JP2015185260A - 電池用電極及び電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】亜鉛負極やその他の電極であって、電池を構成した際に、電極のシェイプチェンジやデンドライトを充分に制御することができ、長寿命化でき、また、水素発生を抑制できる電池用電極、及び、電池を提供する。
【解決手段】集電体と、活物質粒子を含む活物質層とを備える電池用電極であって、上記電極は、活物質層内及び/又は活物質層上に、電気的に絶縁性の材料から構成される構造体を有し、上記構造体は、活物質粒子由来のイオンの活物質層からの離脱を阻害する構造をもつ電池用電極である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電池用電極及び電池に関する。
電池は、近年においては、携帯機器から自動車等まで多くの産業において、主にその性能や二次電池化の面で開発・改良の重要性が益々高まっている。
電池、特に鉛種や、亜鉛種、カドミウム種を含む負極を用いて構成される蓄電池は、長期間充放電を繰り返すと、電極の活物質層等の近傍で金属の溶解析出反応が起こる過程で、シェイプチェンジやデンドライトという電極活物質の形態変化が発生し、容量劣化や短寿命化が起こるという課題があった。このような課題に対し、ゲル電解質を用いたり電極組成物にポリマーを添加したりする技術がこれまでに報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、多孔性部材を用いた電極構成部材として、セパレーター電極一体型蓄電部材が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。また、多孔性固体亜鉛電極及びその作製方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
国際公開第2013/027767号 特開2006−236647号公報 特表2008−518408号公報
上記特定の蓄電池等のように、電池反応に伴って活物質の溶解・析出反応が生じる場合、活物質の析出形態を制御することは極めて重要である。特にニッケル・亜鉛電池やニッケル・カドミウム電池では負極活物質である亜鉛種やカドミウム種の負極での析出形態が制御できていないと、充放電反応を重ねるごとにシェイプチェンジが進行し、負極の活物質が枯渇して水素が発生するという現象が生じる。これは電池開発における重要な課題のひとつとなっている。
上記特許文献1に記載の発明は、アニオンとなっていた活物質が充電時に電極の近傍で再度析出するものに関してはシェイプチェンジやデンドライトを抑制する効果を発揮できるが、放電時に溶出したアニオンがその後電池内の電極近傍以外で過飽和状態となって再度析出することを防止するよう考慮したものではなかった。なお、上記特許文献2及び3には、シェイプチェンジの課題は記載されておらず、当該課題を充分に解消するための工夫の余地があった。また、上記特許文献2に記載の発明を亜鉛負極に適用すると、多孔質のセパレーター層内に亜鉛種由来のデンドライトが発生・成長し、電池性能を損なうおそれがあった。したがって、長期にわたって充放電を繰り返すと、電池形状によって電解液の対流が偶発的に生じるところ、この対流に依存して発生し得る電極のシェイプチェンジを抑制するための検討の余地があった。
このような課題は、亜鉛負極やカドミウム負極を用いる電池において特に重要であるが、これら以外の電極を用いる電池も有するものである。
なお、亜鉛種によって構成される亜鉛負極を用いる電池は、電池の普及と共に古くから研究されてきたものであり、アルカリ水溶液で構成される安全性、及び、活物質としてレアメタルを用いずに電極を形成できるという元素戦略的な確固たる優位性を有するが、上記課題等のために近年電池開発の主流ではなくなっていた。上記課題を解決すれば、安全性・優位性と性能とが両立できる電池として、携帯機器から自動車等まで多くの産業において極めて好適に使用できる可能性がある。