JP6159275B2 - 基板処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、基板を処理する基板処理装置に関する。
従来より、半導体基板(以下、単に「基板」という。)の製造工程では、多種類の基板処理装置を用いて基板に対して様々な処理が施される。例えば、表面上にレジストのパターンが形成された基板上に薬液を供給することにより、基板の表面に対してエッチング等の処理が行われる。また、エッチング処理の終了後、基板上に除去液を供給してレジストを除去したり、基板上に洗浄液を供給して洗浄する処理も行われる。
基板の処理を酸素が存在する環境下(例えば、大気中)において行う場合、酸素が基板に対して悪影響を及ぼす場合がある。例えば、処理に用いる薬液中に酸素が溶け込み、当該薬液が基板の表面に接触することにより、基板の表面に悪影響が生じることがある。特に、表面に金属膜が形成された基板の処理では、当該金属膜が処理中に酸化するおそれがある。このような金属膜の酸化は、極力防止することが求められる。
特許文献1の基板処理装置では、基板保持機構に保持された基板に対向する遮蔽部が設けられる。遮蔽部は、基板の上面に対向する基板対向面と、基板対向面の周囲から基板保持機構に向かって突出する周壁部とを備える。基板上には、酸素濃度を低下させた不活性ガス溶存水と薬液原液とを混合した薬液が供給される。特許文献1の基板処理装置では、遮断部を設けることにより、基板の上面上の雰囲気を遮断部の外部の雰囲気から遮断し、基板上の雰囲気の酸素濃度上昇を抑制することが図れている。基板上の酸素濃度が低減されると、基板の上面上に設けられた金属膜の酸化等が抑制される。
特開2010−56218号公報
ところで、特許文献1の基板処理装置では、遮断部の内部が外部と完全に隔離されていないため、基板上の雰囲気の酸素濃度低減に限界がある。また、遮断部の内部の酸素濃度を迅速に低減することにも限界がある。一方、チャンバ(処理室)の内部に基板保持部や処理液供給部を設け、基板を搬入した後にチャンバを密閉し、内部空間に不活性ガス等を供給して低酸素状態とすることが考えられる。しかしながら、チャンバの内部空間を十分に低酸素状態とするには、ある程度長い時間が必要になる。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、チャンバ内を迅速に所望のガス雰囲気とすることを目的としている。
請求項1に記載の発明は、基板を処理する基板処理装置であって、水平状態で基板を保持する基板保持部と、下部開口を有し、前記下部開口の上方に蓋内部空間を形成するチャンバ蓋部と、前記下部開口と上下方向に対向する上部開口を有し、本体内部空間を形成するチャンバ本体と、前記チャンバ蓋部を前記チャンバ本体に対して前記上下方向に相対的に移動し、前記上部開口を前記チャンバ蓋部により覆うことにより、前記基板保持部を内部に収容するチャンバを形成するチャンバ開閉機構と、前記基板の上面に処理液を供給する処理液供給部と、前記蓋内部空間に配置されて前記基板の前記上面に対向し、前記下部開口を閉塞可能な遮蔽板と、前記遮蔽板を前記蓋内部空間において前記チャンバ蓋部に対して前記上下方向に相対的に移動する遮蔽板移動機構と、前記遮蔽板が前記チャンバ蓋部の前記下部開口に重ねられた状態で前記蓋内部空間にガスを供給するガス供給部とを備える。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記基板を前記基板保持部と共に前記チャンバに対して前記上下方向に相対的に移動する基板移動機構をさらに備え、前記遮蔽板が前記チャンバ蓋部の前記下部開口から離間している状態で、前記基板が、前記基板移動機構により前記チャンバ内において前記蓋内部空間と前記本体内部空間との間を前記下部開口および前記上部開口を介して相対的に移動する。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の基板処理装置であって、前記チャンバ蓋部が、上下を反転したカップ状の蓋本体部と、前記蓋本体部の下端部から径方向内方に拡がるとともに中央部に前記下部開口が設けられた環状の蓋底面部とを備え、前記下部開口に重ねられた前記遮蔽板の下面が、前記下部開口の周囲の全周に亘って前記蓋底面部の上面に接することにより前記下部開口を閉塞する。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の基板処理装置であって、前記蓋底面部の前記上面が、前記径方向外方へと向かうに従って下方に向かい、前記チャンバ蓋部の前記蓋底面部と前記蓋本体部との接続部に、前記蓋内部空間内の液体を排出する排出ポートが設けられる。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記遮蔽板の下面の中央部にガス噴出口が設けられ、前記ガス供給部により、前記ガス噴出口を介して前記遮蔽板の前記下面と前記基板の前記上面との間の空間に前記ガスが供給される。
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記上下方向を向く中心軸を中心として前記基板を前記基板保持部と共に回転する基板回転機構をさらに備え、前記チャンバ本体が、前記チャンバ蓋部の下方にて前記基板保持部の径方向外側に全周に亘って位置し、回転する前記基板から飛散する処理液を受けるカップ部を備える。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の基板処理装置であって、前記チャンバ本体が、前記カップ部の前記径方向外側に全周に亘って位置し、前記チャンバ蓋部と接することにより前記チャンバを形成する外筒部と、前記外筒部の上端部と前記カップ部との間の間隙を閉塞する外筒接続部とをさらに備える。
請求項8に記載の発明は、請求項2ないし5のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記上下方向を向く中心軸を中心として前記基板を前記基板保持部と共に回転する基板回転機構をさらに備え、前記蓋内部空間において前記基板が前記基板回転機構により回転する際に、前記遮蔽板が前記基板に近接した位置にて前記中心軸を中心として回転する。
本発明では、チャンバ内を迅速に所望のガス雰囲気とすることができる。
一の実施の形態に係る基板処理装置を示す断面図である。 気液供給部および気液排出部を示すブロック図である。 基板処理装置を示す断面図である。 基板処理装置を示す断面図である。 基板の処理の流れを示す図である。 基板の一部を示す断面図である。 基板処理装置の他の例を示す断面図である。 基板処理装置の他の例を示す断面図である。
