JP2015190100A - 構造物の点検装置 - Google Patents

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【課題】効率的かつ安全に構造物の点検作業を行うこと。【解決手段】構造物の点検装置10は、構造物表面における不良の有無を点検する。ケーブルクレーン20には、構造物表面の画像を連続的に撮影するカメラ210が搭載されている。カメラ210で撮影された画像は、管理端末30に送信され、処理部304で画像を画像解析して、構造物に不良があるか否かを判定する。構造物に不良がある場合、表示部306に当該不良を構造物上の位置とともに表示する。【選択図】図2

Description

本発明は、構造物表面における不良の有無を点検する構造物の点検装置に関する。
ダムやビル、高架橋等の構造物では、建設中から建設後に渡って、不良の有無を確認する点検作業が行われている。
従来、このような点検作業は、総足場組み立てや高所作業車を使用するなどして、人手によって行うのが一般的である。
例えば、下記特許文献1では、天井下地材上を作業員が歩いて点検・修理を行う場合にも、十分な強度を維持できるとともに、耐震性能に優れた天井下地構造を提供する技術が開示されている。
特開2013−036316号公報
しかしながら、人手による点検作業には、高所作業等、危険が伴う場合があり、また人が近づけない場所で点検が必要となる可能性もある。
また、人手による点検作業では点検作業者によって点検結果がバラつく可能性もある。
さらに、大規模な構造物では、点検のために作業者が構造物内を巡回する時間、点検結果を集計する時間など、点検作業に多大な時間が必要となるという課題がある。
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、効率的かつ安全に構造物の点検作業を行うことを目的とする。
上述した問題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる構造物の点検装置は、構造物表面における不良の有無を点検する構造物の点検装置であって、前記構造物の近傍に配置されたクレーンと、前記クレーンに搭載され、前記構造物表面の画像を連続的に撮影するカメラと、前記カメラで撮影された前記画像を画像解析して、前記構造物に不良があるか否かを判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
請求項2の発明にかかる構造物の点検装置は、前記構造物に不良があるか否かを報知する報知手段をさらに備え、前記判定手段は、前記画像に前記構造物の不良を示す事象が映っている場合に前記構造物に不良があると判定するとともに、当該不良を示す事象が発生している前記構造物上の位置を特定し、前記報知手段は、前記構造物に不良がある場合、当該不良を前記構造物上の位置とともに報知する、ことを特徴とする。
請求項3の発明にかかる構造物の点検装置は、前記カメラの現在位置を特定する位置特定手段を備え、前記位置特定手段によって特定された現在位置は、前記画像とともに当該画像が撮影された位置を示す位置情報として記録され、前記判定手段は、前記画像とともに記録された前記位置情報を用いて前記不良を示す事象が発生している位置を特定する、ことを特徴とする。
請求項4の発明にかかる構造物の点検装置は、前記クレーンは、予め定められた移動経路および移動速度で前記構造物の周辺を移動し、前記カメラは、前記クレーンが移動を開始した時刻からの経過時間を前記画像とともに記録し、前記判定手段は、前記移動経路、前記移動速度、および前記画像とともに記録された前記経過時刻とを用いて前記不良を示す事象が発生している位置を特定する、ことを特徴とする。
請求項5の発明にかかる構造物の点検装置は、前記クレーンは、前記構造物の周辺を所定期間ごとに同じ移動経路で移動し、前記カメラは、撮影ごとに同じ角度から前記構造物を撮影し、前記判定手段は、前記画像に前記不良を示す事象が映っている場合には、前記画像より前に撮影された過去画像と比較して、当該不良を示す事象が生じた日時を推定する、ことを特徴とする。
請求項6の発明にかかる構造物の点検装置は、前記カメラは全方位カメラである、ことを特徴とする。
請求項7の発明にかかる構造物の点検装置は、前記構造物はダムであり、前記クレーンは前記ダムの堤体の両端に渡って架け渡されたケーブルクレーンである、ことを特徴とする。
