JP2015192013A - スピン流熱電変換素子とその製造方法および熱電変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱電変換による出力を安定化し、かつ熱源への実装の自由度を有するスピン流熱電変換素子を提供する。
【解決手段】磁性体と、前記磁性体に磁気的に結合した起電体と、を有し、前記磁性体は、形状磁気異方性による少なくとも一つの磁化容易軸を有し、前記磁化容易軸の少なくとも一方向に磁化し、前記起電体は、前記磁性体の前記磁化容易軸に平行な面に設けられた、スピン流熱電変換素子である。
【選択図】図2

Description

本発明は、スピンゼーベック効果及び逆スピンホール効果に基づく熱電変換素子に関する。
近年、「スピントロニクス(spintronics)」と呼ばれる電子技術が脚光を浴びている。既存のエレクトロニクスは、電子の1つの性質である「電荷」だけを利用してきたが、スピントロニクスは、それに加えて、電子の他の性質である「スピン」をも積極的に利用する。特に、電子のスピン角運動量の流れである「スピン流(spin−current)」は重要な概念である。スピン流のエネルギー散逸は少ないため、スピン流を利用することによって高効率な情報伝達を実現できる可能性がある。従って、スピン流の生成、検出、制御は重要なテーマである。
例えば、電流が流れるとスピン流が生成される現象が知られている。これは、「スピンホール効果(spin−Hall effect)」と呼ばれている。また、その逆の現象として、スピン流が流れると起電力が発生することも知られている。これは、「逆スピンホール効果(inverse spin−Hall effect)」と呼ばれている。逆スピンホール効果を利用することによって、スピン流の発生を起電力や電流のかたちで検出することができる。尚、スピンホール効果も逆スピンホール効果も、「スピン軌道相互作用(spin orbit coupling)」が大きな物質(例:Pt、Pd)において発現する。
また、最近の研究により、磁性体における「スピンゼーベック効果(spin−Seebeck effect)」の存在も明らかになっている。スピンゼーベック効果とは、磁性体に温度勾配が印加されると、温度勾配と平行方向にスピン流が誘起される現象である(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。すなわち、スピンゼーベック効果により、熱がスピン流に変換される(熱スピン流変換)。特許文献1では、強磁性金属であるNiFe膜におけるスピンゼーベック効果が報告されている。非特許文献1、2では、イットリウム鉄ガーネット(YIG、YFe12)といった磁性絶縁体と起電体膜との界面におけるスピンゼーベック効果が報告されている。
尚、温度勾配によって誘起されたスピン流は、上述の逆スピンホール効果を利用して電界(電流、電圧)に変換することが可能である。つまり、スピンゼーベック効果と逆スピンホール効果を併せて利用することによって、温度勾配を電気に変換する「熱電変換」が可能となる。
まず図1を参照して、非特許文献2に記載の縦型と呼ばれるスピン流熱電変換素子の、熱電変換の機構を説明する。縦型スピン流熱電変換素子は、互いに接する磁性体101と起電体102によって構成される。磁性体101が図中+x方向に磁化103を有し、さらに、−z方向に温度勾配104を印加すると、熱スピン流105が+z方向、すなわち温度の高い方から低い方へ流れる。この熱スピン流105は、さらに磁性体101と起電体102で、スピン注入と呼ばれる過程を経て、起電体102へ純スピン流106を発生させる。
スピン注入とは、磁性体101と起電体102の界面近傍で磁化方向を中心に歳差運動するスピンが、起電体102中のスピンを持たない伝導電子と相互作用し、スピン角運動量を受け渡したり、受け取ったりする現象である。
その結果、起電体102中のスピン注入界面付近には、スピンを持った伝導電子が移動し純スピン流が生成する。この純スピン流は、アップスピンとダウンスピンを持った伝導電子が互いに逆方向に同量流れる。その結果、電荷移動は存在しないが、スピンの符号は互いに異なるためスピン角運動量だけが流れる現象である。
本明細書では、このスピン注入現象が起こりうる状態を磁気的に結合していると表現する。このスピン注入現象は、磁性体101と起電体102が直接接触している場合、もしくは直接接触はしていなくても、スピン角運動量が伝達しうる程度に接近している場合に生じるものである。すなわち、磁性体101と起電体102の間に空隙が存在する場合や、中間層が挿入されている場合であっても、スピン注入現象が起こり得る場合は、磁気的な結合があると考える。
この時、起電体102が大きなスピン軌道相互作用を持つ材料であった場合、スピン流方向と磁化方向とに直交する方向への逆スピンホール効果による伝導電子の動き107が生じ、結果として−y方向の電流108を生成する。
これらスピン流熱電変換素子において、得られる起電力の大きさは、磁性体101で発生するスピン流の大きさに、磁性体101と起電体102との界面におけるスピン流の注入効率、さらに起電体102における逆スピンホール効果によって起電力に変換される効率の二つの効率を掛け合わせて得ることが出来る。従って、スピン流そのものの大きさ、スピン流注入効率、起電体102のスピン流−電流変換効率の3つの指標を同時に大きくすることが、スピン流熱電変換素子の基本性能を高めるために必要である。
