JP2015187927A - 電極の2枚取り検出方法、及び電極の2枚取り検出装置 - Google Patents

電極の2枚取り検出方法、及び電極の2枚取り検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】2枚取りを速やかに検出することができる電極の2枚取り検出方法、及び電極の2枚取り検出装置を提供すること。【解決手段】セパレータ収納電極20の2枚取り検出方法では、ハンマリングを行ってセパレータ収納電極20に振動を与え、ハンマリングによってセパレータ収納電極20に発生した振動を振動検出装置53によって検出する。2枚取りされたセパレータ収納電極20のうちの下側のセパレータ収納電極20が、上側のセパレータ収納電極20から剥離するのに伴って発生する特定の弾性波が振動検出装置53によって検出された場合に、セパレータ収納電極20の2枚取りの発生を検出する。【選択図】図8

Description

本発明は、電極の2枚取り検出方法及び電極の2枚取り検出装置に関する。
EV(Electric Vehicle)やPHV(Plug in Hybrid Vehicle)などの車両には、原動機となる電動機への供給電力を蓄える蓄電装置としてリチウムイオン電池などの二次電池が搭載されている。二次電池は、電極組立体を有し、この電極組立体は、例えば両面に活物質層が形成された矩形状及びシート状の正極電極と負極電極がセパレータを間に挟んだ状態で積層されて構成される。
二次電池の製造時には、例えば、各収納部に収納された正極電極、セパレータ、及び負極電極を、吸着装置で吸着し、その吸着装置を積層テーブルまで搬送し、積層テーブルで積層して電極組立体が形成される。
ところで、正極電極や負極電極は、薄いシート状であることから、吸着装置で吸着した際、静電気等により、その吸着した正極電極や負極電極に2枚目の正極電極や負極電極が付着する2枚取りが発生してしまう。このような2枚取りを検出する装置として、例えば、特許文献1が挙げられる。
特許文献1の板材の2枚検出装置は、吸着装置で持ち上げられた板材に上面から接触して振動を与える加振機と、その接触位置とは異なる箇所で板材に上面から接触して振動を受信する振動測定子とを有する。そして、振動測定子によって測定された振動測定値は、2枚吸着判定手段に入力され、その2枚吸着判定手段が、1枚か複数枚かの固有振動数の差から2枚取りの判定を行う。
特開平7−53095号公報
ところが、特許文献1に開示の板材の2枚検出装置では、振動測定子によって固有振動数を測定可能とするには、加振機から板材に連続的に振動を与え続けなければならず、2枚取りの検出までに要する時間が長くなってしまう。
本発明は、2枚取りを速やかに検出することができる電極の2枚取り検出方法、及び電極の2枚取り検出装置を提供することにある。
上記問題点を解決するための電極の2枚取り検出方法は、積層されたシート状の電極のうち、最上層の電極を搬送装置で持ち上げて搬送する際に発生する電極の2枚取りを検出するための方法であって、ハンマリングを行って、前記搬送装置によって持ち上げられた電極に振動を与え、前記ハンマリングによって電極に発生した振動を振動検出装置によって検出した際、2枚取りされた電極のうちの下側の電極が、上側の電極から剥離するのに伴って発生する特定の弾性波の振動を検出した場合に、前記電極の2枚取りの発生を検出することを要旨とする。
また、上記問題点を解決するための電極の2枚取り検出装置は、積層されたシート状の電極のうち、最上層の電極を搬送装置で持ち上げて搬送する際に発生する電極の2枚取りを検出するための検出装置であって、ハンマリングを行って、前記搬送装置によって持ち上げられた電極に振動を与えるハンマリング装置と、前記電極に発生した振動を検出して周波数信号に変換する振動検出装置と、前記振動検出装置から出力された周波数信号の中から、2枚取りされた電極のうちの下側の電極が、上側の電極から剥離するのに伴って発生する特定の弾性波の周波数信号を抽出するフィルタと、前記特定の周波数信号を検出した場合に、電極の2枚取りの発生を検出する判定部と、を有することを要旨とする。
