JP2017065171A - 光学積層体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1〜4には、基材のポリエステルフィルムの表面に、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、アクリルグラフトポリエステル等の各種樹脂を主成分とする塗布層を形成することにより、基材に易接着性を付与する方法が開示されている。
また、特許文献5には、密着性向上等の観点から、ウレタン樹脂とブロックイソシアネートを主成分とし、ブロックイソシアネートの解離温度が130℃以下、かつブロック剤の沸点が180℃以上である塗布層を用いる方法、特許文献6、7には、塗布液に樹脂とイソシアネート架橋剤を添加した易接着性ポリエステルフィルムを用いる方法が開示されている。
さらに、近年、上記延伸ポリエステルフィルムに比べ、さらなる強度、耐熱性向上及び低伸縮性、加えて、色や明るさのムラの抑制を目的として縦横の延伸倍率が異なるリタデーションが7000nm以上のポリエステルフィルムが開発されてきている。
[1]リタデーションが7000nm以上の易接着性ポリエステルフィルム上に光学機能層を有する光学積層体であって、該光学機能層が、電離放射線硬化性樹脂、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−メチルビニル)フェニル)プロパノン及び紫外線吸収剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物から形成されてなる、光学積層体。
[2]前記紫外線吸収剤の含有量が、前記電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して1.25〜3.75質量部である、上記[1]に記載の光学積層体。
[3]前記オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−メチルビニル)フェニル)プロパノンの含有量が、前記電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して8〜25質量部である、上記[1]に記載の光学積層体。
[4]前記ポリエステルフィルムの長手方向(MD)の延伸倍率が2.0倍以下、横手方向(TD)の延伸倍率が2.5〜6.0倍である、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の光学積層体。
上記において、延伸倍率がMD<TDとしているが、MDの値の範囲とTDの値の範囲をそのまま入れ替え、MD>TDなる関係であってもかまわない。以下、MD<TDの場合で説明することにする。
[5]前記光学機能層が防眩層である、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の光学積層体。
[6]表面に光学積層体を有する画像表示装置であって、該光学積層体として、上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の光学積層体を用いてなる、画像表示装置。
[7]リタデーションが7000nm以上の易接着性ポリエステルフィルム上に、電離放射線硬化性樹脂、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−メチルビニル)フェニル)プロパノン、及び紫外線吸収剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥、硬化することにより光学機能層を形成する工程を含む、光学積層体の製造方法。
本発明の光学積層体は、リタデーションが7000nm以上の易接着性ポリエステルフィルム上に光学機能層を有する光学積層体であって、該光学機能層が、電離放射線硬化性樹脂、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−メチルビニル)フェニル)プロパノン及び紫外線吸収剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物から形成されてなる光学積層体である。
本発明における上記リタデーションとは、ポリエステルフィルムの面内において最も屈折率が大きい方向(遅相軸方向)の屈折率(nx)と、遅相軸方向と直交する方向(進相軸方向)の屈折率(ny)と、ポリエステルフィルムの厚み(d)とにより、以下の式によって表わされるものである。
リタデーション(Re)=(nx−ny)×d
また、上記リタデーションは、例えば、王子計測機器社製KOBRA−WRによって測定(測定角0°、測定波長548.2nm)することができる。
なお、屈折率は、分光光度計(島津製作所社製のUV−3100PC)を用いて、波長380〜780nmの平均反射率(R)を測定し、得られた平均反射率(R)から、以下の式を用い、屈折率(n)の値を求めた。
光学機能層の平均反射率(R)は、易接着処理のない50μmPET上にそれぞれの原料組成物を塗布し、1〜3μmの厚さの硬化膜にし、PETの塗布しなかった面(裏面)に、裏面反射を防止するために測定スポット面積よりも大きな幅の黒ビニールテープ(例えば、ヤマト社製のNO200−38−21 38mm幅)を貼ってから各硬化膜の平均反射率を測定した。ポリエステル基材の屈折率は、測定面とは反対面に同様に黒ビニールテープを貼ってから測定を行った。
R(%)=(1−n)2/(1+n)2
一つめとして、電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布後、溶媒の加熱乾燥及び紫外線硬化の過程において、電離放射線硬化性樹脂組成物中の前記光重合開始剤の一部が、易接着処理部分に拡散浸透し、さらに、前記ポリエステルフィルムの表面の領域まで浸透することによる、光重合開始剤由来のアンカー効果によるものと考えられる。
