JP2015191977A - 半導体レーザ装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも光取り出し効率の高い半導体レーザ装置を提供する。【解決手段】半導体レーザ装置1は、半導体チップ3、当該半導体チップを上面に搭載したサブマウント5、当該サブマウントと半導体チップを接合するための接合材43、及び外部出力ミラー7を含む。半導体チップは、基板11と、当該基板の第一面上に発光部15、第一内部反射鏡17、及び第一電極33を含む第一積層体10と、当該基板の第一面上のうち、第一積層体が形成されている領域とは異なる領域に形成された支持体31とを有する。外部出力ミラーは、基板の第一面とは反対の第二面側に対向する位置に配置され、第一内部反射鏡との間で共振器を構成する。支持体は、第一積層体が備える第一電極よりもサブマウントの面に近い位置で接合材と接触している。【選択図】図1

Description

本発明は半導体レーザ装置に関する。
半導体レーザ装置として、近年、基板面に垂直な方向に光を取り出す構成の垂直外部共振器面発光レーザ(Vertical External Cavity Surface Emitting Lasers:以下、「VECSEL」と略記する。)の開発が進められている(例えば、下記特許文献1参照)。
図6は、従来のVECSEL構造の半導体レーザ装置の構成を模式的に示す断面図である。半導体レーザ装置90は、サブマウント5の上面に、ハンダ等で構成された接合材43を介して接合された半導体チップ91を備えている。半導体チップ91の、サブマウント5とは反対側の面に対向する位置には、外部出力ミラー7が配置されている。なお、図6において矢印d1は光取り出し方向を示している。
半導体チップ91は基板11を有する。基板11の一方の面(以下、「第一面」という。)の上層にはn側多層膜反射鏡13が形成されており、n側多層膜反射鏡13の上層には発光部15が形成されており、発光部15の上層にはp側多層膜反射鏡17が形成されている。つまり、発光部15は、一対の多層膜反射鏡13及び17によって基板11の面に直交する方向に挟み込まれる構成となっている。
以下では、説明の都合上、図6内に示すXYZの3軸を規定する。すなわち、基板11の面がX軸とZ軸で構成される平面(XZ平面)に平行であり、XZ平面に直交する方向をY軸とする。この表現を用いて記載すると、発光部15は一対の多層膜反射鏡13及び17によってY方向に挟み込まれる構成である。
基板11の第一面側に関し、p側多層膜反射鏡17の上層にはコンタクト層19が形成されており、コンタクト層19の上層にはp側電極33が形成されている。一方、基板11の第一面とは反対側の面(以下、「第二面」という。)上には、n側電極37が形成されている。
コンタクト層19は、高濃度(例えば、1×1018/cm以上)の不純物がドープされた半導体層で構成されており、p側電極33との間のコンタクト抵抗値を下げる役割を果たしている。
n側多層膜反射鏡13、発光部15、p側多層膜反射鏡17及びコンタクト層19によって構成される多層構造体の外側には、高抵抗層27が形成されている。この高抵抗層27は、p側電極33とn側電極37の間にバイアス電圧が印加された際、発光効率を高めるべく発光部15を含む上記多層構造体の領域に電流を集中させ、その外側の領域に電流を流さないようにするための電流狭窄層を構成する。そして、この高抵抗層27の周囲はパッシベーション層29で覆われている。
p側電極33とn側電極37の間にバイアス電圧が印加されると、発光部15に電流が流れて当該領域が発光する。この光は、n側多層膜反射鏡13及びp側多層膜反射鏡17によって構成される内部共振器、並びにp側多層膜反射鏡17及び外部出力ミラー7によって構成される外部共振器で共振され、所定の発振条件が成立すると、レーザ光として外部出力ミラー7から射出される。
なお、図6に示す半導体レーザ装置90は、n側電極37が形成されている側がレーザ光の取り出し面となっているため(取り出し方向d1)、n側電極37は光路を遮らないような形状を有している。図6の半導体レーザ装置90では、n側電極37がドーナツ形状を構成しており、その内側の位置において基板11の第二面上に誘電体層35が形成されている。誘電体層35は、共振器中の光の損失を抑制するために設けられている。この誘電体層35が光取り出し部2を構成している。
半導体レーザ装置90からレーザ光を出力している間、発光部15を含む半導体チップ91は発熱する。この熱を効率的に排出するため、熱伝導率の高い材料で構成されたサブマウント5の上面に半導体チップ91を載置している。なお、図8を参照して後述するように、通常、このサブマウント5をヒートシンクの上面に載置し、半導体チップ91から生じる熱を、サブマウント5を介してヒートシンク側へと排出する構成が採用される。
特表2006−511966号公報
図6に示す半導体レーザ装置90を製造するに際しては、接合材43が面上に形成されたサブマウント5の上方に半導体チップ91を配置した後、接合材43に接触するまで半導体チップ91をサブマウント5側に接近させる。そして、接合材43を加熱溶融すると共に、サブマウント5に当たるまで更に半導体チップ91をサブマウント5側に接近させ、その後に接合材43を冷却固化させる。これにより、半導体チップ91とサブマウント5を一体化させる。
ところで、サブマウント5の表面は、拡大して見ると微細な凹凸を有していることがある。このため、サブマウント5の面上に形成された接合材43についても、上面の位置において微細な凹凸を有していることが考えられる。
図7は、サブマウント5の上面に半導体チップ91を接合した時点で、半導体チップ91の面上のY方向の変位を、位置に応じて測定した結果を示すグラフである。より詳細には、半導体チップ91の上面(サブマウント5とは反対側の面)におけるX方向の中心線に沿ってZ座標を変化させたときの、各箇所におけるY座標の位置(すなわち高さ位置)を、所定の基準点における高さ位置からの変位量としてプロットしたものである。図7において、横軸はZ座標を示し、縦軸は基準位置からのY軸方向に関する変位量を示している(ただし、横軸の値については記入されていない。)。Y軸方向に関する変位量は、例えばZYGO(登録商標)等によって一般的に知られている非接触型表面粗さ測定機を用いて測定された。
図7によれば、誘電体層35、すなわち光取り出し部2のY方向の位置が、場所に応じて異なっていることが分かる。また、誘電体層35に隣接するn側電極37のY方向の位置についても、同様に場所に応じて異なっていることが分かる。このことは、半導体チップ91がY方向に反り等の変形を生じていることを示唆するものである。