これによれば、電極の2枚取り発生の検出は、下側の電極が上側の電極から剥離する際に生じる特定の弾性波の振動を検出して行う。剥離に伴って生じる弾性波は、ハンマリングによって電極に生じる固有振動とは異なる特徴的な周波数を持つため、1枚取りと2枚取りのときの固有振動数だけを比較する場合と比べて、2枚取りの発生が検出しやすくなる。そして、2枚取りの発生を検出するために、固有振動数だけを比較する必要がなく、固有振動数の検出のために、電極に対し連続的に振動を与え続ける必要もないため、2枚取りの発生を速やかに検出することができる。
また、2枚取り検出装置では、フィルタによって、剥離によって発生する特定の弾性波の周波数信号を抽出する。このため、特定の弾性波の検出漏れが抑制でき、2枚取りの発生を適格に検出できる。
また、電極の2枚取り検出方法について、前記ハンマリングは、前記搬送装置によって持ち上げられた電極に対し直接行うことが好ましい。
これによれば、例えば、搬送装置にハンマリングを行い、搬送装置を介して電極に振動を与える場合と比べると、電極に対して振動を確実に与えることができる。
また、電極の2枚取り検出方法について、前記電極は、シート状の集電体の少なくとも片面に設けられた活物質層と、前記活物質層が設けられず前記集電体の露出した活物質未塗工部と、を有し、前記ハンマリングは、前記活物質未塗工部に対して行うのが好ましい。
これによれば、ハンマリングを行っても、活物質層が損傷を受けなくて済む。
また、電極の2枚取り検出方法について、前記搬送装置で持ち上げられる電極は、セパレータで覆われていてもよい。
これによれば、セパレータ同士は静電気等により付着しやすく、セパレータで覆われた電極は2枚取りが発生しやすい。セパレータで覆われた電極の搬送時に、2枚取り検出方法を採用することで、セパレータで覆われた電極が2枚取りされたまま搬送されてしまうことを抑制することができる。
本発明によれば、2枚取りを速やかに検出することができる。
実施形態の二次電池の外観を示す斜視図。 電極組立体の構成要素を示す分解斜視図。 実施形態の生産設備を示す平面図。 2枚取り検出装置の回路構成を示すブロック図。 吸着装置が収納部上に位置した状態を示す側面図。 セパレータ収納電極を吸着した状態を示す側面図。 2枚取りが発生したセパレータ収納電極にハンマリングした状態の側面図。 剥離が進行したときの状態を示す側面図。
以下、電極の2枚取り検出方法及び2枚取り検出装置を具体化した一実施形態を図1〜図8にしたがって説明する。
図1に示すように、蓄電装置としての二次電池10は、外観が角型をなす角型電池であり、リチウムイオン電池である。二次電池10は、ケース11内に電極組立体12と電解液を有する。ケース11は、有底四角筒状のケース本体13と、当該ケース本体13の開口部を閉塞する矩形平板状の蓋14とからなる。電極組立体12には、正極端子16及び負極端子17が電気的に接続される。正極端子16及び負極端子17には、ケース11から絶縁するためのリング状の絶縁リング18がそれぞれ取り付けられている。そして、正極端子16と負極端子17は、蓋14からケース11外に露出している。
図2に示すように、電極組立体12は、後述する、袋状に接合された第1及び第2セパレータ20a,20bに正極電極19を収納した、電極としてのセパレータ収納電極20と、正極電極19とは極性の異なる電極としての負極電極21と、を有する。電極組立体12は、複数のセパレータ収納電極20と複数の負極電極21を交互に積層して層状とした構造である。
正極電極19は、集電体としての矩形シート状の正極金属箔(実施形態ではアルミニウム箔)22と、正極金属箔22の両面に設けられた正極活物質層23と、を有する。正極電極19は、その端縁19aに沿って活物質未塗工部22aを有し、活物質未塗工部22aは、正極活物質層23が設けられず、かつ正極金属箔22が露出した部分である。なお、本実施形態では、活物質未塗工部22aを配置する端縁19aは、正極電極19の上端に設けられている。正極電極19は、活物質未塗工部22aの一部に正極集電タブ24を有する。正極集電タブ24は、正極端子16に電気的に接続される。
