JP2015190006A - 金属粒子組成物、接合材及びそれを用いた接合方法 - Google Patents

金属粒子組成物、接合材及びそれを用いた接合方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 はんだの融点以上の温度でも、はんだが再融解せず、高い接合強度を発現する接合層を形成することが可能な接合材および接合方法を提供する。
【解決手段】金属粒子組成物は、成分A)レーザー回折/散乱法による平均粒子径が0.5〜20μmの範囲内であり、スズ元素を95重量%以上含有するスズ粒子、及び、成分B)走査型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径が30〜200nmの範囲内であり、ニッケル元素を90〜99.5重量%の範囲内で含有するニッケル微粒子、からなり、前記成分A及び成分Bの重量比(成分A:成分B)が50:50〜10:90の範囲内である。本発明の接合材は、前記金属粒子組成物の含有量が70〜95重量%の範囲内である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子部品の製造に利用可能な金属粒子組成物、接合材及びそれを用いた接合方法に関する。
金属微粒子は、バルク金属とは異なる物理的・化学的特性を有することから、様々な工業材料に利用されている。近年では、電子機器の小型化や薄型化に伴い、工業用の金属微粒子の粒子径も、数十〜数百nm程度まで微粒子化が進んでいる。例えば、比較的に安価で、高温での使用が可能なニッケル材料を利用した電子部品の接合材として、ニッケル又はニッケル合金により構成される金属微粒子と、該金属微粒子を被覆する酸素含有皮膜と、を備え、平均粒子径が100nm以下である金属ナノ粒子を含むものが提案されている(例えば、特許文献1)。
また、ニッケル粒子をはんだと組み合わせて接合材料に用いた例も提案されている。例えば特許文献2では平均粒径が20〜300μmのニッケル粒子をフォームはんだ中に分散させることにより、半導体素子の基板に対する傾斜を防止し、さらにニッケル粒子表面とはんだ間に金属間化合物を形成することで高接合強度を達成している。
近年、電力変換器用途をはじめとするパワーデバイスのさらなる高効率駆動を実現するため、高温駆動時の信頼性が求められるようになり、半導体実装材料における接合信頼性は重要な課題となっている。しかしながら、特許文献2のようなスズ系はんだによる接合材を用いた場合では、金属間化合物の形成は金属粒子の表面に限られているため、融点以上の温度で駆動する際に、当然ではあるが接合材の再融解が生じる、という問題があった。
国際公開WO2012/173187号 特許第5369682号公報
本発明の目的は、はんだの融点以上の温度でも、はんだが再融解せず、高い接合強度を発現する接合層を形成することが可能な接合材および接合方法を提供することである。
本発明者は、ナノサイズのニッケル微粒子を用いることにより、溶融したはんだとの間で金属間化合物形成が効率的に生じ、はんだの融点以上の温度であっても高い接合強度が得られることを見出した。
本発明の金属粒子組成物は、次の成分A及びB;
A)レーザー回折/散乱法による平均粒子径が0.5〜20μmの範囲内であり、スズ元素を95重量%以上含有するスズ粒子、
B)走査型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径が30〜200nmの範囲内であり、ニッケル元素を90〜99.5重量%の範囲内で含有するニッケル微粒子、
からなる金属粒子組成物であって、前記成分A及び成分Bの重量比(成分A:成分B)が50:50〜10:90の範囲内である。
本発明の接合材は、上記金属粒子組成物を含有する接合材であって、前記金属粒子組成物の含有量が70〜95重量%の範囲内である。
本発明の接合材は、さらに、沸点150〜260℃の範囲内にある有機溶媒を含有していてもよく、前記有機溶媒の含有量が5〜30重量%の範囲内であってもよい。
本発明の接合方法は、上記接合材を、被接合部材の間に介在させて還元性ガスを含有する還元性ガス雰囲気下で250〜500℃の範囲内の温度で加熱することにより、被接合部材の間に接合層を形成する。
本発明の金属粒子組成物、接合材及び接合方法によれば、250℃以上の温度で、ニッケル微粒子とはんだとの間に金属間化合物を効率的に形成することが可能となり、はんだの融点以上の温度でも、はんだが再融解せず、高い接合強度を発現する接合層が得られる。
実施例4におけるペースト4のDTAカーブである。 実施例4における接合層の断面SEM写真である。 実施例5におけるペースト5のDTAカーブである。 参考例1におけるスズ粒子のDTAカーブである。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[金属粒子組成物]
本発明の実施の形態の金属粒子組成物は、次の成分A及びB;
A)レーザー回折/散乱法による平均粒子径が0.5〜20μmの範囲内であり、スズ元素を95重量%以上含有するスズ粒子、
B)走査型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径が30〜200nmの範囲内であり、ニッケル元素を90〜99.5質量%の範囲内で含有するニッケル微粒子、
からなる金属粒子組成物であって、前記成分A及び成分重量Bの重量比(A:B)が50:50〜10:90の範囲内である。
