JP2015190792A - 放射性物質の処理装置及び放射性物質の分析装置 - Google Patents

放射性物質の処理装置及び放射性物質の分析装置 Download PDF

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文昌 長谷
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Takamitsu Hiraiwa
隆光 平岩
優一 遠矢
Yuichi Toya
優一 遠矢
林原 浩文
Hirofumi Hayashibara
浩文 林原
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Seiji Takihana
誠司 瀧花
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Abstract

【課題】放射性物質の処理装置及び放射性物質の分析装置において、原子炉内部の放射性物質を適正に分析可能とする。
【解決手段】原子炉建屋13内に周囲が放射線遮へい壁により気密に形成される処理用セル61と、処理用セル61内を移動可能な移動装置71と、移動装置71から原子炉格納容器11の連通路54を通して内部に侵入可能な支持アーム72と、支持アーム72の先端部に設けられた検出器ヘッド73と、検出器ヘッド73内に空気を供給して空気層を形成する空気供給装置74と、検出器ヘッド73から溶融物Mに照射されたレーザ光により生成されるプラズマから発生する蛍光を検出して溶融物Mに含有する元素を分析する分析装置76とを設ける。
【選択図】図4

Description

本発明は、原子炉格納容器や原子炉圧力容器の内部にある放射性物質を分析するための放射性物質の処理装置及び放射性物質の分析装置に関するものである。
原子力発電プラントとして、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)や沸騰水型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)などがある。加圧水型原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、一次系全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電するものである。一方、沸騰水型原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、この軽水を炉心で沸騰させて蒸気を発生させ、この蒸気を直接タービン発電機に送って発電するものである。
原子炉にて、原子炉格納容器は、岩盤等の堅固な地盤上に立設され、鉄筋コンクリートなどにより内部に複数のコンパートメントが区画されている。そして、このコンパートメントを画成する筒形状をなすコンクリート構造物により、中心部に原子炉容器が垂下して支持され、その下方にキャビティが画成されている。この原子炉は、原子炉容器内に複数の燃料棒と所定数の制御棒が格子状に配列されて格納されている。
原子力発電プラントにて、過酷事故(シビアアクシデント)が発生した場合、緊急炉心冷却装置が作動し、原子炉容器の内部の炉心を冷却することで発生する熱を十分に除去する。ところが、この緊急炉心冷却装置が故障すると、炉心を冷却することができず、原子炉容器の内部の炉心が溶融し、溶融した燃料などの溶融物がキャビティへ落下する。そして、この溶融物は、キャビティで受け止められ、冷却水により冷却して安全性が確保される。その後、冷却されて固化した溶融物は、所定温度まで低下した後に、専用の収納容器などに収納されて外部に搬出される。
原子炉で過酷事故が発生することで炉心が溶融したとき、炉心溶融物がキャビティで冷却水により冷却されるが、溶融物を簡易的に分析することで、原子炉の破損状態を把握する必要がある。このような技術としては、例えば、下記特許文献に記載されたものがある。特許文献1に記載された放射性廃棄物の選別装置及びその選別方法は、高速中性子を放射性廃棄物容器に収納した放射性廃棄物に照射し、熱中性子用検出器及び高速中性子用検出器により放射性廃棄物容器内で減速された熱中性子線束及び散乱を受けることなく透過した高速中性子をそれぞれ測定し、両者の比率を測定することにより放射性廃棄物中に含まれる軽元素の成分量を測定するものである。また、特許文献2に記載された元素分析方法および装置は、試料にパルスレーザ光を照射し、試料がパルスレーザ光を受けて生成するプラズマから放出される蛍光を検出し、検出された蛍光の波長と強度から物質を構成する元素およびその含有量を求めるものである。
特開平07−209493号公報 特開2004−205266号公報
ところで、冷却して固化した溶融物を原子炉から取り出すとき、溶融物を簡易的に分析することで、原子炉の破損状態を把握し、溶融物の搬出方法を決定する必要がある。しか、過酷事故の発生時、キャビティへ冷却水が供給され、この冷却水内に炉心溶融物が落下することから、固化した炉心溶融物は、冷却水中にある。そのため、熱中性子やレーザ光などを用いた放射性廃棄物中の軽元素の成分量の測定が困難となる。
本発明は上述した課題を解決するものであり、原子炉内部の放射性物質を適正に分析可能とする放射性物質の処理装置及び放射性物質の分析装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明の放射性物質の処理装置は、原子炉建屋内に周囲が放射線遮へい壁により気密に形成される処理用セルと、前記処理用セル内を移動可能な移動装置と、前記移動装置から原子炉格納容器の開口部を通して内部に侵入可能な支持アームと、前記支持アームの先端部に設けられる検出器ヘッドと、放射性物質の表面部に空気層を形成する空気層形成装置と、前記検出器ヘッドから前記放射性物質に照射されたレーザ光により生成されるプラズマから発生する蛍光を検出して前記放射性物質に含有する元素を分析する分析装置と、を有することを特徴とするものである。