負極電極21は、集電体としての矩形シート状の負極金属箔(実施形態では銅箔)25と、負極金属箔25の両面に設けられた負極活物質層26と、を有する。負極電極21は、その端縁21aに沿って活物質未塗工部25aを有し、活物質未塗工部25aは、負極活物質層26が設けられず、かつ負極金属箔25が露出した部分である。なお、本実施形態では、活物質未塗工部25aを配置する端縁21aは、負極電極21の上端に設けられている。負極電極21は、活物質未塗工部25aの一部に負極集電タブ27を有する。負極集電タブ27は、負極端子17に電気的に接続される。
セパレータ収納電極20は、互いに対峙する矩形シート状の第1セパレータ20aと矩形シート状の第2セパレータ20bとから構成されている。第1セパレータ20a及び第2セパレータ20bは、何れも微多孔性フィルムからなる。第1セパレータ20aと第2セパレータ20bは同サイズであり、正極電極19よりも一回り大きなサイズである。セパレータ収納電極20において、第1セパレータ20aと第2セパレータ20bとは、溶着によって形成される接合部29で接合されるとともに、第1セパレータ20aと第2セパレータ20bは袋状に接合されている。また、正極電極19の正極集電タブ24は、第1セパレータ20aと第2セパレータ20bの対向する面の間を通って第1セパレータ20a及び第2セパレータ20bの各端縁よりも突出している。
次に、電極積層装置について説明する。
図3に示すように、電極積層装置30は正極収納部31を有し、正極収納部31は、複数枚のセパレータ収納電極20を正極集電タブ24が同じ方向に揃った状態で積層して収納する。また、電極積層装置30は、図示しない負極収納部を有し、負極収納部は、複数枚の負極電極21を、負極集電タブ27が同じ方向に揃った状態で積層して収納する。電極積層装置30は、セパレータ収納電極20、及び負極電極21が積層される積層テーブル33を備え、この積層テーブル33は、後述する搬送装置40の回動軸44の周方向において、正極収納部31及び負極収納部の間に配置されている。
積層テーブル33は、平面視が矩形状であり、セパレータ収納電極20及び負極電極21の各集電タブ24,27を含めた平面形状、及びセパレータ収納電極20の平面形状より大きい。なお、積層テーブル33では、セパレータ収納電極20と負極電極21は、正極集電タブ24が積層方向に沿って列状に配置され、且つ正極集電タブ24と重ならない位置にて負極集電タブ27が積層方向に沿って列状に配置されるように積層される。そして、積層テーブル33では、セパレータ収納電極20と、負極電極21とが交互に積層されて積層体34が形成されていく。
次に、セパレータ収納電極20を吸着して積層テーブル33に搬送する搬送装置40について説明する。
図3及び図5に示すように、搬送装置40は、駆動装置45を有し、駆動装置45には回動軸44が上下動可能に支持されている。また、駆動装置45は、回動軸44を回動可能に支持している。搬送装置40は、回動軸44の上端部に対し、基端部が連結されたアーム43を有する。アーム43は、その先端部が回動軸44の径方向に沿って回動軸44から離れた位置にある。
図5及び図6に示すように、搬送装置40は、アーム43の先端部に一体化された吸着装置41を有する。吸着装置41は、矩形状の基台42aと、基台42aの下面に配置された複数の吸着パット42を有する。吸着装置41では、各吸着パット42の先端が減圧されることにより、複数の吸着パット42によってセパレータ収納電極20を吸着可能である。
図3に示すように、搬送装置40では、駆動装置45によって回動軸44を回動させることにより、アーム43を介して、吸着装置41を積層テーブル33と正極収納部31の間で移動可能にする。また、搬送装置40では、駆動装置45によって回動軸44を上下動させることにより、アーム43を介して、吸着装置41を積層テーブル33又は正極収納部31に対し上下動可能にする。
