JP2015191634A - 積層体、該積層体を用いたタッチパネル及び積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明基材(2)の片面又は両面に透明層(3a、3b)を有する基体(5)上に、パターニングされた透明導電層(6’)を有してなる積層体であって、該基体(5)の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m2)と該基体(5)の厚みd(m)を乗じることで得られるEt(N/m)が、4.0×104≦Et≦10.5×104である、積層体。
【選択図】図1
Description
透明タッチパネルとしては、コスト的に優れた抵抗膜方式があるが、マルチタッチ等のジェスチャー操作、透過率向上による表示デバイスの画質維持が可能である等の点で、情報端末機器の爆発的な普及もトリガーとなり、静電容量方式のタッチパネル、特に、投影型静電容量方式のタッチパネルの需要が拡大してきている。
近年、端末機器のさらなる軽量化ならびに薄型化等に伴う透明基材の厚みの低減化、かつ表示画素の高精細化ならびにタッチ検出精度の高精度化に伴うITO層等の透明導電層のパターンの高精細化ならびに多様化等の要求もでてきている。
このような中、上記タッチパネル等に用いられる透明導電性フィルムの透明導電層には、低消費電力、高速応答性、視認性等の観点から、主として低表面抵抗率、高透明性、色味の抑制等が要求されている。
特許文献1には、上記問題を解消するために、透明導電層を成膜する前に、ポリエチレンテレフタレートフィルムにあらかじめ加熱処理を施し、該ポリエチレンテレフタレートフィルムの熱収縮率(長手方向MD及び横手方向TDの収縮率)を0.5%程度に低減させておく旨の技術が開示されている。
しかし、近年、タッチパネルの主流が抵抗膜式から静電容量式に切り替わったことに伴い、透明導電層はパターニングされることが多くなり、また、表示素子の高精細化に伴い、透明導電層のパターニングも高精細化しているところ、特許文献1では、このように透明導電層をパターニングした場合に、基体とパターニングされた透明導電層との間で、どのような相互作用(熱応力による歪み等)が生じるのか、全く検討がなされていなかった。
さらに、前述したように、透明基材の厚みの低減化の要求があるなかで、特許文献1のように、たとえポリエチレンテレフタレートフィルムの熱収縮率を0.5%以下に低減させておいたとしても、上述の問題(透明導電層を高温で結晶化する工程や、透明導電層を成膜した後に取り出し電極を高温で焼結する工程において、基体から透明導電層が剥がれたり、透明導電層表面に微細なクラック等が生じる問題)は解消するものの新たな問題が生じた。
該うねりの問題は、特許文献2のように、透明基材の反対側の面に補強基材を貼り合わせることにより解消し得る。しかし、補強基材を貼り合わせた場合、全体の重量及び厚みが増し、近年求められている軽量化及び薄型化の流れに逆行してしまう。
さらに、上記の新たな問題として、パターニングした透明導電層に対して高温長時間の熱処理(透明導電層の結晶化あるいは取り出し電極の焼成)を行った際に、前述したうねりとは異なる、洗濯板のようなさざ波状の凹凸面(以下、ウォッシュボードリップル又はWBRと称することがある。)が発生する現象が挙げられる。該ウォッシュボードリップルは、特許文献2のように補強基材を貼り合せても解消できない場合がある。そして、該ウォッシュボードリップルは、外観性状の低下はもとより、後の工程において、例えばタッチパネルを構成するカバーガラス等と貼り合わせる際に気泡を巻き込む等の新たな問題を生じてしまう。
また、上述したうねりやウォッシュボードリップルを防止するために、単に基体の強度を高くした場合、屈曲等により容易にクラックを生じてしまう。
[1]透明基材の片面又は両面に透明層を有する基体上に、パターニングされた透明導電層を有してなる積層体であって、該基体の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m2)と該基体の厚みd(m)を乗じることで得られるEt(N/m)が、4.0×104≦Et≦10.5×104である、積層体。
[2]前記透明層の貯蔵弾性率が、前記透明基材の貯蔵弾性率より大きい、上記[1]に記載の積層体。
[3]前記透明基材の厚みをdS(m)、前記透明層の厚みをdL(m)とした場合、下記の関係を満たす、上記[1]又は[2]に記載の積層体。
0.005≦dL/(dS+dL)≦0.7