従って、移動装置が処理用セル内を移動し、所定の位置で支持アームにより検出器ヘッドを原子炉格納容器の開口部を通して内部に侵入し、冷却水中の放射性物質に対して所定の位置に配置する。この状態で、空気層形成装置により放射性物質の表面部に空気層を形成し分析装置は、空気層に露出した放射性物質の表面にレーザ光を照射すると、プラズマが生成され、このプラズマから発生する蛍光を検出して放射性物質に含有する元素を分析する。そのため、原子炉内部にある放射性物質に対して適正な分析を行うことができる。
本発明の放射性物質の処理装置では、前記検出器ヘッドは、下方が開口した箱型形状をなし、前記空気層形成装置は、前記検出器ヘッド内に空気を供給する空気供給装置を有することを特徴としている。
従って、検出器ヘッドにより冷却水中の放射性物質を被覆した状態で、空気供給装置により検出器ヘッド内に空気を供給すると、検出器ヘッド内の冷却水が下方の開口から押し出されるため、内部を空気層とすることができ、簡単な構成で容易に分析を行うことができる。
本発明の放射性物質の処理装置では、前記検出器ヘッドは、上部に前記空気供給装置が設けられ、下方の開口周囲に弾性部材が設けられることを特徴としている。
従って、検出器ヘッドの上部に空気供給装置を設けることで、各種装置の搬送が容易となり、また、開口周囲に弾性部材を設けることで、検出器ヘッドを放射性物質の周囲の壁面に密着させるだけでシールすることができ、空気層を容易に維持することができる。
本発明の放射性物質の処理装置では、前記空気層形成装置は、前記検出器ヘッドから前記放射性物質に向けてレーザ光を照射可能な空気層形成用レーザ照射装置を有することを特徴としている。
従って、空気層形成用レーザ照射装置が放射性物質に向けてレーザ光を照射すると、放射性物質の表面が高温となることで水が蒸発して一時的に空気層が形成されることとなり、空気層形成装置を小型化することができる。
本発明の放射性物質の処理装置では、前記分析装置は、プラズマ発生用レーザ発振器と、蛍光を検出して分光する分光器と、分光された蛍光に基づいて元素を特定する蛍光検出器とを有することを特徴としている。
従って、分析装置としてプラズマ発生用レーザ発振器と分光器と蛍光検出器を設けることで、放射性物質から生成される蛍光を容易に検出することができる。
本発明の放射性物質の処理装置では、前記分析装置は、前記放射性物質の表面から生成されるプラズマに対してレーザ光を照射する蛍光励起用レーザ発振器が設けられることを特徴としている。
従って、蛍光励起用レーザ発振器が放射性物質の表面から生成されるプラズマに対してレーザ光を照射すると、プラズマから特定の元素に対応した蛍光が生成されることとなり、蛍光を精度良く検出することができる。
本発明の放射性物質の処理装置では、前記蛍光励起用レーザ発振器は、分析する元素に応じた波長のレーザ光を分析する元素に応じた遅れ時間を持って照射することを特徴としている。
従って、放射性物質に対して分析する元素に応じた波長のレーザ光を分析する元素に応じた遅れ時間を持って照射することで、特定の元素の有無を検出することができる。
本発明の放射性物質の処理装置では、前記分析装置は、プラズマ発生用レーザを発振可能なレーザ発振用光ファイバと、蛍光を検出可能な蛍光検出用光ファイバを有し、前記レーザ発振用光ファイバの先端部と前記蛍光検出用光ファイバの先端部を前記検出器ヘッドに対して位置調整可能とする位置調整装置が設けられることを特徴としている。
従って、位置調整装置によりレーザ発振用光ファイバと蛍光検出用光ファイバを移動することができ、放射性物質の異なる複数の個所に対して分析を行うことができる。
本発明の放射性物質の処理装置では、前記検出器ヘッドに放射性物質を撮影可能なカメラが設けられることを特徴としている。
従って、カメラにより放射性物質を撮影することで、分析状態を把握することができ、分析作業の作業性を向上することができる。
また、本発明の放射性物質の分析装置は、パルスレーザ光を照射可能なプラズマ発生用レーザ発信器と、プラズマに対してパルスレーザ光を照射可能な蛍光励起用レーザ発振器と、プラズマから発生する蛍光を検出する蛍光分析器と、を有することを特徴とするものである。
従って、プラズマ発生用レーザ発信器が放射性物質に対してパルスレーザ光を照射すると、プラズマが生成され、蛍光励起用レーザ発振器がこのプラズマに対してパルスレーザ光を照射すると、プラズマから蛍光が発生し、蛍光分析器がこの蛍光を検出する。そのため、プラズマから特定の元素に対応した蛍光が生成されることとなり、この蛍光に基づいて原子炉内部にある放射性物質に対して適正な分析を行うことができる。
本発明の放射性物質の処理装置によれば、支持アームの先端部に検出器ヘッドを設け、この検出器ヘッド内に放射性物質の表面部に空気層を形成する空気層形成装置と、放射性物質のプラズマから発生する蛍光を検出して放射性物質に含有する元素を分析する分析装置を設けるので、放射性物質に対して適正な分析を行うことができる。
また、本発明の放射性物質の分析装置によれば、プラズマ発生用レーザ発信器と蛍光励起用レーザ発振器と蛍光分析器とを設けるので、原子炉内部にある放射性物質に対して適正な分析を行うことができる。
図1は、第1実施形態の放射性物質の処理装置が適用される沸騰水型原子炉の概略縦断面図である。 図2は、沸騰水型原子炉の概略水平断面図である。 図3は、放射性物質の処理装置を表す概略図である。 図4は、放射性物質の分析装置の概略構成図である。 図5は、レーザ光の照射及び蛍光の検出のタイミングを説明するためのタイムチャートである。 図6は、第2実施形態の放射性物質の分析装置の概略構成図である。 図7は、レーザ光の照射及び蛍光の検出のタイミングを説明するためのタイムチャートである。 図8は、第2実施形態の放射性物質の分析装置の概略構成図である。 図9は、レーザ光の照射及び蛍光の検出のタイミングを説明するためのタイムチャートである。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る放射性物質の処理装置及び放射性物質の分析装置の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の放射性物質の処理装置が適用される沸騰水型原子炉の概略縦断面図、図2は、沸騰水型原子炉の概略水平断面図である。