<成分A:スズ粒子>
成分Aのスズ粒子は、接合前の接合層に適度な厚みを持たせ、骨格を形成する観点から、レーザー回折/散乱法による平均粒子径が0.5〜20μmの範囲内とする。平均粒子径が0.5μm未満であると、焼結過程で成分Bのニッケル微粒子が動きやすくなり、成分Bの凝集体が生じやすくなる。一方、平均粒子径が20μmを超えると、ニッケル微粒子と効率良く金属間化合物が形成されず、スズの偏在箇所が多くなり、脆弱な接合層となる。
また、スズ粒子は、スズ元素を95重量%以上含有する。スズ元素の含有率を95重量%以上とするのは、この含有率が融点200℃以上の鉛フリーはんだにおいて一般的な値であり、加熱時の溶融挙動を把握しやすいためである。
成分Aのスズ粒子は、スズ以外の金属を含有していてもよい。スズ以外の金属としては、例えば、例えば、ニッケル、チタン、コバルト、銅、クロム、マンガン、鉄、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、バナジウム等の卑金属、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム等の貴金属などの金属元素を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上含有していてもよい。
成分Aのスズ粒子は、その製造方法を問わず利用できる。成分Aのスズ粒子としては、例えば、株式会社日本フィラーメタルズ製(製品名:DS−10)、福田金属箔粉工業株式会社製(製品名:Sn−At−600)などの市販品を好ましく利用できる。
<成分B;ニッケル微粒子>
成分Bのニッケル微粒子は、走査型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径が30〜200nmの範囲内である。ニッケル微粒子の平均一次粒子径が30nm未満であると、ニッケル微粒子が凝集しやすくなり、スズ粒子との均一な混合が困難となる。一方、ニッケル微粒子の平均一次粒子径が200nmを超えると、後述する比較例2のように、スズ粒子との間で効率良く金属間化合物が形成されず、ニッケル微粒子同士の焼結性も低下する。なお、本明細書において、ニッケル微粒子の一次粒子の平均粒子径は、実施例で用いた値を含めて、電界放出形走査電子顕微鏡(Field Emission−Scanning Electron Microscope:FE−SEM)により試料の写真を撮影して、その中から無作為に200個を抽出してそれぞれの面積を求め、真球に換算したときの粒子径を個数基準として算出した値である。
成分Bのニッケル微粒子は、ニッケル元素を90〜99.0重量%の範囲内で含有する。成分Bとして、湿式還元法で製造したニッケル微粒子や分散処理を行ったニッケル微粒子を使用する場合は、それらの平均一次粒子径が30〜200nmの範囲内であると、表面被覆の炭素や不動態酸素の存在で、ニッケル元素の含有量は上記の値となる。
成分Bのニッケル微粒子は、ニッケル以外の金属を含有していてもよい。ニッケル以外の金属としては、例えば、スズ、チタン、コバルト、銅、クロム、マンガン、鉄、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、バナジウム等の卑金属、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム等の貴金属などの金属元素を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上含有していてもよい。
また、成分Bとして、湿式還元法で製造したニッケル微粒子や分散処理を行ったニッケル微粒子を使用する場合は、例えば、酸素元素、炭素元素などの非金属元素を含有していてもよい。炭素元素を含有する場合、その含有率は、例えば0.3〜2.5重量%の範囲内、好ましくは0.5〜2.0重量%の範囲内である。炭素元素は、ニッケル微粒子の表面に存在する有機化合物に由来するものであり、ニッケル微粒子の分散性向上に寄与する。従って、炭素元素の含有量が0.3重量%未満では、十分な分散性が得られない場合があり、2.5重量%を超える場合は、焼成後に炭化して残炭となり、接合層の導電性を低下させる可能性がある。また、酸素元素を含有する場合、その含有率は、例えば0.7〜7.5重量%の範囲内、好ましくは1.0〜2.0重量%の範囲内である。酸素元素は、主に水酸化ニッケルの被膜に由来するものであり、水酸化ニッケルの被膜が還元されて存在しなくなると、ニッケル微粒子の焼結が開始される。酸素元素の含有率が7.5重量%を超えると、ニッケル微粒子の凝集が生じやすくなり、ペースト状態を保持できず、粉状になる傾向となる。
成分Bのニッケル微粒子は、その製造方法を問わず利用できるが、ニッケル塩及び有機アミンを含む混合物から、湿式還元法によりニッケルイオンを加熱還元して析出させる公知の方法によって得られたものが好ましい(例えば、特許文献1を参照)。ここでは、湿式還元法によるニッケル微粒子の製造方法の一例について説明する。
湿式還元法によるニッケル微粒子の製造は、次の工程1及び2;
工程1)カルボン酸ニッケル及び1級アミンを含む混合物を、100℃〜165℃の範囲内の温度に加熱して錯化反応液を得る錯化反応液生成工程、
及び、