半導体チップ91に対してこのような変形が発生する理由としては、以下のことが推察される。
半導体チップ91としては、一般的にX方向×Z方向×Y方向が1mm×10mm×(50〜100)μm程度の寸法を有する、極めて厚みが薄く且つ縦横比の大きいものが用いられる。また、一般的に半導体チップ91を構成する主材料はGaAsで構成されており、これは比較的柔らかい材料である。このため、半導体チップ91に対して応力が加えられると、この半導体チップ91自体が変形しやすいという性質を有している。
上述したように、サブマウント5の表面には微小な凹凸が存在する。このため、半導体チップ91をサブマウント5側に接近させていくと、溶融した接合材43のうち、このサブマウント5の凸部の上面に形成されている接合材43がまず半導体チップ91に接触する。この接触後、半導体チップ91がサブマウント5側に接近することで、半導体チップ91の一部がサブマウント5に接触し、サブマウント5側を押圧する。このとき、当該箇所において半導体チップ91と接触していた接合材43の少なくとも一部は、外側に押し出される。この結果、サブマウント5と半導体チップ91の間に介在する接合材43に関し、サブマウント5の凸部から遠い位置においては、サブマウント5の凸部の位置と比較して厚みが厚くなる。
そして、この状態の下では、半導体チップ91の一部の箇所でしかサブマウント5に当たっていないため、半導体チップ91は不安定な状態下にある。
このような状態で接合材43が冷却されると、半導体チップ91とサブマウント5の間に介在している接合材43の厚みが位置に応じて異なることから、場所に応じて接合材43の熱収縮量が異なる。半導体チップ91が不安定な状態に置かれている下で、場所に応じて接合材43の熱収縮量が異なると、半導体チップ91が接合材43の収縮量に連れて反りを生じたり、傾いたりしてしまう。
半導体チップ91に反りや傾きが生じると、以下のような問題が発生する。図8は、半導体チップ91に反りが生じた場合の課題を説明するための模式的な図面である。
上述したように、半導体チップ91をサブマウント5の上面に接合した後は、このサブマウント5をヒートシンク51にハンダ接合する。その後、このヒートシンク51をベース部53にボルト留め等によって固定する。そして、ミラー支持部55に外部出力ミラー7を接着する。
そして、半導体チップ91に対して微小のバイアス電圧を印加して、光取り出し部2から微弱のレーザ光を射出させる。そして、外部出力ミラー7よりも光軸方向に関して後段に配置した光学系で受光された光量をモニタリングしながら、外部出力ミラー7の位置を調整し、光量が最大になる位置で外部出力ミラー7を固定する。すなわち、この位置において、ミラー支持部55がベース部53に接着層等によって固定される。
半導体チップ91をサブマウント5上に接合する工程は、予め外部出力ミラー7を配置することが想定されている面(ミラー想定面)に対して半導体チップ91が平行になるよう、サブマウント5及び半導体チップ91を所定の向きに配置した状態で行われる。これは、できる限り外部出力ミラー7の面と半導体チップ91の面(より詳細には、多層膜反射鏡13の面及び多層膜反射鏡17の面)との平行度を確保することが狙いである。
つまり、この平行度が確保されない場合、光取り出し部2から射出され外部出力ミラー7において反射した光のうち、一部の光は多層膜反射鏡(13,17)へと戻らないことが起こり得る。多層膜反射鏡(13,17)へと戻らなかった光は、レーザ発振に寄与しないため、かかる光の量が多くなればなるほど、光取り出し効率の低下を招くこととなる。
従って、半導体チップ91に反りや傾きが発生している場合には、ミラー想定面と多層膜反射鏡(13,17)との平行度が確保できていないため、レーザ光の出力が低下することが考えられる。よって、レーザ光の出力をモニタリングしながら、図8に示すように外部出力ミラー7の位置(7a,7b)を調整することで光軸方向(71,72)を調整し、出力が最大となる箇所において外部出力ミラー7を固定する。
ところが、例えば図7に示したように、半導体チップ91に関して、Z方向に関して中央部付近の位置では高さ位置が低く、端部に近づくほど高さ位置が高くなるような湾曲した反りが発生している場合、外部出力ミラー7を調整することではレーザ光の出力を高めることに限界がある。外部出力ミラー7は、ミラー支持部55に固着された状態で回転させることで位置調整ができるに留まる。従って、半導体チップ91が湾曲しているような場合に、この湾曲に沿って外部出力ミラー7を湾曲させることで位置調整することはできない。
図6や図8では、Z方向に沿って光取り出し部2が3つ並べられている図面が模式的に示されている。しかし、例えば図7に示す例では、20個の光取り出し部2が半導体チップ91上に並べられている場合が想定されており、更に多数の光取り出し部2がZ方向に沿って配置される場合もあり得る。
この場合、上記のように半導体チップ91に反りが生じると、ある光取り出し部2から射出される光に対しては、外部出力ミラー7と多層膜反射鏡(13,17)との平行度は確保できるものの、別の光取り出し部2から射出される光に対しては、外部出力ミラー7と多層膜反射鏡(13,17)との平行度が確保できないということが生じる。このとき、レーザ発振に寄与しない光が一定割合以上存在することとなり、光取り出し効率が低下してしまう。
本発明は、上記の課題に鑑み、従来よりも光取り出し効率を向上した半導体レーザ装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、半導体チップと、前記半導体チップを上面に搭載したサブマウントと、前記サブマウントと前記半導体チップを接合するための接合材と、外部出力ミラーとを含む半導体レーザ装置であって、
前記半導体チップは、
基板と、
前記基板の第一面上に、発光部、第一内部反射鏡、及び第一電極を含む第一積層体と、
前記基板の前記第一面上のうち、前記第一積層体が形成されている領域とは異なる領域に形成された支持体と、を有し、
前記外部出力ミラーは、前記基板の前記第一面とは反対の第二面側に対向する位置に配置されて、前記第一内部反射鏡との間で共振器を構成し、
前記支持体は、前記第一積層体が備える前記第一電極よりも前記サブマウントの面に近い位置で前記接合材と接触していることを特徴とする。
本発明の半導体レーザ装置は、半導体チップに支持体を備えている。この支持体は、第一電極よりもサブマウントの面に近い位置で接合材との接触することが可能に構成されている。このとき、支持体がサブマウントに当たっているものの、両者の間に微細な厚みで接合材が介在しているものとしても構わない。
