JP2015191904A - 積層型コイル部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】素体における内部応力の発生を抑制できると共に、インダクタンスの向上を図ることができる積層型コイル部品を提供する。【解決手段】積層型コイル部品1は、複数のセラミック層C1〜C20が積層されてなる素体2と、複数のコイル導体P1〜P17が電気的に接続されて構成され、素体2の内部に配置されたコイル5と、素体2の外表面に配置され、コイル5と電気的に接続される端子電極3,4とを備え、コイル導体P2〜P16は、当該コイル導体P2〜P16の周囲の素体2と接触している部分と、当該コイル導体P2〜P16の周囲の素体2と離間している部分とを有している。【選択図】図4

Description

本発明は、積層型コイル部品に関する。
特許文献1には、磁性体セラミック層を積層してなる素体と、内部導体を接続して構成され、素体の内部に配置されたコイルと、を備えた積層型コイル部品が開示されている。特許文献1に記載の積層型コイル部品では、内部導体と内部導体の周囲の磁性体セラミックとの界面には空隙が存在せず、且つ、内部導体と磁性体セラミックとの界面が解離している。
特許文献2には、内部導体における端子電極との接続部は、周囲の磁性体セラミックと密着しており、接続部以外の内部導体は、周囲の磁性体セラミックと密着されずに形成されている積層型コイル部品が開示されている。
国際公開WO2009/34824号パンフレット 特開2003−109820号公報
積層型コイル部品を形成する際、内部導体となる導電ペーストと磁性体セラミック(素体)となるグリーンシートとを同時焼成したときには、内部導体と磁性体セラミックとが結合(融着)する。この構成では、素体に内部応力が残存することがあるため、磁性体セラミックの磁気特性が低下してインピーダンスが低下するおそれがある。この点、特許文献1に記載の積層型コイル部品では、内部導体と磁性体セラミックとの界面が解離しているため、素体に内部応力が残存することは抑制されている。しかしながら、内部導体の周囲と磁性体セラミックとの間に空隙が設けられていないため、高温の環境下において内部導体が熱膨張したときに、素体に応力が加わるおそれがある。これにより、特許文献1に記載の積層型コイル部品では、磁性体セラミックの磁気特性が低下し、インピーダンスが低下するといった問題が依然として生じ得る。一方で、上記特許文献2に記載の積層型コイル部品のように、内部導体と磁性体セラミックとの間に設けられた空隙では、磁界が低減するために磁束が流れ難い。そのため、内部導体が周囲の磁性体セラミックと接触していない構成では、インダクタンスが低下するといった問題が生じ得る。
本発明は、素体における内部応力の発生を抑制できると共に、インダクタンスの向上を図ることができる積層型コイル部品を提供することを目的とする。
本発明に係る積層型コイル部品は、複数の磁性体層が積層されてなる素体と、複数のイル導体が電気的に接続されて構成され、素体の内部に配置されたコイルと、素体の外表面に配置され、コイルと電気的に接続された複数の端子電極と、を備えた積層型コイル部品であって、コイル導体は、当該コイル導体の周囲の素体と接触している部分と、当該コイル導体の周囲の素体と離間している部分と、を有していることを特徴とする。
この積層型コイル部品では、コイル導体は、周囲の素体と離間している部分を有している。すなわち、積層型コイル部品では、コイル導体が素体と離間している部分において、空隙が画成されている。これにより、高温環境下においてコイル導体に熱膨張が生じた場合であっても、空隙においてその膨張を吸収できる。したがって、膨張したコイル導体による素体での内部応力の発生を抑制できる。また、積層型コイル部品では、コイル導体が周囲の素体と接触している部分を有しているため、この接触している部分においては、磁束の流れが阻害されることを抑制できる。したがって、インダクタンスの低下を抑制できる。以上のように、積層型コイル部品では、素体における内部応力の発生を抑制できると共に、インダクタンスの向上を図ることができる。