二つめとして、電離放射線硬化性樹脂組成物塗布後の溶媒の高温での加熱乾燥において、揮発による光重合開始剤の減量抑制、及び揮発成分の紫外線照射用ランプへの付着による照射強度の低下抑制に繋がる、高沸点の光重合開始剤を用いることで、重合開始点が増加し、電離放射線硬化性樹脂の硬化収縮が抑制されて界面歪が少なくなったことによるものと考えられる。
なお、前記光重合開始剤を易接着処理部分に拡散浸透させたり、重合開始点を増加させる等の理由で、電離放射線硬化性樹脂組成物中には、通常用いられる量より、より多い量の光重合開始剤を含有させていることから、形成した光学機能層中に未反応の光重合開始剤が残留してしまい、結果として光学機能層の耐候性の低下を招くことになるが、紫外線吸収剤を光学機能層内に特定量含有させることで、耐候性を維持させることができる。
本発明の光学積層体においては、該光学積層体の支持基材として、通常の二軸延伸されたポリエステルフィルムに比べ、さらに耐熱性、強度、寸法安定性、耐薬品性、透明性等に優れたリタデーションが7000nm以上の易接着性ポリエステルフィルムを用いる。このような支持基材は、2枚以上を貼り合わせたものであってもよい。
なお、本発明において「易接着性ポリエステルフィルム」とは、ポリエステルフィルム上に樹脂薄膜等の溶剤可溶性のプライマー層を設けたものをいう。
ここで、MD、TD方向のそれぞれの延伸倍率は、以下の式から算出した。
(延伸倍率(延伸方向))=[原反シートの延伸後の長さ(延伸方向)/(原反シートの長さ(未延伸;延伸方向)]
なお、本発明に用いるポリエステルフィルムには、上記のように延伸倍率が大きいばかりでなく、さらに長手方向(MD)の延伸倍率と横手方向(TD)の延伸倍率との比が大きく異なる超複屈折タイプのフィルム(後述するリタデーションが大きいフィルム)のものも含まれる。
前記プライマー層に用いる樹脂としては、例えば、共重合ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸グラフトポリエステル樹脂、アクリルグラフトポリエステル樹脂などが挙げられ、少なくとも1つ以上を使用することが好ましい。この中で、本発明に用いた光重合開始剤が容易に拡散浸透し、溶媒の熱乾燥、樹脂の紫外線硬化の過程にポリエステルフィルム表面の領域に光重合開始剤由来のアンカー効果を発現させる観点から、ポリエステル樹脂が好ましい
プライマー層の形成は、前記樹脂組成物をそのままで又は溶媒に溶解、又は分散させた状態のものを用い、公知の印刷方法、塗布方法等によって、ポリエステルフィルム面上に設けられる。なお、ポリエステルフィルムに積層するプライマー層は、通常、延伸前のポリエステルフィルムに積層される。上記プライマー層の厚みは、延伸後の厚みである。
光学機能層は、電離放射線硬化性樹脂、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−メチルビニル)フェニル)プロパノン及び紫外線吸収剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物から形成される。
光学機能層の形成に用いる硬化性樹脂としては、透明性のものが好ましく、紫外線により硬化する樹脂である電離放射線硬化性樹脂を用いる。
本発明においては、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−メチルビニル)フェニル)プロパノン(以下、「本発明の光重合開始剤」と称する場合がある。)を光重合開始剤として用いる。
本発明の光重合開始剤を、電離放射線硬化性樹脂及び紫外線吸収剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物に添加し、紫外線下で該電離放射線硬化性樹脂を硬化させることができる。
本発明の光重合開始剤は、一般に光重合開始剤として用いられるベンゾフェノン類、アセトフェノン類等の低分子量の光重合開始剤に比べ、分子量が大きく、融点が100〜110℃と高く、分解残渣が少ない。このため、電離放射線硬化性樹脂組成物中の溶媒等の熱乾燥時に、例えば、光学機能層として電離放射線硬化性樹脂組成物から形成されるハードコート層を用いた場合、塗布後の高沸点溶媒によるレべリングの際、溶媒の沸点まで乾燥温度を上昇させた場合でも、本発明の光重合開始剤が揮発し減量することもなく、また揮発成分が紫外線照射用ランプへ付着し、照射強度の低下が生じることもない。また、高沸点の本発明の光重合開始剤を用いることで、重合開始点が増加し、電離放射線硬化性樹脂の硬化収縮が抑制されて界面歪の低下に繋がる。さらに、本発明の光重合開始剤の含有量を後述する特定の範囲に増大させることにより、易接着処理部分へ拡散浸透し、結果的に本発明に用いたポリエステルフィルム表面領域への光重合開始剤由来のアンカー効果の発現に繋がる可能性を有する。
