以下、一実施形態の構成を図1ないし図11を参照して説明する。
図9ないし図11において、11は照明装置としての照明器具であり、この照明器具11は、例えば天井面などに開口された取付部である埋込孔に埋設される非常灯として用いられるものである。そして、この照明器具11は、一端側である下端側が開口した略円筒状の器具本体15を備えており、この器具本体15には、光源モジュール16、非常点灯用のバッテリパック17、商用交流電源などの外部電源と電気的に接続される端子台18、および、光源モジュール16の点灯用の点灯ユニット19がそれぞれ着脱可能に内部に収容されている。
また、器具本体15は、円筒状の本体部21と、この本体部21の下端部に取り付けられた円形状(円環状)の化粧枠22とを備えている。さらに、この器具本体15の両側には、器具本体15を埋込孔に保持するための細長い板状の金属製の板ばねである一対の取付けばね23,23が化粧枠22に取り付けられている。そして、この器具本体15内には、上側から下側へと、点灯ユニット19および端子台18、バッテリパック17、および、光源モジュール16の順に並ぶように収容されている。
本体部21の外周面には、取付けばね23,23を突出させる取付けばね用開口25,25と、化粧枠22を係止するための対をなす(二対の)化粧枠用係止孔26,26と、バッテリパック17を係止するための一対のバッテリ用係止孔27,27と、端子台18を露出させる端子台用開口28と、点灯ユニット19を係止するための一対のユニット用係止孔29(一方のみ図示)とがそれぞれ開口されている。
取付けばね用開口25,25は、本体部21(器具本体15)の下端部の位置にて、径方向に互いに反対側の位置に開口されている。すなわち、これら取付けばね用開口25,25により、取付けばね23,23が器具本体15の径方向に互いに反対側の位置(器具本体15の中心軸に対して互いに反対側の位置)に位置して、この径方向に沿って外方へと延出している。したがって、これら取付けばね用開口25,25から器具本体15の側方に突出する取付けばね23,23は、器具本体15の直径(径方向)に沿って下方に向けて付勢力(保持力)を作用させるようになっている。すなわち、これら取付けばね23,23による付勢力の作用線Lは、器具本体15の軸方向と直交する直径方向(径方向)となっている。
化粧枠用係止孔26,26は、取付けばね用開口25,25の両側にそれぞれ開口されている。
バッテリ用係止孔27,27は、本体部21(器具本体15)の下端部近傍の位置にて、取付けばね23,23の付勢力の作用線Lの両側に互いに略対称に配置されている。
端子台用開口28は、本体部21(器具本体15)の上端部近傍の位置にて、一方の取付けばね23の上方の位置、換言すれば、取付けばね23,23の付勢力の作用線L上の位置に、本体部21(器具本体15)の周方向に沿って長手状に開口されている。なお、以下、作用線L上とは、上方または下方から見た平面視で作用線Lと少なくとも一部が重なる位置をいうものとする。
ユニット用係止孔29は、各取付けばね用開口25の上方に位置して本体部21(器具本体15)に開口されている。
化粧枠22は、円環状に形成された板状の化粧枠本体31と、この化粧枠本体31の厚み方向にて上方に突出して取付けばね23,23を保持するばね保持部32,32とを一体に備えている。
化粧枠本体31は、天井面に対して下方から当接する部分であり、本体部21よりも外径寸法が大きく形成されて本体部21の下端部に対してフランジ状に突出している。この化粧枠本体31には、光源モジュール16が嵌合する取付開口34が中央部に開口されている。したがって、この取付開口34は、光源モジュール16からの光が下方に出射する出射開口となっている。この取付開口34の内縁部は、取付けばね23の作用線Lと交差(直交)する方向に沿って直線状に延びる直線部34a,34aと、作用線Lの両側に略線対称に位置する円弧状に湾曲した湾曲部34b,34bとにより構成されている。