一実施形態においては、コイル導体は、磁性体層の積層方向において対向する第1面及び第2面を有し、第1面及び第2面のいずれか一方側が素体と接触しており、他方側が素体と離間していてもよい。この構成により、積層型コイル部品では、第1面又は第2面と素体との間に画成される空隙を大きく確保できる。すなわち、磁気ギャップを大きく確保できる。積層型コイル部品では、磁気ギャップにより、磁気抵抗が大きくなるため、磁気飽和が生じるまでに大きな電流を必要する。そのため、電流増加によるインダクタンスの低下を抑制でき、直流重畳特性の向上を図ることができる。
本発明によれば、素体における内部応力の発生を抑制できると共に、インダクタンスの向上を図ることができる。
一実施形態に係る積層型コイル部品を示す斜視図である。 素体及びコイルの構成を示す分解斜視図である。 図1におけるIII−III線に沿った断面構成を示す図である。 素体及びコイル導体の断面構成を拡大して示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、一実施形態に係る積層型コイル部品を示す斜視図である。図2は、素体及びコイルの構成を示す分解斜視図である。図3は、図1におけるIII−III線に沿った断面構成を示す図である。図1及び図2に示す積層型コイル部品1は、例えば積層型インダクタである。積層型コイル部品1は、略直方体形状の素体2と、素体2の長手方向の両端部にそれぞれ形成された端子電極3,4と、素体2の内部に配置されたコイル5と、を備えている。
素体2は、長手方向に向かい合って互いに平行をなす一対の端面2a,2bと、一対の端面2a,2b間を連結するように伸び且つ互いに対向する一対の主面2c,2dと、一対の主面2c,2dを連結するように伸び且つ互いに対向する一対の側面2e,2fと、を有する。主面2c,2dのうちの一方は、積層型コイル部品1が外部基板(図示しない)に実装されたときに、当該外部基板に対応する面である。
図2に示すように、素体2は、複数のセラミック層(磁性体層)C1〜C20が積層されることにより構成された積層体である。セラミック層C1〜C20は、電気絶縁性を有する絶縁体として機能する。セラミック層C1〜C20の厚みは、例えば60μm程度である。素体2は、セラミック層C1〜C20の焼成によって形成されている。実際の積層型コイル部品1では、セラミック層C1〜C20の各層同士は、視認できない程度に一体化されている。
端子電極3は、一方の端面2a及び端面2aと直交する主面2c,2d及び側面2e,2fの各縁部の一部を覆うように形成されている。端子電極4は、他方の端面2b及び端面2bと直交する主面2c,2d及び側面2e,2fの各縁部の一部を覆うように形成されている。
コイル5は、複数のコイル導体P1〜P17が電気的に接続されて構成されている。コイル5は、コイル導体P1〜P17がスルーホール電極H1〜H16を介して電気的に接続されて構成されている。詳細には、セラミック層C3の表面には、直線状のコイル導体P1が形成されている。コイル導体P1の一端は、セラミック層C3の一方縁まで延びており、端子電極3と電気的に接続されている。
セラミック層C4〜C18の表面には、略Uの字状のコイル導体P2〜P16がそれぞれ形成されている。コイル導体P2〜P16の一端は、対応するスルーホール電極H1,H3,H5,H7,H9,H11,H13,H15とそれぞれ電気的に接続されている。また、コイル導体P2〜P16の他端は、スルーホール電極H1,H3,H5,H7,H9,H11,H13,H15とセラミック層C4〜C18の中心を挟んで対称の位置に形成されたスルーホール電極H2,H4,H6,H8,H10,H12,H14,H16とそれぞれ電気的に接続されている。
セラミック層C19の表面には、コイル導体P1と同様に、直線状のコイル導体P17が形成されている。コイル導体P17の一端は、スルーホール電極H16と電気的に接続され、このスルーホール電極H16を介してコイル導体P16と電気的に接続されている。コイル導体P17の他端は、セラミック層C19の長手方向の他方縁まで延びており、端子電極4と電気的に接続されている。セラミック層C3〜C19が積層されることにより、コイル5は、素体2の内部に螺旋状に形成されている。