図1は、本発明の一の実施の形態に係る基板処理装置1の構成を示す断面図である。基板処理装置1は、略円板状の半導体基板9(以下、単に「基板9」という。)に処理液を供給して基板9を1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。図1では、基板処理装置1の一部の構成の断面には、平行斜線の付与を省略している(他の断面図においても同様)。
基板処理装置1は、チャンバ21と、基板保持部31と、基板回転機構35と、第1移動機構41と、第2移動機構42と、第3移動機構43と、遮蔽板51と、遮蔽板回転機構55と、ハウジング11とを備える。ハウジング11は、チャンバ21、基板保持部31および遮蔽板51等を収容する。
チャンバ21は、上下方向を向く中心軸J1を中心とする有蓋および有底の略円筒状である。チャンバ21は、チャンバ本体22と、チャンバ蓋部23とを備える。チャンバ本体22とチャンバ蓋部23とは上下方向に対向する。図1に示す状態では、チャンバ本体22とチャンバ蓋部23とは上下方向に離間している。チャンバ本体22は、中心軸J1を中心とする有底略円筒状であり、本体内部空間221を形成する。チャンバ蓋部23は、中心軸J1を中心とする有蓋略円筒状であり、蓋内部空間231を形成する。チャンバ本体22の外径とチャンバ蓋部23の外径とは、およそ等しい。
チャンバ本体22は、略円形の上部開口222を有する。チャンバ蓋部23は、略円形の下部開口232を有する。チャンバ本体22の上部開口222は、チャンバ蓋部23の下部開口232と上下方向に対向する。チャンバ本体22の上部開口222の直径と、チャンバ蓋部23の下部開口232の直径とは、およそ等しい。また、中心軸J1を中心とする径方向におけるチャンバ蓋部23の蓋内部空間231の大きさは、下部開口232の径方向の大きさ(すなわち、直径)よりも大きい。チャンバ本体22およびチャンバ蓋部23の構造の詳細については後述する。
基板保持部31は、中心軸J1を中心とする略円板状である。基板保持部31は、基板9の下方に配置され、水平状態で基板9の外縁部を保持する。図1に示す状態では、基板保持部31は、上下方向においてチャンバ本体22とチャンバ蓋部23との間に位置する。基板保持部31の直径は、基板9の直径よりも大きい。基板保持部31の直径は、チャンバ本体22の上部開口222の直径、および、チャンバ蓋部23の下部開口232の直径よりも小さい。チャンバ本体22の上部開口222およびチャンバ蓋部23の下部開口232は、基板9および基板保持部31と上下方向に対向する。基板回転機構35は、基板保持部31の下方に配置される。基板回転機構35は、中心軸J1を中心として基板9を基板保持部31と共に回転する。
遮蔽板51は、中心軸J1を中心とする略円板状である。遮蔽板51は、チャンバ蓋部23の内部空間である蓋内部空間231に配置される。遮蔽板51の径方向の大きさ(すなわち、直径)は、チャンバ蓋部23の下部開口232の直径よりも大きいことが好ましい。遮蔽板51は、チャンバ蓋部23の下部開口232を閉塞可能である。遮蔽板51は、基板保持部31に保持される基板9の上面91と下部開口232を介して上下方向に対向する。
遮蔽板回転機構55は、遮蔽板51の上側に配置される。遮蔽板回転機構55は、例えば、中空軸モータである。遮蔽板回転機構55により、遮蔽板51が、チャンバ蓋部23の蓋内部空間231において中心軸J1を中心として回転する。遮蔽板回転機構55による遮蔽板51の回転は、基板回転機構35による基板9の回転とは独立して行われる。
遮蔽板回転機構55の回転軸551は、ハウジング11の上部に設けられた貫通孔、および、チャンバ蓋部23の上部に設けられた貫通孔を介して、遮蔽板51に接続される。ハウジング11の当該貫通孔の周囲の部位と、チャンバ蓋部23の当該貫通孔の周囲の部位とは、上下方向に伸縮可能な略円筒状の伸縮部材111(例えば、ベローズ)により接続される。また、回転軸551には略円板状のフランジ部553が設けられており、フランジ部553の外周部と、ハウジング11の上記貫通孔の周囲の部位とが、上下方向に伸縮可能な略円筒状の伸縮部材552(例えば、ベローズ)により接続される。基板処理装置1では、フランジ部553および伸縮部材552により、ハウジング11内の空間と、ハウジング11外の空間とが隔離される。また、伸縮部材111により、チャンバ蓋部23内の空間と、ハウジング11内かつチャンバ蓋部23外の空間とが隔離される。
図2は、基板処理装置1が備える気液供給部18および気液排出部19を示すブロック図である。気液供給部18は、処理液供給部811と、ガス供給部812とを備える。処理液供給部811は、上部中央ノズル181と、薬液供給部813と、純水供給部814とを備える。薬液供給部813および純水供給部814は、それぞれ弁を介して上部中央ノズル181に接続される。ガス供給部812は、上部中央ノズル181と、複数の蓋ノズル182と、不活性ガス供給部816とを備える。不活性ガス供給部816は、弁を介して上部中央ノズル181に接続される。不活性ガス供給部816は、また、弁を介して複数の蓋ノズル182にも接続される。
図1および図2に示すように、複数の蓋ノズル182は、チャンバ蓋部23の上部に設けられる。複数の蓋ノズル182は、中心軸J1を中心として周状に配置される。図2に示すように、各蓋ノズル182の下端には第1ガス噴出口184が設けられる。不活性ガス供給部816から送出された不活性ガスは、チャンバ蓋部23の上部に設けられた複数の第1ガス噴出口184から、蓋内部空間231に供給される。
図1に示すように、上部中央ノズル181は、遮蔽板回転機構55の回転軸551内に設けられる。図2に示すように、上部中央ノズル181の下端の中央部には、基板9の上面91に向けて処理液(すなわち、薬液供給部813からの薬液、および、純水供給部814からの純水)を供給する処理液吐出口183が設けられる。また、上部中央ノズル181の下端において、処理液吐出口183の周囲には、略環状の第2ガス噴出口185が設けられる。不活性ガス供給部816から送出された不活性ガスは、第2ガス噴出口185から遮蔽板51の下方の空間(すなわち、遮蔽板51の下面512と基板9の上面91との間の空間)に向けて供給される。上部中央ノズル181の下端は、上下方向において、遮蔽板51の下面512とおよそ同じ位置に配置される。すなわち、上部中央ノズル181の処理液吐出口183および第2ガス噴出口185は、遮蔽板51の下面512の中央部に設けられている。