ばね保持部32,32は、本体部21に内挿されて取付けばね用開口25,25から露出する部分である。これらばね保持部32,32は、作用線L上に位置し、この作用線Lを中心線とする略対称な形状となっている。また、これらばね保持部32,32の外面には、化粧枠用係止孔26,26に係止される一対の係止爪部36,36が取付けばね23,23を挟んで作用線Lの両側に略線対称にそれぞれ突設されている。さらに、ばね保持部32,32のそれぞれの内面、すなわち器具本体15の内方である取付けばね23,23の背面側の位置には、光源モジュール16を係止するための一対の係止凹部38,38が取付開口34内に臨んで作用線Lの両側にそれぞれ凹設されている。また、一方のばね保持部32の内面には、光源モジュール16の着脱操作用の操作凹部39が作用線L上に位置し、取付開口34の一方の直線部34aに連続して凹設されている。さらに、他方のばね保持部32の内面には、光源モジュール16を係止するための係止凸部40が係止凹部38,38間にて作用線L上かつ取付開口34の他方の直線部34aの上方に位置して突設されている(図5(a)および図5(b))。
取付けばね23,23は、器具本体15の側方に突出され、先端部に引掛部23a,23aが屈曲形成されている。
図1(b)、図2、図10および図11などに示す光源モジュール16は、化粧枠22の取付開口34と嵌合して器具本体15の下端部から下方へと光を出射するものであり、光源基板43と、この光源基板43を覆うモジュールケース44とを備えている。そして、この光源モジュール16(モジュールケース44)の上部は、バッテリパック17および点灯ユニット19の下部に対向して隣接している。
光源基板43は、平板状に形成され、一主面である下面に、複数、例えば4つの発光素子(半導体発光素子)であるLED46が中央部に実装されているとともに、これらLED46の周囲に、保守点検用の機能性部品であるスイッチ47、保守点検用の機能性部品である点検用の複数のモニタランプ48、および、保守点検用の機能性部品であるリモコン送受信(通信)用の通信デバイス49,50がそれぞれ実装されている。なお、通信デバイス49,50の一方は受信用の通信デバイスであり、他方は送信用の通信デバイスである。また、この光源基板43は、他主面である上面に、コネクタ部としての接続部品であるコネクタ受け部51が実装されている。
LED46は、光源基板43の下面にて中央部に配置されており、それぞれレンズなどの配光制御部材であるドーム状の制光体52により覆われている。そして、この制光体52により、LED46からの光が、所定の規格により規定された配光特性となるように拡散されている。なお、制光体52は、モジュールケース44の下面よりも内側(バッテリパック17および点灯ユニット19側)に設けられている。すなわち、制光体52の端部は、モジュールケース44の下面よりも突出することがないように構成されている。このように制光体52を構成することによって、制光体52を傷や汚れから保護することができる。
スイッチ47、モニタランプ48および通信デバイス49,50は、光源基板43の下面にてLED46の周囲に配置されている。本実施形態では、スイッチ47およびモニタランプ48が作用線Lの一側に配置され、通信デバイス49,50が作用線Lの他側に配置されている。
そして、スイッチ47は、外部操作によってLED46の状態、バッテリパック17の充電状態などを点検する図示しない点検回路を動作させる点検モードの始動用のものである。
モニタランプ48は、スイッチ47の操作により点検回路が動作したときに、この点検回路による点検結果を表示(報知)するものである。
通信ユニット49,50は、例えば赤外線受信手段および赤外線送信手段であり、外部のリモコンからの遠隔操作によって上記点検回路を動作させる点検モードを選択可能となっている。
コネクタ受け部51は、点灯ユニット19側と電気的に接続された図示しないリード線を纏めたコネクタを着脱可能に受けることで点灯ユニット19と光源基板43(LED46)とを電気的に接続するものであり、作用線Lと交差(直交)する方向に沿って長手状に配置され、この作用線Lを中心線とする略対称な形状となっている。このコネクタ受け部51には、接続されたコネクタを取り外す際に操作するための取外しレバー51aが設けられている。