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、亜鉛負極やその他の電極であって、電池を構成した際に、電極のシェイプチェンジやデンドライトを充分に制御することができ、長寿命化でき、また、水素発生を抑制できる電池用電極、及び、電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、先ず上述した安全性・優位性を有する亜鉛負極を用いる電池に着目し、亜鉛負極のシェイプチェンジを防止するために、放電時にアニオン(亜鉛酸イオン)であった活物質(酸化亜鉛)の再析出を負極の近傍に制御する機構について種々検討した。そして、本発明者らは、鋭意検討の結果、電極が、活物質層内及び/又は活物質層上に、電気的に絶縁性の材料から構成される構造体を有することにより、該電極を用いて構成した電池において、当該構造体が当該イオンの活物質層からの離脱を物理的に阻害したり、イオンが電極近傍で過飽和状態となり、活物質が電極の近傍で再析出するように制御したりすることができ、その結果電極のシェイプチェンジの抑制効果を顕著に発揮できることを見いだした。これにより、イオンが電極近傍で枯渇せず、活物質を電極上に豊富に保持できることから、水素発生を抑制することができる。更に、本発明者らは、デンドライトによる電極間短絡が、上記構造体により物理的に抑制され、電池を長寿命化できることも見いだした。そして、本発明者らは、亜鉛負極以外の負極や正極も、上記構造体を有するものとすれば同様に電極のシェイプチェンジやデンドライトを充分に制御することができ、長寿命化でき、また、水素発生を抑制できることを見いだし、本発明に想到したものである。
すなわち本発明は、集電体と、活物質粒子を含む活物質層とを備える電池用電極であって、上記電極は、活物質層内及び/又は活物質層上に、電気的に絶縁性の材料から構成される構造体を有し、上記構造体は、活物質粒子由来のイオンの活物質層からの離脱を阻害する構造をもつ電池用電極である。
また本発明は、本発明の電池用電極、及び、電解質を備える電池でもある。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載される本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせた形態もまた、本発明の好ましい形態である。
<本発明の電池用電極>
本発明の電池用電極は、負極であってもよく、正極であってもよいが、負極であることが好ましい。
本発明の電池用電極は、活物質層内及び/又は活物質層上に、電気的に絶縁性の材料から構成される構造体を有する。以下では、本発明の電池用電極が有する構造体について説明する。
〔構造体〕
本発明の電池用電極における上記構造体としては、活物質粒子由来のイオンの活物質層からの離脱を阻害したり、該イオンが構造体の空隙部等の内部で過飽和状態となり、再析出するように制御したりすることができる限り種々の構造のものを挙げることができる。なお、構造体が活物質層上にあるとは、構造体が活物質層側から見て集電体側にあってもよく、活物質層側から見て集電体の反対側にあってもよい。
上記構造体は、集電体側から見た場合に活物質層と少なくとも部分的に重畳するものであることが好ましいが、活物質層の全部と重畳することがより好ましい。重畳している部分について、構造体が活物質層内にある場合は、活物質粒子由来のイオンが集電体側から電極表面に向けて直進するのを阻害し、これにより、当該イオンが活物質層から離脱するのを阻害することができる。また、構造体が活物質層上にあり、活物質層側から見て集電体側にある場合は、上記イオンが構造体の空隙部等の内部で過飽和状態となり、活物質が構造体の内部で再析出するように制御でき、またこのように構造体に活物質が入り込んで構造体の層が活物質層の一部又は全部となることにより、構造体が活物質層内にある場合と同様に、構造体の内部で析出した活物質粒子由来のイオンが集電体側から電極表面に向けて直進するのを阻害することができる。更に、構造体が活物質層上にあり、活物質層側から見て集電体の反対側にある場合は、活物質粒子由来のイオンが活物質層から離脱するのを直接阻害することもできる。その結果、活物質粒子由来のイオンが電極近傍で枯渇せず、活物質を電極上に豊富に保持でき、電極のシェイプチェンジを抑制し、水素発生を抑制する本発明の効果を顕著に発揮できる。また、デンドライトによる電極間短絡を上記構造体により物理的に抑制することができる。