気液排出部19は、本体排出ポート226aと、蓋部排出ポート237と、気液分離部193と、本体排気部194と、薬液回収部195と、排液部196と、気液分離部197と、蓋排気部198と、排液部199とを備える。本体排出ポート226aは、チャンバ本体22に設けられ、気液分離部193に接続される。気液分離部193は、本体排気部194、薬液回収部195および排液部196にそれぞれ弁を介して接続される。蓋部排出ポート237は、チャンバ蓋部23に設けられ、気液分離部197に接続される。気液分離部197は、蓋排気部198および排液部199にそれぞれ弁を介して接続される。気液供給部18および気液排出部19の各構成は、制御部10により制御される。第1移動機構41、第2移動機構42、第3移動機構43、基板回転機構35および遮蔽板回転機構55(図1参照)も制御部10により制御される。
薬液供給部813から上部中央ノズル181を介して基板9上に供給される薬液は、例えば、ポリマー除去液、あるいは、フッ酸や水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液等のエッチング液である。純水供給部814は、上部中央ノズル181を介して基板9に純水(DIW:deionized water)を供給する。処理液供給部811は、上記薬液および純水以外の処理液を供給する他の供給部を備えていてもよい。不活性ガス供給部816から供給されるガスは、例えば、窒素(N)ガスである。ガス供給部812は、窒素ガス以外の不活性ガス、または、不活性ガス以外のガスを供給する他の供給部を備えていてもよい。
図1に示すように、チャンバ本体22は、外筒部223と、外筒接続部224と、カップ部225と、本体底部226とを備える。カップ部225は、中心軸J1を中心とする略円筒状である。カップ部225は、チャンバ蓋部23の下方にて基板回転機構35の径方向外側に全周に亘って位置する。カップ部225は、中心軸J1を中心とする略円筒状のカップ側壁部227aと、カップ側壁部227aの上端から径方向内方へと拡がる略円環板状のカップ天蓋部227bとを備える。カップ天蓋部227bの中央の開口は、上述の上部開口222である。
外筒部223は、中心軸J1を中心とする略円筒状である。外筒部223は、カップ部225の径方向外側に全周に亘って位置する。外筒部223は、例えば、それぞれが周状の複数の山折り線とそれぞれが周状の複数の谷折り線とが上下方向に交互に並ぶベローズである。外筒部223、カップ部225および基板保持部31の下方には、有底略円筒状の本体底部226が配置される。外筒部223の下端部は、本体底部226の側壁部の上端部に全周に亘って接続される。本体底部226の底面部には、上述の本体排出ポート226aが設けられる。本体排出ポート226aは、チャンバ本体22の内部空間である本体内部空間221において、基板9、基板保持部31およびカップ部225の下方に配置される。本体排出ポート226aを介して、チャンバ本体22内の液体および気体が、チャンバ本体22外(すなわち、チャンバ21外)へと排出される。本体底部226では、周方向に配列される複数の本体排出ポート226aが設けられてもよい。
外筒接続部224は、中心軸J1を中心とする略円環板状である。外筒接続部224は、外筒部223の上端部とカップ部225の外縁部とを接続する。具体的には、外筒接続部224は、外筒部223の上端部と、カップ天蓋部227bの外縁部とを接続する。外筒接続部224により、外筒部223の上端部とカップ部225との間の間隙が閉塞される。
チャンバ蓋部23は、蓋本体部233と、蓋底面部234とを備える。蓋本体部233は、中心軸J1を中心とする有蓋略円筒状である。換言すれば、蓋本体部233は、上下を反転したカップ状である。既述のように、蓋本体部233の中央部における貫通孔、すなわち、チャンバ蓋部23の上部における貫通孔は、伸縮部材111,552、ハウジング11の上部の一部、および、フランジ部553により閉塞される。当該貫通孔を閉塞するこれらの部材は、蓋本体部233の一部と捉えられてよい。また、伸縮部材111,552により形成される筒状の空間は、蓋内部空間231の一部である。
蓋底面部234は、中心軸J1を中心とする略円環板状であり、中央部に上述の下部開口232が設けられる。蓋底面部234は、蓋本体部233の下端部から径方向内方に拡がる。蓋底面部234の上面235および下面236は、径方向外方へと向かうに従って下方に向かう傾斜面である。チャンバ蓋部23の蓋底面部234と蓋本体部233との接続部には、上述の蓋部排出ポート237が設けられる。蓋部排出ポート237を介して、蓋内部空間231内の液体および気体が排出される。
図1に示す状態では、遮蔽板51は、チャンバ蓋部23の下部開口232に重ねられる。このとき、遮蔽板51の下面512は、下部開口232の周囲の全周に亘って蓋底面部234の上面235に接する。具体的には、遮蔽板51の下面512の外周部が、蓋底面部234の上面235のうち下部開口232近傍の部位に全周に亘って接する。これにより、チャンバ蓋部23の下部開口232が遮蔽板51により閉塞され、下部開口232の上方の蓋内部空間231が閉空間となる。なお、本実施の形態においては、遮蔽板51と蓋底面部234との接触部は完全な気密構造ではないため、蓋内部空間231は外部の空間から完全には遮断されていないが、当該接触部がシール部材等を備えた気密構造とされ、蓋内部空間231が外部の空間から隔離された密閉空間とされてもよい。
第1移動機構41は、例えば、ハウジング11の上側に配置される。第1移動機構41は、遮蔽板回転機構55と共に遮蔽板51を上下方向に移動する。遮蔽板51は、第1移動機構41により、チャンバ蓋部23の蓋内部空間231において上下方向に移動する。上述のように、遮蔽板51はチャンバ蓋部23の下部開口232よりも大きいため、遮蔽板51が下部開口232を介してチャンバ蓋部23の外部(すなわち、蓋底面部234の下方)へと移動することはない。第1移動機構41は、例えば、モータとボールねじとを備える(第2移動機構42および第3移動機構43においても同様)。
第2移動機構42は、チャンバ本体22の側方に配置され、チャンバ蓋部23を上下方向に移動する。具体的には、チャンバ蓋部23は、図1に示す「上位置」と図3に示す「下位置」との間を第2移動機構42により移動する。チャンバ蓋部23が上位置に配置された状態では、下部開口232が基板保持部31上の基板9よりも上方に位置し、チャンバ蓋部23が下位置に配置された状態では、下部開口232が基板保持部31上の基板9よりも下方に位置する。チャンバ蓋部23が上位置から、上位置よりも下方の下位置へと移動する際には、第1移動機構41により遮蔽板51も上下方向に移動し、遮蔽板51のチャンバ蓋部23に対する上下方向の相対位置が変更される。すなわち、第1移動機構41および第2移動機構42は、遮蔽板51を、チャンバ蓋部23の蓋内部空間231においてチャンバ蓋部23に対して相対的に上下方向に移動する遮蔽板移動機構である。