モジュールケース44は、例えば絶縁性を有する合成樹脂などにより、上下方向の厚みが薄い扁平に形成されており、取付開口34の内縁に嵌合可能となっている。すなわち、このモジュールケース44は、取付開口34の直線部34a,34aに対向する一の側面部であるケース直線部44a,44aと、取付開口34の湾曲部34b,34bに対向する他の側面部であるケース湾曲部44b,44bとを備えている。また、このモジュールケース44の一方のケース直線部44aには、着脱機構としての係止ばね54が操作可能に取り付けられる着脱機構取付部としてのばね取付部55が凹設されている。さらに、このモジュールケース44の他方のケース直線部44aには、化粧枠22の他方のばね保持部32の係止凹部38,38に挿入係止される挿入爪部56,56が作用線Lの両側に突設されているとともに、これら挿入爪部56,56間に、係止凸部40が挿入係止される凹部57が凹設されている。さらに、このモジュールケース44には、取付開口34から下方に臨む下部に、LED46および制光体52が露出する大径の円形状の開口61が中央部に開口されているとともに、この開口61の周囲に沿って、スイッチ47、各モニタランプ48および通信デバイス49,50が露出する小径の円形状の複数の開口62がそれぞれ開口され、かつ、係止ばね54の下部を操作可能に露出させる切欠開口63がばね取付部55と連通して開口されている。また、このモジュールケース44のバッテリパック17に対向する上部には、コネクタ受け部51が露出する長方形状のコネクタ開口部64が開口されている。さらに、このモジュールケース44の上部のばね取付部55と連続する部分は、光源モジュール16を器具本体15に対して取り付ける際の取付開口34の内縁部(一方の直線部34a)との干渉を避けるための傾斜部65となっている。
係止ばね54は、例えば金属などによりU字状に屈曲形成された板ばねであり、作用線Lと交差(直交)する方向に沿って長手状に配置され、この作用線Lを中心線とする略対称な形状となっている。この係止ばね54は、切欠開口63から露出する解除操作部54aが下方に突設されているとともに、化粧枠22の一方のばね保持部32の係止凹部38,38に挿入係止される爪部54b,54bがばね取付部55と反対側の外側面にて作用線Lの両側にそれぞれ突設されている。そして、爪部54b,54bが作用線Lに沿う方向にてモジュールケース44(ばね取付部55)から外方に向けて付勢されている。また、この係止ばね54は、光源モジュール16において、コネクタ受け部51と反対側の側部に位置しているとともに、器具本体15の中心軸に対して、端子台18と同側の下方に位置している。
傾斜部65は、上方に向けてばね取付部55から離間する方向へと傾斜している。
図1(a)、図3および図10などに示すバッテリパック17は、非使用時には端子台18を介して外部電源から供給される電力によって充電されるとともに、非常時には非常点灯用の電力を供給するもので、器具本体15内に収容される部材中で最も重量が大きい重量物である。このバッテリパック17は、複数の二次電池である円柱状のバッテリ68と、これらバッテリ68を収容するバッテリケース69とを備えている。このバッテリケース69は、例えば絶縁性を有する合成樹脂などにより形成されており、バッテリ68が内部に位置する一対の収容部71,71と、これら一対の収容部71,71間を接続する接続部72とが一体的に設けられているとともに、各収容部71,71の外面(作用線Lと反対側)に、器具本体15のバッテリ用係止孔27,27に対して係脱可能に係止されるバッテリ係止爪部73,73が突設されている。
バッテリ68は、例えばニカド電池、ニッケル水素電池、あるいはリチウムイオン電池などの充電可能な電池であり、図示しない接続板を介して互いに電気的に直列に接続されている。