本発明の電池用電極において、上記構造体は、上記イオンが通過可能な空隙部があることが好ましい。これにより、本発明の電池用電極を備える電池において、本発明の効果を発揮しつつ電池反応を好適に行うことが可能となる。
本発明の電池用電極において、上記構造体は、その空隙部内で上記イオンの少なくとも一部を滞留させることがより好ましい。空隙部内で上記イオンを滞留させるとは、該イオンが空隙部内に留まっている限り、該イオンが空隙部内で移動していてもよい。これにより、活物質が電極の近傍で再析出しやすくなる。上記空隙部としては、粒状の孔がより好ましいものとして挙げられる。粒状の孔は、構造体の表面付近では構造体の表面が部分的に窪んでいる凹型形状のものであってもよい。また、これらが互いに連通したものであってもよい。空隙部が粒状の孔であると、空隙部の中で上記イオンの少なくとも一部が対流すると考えられる。対流とは、本明細書中、回り込むように流れること、又は、還流することを意味する。
なお、上記イオンの離脱の阻害、滞留、対流とは、それぞれ、本発明の電池用電極を備える電池が電池反応を起こす過程におけるものを意味する。
上記イオンが通過可能な空隙部がある構造体としては、例えば(1)空隙部がランダムに連通した構造を有するもの、(2)複数の繊維を絡めて構成されたもの、(3)貫通孔のあるシートを孔の位置が重ならないように複数枚重ね合わせて構成され、その空隙部が規則的に連通したものが、それぞれより好ましいものとして挙げられる。これら構造体は、それぞれ、活物質層内に配置されてもよいし、活物質層上に配置されてもよい。また、上記構造体は、上記(1)〜(3)の2つ以上が組み合わされたものであってもよい。
上記(1)において、上記空隙部が、例えば電気的に絶縁性の材料に囲まれていた粒状物が除去されて形成された粒状の孔であることが本発明の1つの好ましい形態である。上記構造体は、後述するように、例えば、電気的に絶縁性のポリマーと粒状物とを混錬し、塗布・乾燥等させた後、粒状物の少なくとも一部を溶出させて形成することができる。
上記粒状物は、電気的に絶縁性の材料から除去されることにより、得られる構造体内に空孔を形成できるものであればよいが、例えば、周期表の第1族〜第15族から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むものを用いることができる。
また上記構造体が活物質層内にある場合は、上記粒状物の一部を除去し、粒状物が除去されて生じた空隙部が本発明に係る構造体の空隙部となり、その他の残存した粒状物が活物質として機能するものであることが好ましい。この場合は、上記粒状物として、後述する活物質と同じものを用いることが好ましい。例えば、構造体を亜鉛負極に用いる場合は、上記粒状物は酸化亜鉛が好ましい。上記粒状物の形状、好ましい平均粒子径、比表面積、アスペクト比、これらの測定方法、構造体を形成するための組成物に対する配合割合は、それぞれ、後述する活物質の好ましい形状、平均粒子径、比表面積、アスペクト比、これらの測定方法、電池用電極組成物中の配合割合と同様である。このように、構造体を形成するための組成物は、電池用電極組成物を兼ねていてもよい。構造体を形成するための組成物のうち、活物質層と活物質層内の構造体とを形成できるものを、本明細書中、活物質層内の構造体を形成できる電極組成物ともいう。なお、活物質層内の構造体を形成できる電極組成物を用いて電極を形成する場合は、別途活物質層を形成するための電極組成物を用いなくてもよい。
また上記(1)において、構造体が多孔質状又は発泡性であり、当該孔又は泡が互いに連通して空隙部を構成するものもまた本発明の1つの好ましい形態である。
上記(2)においては、電気的に絶縁性の材料が繊維を構成する。複数の繊維が絡み合って通常は網目構造を形成する。なお、複数の繊維は、同種の材料であってもよく、異種の材料であってもよい。上記(2)においては、上記電気的に絶縁性の材料から構成される構造体は、多孔質体が特に好ましく、多孔質状の不織布が一層好ましい。