加えて、ある基本性能の素子を効率良く活用するため、すなわち実用の観点で備えるべき要素が二つある。その一つは、熱源への実装の容易さである。
既存の半導体熱電変換素子は、p型、n型の半導体のブロックを複雑に接続した構造を持つため、素子の構造を自由に変更しにくい。そのため、通常は平坦な熱接触面を持つタイル型の形状を有する。そのため、熱源側も平坦な熱接触面を備えておく必要がある。加えて、熱接触面の大きさに比例して熱電出力が向上するため、できるだけ広く、平坦な熱接触面をあらかじめ備えておくことが好ましい。
しかしながら、実際に廃熱が発生している部分は、熱水が通る配管や、フィン型の放熱構造を持つ熱交換機など、複雑な表面を有していることがむしろ一般的である。すなわち、複雑な形状や、様々な広さを持つ表面への実装を行うためには、熱電変換素子自身を、特定の熱源向けに設計するところから行わなくてはならない。その結果、素子を低価格にすることが非常に難しい。
もう一つの要素は、実装したデバイス全体の保磁力である。スピンゼーベック効果が発現するためには、磁性体が磁化している必要がある。そのために、外部磁場により強制的に磁化することも可能であるが、実用上は、ある一定の保磁力を持つ磁性体を用い、その磁化によってスピンゼーベック効果を得ることが想定される。
しかしながら、磁性体の磁化は、キュリー温度以上の高温状態にさらされたり、保磁力以上の外部磁場にさらされたりすることによって、損なわれる可能性がある。その結果、素子全体や、素子の一部分の磁化方向が変わってしまった場合、素子に発生する電流の向きも部分的に変わってしまう。これにより、素子にあらかじめ備えられている端子間に、効率よく電流を発生できなくなってしまうことが予想される。
改めて、磁性体の磁化を揃える着磁処理を行えば、素子の動作は回復するが、一般的に着磁するには、大型のコイルに大電流を流して行う必要があるため、熱電変換装置などに実装されている素子に対して行うことは、実質的には困難である。
特開2009−130070号公報 特開2011−249746号公報 特開平7−188934号公報 特開平9−20980号公報
Uchida et al.,"Spin Seebeck insulator",Nature Materials,2010,vol.9,p.894. Uchida et al.,"Observation of longitudinal spin−Seebeck effect in magnetic insulators",Applied Physics Letters,2010,vol.97,p172505.
上記のとおり、実用的なスピン流熱電変換素子を作製する上では、熱源のサイズに合わせて、容易に素子の大きさを調整できることが必要である。また、平坦ではない熱交換面を持つ熱源に適用できることが必要である。
加えて、磁化の安定性に優れた磁性体を用いる必要がある。これを実現する方法の一つに、磁性体の形状磁気異方性の利用が挙げられる。磁化が反転しにくい形状の磁性体を用いれば、より磁化の反転や消失する可能性を低減できるため効果的である。この時、磁化が反転しにくい形状とは、球形ではない形状であり、特に、より一次元的な形状がそれに相当する。
しかしながら、熱電変換素子として用いる場合には、素子をある一定の面積を覆うように設置し、その面を垂直に横切る熱流を電力に変換する必要がある。すなわち、磁性体が一次元的な形状を持つ場合、その磁性体を二次元的に実装する方法に課題が残る。
また、磁性体がより大きくなるにしたがって、磁性体が単一の磁化方向を持つのではなく、異なる磁化方向を持つ磁区が、磁壁を隔てて複数共存する状態が安定的になる場合がある。スピン流熱電変換素子を使用している間に、磁性体の磁化の安定状態が、磁区の再配置などによって変化してしまう場合があり、出力を安定に保つ上で大きな課題である。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱電変換による出力を安定化し、かつ熱源への実装の自由度を有するスピン流熱電変換素子とその製造方法および熱電変換装置を提供することである。
本発明によるスピン流熱電変換素子は、磁性体と、前記磁性体に磁気的に結合した起電体と、を有し、前記磁性体は、形状磁気異方性による少なくとも一つの磁化容易軸を有し、前記磁化容易軸の少なくとも一方向に磁化し、前記起電体は、前記磁性体の前記磁化容易軸に平行な面に設けられている。
本発明によるスピン流熱電変換素子の製造方法は、前記スピン流熱電変換素子の製造方法において、前記磁性体を、焼結法、溶融法、結晶引き上げ法、線引き炉を用いた磁性絶縁体ファイバー作製法から選択される少なくとも一つで形成し、前記起電体を、スパッタ法、蒸着法、メッキ法、スクリーン印刷法、インクジェット法、スプレー法、スピンコート法、ナノコロイド溶液の塗布・焼結法から選択される少なくとも一つで形成し、前記磁性体を、外部磁界を印加して磁化する。
本発明による熱電変換装置は、前記スピン流熱電変換素子と、前記スピン流熱電変換素子の起電体に接続し、前記起電体の逆スピンホール効果により発生する電流を取り出す出力端子とを有する。
本発明によれば、熱電変換による出力を安定化し、かつ熱源への実装の自由度を有するスピン流熱電変換素子とその製造方法および熱電変換装置を提供することができる。