[4]前記透明基材の厚みが15〜125μm、前記透明層の総厚みが2.0〜24μmである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体。
[5]前記基体がさらに光学調整層を有する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
[6]前記基体が、前記透明基材上に前記透明層及び前記光学調整層を有してなり、該光学調整層上に前記パターニングされた透明導電層を有する上記[5]に記載の積層体。
[7]前記光学調整層が高屈折率層と低屈折率層とからなり、該高屈折率層の屈折率が1.55〜1.75であり、該低屈折率層の屈折率が1.30〜1.55である、上記[5]又は[6]に記載の積層体。
[8]前記透明層がハードコート層である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の積層体。
[9]上記[1]〜[8]のいずれかに記載の積層体を構成部材として有するタッチパネル。
[10]前記積層体が、前記透明基材上に前記ハードコート層及び前記光学調整層を有してなり、該光学調整層上に前記パターニングされた透明導電層を有してなる上記[9]に記載のタッチパネル。
[11]透明基材の片面又は両面に透明層を有する基体上に、パターニングされた透明導電層を有してなる積層体を製造する方法であって、
該基体の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m2)と該基体の厚みd(m)を乗じることで得られるEt(N/m)が4.0×104≦Et≦10.5×104となるように、該透明基材上に、該透明層を形成する基体形成工程、該基体上に透明導電層を形成する透明導電層形成工程、該透明導電層をパターニングするパターン形成工程、透明導電層を加熱し結晶化させる結晶化工程を含む、積層体の製造方法。
本発明の積層体は、透明基材の片面又は両面に透明層を有する基体上に、パターニングされた透明導電層を有してなる積層体であって、該基体の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m2)と該基体の厚みd(m)を乗じることで得られるEt(N/m)が、4.0×104≦Et≦10.5×104である、積層体である。
上記条件は、積層体を構成する透明基材のMD方向で満たしていることが好ましく、積層体の全方向で満たしていることがより好ましい。なお、MD方向とは透明基材の延伸倍率が最も大きい方向のことを言う。
なお、基体上に成膜した結晶化させていない透明導電層を有する積層体を、以下、積層体前駆体ということがある。
本発明の基体は、透明基材の片面又は両面に透明層を有し、必要に応じて後述する光学調整層等の機能層を含む。
透明基材としては、光透過性、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度に優れたものであることが好ましい。このような透明基材としては、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)等のプラスチックフィルムが挙げられる。透明基材は、2枚以上のプラスチックフィルムを貼り合わせたものであってもよい。
これらプラスチックフィルムの中でも、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステル、例えば、機械特性、寸法安定性、耐薬品性、透明性等の観点からポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
なお、ポリエチレンナフタレートは屈折率の異方性が大きいので、延伸により高リタデーションにできる(偏光サングラスへの対応)。また、ポリエチレンテレフタレートは、高い透明性が安定的に得られ、例えば、隣接して積層される透明層の一つであるハードコート層との屈折率差が小さく界面の影響が出にくい等の特徴を有する。
また、透明基材の表面には、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理の他、アンカー剤又はプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。
二軸延伸の方法としては、未延伸の透明基材を長手方向(流れ方向)あるいは横手方向(流れ方向に対し垂直方向)に延伸し、続いて先のいずれかの延伸方向と直行する方向の延伸を行う逐次二軸延伸や、長手方向、横手方向に一度に延伸する同時二軸延伸があるが、本発明においては、特に制限されず、どちらの二軸延伸で製造された透明基材でも使用することができる。