各収容部71は、例えばバッテリ68を複数、例えば2つずつ内部に上下方向に沿って収容可能となっており、これらバッテリ68とともに、バッテリ本体75をそれぞれ構成している。また、これら収容部71(バッテリ本体75)は、互いに離間されており、互いの間に点灯ユニット19の一部が嵌合する空間部76が器具本体15(本体部21)の径方向に沿って作用線L上に区画されている。そして、これら収容部71(バッテリ本体75)は、バッテリパック17を器具本体15に収容した状態で、この器具本体15(本体部21)の内周に沿う位置に、作用線Lの両側に互いに略線対称となるように配置される。すなわち、これら収容部71(バッテリ本体75)は、器具本体15(本体部21)の軸方向に対して略平行に上下方向に長手状に配置され、外側面が器具本体15(本体部21)の内周に近接対向している。
接続部72は、収容部71,71間を下部で接続しており、光源モジュール16のモジュールケース44の上面に沿って配置されている。また、この接続部72の空間部76に対向する上部には、バッテリ68の正極および負極と電気的に接続され点灯ユニット19に挿入接続される挿入部77が突設されている。
バッテリ係止爪部73,73は、収容部71の器具本体15(本体部21)の内周面に対向する側部にて下方に向けて舌片状に突設された操作片79,79の上端部に一体に設けられており、これら操作片79,79を操作することでこれら操作片79,79と一体に弾性変形してバッテリ用係止孔27,27から外れるようになっている。
図1(a)、図4および図9ないし図11などに示す端子台18は、外部電源からLED46の点灯用の電力およびバッテリパック17のバッテリ68の充電用の電力が供給されるもので、器具本体15(照明器具11)の外部では、外部電源とケーブル81を介して電気的に接続され、器具本体15の内部では、バッテリパック17および点灯ユニット19と電気的に接続されるものである。この端子台18は、一対の配線接続部83,83を備え、これら配線接続部83,83が端子台用開口28から上下に並んで露出するように点灯ユニット19に対して一体的に固定されている。したがって、この端子台18は、作用線L上に位置するとともに、一方の取付けばね23の基端部の直上に配置されている。また、この端子台18は、器具本体15(本体部21)の外郭(外周面)に対して外方に突出しないように、器具本体15の外郭の内方に配置されている。
ケーブル81は、配線接続部83,83に挿入保持される配線85,85と、これら配線85,85を互いに離間した状態で被覆する、例えば扁平な絶縁被覆部86とを備えている。
配線接続部83,83には、配線85,85が側方から器具本体15(本体部21)の接線方向に沿って略水平方向に挿入接続されるようになっている。したがって、ケーブル81は、絶縁被覆部86の扁平側が上下方向に沿うように配置される。
点灯ユニット19は、ユニットケース88と、このユニットケース88に収容された基板部89とを備えている。
ユニットケース88は、例えば絶縁性を有する合成樹脂などにより形成されている。このユニットケース88は、ユニットケース本体部91と、このユニットケース本体部91の両端部にてこのユニットケース本体部91と交差する方向に延びる(一方および他方の)ユニットケース延出部92,92とを一体に備え、器具本体15内にて作用線L上に位置する内周面間に亘って連続するように収容される。すなわち、ユニットケース88(点灯ユニット19)は、器具本体15の中心軸に対して互いに反対側に位置する内周面間に亘って連続し、ユニットケース本体部91の両側およびユニットケース延出部92,92と器具本体15(本体部21)の内周面との間に、バッテリ68のバッテリ本体75(収容部71)がそれぞれ挿入嵌合される挿入空間部93,93が区画されている。そして、各ユニットケース延出部92には、下端部の位置に、化粧枠22の各ばね保持部32が嵌合する嵌合開口95がそれぞれ切り欠き形成されているとともに、この嵌合開口95の上方の位置に、器具本体15(本体部21)の各ユニット用係止孔29に挿入係止される係止片部96が爪状に突設されている。
ユニットケース本体部91は、器具本体15(本体部21)の径方向に沿って長手状に延びる部分であり、点灯ユニット19を器具本体15に取り付けた状態でバッテリパック17のバッテリケース69の収容部71,71(バッテリ本体75,75)間にて空間部76に嵌合する。また、このユニットケース本体部91の下部には、バッテリパック17の挿入部77が挿入される角孔状の挿入孔98が開口されている。この挿入孔98は、器具本体15(本体部21)の略中心軸上で、かつ、作用線L上に位置している。