半導体チップをサブマウントに接合する際、上面に接合材が形成されたサブマウントに対して半導体チップを接近させていくと、第一積層体(より詳細には第一電極)よりも支持体が先に接合材に接触する。更にサブマウント側に半導体チップを押下し、支持体をサブマウントに当てた状態で接合材を加熱溶融すると、この時点においても第一積層体の面はサブマウントの面に当たっていない。つまり、半導体チップの面を支持体によって形成された面として維持したまま、接合材を固化することができる。よって、半導体チップは、支持体がサブマウントに当たった時点で形成されていた面を維持したまま、サブマウントと接合することができる。
前記半導体チップが備える前記支持体は、サブマウント側に位置する当該支持体の面を連結すると一の平面が確定するような構成であるのが好ましい。一例としては、前記半導体チップが3以上の前記支持体を備える構成とすることができる。また、一の支持体であっても、例えば基板の辺に沿って矩形環状又はL字型に構成されることで、サブマウント側に位置する支持体の面によって一の平面が構成される。
前記支持体は、前記基板の前記第一面上に形成された絶縁層とすることができる。
また別の例として、前記支持体が前記第一積層体とは異なる第二積層体で構成されるものとしても構わない。より詳細には、前記半導体チップが、前記基板の前記第一面上に、発光部、第一内部反射鏡、及び第一電極を含み、前記第一積層体よりも前記基板の前記第一面に直交する方向に係る長さが長い第二積層体を有し、前記支持体が前記第二積層体によって構成されるものとしても構わない。
また、前記半導体チップは、前記基板の前記第一面上に、前記第一面に平行な方向に離間した状態又は電気的に絶縁された状態で複数の前記第一積層体を有しており、
前記外部出力ミラーは、複数の前記第一積層体が備える複数の前記第一内部反射鏡との間で共振器を構成するものとすることができる。
かかる場合、複数の発光部から射出される光に対して、外部出力ミラーが共通の反射ミラーを構成する。上記構成によれば、サブマウントとの接合の際に半導体チップの反りや傾きの発生が抑制されるため、一の外部出力ミラーによって複数の発光部に対応した共通の反射ミラーを構成しても、各第一積層体に含まれる第一内部反射鏡との間での平行度が確保される。つまり、各第一内部反射鏡と外部出力ミラーとの間で反射を繰り返しても、発振に寄与しない光の発生量が従来よりも大幅に抑制される。
なお、VECSEL型の半導体レーザ装置において、一般的には、光取り出し部の寸法は径が数百μm程度であり、基板の面の寸法は1mm程度×数mm程度である。このため、半導体チップに複数の第一積層体を配置した半導体レーザ装置において、各第一内部反射鏡に対応して外部出力ミラーを各別に配置するのは、設計が困難な上、製造コストも高騰化する。上記の構成によれば、複数の光取り出し部を有する半導体レーザ装置において、外部出力ミラーを共通化しても、従来と比べて光の取り出し効率を向上させることができる。
なお、半導体レーザ装置の一実施例としては、以下の形態の採用が可能である。すなわち、
前記第一積層体が、前記基板の前記第一面側の上層に形成された第二内部反射鏡、前記第二内部反射鏡の上層に形成された前記発光部、前記発光部の上層に形成された前記第一内部反射鏡、及び前記第一内部反射鏡の上層に形成された前記第一電極を有し、
前記半導体チップが、前記基板の前記第二面側の上層に形成された第二電極を有し、
前記第一内部反射鏡と前記第二内部反射鏡が内部共振器を構成し、前記第一内部反射鏡と前記外部出力ミラーが外部共振器を構成する。
更に、前記半導体チップは、前記基板の前記第二面側の上層のうち、前記基板を介して第二内部反射鏡と対向する位置の少なくとも一部領域に形成された誘電体層を有し、前記第二電極は、前記誘電体層の外側に形成されている構成としても構わない。
上記構成では、前記誘電体層が半導体レーザ装置の光取り出し部を構成する。
なお、上記構成において、外部出力ミラーを体積ブラッググレーティング(VBG:Volume Bragg Grating)によって構成しても構わない。更にこの場合において、半導体チップと外部出力ミラーの間に分極反転型ニオブ酸リチウム(PPLN:Periodically Poled Lithium Niobate)等の波長変換素子を配置しても構わない。
また、本発明は、半導体チップと、前記半導体チップを上面に搭載したサブマウントと、前記サブマウントと前記半導体チップを接合するための接合材と、外部出力ミラーとを含む半導体レーザ装置の製造方法であって、
基板を準備する工程(a1)、
前記基板の第一面上に、発光部、第一内部反射鏡、及び第一電極を含む第一積層体を形成する工程(a2)、
及び、前記基板の前記第一面上のうち、前記第一積層体が形成されている領域とは異なる領域に、前記基板の前記第一面に直交する方向に係る長さが前記第一積層体よりも長い支持体を形成する工程(a3)を含む、前記半導体チップを作製する工程(a)と、
前記サブマウントの面上に前記接合材を成膜する工程(b)と、
前記基板の前記第一面側を前記接合材に対向させた状態で前記半導体チップを前記接合材に接近させて、前記支持体の面のうち前記基板とは反対側に位置する面を前記接合材に接触させる工程(c)と、
加熱して前記接合材を溶融する工程(d)と、
前記基板の前記第一面側を前記接合材に対向させた状態で前記半導体チップを前記接合材に接近させて、前記支持体の面のうち前記基板とは反対側に位置する面を前記サブマウントの面に当てる工程(e)と、
冷却して前記接合材を固化させることで、前記サブマウントと前記半導体チップを一体化する工程(f)と、
前記工程(f)の後、前記半導体チップに対して、前記サブマウントとは反対側に対向する所定の位置に前記外部出力ミラーを設置する工程(g)とを有することを特徴とする。
本方法によれば、半導体チップが支持体によって安定化された状態で接合材が固化されるため、工程(e)の時点での半導体チップの面を維持したまま、半導体チップとサブマウントとを接合することができる。これにより、工程(f)の終了時点において、工程(g)において設置される外部出力ミラーの設置予定面に対してほぼ平行な面を有した状態で半導体チップとサブマウントとを接合することができる。
工程(a3)は、前記サブマウント側に位置する側の面を連結すると一の平面が確定するように前記支持体を形成する工程とするのが好ましい。一例としては、工程(a3)を、前記基板の前記第一面上のうち、3箇所以上の異なる領域に前記支持体を形成する工程とすることができる。また、別の例としては、工程(a3)を、前記基板の前記第一面上において、前記基板の前記第一面に直交する方向から見たときに、前記基板の辺に沿った矩形環状又はL字形状を示すような前記支持体を形成する工程とすることができる。
