JP2015190083A - パラ型全芳香族ポリアミド繊維紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性や熱寸法安定性、特に引張り強力などに優れ、特に電気回路用積層物の基材として好適なパラ型全芳香族ポリアミド繊維紙を提供する。
【解決手段】コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドからなるパラ型全芳香族ポリアミド短繊維と、パラ型全芳香族ポリアミド繊維からなるフィブリッドもしくはパラ型全芳香族ポリアミドからなるパルプからなる紙であって、該紙の全重量に対して、該パラ型全芳香族ポリアミド短繊維の重量比率が60〜97重量%、該パラ型全芳香族ポリアミド繊維からなるフィブリッドもしくはパルプの重量比率が3〜40重量%であり、該紙の一方向における強力と該一方向と垂直方向における強力の和を、該紙の坪量の2倍で割った値が0.4以上であることを特徴とするパラ型全芳香族ポリアミド繊維紙とする。
【選択図】なし
【解決手段】コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドからなるパラ型全芳香族ポリアミド短繊維と、パラ型全芳香族ポリアミド繊維からなるフィブリッドもしくはパラ型全芳香族ポリアミドからなるパルプからなる紙であって、該紙の全重量に対して、該パラ型全芳香族ポリアミド短繊維の重量比率が60〜97重量%、該パラ型全芳香族ポリアミド繊維からなるフィブリッドもしくはパルプの重量比率が3〜40重量%であり、該紙の一方向における強力と該一方向と垂直方向における強力の和を、該紙の坪量の2倍で割った値が0.4以上であることを特徴とするパラ型全芳香族ポリアミド繊維紙とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、パラ型全芳香族ポリアミド繊維からなる高強力紙に関する。
電気回路板用積層物に使用される基材には、耐熱性や耐熱寸法安定性、耐湿寸法安定性、電気絶縁性、耐変形性(振れ、反り、波打ちなどを生じ難いこと)、軽量性、引張り強力などの諸特性が要求される。芳香族ポリアミド繊維紙は、他素材からなる紙基材に比べて、耐熱性、電気絶縁性、耐熱寸法安定性、軽量性などの点て優れているため、最近では、前記の諸特性が要求される電気回路板用積層物の基材にもよく活用されるようになってきた。
例えば、ポリメタフェニレンイソフタルアミド短繊維(帝人(株)製、「コーネックス」)とポリメタフェニレンイソフタルアミドパルプ(フィブリッド)からなる紙:「電気絶縁紙」(特開平2−236907号公報)、ポリパラフェニレン・テレフタルアミド短繊維(デュポン(株)製、「ケブラー」)やコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド短繊維(帝人(株)製、「テクノーラ」)と有機系樹脂バインダーからなる芳香族ポリアミド繊維紙:「樹脂含浸シート」(特開平1−92233号公報)や芳香族ポリアミド紙の製造方法(特開平2−47392号公報)などが提案されている。
しかし前者の繊維紙は、耐熱性には優れているものの、250℃以上の高温で熱処理すると収縮して寸法変化を生じるばかりでなく、繊維の平衡水分率(含水率)が高く且つ不純イオンの含有量も多いので、特に長期間高湿度下で保持された場合における電気絶縁性が劣るため、高度な信頼性が要求される電気絶縁用基材には使用できない。
一方、後者の芳香族ポリアミド繊維紙は平衡水分率も少なく、且つ、不純イオンの含有量も比較的少ないが、有機系樹脂のみをバインダー成分として使用しているため、該芳香族ポリアミド繊維紙の製造工程でバインダー成分が紙の表裏側にマイグレーションして偏在化する結果、紙の中層部に存在するバインダー成分の量が微小となって、該芳香族ポリアミド繊維紙の厚さ方向の均一性が低下し信頼性を低化させるという問題を有している。