本発明に用いたポリエステルフィルムの紫外線劣化の抑制、また光学機能層の密着強度に係る耐候性及び耐湿熱性向上の観点から、前記電離放射線硬化性樹脂組成物中には、紫外線吸収剤(UVA)を用いる。紫外線吸収剤(UVA)としては、特に制限されないが、下述するトリアジン系紫外線吸収剤が好ましく用いられる。トリアジン系の紫外線吸収剤は、分子量が大きく、トリアジン骨格がブリードアウトを抑制し、揮発性も小さいため、長期間に渡り紫外線吸収能を保持できる。また、本発明に用いる紫外線吸収剤は、少なくとも、光学機能層形成時における溶媒等の熱乾燥時に揮発しないことを必須とする。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤である2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン(BASF社製、商品名「TINUVIN479」)、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニル、とオキシラン{特に、[(C10―C16、主としてC12―C13アルキルオキシ)メチル]オキシラン}との反応生成物(BASF社製、商品名「TINUVIN 400」)、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル)−グリシド酸エステルの反応生成物(BASF社製、商品名「TINUVIN405」)、2,4−ビス[2−ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン(BASF社製、商品名「TINUVIN460」)などが挙げられる。少ない添加量にて十分な耐候性を付与できる点で、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン(BASF社製、商品名「TINUVIN479」)が好ましい。
本発明に用いる前記光重合開始剤の含有量は、前記電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは5〜25質量部、より好ましくは8〜25質量部、さらに好ましくは10〜21質量部、よりさらに好ましくは12〜18質量部である。光重合開始剤の含有量が上記の範囲であると、易接着処理部分への拡散浸透が十分となり、かつ界面歪みが小さくなり、特に密着強度の観点から耐候性が向上する。
また、本発明に用いる前記紫外線吸収剤(UVA)の含有量は、前記電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは1.25〜3.75質量部、より好ましくは1.5〜3.5質量部、さらに好ましくは1.7〜3.3質量部、よりさらに好ましくは2.0〜3.0質量部である。紫外線吸収剤(UVA)の含有量が上記の範囲であると、耐紫外線性が十分であり、樹脂が十分硬化し、強度が保たれる。なお、上記のように紫外線吸収剤の含有量を一定とした場合、層の厚みに応じて紫外線吸収量が変わるため、紫外線吸収剤を含む光学機能層の厚みは、好ましくは2〜20μm、さらに好ましくは3〜6μmとする。
紫外線吸収剤(UVA)及び光重合開始剤の含有量が、それぞれ上記の範囲にあると、光学積層体の支持基材として、本発明に用いた易接着性ポリエステルフィルムを使用した場合、初期密着強度はもとより、耐湿熱試験、FOM試験(耐候性試験)においても、密着強度が低下することなく維持される。
本発明の電離放射線硬化性樹脂組成物中には、必要に応じて、有機溶剤、光増感剤、光安定剤、架橋剤、硬化剤、重合促進剤、粘度調整剤、レべリング剤、着色剤、難燃剤、防眩剤、帯電防止剤、防汚剤、酸化防止剤等の添加剤を含ませることができる。
光学機能層としては、ハードコート層(HC)、防眩層(AG)、反射防止層(AR)、低反射層(LR)、低反射防眩層(AG/LR)、反射防止防眩層(AG/AR)、帯電防止層等が挙げられる。なお、本発明の、リタデーションが7000nm以上であるポリエステルフィルム上のプライマー層と接する光学機能層は、少なくとも電離放射線硬化性樹脂、光重合開始剤及び紫外線吸収剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物から形成されるものとする。
本発明の光学機能層として、耐擦傷性といった表面特性を向上させる目的で、ハードコート層を設けてもよい。ここで、ハードコートとは、JIS K5600−5−4:1999で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものをいう。ハードコート層の厚みは、0.1〜20μmの範囲にあることが好ましく、0.8〜10μmの範囲がより好ましい。ハードコート層は、前記電離放射線硬化性樹脂組成物から形成することができる。
本発明の光学積層体には、前記ハードコート層の機能を有し、かつ外光の映り込み、ギラツキによる視認性の低下を防止する等の目的で、本発明に用いたポリエステルフィルム上に、凹凸形状を有する防眩層を設けることが好ましい。なお、本発明において、防眩層上に、粗さ制御によるコントラスト向上を目的として表面調整層を形成してもよい。表面調整層は、特に制限されないが、例えば、前記電離放射線硬化性樹脂材料を含む樹脂組成物を用いる。
(1)本発明の光学シートを光学顕微鏡にて透過観察画像を撮像する。倍率は500〜2000倍が好ましい。
(2)観察画像から任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の長径及び短径を測定し、長径及び短径の平均から個々の粒子の粒子径を算出する。長径は、個々の粒子の画面上において最も長い径とする。また、短径は、長径を構成する線分の中点に直交する線分を引き、該直交する線分が粒子と交わる2点間の距離をいうものとする。
(3)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の粒子径の数平均から得られる値を粒子の平均粒子径とする。
全ヘイズがこの範囲であれば、防眩性が付与でき、表示素子の解像度及びコントラストの低下を抑制することができる。
本発明に用いる光学機能層として、さらに前記ハードコート層又は防眩層上に低反射層を設けてもよい。低反射層の屈折率は、防眩層の屈折率より低い屈折率を有するものとし、屈折率が1.5未満で構成されてなるものが好ましく、1.45以下で構成されてなるものがより好ましい(以下、低反射層を低屈折率層と称する。)。