第3移動機構43は、チャンバ本体22の側方に配置され、チャンバ本体22の一部を上下方向に移動する。具体的には、第3移動機構43によりチャンバ本体22のカップ部225が、図1および図3に示す「下位置」と図4に示す「上位置」との間を第3移動機構43により移動する。カップ部225が下位置に配置された状態では、上部開口222が基板保持部31上の基板9よりも下方に位置し、カップ部225が上位置に配置された状態では、上部開口222が基板保持部31上の基板9よりも上方に位置する。カップ部225が上下方向に移動する際には、外筒部223が上下方向に伸縮する。基板処理装置1では、チャンバ本体22のカップ部225が下位置から、下位置よりも上方の上位置へと移動する際にも、遮蔽板51のチャンバ蓋部23に対する上下方向の相対位置が変更される。なお、基板処理装置1では、チャンバ本体22の本体底部226および基板保持部31は上下方向には移動しない。
図3に示すように、チャンバ蓋部23が下位置に位置し、チャンバ本体22のカップ部225も下位置に位置する状態では、チャンバ本体22の上部開口222にチャンバ蓋部23の下部開口232を対向させつつ、当該上部開口222がチャンバ蓋部23により覆われる。これにより、内部に密閉空間(すなわち、蓋内部空間231および本体内部空間221を含む空間であり、以下、「チャンバ空間」という。)を有するチャンバ21が形成される。具体的には、チャンバ蓋部23において、蓋本体部233と蓋底面部234との接続部がチャンバ本体22の外筒部223と接することによりチャンバ21が形成される。
また、図4に示すように、チャンバ本体22のカップ部225が上位置に位置し、チャンバ蓋部23も上位置に位置する状態でも同様に、チャンバ本体22の上部開口222がチャンバ蓋部23により覆われることにより、チャンバ21が形成される。図3および図4に示すように、チャンバ21の内部(すなわち、チャンバ空間)には、基板9および基板保持部31が収容される。すなわち、第2移動機構42および第3移動機構43は、チャンバ蓋部23をチャンバ本体22に対して上下方向に相対的に移動し、チャンバ本体22の上部開口222をチャンバ蓋部23により覆うことによりチャンバ21を形成するチャンバ開閉機構である。
次に、図5を参照しつつ基板処理装置1による基板9の処理の流れについて説明する。基板処理装置1では、まず、図1に示すように、チャンバ蓋部23が上位置に位置し、チャンバ本体22のカップ部225が下位置に位置する。換言すれば、チャンバ21が開いた状態である。また、遮蔽板51の下面512が蓋底面部234の上面235に接するように、遮蔽板51がチャンバ蓋部23の下部開口232に平面視において重ねられる。これにより、下部開口232が閉塞されて蓋内部空間231が閉空間となる。この状態で、ガス供給部812(図2参照)により、複数の第1ガス噴出口184を介して蓋内部空間231に窒素ガスが供給される。また、蓋内部空間231の気体が蓋部排出ポート237からチャンバ蓋部23の外部へと排出される。これにより、蓋内部空間231に窒素ガスが充填される(ステップS11)。
なお、ステップS11では、必ずしも、チャンバ蓋部23の下部開口232が遮蔽板51により気密に閉塞されている必要はなく、遮蔽板51が下部開口232に重なっているのであれば、遮蔽板51と蓋底面部234との間に若干の間隙が存在するような閉塞の形態であってもよい。このような閉塞の形態であっても、ガス供給部812から蓋内部空間231への窒素ガスの供給量が制御され、蓋内部空間231への窒素ガスの流入量と、当該間隙および蓋部排出ポート237からの気体の流出量とをおよそ等しくすることにより、蓋内部空間231に窒素ガスが充填される。そして、当該窒素ガスの流入量等を適切に制御することにより、蓋内部空間231内の酸素濃度をプロセス上必要な程度まで低減した低酸素状態とすることができる。なお、図1では、基板9を図示しているが、ステップS11は、基板9が基板処理装置1に搬入されるよりも前に行われる。
続いて、上述のようにチャンバ蓋部23がチャンバ本体22から離間した状態で、ハウジング11に設けられた搬出入口(図示省略)から基板9がハウジング11内に搬入され、基板保持部31により保持される(ステップS12)。ステップS12では、基板9がチャンバ本体22の上部開口222よりも上方にて基板保持部31により保持される。
図6は、基板処理装置1にて処理される基板9の表面状態の一例を説明するための断面図である。基板9は、例えば、上面91にポリマー残渣(すなわち、ドライエッチングやアッシング後の残渣)が付着しており、金属パターンが露出したものである。金属パターンは、銅やタングステン等の金属の単膜であってもよく、複数の金属膜を積層した多層膜であってもよい。当該多層膜は、例えば、銅膜の表面に拡散防止のためのバリアメタル膜を形成した積層膜である。
図6に示すように、基板9の上面91上には、層間絶縁膜911が形成されている。層間絶縁膜911には、下配線溝912がその上面から掘り下げて形成されている。下配線溝912には、銅配線913が埋設されている。層間絶縁膜911上には、エッチストッパ膜914を介して、被加工膜の一例としての低誘電率絶縁膜915が積層されている。低誘電率絶縁膜915には、上配線溝916がその上面から掘り下げて形成されている。さらに、低誘電率絶縁膜915には、上配線溝916の底面から銅配線913の表面に達するヴィアホール917が形成されている。上配線溝916およびヴィアホール917には、銅が一括して埋め込まれる。
上配線溝916およびヴィアホール917は、低誘電率絶縁膜915上にハードマスクが形成された後、ドライエッチング処理が行われ、低誘電率絶縁膜915におけるハードマスクから露出した部分が除去されることにより形成される。上配線溝916およびヴィアホール917の形成後、アッシング処理が行われ、低誘電率絶縁膜915上から不要となったハードマスクが除去される。ドライエッチング時およびアッシング時には、低誘電率絶縁膜915やハードマスクの成分を含む反応生成物が、ポリマー残渣となって、低誘電率絶縁膜915の表面(上配線溝916およびヴィアホール917の内面を含む。)等に付着する。このため、アッシング後には、基板9の表面にポリマー除去液を供給して、低誘電率絶縁膜915の表面からポリマー残渣を除去するための処理が行われる。
上述のように、表面に金属パターンである銅配線913が露出した基板9が基板保持部31に保持されると、第1移動機構41および第2移動機構42が駆動することにより、遮蔽板51およびチャンバ蓋部23が下方へと移動する。チャンバ蓋部23は、図1に示す上位置から図3に示す下位置へと移動する。換言すれば、チャンバ蓋部23がチャンバ本体22に対して上下方向に相対的に移動する。そして、チャンバ本体22の上部開口222がチャンバ蓋部23により覆われることにより、基板9および基板保持部31を内部に収容するチャンバ21が形成される(ステップS13)。また、ステップS13と並行して、遮蔽板51がチャンバ蓋部23に対して相対的に上昇し、チャンバ21内において、遮蔽板51がチャンバ蓋部23の下部開口232から上方に離間する(ステップS14)。