縦型のスピン流熱電変換素子が機能するメカニズムを概略的に示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係るスピン流熱電変換素子の構造を概略的に示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係るスピン流熱電変換素子が機能するメカニズムを概略的に示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係るモジュール構造を模式的に表した図である。 本発明の第1の実施形態に係る実施例1のモジュール構造を模式的に表した図である。 本発明の第1の実施形態に係る実施例1の熱電変換装置を模式的に表した図である。 本発明の第1の実施形態に係る実施例2のモジュール構造を模式的に表した図である。 本発明の第2の実施形態に係るスピン流熱電変換素子の構造を模式的に表した図である。 本発明の第2の実施形態に係るスピン流熱電変換素子のモジュール構造を模式的に表した図である。 本発明の第2の実施形態に係るスピン流熱電変換素子のモジュール構造を模式的に表した図である。 本発明の第3の実施形態に係る熱電変換装置の構造を模式的に表した図である。
以下、本発明の実施形態に係るスピン流熱電変換素子とその製造方法および熱電変換装置について、図を参照しながら詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。
(第1の実施形態)
(スピン流熱電変換素子の構造)
まず、第1の実施形態のスピン流熱電変換素子の構造を、図2を参照して説明する。
図2は、本実施形態のスピン流熱電変換素子の構造を概略的に示す斜視図である。スピン流熱電変換素子201は、x方向に延伸した磁性体202を有する。磁性体202は、中空でない円や楕円、多角形のy−z断面を有し、x方向の長さは、yもしくはz方向の長さの大きな方と比較して2倍以上大きいことを特徴とし、さらに10倍以上とすることが好ましい。さらに、磁性体202の六つの側面の内、y−z面に平行な二つの側面を除いた周囲に、磁性体202に磁気的に結合した起電体203を備えている。
磁性体202は、x方向に沿って磁化204を有している。磁性体202のx方向の長さが、y方向とz方向のどちらか大きい方の長さに対して100倍以上に長い場合、磁性体が全体にわたって一方向の磁化を持つのではなく、例えば、細長い磁性体の場合は長軸方向を区切るように複数の磁区に分かれ、隣り合う磁区では磁化が反転した状態で安定化することがある。この場合、磁化が異なる領域では、熱電変換によって生じる電流の方向が反転してしまうために、素子内部に短絡経路が発生し、素子の出力が低下してしまう。このため、必要以上にx方向を長くすることはむしろ好ましくない。
(スピン流熱電変換素子の動作)
次に、本実施形態のスピン流熱電変換素子の動作を、図3と図4を参照して説明する。
図3は、本実施形態のスピン流熱電変換素子が機能するメカニズムを概略的に示す斜視図であり、スピン流熱電変換素子の内部に発生するスピン流や電流の向きを模式的に表している。スピン流熱電変換素子は、磁性体301と起電体302で構成され、磁性体301は磁化303を有し、素子に温度勾配304を印加した場合を説明する。
素子の上部では、図1で説明した場合と同じ構成であり、図中の向きの通り、上部電流305が生じる。一方、素子の下部で発生する下部電流306も、結果として上部電流305と同じ向きに発生する。
ここで下部電流が発生する方向を、図1の構成に照らし合わせて詳しく確認するため、図1のxyz軸をx軸中心に180度回転した、図3中のxyz軸を参照して説明する。
図3を図1と比較すると、磁化303の方向は両者とも+x方向で同じであることが確認できる。一方、温度勾配は−zから+zに反転しており、下部スピン流307は磁性体と起電体の界面から流れ出す方向に生じている。その結果、起電体302の下部で生じる純スピン流中のアップ/ダウンスピンを持つ伝導電子の動きが反転する点だけが、図1の構成との相違である。その結果、下部電流307は、図1と逆の+y方向に発生する。すなわち上部電流305と同じ向きに電流が発生する。
このように、素子全体に温度勾配304がある場合、図3の素子の上部と下部とで同じ方向に電流が生じるため、図3の素子の側面にあたるx−z面に平行な対向する二つの面では、おのおのの面内ではほぼ等電位となり、二つの面間には起電力が発生する。すなわち、x−z面に平行な二つの側面に出力端子を設けることにより、起電体302の逆スピンホール効果により発生する電流を取り出すことができる。
この時、素子の断面に相当するy−z面に平行な二つの面にも起電体302が存在した場合、この面にはスピン流の流出入がなく、起電力は発生しない。すなわち、導電性の起電体は、素子のx−z側面間に発生した起電力の短絡パスとなってしまう。従って、素子のy−z面に平行な二つの面には起電体が存在しないことが好ましい。
図4は、二つ以上のスピン流熱電変換素子401を、互いのx−z面が接するように集積したスピン流熱電変換モジュール402を構成した模式図である。このようにすれば、x−y面を広範囲に覆うことが可能となり、より大きな熱流403がモジュールのz軸方向に通過する。その結果、−y方向に覆った面積に比例した出力電流404を取り出すことができ、電力出力も面積に比例して大きくなる。すなわち、スピン流熱電変換モジュール402のx−z面に平行な両端の二つの側面に出力端子を設けることにより、起電体の逆スピンホール効果により発生する出力電流404を取り出すことができる。