図6に示すように、2枚取り検出装置は、吸着装置41の基台42aに一体化されたハンマリング装置51を有する。ハンマリング装置51は、本体部52を有し、本体部52は、基台42aの側面のうち、吸着装置41に吸着されたセパレータ収納電極20の正極集電タブ24が突出する側面に設置されている。ハンマリング装置51は、本体部52に対し出没可能なハンマ52aを有する。ハンマ52aは、吸着装置41に吸着されたセパレータ収納電極20の正極集電タブ24に対し、接離可能である。そして、ハンマリング装置51では、ハンマ52aが正極集電タブ24に接触してセパレータ収納電極20に振動を与え、ハンマリングを行う。なお、ハンマリングとは、ハンマ52aによって、正極集電タブ24を1回だけ叩くことである。ハンマリング装置51は、駆動装置45に信号接続されており、駆動装置45は、搬送装置40によって吸着装置41を正極収納部31から上昇させたタイミングでハンマリング装置51を駆動させる。
図4に示すように、2枚取り検出装置は、振動計測システム58を有する。振動計測システム58は、振動検出装置53を有する。
図6に示すように、振動検出装置53は、吸着装置41の基台42aの側面のうち、吸着パット42に吸着されたセパレータ収納電極20の正極集電タブ24が突出する側面に設置されている。振動検出装置53は、ハンマリング装置51の本体部52より上方に設置されている。振動検出装置53は振動測定子53aを有し、振動測定子53aは、正極集電タブ24に接触してセパレータ収納電極20から発生する各種の振動を検出する。
振動検出装置53は、共振型AEセンサが用いられる。振動検出装置53は、振動測定子53aに圧電素子(図示せず)を有する。振動検出装置53は、圧電素子を正極集電タブ24の表面に接触させた状態で使用される。振動検出装置53は、圧電素子の受波面に伝播してきた振動を周波数信号(電気信号)に変換する。
本実施形態において、振動検出装置53は、特定の弾性波として、吸着パット42に2枚取りされたセパレータ収納電極20のうち、下側のセパレータ収納電極20が上側のセパレータ収納電極20から剥離する際に発生する弾性波を検出し、その弾性波を周波数信号に変換する。なお、剥離の際に生じる弾性波の周波数帯域は、積層されているシート状物に依存するため、本実施形態ではセパレータ収納電極20における弾性波の周波数帯域を予め測定しておく。振動検出装置53は、剥離時に発生する弾性波の周波数帯域に共振点を持つ共振型AEセンサが用いられる。
図4に示すように、振動計測システム58は、フィルタ56を有する。フィルタ56は振動検出装置53に信号接続され、振動検出装置53が検出し、信号変換した弾性波の周波数信号を取り出す。振動計測システム58は、フィルタ56に信号接続された増幅器57を有し、この増幅器57は、フィルタ56によって取り出した微弱な周波数信号を増幅する。
振動計測システム58は、増幅器57に信号接続された判定部59を有する。判定部59は、増幅器57によって増幅された周波数信号の波形を分析する。判定部59には、吸着パット42に吸着した1枚のセパレータ収納電極20が振動したときの周波数信号が予め閾値として記憶されている。判定部59は、ハンマリングを行ったときに検出される周波数信号を閾値と比較する。そして、判定部59は、入力した周波数信号が閾値と異なる場合、すなわち、剥離時に発生する弾性波の周波数信号を検出した場合に、セパレータ収納電極20の2枚取りの発生を検出する。
判定部59は、搬送装置40の駆動装置45に信号接続されている。判定部59は、2枚取りの発生を検出すると、2枚取り発生の旨の信号を駆動装置45に出力する。2枚取り発生の旨の信号を入力した駆動装置45は、搬送装置40を積層テーブル33とは異なる位置に移動させる。
次に、2枚取り検出装置による2枚取り検出方法を作用とともに説明する。