上述のように、チャンバ蓋部23が上位置から下位置へと移動することにより、基板保持部31に保持された基板9は、チャンバ蓋部23の下部開口232を通過して蓋内部空間231へと移動する。換言すれば、ステップS13,S14においてチャンバ21が形成された状態で、基板9はチャンバ空間のうち蓋内部空間231に位置する。蓋内部空間231には、上述のように、窒素ガスが充填されているため、基板9を蓋内部空間231へと移動することにより、基板9の周囲を迅速に窒素ガス雰囲気(すなわち、低酸素雰囲気)とすることができる。蓋内部空間231では、基板9の上面91と遮蔽板51の下面512とは上下方向に対向して近接する。
基板処理装置1では、ステップS11以降も基板9に対する一連の処理が終了するまで、ガス供給部812による窒素ガスの供給が継続される。図3に示す状態では、遮蔽板51よりも上方に位置する複数の蓋ノズル182の第1ガス噴出口184(図2参照)から蓋内部空間231に窒素ガスが供給されることにより、蓋内部空間231の気圧が本体内部空間221の気圧よりも高くなる。換言すれば、蓋内部空間231が陽圧状態とされる。このため、蓋内部空間231の窒素ガスが、遮蔽板51とチャンバ蓋部23の蓋底面部234との間の間隙から、下部開口232および上部開口222を介して本体内部空間221へと流出する(すなわち、蓋内部空間231から本体内部空間221へと送出される)。また、本体内部空間221の気体は、本体排出ポート226aからチャンバ21の外部へと排出される。これにより、本体内部空間221にもガス供給部812からの窒素ガスが供給されて充填される。換言すれば、ガス供給部812によりチャンバ21内に窒素ガスが供給されて充填される(ステップS15)。以下、ステップS15の処理を、「ガス置換処理」という。
ステップS15において、ガス供給部812からの窒素ガスは、上部中央ノズル181の第2ガス噴出口185(図2参照)を介して、遮蔽板51の下面512と基板9の上面91との間の空間にも供給される。これにより、遮蔽板51と基板9との間の空間の雰囲気を、迅速に窒素ガス雰囲気に置換することができる。なお、ステップS11〜S14の間のいずれのステップにおいても、必要に応じて第2ガス噴出口185から窒素ガスを供給してもよい。特に、ステップS14において第2ガス噴出口185から窒素ガスを供給することにより、ステップS15のガス置換処理をさらに効率良く行うことができる。
次に、第1移動機構41、第2移動機構42および第3移動機構43が駆動することにより、遮蔽板51、チャンバ蓋部23およびチャンバ本体22のカップ部225が上方へと移動する。チャンバ蓋部23およびチャンバ本体22のカップ部225はそれぞれ、図3に示す下位置から図4に示す上位置へと移動する。換言すれば、第2移動機構42および第3移動機構43により、基板9が基板保持部31と共にチャンバ21に対して相対的に下降する。第2移動機構42および第3移動機構43は、基板9を基板保持部31と共にチャンバ21に対して上下方向に相対的に移動する基板移動機構である。遮蔽板51のチャンバ蓋部23に対する相対位置は変更されず、遮蔽板51がチャンバ蓋部23の下部開口232から上方に離間した状態が維持される。
上述のように、チャンバ21が下位置から上位置へと移動することにより、チャンバ21内において、基板9が蓋内部空間231から下部開口232および上部開口222を介して本体内部空間221へと移動する(ステップS16)。これにより、カップ部225が、チャンバ蓋部23の下方にて基板9および基板保持部31の径方向外側に全周に亘って位置する。
基板9が本体内部空間221に位置すると、基板回転機構35による基板9の回転が開始される。そして、処理液供給部811により、上部中央ノズル181の処理液吐出口183(図2参照)を介して、回転中の基板9の上面91上に処理液が供給される(ステップS17)。回転する基板9の中央部に供給された処理液は、遠心力により上面91上を径方向外方へと移動し、基板9の外縁からカップ部225へと飛散する。カップ部225により受けられた処理液は、カップ部225の下方に配置された本体排出ポート226aを介してチャンバ21外へと排出される。
基板処理装置1では、基板9の上面91に所定の時間だけ処理液が供給されることにより、基板9の上面91に対する所定の処理が行われる。以下、ステップS17の処理を、「液処理」という。ステップS17では、薬液供給部813から供給された薬液(例えば、ポリマー除去液やエッチング液等)が所定の時間に亘って基板9上に供給された後、薬液の供給が停止される。これにより、基板9の上面91の薬液処理が行われる。基板9上の薬液は、基板9の回転によりカップ部225へと飛散し、基板9上から除去される。カップ部225により受けられた薬液は、本体排出ポート226aを介してチャンバ21外へと排出され、薬液回収部195(図2参照)により回収される。続いて、純水供給部814から供給された純水が所定の時間に亘って基板9上に供給されることにより、基板9の上面91のリンス処理が行われる。カップ部225により受けられた純水は、本体排出ポート226aを介してチャンバ21外へと排出され、排液部196により廃棄される。
基板処理装置1では、カップ部225に同心円状に配置された複数のカップが設けられもよい。この場合、基板9上に供給される処理液の種類が切り替えられる際に、基板9からの処理液を受けるカップも切り替えられることが好ましい。これにより、ステップS17において複数種類の処理液が利用される際に、複数の処理液を容易に分別して回収または廃棄することができる。
ステップS17において基板9に対する処理液の供給が行われている間も、上述のように、ガス供給部812による窒素ガスの供給が継続される。図4に示す状態でも、図3に示す状態と同様に、遮蔽板51よりも上方に位置する複数の蓋ノズル182の第1ガス噴出口184から蓋内部空間231に窒素ガスが供給される。これにより、蓋内部空間231の気圧が本体内部空間221の気圧よりも高くなり、蓋内部空間231が陽圧状態となっていることが好ましい。蓋内部空間231が陽圧状態となることにより、蓋内部空間231の窒素ガスが、遮蔽板51とチャンバ蓋部23の蓋底面部234との間の間隙から、下部開口232および上部開口222を介して本体内部空間221へと送出される。また、蓋内部空間231から本体内部空間221へと流入した窒素ガスは、本体排出ポート226aを介して吸引されてチャンバ21外へと排出される。