本実施形態の原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、この軽水を炉心で沸騰させて蒸気を発生させ、この蒸気を直接タービン発電機に送って発電する沸騰水型原子炉である。
この沸騰水型原子炉は、図1及び図2に示すように、原子炉格納容器11内に原子炉12が格納されて構成されている。原子炉格納容器11は、原子炉建屋13内に設置されており、上端部に上蓋14が取付けられることで密封されている。原子炉格納容器11は、内部に形成されたドライウェル15と、冷却水が充填された圧力抑制プールが内部に形成される複数の圧力抑制室16とを有している。そして、ドライウェル15は、ベント通路17を介して圧力抑制室16に連結され、このベント通路17の先端部が圧力抑制プールの冷却水中に浸漬されている。
原子炉建屋13は、原子炉格納容器11を支持しており、上蓋14の上方に複数に分割されて放射線遮へい体として機能する複数のシールドプラグ18が配置され、これらのシールドプラグ18により原子炉格納容器11が密閉保持される。
原子炉12は、上蓋19が取付けられて構成される原子炉容器20、核燃料物質を含む複数の燃料集合体が装荷された炉心21、気水分離器22、蒸気乾燥器23などにより構成されている。この場合、炉心21、気水分離器22、蒸気乾燥器23は、原子炉容器20内に配置されている。原子炉容器20は、内部に炉心シュラウド24が配置され、炉心21を取り囲んでいる。炉心21は、内部に複数の燃料集合体が装荷され、この各燃料集合体は、下端部が炉心支持板25により支持され、上端部が上部格子板26によって保持されている。気水分離器22は、この上部格子板26よりも上方に配置され、蒸気乾燥器23がこの気水分離器22の上方に配置されている。
複数の制御棒27は、下方から炉心21に挿入されるように配置されている。複数の制御棒27は、制御棒案内管(図示略)内に配置されており、上下方向に移動自在となり、炉心21の内部に配置されている燃料集合体間に対して出し入れされて原子炉出力が制御される。制御棒駆動機構28は、原子炉容器20の下鏡に取付けられており、各制御棒案内管内の制御棒27に連結されている。
原子炉容器20は、炉心構造物として、前述した炉心21だけでなく、気水分離器22、蒸気乾燥器23、炉心シュラウド24、炉心支持板25、上部格子板26、制御棒27などが内部に配置されている。
また、原子炉容器20は、原子炉格納容器11内の底部に設けられたコンクリートマット29上に設けられた筒状のペデスタル30上に据付けられている。そして、筒状のγ線遮蔽体31が、ペデスタル30の上端に設置され、原子炉容器20の外側を取り囲んでいる。
従って、この原子炉12で生成された蒸気は、図示しないが、冷却水配管を通して蒸気タービンに送られ、この蒸気により蒸気タービンを駆動して発電機により発電を行う。蒸気タービンを駆動した蒸気は、復水器で海水を用いて冷却されて復水となり、冷却水配管を通して原子炉12に戻される。
ところで、このような原子力発電プラントにて、過酷事故が発生した場合、緊急炉心冷却装置が作動し、原子炉容器20の内部の炉心21を冷却することで発生する熱を十分に除去する。ところが、この緊急炉心冷却装置が故障すると、炉心21を冷却することができず、原子炉容器20の内部の炉心21などが溶融し、溶融した燃料などの溶融物(放射性物質、デブリ)Mが原子炉容器20の底部に堆積したり、原子炉容器20をも溶融してコンクリートマット29に落下したりする。この場合、原子炉格納容器11は、内部に冷却水が噴射されることで冷却され、また、ペデスタル30内に冷却水が貯留されることで溶融物Mが冷却されて固化する。
このように炉心21が溶融し、溶融物Mがコンクリートマット29に堆積すると、温度が低下して固化した溶融物Mを分析し、外部に搬出する必要がある。
本実施形態の放射性物質の処理装置60は、炉心21などが溶融してコンクリートマット29に堆積した放射性物質としての溶融物Mに対して簡易的に分析するために使用するものである。この放射性物質の処理装置60は、原子炉格納容器11内に固化した溶融物Mがあるとき、原子炉建屋13内に放射線を遮へいすることができ、且つ、放射性物質が飛散しないように密封できる処理用セル61を設置して各種の作業を行う。
即ち、原子炉建屋13は、中央部に原子炉12(原子炉容器20)を支持する原子炉格納容器11が配置され、その外側に外部の地面Gとほぼ同じ高さを有する部屋51が設けられている。この部屋51は、原子炉12の正常運転時には、作業者が被爆することなく安全に立ち入ることができる空間である。この部屋51は、機材などを搬入可能な開口部52が形成され、搬出入路53が設置されている。また、部屋51は、コンクリート構造壁を貫通して原子炉格納容器11内に連通する連通路(開口部)54が設けられ、この連通路54は、機器ハッチ55により開閉可能となっている。
そして、処理用セル61は、原子炉建屋13におけるグランドレベルの部屋51に設置され、周囲が放射線遮へい壁により気密に形成されており、機器ハッチ55を介して原子炉格納容器11の連通路54に連結されている。この場合、処理用セル61は、鉄筋コンクリートにより製造することが望ましく、その他、タングステン、ステンレス、鉛、劣化ウランなどを材料として使用してもよい。