請求項8の発明にかかる構造物の点検装置は、前記クレーンは移動式クレーンである、ことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、クレーンに搭載されたカメラで構造物の画像を撮影し、当該画像を画像解析して構造物に不良があるか否かを判定する。これにより、人が近づけない場所の点検が可能となり、構造物の安全性を向上させることができる。また、人手により点検作業を行うのと比較して、高所等における事故を防止して作業の安全性を向上させることができる。また、人手により点検作業を行うのと比較して、短時間で点検作業を完了させることができる。また、人手により点検作業を行うのと比較して、点検結果のバラつきを少なくし、点検作業の作業品質を向上させることができる。
請求項2の発明によれば、構造物に不良がある場合に報知する報知手段を備え、構造物に不良がある場合、当該不良を構造物上の位置とともに報知するので、不良が生じている箇所を容易に特定することができ、不良への対応を迅速に行うことができる。
請求項3の発明によれば、画像が撮影された位置を示す位置情報を画像とともに記録して、不良を示す事象が発生している位置の特定に用いるので、点検作業ごとにクレーンの移動速度や移動パターンが異なる場合でも不良箇所の位置を特定することができる。
請求項4の発明によれば、予め定められたクレーンの移動経路、移動速度、および移動開始からの経過時刻を用いて不良を示す事象が発生している位置を特定するので、位置特定手段を用いずに不良箇所の位置を特定することができ、点検装置のコストを低減することができる。
請求項5の発明によれば、不良を示す事象が生じた日時を推定するので、不良が生じた原因を推定しやすくなり、より的確な方法で不良に対応できる可能性を高くすることができる。
請求項6の発明によれば、画像の撮影に全方位カメラを用いるので、通常のカメラでは構造物がレンズの画角内に入るようにレンズの向きを調整しなくてはならないような場所でも、レンズの調整が不要となる。また、通常のカメラと比較して画角が広いので、少ない飛行時間で構造物全体の撮影が可能となり、点検作業を短時間で完了させることができる。
請求項7の発明によれば、点検装置としてケーブルクレーンを用いる。ケーブルクレーンは、構造物の全体に渡って架け渡されている場合が多く、可動域が広いので、ケーブルクレーンにカメラを搭載することによって構造物全体の画像を漏れなく得られる可能性を向上させることができる。また、一度の撮影で構造物全体の画像を漏れなく得られる可能性が高く、点検作業を効率的に行うことができる。
請求項8の発明によれば、点検装置として移動式クレーンを用いる。移動式クレーンは自由に位置を変更することができるので、適宜移動式クレーンを移動させて撮影することによって構造物全体の画像を漏れなく得られる可能性を向上させることができる。
点検対象となる構造物の一例であるダム50の構造を示す説明図である。 点検装置10の機能的構成を示すブロック図である。 表示部306に表示される不良報知画面の一例を示す説明図である。 点検装置10の処理を示すフローチャートである。 点検装置10の他の構成例を示す説明図である。
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる構造物の点検装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態では、点検対象とする構造物として建設中のダム50を例にして説明する。
(実施の形態)
図1は、点検対象となる構造物の一例であるダム50の構造を示す説明図であり、図1Aはダム50の上面図、図1Bはダム50の正面図(図1AのX矢視図)である。
ダム50は、主に貯水池Wに貯められた水をせき止めるダム堤体502によって構成されている。ダム堤体502の頂部には、所定の幅を有する天端504が設けられている。また、ダム堤体502の貯水池Wの反対側の側面には、排水用のゲート508を備える排水路506が形成されている。
ダム堤体502の両側は陸地Lとなっており、ダム50の建設作業中は、作業機器等が設置される。
また、ダム50には、ダム堤体502の幅方向に延びるケーブルクレーン20が設置されている。
ケーブルクレーン20は、支柱202、ロープ204、トロリ206、つり具208等によって構成される。より詳細には、ダム堤体502の両端に2つの支柱202が立てられており、この支柱202間にロープ204が架け渡されている。ロープ204は、トロリ206の軌道として機能し、トロリ206はロープ204に沿って横行する。トロリ206にはつり具208が設けられており、つり具208を上下方向に動かして荷をつり上げる。