従って、このような芳香族ポリアミド繊維紙を電気絶縁材料用の基材として使用すると、その製造工程、特に、エポキシ樹脂などの配合ワニスを含浸、乾燥させるプリプレグ作成工程や該プリプレグ品を積層成形する工程などで配合ワニスの含浸量(特に厚さ方向)や付着量のバラツキが拡大したり、また、バインダー用樹脂の一部が溶融して繊維間の接着力低下を招き紙基材の切断が発生したり、さらには、短繊維が相互移動し易くなるために、繊維密度分布の均一性を悪化させて、特に高温度で処理されるハンダリフロー工程終了後の電気回路板用積層物に変形が生じるという問題があり好ましくなかった。
このような問題を解消すべく、バインダー成分として有機系樹脂を用いる代わりにメタ型芳香族ポリアミドフィブリッドを用いて、パラ型芳香族ポリアミド短繊維(例えば、デュポン(株)製、「ケブラー」)とフィブリル化されたパラ型芳香族ポリアミドの微少繊維(例えば、デュポン(株)製、「ケブラー」)とを結合せしめた繊維紙「高密度パラアラミド紙」(特開昭61−160500号公報)が提案されている。この紙は、耐熱性や耐熱寸法安定性、耐湿寸法安定性、耐変形性(振じれ、反り、波打ちなどを生じ難いこと)などの特性には優れているものの、その使用されるメタ型芳香族ポリアミドフィブリッドの製法上、平衡水分率や不純イオンの含有量が高いという問題があり、また、その繊維紙の構成上、紙自体の引張り強力が低<、製造工程で高張力をかけられないという問題があり、この改良が望まれている。
本発明は、耐熱性や熱寸法安定性、特に引張り強力などに優れ、特に電気回路用積層物の基材として好適であり、且つ、従来の芳香族ポリアミド繊維紙が有していた前記の諸問題、とりわけ電気回路板用積層物の製造工程における破断が改良され、高湿度下における電気絶縁性不足の問題が解消される新規なパラ全芳香族ポリアミド繊維紙を提供するものである。
本発明者らは、前記課題解決のために鋭意検討の結果、芳香族ポリアミド繊維紙を構成する、短繊維、及び、バインダー性能を有するフィブリッドもしくはパルプが共に、パラ型全芳香族ポリアミドからなり、その配合比率を規定して抄紙し、高温、高圧下でパラ全芳香族ポリアミドからなる短繊維(以下、パラ全芳香族ポリアミド短繊維と称することがある)とパラ型全芳香族ポリアミドからなるフィブリッドもしくはパルプ(以下、パラ型全芳香族ポリアミドのフィブリッドもしくはパルプと称することがある)を強固に結合させて、パラ型全芳香族ポリアミド紙とすることで、良好な引張り強力、及び電気絶縁特性、電気回路板用積層物が具備すべき種々の特性を良好ならしめる点に着目してなされたものである。
すなわち、本発明によれば、パラ型全芳香族ポリアミドからなる短繊維と、パラ型全芳香族ポリアミドからなるフィブリッドもしくはパルプとからなる紙であって、該紙の全重量に対して、該パラ型全芳香族ポリアミドからなる短繊維の重量比率が60〜97重量%であり、該パラ型全芳香族ポリアミドからなるフィブリッドもしくはパルプの重量比率が3〜40重量%であり、該紙の一方向における強力と該一方向と垂直方向における強力の和を、該紙の坪量の2倍で割った値が0.4以上であることを特徴とするパラ型全芳香族ポリアミド繊維紙が提供される。
本発明により製造されたパラ型全芳香族ポリアミド繊維紙は、耐熱性や熱寸法安定性、引張り強力などに優れ、特に電気回路用積層物の基材として好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明におけるパラ型全芳香族ポリアミド繊維紙とは、パラ全芳香族ポリアミドからなる短繊維(以下、パラ全芳香族ポリアミド短繊維と称することがある)とパラ型全芳香族ポリアミドからなるフィブリッドもしくはパルプ(以下、パラ型全芳香族ポリアミドのフィブリッドもしくはパルプと称することがある)を主成分とし、必要に応じて補助的に有機系の樹脂バインダーを添加して作成されてなる紙状物、不織布状物もしくはシート状物を含むものである。