この処理用セル61は、複数(本実施形態では、5個)のモジュール62,63,64,65,66が連結されて構成されている。各モジュール62,63,64,65,66は、例えば、搬入用モジュール、メンテナンス用モジュール、放射性物質収納用モジュール、除染及び検査用モジュール、搬出用モジュールなどにより構成される。各モジュール62,63,64,65,66は、直列で、且つ、原子炉格納容器11の周囲に沿って配置されて互いに連結されている。
モジュール64は、内部に放射性物質の処理装置60を搬入可能である。モジュール64は、原子炉格納容器11の連通路54に対して、機器ハッチ55を開放することで連通可能である。一方、原子炉格納容器11は、連通路54(機器ハッチ55)が設けられ、原子炉容器20は、ペデスタル30に機器ハッチ55と対向して開口部56(図1参照)が形成されている。そして、ペデスタル30内であって、コンクリートマット29上に溶融物Mが冷却水Wに浸水した状態で載置されている。
図3は、放射性物質の処理装置を表す概略図、図4は、放射性物質の分析装置の概略構成図、図5は、レーザ光の照射及び蛍光の検出のタイミングを説明するためのタイムチャートである。
放射性物質の処理装置60は、図3に示すように、移動装置71と、支持アーム72と、検出器ヘッド73と、空気供給装置(空気層生成装置)74と、電力供給装置75と、分析装置76とを有している。
移動装置71は、第1台車81と第2台車82が伸縮可能な連結部83により連結されて構成され、各台車81,82は、モジュール64内を自走可能となっている。第1台車81は、後述する各種の設備を搭載しており、空気配管84及び電力線85がモジュール64の外部まで延出され、空気配管84に空気供給装置74が連結され、電力線85に電力供給装置75が連結されている。
第2台車82は、支持アーム72の基端部が装着され、支持アーム72の先端部に検出器ヘッド73が装着されている。第2台車82は、モジュール64から支持アーム72により原子炉格納容器11の連通路54を通して内部に侵入可能となっている。この支持アーム72は、例えば、テレスコピック式のアームであり、全長を伸縮可能となっているがこの形式に限定されるものではなく、折り畳み式アームなどであってもよい。
検出器ヘッド73は、図4に示すように、支持アーム72の先端部に設けられており、一方(下方)が開口する開口部91が形成されており、この開口部91の周囲にリング形状をなすシール部材(弾性部材)92が固定されている。この検出器ヘッド73は、上部に空気供給装置74を構成する空気供給配管93の先端部が取付けられている。この空気供給配管93は、支持アーム72の外部または内部に付設されており、基端部が第2台車82(または、第1台車81)に連結され、先端部が検出器ヘッド73を貫通して内部に連通している。そのため、空気供給装置74は、空気供給配管93を通して検出器ヘッド73内に空気を供給することができる。
図3及び図4に示すように、分析装置76は、制御装置100と、レーザ光源101と、レーザ発振器(プラズマ発生用レーザ発振器)102と、レーザ発振用光ファイバ103と、蛍光検出用光ファイバ104と、分光器105と、蛍光検出器106を有している。制御装置100は、処理用セル61の外部に設けられている。レーザ光源101は、レーザ発振器102が接続され、レーザ発振器102は、レーザ発振用光ファイバ103が接続されている。蛍光検出器106は、分光器105が接続され、分光器105は、蛍光検出用光ファイバ104が接続されている。レーザ光源101とレーザ発振器102は、第1台車81に搭載され、レーザ発振用光ファイバ103が連結部83を通して第2台車82に延出され、更に、支持アーム72に沿って検出器ヘッド73まで延出されている。蛍光検出器106と分光器105は、第1台車81に搭載され、蛍光検出用光ファイバ104が連結部83を通して第2台車82に延出され、更に、支持アーム72に沿って検出器ヘッド73まで延出されている。
検出器ヘッド73は、上部にレーザ発振用光ファイバ103の先端部と蛍光検出用光ファイバ104の先端部が取付けられている。レーザ発振用光ファイバ103及び蛍光検出用光ファイバ104は、支持アーム72に沿って設けられた被覆ケーブル107内に設けられている。制御装置100は、制御線108,109によりレーザ発振器102と蛍光検出器106に接続されている。この制御装置100は、レーザ発振器102を制御可能であり、発振指令信号を出力することで、レーザ発振器102は、所定のタイミングでレーザ光ブレイクダウン用のパルスレーザ光を発振することができる。また、制御装置100は、蛍光検出器106を制御可能であり、発振指令信号から所定遅れ時間Δt1経過後のタイミングで検出指令信号を出力することで、蛍光検出器106は、生成された蛍光を測定することができる。
検出器ヘッド73は、内部の溶融物Mを撮影可能なカメラ111が設けられている。このカメラ111は、光ファイバ112を介して第2台車82(または、第1台車81)に連結され、更に、制御線113を介してモジュール64の外部に設置されたモニタ114に連結されている。そのため、作業者は、カメラ111により溶融物Mの位置、形状、状態などを把握することができる。
検出器ヘッド73は、レーザ発振用光ファイバ103の先端部と蛍光検出用光ファイバ104の先端部とカメラ111を位置調整可能とする位置調整装置115が設けられている。位置調整装置115は、レーザ発振用光ファイバ103と蛍光検出用光ファイバ104とカメラ111を水平方向に移動することで、その位置を調整することができる。この場合、位置調整装置115は、レーザ発振用光ファイバ103と蛍光検出用光ファイバ104とカメラ111とを一体に移動可能に支持してもよいし、個別に移動可能に支持してもよい。
ここで、本実施形態の放射性物質の処理装置60による溶融物Mの処理方法について説明する。