なお、トロリ206やつり具208の移動は、図示しないモータなどの駆動力によって行う。
このように、ケーブルクレーン20は、動力を用いて荷を上下方向および水平方向に移動させる。
本実施の形態では、ケーブルクレーン20のつり具208にカメラ210を取り着けている。カメラ210は、後述する点検装置10の構成として機能する。
なお、カメラ210は、1台に限らず複数台取り付けられてもよい。
また、カメラ210の取り付け位置はつり具208に限らず、トロリ206の移動に追従してダム堤体502の幅方向に移動する箇所であればよいが、つり具208のように上下方向に移動可能な箇所が好ましい。
ここで、ダム堤体502の高さ(堤高)は一般的に100m以上の場合が多く、人手によってダム50全体の点検を行うには多くの時間および労力がかかる。
よって、本実施の形態では、図2に示すような点検装置10を用いてダム50の点検を行う。
図2は、点検装置10の機能的構成を示すブロック図である。
本実施の形態では点検装置10は、ケーブルクレーン20と管理端末30とによって構成される。
ケーブルクレーン20は、構造物の近傍に配置され、構造物であるダムの堤体(ダム堤体502)の両端に渡って架け渡されている。
ケーブルクレーン20には、カメラ210、位置特定部212、処理部214、通信部216が設けられている。
カメラ210は、構造物表面の画像を連続的に撮影する。
カメラ210で撮影する画像は、構造物表面を漏れなく撮影するために動画とすることが好ましいが、撮影間隔を適当に設定した静止画であってもよい。
また、カメラ210は、周囲180°を撮影範囲とする全方位カメラであってもよい。
全方位カメラを用いることによって、通常のカメラではレンズの向きを調整しなくてはならないような場所でも、レンズの調整が不要となる。
また、通常のカメラと比較して画角が広いのでより構造物上のより広い領域を撮影範囲とすることができ、短時間で点検作業を終了することができる。
位置特定部212は、ケーブルクレーン20の軌道の位置情報およびトロリ206やつり具208の移動量に基づいて、カメラ210の現在位置を推定する。
ケーブルクレーン20の軌道の位置情報は既知であり、この軌道上を移動するトロリ206やつり具208の移動量を知ることができれば、つり具208に取り付けられたカメラ210の現在位置を推定することが可能となる。
なお、位置特定部212は、GPS衛星から送信される信号を受信して、カメラ210の現在位置(例えば緯度経度および標高など)を特定してもよい。
処理部214は、CPU、制御プログラムなどを格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成される。
処理部214は、カメラ210で撮影された画像と、位置特定部212で特定したカメラ210の現在位置とを関連づけて記録する。すなわち、処理部214は、位置特定部212によって特定された現在位置を、カメラ210で撮影された画像とともに当該画像が撮影された位置を示す位置情報として記録する。
なお、カメラ210が全方位カメラでない場合には、カメラの位置情報とともに、画像撮影時のカメラ210の撮影方向を記録してもよい。
通信部216は、管理端末30の通信部302との間で無線通信を行う。
通信部216は、カメラ210で撮影された画像を管理端末30に送信する。
通信部216による画像の送信は、カメラ210での撮影中に逐次行ってもよいし、一連の撮影が終了してから一括して行ってもよい。
つぎに、管理端末30について説明する。
管理端末30は、例えばパーソナルコンピュータやタブレット端末、スマートホン等であり、構造物周辺に位置する点検作業者が保持している。
管理端末30は、通信部302、処理部304(判定手段)、表示部306(報知手段)、設計データ記憶部308によって構成される。
通信部302は、ケーブルクレーンの通信部216との間で無線通信を行う。
なお、通信部302を介してケーブルクレーンの移動を制御する制御信号を送信してもよい。
処理部304は、CPU、制御プログラムなどを格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成される。
処理部304は、カメラ210で撮影された画像を画像解析して、構造物に不良があるか否かを判定する判定手段として機能する。
処理部304は、画像に構造物の不良を示す事象が映っている場合に構造物に不良があると判定する。構造物の不良を示す事象とは、例えば構造物表面のひびや水漏れ、周囲の土砂の崩落等である。