工程2)該錯化反応液を、マイクロ波照射によって170℃以上の温度に加熱して該錯化反応液中のニッケルイオンを還元し、1級アミンで被覆されたニッケル微粒子のスラリーを得るニッケル微粒子スラリー生成工程、
を含むことができる。
工程1)錯化反応液生成工程:
(カルボン酸ニッケル)
カルボン酸ニッケル(カルボン酸のニッケル塩)は、カルボン酸の種類を限定するものではなく、例えば、カルボキシル基が1つのモノカルボン酸であってもよく、また、カルボキシル基が2つ以上のカルボン酸であってもよい。また、非環式カルボン酸であってもよく、環式カルボン酸であってもよい。このようなカルボン酸ニッケルとして、非環式モノカルボン酸ニッケルを好適に用いることができ、非環式モノカルボン酸ニッケルのなかでも、ギ酸ニッケル、酢酸ニッケル、プロピオン酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、安息香酸ニッケル等を用いることがより好ましい。これらの非環式モノカルボン酸ニッケルを用いることによって、例えば、得られるニッケル微粒子は、その形状のばらつきが抑制され、均一な形状として形成されやすくなる。カルボン酸ニッケルは、無水物であってもよく、また水和物であってもよい。
(1級アミン)
1級アミンは、ニッケルイオンとの錯体を形成することができ、ニッケル錯体(又はニッケルイオン)に対する還元能を効果的に発揮する。一方、2級アミンは立体障害が大きいため、ニッケル錯体の良好な形成を阻害するおそれがあり、3級アミンはニッケルイオンの還元能を有しないため、いずれも単独では使用できないが、1級アミンを使用する上で、生成するニッケル微粒子の形状に支障を与えない範囲でこれらを併用することは差し支えない。1級アミンは、ニッケルイオンとの錯体を形成できるものであれば、特に限定するものではなく、常温で固体又は液体のものが使用できる。ここで、常温とは、20℃±15℃をいう。常温で液体の1級アミンは、ニッケル錯体を形成する際の有機溶媒としても機能する。なお、常温で固体の1級アミンであっても、100℃以上の加熱によって液体であるか、又は有機溶媒を用いて溶解するものであれば、特に問題はない。
1級アミンは、芳香族1級アミンであってもよいが、反応液におけるニッケル錯体形成の容易性の観点からは脂肪族1級アミンが好適である。脂肪族1級アミンは、例えばその炭素鎖の長さを調整することによって生成するニッケル微粒子の粒径を制御することができ、特に平均一次粒子径が30nm〜200nmの範囲内にあるニッケル微粒子を製造する場合において有利である。ニッケル微粒子の粒径を制御する観点から、脂肪族1級アミンは、その炭素数が6〜20程度のものから選択して用いることが好適である。炭素数が多いほど得られるニッケル微粒子の粒径が小さくなる。このようなアミンとして、例えばオクチルアミン、トリオクチルアミン、ジオクチルアミン、ヘキサデシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ミリスチルアミン、ラウリルアミン等を挙げることができる。例えばオレイルアミンは、ニッケル微粒子生成過程に於ける温度条件下において液体状態として存在するため均一溶液で反応を効率的に進行できる。
1級アミンは、ニッケル微粒子の生成時に表面修飾剤として機能するため、1級アミンの除去後においても二次凝集を抑制できる。また、1級アミンは、還元反応後の生成したニッケル微粒子の固体成分と溶剤または未反応の1級アミン等を分離する洗浄工程における処理操作の容易性の観点からは室温で液体のものが好ましい。更に、1級アミンは、ニッケル錯体を還元してニッケル微粒子を得るときの反応制御の容易性の観点からは還元温度より沸点が高いものが好ましい。すなわち、脂肪族1級アミンにおいては沸点が180℃以上のものが好ましく、200℃以上のものがより好ましく、また、炭素数が9以上のものが好ましい。ここで、例えば炭素数が9である脂肪族アミンのC21N(ノニルアミン)の沸点は201℃である。1級アミンの量は、ニッケル1molに対して2mol以上用いることが好ましく、2.2mol以上用いることがより好ましく、4mol以上用いることが望ましい。1級アミンの量が2mol未満では、得られるニッケル微粒子の粒子径の制御が困難となり、粒子径がばらつきやすくなる。また、1級アミンの量の上限は特にはないが、例えば生産性の観点からは20mol以下とすることが好ましい。
(有機溶媒)
工程1では、均一溶液での反応をより効率的に進行させるために、1級アミンとは別の有機溶媒を新たに添加してもよい。有機溶媒を用いる場合、有機溶媒をカルボン酸ニッケル及び1級アミンと同時に混合してもよいが、カルボン酸ニッケル及び1級アミンを先ず混合し錯形成した後に有機溶媒を加えると、1級アミンが効率的にニッケル原子に配位するので、より好ましい。使用できる有機溶媒としては、1級アミンとニッケルイオンとの錯形成を阻害しないものであれば、特に限定するものではなく、例えば炭素数4〜30のエーテル系有機溶媒、炭素数7〜30の飽和又は不飽和の炭化水素系有機溶媒、炭素数8〜18のアルコール系有機溶媒等を使用することができる。また、マイクロ波照射による加熱条件下でも使用を可能とする観点から、使用する有機溶媒は、沸点が170℃以上のものを選択することが好ましく、より好ましくは200〜300℃の範囲内にあるものを選択することがよい。このような有機溶媒の具体例としては、例えばテトラエチレングリコール、n−オクチルエーテル等が挙げられる。