(スピン流熱電変換素子の材料)
次に、本実施形態のスピン流熱電変換素子に用いる材料を、図2を参照して説明する。
磁性体201は、スピンゼーベック効果を発現する材料で形成される。磁性体は、強磁性やフェリ磁性、反強磁性などの磁性を有する材料で、金属であってもよいし、半導体や絶縁体であってもよい。例えば、強磁性金属であれば、NiFe、CoFe、CoFeBなどの、Fe、Co、Niから選択される少なくとも一つを含む金属が挙げられる。
また、磁性絶縁体であれば、イットリウム鉄ガーネット(YIG,YFe12)、ビスマス(Bi)をドープしたYIG(Bi:YIG)、ランタン(La)を添加したYIG(LaYFe12)、イットリウムガリウム鉄ガーネット(YFe5−xGa12)が挙げられる。また、組成MFe(Mは金属元素で、Ni、Zn、Coのいずれかを含む)からなるスピネルフェライト材料が挙げられる。
また、磁性半導体であれば、組成CuMOやSrMO(Mは金属元素で、Mn、Ni、Co、Feのいずれかを含む)、Feなどの、Fe、Co、Niから選択される少なくとも一つを含む半導体的性質を持つ磁性酸化物(磁性酸化物半導体)が挙げられる。尚、電子による熱伝導を抑えるという観点から言えば、絶縁体や半導体を用いることが望ましい。
起電体202は、逆スピンホール効果(スピン軌道相互作用)を発現する導電体を用いることができる。例えば、スピン軌道相互作用の比較的大きなAuやPt、Pd、Ni、Fe、Biその他d軌道やf軌道を有する遷移金属、またはそれらを含有する合金材料を用いる。また、Cuなどの一般的な金属膜材料に、Feや、Irなどの材料を0.5〜10mol%程度ドープするだけでも、同様の効果を得ることができる。
また、遷移金属の中でもW、Ta、Mo、Nb、Cr、V、Tiを用いると、AuやPt、Pd、これらを含有する合金とは、逆符号の電圧を得ることが出来る。すなわち、逆スピンホール効果によって発生する電流の向きが反対になる。また、起電体は、ITO(酸化インジウムスズ)などの酸化物伝導体や、組成CuMOやSrMO(Mは金属元素で、Mn、Ni、Co、Feのいずれかを含む)などの磁性酸化物半導体であってもよい。
(スピン流熱電変換素子の製造方法)
次に、本実施形態のスピン流熱電変換素子の製造方法を、同じく図2を参照して説明する。
まず、磁性体201の形成方法としては、焼結法、溶融法、結晶引き上げ法、線引き炉を用いた磁性絶縁体ファイバー作成法等を用いて、バルク体を磁性体として用いることが出来る。
起電体202の形成方法は、スパッタ法、蒸着法、メッキ法、スクリーン印刷法、インクジェット法、スプレー法及びスピンコート法などのいずれかの方法で成膜する方法が挙げられる。また、ナノコロイド溶液の塗布・焼結(特許文献3、特許文献4)などを用いることができる。
以下、第1の実施形態について、実施例を用いてさらに具体的に説明する。
(実施例1)
本実施形態の具体的な例として実施例1を、図5乃至6を参照して説明する。
まず、焼結法を用いてスピン流熱電変換素子501に用いる磁性体502を作製した。平均粒径約5μmに破砕したイットリウム鉄ガーネット(YIG、組成はYFe12)の粉末を、100%の酸素雰囲気中で800℃、24時間熱処理を施したあとで、直径5cm厚さ3mmの円形基板状に200kgf/cmの圧力をかけて成形した。続いて100%の酸素雰囲気中で1200℃、24時間の焼成処理を行って、磁性体502の母材となる焼結YIG基板を作製した。
焼結YIG基板は、切断加工によって長さ3cm、断面が1mm×1mmの正方形となる角柱状に切り出し、さらに全表面の研磨処理を施して磁性体502を得た。
続いて、起電体503を、マグネトロンスパッタ装置を用いて形成した。研磨後の磁性体502は、HPM洗浄(塩酸過酸化水素水洗浄)と10分間の流水洗浄後に大気中に取出し、乾燥窒素を吹き付けて水分を除去した直後に、スパッタ真空室に導入し、十分に真空引きを行った。
スパッタ真空室中で、磁性体502は角柱の長軸方向がスパッタターゲットと並行になるように保持してあり、また磁性体502は、真空中で長軸方向を軸として360°回転できるようになっている。起電体503には、4インチ径の白金ターゲットからスパッタ蒸着される白金膜を用いた。白金膜の厚さが平均して10nmになるように、磁性体502の回転速度とスパッタ蒸着の時間、プラズマの出力を調整して起電体503を得た。
最後に、1mm×1mmサイズの二つの端面に蒸着された白金膜を軽く研磨して除去することでスピン流熱電変換素子501を得た。
このスピン流熱電変換素子501を、y方向に6本、z方向に3本集積してスピン流熱電変換モジュール504を組み立てた。
図6は、スピン流熱電変換モジュール504(601)の実装構造体である熱電変換装置600を模式的に表した図である。あらかじめ必要なモジュールサイズに合わせて作成しておいたアルミナ製の型枠602に、スピン流熱電変換素子を並べることで、スピン流熱電変換モジュール601に集積する。アルミナ製の型枠602は、素子が隙間なく収まるように精度よく作製し、y軸方向に対抗する二つの辺には、型枠602の内側と外側が一続きになるよう、それぞれ銅めっきを施した電極である出力端子603と出力端子604を形成した。
