JP2013060769A - 津波防波堤 - Google Patents

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Abstract

【技術課題】 大きな津波の進入を阻止する防波堤を提供する。
【解決手段】 防波堤1の海側の壁面に波返し用の凹曲面2を形成し、津波4の波頭をこの凹曲面2に沿って上昇反転させることにより、波動エネルギーを減衰させて陸上側に津波4が進行するのを阻止する。また、防波堤1には貫通穴6、段差8を形成し、この貫通穴6、段差8の作用で防波堤に作用する波動エネルギーを減衰させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、大きな津波の波動エネルギーを減衰する機能を備えた津波防波堤に関する。
従来の防波堤の構造は、特許文献1、2に見られるようにコンクリート製の垂直壁構造が基本であることから、10m以上の強大な波動エネルギーを直接に受けると破壊されてしまっているのが現状である。
これは、波動エネルギーを壁面に直接受け止める構造に起因しており、もし、このような強大な津波のエネルギーを堤き止めるためには、大型の防波堤を造る必要がある。
しかし、現実的には地形や費用の問題で実現することは困難である。
また、特許文献3には、津波吹上誘導板で押しよせた津波を上方に反転させる装置を海上に設置する案が紹介されている。
しかし、この提案は、理論的には可能であるが、津波吹上誘導板で強大な津波を防ぐことは強度的に不可能であることは明白である。
特開2005−315058号公報 特開2010−101097号公報 特開2001−59212号公報
本発明は、従来のコンクリート製の防波堤の設置工法で強大な津波に対して有効に機能する防波堤を提供することを課題とする。
上記した課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、津波防波堤において、海側の壁面に波返し用の凹曲面を形成し、津波の波頭をこの凹曲面に沿って上昇反転させることにより、波動エネルギーを減衰させて陸上側に津波が進行するのを阻止するように構成してなることを特徴とするものである。
次に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の津波防波堤において、波返し面に波動エネルギー分散用の段差を形成してなることを特徴とするものである。
次に、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の津波防波堤において、波返し面に津波減衰用の貫通穴を設けてなることを特徴とするものである。
次に、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の津波防波堤において、陸地側に防潮堤を併設してなることを特徴とするものである。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の津波防波堤において、岸壁に波返し面を形成してなることを特徴とするものである。
本発明の津波防波堤によると、津波が防波堤に押しよせると、波頭は凹曲面に沿って上昇し、凹曲面の上部で海側に反転する。
この反転作用により防波堤に作用する波動エネルギーは減衰することから、従来の防波堤では破壊されるような大きな津波でも十分に耐力を有し、防波堤としての機能を喪失することはない。
また、既存の防波堤においては、海側の壁面に波返し凹曲面を付設するだけで実施化が可能である。
本発明に係る防波堤の断面図。 波返し面に貫通穴を形成した例の説明図。 波返し面に段差を形成し、かつ波消ブロック群を設置した例の説明図。 段差の説明図。 防波堤の陸地側に小型の波返し面を有する防潮堤を設置した例の説明図。 岸壁に波返し面を形成した実施例の説明図。
本発明に係る実施例を図1〜図6に基づいて詳細に説明する。
図1は、海底地盤に基礎3を築き、海上に突出するようにして建設された鉄筋コンクリート製の防波堤1の断面図であって、実施例の場合、海面11から頂点までの高さHは25mである。
この防波堤1の海側には凹状に円曲した津波返し用の凹曲面2が形成されている。
なお、防波堤1の高さHについては、地形等により津波の高さには違いが生じることから、条件によっては25m以上とする場合もある。
防波堤1の海側の面に津波返し用の凹曲面を形成したことにより、津波4の波頭はこの津波返し用の凹曲面に衝突し、凹曲面2に沿って上昇し、やがて凹曲面2の頂点近くで反転5して海側に落下する。
このように、凹曲面2で波頭を反転させることにより、防波堤に作用する津波4のエネルギーは減衰され、更に反転して海面に落下する波頭の落下エネルギーの作用で津波エネルギーは減殺されることから、防波堤1に作用する津波のエネルギーは大幅に減衰される。
併せて、波頭エネルギーは円曲面2に衝突するため、防波堤1に作用する波頭の動的エネルギーは小さくなる。
このことにより、従来の垂直面に波頭を衝突させる防波堤に比較して、津波に対する耐力が増大する。
図2は、防波堤1の凹曲面2から後方に貫通穴6を形成した例(請求項3)であって、凹曲面2に衝突した津波のエネルギーを減衰させる意味を有する。
この貫通穴6は、防波堤1の強度との関係では、あまり多く設けるのは好ましくなく、またその大きさも大きすぎないことが必要である。
図3、4は、凹曲面2に段差8を形成した例(請求項2)であって、波頭は通常一直線状になって陸地側に押し寄せてくることから、この段差8分凹曲面2に衝突する波頭に時間差が生じ、これも一気に衝突する場合に比較して衝撃を軽減する効果がある。
図3において、符号の7は、防波堤1の海側の海底に設置した波消ブロック群であって、この消波ブロック群7の作用で防波堤1に接近する津波4のエネルギーを減衰することができる。
図5は、防波堤1の後方(陸地側)に防波堤1と同一形状で、更にスケールダウンした防潮堤9を設置した例(請求項4)であって、万一防波堤1を超えた津波をこの防潮堤9にて防波堤1と同じように陸地側に押し寄せるのを防ぐ意味がある。
図6は、陸地10の岸壁11に波返し用の凹曲面2を形成することにより、以上に説明したと同様の津波防波効果を二重に奏するようにした実施例である。
なお、既設の防波堤の場合には、海側の面に凹曲面2を後付けで構築することにより、津波を反転させる本発明の作用効果をそのまま奏するように改築できる。
1 防波堤
2 波返し用の凹曲面
3 基礎
4 津波
5 反転波
6 貫通穴
7 波消ブロック
8 段差
9 防潮堤
10 陸地
11 岸壁

Claims (5)

  1. 海側の壁面に波返し用の凹曲面を形成し、津波の波頭をこの凹曲面に沿って上昇反転させることにより、波動エネルギーを減衰させて陸上側に津波が進行するのを阻止するように構成してなる津波防波堤。
  2. 請求項1において、波返し面に波動エネルギー分散用の段差を形成してなる津波防波堤。
  3. 請求項1において、波返し面に津波減衰用の貫通穴を設けてなる津波防波堤。
  4. 請求項1において、陸地側に防潮堤を併設してなる津波防波堤。
  5. 請求項1において、岸壁に波返し面を形成してなる津波防波堤。
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