本発明におけるパラ型全芳香族ポリアミドは、溶液中でのジカルボン酸ジクロライドとジアミンとの低温溶液重合、または界面重合から得ることができる。具体的に本発明において使用されるジアミン成分としては、p−フェニレンジアミン、2−クロルp−フェニレンジアミン、2,5−ジクロルp−フェニレンジアミン、2,6−ジクロルp−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン等を単独あるいは2種以上挙げることができるが、これらに限定されるものではない。中でもジアミン成分として、p−フェニレンジアミン、および3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを単独あるいは2種以上用いるのができる。また、具体的に本発明において使用されるジカルボン酸クロライド成分としては、例えばテレフタル酸クロライド、2−クロルテレフタル酸クロライド、2,5−ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6−ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライドなど挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でもジカルボン酸クロライド成分として、テレフタル酸ジクロライドが好ましい。
従って本発明におけるパラ型全芳香族ポリアミドの例としてコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド、ポリパラフェニレン・テレフタルアミド等を挙げることができる。また全芳香族ポリアミドを重合する際の溶媒としては具体的にN、N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム等の有機極性アミド系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の水溶性工一テル化合物、メタノール、エタノール、エチレングリコール等の水溶性アルコール系化合物、アセトン、メチルエチルケトン等の水溶性ケトン系化合物、アセトニトリル、プロピオニトリル等の水溶性ニトリル化合物等があげられる。これらの溶媒は2種以上の混合溶媒として使用することも可能であり、特に制限されることはない。該溶媒は脱水されていることが望ましい。この場合、溶解性を挙げるために重合前、途中、終了時に一般に公知の無機塩を適当量添加しても差し支えない。このような無機塩として例えば、塩化リチウム、塩化カルシウム等が挙げられる。
本発明の全芳香族ポリアミドの製造において用いられる全芳香族ポリアミド溶液のポリマー濃度は好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜25重量%である。ポリマー濃度が0.5重量%未満では、ポリマーの絡み合いが少なく紡糸に必要な粘度が得られない。一方で、ポリマー濃度が30重量%を超える場合、ノズルから吐出する際に不安定流動が起こりやすくなり安定的に紡糸することが困難となる。
また、全芳香族ポリアミドを製造する際、これらのジアミン成分と酸クロライド成分は、ジアミン成分対酸クロライド成分のモル比として好ましくは0.90〜1.10、より好ましくは0.95〜1.05で、用いることが好ましい。この全芳香族ポリアミドの末端は封止されることもできる。末端封止剤を用いて封止する場合、その末端封止剤としては、例えばフタル酸クロライドおよびその置換体、アミン成分としてはアニリンおよびその置換体が挙げられる。一般に用いられる酸クロライドとジアミンの反応においては生成する塩化水素のごとき酸を捕捉するために脂肪族や芳香族のアミン、第4級アンモニウム塩を併用できる。反応の終了後、必要に応じて塩基性の無機化合物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等を添加し中和反応する。反応条件は特別な制限を必要としない。酸クロライドとジアミンとの反応は、一般に急速であり、反応温度は例えば−25〜100℃で好ましくは−10〜80℃である。