JP2015190186A - 浮上起立式津波防波堤 - Google Patents

浮上起立式津波防波堤 Download PDF

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Abstract

【課題】平常時には倒伏状態で設置され、大津波の襲来時に大きな波の力と浮力とによって起立した状態となる防波函体を持ち、これによって津波による流体力と水圧とを十分に支えることのできる高強度で耐久的な浮上起立式津波防波堤を提供する。
【解決手段】地中に設置された基礎2と、基礎2の上に倒伏状態で載置され、津波の発生により海水が到来すると当該海水の流体力と浮力により基礎2の上に起立状態で載置される浮上式防波函体3と、プレストレストコンクリート構造とするため、浮上式防波函体3の先端部を緊張定着端3aとするとともに基礎2の底部を固定側定着端2aとして、外ケーブル方式により基礎2と浮上式防波函体3との間に連続配置されたケーブル40と浮上式防波函体3が基礎2の上に倒伏状態で載置されているとき、または起立状態で載置されているときの双方でケーブル40の緊張状態を連続して維持するために基礎2および浮上式防波函体3に設けられたケーブル偏向用のデビエータ部D1,D2とを備えるようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、津波襲来時のみに津波の力によって自動的に起立する浮上起立式津波防波堤に関し、特に大規模な津波が発生した場合の波の力に対して強固に耐え、かつ、長年月に亘って耐久的な防波堤に関するものである。
過去、2011年3月11日の東日本大震災を経験して以来、大津波に対応可能な大規模な津波防波堤を海岸線に沿って設置することが望まれている。しかしながら、数十年に1回、あるいは数百年に1回発生するような大津波に対応可能な大規模の津波防波堤を海岸線に沿って設置することは、日常生活や水産業の活動などに大きな障害になるとともに景観が損なわれる。
そこで、景観を損なうことなく、かつ、電力等による駆動源に依存することなく、大津波襲来時のみに浮力などによって起立する防波堤の設置が望まれてきた。これに関して、堤本体上に配置された軸部を中心に回動して起立する防波体を備えた防波堤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−36199号公報
ところで上述した防波堤においては、防波本体の強度や長期耐久性が不十分であり、また、起立時であっても防波本体の高さが低いため大津波に対応できないという問題があった。
さらに、防波体の羽根状回転補助部材が当該防波体の回動範囲を規制するストッパとして機能する際、羽根状回転補助部材がケーソンの上面に設けた係止壁に当接することで、防波体のそれ以上の時計周り方向の回動が規制されるが、大きな波の力に対して羽根状回転補助部材だけでは防波体の起立状態を支えることができず、強度が不十分であるという問題があった。
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、津波襲来時のみに防波堤として機能し、大きな波の力に対しても十分に対抗し得る強固で耐久的な浮上起立式津波防波堤を提供することにある。
この目的を達成するために、本発明は、地中に設置された基礎(2)と、前記基礎(2)の上に倒伏状態で載置され、津波の発生により大浪が到来すると前記基礎(2)の上に起立状態で載置される浮上式防波函体(3)と、プレストレストコンクリート構造とするため、前記浮上式防波函体(3)の先端部を緊張定着端(3a)とするとともに前記基礎(2)の底部を固定側定着端(2a)として、外ケーブル方式により前記基礎(2)と前記浮上式防波函体(3)との間に連続配置されたケーブル(40)と、前記浮上式防波函体(3)が前記基礎(2)の上に倒伏状態で載置されているとき、または起立状態で載置されているときの双方で前記ケーブル(40)の緊張状態を連続して維持するために前記基礎(2)および前記浮上式防波函体(3)に設けられたケーブル偏向用のデビエータ部(D1、D2)とを備えるようにする。
本発明において、前記浮上式防波函体(3)が前記基礎(2)の上に載置された前記倒伏状態から前記起立状態へ移行する際、前記浮上式防波函体(3)の回動支点となるべく前記基礎(2)の上面に形成された凹状の斜面部(14)および当該斜面部(14)に連設された円弧状部(15)を更に備えるようにする。