二軸延伸フィルムは、上述したように、長手方向及び横手方向に延伸され製造されるため、延伸時の残留応力等により、加熱時に大きく収縮してしまう傾向にある。このため、例えば、二軸延伸PETフィルムを基材として使用する際には、予め所定の熱処理を行い、収縮率を0.7%以下に低減して使用することが好ましい。
また、透明基材が上記のような薄い厚みの範囲にあるものを用いる場合には、前述したように、透明導電層のパターニング後の高温長時間の熱処理時(例えば、125〜160℃で10〜60分間)に、積層体の基体上にパターニングされた透明導電層にウォッシュボードリップルが発生してしまう。しかし、後述する透明基材の貯蔵弾性率より大きな貯蔵弾性率を有する透明層を積層し、得られた基体の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m2)と該基体の厚みd(m)を乗じることで得られるEt(N/m)を本発明の特定の範囲に制御することにより、パターニングされた透明導電層へのウォッシュボードリップルの発生が阻止できる。
さらに、本発明の積層体の製造工程において、透明基材の厚みが薄いと、ロールの巻き径が小さくとも巻き長さが長大となり、透明導電層の成膜(スパッタ)効率があがる観点から、透明基材の厚みは、上記範囲の中で、薄ければ薄いほど好ましい。
上記により、透明基材の材料コストが減少するとともに、例えば、タッチパネル用の電極板等に用いられた時には、デバイスの薄型化、軽量化に大きく貢献する。
透明層は、基体のEtを上述した範囲に調整する役割を有する。
透明層の貯蔵弾性率は、透明基材が有する貯蔵弾性率より大きく、また積層体の屈曲性が確保できる範囲内で大きければ特に制限されない。
透明基材中にオリゴマー成分が残存している場合、透明導電層の結晶化や取り出し電極の焼成の加熱処理の際に、透明基材中からオリゴマーが析出し、白濁を生じるなどして視認性に悪影響を及ぼす場合がある。特に、透明基材がPET等のポリエステル系フィルムの場合にオリゴマーの析出は顕著である。したがって、透明層は、オリゴマーの析出を防止できることが好ましい。
オリゴマーの析出を防止するため、透明層はハードコート層であることが好ましい。また、ハードコート層は、基体の機械的特性(耐摩耗性、耐擦傷性、高鉛筆硬度性等)を向上できる点でも好適である。
電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、一つ又は二つ以上の不飽和結合を有するアクリレート系化合物を挙げることができる。一つの不飽和結合を有する化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。また、二つ以上の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能化合物、その変成物、及び、これらの多官能化合物と(メタ)アクリレート等との反応生成物(例えば、多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートエステル)、等を挙げることができる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートは、メタクリレート及びアクリレートを意味するものである。
上記電離放射線硬化性樹脂は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ソフト成分としては、例えば、ウレタンアクリレートオリゴマー、アクリルポリマー等が挙げられる。
上記の電離放射線硬化性樹脂組成物を構成する樹脂成分は、各成分をそれぞれ複数併用した樹脂としてもよい。
光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミノキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類等が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は特に限定されないが、電離放射線硬化性樹脂組成物中の1〜10質量%が好ましく、3〜7質量%がより好ましい。
上記で、透明層の形成材料が両面間で異なる場合は、総厚み及び各面でのそれぞれの厚みを適宜調整することにより、基体の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m2)と該基体の厚みd(m)を乗じることで得られるEt(N/m)を本発明の範囲とすることができる。