一方のユニットケース延出部92は、一方の取付けばね23の基端部および端子台18と対向する部分であり、器具本体15(本体部21)の内周面と対向する外側部には、端子台18が取り付けられる端子台取付部99が上端側に凹設されている。
他方のユニットケース延出部92は、他方の取付けばね23の基端部およびコネクタ受け部51と対向する部分であり、光源モジュール16と対向する下部には、コネクタ受け部51が挿入される挿入凹部101が凹設されている(図5(b)、図6および図7)。そして、この挿入凹部101の上方には、この挿入凹部101とユニットケース88の内部とを連通する連通孔102が開口されている(図1(a)および図6)。
基板部89は、光源モジュール16のLED46(図1(b))を点灯させる点灯回路104などが実装されている。この基板部89は、板状に形成されており、ユニットケース88のユニットケース延出部92,92間に亘って配置されている。すなわち、この基板部89は、点灯ユニット19を器具本体15(本体部21)に取り付けた状態で、上下方向に沿って面方向を有し、この器具本体15(本体部21)の径方向および作用線Lに対して平行で、かつ、器具本体15(本体部21)の直径および作用線Lの近傍(本実施形態では作用線L上から側方に僅かに離間された位置)に配置されるようになっている。換言すれば、この基板部89は、点灯ユニット19を器具本体15(本体部21)に取り付けた状態で、各主面が作用線Lの側方に向くようになっている。
点灯回路104は、例えば常時点灯回路、非常時点灯回路、および、バッテリ68の充電回路などを備えており、LED46(図1(b))に対して定電流を供給可能な定電流回路などである。この点灯回路104は、基板部89の挿入凹部101側に対向する一主面上に実装された点灯回路側接続部品であるコネクタ受け部106およびバッテリ接続部107とそれぞれ電気的に接続されている。
図1(a)および図6などに示すコネクタ受け部106は、光源モジュール16のコネクタ受け部51に接続される図示しないリード線を纏めたコネクタを着脱可能に受けることで点灯ユニット19と光源基板43(LED46)とを電気的に接続するものであり、作用線L上の位置に、この作用線Lに対して交差(直交)する上下方向に沿って長手状に配置されている。なお、このコネクタ受け部106に接続されたリード線は、連通孔102を介して挿入凹部101に導出されている。
図1(a)に示すバッテリ接続部107は、バッテリパック17の挿入部77と電気的に接続されるもので、ユニットケース本体部91の挿入孔98に対向して、作用線L上に配置されている。
そして、図1ないし図11に示すように、照明器具11を組み立てる際には、まず、端子台18をユニットケース88の端子台取付部99に取り付けるとともに基板部89をユニットケース88内に収容した点灯ユニット19を、端子台18を上側として、本体部21に対して下端部から上方へと挿入する。このとき、ユニットケース88の係止片部96を本体部21のユニット用係止孔29に位置合わせして押し込むことで、本体部21の内周面に沿って弾性変形した係止片部96がユニット用係止孔29の位置で復帰変形し、点灯ユニット19および端子台18が本体部21に固定される。この状態で、端子台18は、端子台用開口28から本体部21の側方に露出する。
次いで、取付けばね23,23をそれぞればね保持部32,32に保持した化粧枠22を、本体部21の下端部に上方へと挿入して取り付ける。このとき、化粧枠22のばね保持部32,32を、本体部21内の点灯ユニット19の嵌合開口95,95に位置合わせし、一対の係止爪部36,36を本体部21の化粧枠用係止孔26,26に位置合わせするとともに、取付けばね23,23を取付けばね用開口25,25に位置合わせして押し込むことで、ばね保持部32,32が嵌合開口95,95へと挿入されるとともに係止爪部36,36が化粧枠用係止孔26,26に挿入され化粧枠22が本体部21に固定されて器具本体15を構成し、取付けばね23,23が器具本体15からそれぞれ側方へと延出する。
