JP2015187243A - ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、このような嵌合用部位を備えた製品には高度の耐折り曲げ性が要求される。
本発明は、以下のポリカーボネート樹脂組成物および成形品を提供する。
(C)リン系安定剤及び/又はフェノール系酸化防止剤を0.005〜0.5質量部含有し、(B)グラフト共重合体ゴムのSi含有量が4〜20質量%であり、
樹脂組成物の単位時間あたりの流出量(JIS K7210付属書Cに記載の方法に準拠し、高荷架式フローテスターを用い、280℃、荷重160kgf/cm2の条件下で測定。)が15×10−2cm3/sec未満であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
[2]幅13mm、厚み0.8mmの成形品の耐折曲げ破断回数(JIS P8115に準拠し、MIT耐折度試験機を用い、クランプR0.38mm、折曲角度135°、試験速度175cpm、張力1.5kgの条件下で測定。)が、40回以上である上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[3]曲げ弾性率が1900MPa以上である上記[1]もしくは[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
[5]ヒンジ構造を備えた箱形成形品である上記[4]に記載の成形品。
[6]勘合部分を備えた箱型成形品である上記[4]に記載の成形品。
なお、本明細書において、「〜」とは、特に断りのない限り、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(A)粘度平均分子量が14000〜30000のポリカーボネート樹脂90〜98質量%および(B)オルガノシロキサン単位を含むゴム質重合体成分とグラフト共重合成分とからなるグラフト共重合体ゴム2〜10質量%の合計100質量部に対して、
(C)リン系安定剤及び/又はフェノール系酸化防止剤を0.005〜0.5質量部含有し、(B)グラフト共重合体ゴムのSi含有量が4〜20質量%であり、
樹脂組成物の単位時間あたりの流出量(JIS K7210付属書Cに記載の方法に準拠し、高荷架式フローテスターを用い、280℃、荷重160kgf/cm2の条件下で測定。)が、15×10−2cm3/sec未満であることを特徴とする。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いる(A)ポリカーボネート樹脂は、粘度平均分子量が14000〜30000のポリカーボネート樹脂である。このような粘度平均分子量のポリカーボネート樹脂を用いることで、耐熱を維持したまま、薄肉成形に有効な高流動なポリカーボネート樹脂が得られる。
(A)ポリカーボネート樹脂は、粘度平均分子量が14000〜30000の範囲にあれば、その種類に制限は無い。また、(A)ポリカーボネート樹脂は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。
1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、
1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
等が挙げられる。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、デカン−1,10−ジオール等のアルカンジオール類;
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。以下、これらの方法のうち特に好適なものについて具体的に説明する。
まず、ポリカーボネート樹脂を界面重合法で製造する場合について説明する。界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
なお、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
次に、ポリカーボネート樹脂を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。中でも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートがより好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(B)オルガノシロキサン単位を含むゴム質重合体成分とグラフト共重合成分とからなるグラフト共重合体ゴムであって、Si含有量が4〜20質量%であるグラフト共重合体ゴムを含有する。
本発明では、このような(B)グラフト共重合体ゴムを、(A)粘度平均分子量が14000〜30000のポリカーボネート樹脂に2〜10質量%の比率で組み合わせて使用することにより、高い弾性率と高耐熱性を有しながら耐折り曲げ特性に優れたポリカーボネート樹脂組成物とすることが可能となる。
ビニル重合性官能基を含有するシロキサンとは、ビニル重合性官能基を含有し、かつ、ジメチルシロキサンとシロキサン結合を介して結合しうるものである。ビニル重合性官能基を含有するシロキサンの中でも、ジメチルシロキサンとの反応性を考慮するとビニル重合性官能基を含有する各種アルコキシシラン化合物が好ましい。これらビニル重合性官能基を含有するシロキサンは単独でまたは2種以上の混合物として用いることができる。
また、ポリオルガノシロキサンは、シロキサン系架橋剤によって架橋されていてもよい。シロキサン系架橋剤としては、3官能性または4官能性のシラン系架橋剤、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートおよび2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上併用できる。
