JP2013053435A - 防波堤構造、防波堤用ケーソンおよび防波堤の補強方法 - Google Patents

防波堤構造、防波堤用ケーソンおよび防波堤の補強方法 Download PDF

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Abstract

【課題】想定外の津波来襲のような想定を超える外力の作用により防波堤のケーソンが滑働したとしても、転倒破壊までには至り難い粘り強い防波堤構造、防波堤用ケーソンおよび防波堤の補強方法を提供する。
【解決手段】この防波堤構造は、ケーソン11を上部工とし、捨石STによる基礎マウンドMを下部工とする防波堤構造であって、ケーソンの背面下部にケーソンの底面に向けて傾斜するように切り欠かれた切欠面13を備え、切欠面は、ケーソンが前面からの外力により滑動したとき、切欠面の背後で地盤および/または捨石による盛り上がりの形成を助長するとともに、盛り上がりがケーソンの移動に抵抗する。
【選択図】図1

Description

本発明は、防波堤構造、防波堤用ケーソンおよび防波堤の補強方法に関する。
防波堤は、一般的に捨石によりマウンドを水底に構築し、その捨石マウンドの上に重力式のケーソンを設置することで完成させる(例えば、特許文献1参照)。また、有脚式の防波堤が公知であり(例えば、特許文献2参照)、これは、基礎杭を打設し地盤に水平抵抗力の一部を期待させる構造物である。また、転倒が発生しにくい有脚式の三角形構造物として透水型防波堤が公知である(例えば、特許文献3参照)。
水深の深い地点や高い波が頻繁に来襲する海域では、基礎杭を打設することが一般的に困難であるため、そのような海域に防波堤を設置する場合は、重力式の構造物が採用されている。このような海域に設置される防波堤は、波浪が港内に伝播するのを低減(防御)するだけでなく、津波や高潮などの異常事態の場合においても背後域(例えば、港内の工業施設や住宅建築物など)への浸水を防ぐ重要な役割を担っている。
特開2011−117275号公報 特開平02−96011号公報 特表平04−504151号公報
一般的に重力式の防波堤は、想定した設計外力を上回る波浪・津波が来襲した場合には、滑働や転倒が発生してしまい、最終的には、捨石マウンドから転げ落ちてしまう可能性がある。捨石マウンドから転げ落ちた防波堤は、背後域の防災施設としての機能が全く期待できなくなる。
重力式の防波堤の破壊は、一般的に、まず、波浪・津波などの外力によって滑動による滑り出しが発生し、その後、地盤の支持破壊が発生して回転して転倒にいたる、といった破壊形態を辿るとされている。
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、例えば、想定外の津波来襲のような想定を超える外力の作用により防波堤のケーソンが滑働したとしても、転倒破壊までには至り難い粘り強い防波堤構造、防波堤用ケーソンおよび防波堤の補強方法を提供することを目的とする。また、想定を超える外力が作用した場合にも、背後域を防ぐ機能を維持可能な防波堤構造、防波堤用ケーソンおよび防波堤の補強方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本実施形態による防波堤構造は、ケーソンを上部工とし、捨石による基礎マウンドを下部工とする防波堤構造であって、前記ケーソンの背面下部に前記ケーソンの底面に向けて傾斜するように切り欠かれた面を備えることを特徴とする。
この防波堤構造によれば、防波堤に想定を超える外力が作用し、上部工のケーソンが滑動しても、ケーソンの背面下部に設けられた切り欠かれた面の作用でケーソンの背後に形成される捨石の盛り上がりや転倒発生の抵抗力の増加によってケーソンの転倒破壊を防ぐことができる。
上記防波堤構造において、前記ケーソンがその背面下部に突出部を有し、前記切り欠かれた面が前記突出部に形成されていることが好ましい。
前記切り欠かれた面は、前記ケーソンが前面からの外力により滑動したとき、前記切り欠かれた面の背後で前記捨石による盛り上がりの形成を助長するとともに、前記盛り上がりが前記ケーソンの移動に抵抗するように構成される。切り欠かれた面の作用によりケーソンの背後で地盤や捨石の盛り上がりを助長することができるので、盛り上がり部からの抵抗力を効率よく増加させて防波堤の滑動や回転などの移動を効果的に抑制可能となり、防波堤の破壊の進行を防止することができる。