錯形成反応は室温に於いても進行することができるが、十分且つ、より効率の良い錯形成反応を行うために、100℃〜165℃の範囲内の温度に加熱して反応を行う。この加熱は、カルボン酸ニッケルとして、例えばギ酸ニッケル2水和物や酢酸ニッケル4水和物のようなカルボン酸ニッケルの水和物を用いた場合に特に有利である。加熱温度は、好ましくは100℃を超える温度とし、より好ましくは105℃以上の温度とすることで、カルボン酸ニッケルに配位した配位水と1級アミンとの配位子置換反応が効率よく行われ、この錯体配位子としての水分子を解離させることができ、さらにその水を系外に出すことができるので効率よく錯体を形成させることができる。例えば、ギ酸ニッケル2水和物は、室温では2個の配位水と2座配位子である2個のギ酸イオンが存在した錯体構造をとっているため、この2つの配位水と1級アミンの配位子置換により効率よく錯形成させるには、100℃より高い温度で加熱することでこの錯体配位子としての水分子を解離させることが好ましい。また、カルボン酸ニッケルと1級アミンとの錯形成反応における熱処理は、後に続くニッケル錯体(又はニッケルイオン)のマイクロ波照射による加熱還元の過程と確実に分離し、前記の錯形成反応を完結させるという観点から、上記の上限温度以下とし、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下とすることがよい。
加熱時間は、加熱温度や、各原料の含有量に応じて適宜決定することができるが、錯形成反応を完結させるという観点から、10分以上とすることが好ましい。加熱時間の上限は特にないが、長時間熱処理することはエネルギー消費及び工程時間を節約する観点から無駄である。なお、この加熱の方法は、特に制限されず、例えばオイルバスなどの熱媒体による加熱であっても、マイクロ波照射による加熱であってもよい。
カルボン酸ニッケルと1級アミンとの錯形成反応は、カルボン酸ニッケルと1級アミンとを有機溶媒中で混合して得られる溶液を加熱したときに、溶液の色の変化によって確認することができる。また、この錯形成反応は、例えば紫外・可視吸収スペクトル測定装置を用いて、300nm〜750nmの波長領域において観測される吸収スペクトルの吸収極大の波長を測定し、原料の極大吸収波長(例えばギ酸ニッケル2水和物ではその極大吸収波長は710nmであり、酢酸ニッケル4水和物ではその極大吸収波長は710nmである。)に対する錯化反応液のシフト(極大吸収波長が600nmにシフト)を観測することによって確認することができる。
カルボン酸ニッケルと1級アミンとの錯形成が行われた後、得られる反応液を、次に説明するように、マイクロ波照射によって加熱することにより、ニッケル錯体のニッケルイオンが還元され、ニッケルイオンに配位しているカルボン酸イオンが同時に分解し、最終的に酸化数が0価のニッケルを含有するニッケル微粒子が生成する。一般にカルボン酸ニッケルは水を溶媒とする以外の条件では難溶性であり、マイクロ波照射による加熱還元反応の前段階として、カルボン酸ニッケルを含む溶液は均一反応溶液とする必要がある。これに対して、本実施の形態で使用される1級アミンは、使用温度条件で液体であり、かつそれがニッケルイオンに配位することで液化し、均一反応溶液を形成すると考えられる。
工程2)ニッケル微粒子スラリー生成工程:
本工程では、カルボン酸ニッケルと1級アミンとの錯形成反応によって得られた錯化反応液を、マイクロ波照射によって170℃以上の温度に加熱し、錯化反応液中のニッケルイオンを還元して1級アミンで被覆されたニッケル微粒子スラリーを得る。マイクロ波照射によって加熱する温度は、得られるニッケル微粒子の形状のばらつきを抑制するという観点から、好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上とすることがよい。加熱温度の上限は特にないが、処理を能率的に行う観点からは例えば270℃以下とすることが好適である。なお、マイクロ波の使用波長は、特に限定するものではなく、例えば2.45GHzである。なお、加熱温度は、例えばカルボン酸ニッケルの種類やニッケル微粒子の核発生を促進させる添加剤の使用などによって、適宜調整することができる。
本工程では、マイクロ波が反応液内に浸透するため、均一加熱が行われ、かつ、エネルギーを媒体に直接与えることができるため、急速加熱を行うことができる。これにより、反応液全体を所望の温度に均一にすることができ、ニッケル錯体(又はニッケルイオン)の還元、核生成、核成長各々の過程を溶液全体において同時に生じさせ、結果として粒径分布の狭い単分散な粒子を短時間で容易に製造することができる。
均一な粒径を有するニッケル微粒子を生成させるには、工程1の錯化反応液生成工程(ニッケル錯体の生成が行われる工程)でニッケル錯体を均一にかつ十分に生成させることと、本工程2のニッケル微粒子スラリー生成工程で、ニッケル錯体(又はニッケルイオン)の還元により生成するニッケル(0価)の核の同時発生・成長を行う必要がある。すなわち、錯化反応液生成工程の加熱温度を上記の特定の範囲内で調整し、ニッケル微粒子スラリー生成工程におけるマイクロ波による加熱温度よりも確実に低くしておくことで、粒径・形状の整った粒子が生成し易い。例えば、錯化反応液生成工程で加熱温度が高すぎるとニッケル錯体の生成とニッケル(0価)への還元反応が同時に進行し異種の金属種が発生することで、ニッケル微粒子スラリー生成工程での粒子形状の整った粒子の生成が困難となるおそれがある。また、ニッケル微粒子スラリー生成工程の加熱温度が低すぎるとニッケル(0価)への還元反応速度が遅くなり核の発生が少なくなるため粒子が大きくなるだけでなく、ニッケル微粒子の収率の点からも好ましくはない。