図1及び図2に示すように、原子炉建屋13の部屋51に処理用セル61を設置する場合、この部屋51に放射性物質が付着していることがあり、部屋51を事前に除染する。各モジュール62〜66は、個別に図示しない工場で製造組立され、例えば、トラックに搭載されて部屋51に搬入される。そして、この部屋51にて、原子炉格納容器11の機器ハッチ55(連通路54)に連結するように、モジュール64を設置した後、このモジュール64に隣接して各モジュール62,63,65,66を設置し、気密が維持されるように連結する。このとき、機器ハッチ55により連通路54が閉止されていることから、作業者は、部屋51から各モジュール62〜66内に入って各種の作業を行うことができる。
部屋51に処理用セル61が設置されると、図3に示すように、モジュール64内に処理装置60を搬入し、作業者は、遠隔操作により処理装置60を操作し、支持アーム72を用いて機器ハッチ55を開放し、検出器ヘッド73を原子炉格納容器11内に搬入する。そして、作業者は、モニタ114によりカメラ111の画像を見ながら支持アーム72を作動し、ペデスタル30の開口部56(図1参照)を通して検出器ヘッド73を溶融物Mに接近させる。
原子炉格納容器11は、内部に冷却水Wが供給されていることから、溶融物Mは、水中に沈降している。そのため、作業者は、図4に示すように、支持アーム72により検出器ヘッド73が溶融物Mを囲うように配置し、シール部材92をコンクリートマット29上に設置する。ここで、空気供給配管93を通して検出器ヘッド73内に空気を供給すると、検出器ヘッド73内の冷却水Wは、この空気により検出器ヘッド73におけるシール部材92とコンクリートマット29との間から外部に排出され、溶融物Mの表面が気中に露出する。
ここで、分析装置76を用いて溶融物Mに対して含有する元素の分析処理を行う。作業者は、モニタ114により溶融物Mの位置を確認し、位置調整装置115によりレーザ発振用光ファイバ103の先端部と蛍光検出用光ファイバ104の先端部の位置を調整すると共に、レーザ発振用光ファイバ103の先端部から溶融物Mの表面までの距離(レーザブレイクポイント)と蛍光検出用光ファイバ104の先端部から溶融物Mの表面までの距離を調整する。そして、制御装置100は、所定のタイミングで発振指令信号を出力すると、レーザ発振器102は、レーザ発振用光ファイバ103を通して溶融物Mの表面に向けてレーザ光ブレイクダウン用のパルスレーザ光を発振する。すると、制御装置100は、発振指令信号から所定遅れ時間Δt1経過後のタイミングで検出指令信号を出力すると、蛍光検出器106は、蛍光検出用光ファイバ104により分光器105を介して溶融物Mの表面で生成された蛍光を検出する。
具体的に説明すると、レーザ発振器102から溶融物Mの表面にパルスレーザ光が照射されると、溶融物Mの表面の元素が蒸発してプラズマが生成され、このプラズマから蛍光が発生する。この蛍光は、蛍光検出用光ファイバ104を通して分光器105に入力し、この分光器105で分光されて蛍光検出器106に入力する。蛍光検出器106は、分光器105で分光された蛍光を電気信号に変換し、この電気信号は制御装置100に出力される。溶融物Mは、その表面にパルスレーザ光が照射されると、その表面に存在する元素が瞬間的に気化して電離し、その一部がプラズマ化する。このプラズマから発生する蛍光は、原子数に比例しており、制御装置100は、信号処理装置を有しており、蛍光検出器106からの電気信号に基づいて溶融物Mに含有する元素を特定することができる。
即ち、図5に示すように、まず、時間t1にて、空気供給装置74を作動して検出器ヘッド73内に空気層を形成する。次に、溶融物Mの表面に空気層が形成されると、時間t2にて、レーザ発振器102が溶融物Mの表面にパルスレーザ光を照射する。すると、溶融物Mの表面の元素が蒸発してプラズマが生成され、このプラズマから蛍光が発生する。そして、時間t2から遅れ時間Δt1が経過した時間t3にて、蛍光検出器106が分光器105を介して蛍光を検出する。その結果、制御装置100は、この蛍光に基づいて溶融物Mに含有する元素を特定する。
なお、分析装置76は、溶融物Mの複数個所に対して分析を行う。その後、溶融物Mに含まれる元素の分析が完了したら、溶融物Mの搬出を開始する。
このように第1実施形態の放射性物質の処理装置にあっては、原子炉建屋13内に周囲が放射線遮へい壁により気密に形成される処理用セル61と、処理用セル61内を移動可能な移動装置71と、移動装置71から原子炉格納容器11の連通路54を通して内部に侵入可能な支持アーム72と、支持アーム72の先端部に設けられた検出器ヘッド73と、検出器ヘッド73内に空気を供給して空気層を形成する空気供給装置74と、検出器ヘッド73から溶融物Mに照射されたレーザ光により生成されるプラズマから発生する蛍光を検出して溶融物Mに含有する元素を分析する分析装置76とを設けている。
従って、移動装置71が処理用セル61内を移動し、所定の位置で支持アーム72により検出器ヘッド73を原子炉格納容器11の連通路54を通して内部に侵入し、この検出器ヘッド73を冷却水W中の溶融物Mに対して上方に配置する。この状態で、空気供給装置74により検出器ヘッド73内に空気を供給すると、検出器ヘッド73内の冷却水Wが下方の開口部91から押し出され、内部が気中となって空気層が形成される。ここで、空気に露出した溶融物Mに対して分析装置76により分析が行われる。そのため、分析装置76は、原子炉格納容器11の内部にある溶融物Mに対して適正な分析を行うことができる。
第1実施形態の放射性物質の処理装置では、検出器ヘッド73を下方が開口した箱型形状とし、空気供給装置74により検出器ヘッド73内に空気を供給している。従って、検出器ヘッド73により冷却水W中の溶融物Mを被覆した状態で、空気供給装置74により検出器ヘッド73内に空気を供給すると、検出器ヘッド73内の冷却水Wが下方の開口から押し出されるため、内部を空気層とすることができ、簡単な構成で容易に分析を行うことができる。