これにより、遮蔽板51の外周縁近傍、下部開口232の外周縁近傍、上部開口222の外周縁近傍、および、基板9の外周縁近傍を順に通過する略円筒状の窒素ガスの気流が、チャンバ21内に形成される。基板9の上面91に対する処理液の供給は、当該略円筒状の気流の内部にて行われるため、処理液のミストやヒューム等が、略円筒状の気流を通過して遮蔽板51と蓋底面部234との間の間隙から蓋内部空間231へと進入することを抑制することができる。また、処理液のミストやヒューム等を当該気流により下方へと迅速に移動させ、チャンバ21外へと速やかに排出することができる。
基板処理装置1では、本体排出ポート226aがカップ部225の下方に配置されることにより、当該気流を容易に形成することができる。なお、当該気流の流速等は、複数の蓋ノズル182からの窒素ガスの供給量、および、遮蔽板51と蓋底面部234との間の間隙の大きさ等を変更することにより、容易に調整することができる。また、当該気流が形成されるのであれば、本体排出ポート226aは必ずしもカップ部225の下方に配置される必要はなく、本体内部空間221に位置する基板9および基板保持部31よりも下方に配置されていればよい。
ステップS17では、上部中央ノズル181の第2ガス噴出口185を介して、遮蔽板51の下面512と基板9の上面91との間の空間にも窒素ガスが供給されてもよい。このように、上述の略円筒状の気流の内側において、基板9の上面91に向かう下向きの気流が形成されることにより、基板9の上方の空間に存在する処理液のミストやヒューム等を、当該略円筒状の気流に向けて押し出すことができる。その結果、処理液のミストやヒューム等が蓋内部空間231へと進入することをさらに抑制しつつ、当該ミストやヒューム等をより一層速やかにチャンバ21外へと排出することができる。
基板9に対する処理液の供給が終了すると、第1移動機構41、第2移動機構42および第3移動機構43が駆動することにより、遮蔽板51、チャンバ蓋部23およびチャンバ本体22のカップ部225が下方へと移動する。チャンバ蓋部23およびチャンバ本体22のカップ部225はそれぞれ、図4に示す上位置から図3に示す下位置へと移動する。換言すれば、第2移動機構42および第3移動機構43により、基板9が基板保持部31と共にチャンバ21に対して相対的に上昇する。遮蔽板51のチャンバ蓋部23に対する相対位置は変更されず、遮蔽板51がチャンバ蓋部23の下部開口232から上方に離間した状態が維持される。
上述のように、チャンバ21が上位置から下位置へと移動することにより、チャンバ21内において、基板9が本体内部空間221から上部開口222および下部開口232を介して蓋内部空間231へと移動する(ステップS18)。蓋内部空間231では、基板9の上面91と遮蔽板51の下面512とは上下方向に対向して近接する。
続いて、基板回転機構35により、基板9が基板保持部31と共に中心軸J1を中心として比較的高速にて回転する。これにより、基板9上の処理液(例えば、純水)が、上面91上を径方向外方へと移動し、基板9の外縁から周囲へと飛散する。その結果、基板9上の処理液が除去される(ステップS19)。以下、ステップS19の処理を、「乾燥処理」という。ステップS19における基板9の回転速度は、ステップS17における基板9の回転速度よりも大きい。
ステップS19において、回転する基板9から飛散した処理液は、蓋本体部233の内面および蓋底面部234の上面235にて受けられ、蓋本体部233と蓋底面部234との接続部へと移動する。そして、当該処理液(すなわち、ステップS19において基板9上から除去された処理液)は、蓋部排出ポート237によりチャンバ蓋部23外(すなわち、チャンバ21外)へと排出される。チャンバ蓋部23では、上述のように、蓋底面部234の上面235が、径方向外方へと向かうに従って下方に向かう傾斜面である。このため、上面235上の処理液が下部開口232に向かって移動することが防止される。また、上面235上の処理液が速やかに径方向外方へと移動するため、蓋内部空間231からの処理液の速やかな排出を実現することができる。
蓋内部空間231において基板9が基板回転機構35により回転する際には(すなわち、ステップS19では)、遮蔽板回転機構55により、遮蔽板51が、基板9の上面91に上下方向に近接した位置にて、基板9と同じ回転方向に基板9の回転速度とおよそ等しい回転速度にて中心軸J1を中心として回転する。基板9の上面91に近接して遮蔽板51が配置されることにより、基板9から飛散した処理液が、基板9の上面91に再付着することを抑制(または防止)することができる。また、遮蔽板51が回転することにより、遮蔽板51の上面511および下面512に付着した処理液を周囲へと飛散させ、遮蔽板51上から除去することができる。
基板処理装置1では、ステップS19において、上部中央ノズル181の第2ガス噴出口185(図2参照)を介して、遮蔽板51の下面512と基板9の上面91との間の空間に窒素ガスが供給される。これにより、基板9と遮蔽板51との間の空間から、より一層速やかに処理液を排出することができ、基板9の乾燥を促進することができる。
基板9の乾燥処理が終了すると、第1移動機構41および第2移動機構42が駆動することにより、遮蔽板51およびチャンバ蓋部23が上方へと移動する。チャンバ蓋部23は、図3に示す下位置から図1に示す上位置へと移動する。これにより、チャンバ蓋部23とチャンバ本体22とが上下方向に離間し、チャンバ21が開放される。その後、上述の一連の処理が施された基板9が、ハウジング11に設けられた搬出入口(図示省略)からハウジング11外へと搬出される(ステップS20)。また、遮蔽板51は、チャンバ蓋部23に対して相対的に下降し、蓋底面部234と接して下部開口232を閉塞する。そして、ガス供給部812から供給される窒素ガスにより、ステップS11と同様に、蓋内部空間231に窒素ガスが充填される。基板処理装置1では、複数の基板9に対して順次、上述のステップS11〜S20が行われる。
以上に説明したように、基板処理装置1では、チャンバ蓋部23の蓋内部空間231に、径方向の大きさが下部開口232よりも大きい遮蔽板51が設けられる。そして、基板9が搬入されてチャンバ21が形成されるよりも前に、ステップS11において、遮蔽板51が下部開口232に重ねられた状態で、ガス供給部812から供給されるガスがチャンバ蓋部23の蓋内部空間231に充填される。これにより、チャンバ21の形成後、チャンバ21内を迅速に所望のガス雰囲気とすることができる。その結果、チャンバ21の形成から当該ガス雰囲気における基板9の処理開始までの時間を短縮することができ、基板処理装置1の生産性を向上することができる。