処理部304による不良の有無の判定は、従来公知の様々な画像解析技術を用いて行うことができる。処理部304は、例えばこれらの不良を示す事象が生じた際に画像上に現れるパターンを記憶し、カメラ210の撮影画像上に、不良を示すパターンとの一致度が所定値以上の領域がある場合に構造物に不良があると判定する。
また、処理部304は、不良を示す事象が発生している構造物上の位置を特定する。
処理部304は、例えば画像に関連付けて記録された位置情報に基づいて不良を示す事象が発生している位置を特定する。より詳細には、処理部304は、画像に関連付けて記録された位置情報に基づいて当該画像に映っている構造物の位置を推定し、不良を示す事象が発生している位置を特定する。
この時、処理部304は、設計データ記憶部308に記憶されたダム50の設計データを用いて、画像に映っている構造物の位置を推定する。なお、ダム50の設計データには、ダム50を構成する各部の位置情報(例えばケーブルクレーン20の軌道との相対位置、または緯度経度および標高など)が含まれるものとする。
処理部304は、まず画像に関連付けられた位置情報と設計データ内の位置情報とに基づいて、ダム50とカメラ210との相対位置を特定する。カメラ210の画角および撮影方向は既知であるため、ダム50とカメラ210との相対位置を特定できれば、画像がダム50のいずれの範囲を撮影したものかを特定することができる。
よって、不良を示す事象が映っている画像が、ダム50のいずれの範囲を撮影したものかを特定することにより、不良が発生している構造物(ダム50)上の位置を特定する。
また、不良の発生箇所の位置は、ケーブルクレーン20の移動経路等から特定してもよい。
より詳細には、ケーブルクレーン20を予め定められた移動経路および移動速度で構造物の周辺を移動するように設定しておき、カメラ210は、ケーブルクレーン20が移動を開始した時刻からの経過時間を画像とともに記録する。
この場合、ケーブルクレーン20が移動を開始した時刻からの経過時間に基づいて、ケーブルクレーン20のトロリ206やつり具208が移動経路上のどの位置にいるかを推定することができ、カメラ210の位置から画像に映った構造物の位置を特定することができる。
すなわち、処理部304は、移動経路、移動速度、および画像とともに記録された移動開始からの経過時刻とを用いて不良を示す事象が発生している位置を特定する。
また、定期的にケーブルクレーン20で構造物の点検を行い、不良の発生日時を推定できるようにしてもよい。
より詳細には、ケーブルクレーン20を所定期間ごとに同じ移動経路で移動させ、カメラ210で撮影ごとに同じ角度から構造物を撮影する。
処理部304は、画像に不良を示す事象が映っている場合には、当該不良を示す事象が映っている画像より前に撮影された過去画像と比較して、当該不良を示す事象が生じた日時を推定する。
例えば、1日ごとにケーブルクレーン20で構造物の点検を行う場合、ある日に撮影された画像の地点Aに不良を示す事象が映っていたとする。この場合、その前日に撮影された画像の地点Aと比較する。前日に撮影された画像に不良を示す事象が映っていない場合には、前日に画像が撮影された後、翌日の画像撮影前までに不良が生じたと推定することができる。
このように、不良の発生日時を推定することにより、不良の発生原因が特定しやすくなり、不良に対してより的確な対応を行うことができる。
表示部306は、構造物に不良がある場合に報知する報知手段として機能する。
表示部306は、例えば構造物に不良がある場合、当該不良を構造物上の位置とともに報知する。
図3は、表示部306に表示される不良報知画面の一例を示す説明図である。
図3には、表示部306にダム50の不良箇所周辺の画像N1が表示されている。画像N1上の不良に対応する箇所にはポインタP1が点滅し、不良箇所を容易に特定できるようになっている。
また、表示部306の上部には、不良箇所(「A−6付近」)および不良内容(「ひび割れ」)に関するメッセージMが表示されている。
また、表示部306の下部には、ダム50全体の画像N2が表示されている。画像N2にも不良に対応する箇所にポインタP2が表示され、ダム50全体に対する不良箇所の位置を特定できるようになっている。
なお、画像N1,N2は、カメラ210で撮影した画像でもよいし、ダム50の設計データに基づいて描画した描画画像であってもよい。
また、報知手段としては、表示部306の他、音声で不良を報知する音声出力部を設けてもよい。
図4は、点検装置10の処理を示すフローチャートである。
点検作業者等からの指示または自動制御によって点検開始が指示されると、点検装置10は、ケーブルクレーン20の移動を開始させる(ステップS500)。