マイクロ波照射によって加熱して得られるニッケル微粒子スラリーを、例えば、静置分離し、上澄み液を取り除いた後、適当な溶媒を用いて洗浄し、乾燥することで、ニッケル微粒子が得られる。ニッケル微粒子スラリー生成工程においては、必要に応じ、前述した有機溶媒を加えてもよい。なお、前記したように、錯形成反応に使用する1級アミンを有機溶媒としてそのまま用いることが好ましい。
以上のようにして、平均一次粒子径が30〜200nmの範囲内のニッケル微粒子を調製することができる。ニッケル以外の原料金属微粒子についても、上記方法に準じて製造できる。
<配合比>
金属粒子組成物は、成分A及び成分Bの重量比(成分A:成分B)が50:50〜10:90の範囲内である。上記範囲よりもスズ粒子の割合が高くなると、金属化合物を形成していないスズ成分が再溶融するので、高温での接合層としての適用が困難となる。一方、上記範囲よりもスズ粒子の割合が低くなると、ニッケル微粒子どうしの焼結が支配的となり、無加圧による接合が困難となり、その結果として後述する比較例1に示したように接合層としての強度不足が生じる。
[接合材]
本実施の形態の接合材は、上記金属粒子組成物を含有する。本実施の形態の接合材は、さらに、沸点150〜260℃の範囲内にある有機溶媒を含有することができる。接合材は、高沸点の有機溶媒を添加後、濃縮し、ペーストの形態とすることが好ましい。使用する有機溶媒の沸点が150℃未満であると、長期安定性に欠く傾向があり、260℃を超えると、焼成時に揮発せずに、接合層中に残炭が生じ、粒子同士の焼結や金属間化合物の形成を阻害する傾向がある。
接合材における金属粒子組成物の含有量は、例えば70〜95重量%の範囲内であり、85〜94重量%の範囲内が好ましい。金属粒子組成物の含有量が70重量%未満であると、接合層の厚みが薄くなる場合があり、例えば塗布などを複数回繰り返す必要が生じてムラの原因となり、また十分な接合強度が得られない場合がある。一方、金属粒子組成物の含有量が95重量%を超えると、ペーストとしての流動性が失われ、塗布が困難になるなど使用性が低下する場合がある。
沸点が150〜260℃の範囲内にある溶媒として、例えば、アルコール系、芳香族系、炭化水素系、エステル系、ケトン系、エーテル系の溶媒が使用できる。アルコール系溶媒の例としては、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、1−デカノールなどの炭素数7以上の脂肪族アルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、テトラメチレングリコール、メチルトリグリコール等の多価アルコール類、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール等のテルピネオール類、さらにエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルメトキシブタノール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−フェノキシエタノール、1−フェノキシ−2−プロパノール等のエーテル基を有するアルコール類を挙げることができる。
本実施の形態の接合材における有機溶媒の含有量は、例えば、5〜30重量%の範囲内であり、6〜15重量%の範囲内が好ましい。接合材における有機溶媒の含有量が5重量%未満であると、流動性が低下して接合材としての使用性が低下する場合がある。一方、有機溶媒の含有量が30重量%を超えると、例えば塗布などを複数回繰り返す必要が生じてムラの原因となり、また十分な接合強度が得られない場合がある。
本実施の形態の接合材は、ニッケル−スズの金属間化合物の形成およびニッケル粒子間の焼結を阻害しない範囲で、上記成分以外に、各種添加剤を加えてもよい。添加剤としては、例えば、粘度調整剤、チキソ材、バインダー樹脂等を挙げることができる。
[接合方法]
本実施の形態の接合方法は、上記接合材を、被接合部材の間に介在させて還元性ガスを含有する還元性ガス雰囲気下で250〜500℃の範囲内、好ましくは300〜350℃の範囲内の温度で加熱することにより、被接合部材の間に接合層を形成する。スズとニッケルは、230℃程度で金属間化合物を形成する。従って、還元性ガス雰囲気下で加熱を行うことにより、ニッケル微粒子表面の不動態層を除去し、スズとの金属化合物の形成を進行させ、ニッケル微粒子間の焼結も進行させることができる。また、スズ系はんだを融解させるための加熱温度は230℃程度でよいが、ニッケル微粒子の表面が露出した状態になってから初めて焼結が進行すると考えられることから、ニッケル微粒子の表面に存在する有機物を揮発又は分解させるために、加熱温度を250℃以上とすることが好ましい。一方、加熱温度が500℃を超えると、被接合部材としての半導体デバイスなどにダメージを与える場合がある。
本実施の形態の接合方法は、例えば、ペースト状の接合材を一対の被接合部品の片方又は両方の被接合面に塗布する工程(塗布工程)、被接合面どうしを貼り合せ、例えば温度250〜500℃の範囲内、好ましくは300〜350℃の範囲内で加熱することにより、接合材を焼結させる工程(焼成工程)、並びに、焼結した接合材を冷却することにより固化し、金属接合層を形成する工程(固化工程)、を含むことができる。