本発明において、前記浮上式防波函体(3)の先端部には、前記基礎(2)の上に倒伏状態で載置されているとき、津波による海水が前記浮上式函体の下側へ流入することを容易にし、かつ前記倒伏状態から前記起立状態への移行を容易にするための斜面部(30c)を有する浮体(30)が設けられているようにする。
本発明において、前記浮上式防波函体(3)には、隣接する浮上式防波函体(3)との間でプレストレストコンクリート構造として一体化するためのケーブル(39)が緊張状態で配置されているようにする。
本発明によれば、浮上式防波函体が基礎の上に倒伏状態で載置されているとき、または起立状態で載置されているときの双方でケーブルの緊張状態を連続して維持することができるので、起立時に浮上式防波函体に作用する津波の水圧に対してもケーブルのプレストレス力によって十分に対抗し得、かくして大きな波の力や水圧に対しても起立した状態の浮上式防波函体を十分に支えることのできる強固で耐久的な浮上起立式津波防波堤を実現することができる。
本発明の実施の形態に係る浮上起立式津波防波堤の構成を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係るフーティング基礎の構成を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る浮上函体の構成を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係るフーティング基礎の上に浮上函体が倒伏状態で載置されている状態を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係るフーティング基礎の上に浮上函体が起立状態で載置されている状態を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る浮上式防波函体の側壁部の厚さ(t)を求める際の説明に供する断面図である。 本発明の実施の形態に係る浮上函体の倒伏状態および起立状態においてケーブルの緊張状態を維持するためデビエータの配置状態を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
<浮上起立式津波防波堤の構成>
図1に示すように、浮上起立式津波防波堤1は、津波襲来により大浪(BW)が到来すると、当該大浪(BW)に対する浮上式防波函体3の海水に対する浮力と、津波の流体力(流れによる動的な力)によりフーティング基礎2の上に倒伏状態で載置された浮上式防波函体3が矢印P方向へ自動的に起立し、当該浮上式防波函体3が防波堤として機能することによって大浪(BW)による被害を防止するものである。
この浮上起立式津波防波堤1は、主に、地盤Gに埋め込まれた状態で固定されたフーティング基礎2と、津波の発生により大浪(BW)が到来するとフーティング基礎2の上で矢印P方向へ回転することにより倒伏状態から起立状態へと移行する浮上式防波函体3とによって構成されている。
フーティング基礎2は、その上に倒伏状態または起立状態で載置される浮上式防波函体3の荷重を直接地盤Gに伝えるコンクリートからなる基礎であり、海岸近傍の陸上や、岸壁、河口の近傍エリアの地盤Gに固定される。したがって、このフーティング基礎2は、TP(東京湾平均海面)プラス5m程度の高さの築堤上に設置される場合でもフーティング基礎2の上に浮上式防波函体3が倒伏状態で載置されている通常時において海岸の景観が損なわれることはない。
ここで浮上式防波函体3は、倒伏状態の長さ(すなわち起立状態では高さ)Lが10mに設定されている場合(図3)、フーティング基礎2の上で当該浮上式防波函体3が起立したときには、TPプラス15mの防波堤となり、その前面となる防波面3fにより高さ15m程度までの大津波の大浪(BW)に対しても十分に対応することが可能となる。なお、より高い大津波が想定される場合にはそれに対応して築堤の高さを増加させればよい。
また、フーティング基礎2から矢印B方向の海岸へ向かって所定距離だけ離れた位置には、当該フーティング基礎2の上面2bと同じ高さとなるように基礎4が地盤Gに埋め込まれた状態で固定されている。なお、フーティング基礎2と基礎4とは別個に設けられているが、当該フーティング基礎2と基礎4とが一体化された状態で地盤Gに固定されていてもよい。