なお、上記方法において、前記工程(a2)及び前記工程(a3)は、並列して実行されるものとしても構わない。かかる方法によれば、従来と比較して別途の工程を付加することなく外部出力ミラーと第一内部反射鏡の平行度を確保した半導体レーザ装置が製造できる。
本発明の半導体レーザ装置及びその製造方法によれば、半導体チップの面を所定の面に平行な状態に保ちながら、サブマウントと半導体チップを接合することができるので、共振器を構成する外部出力ミラーと第一内部反射鏡との平行度を高めることができる。よって、従来よりも光取り出し効率を向上した半導体レーザ装置が実現される。
本発明の半導体レーザ装置の一実施形態の構成を模式的に示す断面図である。 半導体レーザ装置が備える基板の第二面をY方向から見たときの図面を模式的に示したものである。 半導体レーザ装置の一実施形態の全体的な構成を示す模式図である。 本発明の半導体レーザ装置の製造方法を説明する一工程図である。 本発明の半導体レーザ装置の製造方法を説明する一工程図である。 本発明の半導体レーザ装置の製造方法を説明する一工程図である。 本発明の半導体レーザ装置の製造方法を説明する一工程図である。 本発明の半導体レーザ装置の製造方法を説明する一工程図である。 本発明の半導体レーザ装置の製造方法を説明する一工程図である。 本発明の半導体レーザ装置の製造方法を説明する一工程図である。 本発明の半導体レーザ装置の製造方法を説明する一工程図である。 本発明の半導体レーザ装置の製造方法を説明する一工程図である。 本発明の半導体レーザ装置の製造方法を説明する一工程図である。 本発明の半導体レーザ装置の製造方法を説明する一工程図である。 本発明の半導体レーザ装置の製造方法を説明する一工程図である。 別実施形態の半導体レーザ装置が備える基板の第二面をY方向から見たときの図面を模式的に示したものである。 別実施形態の半導体レーザ装置が備える基板の第二面をY方向から見たときの図面を模式的に示したものである。 従来の半導体レーザ装置の構成を模式的に示す断面図である。 サブマウントの上面に半導体チップを接合した時点で、半導体チップの面上の厚み方向の変位量を位置に応じて測定した結果を示すグラフである。 半導体チップに反りが生じた場合の課題を説明するための模式的な図面である。
本発明の半導体レーザ装置及びその製造方法につき、図面を参照して説明する。なお、各図において図面の寸法比と実際の寸法比は必ずしも一致しない。
図1は、本発明の半導体レーザ装置の一実施形態の構成を模式的に示す断面図である。なお、以下の各図において、図6〜図8を参照して上述した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その説明を適宜簡略化又は割愛する。
〈構造〉
半導体レーザ装置1は、半導体チップ3と、半導体チップ3を上面に搭載したサブマウント5と、サブマウント5と半導体チップ3を接合するための接合材43と、外部出力ミラー7とを有する。
半導体チップ3は基板11を有する。基板11の一方の面(「第一面」に対応する。)の上層には、n側多層膜反射鏡13が形成されており、n側多層膜反射鏡13の上層には発光部15が形成されており、発光部15の上層にはp側多層膜反射鏡17が形成されている。更に、基板11の第一面側において、p側多層膜反射鏡17の上層にはコンタクト層19が形成されており、コンタクト層19の上層にはp側電極33が形成されている。
一方、基板11の第一面とは反対側の面(「第二面」に対応する。)上には、n側電極37が形成されている。
なお、p側多層膜反射鏡17が「第一内部反射鏡」に対応し、n側多層膜反射鏡13が「第二内部反射鏡」に対応する。また、p側電極33が「第一電極」に対応し、
n側電極37が「第二電極」に対応する。そして、本実施形態においては、基板11の第一面側に形成されている、n側多層膜反射鏡13、発光部15、p側多層膜反射鏡17、コンタクト層19、及びp側電極33を含む積層体が第一積層体10を構成している。
以下の図面においても、図6〜図8と同様に、XYZの3軸を規定する。すなわち、基板11の面がX軸とZ軸で構成される平面(XZ平面)に平行であり、XZ平面に直交する方向をY軸とする。この表現を用いて記載すると、発光部15は一対の多層膜反射鏡13及び17によってY方向に挟み込まれる構成である。
図1では、光取り出し方向d1が基板11の第二面側であり、基板11とこの方向d1に離間した位置には外部出力ミラー7が形成される。なお、図6に示す半導体レーザ装置90と同様に、図1に示す半導体レーザ装置1も電流狭窄層としての高抵抗層27、パッシベーション層29、及び誘電体層35を備えている。なお、電流狭窄層としての高抵抗層27は、後述する製造方法の項において「第二高抵抗層27」と呼称されることがある。
基板11は、例えばGaAs基板で構成される。より詳細には、基板11は不純物濃度が1×1018/cm未満、より好ましくは5×1017/cm以下の低濃度で不純物がドープされているGaAs基板で構成される。
発光部15は、取り出すレーザ光の波長に応じた材料で構成される。例えば、発光波長が0.8μm〜1μmの場合はGaInAs又はAlGaAsなどが用いられる。
n側多層膜反射鏡13及びp側多層膜反射鏡17は、所望の波長に対して吸収が少なく、且つ屈折率の異なる2種類の材料が積層されたもの、例えば、GaAs/AlGaAs又はGaAs/AlAsなどが用いられる。また、各多層膜反射鏡(13,17)を構成する各層の厚さは、材料及び波長に応じて適宜設定される。
なお、p側多層膜反射鏡17の反射率を99%以上、n側多層膜反射鏡13の反射率を20%以上90%以下の範囲とするのが好ましい。n側多層膜反射鏡13の反射率をp側多層膜反射鏡17よりも低くしているのは、発光部15からの光が、n側多層膜反射鏡13とp側多層膜反射鏡17の間で反射を繰り返すことで励起された後、n側多層膜反射鏡13を通過させて外部へ取り出す(より詳細には基板11及び誘電体層35を通過させて外部出力ミラー7へ導く)必要があるためである。
また、本実施形態においては、n側多層膜反射鏡13は基板11の第一面と接触して形成されている。
コンタクト層19は、例えばGaAsで構成され、p側電極33との間のコンタクト抵抗を小さくするために炭素(C)などのp型不純物が1×1018/cm以上の高濃度でドープされている。