このようにして得られる全芳香族ポリアミドはアルコール、水といった非溶媒に投入して、沈殿せしめ、パルプ状にして取り出すことができる。これを再度他の溶媒に溶解して成形に供することもできるが、重合反応によって得た溶液をそのまま成形用溶液として用いることができる。再度溶解させる際に用いる溶媒としては、全芳香族ポリアミドを溶解するものであれば特に限定はされないが、上記全芳香族ポリアミドの重合に使用される溶媒が好ましい。本発明で使用するパラ型全芳香族ポリアミド短繊維においては、ジアミン成分としては、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを用いることが好ましい。
本発明においては、パラ型全芳香族ポリアミド短繊維を構成するパラ型全芳香族ポリアミドが、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドであることが好ましい。
本発明においては、パラ型全芳香族ポリアミド短繊維の単繊維繊度は、0.33〜5.56dtexであることが好ましい。該単繊維繊度が0.33dtex未満では、製糸技術上困難な点が多く、断糸や毛羽が発生して良好な品質の繊維を安定して生産することが困難になるだけでなく、コストも高<なるため好ましくない。一方、5.56dtexを超えると繊維の機械的物性、特に強度低下が大きくなるため実用的でなくなる。また、かかる芳香族ポリアミド短繊維の繊維長は、1〜60mmの範囲のものが好ましく用いられるが、特に、湿式法で紙を形成する場合においては、好ましくは2〜12mm、より好ましくは2〜10mmにあるものが最適である。該繊維長が1mm未満では、得られる全芳香族ポリアミド繊維紙(繊維集合体)の機械的物性が不十分なものとなりやすく好ましくない。一方、該繊維長が60mmを超えると、短繊維の開繊性、分散性等が悪化して得られる繊維集合体の均一性が損なわれ、やはり機械的物性が不十分なものとなりやすい。
次に、本発明に用いられる、パラ型全芳香族ポリアミドからなるフィブリッドとは、湿式抄造工程において、シート形成用短繊維に対してバインダー性能を有する複数の微小のフィブリルを有する、薄葉状又は鱗片状の小片、或は、ランダムにフィブリル化された微小繊維片の総称である。前記フィブリッドは、例えば、特公昭35−11851号公報、特公昭37−5732号公報等に記載された方法により、有機系合成重合体溶液に、この合成重合体用沈澱剤を、剪断力を付与しながら混合することにより製造方法、あるいは、特公昭59−603号公報に記載された方法により、光学的異方性を示す高分子重合体溶液から成形された分子配向性を有する成形物に、叩解等の機械的剪断力を与えてこれをランダムにフィブリル化させる方法により製造することができる。上記フィブリッド製造方法のうち前者の方法によるものが本発明の合成繊維シートに好ましく用いられる。
一方、パラ型全芳香族ポリアミドからなるパルプとしては、フィブリル化された全芳香族ポリアミド繊維やフィブリル化全芳香族ポリアミド繊維を例示することができる。ここで、フィブリル化された全芳香族ポリアミド繊維は、パラ型全芳香族ポリアミド短繊維を、リファイナーやビーター、ミル、高圧ホモジナイザー、摩砕装置等によりフィブリル化したものである。一方、フィブリル化全芳香族ポリアミド繊維とは、パラ型全芳香族ポリアミドポリマー溶液を、ジェット紡糸ノズルを通してポリマー流とし、該ポリマー流に凝固剤、ガスなどを吹き付けて短繊維状に成形したもので、繊維表面にフィルム状の毛羽を有するものである。