これにより、パターニングされた透明導電層に高温の熱処理工程を有していても、ウォッシュボードリップルの発生を阻止することができる。
Etが4.0×104(N/m)未満であると、該基体が塑性変形しやすくなる傾向となり、加熱工程時に発生する応力によって容易に変形し、パターニングされた透明導電層にウォッシュボードリップルが発生する。Etが10.5×104(N/m)を超えると、パターニングされた透明導電層と基体との応力バランスが保ちやすい傾向となり、ウォッシュボードリップルをより抑制できるが、屈曲性が低下するため、タッチパネル等に使用した時には、多数回のタッチ操作により、透明層にクラックが入ったり、剥離しやすくなる。Etが上記の範囲にあると、該基体とパターニングされた透明導電層との熱処理時の熱応力を含む機械的な相互作用が緩和され、パターニングされた透明導電層にウォッシュボードリップルが発生することがなく、同時に屈曲性が保たれる。
基体の貯蔵弾性率Ecは、後述する実施例で記載するが、動的粘弾性測定装置(UBM社製、装置名:Rheogel−E4000)を用いて測定した。
なお、基体の150℃における貯蔵弾性率Ec150(N/m2)と該基体の厚みd(m)を乗じることで得られるEt150(N/m)は、2.5×104〜10.0×104が好ましく、3.0×104〜9.0×104がより好く、4.5×104〜9.0×104がさらに好ましい。
透明層のx℃の貯蔵弾性率は、基体が透明基材及び透明層からなる場合、以下の式で近似できる。なお、以下の式の「透明層の厚み」は、透明層が2層の場合は、透明層の合計厚みである。
透明層のx℃貯蔵弾性率=(基体のx℃貯蔵弾性率×基体の厚み−透明基材のx℃貯蔵弾性率×透明基材の厚み)/透明層の厚み
さらに、本発明の効果を得やすくする観点から、透明層の150℃における貯蔵弾性率Ec(N/m2)と、透明層の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m2)との比[透明層の150℃における貯蔵弾性率/透明層の130℃における貯蔵弾性率]は、0.80以上であることが好ましく、0.85以上であることがより好ましい。
また、透明層の屈折率は、干渉縞防止の観点から、透明基材、又は透明基材上に必要に応じて形成するプライマー層等との屈折率差を0.15以内とすることが好ましく、0.10以内とすることがより好ましく、0.08以内とすることがさらに好ましい。ただし、透明層の屈折率が前記条件を満たさなくても、透明基材と透明層との界面を凹凸にしたり、透明基材やプライマー層に透明層の成分を浸透したりすることにより、干渉縞を低減することができる。
基体は、さらに機能層を有していてもよい。機能層としては、特に制限されず、積層体の特性を損なうことがない範囲で用いることができ、例えば、光学調整層が挙げられる。なお、機能層は透明基材上に直接設けてもよい。
光学調整層は、例えば、透明導電層のパターンを見えづらくするために、透明層と透明導電層との間に設けることができる。また、積層体の透明導電層を有さない側の面に、反射防止性のために光学調整層を設けることができる。
ウェット法としては、金属アルコキシド等を用いてゾルゲル法により形成する手法、フッ素樹脂のような低屈折率のバインダーを塗工して形成する手法、バインダー樹脂に低屈折率粒子を含有させた組成物を塗工して形成する手法が挙げられる。ドライ法としては、後述する低屈折率粒子の中から所望の屈折率を有する粒子を選び、物理気相成長法又は化学気相成長法により形成する手法が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、前述したハードコート層に用いるものと同様のものが挙げられる。
熱硬化型樹脂としては、ウレタン系熱硬化性樹脂、メラミン系熱硬化性樹脂、フェノキシ系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの中でも、ウレタン系熱硬化性樹脂が靭性を上げ易く、耐久性が良好である観点から好ましく用いられる。
バインダーとして本発明において最も好ましいのは、製造効率がよく、物性や後述する低及び高屈折率微粒子の分散性が良好となる電離放射線硬化型樹脂である。
低屈折率粒子の一次粒子径は100nm以下のものを用い、5〜60nmであるものが好ましい。上記範囲であれば、塗膜が白化することなく良好な光学干渉層を形成することができる。なお、添加量は、所望の屈折率に合わせ、適宜調整する。