n側電極37及びp側電極33は、例えばNi/Ge/Au/Ni/AuやAu/Ge/Ni/Auなどで構成される。なお、n側電極37及びp側電極33は、同一の材料で構成されても異なる材料で構成されても構わない。
電流狭窄層としての高抵抗層27は、半導体層に対してイオン注入することで高抵抗化した層、又はSiOやSiN等の絶縁層で構成される。パッシベーション層29は、SiOやSiN等の絶縁層で構成される。
支持体31は、例えばパッシベーション層29と同一の材料を含んで構成される。本実施形態においては、この支持体31は、基板11の第一面上に3箇所配置されており、それぞれが円柱形状を有している。
図2は、基板11の第二面をY方向から見たときの図面を模式的に示したものである。なお、説明の都合上、誘電体層35及び支持体31のみ図示している。図2に示すように、基板11の第二面上には、複数の誘電体層35が島状に形成されており、Z方向に離間して配置されている。なお、ここでは一例として誘電体層35が3個形成されている場合を図示しているが、誘電体層35の数は第一積層体10の配置数に応じて適宜設定される。半導体チップ3が備える第一積層体10の数は適宜変更してよい。
支持体31が形成されている基板11の面(第一面)は、誘電体層35が形成されている面(第二面)とは反対側の面であるため、基板11の第二面をY方向から見たときに支持体31は現れないが、図2では説明の都合上、破線によって支持体31を表示している。図2によれば、本実施形態では、基板11の第一面側の3箇所に支持体31が形成されている。
支持体31は、当該支持体31の面を連結すると一の平面が確定する構成とするのが好ましい。図2の例では、支持体31が3箇所に形成されているため、これら3つの面を連結することで一の平面が確定する。更にこのとき、図2に示すように、支持体31は、基板11の面における、各支持体31と基板11の接触点を結ぶことで形成される平面が占める割合がなるべく高くなるように支持体31を配置するものとしても構わない。支持体31の数は3個に限られず、4個以上としても構わない。
更には、支持体31を基板11の辺に沿うような矩形環状やL字型に構成しても構わない。この場合、支持体31の数は例えば1個でも構わない。
支持体31は、Y方向に係る長さ、すなわち厚みは、第一積層体10の厚みよりも厚くなるように構成されている。つまり、図1に示すように、支持体31は、第一積層体10(より詳細には、第一積層体10のうち最もサブマウント5側に配置されているp側電極33)よりもサブマウント5の面に近い位置で接合材43と接触している。
より詳細には、支持体31の面のうちサブマウント5に対向する側の面は、p側電極33の面のうちサブマウント5に対向する側の面よりもサブマウント5に近い位置にある。このことは、支持体31とサブマウント5の間に介在する接合材43の厚みが、p側電極33とサブマウント5の間に介在する接合材43の厚みよりも薄いことを意味する。なお、支持体31がサブマウント5に当たっており、ただし、支持体31とサブマウント5の間に微細な厚みで接合材43が介在しているものとしても構わない。
また、半導体チップ3が支持体31を複数備える場合には、各支持体31のY方向に係る長さ、すなわち厚みを相互に同等程度にするのが好ましい。
図3は、半導体レーザ装置1の全体的な構成を示す模式図である。半導体レーザ装置1において、半導体チップ3と接合されたサブマウント5がヒートシンク51の上面に接合される。ヒートシンク51はベース部53とボルト留め等によって固定されており、このベース部53はミラー支持部55と接着している。ミラー支持部55には外部出力ミラー7が接着している。
製造方法の項で後述されるが、本実施形態の構成のように半導体チップ3が支持体31を備えることで、半導体チップ3の面、より詳細には基板11の面や多層膜反射鏡(13,17)の面の平坦性を維持したまま、接合材43を介してサブマウント5の上面に接合することができる。つまり、サブマウント5と半導体チップ3を接合する際、予め外部出力ミラー7の面を想定すると共に、この想定面に対して基板11の面や多層膜反射鏡(13,17)の面が平行になるように平坦性を維持したまま、半導体チップ3とサブマウント5とを接合することができる。この結果、光取り出し部2から射出される光の光軸8が外部出力ミラー7のミラー面に直交するように、外部出力ミラー7の位置を容易に調整することができる。
特に、上述した実施形態のように半導体チップ3が複数の第一積層体10を備える場合、一の半導体チップ3に複数の光取り出し部2が形成される(図3も参照)。しかし、本実施形態の構成によれば、半導体チップ3の面と外部出力ミラー7の面を容易に平行にすることができるため、複数の第一積層体10が備える各多層膜反射鏡(17,13)のミラー面と、外部出力ミラー7のミラー面との平行性が確保される。この結果、各光取り出し部2から射出される光が外部出力ミラー7で反射されると、各反射光は、ほぼ損失なく多層膜反射鏡(17,13)内へと再び入射することができる。この結果、各多層膜反射鏡(17,13)と外部出力ミラー7との間で反射を繰り返しても、発振に寄与しない光の発生量を従来と比べて大幅に抑制することができる。
なお、半導体レーザ装置1は、必ずしもヒートシンク51を備えなくても構わない。また、図3に示した外部出力ミラー7の設置態様は、あくまで一例である。
〈製造方法〉
以下、半導体レーザ装置1の製造方法の一例につき、工程図を参照して説明する。なお、以下で記載される不純物濃度や膜厚などの寸法はあくまで一例であって、これらの数値に限定されるものではない。
(ステップS1)
図4Aに示すように、基板11を準備する。基板11としては、一例として、不純物濃度が5×1017/cm以下のGaAs基板を採用することができる。このステップS1が工程(a1)に対応する。
(ステップS2)
図4Bに示すように、基板11の第一面上に半導体層18をエピタキシャル成長させる。より詳細には、基板11の第一面上にn側多層膜反射鏡13を形成し、n側多層膜反射鏡13の上層に発光部15を形成し、発光部15の上層にp側多層膜反射鏡17を形成し、p側多層膜反射鏡17の上層にコンタクト層19を形成する。
更に、コンタクト層19の上層に第一半導体層21を形成する。この第一半導体層21は、後の工程において第一積層体10よりも厚膜の支持体31を作製するために形成されるものである。
n側多層膜反射鏡13としては、GaAs/AlGaAs又はGaAs/AlAsなどが用いられ、反射率が20%以上90%以下となるように積層数が設定される。発光部15としては、GaInAs又はAlGaAsなどが用いられ、発光波長に応じて採用される材料や組成比が設定される。p側多層膜反射鏡17としては、GaAs/AlGaAs又はGaAs/AlAsなどが用いられ、反射率が99%以上となるように積層数が設定される。