本発明で用いるパラ型全芳香族ポリアミド短繊維が全芳香族ポリアミド繊維紙の全重量に対して、60重量%以上97重量%以下であることが必要であり、好ましくは65重量%以上95重量%以下、より好ましくは70重量%以上95重量%以下である。パラ型全芳香族ポリアミド短繊維の重量が60重量%未満では、得られる全芳香族ポリアミド繊維紙の機械的物性が不十分となり、97重量%を超えると紙を作成する際の取扱い性が低下し、均一な紙が作成できない。また、前記パラ型全芳香族ポリアミドからなるフィブリッドもしくはパルプは、湿式抄造工程において短繊維間を結合せしめるバインダーとしての機能を有するが、その結合力(接着力)は、熱硬化性の樹脂、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、フルオロ重合体樹脂等に比べて劣るため、これら熱硬化性樹脂からなる群から選択された水分散型の結合補助剤を少量添加して湿式抄造工程における抄造性能を高めることができる。また、該結合補助剤が本発明の芳香族ポリアミド繊維紙中に占める割合としては、前記パラ型全芳香族ポリアミドからなるフィブリッドもしくはパルプの重量の1/3以下、さらに好ましくは、1/4以下の範囲で用いるものがよい。該結合補助剤の割合が該フィブリッド重量の1/3を超えると、湿式抄造工程におけるマイグレション現象をフィブリッドもしくはパルプが抑制でき得なくなるおそれがあり、紙の表裏側と中層部との層間接着力が不均一となる要因となり、その後のカレンダー工程で紙中層部の短繊維の配向性や繊維密度分布の均一性を低下せしめることがあるために好ましくない。
以上に述べたパラ型全芳香族ポリアミド繊維紙においては、紙の一方向における強力と該一方向と垂直方向における強力(N/cm)の和を、該紙の坪量(g/m2)の2倍で割った値が0.4(N/cm)/(g/m2)以上であり、好ましくは0.42(N/cm)/(g/m2)以上、より好ましくは0.45(N/cm)/(g/m2)以上である。
ここで、パラ型全芳香族ポリアミド繊維紙の一方向とは、該パラ型全芳香族ポリアミド繊維紙において任意の方向を決めればよく、例えば前記抄紙を行い、カレンダー加工等をして連続してパラ型全芳香族ポリアミド繊維紙の長尺ロールとして捲きとった場合、そのロールの長さ方向としても良い。一方、該一方向と垂直方向は、前記長尺ロールの幅方向としてもよい。
本発明においては、一方向の強力:垂直方向の強力の比は、好ましくは10:1〜1:10であり、5:1〜1:5であり、用途によってはどちらか一方の強力を高くし、好ましは1.1:1〜5:1、より好ましくは1.1:1〜3:1などとし、一方向の紙の取り扱性を向上させたり、一方向の樹脂含浸性を高めたりしてもよい。
以上に述べたパラ型全芳香族ポリアミド繊維紙は、従来から公知の方法により製造することができ、例えば、前記のパラ型全芳香族ポリアミド短繊維を所定の比率になるように秤量し、繊維濃度が約0.15〜0.40重量%の範囲になる様に水中に投入して均一分散させ、調整した水性スラリー中に、必要に応じて、分散剤や粘度調整剤を加えた後、長網式や丸網式等の抄紙機による湿式抄造法で湿紙を形成し、乾燥して得た乾燥紙を所定の嵩密度の範囲となるように加熱加圧加工してパラ型全芳香族ポリアミド繊維紙を得ることができる。
例えば、カレンダー機を用いて加熱加圧加工を行う場合は、1対(2ケ)の硬質表面ロール間で行えばよい。その際のロール表面温度は、220〜400℃の温度範囲で行うものがよく、好ましくは、250〜350℃、さらに好ましくは、280〜330℃の温度範囲で行うことにより優れた結合結果が得られる。また、圧力は100〜250kg/cmの範囲の線圧力で行うものがよく、好ましくは、150〜250kg/cmの範囲の線圧力で行うものが例示される。また、該カレンダーによる加熱加圧加工は、カレンダー機の1段の処理でもよいがより厚さ方向により均質な紙を得るためには予備的に加熱加圧処理を施すカレンダー機の2段処理を行うこともできる。
本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維紙の坪量は、特に限定はされないが、好ましくは1〜500g/m2、より好ましくは10〜300g/m2、さらに好ましは10〜300g/m2であり、かかる坪量とした時、本発明の効果をより得られ易くなる傾向にある。
以下、実施例によって、本発明を更に詳しく具体的に説明する。ただし、これらの実施例は本発明の理解を助けるためのものであって、これらの記載によって、本発明の主旨に合致する実施例までも限定するものではない。