この状態で、バッテリパック17を取付開口34から上方へと挿入する(図8)。このとき、バッテリパック17のバッテリ本体75,75(収容部71,71)を上方として挿入空間部93,93に位置合わせし、挿入部77を挿入孔98に位置合わせするとともに、バッテリ係止爪部73,73を器具本体15(本体部21)のバッテリ用係止孔27,27に位置合わせして押し込むことで、バッテリ本体75,75(収容部71,71)が挿入空間部93,93に挿入され、挿入部77が挿入孔98に挿入されてバッテリ接続部107と接続されて点灯ユニット19(基板部89の点灯回路104)とバッテリパック17(バッテリ68)とが電気的に接続されるとともに、器具本体15(本体部21)の内周面に沿って弾性変形したバッテリ係止爪部73,73がバッテリ用係止孔27,27の位置で復帰変形し、バッテリパック17が器具本体15に固定される。この状態で、バッテリパック17の空間部76に点灯ユニット19のユニットケース本体部91が嵌合され、このユニットケース本体部91内に収容された基板部89がバッテリ本体75,75間に位置し、バッテリ本体75,75は器具本体15の内周面近傍にて作用線Lの両側に略線対称に位置する。
そして、連通孔102を介して挿入凹部101へと導出されたリード線を纏めたコネクタを光源モジュール16のコネクタ受け部51に接続し、この光源モジュール16を取付開口34から器具本体15内に挿入する。このとき、光源モジュール16の他方のケース直線部44a側に位置する係止爪部36,36を取付開口34の他方の直線部34a側に位置する係止凹部38,38にそれぞれ挿入するとともに凹部57に係止凸部40を挿入し(図7(b))、これらを支点として光源モジュール16の係止ばね54側を上方へと回動させる(図7(a))ことで、取付開口34の内縁部(一方の直線部34a)に沿って弾性変形された係止ばね54の挿入爪部56,56が係止凹部38,38の位置で復帰変形して、光源モジュール16が器具本体15に固定され、照明器具11が完成する。この回動の際、光源モジュール16の係止ばね54側の上部は、傾斜部65により器具本体15との干渉が防止される。リード線は、挿入凹部101内に収納される。
この完成した照明器具11を天井面に取り付ける際には、各取付けばね23を器具本体15(本体部21)の側面に沿わせるように弾性変形させて保持した状態で、照明器具11を埋込孔に下方から挿入し、器具本体15の本体部21および各取付けばね23を埋込孔に挿入する。
各取付けばね23の引掛部23aが埋込孔より上方に移動したら、各取付けばね23の保持を解除する。これにより、各取付けばね23が弾性変形に対する反発力によって器具本体15の側方に展開し、埋込孔の上縁部に当接して照明器具11を上方へ引き上げ、化粧枠22の化粧枠本体31の上面が天井面に当接し、照明器具11が設置完了となる。この後、端子台18の配線接続部83,83にケーブル81の配線85,85をそれぞれ側方から器具本体15(本体部21)の接線方向に沿って挿入接続する。
端子台18から外部電源が供給された照明器具11は、点灯回路104が常時点灯回路を有している場合には、常時点灯回路から定電流をLED46に供給し、LED46を常時点灯させるとともに、バッテリパック17のバッテリ68を必要に応じて充電する。また、停電などの非常時には、バッテリパック17のバッテリ68から電力が供給された点灯回路104の非常時点灯回路がLED46を非常時点灯させる。すなわち、点灯回路104が常時点灯回路を有している場合には、点灯回路104の常時点灯回路が非常時点灯回路に切り換わる。