以上の工程を経て、スピン流熱電変換モジュール601の実装構造体である熱電変換装置600を得た。出力端子603と604の内部抵抗は、2.1オームだった。モジュールの磁性体をx方向に磁化させた。z方向には低温側の熱浴温度を23℃とし、高温側から10kW/mの熱流を与えると、高温側と低温側の温度差は5.5℃となった。このとき、出力端子603と604間には、55μVの解放電圧が観測された。
スピン流熱電変換素子501単体の出力を同様の条件で測定した結果、内部抵抗は1.0オーム、出力電圧は10μVであったため、積層によって14.4倍の出力電力増加の効果を得ることができた。また、出力電力は、素子の集積数に応じて容易に増減できることを確認した。
(実施例1の変形例1)
実施例1の起電体503の形成に、市販の白金コロイドを用いた変形例1の説明を行う。
磁性体502の作製は、実施例1と同様に行った。研磨処理後の磁性体502は、O.D.(光学濃度)0.5程度に希釈し、1%のポリエチレングリコール(平均分子量300kDa)を加えて濃度調整した白金コロイド液に浸漬し、1cm/秒の速度で引き上げ乾燥させた。
乾燥後の素子は、それぞれ450℃の大気中で1時間熱処理を行った後、図5の様に18本の素子を集積し、y−z方向に圧力をかけた状態で、真空中で900℃1時間の熱利処理を行った。最後に、素子を集積した状態で、y−z面を軽く研磨した後で、熱電変換モジュールとして組み立てた。
以上の工程を経て製造したスピン流熱電変換モジュール601は、電極である出力端子603と出力端子604の内部抵抗は、12オームだった。モジュールの磁性体をx方向に磁化させた。z方向には低温側の熱浴温度を23℃とし、高温側から10kW/mの熱流を与えると、高温側と低温側の温度差は5.7℃となった。このとき、出力端子603と出力端子604間には、28μVの解放電圧が観測された。
スピン流熱電変換素子501単体の出力を同様の条件で測定した結果と比較して、集積によって15.9倍の出力電力増加の効果を得ることができた。また、出力電力は、素子の集積数に応じて容易に増減できることを確認した。
(実施例1の変形例2)
実施例1の起電体503の形成に、ニッケルメッキを用いた変形例2の説明を行う。
磁性体502の作製は、実施例1と同様に行った。研磨処理後の磁性体502を、HPM洗浄と10分間の流水洗浄後に、市販の無電解ニッケルメッキ液を用いて膜厚50nmとなるようにメッキ処理を行った。
さらに、図5の様に18本の素子を集積し、y−z方向に圧力をかけた状態で、真空中で900℃1時間の熱利処理を行い、各素子を固着させスピン流熱電変換モジュール504を得た。
以上の工程を経て製造した、スピン流熱電変換モジュール504は、出力端子間の内部抵抗は、1.3オームだった。モジュールの磁性体をx方向に磁化させた。z方向には低温側の熱浴温度を23℃とし、高温側から10kW/mの熱流を与えると、高温側と低温側の温度差は5.5℃となった。このとき、出力端子間には、7.7μVの解放電圧が観測された。
スピン流熱電変換素子501単体の出力を同様の条件で測定した結果と比較して、集積によって13.8倍の出力電力増加の効果を得ることができた。また、出力電力は、素子の集積数に応じて容易に増減できることを確認した。
(実施例2)
本実施形態の具体的な例として実施例2を、図7を参照して説明する。図7は、実施例2のスピン流熱電変換モジュール704の構造を模式的に表した図である。
まず、光ファイバーなどのセラミックス細線を作製する方法として確立している線引き炉や、ゾルゲル法を用いてスピン流熱電変換素子701に用いるファイバー状磁性体702を作製した。ファイバー状磁性体702は円筒形の側面を有する。原料には、ビスマス置換イットリウム鉄ガーネット(BYIG、組成はBiFe12)を用いた。
起電体703は、ファイバー状磁性体702の円筒形の側面に設けられる。起電体703には、メッキ法を用いて作製したニッケル薄膜や、有機白金化合物を吹き付けながら焼成する化学基相堆積法による白金膜を用いることができる。
ファイバー線引き炉や、ゾルゲルファイバー製造装置などで磁性体702を作製し、またメッキや焼成プロセスにより起電体703を作製すれば、製造工程のほとんどを連続プロセスにすることができるため、素子作製のスループットが向上し、コストを低減できる。
さらに、一つながりの非常に長い素子を、所望の長さに切断して利用することができるため、用途に応じて様々な長さの素子を容易に作成することができる。加えて、切断した断面に相当する部分は、必然的に起電体が存在しないため、個別に一部の起電体を除去するプロセスを経る必要がない。この点でも、素子作製のスループットを向上し、コストを低減する。
すなわち、本実施例を用いれば、スピン流熱電変換素子701を低コストで作製することができ、スピン流熱電変換モジュール704をより大面積、低コストで作製できる。
さらに、スピン流熱電変換素子701は、湾曲させて集積することが容易である。すなわち、熱源が配管のように円筒形の側面を有していても、円筒形の側面に沿ってスピン流熱電変換素子701を湾曲させて集積したモジュールとすることができる。
以上、本実施形態および実施例に係るスピン流熱電変換素子によれば、集積する素子の数や長さおよび集積形状を変えることができるため、平面や湾曲した面を持つ熱源にも実装することが可能である。さらに、磁性体の磁化状態が安定化するため、熱電変換における出力の変動が長期に亘って抑制されたスピン流熱電変換素子を提供することができる。