積層される膜厚の例としては、n側多層膜反射鏡13が100nm〜2000nm程度、発光部15が50nm〜2000nm程度、p側多層膜反射鏡19が1000nm〜5000nm程度である。
コンタクト層19としては、例えばCなどのp型不純物が1×1018/cm以上の高濃度でドープされたGaAsが膜厚10nm〜1000nm程度で成膜される。また、第一半導体層21としては、例えば、コンタクト層19と同一の材料であるGaAsが膜厚3000nm〜5000nm程度で成膜される。
第一半導体層21は、種々の半導体層で構成できるが、例えばコンタクト層19と同一の材料、且つ同一の不純物濃度で構成することもできる。この場合は、単にコンタクト層19の成長時間を伸ばすことで、コンタクト層19の一部分を第一半導体層21とすればよい。
(ステップS3)
図4Bに示す半導体層18のうち、所定の領域22aをマスクして、非マスク領域22bに対してイオン注入を行う。これにより、非マスク領域内に形成されていた半導体層18が高抵抗層23に変化する(図4C参照)。
なお、非マスク領域22b内に形成されていた半導体層18を酸化させることで、当該領域に高抵抗層23を形成するものとしても構わない。
(ステップS4)
図4Cに示される構造体に対して、ウェットエッチング法又はドライエッチング法により、図4Dに示すような形状に加工する。
より詳細な方法の一例としては、まず支持体31を形成する予定の領域内をマスクして、非マスク領域に対して、領域22a内におけるコンタクト層19の上面が露出する程度にまでエッチングを行う。その後、支持体31を形成する予定の領域に加えて、第一積層体10を形成する予定の領域についてもマスクし、非マスク領域内に形成されている高抵抗層23をエッチングする。
これにより、高抵抗層23は、半導体層(13,15,17,19)の積層体から離間した位置に形成された第一高抵抗層25と、半導体層(13,15,17,19)の外縁に形成され、第一高抵抗層25よりも厚みの薄い第二高抵抗層27とに分断される。このうち、第二高抵抗層27は上述した電流狭窄層を構成する。
(ステップS5)
図4Eに示すように、スパッタ法又はPVD(Physical Vapor Deposition:物理気相成長)法にて、例えばSiNやSiOなどの絶縁材料を膜厚10nm〜2000nm程度成膜し、パッシベーション層29を形成する。
パッシベーション層29は、半導体層(13,15,17,19)及び第二高抵抗層27で形成された積層体の露出面を覆うように形成される。また、本実施形態では、パッシベーション層29は、更に第一高抵抗層25の露出面を覆うように形成される。
本ステップS5において、第一高抵抗層25、及びこの外周を覆うパッシベーション層29で構成される支持体31が形成される。
(ステップS6)
例えば、コンタクト層19の上方に係る位置以外をマスクして、ウェットエッチング法又はドライエッチング法により非マスク領域に形成されたパッシベーション層29を除去する(図4F参照)。本ステップS6により、コンタクト層19の上面が露出される。
(ステップS7)
コンタクト層19の露出面上に、スパッタ法又は真空蒸着法によって例えばAu/Zn/AuやTi/Pt/Auなどの電極材料を膜厚100nm〜3000nm程度成膜して、p側電極33を形成する(図4G参照)。
本ステップS7によって、n側多層膜反射鏡13、発光部15、p側多層膜反射鏡17、コンタクト層19、及びp側電極33を含む第一積層体10が形成される。
ステップS2〜S7が工程(a2)に対応する。また、ステップS2〜S5が工程(a3)に対応する。すなわち、上記方法によれば、第一積層体10を形成する過程において支持体31も併せて形成される。
(ステップS8)
基板11の第二面上に、SiO、Ta、又はSiNOなどで構成される光学薄膜を、スパッタ法又は真空蒸着法によって膜厚10nm〜1000nm程度成膜し、誘電体層35を形成する(図4H参照)。
(ステップS9)
所定領域内の誘電体層35をマスクし、非マスク領域に形成された誘電体層35をエッチングによって除去して基板11の第二面を露出させる。その後、当該露出した基板11の第二面上に、スパッタ法又は真空蒸着法によって例えばNi/Ge/Au/Ni/AuやAu/Ge/Ni/Auなどの電極材料を膜厚100nm〜3000nm程度成膜して、n側電極37を形成する(図4I参照)。
上記ステップS1〜S9により、半導体チップ3が形成される。以下、この半導体チップ3をサブマウント5に接合した後、外部出力ミラー7を所定の位置に配置するまでの工程について説明する。
(ステップS10)
まず、SiCやAlN等の材料で構成されたサブマウント5の上面に、Au−Snハンダなどで構成される接合材43を成膜する(図4J参照)。本ステップS10が工程(b)に対応する。
(ステップS11)
図4Jに示すように、半導体チップ3のサブマウント5とは反対側の面からダイボンダ治具41によって当該半導体チップ3を真空吸着し、サブマウント5上の所定の取り付け位置の上方に半導体チップ3を配置する。このとき、外部出力ミラー7の設置予定面と半導体チップ3の面との平行性、より詳細には、外部出力ミラー7の設置予定面と基板11の面及び多層膜反射鏡(13,17)の面との平行性を確保した状態で、ダイボンダ治具41による半導体チップ3の真空吸着を行う。
そして、前記平行性を確保したまま、基板11の第一面を接合材43に対向させた状態でダイボンダ治具41を−Y方向に移動させ、半導体チップ3と接合材43を接近させる。そして、支持体31の面のうち基板11とは反対側に位置する面を接合材43に接触させる(図4K参照)。
上述したように、支持体31の厚み(Y方向に係る長さ)は第一積層体10の厚みよりも厚い。このため、本ステップS11において、半導体チップ3の構成要素の中で支持体31が最も先に接合材43に接触する。つまり、図4Kの時点において、第一積層体10は未だ接合材43には接触していない。
本ステップS11は工程(c)に対応する。
(ステップS12)
接合材43をヒータ等によって加熱する。このとき、半導体チップ3及びサブマウント5を同時にヒータ等によって加熱するものとしても構わない。本ステップS12が実行されることで、接合材43は溶融状態となる。なお、以下後述するステップS14に係る冷却工程を実行するまで、本ステップS12に係る加熱工程を継続的に実行するものとしても構わない。
なお、支持体31の面のうち基板11とは反対側に位置する面が接合材43に接触するより先に、本ステップS12に係る加熱工程を開始しても構わない。