そして、天井面に取り付けた照明器具11のメンテナンスの際には、組み立てのときと逆順で、光源モジュール16とバッテリパック17とを器具本体15から順次取り外す。すなわち、まず、光源モジュール16の係止ばね54の解除操作部54aを、操作凹部39に指を挿入して切欠開口63内へと作用線Lに沿って押圧、すなわち爪部54b,54bの付勢方向と反対方向に押圧操作することで、係止ばね54が付勢に抗して弾性変形して爪部54b,54bが係止凹部38,38から外れ、係止ばね54による光源モジュール16の器具本体15への係止が解除される。そこで、この光源モジュール16の係止ばね54側を下方へと回動させ(図7(a))、光源モジュール16を取付開口34に対して係止ばね54側に若干移動させながら下方へと引き抜く(図7(b))ことで、係止爪部36,36と係止凹部38,38との係止、および、凹部57と係止凸部40との係止が解除され、光源モジュール16が取付開口34から取り外される。この後、光源モジュール16の上部に露出するコネクタ受け部51の取外しレバー51aを操作することで、コネクタ受け部51に接続されたコネクタを取り外すことにより、光源モジュール16を器具本体15から取り外すこともできるし、リード線は充分に長く設けられているので、コネクタ受け部51に接続されたコネクタを取り外すことなくバッテリパック17を取り外すこともできる。次いで、取付開口34から覗くバッテリパック17の操作片79,79を両側から作用線Lへと接近させるように摘んでバッテリ係止爪部73,73をバッテリ用係止孔27,27から外しつつバッテリパック17を下方へと器具本体15の軸方向に沿って引き抜く(図8)ことで、バッテリパック17が器具本体15から取り外される。
なお、点灯ユニット19については、一旦器具本体15に取り付けてしまった後は、通常取り外すことはないが、取り外しが必要な場合には、化粧枠22を本体部21から取り外した後、係止片部96を器具本体15(本体部21)の外方から押し込んでユニット用係止孔29との係止を解除することで、端子台18と一体的に取り外すことが可能である。
以上説明した一実施形態によれば、バッテリパック17のバッテリ本体75,75を、器具本体15の内部(内周)に沿って互いに対向する位置にそれぞれ配置、すなわち、バッテリ本体75,75を器具本体15内に均等に配置し、これらバッテリ本体75,75間に基板部89を配置することで、器具本体15内のバッテリ本体75,75間のスペース(空間部76)を有効利用し、基板部89を長く取ることができるので、器具本体15内に位置する基板部89の大きさを確保できる。
特に、基板部89を、バッテリ本体75,75間にて器具本体15の径方向に平行に、器具本体15の直径近傍に配置することで、基板部89を器具本体15の直径と略等しい長さ分取ることができ、基板部89をより大きくすることができる。
したがって、基板部89に実装できる部品を多くできる。
また、照明器具11を構成する部品中で最も重い重量物であるバッテリ本体75,75を、取付けばね23,23の付勢力の作用線Lに対して略対称な位置に配置することで、照明器具11の重心を略作用線L上に位置させることができるとともに、この重心近傍にバッテリ本体75,75を位置させることができる。しかも、取付けばね23,23の付勢力の作用線L上に位置して器具本体15内に端子台18を配置することにより、器具本体15を傾ける荷重が端子台18に加わりにくいとともに、ケーブル81から端子台18に加わる上下方向の荷重などを取付けばね23,23によってバランスよく受けることができる。この結果、取付けばね23,23によって、照明器具11を天井面の埋込孔に対して常時安定して取り付け保持できる。
特に、端子台18の略直下に一方の取付けばね23が位置する、すなわち取付けばね23の近傍に端子台18が位置しているので、この取付けばね23の付勢力を、端子台18に加わる上下方向の荷重に対抗させ、照明器具11をより安定的に取り付け保持できる。
しかも、端子台18が器具本体15の外方に突出しないため、器具本体15の径寸法を、例えばランプを光源として用いる既存の照明装置や非常灯と同等としても、この既存の照明装置が取り付けられていた既設の埋込孔に対して上記の照明器具11を容易に取り付けできる。したがって、既存の照明装置を、上記の照明器具11に容易に置き換えできるとともに、器具本体15の内部に充分なスペースを取ることができるので、照明器具11(器具本体15)をより薄型化できる。また、これまでの非常灯などの照明装置とは異なり、器具本体15の上面からケーブルが挿入されることがなく、端子台18が器具本体15の外方に突出しないため、端子台18とケーブル81との接続部分に埃が付着することを防ぐことができる。