また、前記基礎マウンドと前記ケーソンの前記切り欠かれた面との間に捨石が配置されている。これにより、盛り上がりが形成しやすくなり、防波堤の滑動や回転に対する抵抗力がいっそう増す。
本実施形態による防波堤用ケーソンは、ケーソンの背面下部にその底面に向けて傾斜するように切り欠かれた面を備えることを特徴とする。
この防波堤用ケーソンを上部工として防波堤を構築することで、防波堤に想定を超える外力が作用しケーソンが滑動しても、ケーソンの背面下部に設けられた切り欠かれた面の作用でケーソンの背後に形成される捨石の盛り上がりや転倒発生の抵抗力の増加によってケーソンの転倒破壊を防ぐことができる。
上記防波堤用ケーソンにおいて、前記ケーソンがその背面下部に突出部を有し、前記切り欠かれた面が前記突出部に形成されていることが好ましい。
本実施形態による防波堤の補強方法は、既設の防波堤を上述の防波堤構造とするために、前記切り欠かれた面を有する補強部材を前記既設の防波堤の背面下部に取り付けることを特徴とする。
この防波堤の補強方法によれば、切り欠かれた面を有する補強部材を既設の防波堤のケーソンの背面下部に取り付けることで、防波堤に想定を超える外力が作用しケーソンが滑動しても、ケーソンの背面下部に設けられた切り欠かれた面の作用でケーソンの背後に形成される捨石の盛り上がりや転倒発生の抵抗力の増加によってケーソンの転倒破壊を防ぐことができる。
本発明の防波堤構造、防波堤用ケーソンおよび防波堤の補強方法によれば、例えば、想定外の津波来襲のような想定を超える外力の作用によりケーソンが滑働したとしても、転倒破壊までには至り難い粘り強い防波堤構造とすることができる。また、想定を超える外力が防波堤に作用した場合にも、ケーソンが転倒し難いので背後域を防ぐ機能を維持することができる。
本実施形態による防波堤構造の側面図である。 本実施形態による別の防波堤構造の側面図である。 本実施形態によるさらに別の防波堤構造の側面図である。 従来の防波堤に想定を超える外力が作用した場合にケーソンが転倒に至る過程を(1)初期(2)進行時(3)最終の三段階に分けて示す概略図(a)および本実施形態による図1の防波堤構造に想定を超える外力が作用した場合にケーソンが滑動しても転倒に至らない過程を(1)初期(2)進行時(3)最終の三段階に分けて示す概略図(b)である。 本実施形態の防波堤構造のケーソンが外力の作用によりある程度回転した状態を従来のケーソンの場合とあわせて示す概略図である。 本実施形態のケーソンおよび従来技術のケーソンについて図4(a)(b)の(1)初期(2)進行時(3)最終の各段階における滑動安全率の変化を示すグラフである。 本実施形態のケーソンおよび従来技術のケーソンについて図4(a)(b)の(1)初期(2)進行時(3)最終の各段階における転倒安全率の変化を示すグラフである。 本実施形態によるさらに別の防波堤構造の側面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。図1は本実施形態による防波堤構造の側面図である。図2は本実施形態による別の防波堤構造の側面図である。図3は本実施形態によるさらに別の防波堤構造の側面図である。図4は本実施形態によるさらに別の防波堤構造の側面図である。
図1に示す防波堤10は、上部工としての鉄筋コンクリートからなる直立型の重力式のケーソン11と、水底地盤G上に捨石STにより築造された下部工としての基礎マウンドMと、から構成される構造を備え、ケーソン11が基礎マウンドM上に設置される。ケーソン11は、陸側の背面下部に切り欠き部12を有する。防波堤10は、重力式防波堤のうちのケーソン式混成堤からなる。
切り欠き部12は、ケーソン11の背面(陸側)11aの下部に水平に突き出した突出部を備え、その突出部の上方角部からケーソン11の底面に向かって直線的に傾斜するように切り欠かれた切欠面13を有する。ケーソン11は、図1の破線aのように切り欠かれずに切り欠き部12がない場合と比べて、切り欠き部12を設けることで、切欠面13と基礎マウンドMとの間に、側面から見た場合、三角形状の空洞が形成される。