ケーブルクレーン20ではカメラ210で構造物表面を撮影し(ステップS502)、撮影した画像を通信部216を介して管理端末30へと送信する(ステップS504)。この時、処理部214では画像撮影時の位置情報または撮影時刻を画像に付加する。
管理端末30ではケーブルクレーン20が送信した画像を受信し(ステップS506)、処理部304によって画像解析を行う(ステップS508)。
画像解析の結果、不良が見つからなかった場合は(ステップS510:No)、そのまま本フローチャートによる処理を終了する。
なお、構造物全体において不良が見つからなかった場合には、点検の終了(不良なし)を示す表示等を行ってもよい。
一方、不良が見つかった場合は(ステップS510:Yes)、表示部306に不良が生じている旨および不良箇所を表示して(ステップS512)、本フローチャートによる処理を終了する。
なお、本実施の形態では点検装置10をケーブルクレーン20と管理端末30とによって構成したが、これに限らず、例えばケーブルクレーン20側に管理端末30の機能(判定部や報知部)を備えるようにしてもよい。
この場合、例えばケーブルクレーン20の支柱202の地表付近等に処理部304や表示部306に対応する構成を設ける。
また、本実施の形態では、ケーブルクレーン20を用いて点検を行うものとしたが、これに限らず、他の種類のクレーンを用いて点検を行ってもよい。
図5は、点検装置10の他の構成例を示す説明図である。
図5では、ケーブルクレーン20に代えて、固定式クレーン40が設置されている。
固定式クレーン40は、台座部402、アーム部404、つり具406等を含んで構成される。
つり具406にはカメラ210が取り付けられており、ケーブルクレーン20と同様の方法で構造物の点検を行う。
固定式クレーン40は、可動域が限られているため、構造物上の全領域の画像が得られるように複数の固定式クレーン40を用いることが好ましい。
図5の例では、ダム堤体502の貯水池W側および排水路506側の左右に1つずつ計4個の固定式クレーン40が設けられている。これら4台の固定式クレーン40に取り付けられたカメラ210により、貯水池W側の左岸周辺、貯水池W側の右岸周辺、排水路506側の左岸周辺、および排水路506側の右岸周辺を、それぞれ撮影して不良があるか否かを判定する。
なお、クレーンがクレーン車等の移動式クレーンである場合には、移動式クレーンを移動させてカメラ210で撮影することにより、構造物上の全領域の画像を得ることができる。
また、本実施の形態では、構造物としてダム50を例にして説明したが、本発明は様々な構造物に対して適用可能である。
本発明の他の適用例としては、例えばビル等のコンクリート構造物の劣化診断、壁面タイルの剥離診断、橋梁下部(橋の裏側)の点検、災害時における被災状況の確認等が挙げられる。
以上説明したように、実施の形態にかかる構造物の点検装置10は、ケーブルクレーン20に搭載されたカメラ210で構造物の画像を撮影し、当該画像を画像解析して構造物に不良があるか否かを判定する。
これにより、人が近づけない場所の点検が可能となり、構造物の安全性を向上させることができる。また、人手により点検作業を行うのと比較して、高所等における事故を防止して作業の安全性を向上させることができる。また、人手により点検作業を行うのと比較して、短時間で点検作業を完了させることができる。また、人手により点検作業を行うのと比較して、点検結果のバラつきを少なくし、点検作業の作業品質を向上させることができる。
また、点検装置10は、構造物に不良がある場合に報知する報知手段(表示部306)を備え、構造物に不良がある場合、当該不良を構造物上の位置とともに報知するので、不良が生じている箇所を容易に特定することができ、不良への対応を迅速に行うことができる。
また、点検装置10は、画像が撮影された位置を示す位置情報を画像とともに記録して、不良を示す事象が発生している位置の特定に用いるので、点検作業ごとにケーブルクレーン20の移動経路が異なる場合でも不良箇所の位置を特定することができる。
また、点検装置10において、予め定められたケーブルクレーン20の移動経路、移動速度、および移動開始からの経過時刻を用いて不良を示す事象が発生している位置を特定するようにすれば、位置特定部212を用いずに不良箇所の位置を特定することができ、点検装置10のコストを低減することができる。
また、点検装置10は、不良を示す事象が生じた日時を推定するので、不良が生じた原因を推定しやすくなり、より的確な方法で不良に対応できる可能性を高くすることができる。