すなわち、本実施形態および実施例によれば、熱電変換による出力を安定化し、かつ熱源への実装の自由度を有するスピン流熱電変換素子とその製造方法および熱電変換装置を提供することができる。
(第2の実施形態)
図8を参照して、本発明の第2の実施形態のスピン流熱電変換素子の構造を説明する。
図8は、本実施形態のスピン流熱電変換素子の構造を概略的に示す図である。スピン流熱電変換素子801は、x方向に延伸した磁性体802を有する。磁性体802は、中空でない円や楕円、多角形のy−z断面を有する。磁性体802は、x方向に磁化容易軸を有し、磁化容易軸の一方向に平行な磁化808を有する第1の磁区806と、第1の磁区806の磁化808と反平行な磁化809を有する第2の磁区807とを有する。磁性体802の材料は、第1の実施形態の磁性体材料と同様とすることができる。
さらに、スピン流熱電変換素子801は、第1の磁区806と磁気的に結合した第1の起電体804と、第2の磁区807と磁気的に結合した第2の起電体805とを有する。第1と第2の起電体には、逆スピンホール効果によって発生する電流の向きが互いに反対である材料を用いる。
例えば、第1の起電体804に、Au、Pt、Pd、Ir、Ni、Fe、Co、Biから選択される少なくとも一つを含む金属を用いた場合、第2の起電体805に、W、Ta、Mo、Nb、Cr、V、Tiから選択される少なくとも一つを含む金属を用いることができる。また、第1の起電体804と第2の起電体805の材料は、上記の逆であっても良い。
さらに、スピン流熱電変換素子801は、第1と第2の磁区の間に磁壁固定部803を有する。これにより、第1の磁区806と第2の磁区807との境界を固定することができ、磁性体の磁化状態がより安定化する。
図9Aおよび図9Bに、複数のスピン流熱電変換素子901を集積したスピン流熱電変換モジュールの構造を示す。スピン流熱電変換モジュール900の構造では、第1の起電体904と第2の起電体905とが交互に接続する構造(図9A)と、第1の起電体904同志、第2の起電体905同志が接続する構造(図9B)とが可能である。これは第1の起電体904と第2の起電体905とで、同一方向の起電力を発生するためである。
すなわち、スピン流熱電変換モジュール900のx−z面に平行な両端の対向する二つの側面に出力端子を設けることにより、起電体の逆スピンホール効果により発生する電流を取り出すことができる。
以下、第2の実施形態について、実施例を用いてさらに具体的に説明する。
(実施例3)
本実施形態の具体的な例として実施例3を、図8を参照して説明する。
本実施例のスピン流熱電変換素子801では、意図的に磁区と磁区との境界である磁壁を導入することで磁化を安定する。磁性体802としては、実施例2で用いたファイバー型素子作製方法を用いて、断面が0.1mmφ、長さが10cmの円柱状の磁性体を作製した後に、周囲にV字の切り込みを入れる加工を行ったものを使用した。
V字の切り込みの幅は約0.03mmで深さは0.01mmとし、長さ10cmの磁性体802のほぼ中央に1か所加工を施し、磁壁固定部803とした。さらに、磁壁固定部803を境界として、磁性体802を二つの領域に分け、一方に第1の起電体804として厚さ10nmの白金膜を作製し、もう一方に第2の起電体805として厚さ7nmのタングステン膜を作製した。
さらに、二つの端面を研磨して起電体の金属膜を除去した。最後に、第1の起電体804を備えている領域と、第2の起電体805を備えている領域に、それぞれ角柱形状の長軸に並行かつ互いに反並行となる向きの磁化808、809を与えるため、各起電体の長さに合わせた複数のコイルが連続していて、逆向きの磁場を発生する専用の着磁装置を用いて磁化した。
以上の工程を経て、第1の磁区806と第2の磁区807とを有するスピン流熱電変換素子801を得た。白金とタングステンでは、逆スピンホール効果によって発生する電流の向きが互いに反対になる性質があるため、温度勾配が同じ向きの場合、それぞれの起電体を備えている領域が互いに反並行の磁化を持つことで、結果として両方の起電体において同じ方向に起電力が生じる。
また、第1の起電体804と第2の起電体805には異なる材料を用いるため、しばしば逆スピンホール効果によるスピン流−電流変換の効率が異なることがある。その場合は、それぞれの起電体の膜厚を調整し、内部抵抗に応じて発生する起電力の大きさを揃えることが好ましい。これにより、局所的な起電力の不均一性に伴う渦電流の発生を低減し、素子出力を最大化することが可能となる。
以上、本実施形態および実施例に係るスピン流熱電変換素子によれば、第1の実施形態と同様に、集積する素子の数や長さおよび集積形状を変えることができるため、平面や湾曲した面を持つ熱源にも実装することが可能である。さらに、磁性体の磁化状態が安定化するため、熱電変換における出力の変動が長期に亘って抑制されたスピン流熱電変換素子を提供することができる。
すなわち、本実施形態および実施例によれば、熱電変換による出力を安定化し、かつ熱源への実装の自由度を有するスピン流熱電変換素子とその製造方法および熱電変換装置を提供することができる。
(第3の実施形態)
図10を参照して、本発明の第3の実施形態のスピン流熱電変換装置の構造を説明する。