フーティング基礎2は、矢印AB方向とは直交する図中奥行き方向へ幅約200mに形成されており、隣接するフーティング基礎2との間には海岸へ通じる連絡路(図示せず)が形成される。また、起立時の浮上式防波函体3よりも矢印A方向側のフーティング基礎2の上面2b(基礎部)は、平常時には道路として用いられることにより有効活用される。
フーティング基礎2および基礎4に跨るように倒伏状態で載置された浮上式防波函体3は、箱型構造の内部に空隙部21が形成された函体でなり、矢印AB方向とは直交する図中奥行き方向へ幅約3mに形成されている。したがって浮上式防波函体3は、幅200mのフーティング基礎2の上面2bに対して互いに接した状態で並設されることになる。ちなみに複数の浮上式防波函体3は、相互間の接触部分の止水性の問題が存在するが、津波の一波の滞留時間は30分から1時間程度以内であるので、完璧な止水を考える必要はない。
これら複数の浮上式防波函体3には、隣接する浮上式防波函体3との間でプレストレストコンクリート構造として一体化するため、矢印AB方向とは直交する奥行き方向へ内ケーブル方式によりPC鋼材でなるケーブル39が緊張状態で配置されている。この場合、ケーブル39は浮上式防波函体3の矢印B(C)方向の一端部および矢印A(D)方向の他端部にそれぞれケーブル39が配置されている。なお浮上式防波函体3は、その厚さ(T)が1.5mに形成されている(図1、図3)。
浮上式防波函体3は、この空隙部21により比重が0.8以下に設定されている。この浮上式防波函体3に設定すべき比重としては、例えば0.9以下であればよい。なお浮上式防波函体3の矢印B(C)方向の一端部には、当該浮上式防波函体3がフーティング基礎2の上に倒伏状態で載置されているとき、その下側に津波による大波(BW)の流入を容易にし、かつ倒伏状態から起立状態への移行を容易にするための斜面部3cが形成されている。
さらに浮上式防波函体3の斜面部3cの延長線上に当該斜面部3cと連続するように形成された斜面部30cを有する例えば発泡スチロールを詰め込んだコンクリート製中空容器や繊維強化プラスチック等でなる浮力体30が取り付けられている。浮力体30の斜面部30cは、浮上式防波函体3の斜面部3cと同じ目的のために形成されており、浮上式防波函体3がフーティング基礎2の上に倒伏状態で載置されているとき、浮力体30の斜面部30cに対する大波(BW)の流入を容易にし、かつ倒伏状態から起立状態への移行を容易にする。なお浮上式防波函体3は、浮力体30と一体形成されていてもよい。
浮上式防波函体3における矢印A(D)方向の他端部には、起立状態において矢印B方向に一部開口されるとともに、矢印D方向に一部開口された切欠部22が形成されている。浮上式防波函体3は、後述するケーブル40が空隙部21および切欠部22を挿通するため、当該空隙部21と当該切欠部22との間の隔壁部D2に当該ケーブル40の外径よりも僅かに大きな内径の貫通孔3dが形成されている。この隔壁部D2では、切欠部22から空隙部21へ大浪(BW)が浸入することを防止するため、ケーブル40の挿通された貫通孔3dが所定の封止材により封止されている。
したがって浮上式防波函体3では、フーティング基礎2の上面2bに浮上式防波函体3が倒伏状態で載置された場合に、隔壁部D2を偏向点としてケーブル40が折り曲げられる。すなわち隔壁部D2がケーブル40に対するケーブル偏向用のデビエータ部として機能する。
浮上式防波函体3の他端部では、厚さ(T)1.5mのうち、切欠部22を除く残りの壁厚(v)が1.0mに設定されており、起立状態において津波の流体力に十分耐え得るように構成されている。
起立状態における浮上式防波函体3の切欠部22と対向するフーティング基礎2の上面2bには、略断面三角形状でなり、矢印C方向に一部開口された切欠部12が形成されている。浮上式防波函体3の切欠部22とフーティング基礎2の切欠部12とは、倒伏状態または起立状態の何れにおいても互いに対向し合い、当該切欠部22および切欠部12によりケーブル収納空間CSが形成されている。
フーティング基礎2と浮上式防波函体3との間には、当該フーティング基礎2の矢印D方向の底部に設けられた固定側定着端2aと、浮上式防波函体3の矢印C方向の先端に設けられた緊張定着端3aとの間に外ケーブル方式によるPC鋼材でなるケーブル(JIS規格19S15.2B)40が緊張状態で連続配置されている。
ケーブル40の矢印C方向の一端は浮上式防波函体3の緊張定着端3aとともにコンクリートに埋め込まれ、当該ケーブル40の矢印D方向の他端はフーティング基礎2の固定側定着端2aとともにコンクリートに埋め込まれている。なお、ケーブル40は、フーティング基礎2と浮上式防波函体3との間を跨ぐように、浮上式防波函体3の幅3mあたり6本配置されている(図6)。これにより浮上式防波函体3は、高耐久性および強靭性が確保され、津波の流水圧、波圧、および漂流物の衝撃力に耐えることができる。