接合材を塗布する塗布工程では、例えばスプレー塗布、インクジェット塗布、印刷等の方法を採用できる。接合材は、目的に応じて、例えばパターン状、アイランド状、メッシュ状、格子状、ストライプ状など任意の形状に塗布することができる。塗布工程では、塗布膜の厚みが50〜200μmの範囲内となるように、接合材を塗布することが好ましい。このような厚みで塗布をすることで、接合部分の欠陥を少なくできるため、電気抵抗の上昇や接合強度の低下を防止できる。
また、焼成工程は、例えばHなどの還元性ガスが存在する雰囲気で行うことが好ましい。また、減圧することで、ボイド発生を抑制する効果が得られる。例えば大気圧の95%以下の圧力でその効果が確認できる。また、接合面を貼り合わせる際には、必要に応じて加圧することができる。
焼成工程及び固化工程では、スズとニッケルが金属間化合物を形成するとともに、ニッケル微粒子どうしが焼結し、均一で強固な接着力を持つ金属接合層を形成することができる。また、金属接合層を形成することによって金属接合層の導電性が確保される。
金属微粒子が焼結して形成される接合部分(金属接合層)の厚みは、例えば40〜100μmの範囲内が好ましい。接合部分の厚みがこれよりも薄い場合は、接合部分の欠陥が多くなり、電気抵抗の上昇や、強度の低下を引き起こす原因となる。
本実施の形態の接合方法は、例えば、Si、SiCの半導体材料の接合や、電子部品の製造過程で利用できる。ここで、電子部品としては、主に半導体装置、エネルギー変換モジュール部品などを例示できる。電子部品が半導体装置である場合、例えば、半導体素子の裏面と基板との間、半導体電極と基板電極との間、半導体電極と半導体電極との間、パワーデバイス若しくはパワーモジュールと放熱部材との間などの接合に適用できる。
電子部品を接合させる際は、接合強度を高めるため、予め被接合面の片方又は両方に、例えば、Au,Cu,Pd,Ni,Ag,Cr,Tiあるいはそれらの合金などの材質の接触金属層を設けておくことが好ましい。また、被接合面の材質が、SiCもしくはSiあるいはそれらの表面の酸化膜である場合は、例えばTi,TiW,TiN,Cr,Ni、Pd,Vあるいはそれらの合金などの材質の接触金属層を設けておくことが好ましい。接触金属層の膜厚は、それぞれ、例えば50nm以上2μm以下の範囲内であることが好ましい。接触金属層の厚みが50nm未満では、欠陥が生じやすく、2μm超では蒸着工程が長くなり、生産効率が低下することがある。
また、本実施の形態の接合方法は、金属材料などの接合にも利用できる。特に蝋材や溶接による接合で、熱影響部における母材の劣化がみられる場合に低温で接合することが好適である。また、本実施の形態の接合方法は、例えば、焼き入れ鋼、ステンレス鋼、加工硬化により強化された金属材料、熱酸化や熱ひずみにより劣化する無機材料や金属材料の接合にも適している。被接合体は管、板、継手、ロッド、ワイヤ、ボルトなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明は、実施例によって制約されるものではない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[平均粒子径の測定]
成分A(スズ粒子)および比較例2で使用されるニッケル粒子の平均粒子径はレーザー回折/散乱法にて求めた。成分B(ニッケル微粒子)の平均粒子径の測定は、電界放出形走査電子顕微鏡(Field Emission−Scanning Electron Microscope:FE−SEM)により試料の写真を撮影して、その中から無作為に200個を抽出してそれぞれの面積を求め、真球に換算したときの粒子径を個数基準として一次粒子の平均粒子径を算出した。また、CV値(変動係数)は、(標準偏差)÷(平均粒子径)によって算出した。なお、CV値が小さいほど、粒子径がより均一であることを示す。
[焼成方法]
焼結性試験用サンプルの焼成は、小型イナートガスオーブン(光洋サーモシステム社製、商品名;KLO−30NH)を使用し、昇温速度5℃/分で、常温から350℃まで昇温した後、350℃で1時間保持した。次いで、400分間かけて50℃まで降温した後、常温まで放置した。
[金属間化合物の定性分析]
熱分析)成分A(スズ粒子)中のSnの加熱溶融と、成分Bとの金属間化合物生成によって再溶融が生じないことを、示差熱熱重量同時測定装置(Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis:TG−DTA、株式会社日立ハイテクサイエンス製、商品名;TG/DTA7220)を用いて確認した。測定は以下の条件を連続して実施した。
昇温1)
昇温条件 :30℃から325℃まで5℃/分の速度で昇温後10分保持
ガスフロー :窒素/水素=97/3体積比 混合ガス 200ml/分
降温)
降温条件 :325℃から100℃以下まで15℃/分の速度で降温後10分保持
ガスフロー :窒素/水素=97/3体積比 混合ガス 200ml/分
昇温2)
昇温条件 :30℃から300℃まで5℃/分の速度で昇温後10分保持
ガスフロー :窒素 200ml/分
[せん断強度(シェア強度)の評価]