本発明のスピン流熱電変換素子は、熱電変換の機能をするためには磁性体が磁化している必要がある。しかしながら、保磁力の小さい磁性体を用いる場合、外部の磁場や熱的不安定性のために、磁化方向が反転してしまう可能性がある。磁化が反転した素子は、起電力が逆向きに発生するため、素子を単体で用いている場合は出力の符号が反転し、多数組み合わせて用いる場合は個々の素子同志で出力を相殺してしまう。したがって、磁化の反転を抑制することが重要である。
図10は、スピン流熱電変換素子1001と、素子の磁性体の磁化を固定するための磁化固定素子1002とを備えた熱電変換装置1003の模式図である。さらに、磁化固定素子1002は、永久磁石1004と伝導層1005とを有する。永久磁石1004からの磁力線によって、スピン流熱電変換素子1001の磁性体1006の磁化を、より安定化することができる。
永久磁石1004は、スピン流熱電変換素子1001の磁性体よりも大きな磁化を有する。材料として、強磁性体、フェリ磁性体、反強磁性体のうち少なくとも一つ、もしくは複数組み合わせることによって、より強い磁化を保持していることが好ましい。また、z方向の熱伝導性については、スピン流熱電変換素子1001と比較して、同等以下であることが好ましい。そのため、熱伝導率の高い金属よりも、磁性絶縁体であることが好ましい。例えば、Fe(マグネタイト)などのバルク材料を使用することができる。
また、伝導層1005は、磁化固定素子1002の両脇のスピン流熱電変換素子1001を電気的に接続する必要がある。例えば、x軸に直行する側面全体をCu膜で覆い伝導層とすることができる。
また、Cu膜の代わりに、W、Ta、Mo、Nb、Cr、V、Tiから選択される少なくとも一つを含む金属を用いることも可能である。その場合、第2の実施形態にある通り、磁化固定素子1002においても熱電変換の出力を得ることができる。
以上、本実施形態に係るスピン流熱電変換素子によれば、第1の実施形態と同様に、集積する素子の数や長さおよび集積形状を変えることができるため、平面や湾曲した面を持つ熱源にも実装することが可能である。さらに、スピン流熱電変換素子の磁性体の磁化状態がより安定化するため、熱電変換における出力の変動が長期に亘って抑制されたスピン流熱電変換素子を提供することができる。
すなわち、本実施形態によれば、熱電変換による出力を安定化し、かつ熱源への実装の自由度を有するスピン流熱電変換素子とその製造方法および熱電変換装置を提供することができる。
本発明は上記実施形態および実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることはいうまでもない。
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
付記
(付記1)
磁性体と、前記磁性体に磁気的に結合した起電体と、を有し、
前記磁性体は、形状磁気異方性による少なくとも一つの磁化容易軸を有し、前記磁化容易軸の少なくとも一方向に磁化し、
前記起電体は、前記磁性体の前記磁化容易軸に平行な面に設けられた、スピン流熱電変換素子。
(付記2)
前記磁性体は、円、楕円、多角形から選択される断面を有する柱状構造を有し、前記断面の垂直方向に前記磁化容易軸を有する、付記1記載のスピン流熱電変換素子。
(付記3)
前記起電体は、前記磁性体の前記磁化容易軸に略平行な略全面に設けられた、付記1または2記載のスピン流熱電変換素子。
(付記4)
前記磁性体は、前記磁化容易軸の一方向に平行な磁化を有する第1の磁区と、前記第1の磁区の磁化と反平行な磁化を有する第2の磁区とを有し、
前記起電体は、前記第1の磁区と磁気的に結合した第1の起電体と、前記第2の磁区と磁気的に結合した第2の起電体とを有し、
前記第1と第2の起電体は、逆スピンホール効果によって発生する電流の向きが互いに反対である、付記1から3の内の1項記載のスピン流熱電変換素子。
(付記5)
前記磁性体は、前記第1と第2の磁区の間に磁壁固定部を有する、付記4記載のスピン流熱電変換素子。
(付記6)
前記磁性体は、Fe、Co、Niから選択される少なくとも一つを含む金属、
もしくは、イットリウム鉄ガーネット(YIG,Y3Fe5O12)、ビスマス(Bi)をドープしたYIG(Bi:YIG)、ランタン(La)を添加したYIG(LaY2Fe5O12)、イットリウムガリウム鉄ガーネット(Y3Fe5−xGaxO12)、MFe2O4(Mは金属元素で、Ni、Zn、Coのいずれかを含む)からなるスピネルフェライトから選択される少なくとも一つを含む絶縁体、
もしくは、Fe、Co、Niから選択される少なくとも一つを含む半導体、を有する、付記1から5の内の1項記載のスピン流熱電変換素子。
(付記7)
前記起電体は、Au、Pt、Pd、Ir、Ni、Fe、Co、Bi、W、Ta、Mo、Nb、Cr、V、Tiから選択される少なくとも一つを含む金属、
もしくは、ITO(酸化インジウムスズ)を含む酸化物、
もしくは、Fe、Co、Niから選択される少なくとも一つを含む半導体、を有する、付記1から6の内の1項記載のスピン流熱電変換素子。
(付記8)
前記第1の起電体は、Au、Pt、Pd、Ir、Ni、Fe、Co、Biから選択される少なくとも一つを含む金属を有し、
前記第2の起電体は、W、Ta、Mo、Nb、Cr、V、Tiから選択される少なくとも一つを含む金属を有する、付記4または5記載のスピン流熱電変換素子。
(付記9)
付記1から8の内の1項記載のスピン流熱電変換素子の製造方法において、