さらに、端子台18は、配線接続部83,83を器具本体15の接線方向に沿って上下に並んで配置しているので、配線接続部83,83に接続されるケーブル81の配線85,85が上下に並ぶこととなる。したがって、扁平なケーブル81の厚み方向が側方に向くこととなり、ケーブル81が水平方向に沿ってより変形しやすい状態となるので、配線85,85が接続された端子台18に対して、ケーブル81から上下方向へとより荷重が加わりにくくなり、照明器具11をより安定的に保持できる。
また、光源モジュール16は、1つの係止ばね54によって器具本体15に対して着脱可能に係止されるので、構成が簡単であるとともに、着脱作業の際に、係止ばね54に力を加えることとなるものの、この係止ばね54が取付けばね23,23の付勢力の作用線L上に位置しているため、取付けばね23,23による付勢力と交差する方向に力が生じにくく、照明器具11と天井側との保持が不安定になりにくいので、光源モジュール16を器具本体15に対して容易に着脱できる。
具体的に、係止ばね54は、作用線Lに沿う方向に付勢されて光源モジュール16を器具本体15に対して係止するとともに、作用線Lに沿って付勢方向と反対方向へ操作することで係止を解除するので、光源モジュール16の着脱作業が基本的に作用線Lに沿って行われることとなる。したがって、この着脱の操作時に加えられる力が取付けばね23,23の付勢力と交差しないので、これら取付けばね23,23による照明器具11の保持に影響を与えにくく、照明器具11を安定的に保持した状態での作業が可能となり、作業性がより向上する。
さらに、器具本体15内の光源モジュール16の上方の位置に、この光源モジュール16に隣接してバッテリパック17を着脱可能に配置することで、光源モジュール16を取り外すことによってバッテリパック17が器具本体15の下方すなわち取付開口34に露出し、バッテリパック17を容易に取り外しできる。しかも、バッテリパック17は、光源モジュール16側に取り外し操作用の操作片79,79を備えるので、光源モジュール16を取り外した状態でこれら操作片79,79が露出し、バッテリパック17をより容易に取り外しできる。
したがって、バッテリパック17のメンテナンス性をより向上できる。特に、LED46は長寿命であるため、非常灯対応の照明器具11においては、光源モジュール16と比較して、バッテリパック17のメンテナンスの頻度および優先順位が相対的に上がるので、このようにバッテリパック17を容易に取り外しできるようにすることで、メンテナンスがより容易に可能となる。
また、光源モジュール16の光源基板43の一主面に保守点検用のスイッチ47、モニタランプ48および通信デバイス49,50を実装しているので、光源モジュール16自体を点検確認ができるなど高機能化できるとともに、確認作業が機能的となる。さらに、LED46と同様に長寿命のこれらスイッチ47、モニタランプ48および通信デバイス49,50をLED46とセットにすることで、これらを別個に備える場合と比較して、照明器具11が複雑化および大型化せず、照明器具11内のユニットや部品点数を削減でき、簡素化および小型化できる。
また、スイッチ47、モニタランプ48および通信デバイス49,50をLED46の周囲に配置することで、デッドスペースを有効に利用して、これらスイッチ47、モニタランプ48および通信デバイス49,50を機能的かつ省スペースに配置できる。
なお、上記一実施形態において、点灯回路104は、少なくとも非常時点灯回路を有していれば、常時点灯回路は必須の構成ではない。すなわち、照明器具11は非常時にのみ点灯するようにしてもよい。
また、発光素子としては、LED46以外でも、例えばレーザダイオードなどの発光素子、あるいは、有機EL素子(OLED)などを用いることもできる。
さらに、器具本体15は、円筒状に限らず、例えば角筒状などとしてもよい。この場合には、例えばバッテリ本体75,75を互いに対向する面部に沿わせて配置したり、対角に位置する角部に配置したりすることで、基板部89を長く取ることができるなど、上記の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。