘッド支持部と、
    を備え、
    前記基板処理装置が、前記固定端部を中心として前記吐出ヘッドを前記ヘッド支持部と共に回転するヘッド回転機構をさらに備え、
    前記基板上に処理液が供給される際には、前記ヘッド回転機構により前記吐出ヘッドおよび前記ヘッド支持部が回転することにより、前記吐出ヘッドが前記遮蔽板と前記下部開口との間に配置され、前記吐出ヘッドから前記下部開口を介して前記基板の前記上面に処理液が吐出されることを特徴とする基板処理装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記膜形成液供給部が、前記中心軸を中心として周状に配置されるとともに前記遮蔽板の前記上面に向けて膜形成液を吐出する複数の膜形成液吐出口を備えることを特徴とする基板処理装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記遮蔽板の前記上面が、前記膜形成液供給部から供給される膜形成液に対して親液性を有することを特徴とする基板処理装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記遮蔽板の前記上面が、前記径方向外方へと向かうに従って下方に向かう傾斜面であることを特徴とする基板処理装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記蓋底面部の前記上面が、前記径方向外方へと向かうに従って下方に向かい、
    前記チャンバ蓋部の前記蓋底面部と前記蓋本体部との接続部に、前記蓋内部空間内の膜形成液を排出する排出ポートが設けられることを特徴とする基板処理装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記液膜の形成と並行して、前記遮蔽板よりも上方から前記蓋内部空間にガスが供給されて前記蓋内部空間に前記ガスが充填されることを特徴とする基板処理装置。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記チャンバが形成されるよりも前に、前記遮蔽板が前記チャンバ蓋部の前記下部開口に重ねられた状態で、前記遮蔽板よりも上方から前記蓋内部空間にガスが供給されて前記蓋内部空間に前記ガスが充填されることを特徴とする基板処理装置。
  10. 下部開口を有し、径方向の大きさが前記下部開口よりも大きい蓋内部空間を形成するチャンバ蓋部と、本体内部空間を形成するとともに、前記チャンバ蓋部と共にチャンバを形成するチャンバ本体と、前記蓋内部空間に配置されて前記基板の上面に対向し、前記下部開口を閉塞可能な遮蔽板と、前記上下方向を向く中心軸を中心として前記遮蔽板を回転する遮蔽板回転機構とを備え、前記チャンバ蓋部が、前記中心軸を中心とする蓋本体部と、前記蓋本体部の下端部から径方向内方に拡がるとともに中央部に前記下部開口が設けられた環状の蓋底面部とを備える基板処理装置において、基板を処理する基板処理方法であって、
    a)前記チャンバ内において、前記チャンバ蓋部の前記下部開口から上方に離間した状態で回転する前記遮蔽板の前記上面に膜形成液を供給し、遠心力により前記遮蔽板の前記上面から前記蓋底面部の上面へと流れる前記膜形成液により、前記遮蔽板と前記蓋底面部との間に環状の液膜を形成する工程と、
    b)前記液膜が形成されている状態で、前記基板の上面に処理液を供給する工程と、
    を備えることを特徴とする基板処理方法。
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