なお、実施例で用いた試験片の作成方法、及び、その評価方法は下記の方法によった。
(1)紙の引張り強力
定連伸長型引張試験機を用い、JIS C 2111の7に準拠する方法で、任意の一方向を強力と、それと垂直方向の強力を測定した。
(2)紙の寸法変化
長さ250mm、幅50mmの試料の長さ方向について、温度250℃で5分間熱処理した後の長さを測定し、熱処理前後での熱寸法変化率を算出した。
(1)紙の引張り強力
定連伸長型引張試験機を用い、JIS C 2111の7に準拠する方法で、任意の一方向を強力と、それと垂直方向の強力を測定した。
(2)紙の寸法変化
長さ250mm、幅50mmの試料の長さ方向について、温度250℃で5分間熱処理した後の長さを測定し、熱処理前後での熱寸法変化率を算出した。
[実施例1]
単繊維繊度1.67dtexのパラ型全芳香族ポリアミド繊維(帝人(株)製「テクノーラ」)に水を付与しながら引き揃え、トータルの繊度が約11.1万dtex(10万de)になるように束ねて、高速度(刃先線速度:5m/分以上)で回転するカッターにより3mmにカットしてパラ型全芳香族ポリアミド短繊維を得た。
さらに、上記のパラ型芳香族ポリアミド短繊維と、パラ型全芳香族ポリアミド(帝人(株)製「テクノーラ」)のフィブリッドを用いて水に分散させ、短繊維とフィブリッドが分散した抄紙用スラリー液を作成した。
次に、タッピー式角型手抄機を用い、該抄紙用スラリー液を使用して抄紙し、軽<加圧脱水後、温度160℃の熱風乾燥機中で約15分間乾燥して、パラ型全芳香族ポリアミド繊維紙を得た。次いで、直径400mmの一対の硬質表面金属ロールからなるカレンダー機を用い、温度300℃、線圧200kg/cmの条件で加熱・加圧して、坪量が80g/cm2のパラ型全芳香族ポリアミド繊維紙を得た。
パラ型全芳香族ポリアミド繊維紙の強力(長さ方向の強力:幅方向の強力=約1.2:1)及び寸法変化率については、前記の測定法により評価した。その結果を表1に示す。
単繊維繊度1.67dtexのパラ型全芳香族ポリアミド繊維(帝人(株)製「テクノーラ」)に水を付与しながら引き揃え、トータルの繊度が約11.1万dtex(10万de)になるように束ねて、高速度(刃先線速度:5m/分以上)で回転するカッターにより3mmにカットしてパラ型全芳香族ポリアミド短繊維を得た。
さらに、上記のパラ型芳香族ポリアミド短繊維と、パラ型全芳香族ポリアミド(帝人(株)製「テクノーラ」)のフィブリッドを用いて水に分散させ、短繊維とフィブリッドが分散した抄紙用スラリー液を作成した。
次に、タッピー式角型手抄機を用い、該抄紙用スラリー液を使用して抄紙し、軽<加圧脱水後、温度160℃の熱風乾燥機中で約15分間乾燥して、パラ型全芳香族ポリアミド繊維紙を得た。次いで、直径400mmの一対の硬質表面金属ロールからなるカレンダー機を用い、温度300℃、線圧200kg/cmの条件で加熱・加圧して、坪量が80g/cm2のパラ型全芳香族ポリアミド繊維紙を得た。
パラ型全芳香族ポリアミド繊維紙の強力(長さ方向の強力:幅方向の強力=約1.2:1)及び寸法変化率については、前記の測定法により評価した。その結果を表1に示す。
[実施例2]
パラ型全芳香族ポリアミド繊維からなるフィブリッドの替わりにパラ型全芳香族ポリアミドパルプ(帝人アラミド(株)製、「トワロンパルプ」)を用いること以外は、実施例1と同様に操作を行った。その結果を表1に示す。
パラ型全芳香族ポリアミド繊維からなるフィブリッドの替わりにパラ型全芳香族ポリアミドパルプ(帝人アラミド(株)製、「トワロンパルプ」)を用いること以外は、実施例1と同様に操作を行った。その結果を表1に示す。
[実施例3〜4]
パラ型全芳香族ポリアミド短繊維とパラ型全芳香族ポリアミドフィブリッドの割合を表1のように変えて紙を作成する以外は、実施例1と同様に操作を行った。その結果を表1に示す。