第1実施形態の放射性物質の処理装置では、検出器ヘッド73の上部に空気供給装置74を設け、下方の開口周囲にシール部材92を設けている。従って、検出器ヘッド73の上部に空気供給装置74を設けることで、各種装置の搬送が容易となり、また、開口部91の周囲にシール部材92を設けることで、検出器ヘッド73を溶融物Mの周囲の壁面に容易に密着させるだけでシールすることができ、空気層を容易に維持することができる。
第1実施形態の放射性物質の処理装置では、分析装置76として、プラズマ発生用のレーザ発振器102と、蛍光を検出して分光する分光器105と、分光された蛍光に基づいて元素を特定する蛍光検出器106とを設けている。従って、溶融物Mから生成される蛍光を容易に検出することができる。
第1実施形態の放射性物質の処理装置では、分析装置76とし、プラズマ発生用レーザを発振可能なレーザ発振用光ファイバ103と、蛍光を検出可能な蛍光検出用光ファイバ104を設け、レーザ発振用光ファイバ103の先端部と蛍光検出用光ファイバ104の先端部を検出器ヘッド73に対して位置調整可能とする位置調整装置115を設けている。従って、位置調整装置115によりレーザ発振用光ファイバ103と蛍光検出用光ファイバ104を移動することができ、溶融物Mの異なる複数の個所に対して分析を行うことができる。
第1実施形態の放射性物質の処理装置では、検出器ヘッド73内の溶融物Mを撮影可能なカメラ111を設けている。従って、カメラ111により溶融物Mを撮影することで、作業者は、モニタ114により検出器ヘッド73内の気中状態や分析状態を把握することができ、分析作業の作業性を向上することができる。
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態の放射性物質の分析装置の概略構成図、図7は、レーザ光の照射及び蛍光の検出のタイミングを説明するためのタイムチャートである。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第2実施形態の放射性物質の処理装置は、図6に示すように、分析装置151を有しており、分析装置151は、本発明の空気層形成装置として、検出器ヘッド73から溶融物Mに向けてパルスレーザ光を照射可能な空気層形成用レーザ照射装置を有している。この空気層形成用レーザ照射装置は、レーザ光源152と、空気層形成用のレーザ発振器153と、空気層形成用光ファイバ154により構成されている。
レーザ光源152は、レーザ発振器153が接続され、レーザ発振器153は、空気層形成用光ファイバ154が接続されている。レーザ光源152とレーザ発振器153は、第1台車81(図3参照)に搭載され、空気層形成用光ファイバ154が支持アーム72に沿って検出器ヘッド73まで延出されている。検出器ヘッド73は、支持アーム72の先端部に設けられており、一方(下方)が開口する開口部91が形成されている。この検出器ヘッド73は、上部に空気層形成用光ファイバ154が取付けられている。
分析装置151は、制御装置100と、レーザ光源101と、レーザ発振器(プラズマ発生用レーザ発振器)102と、レーザ発振用光ファイバ103と、蛍光検出用光ファイバ104と、分光器105と、蛍光検出器106を有している。検出器ヘッド73は、内部の溶融物Mを撮影可能なカメラ111が設けられている。検出器ヘッド73は、各ファイバ103,104,154の先端部とカメラ111を位置調整可能とする位置調整装置115が設けられている。
本実施形態の分析装置151による溶融物Mの分析方法において、作業者は、支持アーム72を作動し、検出器ヘッド73を溶融物Mに接近させる。そして、作業者は、制御装置100により所定のタイミングで発振指令信号を出力すると、レーザ発振器153は、空気層形成用光ファイバ154を通して溶融物Mの表面に向けて空気層形成用のパルスレーザ光を発振する。すると、溶融物Mは、表面がパルスレーザ光により高温となり、周囲の水が蒸発して一時的に空気層が形成され、溶融物Mの表面が気中に露出する。
ここで、分析装置151を用いて溶融物Mに対して含有する元素の分析処理を行う。作業者は、制御装置100により所定のタイミングで発振指令信号を出力すると、レーザ発振器102は、レーザ発振用光ファイバ103を通して溶融物Mの表面に向けてレーザ光ブレイクダウン用のパルスレーザ光を発振する。すると、制御装置100は、発振指令信号から所定遅れ時間Δt1経過後のタイミングで検出指令信号を出力すると、蛍光検出器106は、蛍光検出用光ファイバ104により分光器105を介して溶融物Mの表面で生成された蛍光を検出する。
即ち、図7に示すように、まず、時間t11にて、レーザ発振器153が溶融物Mの表面にパルスレーザ光を照射する。すると、溶融物Mの表面が高温となって空気層が形成される。次に、溶融物Mの表面に空気層が形成されると、時間t11から遅れ時間Δt0が経過した時間t12にて、レーザ発振器102が溶融物Mの表面にパルスレーザ光を照射する。すると、溶融物Mの表面の元素が蒸発してプラズマが生成され、このプラズマから蛍光が発生する。そして、時間t12から遅れ時間Δt1が経過した時間t13にて、蛍光検出器106が分光器105を介して蛍光を検出する。その結果、制御装置100は、この蛍光に基づいて溶融物Mに含有する元素を特定する。
このように第2実施形態の放射性物質の処理装置にあっては、空気層形成装置として、レーザ光源152と、空気層形成用のレーザ発振器153と、空気層形成用光ファイバ154とを設けている。
従って、レーザ発振器153が空気層形成用光ファイバ154を通して溶融物Mの表面に向けて空気層形成用のパルスレーザ光を発振すると、溶融物Mは、表面がパルスレーザ光により高温となって周囲の水が蒸発して一時的に空気層が形成され、溶融物Mの表面を気中に露出させることができる。そのため、分析装置151を用いて溶融物Mに対して含有する元素の分析処理を適正に行うことができる。また、空気層形成装置を小型化することができる。
[第3実施形態]