基板処理装置1では、上述のように、ガス供給部812から供給されるガスを窒素ガス等の不活性ガスとすることにより、低酸素雰囲気における基板9の液処理を迅速に行うことができる。その結果、基板9の上面91上に設けられた金属膜の酸化等を抑制することができる。
上述のように、チャンバ蓋部23は、蓋本体部233と、蓋底面部234とを備える。ステップS11では、遮蔽板51の下面512が蓋底面部234の上面235と接することにより、チャンバ蓋部23の下部開口232が閉塞される。これにより、蓋内部空間231へのガスの充填を迅速かつ容易に行うことができる。
ステップS13においてチャンバ21が形成された状態では、基板9が、予めガスが充填されている蓋内部空間231に位置する。これにより、チャンバ21の形成直後から、基板9の周囲を速やかに所望のガス雰囲気とすることができる。
上述のように、ステップS15では、基板9を蓋内部空間231に配置した状態でガス置換処理が行われ、ステップS16において、第2移動機構42および第3移動機構43によりチャンバ21が上位置へと移動することにより、基板9が蓋内部空間231から本体内部空間221へと相対的に移動する。また、ステップS17では、基板9を本体内部空間221に配置した状態で基板9に対する液処理が行われ、ステップS18において、第2移動機構42および第3移動機構43によりチャンバ21が下位置へと移動することにより、基板9が本体内部空間221から蓋内部空間231へと相対的に移動する。そして、ステップS19において、基板9を蓋内部空間231に配置した状態で基板9の乾燥処理が行われる。
このように、基板処理装置1では、第2移動機構42および第3移動機構43が、基板9を、蓋内部空間231と本体内部空間221との間にてチャンバ21に対して相対的に移動する基板移動機構として機能する。当該基板移動機構による基板9の相対移動は、
チャンバ21内において、遮蔽板51がチャンバ蓋部23の下部開口232から上方に離間している状態で、下部開口232および上部開口222を介して行われる。これにより、基板9に対する複数の処理(すなわち、ガス置換処理、液処理および乾燥処理の一連の処理)が行われる空間を、処理内容に合わせて、本体内部空間221と蓋内部空間231との間で切り替えることができる。
ステップS17における液処理では、チャンバ蓋部23の下方に配置されるカップ部225により、回転する基板9から飛散する処理液が受けられる。これにより、液処理に使用された処理液を容易に回収することができる。カップ部225の周囲には、上述のように、チャンバ蓋部23と接することによりチャンバ21を形成する外筒部223が設けられる。外筒部223の上部とカップ部225との間の間隙が外筒接続部224により閉塞されることにより、チャンバ21内においてガス供給部812からのガスを充填する空間を小さくすることができる。その結果、ステップS15におけるガス置換処理に要する時間を短縮することができる。
ステップS17における液処理では、必ずしも、上述の略円筒状の気流が形成される必要はない。上述の略円筒状の気流がチャンバ21内に形成されない場合であっても、蓋内部空間231の気圧を本体内部空間221の気圧よりも高くして蓋内部空間231を陽圧状態とすることにより、処理液のミストやヒューム等が、遮蔽板51と蓋底面部234との間の間隙から蓋内部空間231へと進入することを抑制することができる。
上記基板処理装置1では、様々な変更が可能である。
例えば、ステップS15のガス置換処理では、遮蔽板51の下面512の中央部に設けられた第2ガス噴出口185からのガスの噴出は行われなくてもよい。ステップS17の液処理、および、ステップS19の乾燥処理においても同様である。この場合、第2ガス噴出口185は省略されてもよい。
ステップS17の液処理では、遮蔽板51の下面512がチャンバ蓋部23の蓋底面部234に接することにより、チャンバ蓋部23の下部開口232が遮蔽板51により閉塞されていてもよい。この場合であっても、処理液のミストやヒューム等が蓋内部空間231へと進入することを抑制することができる。
ステップS19の乾燥処理では、基板9の上面91に近接する遮蔽板51が、基板保持部31に周方向に固定され、基板回転機構35により、基板9および基板保持部31と共に回転してもよい。この場合も、上記と同様に、乾燥処理の際に基板9への処理液の再付着を防止しつつ、遮蔽板51上からも処理液を除去することができる。遮蔽板51が基板回転機構35により回転する場合には、遮蔽板回転機構55は省略されてよい。
図1に示す例では、上述のチャンバ開閉機構が、チャンバ蓋部23を移動する第2移動機構42と、チャンバ本体22のカップ部225を移動する第3移動機構43とを含むが、例えば、第2移動機構42および第3移動機構43の一方が省略され、他方のみがチャンバ開閉機構として利用されてもよい。また、図1に示す例では、遮蔽板移動機構が、遮蔽板51を移動する第1移動機構41と、チャンバ蓋部23を移動する第2移動機構42とを含むが、第1移動機構41および第2移動機構42の一方が省略され、他方のみが遮蔽板移動機構として利用されてもよい。
図1に示す例では、上述の基板移動機構が、チャンバ蓋部23を移動する第2移動機構42と、チャンバ本体22のカップ部225を移動する第3移動機構43とを含むが、基板移動機構は、例えば、チャンバ21が停止した状態で、基板保持部31をチャンバ21内において上下方向に移動する機構であってもよい。
基板処理装置1では、ステップS13においてチャンバ21が形成される際に、必ずしも、チャンバ蓋部23が上位置から下位置へと移動する必要はない。ステップS13では、例えば、チャンバ本体22のカップ部225が、図1に示す下位置から図4に示す上位置へと第3移動機構43により移動することにより、チャンバ21が形成されてもよい。この場合、ステップS13と並行して行われるステップS14では、第1移動機構41により遮蔽板51が上方へと移動し、チャンバ蓋部23の下部開口232から上方に離間する。また、ステップS15において、基板9が本体内部空間221に位置した状態でガス置換処理が行われる。このため、基板9の蓋内部空間231から本体内部空間221への相対移動(ステップS16)は省略され、ステップS15に続いて、基板9の液処理(ステップS17)が行われる。
基板処理装置1では、例えば、図1に示すチャンバ蓋部23に代えて、図7に示すように、チャンバ本体22よりも外径が小さいチャンバ蓋部23aが設けられてもよい。図7に示す例では、有蓋略円筒状のチャンバ蓋部23aの外周下端部が、チャンバ本体22のカップ部225の上面と接することにより、チャンバ本体22の上部開口222がチャンバ蓋部23aにより閉塞され、チャンバ21が形成される。また、チャンバ蓋部23aには蓋底面部234(図1参照)は設けられず、下部開口232の径方向の大きさはチャンバ蓋部23aの径方向の大きさにおよそ等しい。蓋内部空間231には、径方向の大きさがチャンバ蓋部23aの外径よりも僅かに小さい遮蔽板51が配置される。遮蔽板51が、チャンバ蓋部23の下部開口232と上下方向に関して略同じ位置にて、下部開口232に平面視において重ねられることにより、その周囲にわずかの隙間を残すものの、下部開口232が実質的に閉塞される。この状態で、ガス供給部812からのガスが蓋内部空間231に充填される。