切り欠き部12の切欠面13が水平面となす角度α(図1に基礎マウンドMの表面が水平面であるとして示す。)は、30〜45度の範囲が好ましく、また、切り欠き部12の長さ(図1の紙面垂直方向)は、防波堤幅の1/6程度が好ましいが、これらに限定されるものではない。
図2に示す防波堤10Aは、上部工としてのケーソン21と、捨石STにより築造された下部工としての基礎マウンドMと、から構成される構造を備え、ケーソン21が基礎マウンドM上に設置されることで構築される。ケーソン21は、陸側背面のみならず、沖側前面に突出部24を有し、背面の切り欠き部22およびその切欠面23は、図1の切り欠き部12および切欠面13と同様に形成されている。
図3に示す防波堤10Bの上部工を構成するケーソン31は、沖側の底部に突き出し部34を有し、図2とほぼ同様の構成であるが、背面31aの切り欠き部32の高さが図2よりも高くなっている。また、ケーソン31が基礎マウンドM上に設置され、ケーソン31の背面31aにおいて切り欠き部32と基礎マウンドMとの間に捨石STが配置され、さらに捨石STにより基礎マウンドMを覆うように陸側に延びてマウンドM1が形成されている。切欠面33と基礎マウンドMとの間の空洞には捨石STが当たるようにして詰まっている。
次に、本実施形態における防波堤の作用効果について図4(a)(b)を参照して説明する。
図4は、従来の防波堤に想定を超える外力が作用した場合にケーソンが転倒に至る過程を(1)初期(2)進行時(3)最終の三段階に分けて示す概略図(a)および本実施形態による図1の防波堤構造に想定を超える外力が作用した場合にケーソンが滑動しても転倒に至らない過程を(1)初期(2)進行時(3)最終の三段階に分けて示す概略図(b)である。
従来の防波堤の場合、図4(a)のように、捨石からなる基礎マウンドMの上に構築された従来のケーソン101から構成された従来の防波堤100に対し、例えば、想定外の津波来襲のような想定を超える外力F1が作用すると、(1)ケーソン101が陸側に滑動し、その滑動破壊の発生により、ケーソンの背面101a側の捨石がやや盛り上がる結果、盛り上がり部T1が形成される。
(2)ケーソン101は、一点鎖線で示す破壊線cに沿ってすべり変形する基礎マウンドMとともに、ケーソンの背面101a側の角部101bを回転中心として回転方向rに回転する。このとき、ケーソン101の背後の盛り上がり部T3は比較的小さいため回転の抑制が困難である。
(3)ケーソン101は、回転を続け、最終的に、図のように90度近く回転してしまい、比較的小さな盛り上がり部T5に乗り上がりようにして転倒するに至り、防波堤100は水没してしまう。
本実施形態の防波堤構造の場合、図4(b)のように、捨石からなる基礎マウンドMの上に構築されたケーソン11から構成された防波堤10(図1)に対し、例えば、想定外の津波来襲のような想定を超える外力F2が作用すると、(1)ケーソン11が陸側に滑動し、その滑動破壊の発生により、ケーソンの背面11a側の捨石が盛り上がる結果、盛り上がり部T2が形成される。
この場合、ケーソン11は切り欠き部12、切欠面13を有し、基礎マウンドMにおける図の一点鎖線で示す破壊線dが切り欠き部のない従来の防波堤100の場合の破壊線cよりも広くなるため、その分、捨石の盛り上がりが助長される。この結果、盛り上がり部T2は、従来の盛り上がり部T1よりも大きくなる。
(2)ケーソン11が回転し始めると、切り欠き部12の背後の捨石の盛り上がりが増加するが、破壊線dが従来の場合の破壊線cよりも深いため、捨石の盛り上がりがより一層助長される。このため、ケーソン11の背後における盛り上がり部T4は、従来の盛り上がり部T3よりも大きくなり、ケーソン11の回転に対し抵抗し、その回転を抑制するように作用する。この結果、ケーソン11の回転は抑制され、その回転角は従来の場合よりも小さくなる。
(3)防波堤10は、ケーソン11の回転の発生により捨石の盛り上がりが助長され、その盛り上がり部T6による背面からの抵抗力が益々増加するため、従来の防波堤100のような90度近く回転した転倒破壊には至らず、最終的な転倒(45度以上の回転角の発生)を防ぎ、比較的軽微な破壊に止まる。この結果、図のように、本実施形態の防波堤10は、従来の防波堤100よりも粘り強くなり、従来の防波堤100のように完全に水没せず、防波堤の機能を維持し、例えば、港内の工業施設や住宅建築物などの背後域への浸水を防ぐ役割を果たすことができる。