本ステップS12は工程(d)に対応する。
(ステップS13)
引き続き、外部出力ミラー7の設置予定面と基板11の面との平行性を確保した状態でダイボンダ治具41を−Y方向に移動させて、支持体31の面がサブマウント5の面に当たるまで半導体チップ3と接合材43を接近させる(図4L参照)。なお、支持体31の面とサブマウント5の面とが当たっても、溶融された接合材43は一部残存しているため、図4Lでは支持体31とサブマウント5の間に接合材43が介在している図面を描いている。ただし、支持体31とサブマウント5の間に介在する接合材43は、極めて薄い層で構成されているものとしても構わない。
上述したように、半導体チップ3をサブマウント5側に接近させると、第一積層体10よりも支持体31が先に接合材43に接触する。接合材43が加熱溶融された状態で、更に半導体チップ3をサブマウント5側に接近させると、支持体31は溶融した接合材43を押し出しながらサブマウント5の面に近づく。そして、やがて支持体31はサブマウント5の面に当たり、サブマウント5からの応力を受ける。
ここで、支持体31がサブマウント5の面に当たる程度に半導体チップ3とサブマウント5が接近した時点で、第一積層体10と接合材43が接触するように、接合材43の厚みや第一積層体10と支持体31との厚みの差が予め設定されているものとしても構わない。この場合、支持体31がサブマウント5の面に当たる程度に半導体チップ3とサブマウント5とが接近すると、第一積層体10と接合材43とも接触する。
ただし、第一積層体10のサブマウント5側の面は、サブマウント5とは当たっていない。このため、サブマウント5から第一積層体10に対して力を受けることはない。すなわち、この時点においても、第一積層体10の面はダイボンダ治具41で吸着されている基板11の面に平行である。
そして、上述したように本実施形態における半導体チップ3は、3個の支持体31を備えている。このため、これら3個の支持体31がサブマウント5の面に当たると、3個の支持体31によって確定される平面で半導体チップ3が安定化される。
本ステップS13は工程(e)に対応する。
(ステップS14)
ステップS12以後の加熱状態を一定時間継続した後、加熱を停止して、接合材43を冷却する。このとき、半導体チップ3及びサブマウント5も同時に冷却するものとしても構わない。
接合材43等が室温程度にまで冷却されると、接合材43が固化され、半導体チップ3とサブマウント5が例えば図4Lに示される状態で一体化される。
上述したように、ステップS13の実行後、半導体チップ3は3個の支持体31によって構成される面上で安定している。このため、第一積層体10とサブマウント5の間に介在している接合材43の厚みが場所によって異なっていても、接合材43の収縮によって半導体チップ3に傾きや反りが発生することが抑制される。
(ステップS15)
Sn−Ag−Cuハンダなどで構成された接合材(不図示)を介して、サブマウント5とヒートシンク51を加熱接合する。その後、ヒートシンク51とベース部53とをボルト留め等によって固定する。
(ステップS16)
所定の位置に配置されたミラー支持部55に外部出力ミラー7を接着する。このとき、外部出力ミラー7の面が、ステップS11等において想定されていた設置予定面にほぼ一致するように外部出力ミラー7を配置する(図3参照)。
そして、半導体チップ3、より詳細には発光部15に対してバイアス電圧を印加して低出力のレーザ光を射出させ、ミラー支持部55を移動又は回転操作することで外部出力ミラーの角度や位置を変化させながら、外部出力ミラー7よりも光軸方向の後段に配置した光学系で受光された光量をモニタリングする。そして受光量が最大になる位置においてミラー支持部55とベース部53を固定する。
本ステップS16が工程(g)に対応する。
上述したように、本方法においては、ステップS16の開始時点において、外部出力ミラー7の面は、各第一積層体10が備える多層膜反射鏡(13,17)の面との平行性がほぼ確保された状態となっている。このため、外部出力ミラー7の位置や角度の調整量は、従来よりも大幅に削減される。
[別実施形態]
以下、半導体レーザ装置1及びその製造方法の別実施形態について説明する。
〈1〉 上記実施形態では、半導体チップ3が3個の支持体31を備えているものとして説明した。しかし、ステップS13において半導体チップ3の面の安定性が確保できていれば、支持体31の個数や形状には限定されない。なお、上記実施形態では、支持体31の形状が円柱形状である場合を想定したが、角柱形状や錐台形状であっても構わない。
また、例えば、支持体31を基板11の辺に沿った矩形環状(図5A参照)や、上面視でL字形状(図5B参照)に構成する場合、半導体チップ3が1個の支持体31を有している場合であっても、上記実施形態と同様の効果が奏される。なお、図5A及び図5Bは、図2と同様に、基板11の第二面をY方向から見たときの図面を模式的に示したものであって、且つ基板11の第一面側に形成されている支持体31を破線で示したものである。
その他の例としては、半導体チップ3が、上記実施形態と同様に基板11の第一面の所定領域に形成された円柱状の1個の支持体31と、基板11の第一面の別の所定領域に形成された、基板11の辺に沿った上面視でI字形状の1個の支持体31とを有する構成を採用することもできる。
更に、例えば上記実施形態と同様の円柱形状を有する支持体31が、基板11の第一面上の4箇所以上の異なる位置に形成されていても構わない。
〈2〉 上記実施形態では、支持体31が高抵抗層25及び当該高抵抗層25を覆うように形成されたパッシベーション層29によって構成されていたが、支持体31の構成材料はこれに限定されない。別の一例として、支持体31が第一積層体10と同一の材料で構成されていても構わない。
すなわち、半導体チップ3が、基板11の第一面上であって、第一積層体10が形成されている領域とは異なる領域に、n側多層膜反射鏡13、発光部15、p側多層膜反射鏡17、コンタクト層19、及びp側電極33を含む第二積層体を有するものとすることができる。この場合において、第二積層体は、第一積層体10よりも厚み(Y方向に係る長さ)が厚くなるように形成される。
かかる構成であっても、上記実施形態で説明したのと同様の理由により、ステップS13において半導体チップ3の面の安定性が確保されるため、半導体チップ3に傾きや反りが発生することが抑制される。よって、多層膜反射鏡(13,17)の面と外部出力ミラー7との平行性を容易に確保することができる。