図8は、第2実施形態の放射性物質の分析装置の概略構成図、図9は、レーザ光の照射及び蛍光の検出のタイミングを説明するためのタイムチャートである。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第3実施形態の放射性物質の処理装置は、図8に示すように、分析装置161を有しており、分析装置161は、溶融物Mの表面から生成されるプラズマに対してパルスレーザ光を照射する蛍光励起用レーザ発振器が設けられている。この蛍光励起用レーザ発振器は、レーザ光源162と、蛍光励起用のレーザ発振器163と、蛍光励起用光ファイバ164により構成されている。
レーザ光源162は、レーザ発振器163が接続され、レーザ発振器163は、蛍光励起用光ファイバ164が接続されている。レーザ光源162とレーザ発振器163は、第1台車81(図3参照)に搭載され、蛍光励起用光ファイバ164が支持アーム72に沿って検出器ヘッド73まで延出されている。検出器ヘッド73は、支持アーム72の先端部に設けられており、一方(下方)が開口する開口部91が形成されている。この検出器ヘッド73は、上部に蛍光励起用光ファイバ164が取付けられている。
分析装置161は、制御装置100と、レーザ光源101と、レーザ発振器(プラズマ発生用レーザ発振器)102と、レーザ発振用光ファイバ103と、蛍光検出用光ファイバ104と、分光器105と、蛍光検出器106と、レーザ光源162と、レーザ発振器163と、蛍光励起用光ファイバ164を有している。検出器ヘッド73は、内部の溶融物Mを撮影可能なカメラ111が設けられている。検出器ヘッド73は、各ファイバ103,104,154,164の先端部とカメラ111を位置調整可能とする位置調整装置115が設けられている。
本実施形態の分析装置161による溶融物Mの分析方法において、作業者は、支持アーム72を作動し、検出器ヘッド73を溶融物Mに接近させる。そして、作業者は、制御装置100により所定のタイミングで発振指令信号を出力すると、レーザ発振器153は、空気層形成用光ファイバ154を通して溶融物Mの表面に向けて空気層形成用のパルスレーザ光を発振する。すると、溶融物Mは、表面がパルスレーザ光により高温となり、周囲の水が蒸発して一時的に空気層が形成され、溶融物Mの表面が気中に露出する。
ここで、分析装置161を用いて溶融物Mに対して含有する元素の分析処理を行う。作業者は、制御装置100により所定のタイミングで第1発振指令信号を出力すると、レーザ発振器102は、レーザ発振用光ファイバ103を通して溶融物Mの表面に向けてレーザ光ブレイクダウン用のパルスレーザ光を発振する。続いて、作業者は、制御装置100により所定のタイミングで第2発振指令信号を出力すると、レーザ発振器163は、蛍光励起用光ファイバ164を通して溶融物Mの表面に生成されたプラズマに向けてレーザ光ブレイクダウン用のパルスレーザ光を発振する。すると、制御装置100は、第2発振指令信号から所定遅れ時間Δt2経過後のタイミングで検出指令信号を出力すると、蛍光検出器106は、蛍光検出用光ファイバ104により分光器105を介して溶融物Mの表面で生成された蛍光を検出する。
具体的に説明すると、レーザ発振器102から溶融物Mの表面にパルスレーザ光が照射されると、溶融物Mの表面の元素が蒸発してプラズマが生成する。そして、レーザ発振器163により溶融物Mから生成されたプラズマにレーザ光が照射されると、このプラズマから蛍光が発生する。ここで、溶融物Mの表面から生成されるプラズマは、その発生量が経過時間で増減するが、発生するプラズマ量が最大となる経過時間は、元素ごとに相違する。また、プラズマから蛍光を発生させるためのレーザ光の波長は、元素ごとに相違する。そのため、例えば、溶融物Mにウランが含有しているかどうかを判定する場合、そのウランの励起波長に応じた波長(例えば、367nm)のパルスレーザ光を適用し、ウランに応じてプラズマ量が最大となる遅れ時間Δt2を適用する。また、溶融物Mにプルトニウムが含有しているかどうかを判定する場合、そのプルトニウムの励起波長に応じた波長(例えば、297nm)のパルスレーザ光を適用し、プルトニウムに応じてプラズマ量が最大となる遅れ時間Δt2を適用する。そして、この蛍光は、蛍光検出用光ファイバ104を通して分光器105に入力し、この分光器105で分光されて蛍光検出器106に入力する。蛍光検出器106は、分光器105で分光された蛍光を電気信号に変換し、この電気信号は制御装置100に出力される。制御装置100は、信号処理装置を有しており、蛍光検出器106からの電気信号に基づいて溶融物Mに含有する元素を特定することができる。
即ち、図9に示すように、まず、時間t21にて、レーザ発振器153が溶融物Mの表面にパルスレーザ光を照射する。すると、溶融物Mの表面が高温となって空気層が形成される。次に、溶融物Mの表面に空気層が形成されると、時間t21から遅れ時間Δt0が経過した時間t22にて、レーザ発振器102が溶融物Mの表面にパルスレーザ光を照射する。すると、溶融物Mの表面の元素が蒸発してプラズマが生成される。続いて、時間t22から遅れ時間Δt1が経過した時間t23にて、レーザ発振器163がプラズマにパルスレーザ光を照射する。すると、このプラズマから蛍光が発生する。そして、時間t23から遅れ時間Δt2が経過した時間t24にて、蛍光検出器106が分光器105を介して蛍光を検出する。その結果、制御装置100は、この蛍光に基づいて溶融物Mに含有する元素を特定する。
このように第3実施形態の放射性物質の処理装置にあっては、分析装置161として、プラズマ発生用のレーザ発振器102と、蛍光励起用のレーザ発振器163と、蛍光を検出して分光する分光器105と、分光された蛍光に基づいて元素を特定する蛍光検出器106とを設けている。
従って、蛍光励起用のレーザ発振器163が溶融物Mの表面から生成されるプラズマに対してパルスレーザ光を照射すると、プラズマから特定の元素に対応した蛍光が生成されることとなり、蛍光を精度良く検出することができる。