(1)本発明の光学シートの断面をTEM又はSTEMで撮像する。TEM又はSTEMの加速電圧は10kv〜30kV、倍率は5万〜30万倍とすることが好ましい。
(2)観察画像から任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の長径及び短径を測定し、長径及び短径の平均から個々の粒子の粒子径を算出する。長径は、個々の粒子の画面上において最も長い径とする。また、短径は、長径を構成する線分の中点に直交する線分を引き、該直交する線分が粒子と交わる2点間の距離をいうものとする。
(3)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の粒子径の数平均から得られる値を粒子の平均粒子径とする。
本発明の別の態様によれば、画像表示装置を提供することができ、画像表示装置は該画像表示装置の表面に、本発明による光学積層体が形成されてなる。本発明による画像表示装置は、液晶ディスプレイ等の非自発光型画像表示装置であっても、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、LEDディスプレイ、電界放射型ディスプレイ等の自発光型画像表示装置であってもよい。
本発明の画像表示装置は、いずれの場合も、テレビ用途、コンピューターモニター用途等の画像表示用に使用することができる。特に、液晶パネル、有機エレクトロルミネッセンスパネル等の高精細画像用ディスプレイの表面に好ましく使用することができる。
本発明に係る光学積層体の製造方法は、リタデーションが7000nm以上の易接着性ポリエステルフィルム上に、電離放射線硬化性樹脂、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−メチルビニル)フェニル)プロパノン、及び紫外線吸収剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥、硬化することにより光学機能層を形成する工程を含む。
但し、前記光学機能層は二以上の層からなってもよいが、少なくともプライマー層に接する一層からなる光学機能層は、前記電離放射線硬化性樹脂、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−メチルビニル)フェニル)プロパノン及び紫外線吸収剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物から形成される。
本発明の光学積層体に用いる光学機能層は、プライマー層を有するリタデーションが7000nm以上のポリエステルフィルムの該プライマー層上に形成される。
本発明の光学機能層は、塗布、乾燥、硬化の各工程を有する光学機能層形成工程を経ることにより製造される。
光学機能層としては、ハードコート層、防眩層、反射防止層等、前述したように用途に応じ適宜選択される。
図1は、前述したように、本発明の光学積層体の一例を示す断面図であり、光学機能層として防眩層を積層した場合の一例である。図1において、光学機能層(防眩層)4は、例えば、透光性粒子5、前記電離放射線硬化性樹脂、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−メチルビニル)フェニル)プロパノン及び紫外線吸収剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物から形成される。
上記のように光学機能層を形成する工程の際に、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−メチルビニル)フェニル)プロパノンは、易接着処理部分(溶剤可溶性のプライマー層)に拡散浸透する。
オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−メチルビニル)フェニル)プロパノンを易接着処理部分に効果的に拡散浸透させるためには、光重合開始剤の含有量を前述した特定の範囲に増大させること、あるいは、易接着処理部分(溶剤可溶性のプライマー層)をポリエステル樹脂から形成することが好ましい。
光学機能層の塗布方法としては、マイクログラビアコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、スライドコート法、エクストルージョンコート法(ダイコート法)、ディップコート法、等の公知の方法が挙げられ、その中でもロールコート法、エクストルージョンコート法(ダイコート法)が好ましい。
本発明において、熱による乾燥処理は、光重合開始剤の揮発の抑制(開始剤量の減少抑制)、易接着処理部分中への拡散浸透促進の観点から、好ましくは40〜150℃、より好ましくは50〜130℃、さらに好ましくは60〜110℃である。
乾燥処理時間は、溶媒の沸点、粘度などにより異なるが、好ましくは10秒〜10分、より好ましくは15秒〜5分、さらに好ましくは15秒〜3分である。
次いで、光重合開始剤に紫外線を照射し、樹脂を硬化させる。紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が挙げられる。紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。本発明の光学機能層には、紫外線吸収剤が特定量含有しているが、厚みにより紫外線吸収量が変わることから、紫外線の照射量は、本発明の光重合開始剤にも十分紫外線が吸収されるように適宜調整する必要がある。通常、紫外線吸収剤を含む光学機能層の厚みが、2〜9μmである場合、紫外線ランプにより40mJ/cm2〜1000mJ/cm2の照射量の紫外線を照射して硬化させる。好ましくは、200mJ/cm2〜1000mJ/cm2である。照射の際には、前記照射を一回の連続照射で完了させてもよいし、分割して照射して完了させてもよい。
