JP2020100942A - 防潮堤 - Google Patents
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Abstract
Description
一般に、防潮堤の高さは過去に起きた地震等による津波や洪水の高さからそれぞれの地域毎にシミュレーションを実施して算定している。一方で、近年では想定を超える高さの津波が発生していることから、より巨大な津波を想定して防潮堤の高さの計算をやり直すことが必要になってきている。新たな計算による想定された津波の高さに対して、既設の防潮堤の高さでは不十分であるため防潮堤の高さを嵩上げする補修工事や新設工事が必要になる。補修工事や新設工事には多額の工事費用がかかる上に、防潮堤の高さを嵩上げすると海が見えなくなったり人に圧迫感を感じさせる高さになったりして景色が劣化する等、現場の景観を阻害するという問題が発生する。
例えば、特許文献1に記載された防潮装置では、防潮堤の上部工に回転式パラペットが設置されている。この回転式パラペットは、上部工の陸側の端部に直立する直立壁と水平に延びる支承版とが一体形成されてヒンジ部を支点として回転可能に設置されている。通常は、上部工に設けた直立壁が防波や防潮の機能を発揮する。そして、高潮や津波が発生して防潮堤に作用するとヒンジ部を支点として回転式パラペットが陸側に回転し、直立壁が陸側に倒れて水平に張り出すため防潮堤の損傷を抑制できる。
また、特許文献2に記載された防潮装置では、扉体を起立させたり倒伏させたりするためにカウンタウェイトや滑車等を設置しなければならず、構造が複雑でコスト高になる問題がある。しかも、防潮堤の天端の海側部分を嵩上げして扉体を傾斜配置するか、或いは天端の陸側を削ってカウンタウェイトや滑車等を設置する必要があるため、この点でも構造が複雑でコスト高になるという問題がある。
本発明によれば、通常の状態では比較的高さの低い起立壁が天端から起立しているため、景観を損なわない。そして、津波や洪水等が発生すると回転壁の起立壁が波で押されて倒れるため、軸部を中心に回転してより高さの大きい防護壁が天端の上で起立し、起立壁が天端に当接してストッパーとなるため、津波や洪水等の波の侵入を阻止することができる。しかも、電力や動力を使わずに、津波や洪水等を利用して防護壁を起立させることができる。
津波や洪水等が発生した際、起立壁が押されると共に防護壁と防潮堤との間の隙間から津波や洪水等の波が侵入するため、防護壁の起立と回転壁の回転を補助することができる。
緩衝材によって防護壁と天端の間に隙間ができるため、津波や洪水等の際に波が侵入するため、防護壁の起立を補助することができる。
しかも、本発明による防潮堤は、構造が簡単であり、新設の防潮堤だけでなく既存の防潮堤にも補修や追加施工で設置でき、低コストで簡単に施工できる。また、電力や動力を使わずに津波や洪水等を利用して防護壁を起立できる。
また、防潮堤の回転壁としてコンクリート板を用いれば潮風や波等による錆びを防止できるため耐久性が高い。
図1に示す防潮堤1は例えば海岸等、陸地と海の境目または陸地と河川との境目等に設置されている。本明細書において、防潮堤1は防波堤を含んでおり、台風等による大波や高潮、津波、河川の洪水等の被害を軽減するために海岸や河川等より高い高さに設置された堤防である。防潮堤1は例えば内部が岩ずりで転圧して形成され、その表面が所定厚みの鉄筋コンクリートで構築された断面略山形形状とされている。
なお、回転壁6の起立壁7と防護壁8の交差角度は略直角に限定されるものではない。回転壁6の回転によって起立壁7と防護壁8を交互に略鉛直に起立するように、起立壁7と防護壁8の交差角度を天端4の傾斜角度に対して適宜に設定できる。
起立壁7と防護壁8の交差する屈曲部6aには軸部10が貫通して固定されており、回転壁6は軸部10を中心に回転可能とされている。起立壁7と防護壁8の屈曲部6aの外側面は略円弧状の曲面に形成することが好ましい。これによって、回転壁6の回転時に屈曲部6aが天端4と干渉することがない。
図3及び図4に示すように、切欠部6bは回転壁6の屈曲部6aにおける起立壁7と防護壁8にそれぞれ形成されており、起立壁7と防護壁8が回転した際に軸受け部11に接触しない程度に形成されていればよい。図2に示す例では、回転壁6は2枚1組として軸受け部11間に設置され、軸部10を中心に2枚一体に回転可能とされている。
なお、防潮堤1の回転壁6は新設の防潮堤1に設置してもよいし、既設の防潮堤1の天端4に回転壁6を補修や追加施工で設置してもよい。
防潮堤1の新設施工や既設の防潮堤1の補修施工に際し、回転壁6及び軸部10は予め工場で製造してトラック等で現場に運搬し、現場で施工した軸受け部11に取り付けることができる。