前記磁性体を、焼結法、溶融法、結晶引き上げ法、線引き炉を用いた磁性絶縁体ファイバー作製法から選択される少なくとも一つで形成し、
前記起電体を、スパッタ法、蒸着法、メッキ法、スクリーン印刷法、インクジェット法、スプレー法、スピンコート法、ナノコロイド溶液の塗布・焼結法から選択される少なくとも一つで形成し、
前記磁性体を、外部磁界を印加して磁化する、スピン流熱電変換素子の製造方法。
(付記10)
付記1から8の内の1項記載のスピン流熱電変換素子と、
前記スピン流熱電変換素子の起電体に接続し、前記起電体の逆スピンホール効果により発生する電流を取り出す出力端子と、を有する、熱電変換装置。
(付記11)
前記スピン流熱電変換素子を複数集積した、付記10記載の熱電変換装置。
(付記12)
永久磁石を有する磁化固定素子を有し、前記永久磁石からの磁力線が前記スピン流熱電変換素子の磁性体に及ぶ、付記10または11記載の熱電変換装置。
(付記13)
前記永久磁石の磁化は前記スピン流熱電変換素子の磁性体の磁化よりも大きい、付記12記載の熱電変換装置。
101、202、301、502、802、1006 磁性体
102、203、302、503、703 起電体
103、204、303、808、809 磁化
104、304 温度勾配
105 熱スピン流
106 純スピン流
107 逆スピンホール効果による伝導電子の動き
108 電流
201、401、501、701、801、901、1001 スピン流熱電変換素子
305 上部電流
306 下部電流
307 下部スピン流
402、504、601、704、900 スピン流熱電変換モジュール
403 熱流
404 出力電流
600、1003 熱電変換装置
602 型枠
603、604 出力端子
702 ファイバー状磁性体
803 磁壁固定部
804、904 第1の起電体
805、905 第2の起電体
806 第1の磁区
807 第2の磁区
1002 磁化固定素子
1004 永久磁石
1005 伝導層

Claims (10)

  1. 磁性体と、前記磁性体に磁気的に結合した起電体と、を有し、
    前記磁性体は、形状磁気異方性による少なくとも一つの磁化容易軸を有し、前記磁化容易軸の少なくとも一方向に磁化し、
    前記起電体は、前記磁性体の前記磁化容易軸に平行な面に設けられた、スピン流熱電変換素子。
  2. 前記磁性体は、円、楕円、多角形から選択される断面を有する柱状構造を有し、前記断面の垂直方向に前記磁化容易軸を有する、請求項1記載のスピン流熱電変換素子。
  3. 前記起電体は、前記磁性体の前記磁化容易軸に略平行な略全面に設けられた、請求項1または2記載のスピン流熱電変換素子。
  4. 前記磁性体は、前記磁化容易軸の一方向に平行な磁化を有する第1の磁区と、前記第1の磁区の磁化と反平行な磁化を有する第2の磁区とを有し、
    前記起電体は、前記第1の磁区と磁気的に結合した第1の起電体と、前記第2の磁区と磁気的に結合した第2の起電体とを有し、
    前記第1と第2の起電体は、逆スピンホール効果によって発生する電流の向きが互いに反対である、請求項1から3の内の1項記載のスピン流熱電変換素子。
  5. 前記磁性体は、Fe、Co、Niから選択される少なくとも一つを含む金属、
    もしくは、イットリウム鉄ガーネット(YIG,YFe12)、ビスマス(Bi)をドープしたYIG(Bi:YIG)、ランタン(La)を添加したYIG(LaYFe12)、イットリウムガリウム鉄ガーネット(YFe5−xGa12)、MFe(Mは金属元素で、Ni、Zn、Coのいずれかを含む)からなるスピネルフェライトから選択される少なくとも一つを含む絶縁体、
    もしくは、Fe、Co、Niから選択される少なくとも一つを含む半導体、を有する、請求項1から4の内の1項記載のスピン流熱電変換素子。
  6. 前記起電体は、Au、Pt、Pd、Ir、Ni、Fe、Co、Bi、W、Ta、Mo、Nb、Cr、V、Tiから選択される少なくとも一つを含む金属、
    もしくは、ITO(酸化インジウムスズ)を含む酸化物、
    もしくは、Fe、Co、Niから選択される少なくとも一つを含む半導体、を有する、請求項1から5の内の1項記載のスピン流熱電変換素子。
  7. 請求項1から6の内の1項記載のスピン流熱電変換素子の製造方法において、
    前記磁性体を、焼結法、溶融法、結晶引き上げ法、線引き炉を用いた磁性絶縁体ファイバー作製法から選択される少なくとも一つで形成し、
    前記起電体を、スパッタ法、蒸着法、メッキ法、スクリーン印刷法、インクジェット法、スプレー法、スピンコート法、ナノコロイド溶液の塗布・焼結法から選択される少なくとも一つで形成し、
    前記磁性体を、外部磁界を印加して磁化する、スピン流熱電変換素子の製造方法。
  8. 請求項1から6の内の1項記載のスピン流熱電変換素子と、
    前記スピン流熱電変換素子の起電体に接続し、前記起電体の逆スピンホール効果により発生する電流を取り出す出力端子と、を有する、熱電変換装置。
  9. 永久磁石を有する磁化固定素子を有し、前記永久磁石からの磁力線が前記スピン流熱電変換素子の磁性体に及ぶ、請求項8記載の熱電変換装置。
  10. 前記永久磁石の磁化は前記スピン流熱電変換素子の磁性体の磁化よりも大きい、請求項9記載の熱電変換装置。
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