ケーブル40は、浮上式防波函体3の空隙部21およびケーブル収納空間CS(切欠部22および切欠部12)を挿通した状態の外ケーブル方式により定着されているが、フーティング基礎2の上面2bに浮上式防波函体3が倒伏状態で載置された場合、当該フーティング基礎2の切欠部12の斜面12cに沿って折り曲げられる。
フーティング基礎2における切欠部12の斜面12cと底面12bとの交点部D1は、フーティング基礎2の上面2bに浮上式防波函体3が倒伏状態で載置された場合に当該交点部D1を偏向点としてケーブル40が折り曲げられる。すなわち交点部D1がケーブル40に対するケーブル偏向用のデビエータ部として機能する。交点部D1で折り曲げられたケーブル40は斜面12cに沿った状態となる。
<フーティング基礎および浮上式防波函体の構造>
次に、浮上起立式津波防波堤1において、フーティング基礎2の上面2bに載置された浮上式防波函体3が倒伏状態から起立状態へ移行するためのフーティング基礎2および浮上式防波函体3の構造について図2乃至図5を用いて説明する。
フーティング基礎2は、その上面2bにおける矢印B方向の海岸側から順番に、浮上式防波函体3を倒伏状態で載置しておくときの位置決め用に形成された凹状の斜面部14、浮上式防波函体3が矢印Q方向から矢印P方向へ起立するときの回動支点となり斜面部14の端部から垂直上方に向かって連設された円弧状部15、浮上式防波函体3が起立したときに矢印A方向へ滑動することを防止するため当該浮上式防波函体3の背面3bに当接される垂直上方向きの当接面16aを有する凸状部16が形成されている。
浮上式防波函体3は、フーティング基礎2の斜面部14に当接される斜面部31aを有する凸状部31が当該浮上式防波函体3の他端に形成されている。したがって、図4に示すように、浮上式防波函体3は、凸状部31の斜面部31aとフーティング基礎2の斜面部14とが当接された倒伏状態で載置されおり、その後、津波の流体力により浮上式防波函体3が矢印P方向へ起立すると、当該浮上式防波函体3の底面3eがフーティング基礎の上面2bに当接されるとともに背面3bと凸状部16の当接面16aとが当接された起立状態で載置されるのである。
ところで浮上式防波函体3は、図6に示すように、浮上式防波函体3の幅(W)、全体の厚さ(T)、空隙部21を除く側壁部の厚さ(t)とし、コンクリート材料の比重が2.5であり、この浮上式防波函体3の比重を0.8としたい場合、以下の(式1)および当該(式1)を展開した(式2)が成立する。
2(w+T)×t×2.5=w×T×0.8…………………………………………(式1)
t=(w×T×0.8)/(2(w+T)×2.5)………………………………(式2)
この(式2)に基づいて浮上式防波函体3における空隙部21を除く側壁部の厚さ(t)を求めると、0.16mすなわち16cmとなる。
続いて、この浮上式防波函体3の起立時における長さ(すなわち高さ)L(10m)に対して津波の動水圧の影響を考慮し、静水圧の3倍を最大水圧として浮上式防波函体3を設計する。具体的には、浮上式防波函体3のフーティング基礎2に対する付け根部分の壁厚vを少なくとも50cm以上とする。この場合、図1に示されるように、浮上式防波函体3の壁厚vは1mに設定されている。
浮上式防波函体3の起立時における高さ10mの水位の静水圧作用時に対する付け根部分曲げモーメントは1m当たり約1600kN−mであり、浮上式防波函体3の幅(W=3m)に対しては約5000kN−mとなる。実際の設計では、この3倍となる約15000kN−mの曲げモーメントを想定する。
ケーブル(JIS規格19S15.2B)40は引張抵抗力が規格上4960kNであるため、津波時等の異常時緊張力として安全を見込み4500kNを考えれば6本で引張抵抗力は27000kNである。ここで、6本のケーブル40の引張抵抗力(27000kN)による抵抗可能な曲げモーメントは、浮上式防波函体3の断面の圧縮力と引張力との間の距離が少なくとも0.7mあると想定すると約18000kN−m以上となり、設計で想定した約15000kN−mの曲げモーメントよりも十分に大きいため強度的に安全となる。この場合、浮上式防波函体3は起立時に高さ10mの水位を受けても静水圧作用時にはフルプレストレス状態を保持することができる。