これにより、回転壁6は軸部10を中心に陸地側に回転し、図6に示すように、防護壁8は天端4に着座した位置から略垂直に起立する。起立壁7は倒れて天端4に当接してストッパーとして回転を停止させる。
そして、津波が収まって波が引くと、略垂直に起立する回転壁6の防護壁8は、その上端部の受け部9が海側に傾斜しているため、自重によって軸部10を中心に海側に回転する。防護壁8が天端4に向けて回転すると、防護壁8の裏面に固定された緩衝材14が天端4に衝突してその衝撃を緩和し、防護壁8と天端4が損傷することを抑制できる。これと同時に起立壁7が略垂直な位置に起立するため、防潮堤1の高さが低く設定され、海側の眺望が開けて景観を損ねることを防止できる。
そのため、電気や動力を使用することなく、津波等の際に防潮堤1の嵩上げを行えるため、施工と使用に関して構造が簡単で低コストであり、維持管理のコストも低廉である。しかも、実施形態による回転壁6は防潮堤1の新設だけでなく既存の防潮堤1の補修によっても施工できる。
また、防護壁8と天端4の間に緩衝材14を設置したため、起立した後の防護壁8が元の位置に復帰する際、防護壁8が天端4に衝突して損傷することを防止できる。また、防潮堤の回転壁としてコンクリート板を用いれば潮風や波等による錆びを防止できるため耐久性が高い。
本変形例では、回転壁6の防護壁8が受け部9で屈曲しておらず、平板の板状に形成されている。しかも、防護壁8の先端部は天端4よりも海側に突出して形成され、外法傾斜面2との間に隙間が発生している。
この場合でも、起立壁7が起立した通常の状態で、地震で発生する津波が起立壁7に押し寄せて回転させると共に、防護壁8と天端4との間の緩衝材14によって生じた隙間に波が侵入する。更に、天端4に載置した防護壁8と外法傾斜面2との隙間にも波が侵入するため、防護壁8が持ち上げられ、回転壁6が陸側に回転する。
また、回転壁6は2枚1組を軸部10で一体に回転する構成に限定されるものではない。例えば、1枚ずつ個別に回転可能に設置してもよいし、或いは3枚以上を1組として一体回転可能に設置してもよい。この場合、軸受け部11の間隔は回転壁6の枚数に限定されることなく、適宜の間隔に設置できる。
また、防潮堤1を断面略山状に形成したが、防潮堤1の一方または両側を傾斜面に代えて略垂直の壁面で形成してもよい。或いは、防潮堤1の外法傾斜面2や内法傾斜面3に代えて、階段状等、適宜の地形や形状を採用できる。
2 外法傾斜面
3 内法傾斜面
4 天端
6 回転壁
6a 屈曲部
6b 切欠部
7 起立壁
8 防護壁
9 受け部
10 軸部
11 軸受け部
14 緩衝材
Claims (3)
- 津波や洪水等を抑制する防潮堤において、
前記防潮堤の天端に設けられていて起立する起立壁と前記起立壁より長さの長い防護壁とを有する略L字状の回転壁と、
前記回転壁をその屈曲部で回転可能に支持する軸部と、
を備え、前記回転壁の起立壁が倒れると前記軸部を中心に回転して前記防護壁が起立することを特徴とする防潮堤。 - 前記防護壁は前記軸部から離間した端部が前記天端から突出している請求項1に記載された防潮堤。
- 前記防護壁と前記天端の少なくとも一方に緩衝材が設置されている請求項1または2に記載された防潮堤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018237630A JP2020100942A (ja) | 2018-12-19 | 2018-12-19 | 防潮堤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018237630A JP2020100942A (ja) | 2018-12-19 | 2018-12-19 | 防潮堤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020100942A true JP2020100942A (ja) | 2020-07-02 |
Family
ID=71139079
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018237630A Pending JP2020100942A (ja) | 2018-12-19 | 2018-12-19 | 防潮堤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020100942A (ja) |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2018
- 2018-12-19 JP JP2018237630A patent/JP2020100942A/ja active Pending
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