図5に示すように、駆動装置45によって、吸着装置41を正極収納部31の上方まで移動させる。そして、図6に示すように、駆動装置45によって、回動軸44を没入させ、吸着装置41をセパレータ収納電極20に向けて接近させる。次に、吸着パット42を駆動させ、正極収納部31の最上層のセパレータ収納電極20に吸着パット42を吸着させる。その後、駆動装置45によって、回動軸44を上昇させ、吸着装置41を上昇させる。すなわち、搬送装置40によって、セパレータ収納電極20を持ち上げる。
次に、図7に示すように、駆動装置45は、吸着装置41を上昇させたタイミングで、ハンマリング装置51を駆動させ、ハンマ52aによって正極集電タブ24を1回だけ叩いて振動を与え、ハンマリングを行わせる。セパレータ収納電極20を持ち上げたとき、静電気等により、吸着装置41に吸着させたセパレータ収納電極20に、2枚目のセパレータ収納電極20が付着する2枚取りが発生してしまったとする。すなわち、搬送装置40によって2枚のセパレータ収納電極20が持ち上げられてしまったとする。ハンマリングを行うと、正極集電タブ24を含むセパレータ収納電極20全体に振動が与えられる。搬送装置40によってセパレータ収納電極20が持ち上げられると、2枚のセパレータ収納電極20のうち、下側のセパレータ収納電極20は自重によって上側のセパレータ収納電極20から剥がれようとする。
ただし、剥離の進行は一様ではない。静電気等に起因する付着の状態によっては、剥離が短時間で進まず、セパレータ収納電極20が持ち上げられた直後に、特定の弾性波が十分に発生していないことがある。しかし、ハンマリングによって振動が与えられることで、2枚目のセパレータ収納電極20が完全に分離しなくとも、付着面の一部では剥離が進行し、特定の弾性波が発生する。
そして、図8に示すように、下側のセパレータ収納電極20が、上側のセパレータ収納電極20から剥がれていくと、その剥離の進行に伴うセパレータ収納電極20の変形によって、特定の弾性波(AE波)が発生する。この弾性波は、振動検出装置53の振動測定子53aによって検出される。振動検出装置53は、弾性波を周波数信号に変換し、フィルタ56に出力する。フィルタ56は、弾性波の周波数信号を取り出し、増幅器57では、フィルタ56で取り出された周波数信号が増幅される。そして、増幅器57は、増幅した周波数信号を判定部59に出力する。判定部59は、閾値と、入力された周波数信号とを比較し、弾性波の周波数信号から2枚取りの発生を検出する。
判定部59は、2枚取り発生に関する信号を駆動装置45に出力する。駆動装置45は、搬送装置40の吸着装置41を積層テーブル33とは別の位置に移動させ、2枚取りしたセパレータ収納電極20を別の位置に載置する。その後、駆動装置45は、セパレータ収納電極20を積層テーブル33に積層する動作を継続させる。
一方、吸着装置41にセパレータ収納電極20が1枚だけ吸着し、搬送装置40によってセパレータ収納電極20が1枚だけ持ち上げられている場合であっても、駆動装置45は、吸着装置41を上昇させたタイミングで、ハンマリング装置51を駆動させてハンマリングが行われる。すると、正極集電タブ24を含むセパレータ収納電極20全体に振動が与えられる。この場合、振動検出装置53の振動測定子53aでは、1枚のセパレータ収納電極20に発生する振動について周波数信号が検出されるが、剥離に伴う弾性波は検出されない。振動検出装置53は、1枚のセパレータ収納電極20に生じた弾性波の周波数信号をフィルタ56に出力する。フィルタ56は、弾性波に相当する周波数帯域の周波数信号を取り出し、増幅器57では、フィルタ56で取り出された周波数信号が増幅される。そして、増幅器57は、増幅した周波数信号を判定部59に出力する。判定部59は、閾値と、入力された周波数信号とを比較し、1枚取りであると判定する。