ウェット法としては、低屈折率層と同様、金属アルコキシド等を用いてゾルゲル法により形成する手法、バインダー樹脂に高屈折率粒子を含有させた組成物を塗工して形成する手法が挙げられる。ドライ法としては、後述する高屈折率粒子の中から所望の屈折率を有する材料を選び、物理気相成長法又は化学気相成長法により形成する手法が挙げられる。
バインダー樹脂として用いる材料としては、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化型樹脂が挙げられ、いずれも低屈折率層で用いたものと同様のものを用いることができる。
高屈折率粒子の一次粒子径は100nm以下のものを用い、10〜60nmであるものが好ましい。上記範囲であれば、塗膜が白化することなく良好な光学干渉層を形成することができる。なお、添加量は、所望の屈折率に合わせ、適宜調整する。
〈添加剤〉
上述した透明層、光学調整層中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、帯電防止剤、防汚剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有してもよい。
(A)透明層/透明基材/透明層/光学調整層
(B)光学調整層/透明層/透明基材/透明層/光学調整層
本発明に用いる透明導電層は、本発明の基体上に積層される。必要に応じて、光学特性に影響のない範囲で、基体と透明導電層との間にSiO2等からなる無機層を形成し、製造工程で基体から発生又は析出するガス、オリゴマー成分等を封止してもよい。
本発明で用いる透明導電層としては、特に制限されないが、金属酸化物が挙げられる。この中で、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、リンドープ酸化スズ(PTO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)が挙げられる。この中で、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)が好まししい。特に、透明性、導電性がともに優れることから、スズドープ酸化インジウム(ITO)が好ましい。
透明導電層のパターンのピッチは5mm以下であることが好ましく、より好ましくは2mm以下である。パターンのピッチがこの範囲であると、表示画素の高精細化ならびにタッチ検出精度の高精度化に対応でき、また基体の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m2)と該基体の厚みd(m)を乗じることで得られるEt(N/m)を本発明の範囲にすることで、結晶化後のパターニングされた透明導電層に対し、さらに熱処理を施してもウォッシュボードリップルの発生がない。
(A)透明層/透明基材/透明層/光学調整層/パターニングされた透明導電層
(B)パターニングされた透明導電層/光学調整層/透明層/透明基材/透明層/光学調整層/パターニングされた透明導電層
タッチパネルに積層体を組み込む場合、積層体は上記(A)及び(B)の構成を有することが好ましい。
また、透明導電層を有するガラス基板の透明導電層側と、上記(A)の積層体の透明導電層側とを粘着剤を介して積層した構成(G1F構成)が挙げられる。
さらに、上記(B)の積層体を単独で用いる構成(GF2構成)が挙げられる。
本発明の積層体の製造方法は、透明基材の片面又は両面に透明層を有する基体上に、パターニングされた透明導電層を有してなる積層体を製造する方法であって、該基体の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m2)と該基体の厚みd(m)を乗じることで得られるEt(N/m)が4.0×104≦Et≦10.5×104となるように、該透明基材上に、該透明層を形成する基体形成工程、該基体上に透明導電層を形成する透明導電層形成工程、該透明導電層をパターニングするパターン形成工程、透明導電層を加熱し結晶化させる結晶化工程を含む、積層体の製造方法である。
透明基材の片面又は両面に透明層を形成し、基体を形成する工程である。また、該工程において、基体の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m2)と該基体の厚みd(m)を乗じることで得られるEt(N/m)が4.0×104≦Et≦10.5×104となるようにする。図1の(a)においては、透明基材2上に透明層3a及び透明層3bを形成している。