溶媒が乾燥し、電離放射線硬化性樹脂が硬化されることにより本発明に用いられるポリエステルフィルムのプライマー層上に光学機能層が形成される。
易接着性PETフィルムA(厚み100μm、リタデーション:10500nm)上に、光重合開始剤 オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−メチルビニル)フェニル)プロパノン及び紫外線吸収剤を含む下記防眩層形成用樹脂組成物1をミヤバーで塗布し、塗布後の塗膜を温度70℃で30秒間乾燥させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を用いて、照射線量が100mJ/cm2になるよう照射して硬化させ、防眩層を形成した。防眩層の厚みは3μmであった。
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA):10質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA):40質量部
オリゴマーEKS−796:50質量部
光重合開始剤 オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−メチルビニル)フェニル)プロパノン(Lamberti社製):10質量部
透光性第一微粒子 単分散アクリルビーズ(粒径2μm:1.555):3質量部
透光性第二微粒子 ヒュームドシリカ(粒径30nm):1質量部
シリコン系レベリング剤 TSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製):0.01質量部
紫外線吸収剤 :2.5質量部
上記材料と、トルエン:アノン:MIBK:IPAが50:22:3:25の溶剤を添加し、全固形分が38%となるよう調製。
実施例1において、光重合開始剤オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−メチルビニル)フェニル)プロパノンの添加量を10質量部から15質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして光学積層体を作製した。
実施例1において、光重合開始剤オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−メチルビニル)フェニル)プロパノンの添加量を10質量部から20質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして光学積層体を作製した。
実施例1において、光重合開始剤オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−メチルビニル)フェニル)プロパノンの添加量を10質量部から5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして光学積層体を作製した。
実施例1において、紫外線吸収剤の添加量を1.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして光学積層体を作製した。
実施例1において、紫外線吸収剤の添加量を3.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして光学積層体を作製した。
実施例1において、紫外線吸収剤の添加量を1.25質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして光学積層体を作製した。
実施例1において、紫外線吸収剤の添加量を3.75質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして光学積層体を作製した。
実施例1において、PETフィルムをPETフィルムAから易接着性PETフィルムB(厚み100μm、リタデーション:10500nm)に変更した以外は、実施例1と同様にして光学積層体を作製した。
実施例7において,光重合開始剤オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−メチルビニル)フェニル)プロパノンの添加量を10質量部から15質量部に変更した以外は、実施例7と同様にして光学積層体を作製した。
PETフィルムA(厚み100μm、リタデーション:10500nm)上に、光重合開始剤 オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−メチルビニル)フェニル)プロパノンを含む下記防眩層形成用樹脂組成物2−1をミヤバーで塗布し、塗布後の塗膜を温度70℃で30秒間乾燥させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を用いて、照射線量が100mJ/cm2になるよう照射して硬化させ、防眩層2−1を形成した。防眩層の厚みは2μmであった。さらに、得られた防眩層2−1上に、下記防眩層形成用樹脂組成物2−2をミヤバーで塗布し、塗布後の塗膜を温度70℃で30秒間乾燥させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、照射線量150mJ/cm2で紫外線照射を行い硬化させて、厚み3μmの表面調整層(防眩層2−2)を形成した。
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA):40質量部
アクリルポリマーEMS381:30質量部