〈3〉 上記実施形態では、半導体チップ3がn側多層膜反射鏡13を備える構成とした。しかし、半導体レーザ装置1は、n側多層膜反射鏡13を備えず、p側多層膜反射鏡17と外部出力ミラー7によって構成される共振器のみを有する構成とすることも可能である。
〈4〉 上記実施形態において、p側多層膜反射鏡17とp型電極33との接触抵抗を低くすることができれば、コンタクト層19は必ずしも必要ではない。
〈5〉 電流狭窄層としての高抵抗層27は、発光部15を含む第一積層体10に電流を集中的に流すことで、同一電流注入下で取り出すことのできる光出力を向上させる狙いがある。しかし、半導体レーザ装置1は高抵抗層27を必ずしも備えなければならないというものではない。
また、上記実施形態では、パッシベーション層29は、第一積層体10を構成する各層間の短絡を防止する目的で設けられているが、半導体レーザ装置1はパッシベーション層29を必ずしも備えなければならないというものではない。
また、上記実施形態では、誘電体層35は、共振中の光の損失を抑制する目的で設けられているが、半導体レーザ装置1は誘電体層35を必ずしも備えなければならないというものではない。この場合、n側電極37によって囲まれた領域における基板11の露出面(第二面)が光取り出し部2を構成する。
〈6〉 上記実施形態では、Z方向に隣接する第一積層体10の間は離間しているが、この離間部分に絶縁層又は半導体層が形成されているものとしても構わない。
更に、上記実施形態では、半導体チップ3が複数の第一積層体10を有する構成、すなわち、複数の光取り出し部2を備えた半導体レーザ装置1を想定して説明した。しかし、本発明は、一つの光取り出し部2を備えた半導体レーザ装置に対しても適用可能である。
〈7〉 上記実施形態では、基板11の第一面側、すなわちサブマウント5に近い側をp側とし、基板11の第二面側、すなわち光取り出し部2に近い側をn側とした。しかし、n側とp側の位置は反転させても構わない。
1 : 本発明の半導体レーザ装置
2 : 光取り出し部
3 : 半導体チップ
5 : サブマウント
7(7a,7b) : 外部出力ミラー
8 : 光軸
10 : 第一積層体
11 : 基板
13 : n側多層膜反射鏡
15 : 発光部
17 : p側多層膜反射鏡
18 : 半導体層
19 : コンタクト層
21 : 第一半導体層
22a : マスク領域
22b : 非マスク領域
23 : 高抵抗層
25 : 第一高抵抗層
27 : 電流狭窄層としての高抵抗層(第二高抵抗層)
31 : 支持体
33 : p側電極
35 : 誘電体層
37 : n側電極
41 : ダイボンダ治具
43 : 接合材
51 : ヒートシンク
53 : ベース部
55 : ミラー支持部
71,72 : 光軸
90 : 従来の半導体レーザ装置
91 : 半導体チップ
d1 : 光取り出し方向

Claims (6)

  1. 半導体チップと、前記半導体チップを上面に搭載したサブマウントと、前記サブマウントと前記半導体チップを接合するための接合材と、外部出力ミラーとを含む半導体レーザ装置であって、
    前記半導体チップは、
    基板と、
    前記基板の第一面上に、発光部、第一内部反射鏡、及び第一電極を含む第一積層体と、
    前記基板の前記第一面上のうち、前記第一積層体が形成されている領域とは異なる領域に形成された支持体と、を有し、
    前記外部出力ミラーは、前記基板の前記第一面とは反対の第二面側に対向する位置に配置されて、前記第一内部反射鏡との間で共振器を構成し、
    前記支持体は、前記第一積層体が備える前記第一電極よりも前記サブマウントの面に近い位置で前記接合材と接触していることを特徴とする半導体レーザ装置。
  2. 前記半導体チップは3以上の前記支持体を備えていることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  3. 前記半導体チップは、前記基板の前記第一面上に、前記第一面に平行な方向に離間した状態又は電気的に絶縁された状態で複数の前記第一積層体を有しており、
    前記外部出力ミラーは、複数の前記第一積層体が備える複数の前記第一内部反射鏡との間で共振器を構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体レーザ装置。
  4. 前記支持体が絶縁層で構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
  5. 半導体チップと、前記半導体チップを上面に搭載したサブマウントと、前記サブマウントと前記半導体チップを接合するための接合材と、外部出力ミラーとを含む半導体レーザ装置の製造方法であって、
    基板を準備する工程(a1)、
    前記基板の第一面上に、発光部、第一内部反射鏡、及び第一電極を含む第一積層体を形成する工程(a2)、
    及び、前記基板の前記第一面上のうち、前記第一積層体が形成されている領域とは異なる領域に、前記基板の前記第一面に直交する方向に係る長さが前記第一積層体よりも長い支持体を形成する工程(a3)を含む、前記半導体チップを作製する工程(a)と、
    前記サブマウントの面上に前記接合材を成膜する工程(b)と、
    前記基板の前記第一面側を前記接合材に対向させた状態で前記半導体チップを前記接合材に接近させて、前記支持体の面のうち前記基板とは反対側に位置する面を前記接合材に接触させる工程(c)と、
    加熱して前記接合材を溶融する工程(d)と、
    前記基板の前記第一面側を前記接合材に対向させた状態で前記半導体チップを前記接合材に接近させて、前記支持体の面のうち前記基板とは反対側に位置する面を前記サブマウントの面に当てる工程(e)と、
    冷却して前記接合材を固化させることで、前記サブマウントと前記半導体チップを一体化する工程(f)と、
    前記工程(f)の後、前記半導体チップに対して、前記サブマウントとは反対側に対向する所定の位置に前記外部出力ミラーを設置する工程(g)とを有することを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。
  6. 前記工程(a2)及び前記工程(a3)は、並列して実行されることを特徴とする請求項5に記載の半導体レーザ装置の製造方法。
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WO2017122611A1 (ja) * 2016-01-14 2017-07-20 株式会社アマダミヤチ レーザ装置

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