また、点検装置10は、画像の撮影に全方位カメラを用いるので、通常のカメラでは構造物がレンズの画角内に入るようにレンズの向きを調整しなくてはならないような場所でも、レンズの調整が不要となる。また、通常のカメラと比較して画角が広いので、少ない飛行時間で構造物全体の撮影が可能となり、点検作業を短時間で完了させることができる。
また、点検装置10は、ケーブルクレーン20にカメラ210を搭載して画像の撮影を行う。ケーブルクレーン20は、構造物の全体に渡って架け渡されている場合が多く、可動域が広いので、ケーブルクレーン20にカメラ210を搭載することによって構造物全体の画像を漏れなく得られる可能性を向上させることができる。また、一度の撮影で構造物全体の画像を漏れなく得られる可能性が高く、点検作業を効率的に行うことができる。
また、点検装置10において、移動式クレーンを用いる場合、移動式クレーンは自由に位置を変更することができるので、適宜移動式クレーンを移動させて撮影することによって構造物全体の画像を漏れなく得られる可能性を向上させることができる。
10……点検装置、20……ケーブルクレーン、202……支柱、204……ロープ、206……トロリ、208……つり具、210……カメラ、212……位置特定部、214……処理部、216……通信部、30……管理端末、302……通信部、304……処理部、306……表示部、308……設計データ記憶部

Claims (8)

  1. 構造物表面における不良の有無を点検する構造物の点検装置であって、
    前記構造物の近傍に配置されたクレーンと、
    前記クレーンに搭載され、前記構造物表面の画像を連続的に撮影するカメラと、
    前記カメラで撮影された前記画像を画像解析して、前記構造物に不良があるか否かを判定する判定手段と、
    を備えることを特徴とする構造物の点検装置。
  2. 前記構造物に不良があるか否かを報知する報知手段をさらに備え、
    前記判定手段は、前記画像に前記構造物の不良を示す事象が映っている場合に前記構造物に不良があると判定するとともに、当該不良を示す事象が発生している前記構造物上の位置を特定し、
    前記報知手段は、前記構造物に不良がある場合、当該不良を前記構造物上の位置とともに報知する、
    ことを特徴とする請求項1記載の構造物の点検装置。
  3. 前記カメラの現在位置を特定する位置特定手段を備え、
    前記位置特定手段によって特定された現在位置は、前記画像とともに当該画像が撮影された位置を示す位置情報として記録され、
    前記判定手段は、前記画像とともに記録された前記位置情報を用いて前記不良を示す事象が発生している位置を特定する、
    ことを特徴とする請求項2記載の構造物の点検装置。
  4. 前記クレーンは、予め定められた移動経路および移動速度で前記構造物の周辺を移動し、
    前記カメラは、前記クレーンが移動を開始した時刻からの経過時間を前記画像とともに記録し、
    前記判定手段は、前記移動経路、前記移動速度、および前記画像とともに記録された前記経過時刻とを用いて前記不良を示す事象が発生している位置を特定する、
    ことを特徴とする請求項2記載の構造物の点検装置。
  5. 前記クレーンは、前記構造物の周辺を所定期間ごとに同じ移動経路で移動し、
    前記カメラは、撮影ごとに同じ角度から前記構造物を撮影し、
    前記判定手段は、前記画像に前記不良を示す事象が映っている場合には、前記画像より前に撮影された過去画像と比較して、当該不良を示す事象が生じた日時を推定する、
    ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項記載の構造物の点検装置。
  6. 前記カメラは全方位カメラである、
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の構造物の点検装置。
  7. 前記構造物はダムであり、
    前記クレーンは前記ダムの堤体の両端に渡って架け渡されたケーブルクレーンである、
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の構造物の点検装置。
  8. 前記クレーンは移動式クレーンである、
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の構造物の点検装置。
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