判定部59は、1枚取りに関する信号を駆動装置45に出力する。駆動装置45は、搬送装置40の吸着装置41を積層テーブル33に移動させ、1枚取りしたセパレータ収納電極20を積層テーブル33に載置する。その後、駆動装置45は、セパレータ収納電極20を積層テーブル33に積層する動作を継続させる。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)搬送装置40によって持ち上げられたセパレータ収納電極20に対し、剥離の進行に伴って発生する振動を振動検出装置53で検出するようにした。そして、セパレータ収納電極20が剥離する際に生じる弾性波の検出によって、2枚取りの発生を検出する。よって、2枚取りの発生を検出するために、1枚取り又は2枚取りの際に生じる固有振動数を検出する場合と異なり、セパレータ収納電極20に連続的に振動を与え続ける必要がなく、2枚取りの発生を速やかに検出することができる。
(2)セパレータ収納電極20を持ち上げると、2枚取りされたセパレータ収納電極20のうち、下側のセパレータ収納電極20は自重によって剥離し始める。しかし、下側のセパレータ収納電極20の付着の状態によっては、持ち上げても即座には剥離が進行しないことがある。本実施形態では、セパレータ収納電極20を持ち上げたタイミングでハンマリングを行うため、下側のセパレータ収納電極20は振動によって即座に剥離し始める。よって、セパレータ収納電極20を持ち上げれば、弾性波は即座に発生する。この弾性波の検出によって2枚取りの発生を検出するため、2枚取りの発生を速やかに検出することができる。
(3)セパレータ収納電極20を持ち上げた際、ハンマリングによりセパレータ収納電極20に振動を1回与えるだけで、セパレータ収納電極20の2枚取りの検出を行うことができる。よって、セパレータ収納電極20に振動を継続して与え続ける必要が無く、速やかに2枚取りの検出を行うことができるとともに、セパレータ収納電極20に加わる負荷も少なくて済む。
(4)2枚取り発生の検出は、剥離の際に生じる弾性波(AE波)を検出して行う。弾性波は、ハンマリングによって生じる振動とは異なる特徴的な周波数を持つ。よって、剥離の際に生じる弾性波を用いることで、2枚取りの発生を検出しやすい。
(5)ハンマリング装置51は、ハンマ52aによってセパレータ収納電極20を直接叩いて振動を与える。したがって、例えば、吸着装置41からセパレータ収納電極20に振動を与える場合と比べると、セパレータ収納電極20に振動を確実に与えることができる。
(6)ハンマリング装置51は、ハンマ52aによって正極集電タブ24を叩いてハンマリングを行う。正極集電タブ24は、正極活物質層23の無い部分であり、電池性能に影響を与えにくい部分である。よって、2枚取り発生の検出のために、ハンマリングを行っても、正極活物質層23が損傷を受けず、電池性能に影響がない。
(7)2枚取り検出装置では、セパレータ収納電極20の2枚取りの発生を検出する。セパレータ収納電極20は、正極電極19を第1セパレータ20aと第2セパレータ20bで覆って形成されている。このため、セパレータ収納電極20が積層された状態では、積層方向に隣り合うセパレータ20a,20b同士が付着しやすい。したがって、2枚取り検出方法の対象をセパレータ収納電極20とすることで、セパレータ収納電極20が2枚取りされたまま、積層テーブル33で積層されてしまうことを抑制することができる。
(8)2枚取り検出装置は、フィルタ56を有し、このフィルタ56は、振動検出装置53で検出した振動のうち、弾性波の周波数信号を抽出する。したがって、弾性波を確実に検出し、セパレータ収納電極20の2枚取りの発生を確実に検出することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 搬送装置40の吸着装置41で持ち上げられる電極は、負極電極21であってもよい。この場合、ハンマリングを行う部分は、負極集電タブ27でもよいし、負極集電タブ27以外の活物質未塗工部25aであってもよい。さらには、負極活物質層26であってもよい。
○ 搬送装置40の吸着装置41で持ち上げられる電極は、セパレータに収納されていない正極電極19であってもよい。この場合、ハンマリングを行う部分は、正極集電タブ24でもよいし、正極集電タブ24以外の活物質未塗工部22aであってもよい。さらには、正極活物質層23であってもよい。