以上のように、本実施形態の防波堤構造によれば、想定外の外力が作用してケーソンに滑動や回転が生じても、ケーソンの背面底部付近に設けた切欠面の作用によりケーソンの背後で地盤や捨石の盛り上がりを助長するので、盛り上がり部からの抵抗力を効率よく増加させてケーソンの滑動や回転などの移動を効果的に抑制可能となり、ケーソンの破壊の進行を防止することができる。また、背後域の防災施設としての機能を低下させない防波堤構造とすることができる。
次に、本実施形態の防波堤構造のさらなる作用効果について図5を参照して説明する。図5は本実施形態の防波堤構造のケーソンが外力の作用によりある程度回転した状態を従来のケーソンの場合とあわせて示す概略図である。
図5の防波堤10Cは、その上部工としてのケーソン51が背面51aの底部に切り欠き部52、切欠面53を有する。切り欠き部52および切欠面53が、背面51aから突き出てから垂直に下がった点P2からケーソン51の底面の点P1まで切り欠かれて形成されている。防波堤10Cはケーソン51が基礎マウンドM上に設置されることで構築される。点P1は図5の破線gで示すように切り欠き部52がないとした場合の従来のケーソン102の角部と一致する。
図5の切り欠き部52を有するケーソン51が沖側からの津波の力Fの作用で回転方向rに回転したとする。ケーソン51の回転破壊前の回転中心は切欠面53の底部の点P1であるが、図5のように回転破壊を始めると、回転中心は切欠面53の上側の点P2に移動する。このため、破壊前後において重心Wからのアーム長さがL1からL2へ変化し、アーム長さL2による抵抗モーメントを有する。
一方、図5の破線gで示すように切り欠き部52がない従来のケーソン102が沖側からの津波の力Fの作用で回転方向rに回転したとする。この従来のケーソン102の回転破壊前の回転中心は背面底部角P1であり、図5のように回転破壊を始めても回転中心は点P1のままである。この場合、従来のケーソン102は、ケーソン102の重心Wと、回転中心となる背面底部角Pとの間のアーム長さL1による抵抗モーメントを有する。
アーム長さL2はL1よりも大きい(L2>L1)ので、ケーソン51は従来のケーソン102よりも大きな抵抗モーメントを有する。すなわち、ケーソン51をアーム長さがL2の状態から回転させるのに必要なモーメントは、従来のケーソン102を回転させるのに必要なモーメントよりも大きい。したがって、本実施形態の防波堤10Cでは、破壊の進行により、ケーソン固有の抵抗モーメント(抵抗力)が増加し、転倒発生に対する抵抗力を増加させることができる。かかる観点からも、本実施形態の防波堤構造は、従来の防波堤よりもケーソンの破壊の進行を止める効果が大きいといえる。
[計算例]
本計算例は、図5のケーソン51を、幅18m、高さ20mのケーソン、切欠面53の角度(図1のα)を45度とし、切り欠き部52の長さ(図5の破線eで示す)を3mとした場合の計算例である。
図6は、本実施形態のケーソンおよび従来技術のケーソンについて図4(a)(b)の(1)初期(2)進行時(3)最終の各段階における滑動安全率の変化を示すグラフである。滑動安全率は次式(1)で計算できる。
滑動安全率 = μ×(W+M)/F (1)
ただし、μ:摩擦係数(0.6と設定)
W:ケーソン水中重量(2000tと設定)
M:背面捨石の盛り上がりによる抵抗重量(構造形式、傾斜角度により変化)
F:津波波力(1400tと設定)
図7は、本実施形態のケーソンおよび従来技術のケーソンについて図4(a)(b)の(1)初期(2)進行時(3)最終の各段階における転倒安全率の変化を示すグラフである。従来技術についての転倒安全率は次式(2)、本実施形態(図5)についての転倒安全率は次式(3)で計算できる。
転倒安全率(従来技術)=(W×L1×cosθ+P×L4)/(F×L3) (2)
転倒安全率(図5) = (W×L2×cosθ+P×L4)/(F×L3) (3)
ただし、L1:ケーソン重量Wによるモーメント長さ(従来技術)
L2:ケーソン重量Wによるモーメント長さ(本実施形態)
L3:津波波力のモーメント長さ
L4:背面盛り上がりによる抵抗荷重のモーメント長さ
P:背面盛り上がりによる水平抵抗力(カウンター)
W:ケーソン水中重量(2000tと設定)
F:津波波力(1400tと設定)
θ:直立状態から回転したケーソンの回転角度