また、基板処理装置1では、図1に示す遮蔽板51に代えて、図8に示すように、下部開口232の直径よりも外径がわずかに小さい遮蔽板51aが設けられてもよい。図8に示す例では、径方向の大きさが下部開口232の直径よりも僅かに小さい遮蔽板51aが、蓋内部空間231に配置される。遮蔽板51aが、チャンバ蓋部23の下部開口232と上下方向に関して略同じ位置にて、下部開口232に平面視において重ねられることにより、その周囲にわずかの隙間を残すものの、下部開口232が実質的に閉塞される。この状態で、ガス供給部812からのガスが蓋内部空間231に供給されて充填される。
基板処理装置1では、半導体基板以外の様々な基板に対する処理が行われてもよい。また、基板処理装置1では、ポリマー除去やエッチングに限らず、塩酸やフッ酸など様々な処理液を用いて、低酸素環境下で行うことが望ましい様々な液処理を行うことができる。低酸素状態を実現するためにチャンバ21に供給されるガスも、窒素ガスには限定されず、アルゴン等の他の不活性ガスであってもよい。チャンバ21に供給されるガスは、チャンバ21内を所望のガス雰囲気とするためのガス、例えば、ガス組成比が管理された混合ガス(すなわち、複数種類のガスが混合されたもの)であってもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
1 基板処理装置
9 基板
21 チャンバ
22 チャンバ本体
23,23a チャンバ蓋部
31 基板保持部
35 基板回転機構
41 第1移動機構
42 第2移動機構
43 第3移動機構
51,51a 遮蔽板
91 (基板の)上面
185 第2ガス噴出口
221 本体内部空間
222 (チャンバ本体の)上部開口
223 外筒部
224 外筒接続部
225 カップ部
226a 本体排出ポート
231 蓋内部空間
232 (チャンバ蓋部の)下部開口
233 蓋本体部
234 蓋底面部
235 (蓋底面部の)上面
237 蓋部排出ポート
512 (遮蔽板の)下面
811 処理液供給部
812 ガス供給部
J1 中心軸
S11〜S20 ステップ

Claims (8)

  1. 基板を処理する基板処理装置であって、
    水平状態で基板を保持する基板保持部と、
    下部開口を有し、前記下部開口の上方に蓋内部空間を形成するチャンバ蓋部と、
    前記下部開口と上下方向に対向する上部開口を有し、本体内部空間を形成するチャンバ本体と、
    前記チャンバ蓋部を前記チャンバ本体に対して前記上下方向に相対的に移動し、前記上部開口を前記チャンバ蓋部により覆うことにより、前記基板保持部を内部に収容するチャンバを形成するチャンバ開閉機構と、
    前記基板の上面に処理液を供給する処理液供給部と、
    前記蓋内部空間に配置されて前記基板の前記上面に対向し、前記下部開口を閉塞可能な遮蔽板と、
    前記遮蔽板を前記蓋内部空間において前記チャンバ蓋部に対して前記上下方向に相対的に移動する遮蔽板移動機構と、
    前記遮蔽板が前記チャンバ蓋部の前記下部開口に重ねられた状態で前記蓋内部空間にガスを供給するガス供給部と、
    を備えることを特徴とする基板処理装置。
  2. 請求項1に記載の基板処理装置であって、
    前記基板を前記基板保持部と共に前記チャンバに対して前記上下方向に相対的に移動する基板移動機構をさらに備え、
    前記遮蔽板が前記チャンバ蓋部の前記下部開口から離間している状態で、前記基板が、前記基板移動機構により前記チャンバ内において前記蓋内部空間と前記本体内部空間との間を前記下部開口および前記上部開口を介して相対的に移動することを特徴とする基板処理装置。
  3. 請求項1または2に記載の基板処理装置であって、
    前記チャンバ蓋部が、
    上下を反転したカップ状の蓋本体部と、
    前記蓋本体部の下端部から径方向内方に拡がるとともに中央部に前記下部開口が設けられた環状の蓋底面部と、
    を備え、
    前記下部開口に重ねられた前記遮蔽板の下面が、前記下部開口の周囲の全周に亘って前記蓋底面部の上面に接することにより前記下部開口を閉塞することを特徴とする基板処理装置。
  4. 請求項3に記載の基板処理装置であって、
    前記蓋底面部の前記上面が、前記径方向外方へと向かうに従って下方に向かい、
    前記チャンバ蓋部の前記蓋底面部と前記蓋本体部との接続部に、前記蓋内部空間内の液体を排出する排出ポートが設けられることを特徴とする基板処理装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記遮蔽板の下面の中央部にガス噴出口が設けられ、
    前記ガス供給部により、前記ガス噴出口を介して前記遮蔽板の前記下面と前記基板の前記上面との間の空間に前記ガスが供給されることを特徴とする基板処理装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記上下方向を向く中心軸を中心として前記基板を前記基板保持部と共に回転する基板回転機構をさらに備え、
    前記チャンバ本体が、
    前記チャンバ蓋部の下方にて前記基板保持部の径方向外側に全周に亘って位置し、回転する前記基板から飛散する処理液を受けるカップ部を備えることを特徴とする基板処理装置。
  7. 請求項6に記載の基板処理装置であって、
    前記チャンバ本体が、
    前記カップ部の前記径方向外側に全周に亘って位置し、前記チャンバ蓋部と接することにより前記チャンバを形成する外筒部と、
    前記外筒部の上端部と前記カップ部との間の間隙を閉塞する外筒接続部と、
    をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
  8. 請求項2ないし5のいずれかに記載の基板処理装置であって、
    前記上下方向を向く中心軸を中心として前記基板を前記基板保持部と共に回転する基板回転機構をさらに備え、
    前記蓋内部空間において前記基板が前記基板回転機構により回転する際に、前記遮蔽板が前記基板に近接した位置にて前記中心軸を中心として回転することを特徴とする基板処理装置。
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