○ 実施形態において、セパレータ収納電極20に対してハンマリングを行う部分は、正極集電タブ24ではなく、第1セパレータ20aや第2セパレータ20bの部分であってもよい。
○ ハンマリング装置51によってハンマリングを行う場所は、吸着装置41の基台42aやアーム43であってもよく、吸着装置41やアーム43に発生した振動をセパレータ収納電極20に伝えてもよい。
○ ハンマリングは、搬送装置40によってセパレータ収納電極20を持ち上げた直後ではなく、回動軸44を回動させている間に行ってもよい。
○ 振動計測システム58では、フィルタ56や増幅器57は無くもよい。
○ 搬送装置40によってセパレータ収納電極20を持ち上げる方法として吸着パット42による吸着としたが、これに限らず、他の方法でセパレータ収納電極20を持ち上げてもよい。
○ 実施形態では、電極組立体12として積層タイプを記載したが、捲回タイプでもよい。
○ 実施形態では、集電体として正極金属箔22や負極金属箔25に具体化したが、集電体は、活物質ペーストが塗布できるものであれば、金属箔に限定されるものではない。例えば、織物状や網状の基材シートを用いてもよい。
○ 実施形態では、二次電池はリチウムイオン二次電池であったが、これに限られず、ニッケル水素等の他の二次電池であってもよい。
○ 正極電極19は、正極金属箔22の片面に正極活物質層23が存在する構造でもよいし、負極電極21は、負極金属箔25の片面に負極活物質層26が存在する構造でもよい。
○ 蓄電装置は、電気二重層コンデンサ等の他の蓄電装置であってもよい。
20…電極としてのセパレータ収納電極、20a…第1セパレータ、20b…第2セパレータ、22…集電体としての正極金属箔、22a,25a…活物質未塗工部、23…正極活物質層、25…集電体としての負極金属箔、26…負極活物質層、40…搬送装置、51…ハンマリング装置、53…振動検出装置、56…フィルタ、59…判定部。

Claims (5)

  1. 積層されたシート状の電極のうち、最上層の電極を搬送装置で持ち上げて搬送する際に発生する電極の2枚取りを検出するための方法であって、
    ハンマリングを行って、前記搬送装置によって持ち上げられた電極に振動を与え、
    前記ハンマリングによって電極に発生した振動を振動検出装置によって検出した際、
    2枚取りされた電極のうちの下側の電極が、上側の電極から剥離するのに伴って発生する特定の弾性波の振動を検出した場合に、前記電極の2枚取りの発生を検出することを特徴とする電極の2枚取り検出方法。
  2. 前記ハンマリングは、前記搬送装置によって持ち上げられた電極に対し直接行う請求項1に記載の電極の2枚取り検出方法。
  3. 前記電極は、シート状の集電体の少なくとも片面に設けられた活物質層と、前記活物質層が設けられず前記集電体の露出した活物質未塗工部と、を有し、前記ハンマリングは、前記活物質未塗工部に対して行う請求項1又は請求項2に記載の電極の2枚取り検出方法。
  4. 前記搬送装置で持ち上げられる電極は、セパレータで覆われている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の電極の2枚取り検出方法。
  5. 積層されたシート状の電極のうち、最上層の電極を搬送装置で持ち上げて搬送する際に発生する電極の2枚取りを検出するための検出装置であって、
    ハンマリングを行って、前記搬送装置によって持ち上げられた電極に振動を与えるハンマリング装置と、
    前記電極に発生した振動を検出して周波数信号に変換する振動検出装置と、
    前記振動検出装置から出力された周波数信号の中から、2枚取りされた電極のうちの下側の電極が、上側の電極から剥離するのに伴って発生する特定の弾性波の周波数信号を抽出するフィルタと、
    前記特定の周波数信号を検出した場合に、電極の2枚取りの発生を検出する判定部と、を有する電極の2枚取り検出装置。
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