ハードコート層形成用の電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布する方法としては、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法等の塗布方法が挙げられる。
塗布後の乾燥条件は、特に限定されないが、通常40〜200℃で20〜120秒間行うとよい。塗膜を硬化させる方法は、特に限定されず、公知の方法であればよい。
なお、トータルの照射量を一定として、照射強度を可変することで、ハードコート層の分子の架橋形態や架橋密度を変えることにより分子の均一性を向上させ、貯蔵弾性率を制御することも可能である。また、貯蔵弾性率は、材料組成によるだけではなく、硬化条件によっても制御できる。例えば、貯蔵弾性率を高めるためには、後述するヒュージョン紫外線ランプ等を使用して、照射光量密度を高め、急激に多量のラジカルを発生させることで架橋密度を上げることが好ましい。又、照射光量密度を低く照射時間を長くすることで、急激なラジカル密度の上昇を押さえ、架橋密度を抑えることで、貯蔵弾性率を抑え、屈曲性を高めることが出来る。
なお、透明基材には、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の表面処理を予め行ってもよい。
基体形成工程で形成した透明層上に、さらに、光学調整層を形成する工程を行ってもよい。なお、必要に応じて、透明基材上に、光学調整層等を直接形成してもよい。図1の(a)においては、透明層3a上に光学調整層4を形成している。
光学調整層は、前述したバインダーとして用いる電離放射線硬化型樹脂又は熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物等を用い塗布して塗膜を形成し、乾燥させた後、塗膜を硬化させることにより形成することができる。塗布する方法としては、例えば、マイクログラビヤコート法、ロールコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ダイコート法、ナイフコート法、スピンコート法等が挙げられる。また、金属酸化物、金属フッ化物を用いた場合の形成方法としては、物理気相成長法で行う場合、スパッタ法、真空蒸着法又はイオンプレーティング法等が用いられる。化学気相成長法で行う場合は、比較的低温で処理できるプラズマCVD等が用いられる。なお、光学調整層が複数層の場合は、各層を異なる方法で形成してもよい。
透明導電層形成工程は、基体上に、金属酸化物等からなる透明導電層を形成する工程である。図1の(a)においては、光学調整層4上に透明導電層5を形成している。
透明導電層の形成方法としては、スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法、又は化学気相成長法、その他印刷法、塗工法等種々あるが、光学特性、電気特性の観点から物理気相成長法、化学気相成長法が好ましく、特に、化学気相成長法に比べ、より低温度で処理できる物理気相成長法が好ましい。
透明導電層を温度加熱により、結晶化させる工程である。この結晶化工程は、透明導電層形成工程後、又は後述する透明導電層のパターン形成工程後、或いは、後述する取り出し電極形成工程と同時のいずれかのタイミングで行えばよい。使用する金属酸化物のエッチングの容易性、製造効率等の観点から、適宜選択する。
加熱温度は、使用する金属酸化物により異なるが、通常100〜200℃であり、好ましくは120〜160℃である。また、加熱時間は、通常、5分間〜24時間であり、製造効率や結晶化度(機械的特性、表面抵抗率値等に影響を及ぼす)を考慮して適宜調整すればよい。加熱方法は、特に制限されることはなく、公知の方法で行うことができるが、金属酸化物としてITOを用いる場合は、空気中で加熱炉、赤外線ランプヒーター等を用いて行うことが好ましい。
パターン形成工程は、透明導電層を所定のパターンにパターニングする工程であり、例えば、図1の(b)に示すようなパターンが並列に配置されたストライプパターンを形成する工程である。パターニングは公知の方法で行うことができ、通常、フォトリソ法で行われる。具体的には、フォトレジストを透明導電層上に塗布し、所定パターンを有するフォトマスクを介して露光を行い、アルカリ溶液等の現像液を用い現像を行い、レジストパターンを形成し、さらにウェット又はドライエッチング法により不要となる透明導電層をエッチングした後、レジストを剥離することにより、所定の透明導電層のパターンを形成することができる。