なお、浮上式防波函体3およびフーティング基礎2に対してケーブル40を定着する際、靱性確保と安全を見込んで有効緊張力が20000kNとなるように導入しておく。ただし、起立状態における浮上式防波函体3のフーティング基礎2に対する付け根部分の自重による応力は0.25MPa程度であるため無視してよい。
<ケーブルの緊張定着構造>
ところで、浮上式防波函体3およびフーティング基礎2に跨るように取り付けられたケーブル40は、フーティング基礎2の上面2bに浮上式防波函体3が倒伏状態で載置されている場合、および起立状態で載置されている場合の双方において、緊張定着状態が維持されている。そのためのケーブル40の緊張定着構造について以下、説明する。
図7に示すように、ケーブル40の外縁から浮上式防波函体3の防波面3fまでの距離aとすると、倒伏状態においてデビエータ部として機能する交点部D1および隔壁部D2を偏向点としてケーブル40が折り曲げられた場合、交点部D1と隔壁部D2との間に直線配置されたケーブル40の矢印AB方向の水平線との角度を45度とし、浮上式防波函体3の矢印P方向への回転中心点となる原点оrgから当該ケーブル40まで下した垂線の長さを距離aに等しくする。
フーティング基礎2においてデビエータ部として機能する交点部D1の上面2bからの距離bおよび浮上式防波函体3においてデビエータ部として機能する隔壁部D2の底面3eからの距離bは、幾何学的な関係に基づいて次の(式3)により表される。
b=a・cot(α)……………………………………………………………………(式3)
ここで角度αがπ/8、即ち、22.5度なので、(式3)に基づいてb=2.414aとなる。したがって、ケーブル40の外縁から浮上式防波函体3の防波面3fまでの距離aであり、フーティング基礎2の上面2bから距離bの位置にデビエータ部として機能する交点部D1を設け、浮上式防波函体3の底面3eから距離bの位置にデビエータ部として機能する隔壁部D2を設ければ、倒伏状態および起立状態の双方においてケーブル40の長さが一定に維持されるのである。
このように浮上起立式津波防波堤1は、フーティング基礎2の上面2bに載置された浮上式防波函体3が倒伏状態から起立状態へ移行するときでも、浮上式防波函体3およびフーティング基礎2の両方に跨った緊張状態で定着されたケーブル40の配置長さを一定にすることができるので一定の緊張力を保持することができる。
<浮上起立式津波防波堤の動作>
このような構成の浮上起立式津波防波堤1の動作について説明する。浮上起立式津波防波堤1は、通常時、フーティング基礎2の上面2Bに浮上式防波函体3が倒伏状態で載置されている場合、津波の発生により到達した大浪(BW)が浮力体30の斜面部30cおよび浮上式防波函体3の斜面部3cの下方に流入するため、浮力体30および浮上式防波函体3の浮力および大浪(BW)の流体力により当該浮上式防波函体3が倒伏状態から矢印P方向へ容易に回転し、起立状態へ移行する。
このとき浮上式防波函体3は、凸状部31の斜面部31aがフーティング基礎2の斜面部14に当接された状態であり、かつ底面3eがフーティング基礎2の円弧状部15に対しても当接された状態にあるため(図4)、当該円弧状部15を回動中心として回転し、底面3eとフーティング基礎2の上面2bとが当接するとともに、背面3bがフーティング基礎2の凸状部16の当接面16aに当接する。
これにより浮上式防波函体3は、フーティング基礎2の上面2bに起立状態となり、背面3bが当該フーティング基礎2における凸状部16の当接面16に当接されるので、滑動することなく起立状態が維持される。
このとき、浮上式防波函体3は隣接する浮上式防波函体3との間で矢印AB方向とは直交する奥行き方向にもケーブル39が緊張状態で配置されているため、フーティング基礎2の上面2bに載置された複数の浮上式防波函体3がほぼ一斉に起立状態となり、津波に対する防波堤として機能する。
浮上起立式津波防波堤1の浮上式防波函体3は、起立状態であっても浮上式防波函体3およびフーティング基礎2に跨るように連続配置されたケーブル40の緊張状態が保持されているため、津波の流水圧、波圧、および漂流物の衝撃力に対しても十分に耐えることができる。
その後の引き波時には、浮上式防波函体3およびフーティング基礎2に定着されたケーブル40のプレストレス力および浮上式防波函体3の自重によって当該浮上式防波函体3がフーティング基礎2の上面2bに元の倒伏状態となり、当該浮上式防波函体3の通常状態が復元されるのである。