多官能性アルキル(メタ)アクリレート単位の含有量には特に制限はないが、ポリアルキル(メタ)アクリレート100質量%中の0.1〜2.0質量%であることが好ましく、0.3〜1.0質量%であることがより好ましい。
具体的には、例えば、次の要領で求めることができる。
本発明の樹脂組成物ペレットから切り出した厚さ100nmの超薄切片を、四酸化オスミウムの蒸気に60分、さらに四酸化ルテニウムの蒸気に60分さらに染色した後、TEM観察し、TEM観察により得られた画像を用い、マトリックス中に分散した(B)グラフト共重合体ゴム50個の1次粒径(平均直径)を測定し、その数平均を本発明における数平均粒径とする。
なお、シロキサン系コア/シェル型エラストマー(C)のSi含有量は、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP/AES法)で検出される値として測定される。
(B)グラフト共重合体ゴムの含有量は、好ましくは3.5質量部以上、より好ましくは3.7質量部以上であり、また、好ましくは9質量部以下、より好ましくは8.5質量部以下である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(C)リン系安定剤及び/又はフェノール系酸化防止剤を含有する。
リン系安定剤を含有することでポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性、耐熱変色性、耐候性などが向上する。リン系安定剤としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第2B族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられるが、有機ホスファイト化合物が特に好ましい。
なお、リン系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
なお、フェノール系酸化防止剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、離型剤(滑剤)を含有することも好ましい。離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
なお、脂肪族炭化水素は、単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であれば使用できる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、難燃剤を含有することが好ましい。
難燃剤としては、ハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ポリスチレンなどのハロゲン系難燃剤、ホスファゼン系難燃剤、有機金属塩系難燃剤、ポリオルガノシロキサン系難燃剤などが挙げられるが、これらの中では、ポリカーボネート樹脂の耐熱性を悪化させにくい有機金属塩系難燃剤が好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上述したもの以外にその他の成分を含有していてもよい。その他の成分の例を挙げると、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂、各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂等が挙げられる。
なお、その他の樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
樹脂添加剤としては、例えば、難燃助剤(滴下防止剤)、紫外線吸収剤、染顔料、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。
具体例を挙げると、(A)ポリカーボネート樹脂、(B)グラフト共重合体ゴム、(C)リン系安定剤及び/又はフェノール系酸化防止剤、並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
また、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによってポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、分散し難い成分を混合する際には、その分散し難い成分を予め水や有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液と混練するようにすることで、分散性を高めることもできる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、樹脂組成物の単位時間あたりの流出量(JIS K7210付属書Cに記載の方法に準拠し、高荷架式フローテスターを用い、280℃、荷重160kgf/cm2の条件下で測定。)が、15×10−2cm3/sec未満であることを特徴とする。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、このような流出量を有することで、優れた耐折曲げ特性を示す。