以上により、本発明の積層体を製造することができる。なお、さらに以下の取り出し電極形成工程を行うことが好ましい。
取り出し電極形成工程は、パターン形成工程で得られたパターンを有する透明導電層に、所定のパターンを有する取り出し電極を形成する工程であり、例えば、図1の(c)においては、透明導電層パターン膜6’から所定の取り出し電極パターン(焼成前)7を形成している。
本工程では、銀ペースト等の導電性を有する材料を形成し、配線に係る電極パターンを形成させる。電極パターンの形成方法は、特に制限はなく、公知の手法で行うことができ、通常、スクリーン印刷法で行われる。得られた電極パターンは、使用した溶媒の乾燥を含め、電極パターンの導電性を向上させるために、高温度で焼成(加熱処理による焼結)される(図1の(d)においては、取り出し電極パターン(焼成後)7’)。加熱処理条件は、125〜150℃、10〜60分間である。加熱処理条件がこの範囲であれば、電極パターンの導電性が向上し、かつ本発明によれば、透明導電層パターンにウォッシュボードリップルが発生することもない。加熱方法は、特に制限されることはなく、公知の方法で行うことができる。通常、加熱炉、真空加熱炉、赤外線ランプヒーター等を用いて行われる。
透明基材/透明層からなる基体を、試験片として5mm×20mmの大きさに切り出し、130℃及び150℃における(透明基材のMD方向)の貯蔵弾性率(Ec)を、動的粘弾性測定装置(UBM社製、装置名:Rheogel−E4000)を用いて以下の条件で、測定した。
(測定条件)
周波数:10Hz、測定治具:引っ張り、荷重:50g、加振状態:連続加振
歪み制御:10μm、測定温度範囲:25℃〜200℃、昇温速度:2℃/分。
積層体表面のパターニングされた透明導電層の凹凸を、蛍光灯の光を用い、蛍光灯の反射像の映りこみ具合を目視観察することにより評価した。評価基準は以下のようにした。
凹凸が全く見えないレベル:◎
凹凸がわずかにしか見えないレベル:○
凹凸が容易に見えるレベル:×
直径6mmの円柱状の棒(マンドレル棒)に、実施例及び比較例で得られた積層体を巻き、ビデオライトの光を照射して、クラックの発生の状況を、以下に示す評価基準で、目視観察することにより評価した。
クラックが発生しない:〇
クラックが発生する:×
透明基材であるPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製、商品名:KEL86W、プライマー層付、厚み:50μm(二軸延伸))の片方の面に、下記透明層塗工液(1)をワイヤーバーを用いて塗工したものを、温度70℃の熱オーブン中で40秒間乾燥し、塗膜中の溶剤を蒸発させ、ヒュージョンランプを用いて紫外線を積算光量が160mJ/cm2になるように照射して、塗膜を硬化させた。同様に、PETフィルムの一方の片面にも、透明層塗工液をワイヤーバーを用いて塗工し、塗膜を硬化させることにより、片面あたり厚みが12μm、両面で厚み24μmの透明層を形成した。
なお、透明層の厚みは、デジマチックマイクロメーター(ミツトヨ社製、型名:MDC−SB)で測定した。
光重合開始剤(Lamberti社製、Esacure One)を4質量部、希釈溶剤(MIBK/シクロヘキサノン=9/1)を300質量部入れ、溶け残りがなくなるまで撹拌した。ここに光硬化樹脂(日本化薬社製、DPHA)を100質量部入れ撹拌し、溶け残りがなくなるまで撹拌した。最後にレベリング剤(大日精化工業社製、セイカビーム10−28(MB))を0.25質量部入れ撹拌した。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 10部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・光重合開始剤 0.7部
(BASF社製、イルガキュア127)
・シリコーン系レベリング剤 0.3部
(大日精化工業社製、セイカビーム10−28、固形分10%)
・高屈折率粒子(酸化ジルコニウム) 50部
(住友大阪セメント社製、MZ−230X、固形分32.5%)
(平均一次粒子径:25nm)
・メチルイソブチルケトン 500部
・シクロヘキサノン 250部
・メチルエチルケトン 500部
得られた積層体のパターニングされた表面凹凸(ウォッシュボードリップル)及び屈曲性を評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、透明層の厚みを、順に10、8.5、4、2、1μmに代えた以外は、実施例1と同様に透明基材と透明層からなる基体を得、さらにパターニングされた透明導電層を有する積層体を作製した。