ステンレス製マスク(マスク幅;2.0mm×長さ;2.0mm×厚さ;0.1mm)を用いて、試料を金めっき銅基板(幅;10mm×長さ;10mm×厚さ;1.0mm)上に塗布して塗布膜を形成した後、その塗布膜の上に、シリコンダイ(幅;2.0mm×長さ;2.0mm×厚さ;0.40mm)を搭載し、焼成を行った。得られた接合サンプル(接合層の厚さ;50μm程度)を接合強度試験機(デイジ・ジャパン社製、商品名;ボンドテスター4000)により、せん断強度を測定した。測定は常温または加熱ステージで銅基板を260℃に加熱しながら実施した。ダイ側面からボンドテスターツールを、基板からの高さ50μm、ツール速度100μm/秒で押圧し、接合部がせん断破壊したときの荷重をせん断強度(シェア強度)とした。なお、金めっき銅基板は、Cu基板(厚さ;1.0mm)の表面に、Ni/Auをそれぞれ4μm/40〜50nmの厚みでめっきしたものであり、シリコンダイは、Si基板(厚さ;0.40mm)の接合面に、Auを15〜20nmの厚みで蒸着したものである。
[接合サンプルの断面SEM観察]
上記せん断強度評価と同様に作製した接合サンプルを、エポキシ樹脂により包埋後、断面加工を施し、電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)にて観察した。
(合成例1)
642重量部のオレイルアミンに100.1重量部の酢酸ニッケル四水和物を加え、窒素フロー下、150℃で20分加熱することによって酢酸ニッケルを溶解させて錯化反応液を得た。次いで、その錯化反応液に、492重量部のオレイルアミンを加え、マイクロ波を用いて250℃で5分加熱することによって、ニッケル微粒子スラリーを得た。
ニッケル微粒子スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンとメタノールを用いて洗浄した後、60℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してニッケル微粒子(平均一次粒子径;92nm、CV値;0.19)を得た。
<スラリー溶液の調製>
合成例1で得られたニッケル微粒子を100重量部分取し、これに20重量部のオクタン酸を加え、15分間撹拌した後、トルエンで洗浄し、スラリー溶液1(固形分濃度68.1重量%)を調製した。
(実施例1)
<ペースト1の調製>
スラリー溶液1の152重量部を分取し、これに10.3重量部のSn粒子(重量比Sn/Ag/Cu=96.5/2.9/0.51、製品名DS−10 株式会社日本フィラーメタルズ製 平均粒径12.8μm)、12.4重量部のα−テルピネオール(和光純薬工業株式会社製 沸点;220℃)、4.6重量部のテトラデカン(和光純薬工業株式会社製 沸点254℃)、0.06重量部のバインダー樹脂(製品名エスレックSV−05 積水化学工業株式会社製)を混合し、エバポレータにて60℃、100hPaで濃縮を行い、130.9重量部のペースト1(固形分濃度87.0wt%)を調製した。
実施例1のペースト1を用いて、上記方法にて接合サンプルを作製し、測定したせん断強度は、0.1kgf/mmであった。結果を表1に示す。
(実施例2)
<ペースト2の調製>
スラリー溶液1の104重量部を分取し、これに18.0重量部のはんだ粒子(重量比Sn/Ag/Cu=96.5/2.9/0.51、製品名DS−10 株式会社日本フィラーメタルズ製 平均粒径12.8μm)、7.2重量部のα−テルピネオール(和光純薬工業株式会社製 沸点;220℃)、2.7重量部のテトラデカン(和光純薬工業株式会社製 沸点254℃)、0.05重量部のバインダー樹脂(製品名エスレックSV−05 積水化学工業株式会社製)を混合し、エバポレータにて60℃、100hPaで濃縮を行い、98.8重量部のペースト2(固形分濃度89.9重量%)を調製した。
実施例2のペースト2を用いて、上記方法にて接合サンプルを作製し、測定したせん断強度は、1.1kgf/mmであった。結果を表1に示す。
(実施例3)
<ペースト3の調製>
スラリー溶液1の121重量部を分取し、これに20.6重量部のはんだ粒子(重量比Sn/Ag/Cu=96.5/2.9/0.51、製品名DS−10 株式会社日本フィラーメタルズ製 平均粒径12.8μm)、6.7重量部のα−テルピネオール(和光純薬工業株式会社製 沸点;220℃)、1.4重量部のテトラデカン(和光純薬工業株式会社製 沸点254℃)、0.48重量部のバインダー樹脂(製品名エスレックBH−A 積水化学工業株式会社製)を混合し、エバポレータにて60℃、100hPaで濃縮を行い、95.3重量部のペースト3(固形分濃度91.0重量%)を調製した。
実施例3のペースト3を用いて、上記方法にて接合サンプルを作製し、測定したせん断強度は、3.0kgf/mmであった。また、260℃加熱ステージを用いて測定したせん断強度は2.9kgf/mmであった。結果を表1に示す。
(実施例4)
<ペースト4の調製>
スラリー溶液1の133重量部を分取し、これに22.8重量部のスズ粒子(製品名Sn−At−600 福田金属箔粉工業株式会社製 平均粒径7.3μm)、8.3重量部のα−テルピネオール(和光純薬工業株式会社製 沸点;220℃)、1.8重量部のテトラデカン(和光純薬工業株式会社製 沸点254℃)、0.6重量部のバインダー樹脂(製品名エスレックBH−A 積水化学工業株式会社製)を混合し、エバポレータにて60℃、100hPaで濃縮を行い、124重量部のペースト4(固形分濃度91.4重量%)を調製した。