このように浮上起立式津波防波堤1では、津波発生時以外の通常時には、浮上式防波函体3がフーティング基礎2の上面2bに倒伏状態で載置されているが、津波発生時には当該浮上式防波函体3の浮力および津波の流体力により自動的に起立して高強度な防波堤として機能するため、津波災害から確実に陸地を守ることができる。
<他の実施の形態>
なお、上述した実施の形態においては、コンクリートからなるフーティング基礎2を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、プレストレストコンクリートからなるフーティング基礎2を用いたり、鉄筋コンクリート構造、プレキャストコンクリート構造等のその他種々の構造のフーティング基礎2を用いるようにしても良い。
また、上述した実施の形態においては、フーティング基礎2の上面2bに浮上式防波函体3を水平の倒伏状態で載置するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、フーティング基礎2の上面2bに浮上式防波函体3の矢印B方向の先端側を僅かに上方へ傾けた倒伏状態で載置するようにしてもよい。この場合、津波の大浪が到達したときに浮上式防波函体3が容易に起立することができる。
さらに、上述した実施の形態においては、浮上式防波函体3の底面3eをフーティング基礎2の上面2bに当接させた矢印CD方向に垂直な起立状態で当該浮上式防波函体3を載置するようにしたようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、浮上式防波函体3の底面3eに傾斜を設け、起立状態において浮上式防波函体3が矢印B方向の海岸側に僅かに傾斜するようにしてもよい。この場合、引き波時に浮上式防波函体3が容易に倒伏状態に復元されることになる。
さらに、上述した実施の形態においては、ケーブル40の配置について、緊張力が倒伏状態と起立状態で同一に保持されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、デビエータ部の位置や形状を若干変更することで起立時に緊張力が増加するようにケーブル40を配置しても良い。
1…浮上起立式津波防波堤、2…フーティング基礎(基礎)、3…浮上防波函体、4…基礎、12、22…切欠部、14…斜面部、15…円弧状部、16、31…凸状部、21…空隙部、30…浮力体、40…ケーブル、D1…交点部(偏向部、デビエータ部)、D2…隔壁部(偏向部、デビエータ部)。

Claims (4)

  1. 地中に設置された基礎と、
    前記基礎の上に倒伏状態で載置され、津波の発生により海水が到来すると前記基礎の上に起立状態で載置される浮上式防波函体と、
    プレストレストコンクリート構造とするため、前記浮上式防波函体の先端部を緊張定着端とするとともに前記基礎の底部を固定側定着端として、外ケーブル方式により前記基礎と前記浮上式防波函体との間に連続配置されたケーブルと、
    前記浮上式防波函体が前記基礎の上に倒伏状態で載置されているとき、または起立状態で載置されているときの双方で前記ケーブルの緊張状態を連続して維持するために前記基礎および前記浮上式防波函体に設けられたケーブル偏向用のデビエータ部と
    を備えることを特徴とする浮上起立式津波防波堤。
  2. 前記浮上式防波函体が前記基礎の上に載置された前記倒伏状態から前記起立状態へ遷移する際、前記浮上式防波函体の支点となるべく前記基礎の上面に形成された凹状の斜面部および当該斜面部に連設された円弧状部
    を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の浮上起立式津波防波堤。
  3. 前記浮上式防波函体の先端部には、前記基礎の上に倒伏状態で載置されているとき、津波による海水が前記浮上式函体の下側へ流入することを容易にし、かつ前記倒伏状態から前記起立状態への遷移を容易にするための斜面部を有する浮体が設けられている
    ことを特徴とする請求項2に記載の浮上起立式津波防波堤。
  4. 前記浮上式防波函体には、隣接する浮上式防波函体との間でプレストレストコンクリート構造として一体化するためのケーブルが緊張状態で配置されている
    ことを特徴とする請求項3に記載の浮上起立式津波防波堤。
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