上述の計算例による検討の結果、図6,図7に示すように、破壊(滑動、回転)の進行につれて、本実施形態によれば、従来技術に比べてケーソンの滑動安全率および転倒安全率が向上することがわかった。
次に、本実施形態による既設の防波堤に対する補強方法について説明する。図8は本実施形態によるさらに別の防波堤構造の側面図である。
図8に示す防波堤10Dは、基礎マウンドMの上に設置された既設のケーソン61に切り欠き部62、切欠面63を付加するための補強部材60を背面61aの底部近傍に取り付けたものである。補強部材60は、図のように三角形状の横断面を有し、斜面が切欠面63を構成する。補強部材60は、アンカーボルトACを用いてケーソン61に取り付けることができるが、この手段に限定されず、他の取り付け手段を用いてもよい。
図8に示す防波堤10Dの補強方法によれば、既設の防波堤に対し補強部材60を取り付けることで、図1〜図3,図5と同様に切り欠き部62、切欠面63を有する防波堤10Dの構造にできるので、図4〜図7で説明した作用効果と同様の作用効果を奏することが可能である。
なお、既設のケーソンに構造的な問題がなければ、既設のケーソンの背面下部を切り込んでケーソンの底面に向けて傾斜するような切欠面を設けるようにして補強してもよい。この場合は、補強部材は不要である。
以上のように本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、図1〜図3,図5に示す切欠面の各構成は、例示であって、これらに限定されるものではなく、他の構成であってもよいことはもちろんである。例えば、ケーソンの背面下部に、特に突出部を設けずに、ケーソンの底面に向けて傾斜するように切り欠かれた面を設けるようにしてもよい。
また、図4(b)では、図1の防波堤10を例にして説明したが、図2,図3,図5,図8の防波堤10A,10B,10C,10Dであっても同様の作用効果を得ることができる。
また、図3のように、切欠面33と基礎マウンドMとの間に捨石を配置することで、盛り上がり部が形成しやすくなり、防波堤10Bの滑動や回転に対する抵抗力がいっそう増す。また、図1,図2,図5,図8の防波堤10,10A,10C,10Dにおいても図3と同様に、切欠面と基礎マウンドMとの間に捨石を配置するようにしてもよい。
本発明によれば、想定外の津波来襲のような想定を超える外力の作用が防波堤に作用した場合にも、ケーソンが転倒し難いので、背後域を防ぐ機能を維持することができる防波堤を実現可能である。
10,10A〜10D 防波堤 11,21,31,51,61 ケーソン 12,22,32,52,62 切り欠き部 13,23,33,53,63 切欠面 60 補強部材 M 基礎マウンド M1 マウンド ST 捨石 T1〜T6,T8 盛り上がり部 α 切欠面の角度

Claims (7)

  1. ケーソンを上部工とし、捨石による基礎マウンドを下部工とする防波堤構造であって、
    前記ケーソンの背面下部に前記ケーソンの底面に向けて傾斜するように切り欠かれた面を備えることを特徴とする防波堤構造。
  2. 前記ケーソンがその背面下部に突出部を有し、前記切り欠かれた面が前記突出部に形成されている請求項1に記載の防波堤構造。
  3. 前記切り欠かれた面は、前記ケーソンが前面からの外力により滑動したとき、前記切り欠かれた面の背後で前記捨石による盛り上がりの形成を助長するとともに、前記盛り上がりが前記ケーソンの移動に抵抗する請求項1または2に記載の防波堤構造。
  4. 前記基礎マウンドと前記ケーソンの前記切り欠かれた面との間に捨石が配置されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防波堤構造。
  5. ケーソンの背面下部にその底面に向けて傾斜するように切り欠かれた面を備えることを特徴とする防波堤用ケーソン。
  6. 前記ケーソンがその背面下部に突出部を有し、前記切り欠かれた面が前記突出部に形成されている請求項5に記載の防波堤用ケーソン。
  7. 既設の防波堤を請求項1乃至4のいずれか1項に記載の防波堤構造とするために、前記切り欠かれた面を有する補強部材を前記既設の防波堤の背面下部に取り付けることを特徴とする防波堤の補強方法。
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