流出量は、好ましくは14×10−2cm3/sec以下であり、より好ましくは13×10−2cm3/sec以下であり、好ましくは2×10−2cm3/sec以上であり、より好ましくは3×10−2cm3/sec以上であり、さらに好ましくは4×10−2cm3/sec以上であり、特に好ましくは5×10−2cm3/sec以上である。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、幅13mm、厚み0.8mmの成形品の耐折曲げ破断回数(JIS P8115に準拠し、MIT耐折度試験機を用い、クランプR0.38mm、折曲角度135°、試験速度175cpm、張力1.5kgの条件下で測定。)が、好ましくは40回以上であることを特徴とする。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、このような耐折曲げ破断回数を有することで、ヒンジ部や嵌合部を備えた部材に有効な樹脂材料となる。耐折曲げ破断回数は、好ましくは42回以上であり、好ましくは80回以下であり、好ましくは75回以下である。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、曲げ弾性率が、好ましくは1900MPa以上であることを特徴とする。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、このような曲げ弾性率を有することで、筐体部品やケース部品などの剛性が求められる部品に有効な樹脂材料となる。曲げ弾性率は、より好ましくは2000MPa以上であり、さらに好ましくは2050MPa以上である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、流動性、特に薄肉流動性に優れているため、1mmレベル以下の薄肉化が可能となる。最薄肉部の厚さとして、好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.6mm以下であり、また、通常0.1mm以上であり、好ましくは0.2mm以上である。
薄肉部を有する成形品としては、少なくとも部分的に1mm以下の薄肉部を有していればよく、その形状、寸法などに制限はない。
これらのなかでも、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法などの射出成形法が好ましい。
なかでも、タブレット型端末あるいはタッチパネル式端末に代表される携帯機器の筐体、保護ケース、電池パックの枠体または筐体、各種液晶表示装置の反射枠、またヒンジ部を有する箱形の成形品として好適に使用できる。
なお、以下の説明において[部]とは、特に断らない限り質量基準に基づく「質量部」を表す。
実施例および比較例に使用した各成分は、以下の表1のとおりである。
[樹脂ペレット製造]
表1に記載した各成分を、後記表2に記した割合(質量比)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/時間、バレル温度280℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
上記の方法で得られたペレットを120℃で4時間以上乾燥した後、JIS K7210付属書Cに記載の方法に準拠し、高架式フローテスターを用いて、280℃の温度、荷重160kgf/cm2の条件下で組成物の単位時間あたりの流出量Q値(単位:×10−2cm3/sec)を測定し、流動性を評価した。なお、オリフィスは直径1mm×長さ10mmのものを使用した。
なお、表中、「Q値」と表記する。
上記で得られたペレットを、120℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製のSG75MII型射出成形機を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、ISO多目的試験片(4mm厚)を成形した。
このISO多目的試験片を用い、ISO178に従い、曲げ弾性率の測定を行った。結果を後記表2に示す。なお、表中、「曲げ弾性率」と表記する。
上記の方法で得られたペレットを120℃で4時間乾燥させた後、住友重機械工業社製のSE100DU型射出成形機を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さ0.8mmの試験片を成形した。
この試験片を用い、上島製作所社製「MIT耐折度試験機」を使用し、JIS P8115に準拠して、荷重1.5kgf、取り付けクランプのR=0.38mm、折り曲げ角度135°、速度175cpmの条件で耐折り曲げ試験を実施し、破断するまでの往復折り曲げ回数(1往復=1回)をカウントした。
結果を表2に示す。なお、表中、「耐折曲げ試験破断回数」と表記する。
Claims (6)
- (A)粘度平均分子量が14000〜30000のポリカーボネート樹脂90〜98質量%および(B)オルガノシロキサン単位を含むゴム質重合体成分とグラフト共重合成分とからなるグラフト共重合体ゴム2〜10質量%の合計100質量部に対して、
(C)リン系安定剤及び/又はフェノール系酸化防止剤を0.005〜0.5質量部含有し、(B)グラフト共重合体ゴムのSi含有量が4〜20質量%であり、
樹脂組成物の単位時間あたりの流出量(JIS K7210付属書Cに記載の方法に準拠し、高荷架式フローテスターを用い、280℃、荷重160kgf/cm2の条件下で測定。)が15×10−2cm3/sec未満であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。 - 幅13mm、厚み0.8mmの成形品の耐折曲げ破断回数(JIS P8115に準拠し、MIT耐折度試験機を用い、クランプR0.38mm、折曲角度135°、試験速度175cpm、張力1.5kgの条件下で測定。)が、40回以上である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 曲げ弾性率が1900MPa以上である請求項1もしくは2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
- ヒンジ構造を備えた箱形成形品である請求項4に記載の成形品。
- 勘合部分を備えた箱型成形品である請求項4に記載の成形品。
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