得られたそれぞれの基体の130℃及び150℃における貯蔵弾性率を測定した。また、積層体のパターニングされた表面凹凸(ウォッシュボードリップル)及び屈曲性を評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、透明層の厚みを、順に0.5、0、15μmに代えた以外は、実施例1と同様に透明基材と透明層からなる基体(正確には比較例2は透明基材のみからなる基体)を作製し、さらにパターニングされた透明導電層を有する積層体を作製した。
得られた基体の130℃における貯蔵弾性率を測定した。また、積層体のパターニングされた表面凹凸(ウォッシュボードリップル)及び屈曲性を評価した。結果を表1に示す。
一方、比較例1及び2の積層体表面の透明導電層にはウォッシュボードリップルが発生し、比較例3の積層体は耐屈曲性がなく、クラックが発生した。
なお、実施例1〜6及び比較例1〜3の積層体をガラス基板に貼り合わせたところ、実施例1〜6及び比較例3のものは貼り合わせ時に気泡を巻き込みにくいのに対して、比較例1及び2のものは気泡を巻き込みやすかった。
2:透明基材
3a,3b:透明層
4:光学機能層
5:基体
6:透明導電層ベタ膜(パターニング無し)
6’:透明導電層パターン膜
7:取り出し電極パターン(焼成前)
7’:取り出し電極パターン(焼成後)
8:取り出し電極端子部(焼成前)
8’:取り出し電極端子部(焼成後)
11:透明導電性フィルム(透明導電層:パターン有り)
100:パターン層
110:二軸延伸されたポリエステルフィルムの延伸倍率が大きい方向(MD;X電極部用)
111〜116:X電極部(透明導電層パターン)
210:二軸延伸されたポリエステルフィルムの延伸倍率が大きい方向(MD;Y電極部用)
211〜214:Y電極部(透明導電層パターン)
Claims (11)
- 透明基材の片面又は両面に透明層を有する基体上に、パターニングされた透明導電層を有してなる積層体であって、該基体の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m2)と該基体の厚みd(m)を乗じることで得られるEt(N/m)が、4.0×104≦Et≦10.5×104である、積層体。
- 前記透明層の貯蔵弾性率が、前記透明基材の貯蔵弾性率より大きい、請求項1に記載の積層体。
- 前記透明基材の厚みをdS(m)、前記透明層の厚みをdL(m)とした場合、下記の関係を満たす、請求項1又は2に記載の積層体。
0.005≦dL/(dS+dL)≦0.7 - 前記透明基材の厚みが15〜125μm、前記透明層の総厚みが2.0〜24μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
- 前記基体がさらに光学調整層を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
- 前記基体が、前記透明基材上に前記透明層及び前記光学調整層を有してなり、該光学調整層上に前記パターニングされた透明導電層を有する請求項5に記載の積層体。
- 前記光学調整層が高屈折率層と低屈折率層とからなり、該高屈折率層の屈折率が1.55〜1.75であり、該低屈折率層の屈折率が1.30〜1.55である、請求項5又は6に記載の積層体。
- 前記透明層がハードコート層である、請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の積層体を構成部材として有するタッチパネル。
- 前記積層体が、前記透明基材上に前記ハードコート層及び前記光学調整層を有してなり、該光学調整層上に前記パターニングされた透明導電層を有してなる請求項9に記載のタッチパネル。
- 透明基材の片面又は両面に透明層を有する基体上に、パターニングされた透明導電層を有してなる積層体を製造する方法であって、
該基体の130℃における貯蔵弾性率Ec(N/m2)と該基体の厚みd(m)を乗じることで得られるEt(N/m)が4.0×104≦Et≦10.5×104となるように、該透明基材上に、該透明層を形成する基体形成工程、該基体上に透明導電層を形成する透明導電層形成工程、該透明導電層をパターニングするパターン形成工程、透明導電層を加熱し結晶化させる結晶化工程を含む、積層体の製造方法。
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