第3実施形態の放射性物質の処理装置では、蛍光励起用のレーザ発振器163は、分析する元素に応じた波長のレーザ光を分析する元素に応じた遅れ時間を持って照射する。従って、溶融物Mに対して分析する元素に応じた波長のレーザ光を照射することで、特定の元素の有無を検出することができる。
なお、この第3実施形態にて、放射性物質の分析装置161に空気層形成装置を付加して水中にある溶融物Mに対して分析するものとして説明したが、この構成に限定されるものではない。
本実施形態の放射性物質の分析装置は、パルスレーザ光を照射可能なプラズマ発生用のレーザ発信器102と、プラズマに対してパルスレーザ光を照射可能な蛍光励起用のレーザ発振器163と、プラズマから発生する蛍光を検出する蛍光分析器106とを有している。
従って、レーザ発信器102が溶融物(放射性物質)Mに対してパルスレーザ光を照射すると、プラズマが生成され、蛍光励起用のレーザ発振器163がこのプラズマに対してパルスレーザ光を照射すると、プラズマから蛍光が発生し、蛍光分析器106がこの蛍光を検出する。そのため、プラズマから特定の元素に対応した蛍光が生成されることとなり、この蛍光に基づいて溶融物Mに対して適正な分析を行うことができる。
なお、上述した実施形態では、検出器ヘッド73を矩形の箱型形状としたが、この形状に限定されるものではなく、第1実施形態では、内部に空気を留めることができる形状であれば、どのような形状であってもよく、第2、第3実施形態では、各光ファイバを支持することができる形状であれば、どのような形状であってもよい。
また、上述した実施形態では、本発明の放射性物質の処理装置及び放射性物質の分析装置を沸騰水型原子炉に適用して説明したが、加圧水型原子炉に適用することもでき、いずれの原子炉に適用してもよい。
11 原子炉格納容器
12 原子炉
13 原子炉建屋
20 原子炉容器
21 炉心
30 ペデスタル
51 部屋
54 連通路
55 機器ハッチ
61 処理用セル
62,63,64,65,66 モジュール
71 移動装置
72 支持アーム
73 検出器ヘッド
74 空気供給装置(空気層形成装置)
75 電力供給装置
76 分析装置
92 シール部材(弾性部材)
93 空気供給配管
100 制御装置
101 レーザ光源
102 レーザ発振器(プラズマ発生用レーザ発振器)
103 レーザ発振用光ファイバ
104 蛍光検出用光ファイバ
105 分光器
106 蛍光検出器
111 カメラ
115 位置調整装置
151 分析装置
152 レーザ光源
153 レーザ発振器(空気層形成用レーザ照射装置)
154 空気層形成用光ファイバ
161 分析装置
162 レーザ光源
163 レーザ発振器(蛍光励起用レーザ発振器)
164 蛍光励起用光ファイバ
M 溶融物(放射性物質)
W 冷却水

Claims (10)

  1. 原子炉建屋内に周囲が放射線遮へい壁により気密に形成される処理用セルと、
    前記処理用セル内を移動可能な移動装置と、
    前記移動装置から原子炉格納容器の開口部を通して内部に侵入可能な支持アームと、
    前記支持アームの先端部に設けられる検出器ヘッドと、
    放射性物質の表面部に空気層を形成する空気層形成装置と、
    前記検出器ヘッドから前記放射性物質に照射されたレーザ光により生成されるプラズマから発生する蛍光を検出して前記放射性物質に含有する元素を分析する分析装置と、
    を有することを特徴とする放射性物質の処理装置。
  2. 前記検出器ヘッドは、下方が開口した箱型形状をなし、前記空気層形成装置は、前記検出器ヘッド内に空気を供給する空気供給装置を有することを特徴とする請求項1に記載の放射性物質の処理装置。
  3. 前記検出器ヘッドは、上部に前記空気供給装置が設けられ、下方の開口周囲に弾性部材が設けられることを特徴とする請求項2に記載の放射性物質の処理装置。
  4. 前記空気層形成装置は、前記検出器ヘッドから前記放射性物質に向けてレーザ光を照射可能な空気層形成用レーザ照射装置を有することを特徴とする請求項1に記載の放射性物質の処理装置。
  5. 前記分析装置は、プラズマ発生用レーザ発振器と、蛍光を検出して分光する分光器と、分光された蛍光に基づいて元素を特定する蛍光検出器とを有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の放射性物質の処理装置。
  6. 前記分析装置は、前記放射性物質の表面から生成されるプラズマに対してレーザ光を照射する蛍光励起用レーザ発振器が設けられることを特徴とする請求項5に記載の放射性物質の処理装置。
  7. 前記蛍光励起用レーザ発振器は、分析する元素に応じた波長のレーザ光を分析する元素に応じた遅れ時間を持って照射することを特徴とする請求項6に記載の放射性物質の処理装置。
  8. 前記分析装置は、プラズマ発生用レーザを発振可能なレーザ発振用光ファイバと、蛍光を検出可能な蛍光検出用光ファイバを有し、前記レーザ発振用光ファイバの先端部と前記蛍光検出用光ファイバの先端部を前記検出器ヘッドに対して位置調整可能とする位置調整装置が設けられることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の放射性物質の処理装置。
  9. 前記検出器ヘッドに放射性物質を撮影可能なカメラが設けられることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の放射性物質の処理装置。
  10. パルスレーザ光を照射可能なプラズマ発生用レーザ発信器と、
    プラズマに対してパルスレーザ光を照射可能な蛍光励起用レーザ発振器と、
    プラズマから発生する蛍光を検出する蛍光分析器と、
    を有することを特徴とする放射性物質の分析装置。
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