実施例4のペースト4を用いて、上記方法にて接合サンプルを作製し、測定したせん断強度は、3.3kgf/mmであった。また、260℃加熱ステージを用いて測定したせん断強度は3.7kgf/mmであった。結果を表1に示す。
実施例4のペースト4を上記方法にてTG−DTAを測定した。その結果を図1に示す。図1より、昇温1における230℃の吸熱ピークから、スズ粒子の溶融が確認できる。さらに、昇温2において発熱ピーク、吸熱ピークが検出されないことから、スズは昇温1の段階にてニッケルとの金属間化合物が生成したと推定できる。
ペースト4を用いて、上記方法にて断面SEM観察を実施した。その結果を図2に示す。図2より、良好な接合層の形成が確認される。
(実施例5)
<ペースト5の調製>
スラリー溶液1の126重量部を分取し、これに57.3重量部のスズ粒子(製品名Sn−At−600 福田金属箔粉工業株式会社製 平均粒径7.3μm)、9.8重量部のα−テルピネオール(和光純薬工業株式会社製 沸点;220℃)、2.1重量部のテトラデカン(和光純薬工業株式会社製 沸点254℃)、0.8重量部のバインダー樹脂(製品名エスレックBH−A 積水化学工業株式会社製)を混合し、エバポレータにて60℃、100hPaで濃縮を行い、155重量部のペースト5(固形分濃度91.8重量%)を調製した。
実施例5のペースト5を上記方法にて接合サンプルを作製し、測定したせん断強度は、2.9kgf/mmであった。また、260℃加熱ステージを用いて測定したせん断強度は4.2kgf/mmであった。結果を表1に示す。
実施例5のペースト5を上記方法にてTG−DTAを測定した。その結果を図3に示す。図3より、昇温1における230℃の吸熱ピークから、スズ粒子の溶融が確認できる。さらに、昇温2において発熱ピーク、吸熱ピークが検出されないことから、スズは昇温1の段階にてニッケルとの金属間化合物が生成したと推定できる。
(比較例1)
<ペースト6の調製>
スラリー溶液1の166重量部を分取し、これに、20.7重量部のα−テルピネオール(和光純薬工業株式会社製 沸点;220℃)、7.6重量部のテトラデカン(和光純薬工業株式会社製 沸点254℃)、0.7重量部のバインダー樹脂(製品名エスレックBH−A 積水化学工業株式会社製)を混合し、エバポレータにて60℃、100hPaで濃縮を行い、142重量部のペースト6(固形分濃度80.0重量%)を調製した。
比較例1のペースト6を上記方法にて接合サンプルを作製し、測定したせん断強度は、0kgf/mmであった。結果を表1に示す。
(比較例2)
<ペースト7の調製>
ニッケル粉(関東化学工業株式会社製 平均粒径3.2μm)の79.2重量部を分取し、これに19.7重量部のスズ粒子(製品名Sn−At−600 福田金属箔粉工業株式会社製 平均粒径7.3μm)、9.3重量部のα−テルピネオール(和光純薬工業株式会社製 沸点;220℃)、2.0重量部のテトラデカン(和光純薬工業株式会社製 沸点254℃)、0.6重量部のバインダー樹脂(製品名エスレックBH−A 積水化学工業株式会社製)を混合し、エバポレータにて60℃、100hPaで濃縮を行い、111重量部のペースト7(固形分濃度89.1重量%)を調製した。
比較例2のペースト7を上記方法にて接合サンプルを作製し、測定したせん断強度は、0kgf/mmであった。結果を表1に示す。
(参考例1)
スズ粒子(製品名Sn−At−600 福田金属箔粉工業株式会社製 平均粒径7.3μm)のTG−DTA測定を下記条件で行った。その結果を図4に示す。図4より、昇温2における再融解のピークの発生を確認した。
昇温1)
昇温条件 :30℃から300℃まで5℃/分の速度で昇温
ガスフロー :窒素/水素=97/3体積比 混合ガス 200ml/分
降温)
降温条件 :300℃から100℃以下まで15℃/分の速度で降温後10分保持
ガスフロー :窒素/水素=97/3体積比 混合ガス 200ml/分
昇温2)
昇温条件 :30℃から300℃まで5℃/分の速度で昇温
ガスフロー :大気 200ml/分
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。

Claims (4)

  1. 次の成分A及びB;
    A)レーザー回折/散乱法による平均粒子径が0.5〜20μmの範囲内であり、スズ元素を95重量%以上含有するスズ粒子、
    B)走査型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径が30〜200nmの範囲内であり、ニッケル元素を90〜99.5重量%の範囲内で含有するニッケル微粒子、
    からなる金属粒子組成物であって、前記成分A及び成分Bの重量比(成分A:成分B)が50:50〜10:90の範囲内である金属粒子組成物。
  2. 請求項1に記載の金属粒子組成物を含有する接合材であって、前記金属粒子組成物の含有量が70〜95重量%の範囲内である接合材。
  3. さらに、沸点150〜260℃の範囲内にある有機溶媒を含有し、前記有機溶媒の含有量が5〜30重量%の範囲内である請求項2に記載の接合材。
  4. 請求項2又は3に記載の接合材を、被接合部材の間に介在させて還元性ガスを含有する還元性ガス雰囲気下で250〜500℃の範囲内の温度で加熱することにより、被接合部材の間に接合層を形成する接合方法。
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