続いて、コイル導体P2〜P16と素体2との関係について説明する。図4は、コイル導体の断面構成を拡大して示す図である。図4では、コイル導体P5を一例に示している。以下の説明では、コイル導体P5を一例に説明するが、その他のコイル導体P2〜P4,P6〜P16についても同様の構成を有している。
コイル導体P5は、例えば断面が略矩形形状を呈している。図4に示すように、コイル導体P5は、セラミック層C1〜C20の積層方向において互いに対向する、第1面S1と、第2面S2と、を有している。コイル導体P5は、このコイル導体P5の周囲の素体2と接触する部分と、コイル導体P5の周囲の素体2と離間している部分と、を有している。本実施形態では、コイル導体P5の第1面S1側は、素体2と離間しており(素体2と接触しておらず)、コイル導体P5の第2面S2側は、素体2と接触している。コイル導体P5と素体2とが接触しているとは、密着している状態、当接している状態を含む。また、第1面S1において、素体2と部分的に接触していてもよく、第2面S2において素体2と部分的に離間していてもよい。
コイル導体P5の第1面S1側と素体2とが離間していることにより、コイル導体P5の第1面S1と素体2との間には、空隙Sが画成されている。空隙Sは、コイル導体P5の延在する方向に沿って設けられている。なお、コイル導体P1,P17の素体2の端面2a,2bに露出する部分(端子電極3,4との接続部分)においては、水分やめっき液等の浸入を防止するために、空隙Sが設けられていない。
続いて、上述した構成を有する積層型コイル部品1の製造方法の一例について説明する。
最初に、コイル導体P2〜P16の前駆体である第1の導電性ペーストを作製する。第1の導電性ペーストは、アクリル樹脂(メタクリル酸メチルを含むポリマー)に溶剤を配合した有機ビヒクルに、銀粉末(導電性粉末)を混練して得られる。
第1の導電性ペースト中の銀粉末の含有量は、79重量%〜90重量%の範囲内とされている。アクリル樹脂の含有量は、銀粉末100重量部に対して6.2重量部〜11.3重量部である。また、溶剤には、例えばα−テルピネオール、テトラリン、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテートが用いられる。上述した銀粉末の含有量及びアクリル樹脂の含有量となるように作製された第1の導電性ペーストは、残留溶剤が1.0%以下であるときに測定したダイナミック硬さが9.8〜20.6となる。
続いて、コイル導体P1,P17の前駆体である第2の導電ペーストを作製する。第2の導電性ペーストは、既知の樹脂と溶剤を配合した有機ビヒクルに、銀粉末(導電性粉末)を混練して得られる。
次に、セラミック層C1〜C20の前駆体であるグリーンシートを作製する。グリーンシートは、フェライト(例えば、Ni−Cu−Zn系フェライト、Ni−Cu−Zn−Mg系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Cu系のフェライト)やガラス系セラミック等を原料としたスラリーを、例えばドクターブレード法によってPETフィルム上に塗布することによって作製される。
次に、セラミック層C3〜C18となるグリーンシートの所定位置に、レーザ加工等によってスルーホール(図示せず)をそれぞれ形成する。そして、スクリーン印刷により、各グリーンシートの表面に所定のパターンで上述の導電性ペースト(第1の導電性ペースト、第2の導電性ペースト)を塗布する。その後、導電性ペーストを乾燥させる工程を経てから、各グリーンシートを所定の順序で積層する。さらに、積層方向から圧力を加えて各グリーンシートを圧着させる。このとき、導電性ペーストとグリーンシートとの密着力を調整する。詳細には、コイル導体P1〜P17と素体2とを離間させる部分は密着力が弱くなるように調整し、コイル導体P1〜P17と素体2とを接触させる部分は密着力が強くなるように調整する。このようにグリーンシートを圧着させ、グリーンシートの積層体を形成する。
圧着後、グリーンシートの積層体をチップ単位に切断する。そして、例えば900℃程度の温度でチップ化した積層体を焼成する。これにより、各グリーンシートがセラミック層C1〜C20となり、また、導電性ペーストがコイル導体P1〜P17及びスルーホール電極H1〜H16となり、素体2が形成される。