オリゴマーEKS−796:30質量部
光重合開始剤 オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−メチルビニル)フェニル)プロパノン(Lamberti社製):10質量部
透光性第一微粒子 単分散アクリルビーズ(粒径5μm:1.545):7質量部
透光性第二微粒子 フュームドシリカ(粒径30nm):1質量部
シリコン系レベリング剤 TSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製):0.005質量部
紫外線吸収剤 :2.5質量部
上記材料と、トルエン:アノン:MIBKが70:10:20の溶剤を添加し、全固形分が30%となるよう調製。
ウレタンアクリレート(UA):50質量部
エポキシアクリレート(EA):5質量部
アクリルエステル(AE):45質量部
光重合開始剤 IRGACURE184(BASF社製):3質量部
PEDOT:0.5質量部
カーボンナノチューブ:0.01質量部
フッ素系レベリング剤 RS−71(DIC社製):0.7質量部
上記材料と、MIBK:エチレングリコール:エタノール:IPA:ブタノールが65:5:7:13:10の溶剤を添加し、全固形分が30%となるよう調製。
実施例1において、紫外線吸収剤を添加しない以外は、実施例1と同様にして光学積層体を作製した。
実施例1において、光重合開始剤をIRGACURE184に変更した以外は、実施例1と同様にして光学積層体を作製した。
実施例9において、光重合開始剤をIRGACURE184に変更した以外は、実施例9と同様にして光学積層体を作製した。
実施例1において、PETフィルムをA−4100(東洋紡社製、コスモシャイン;A−4100;厚み100μm、リタデーション:3200nm)、かつ紫外線吸収剤をゼロに変更した以外は、実施例1と同様にして光学積層体を作製した。
実施例及び比較例で得られた光学積層体について、下記の条件で、FOM試験及び耐湿熱試験を行った。密着性はクロスカット碁盤目試験により評価した。
評価基準
95/100〜100/100:◎
50/100〜94/100:○
25/100〜49/100:△
25/100未満:×
耐候性試験機(スガ試験機社製、製品名「紫外線フェードメーターU48」、光源:カーボンアークランプ)を用いて、光学用積層体に50時間紫外線を照射した。その後、クロスカット碁盤目試験で防眩層とPETフィルムとの密着性を評価し、上記と同様の基準でランク分けをした。
光学用積層体を、60℃、90%RHの環境下で500時間放置した。次いで、光学積層体を取りだし、常温常湿で12時間放置した。その後、クロスカット碁盤目試験で防眩層とPETフィルムとの密着性を評価し、上記と同様の基準でランク分けをした。
実施例及び比較例で得られた光学積層体について、ヘイズメーター(HM−150、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K−7136:2000に従ってヘイズ(全体ヘイズ)を、JIS K7361−1:1997に従って全光線透過率を測定した。
2:ポリエステルフィルム(リタデーション:7000nm以上)
3:プライマー層
4:易接着性ポリエステルフィルム
5:光学機能層(防眩層)
6:透光性粒子
Claims (7)
- リタデーションが7000nm以上の易接着性ポリエステルフィルム上に光学機能層を有する光学積層体であって、該光学機能層が、電離放射線硬化性樹脂、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−メチルビニル)フェニル)プロパノン及び紫外線吸収剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物から形成されてなる、光学積層体。
- 前記紫外線吸収剤の含有量が、前記電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して1.25〜3.75質量部である、請求項1に記載の光学積層体。
- 前記オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−メチルビニル)フェニル)プロパノンの含有量が、前記電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して8〜25質量部である、請求項1に記載の光学積層体。
- 前記ポリエステルフィルムの長手方向(MD)の延伸倍率が2.0倍以下、横手方向(TD)の延伸倍率が2.5〜6.0倍である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学積層体。
- 前記光学機能層が防眩層である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学積層体。
- 表面に光学積層体を有する画像表示装置であって、該光学積層体として、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学積層体を用いてなる、画像表示装置。
- リタデーションが7000nm以上の易接着性ポリエステルフィルム上に、電離放射線硬化性樹脂、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−メチルビニル)フェニル)プロパノン、及び紫外線吸収剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥、硬化することにより光学機能層を形成する工程を含む、光学積層体の製造方法。
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