パラ型全芳香族ポリアミド短繊維とパラ型全芳香族ポリアミドフィブリッドの割合を表1のように変えて紙を作成する以外は、実施例1と同様に操作を行った。その結果を表1に示す。
[実施例5]
パラ型全芳香族ポリアミド短繊維のカット長を7mmとすること以外は、実施例1と同様に操作を行った。その結果を表1に示す。
パラ型全芳香族ポリアミド短繊維のカット長を7mmとすること以外は、実施例1と同様に操作を行った。その結果を表1に示す。
[比較例1]
パラ型全芳香族ポリアミド短繊維として、ポリパラフェニレン・テレフタルアミドからなる短繊維(帝人アラミド(株)製「トワロン」)を用いること以外は実施例2と同様に操作して行った。その結果を表1に示す。
パラ型全芳香族ポリアミド短繊維として、ポリパラフェニレン・テレフタルアミドからなる短繊維(帝人アラミド(株)製「トワロン」)を用いること以外は実施例2と同様に操作して行った。その結果を表1に示す。
[比較例2]
パラ型全芳香族ポリアミドのフィブリッドの替わりに、メタ型芳香族ポリアミドであるポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(帝人(株)製「コーネックス」)からなるフィブリッドを用いること以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果を表1に示す。
パラ型全芳香族ポリアミドのフィブリッドの替わりに、メタ型芳香族ポリアミドであるポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(帝人(株)製「コーネックス」)からなるフィブリッドを用いること以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果を表1に示す。
[比較例3〜4]
パラ型全芳香族ポリアミド短繊維とパラ型全芳香族ポリアミド繊維からなるフィブリッドの割合を表1のように変化させて紙を作成する以外は、実施例1と同様に操作を行った。その結果を表1に示す。
パラ型全芳香族ポリアミド短繊維とパラ型全芳香族ポリアミド繊維からなるフィブリッドの割合を表1のように変化させて紙を作成する以外は、実施例1と同様に操作を行った。その結果を表1に示す。
[比較例5]
パラ型全芳香族ポリアミド短繊維のカット長を1mmとすること以外は、実施例1と同様に操作を行った。その結果を表1に示す。
パラ型全芳香族ポリアミド短繊維のカット長を1mmとすること以外は、実施例1と同様に操作を行った。その結果を表1に示す。
本発明によれば、耐熱性や寸法安定性および引張り強力などに優れた、特に電気回路用積層物として好適なパラ型全芳香族ポリアミド繊維紙を得ることができる。
Claims (4)
- パラ型全芳香族ポリアミドからなる短繊維と、パラ型全芳香族ポリアミドからなるフィブリッドもしくはパルプとからなる紙であって、該紙の全重量に対して、該パラ型全芳香族ポリアミドからなる短繊維の重量比率が60〜97重量%であり、該パラ型全芳香族ポリアミドからなるフィブリッドもしくはパルプの重量比率が3〜40重量%であり、該紙の一方向における強力と該一方向と垂直方向における強力の和を、該紙の坪量の2倍で割った値が0.4以上であることを特徴とするパラ型全芳香族ポリアミド繊維紙。
- 短繊維を構成するパラ型全芳香族ポリアミドが、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドである請求項1記載のパラ型全芳香族ポリアミド繊維紙。
- フィブリッドもしくはパルプを構成するパラ型全芳香族ポリアミドが、ポリパラフェニレン・テレフタルアミドからなるポリアミドフィブリッドもしくはパルプである請求項1及び請求項2記載のパラ型全芳香族ポリアミド繊維紙。
- パラ型全芳香族ポリアミドからなる短繊維の繊維長が、2〜12mmの範囲にある請求項1〜3のいずれか記載のパラ型全芳香族ポリアミド繊維紙。
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