ここで、本実施形態では、第1の導電性ペーストのダイナミック硬さが好適なものとなるので、第1の導電性ペーストの焼成時の収縮率が、グリーンシートの焼成時の収縮率よりも大きくなるようにできる。このとき、導電性ペーストとグリーンシートとの密着力が強い部分は結合するが、密着力が弱い部分は離間する。これにより、焼成後に得られる素体2とコイル導体P2〜P16との間に空隙S(図4参照)が形成される。すなわち、コイル導体P2〜P16において、周囲の素体2と接触する部分と、周囲の素体2と離間する部分とが形成される。コイル導体P1,P17においては、第2の導電性ペーストの焼成時の収縮率が、第1の導電性ペーストの収縮率よりも小さく、グリーンシートの焼成時の収縮率に近いので、素体2との間に空隙は形成されない。
最後に、素体2に端子電極3,4を形成する。端子電極3,4は、素体2の長手方向の両端部に、銀、ニッケル、又は銅を主成分とする電極ペーストを塗布し、例えば600℃で焼付を行うことにより形成される。その後、端子電極3,4の表面にCu、Ni、及びSn等のめっき層を形成すると、図1に示した積層型コイル部品1が完成する。
以上説明したように、本実施形態では、コイル導体P2〜P16は、周囲の素体2と離間している部分を有している。すなわち、積層型コイル部品1では、コイル導体P2〜P16が素体2と離間している部分において、空隙Sが画成されている。これにより、高温環境下において、コイル導体P2〜P16に熱膨張が生じた場合であっても、空隙Sにおいてその膨張を吸収できる。したがって、膨張したコイル導体P2〜P16による素体2での内部応力の発生を抑制できる。その結果、素体2の磁気特性の低下を抑制し、インピーダンスの低下の抑制を図れる。
また、積層型コイル部品1では、コイル導体P2〜P16が周囲の素体2と接触している部分を有しているため、この接触している部分においては、磁束の流れが阻害されることを抑制できる。したがって、インダクタンスの低下を抑制できる。以上のように、積層型コイル部品1では、素体2における内部応力の発生を抑制できると共に、インダクタンスの向上を図ることができる。
本実施形態では、コイル導体P2〜P16の第1面S1と素体2とが離間しており、第2面S2と素体2とが接触している。これにより、積層型コイル部品1では、第1面S1と素体2との間に画成される空隙Sを大きく確保できる。すなわち、磁気ギャップを大きく確保できる。積層型コイル部品1では、磁気ギャップにより、磁気抵抗が大きくなるため、磁気飽和が生じるまでに大きな電流を必要する。そのため、積層型コイル部品1では、電流増加によるインダクタンスの低下を抑制でき、直流重畳特性の向上を図ることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、コイル導体P2〜P16の第2面S2側が素体2と接触し、第1面S1側が素体2と離間している構成を一例に説明したが、第2面S2側が素体2と離間し、第1面S1側が素体2と接触している構成であってもよい。積層型コイル部品1では、コイル導体P2〜P16の少なくとも一部が素体2と接触し、コイル導体P2〜P16の少なとも一部が素体2と離間している構成であればよい。
1…積層型コイル部品、2…素体、3,4…端子電極、5…コイル、P1〜P17…コイル導体、S1…第1面、S2…第2面。

Claims (2)

  1. 複数の磁性体層が積層されてなる素体と、
    複数のコイル導体が電気的に接続されて構成され、前記素体の内部に配置されたコイルと、
    前記素体の外表面に配置され、前記コイルと電気的に接続された複数の端子電極と、を備えた積層型コイル部品であって、
    前記コイル導体は、当該コイル導体の周囲の前記素体と接触している部分と、当該コイル導体の周囲の前記素体と離間している部分と、を有していることを特徴とする積層型コイル部品。
  2. 前記コイル導体は、前記磁性体層の積層方向において対向する第1面及び第2面を有し、
    前記コイル導体の前記第1面及び前記第2面のいずれか一方側が前記素体と接触しており、他方側が前記素体と離間していることを特徴とする請求項1記載の積層型コイル部品。
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