上記繊維と活物質層とが重畳している領域を上から見たときに、繊維の網目構造部分から活物質層が露出している部分の面積が、当該領域100%に対し、70%以下であることが好ましい。より好ましくは、30%以下であり、更に好ましくは、10%以下であり、特に好ましくは、5%以下である。最も好ましくは、繊維の網目構造部分から活物質層が実質的に露出していないことである。
上記繊維の長さは、例えば10μm以上であることが好ましい。より好ましくは、100μm以上である。また、100mm以下であることが好ましい。より好ましくは、10mm以下である。
また上記繊維の径は、例えば0.1μm以上であることが好ましい。より好ましくは、1μm以上である。また、1000μm以下であることが好ましい。より好ましくは、500μm以下である。
上記(3)において、上記貫通孔のあるシートとしては、電気的に絶縁性の材料を必要に応じてシート状に成型したものを用いることができるが、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等がより好ましい。
なお、孔の位置が重ならないとは、シート主面を平面視したときに、一方の孔の周と他方の孔の周とが完全に一致しないものであればよく、例えば、一方の孔の一部と他方の孔の一部とが互いに重畳するものや、一方の孔が他方の孔の中に完全に含まれているものであってもよい。好ましくは、一方の孔の一部と他方の孔の一部とが互いに重畳するものである。
本発明における構造体は、電気的に絶縁性の材料から構成される。該電気的に絶縁性の材料としては、例えば電気的に絶縁性のポリマーが挙げられる。
上記ポリマーとしては、熱可塑性、熱硬化性のいずれであってもよく、ポリオレフィン等の炭化水素部位含有ポリマー、ポリスチレン等の芳香族基含有ポリマー;アルキレングリコール等のエーテル基含有ポリマー;ポリビニルアルコール等の水酸基含有ポリマー;ポリアミド、ポリアクリルアミド等のアミド結合含有ポリマー;ポリマレイミド等のイミド基含有ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸塩等のカルボン酸塩基含有ポリマー;スルホン酸塩部位含有ポリマー;第四級アンモニウム塩や第四級ホスホニウム塩含有ポリマー;イオン交換性重合体;天然ゴム;スチレンブタジエンゴム(SBR)等の人工ゴム;ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)、カルボキシメチルセルロース等の糖類;ポリエチレンイミン等のアミノ基含有ポリマー;ポリウレタン等が挙げられる。中でも、上記ポリマーは、芳香族基、カルボキシル基、カルボン酸塩基、水酸基、アミノ基、エーテル基、アミド結合(−CO−NH−)、及び、ウレタン基(−NHCOO)からなる群より選択される少なくとも1種を含有するか、又は、炭化水素であることが好ましい。また、カルボン酸塩基は、カルボン酸リチウム塩基、カルボン酸ナトリウム塩基、カルボン酸カリウム塩基が好ましい。より好ましくは、カルボン酸ナトリウム塩基である。上記炭化水素は、例えばポリオレフィンが挙げられる。中でも、上記ポリマーは、(i)絶縁物であること、(ii)物理的強度に優れること、(iii)後述するように電気的に絶縁性の材料に囲まれている粒状物を除去して空隙部を形成する場合は、当該粒状物と結着せず、粒状物を分離しやすいことの3点を総合的に考慮して適宜選択することが好ましく、このような観点からは、炭化水素部位含有ポリマー、芳香族基含有ポリマー、エーテル基含有ポリマー、アミド結合含有ポリマー、カルボキシル基含有ポリマー、カルボン酸塩基含有ポリマー、スルホン酸塩部位含有ポリマー、第四級アンモニウム塩や第四級ホスホニウム塩含有ポリマー、糖類、ポリウレタンが好ましい。より好ましくは、炭化水素、アミド結合含有ポリマー、ポリウレタンである。炭化水素としては、ポリオレフィンが更に好ましい。ポリウレタンとしては、発泡性ポリウレタンが更に好ましい。
なお、上記ポリマーは、熱や圧力等により繊維化された状態になってもよい。ポリマーの繊維化により、構造体の強度等を調節することもできる。
上記ポリマーは、その構成単位に該当するモノマーより、ラジカル(共)重合、アニオン(共)重合、カチオン(共)重合、グラフト(共)重合、リビング(共)重合、分散(共)重合、乳化(共)重合、懸濁(共)重合、開環(共)重合、環化(共)重合、光、紫外線や電子線照射による重合、メタセシス(共)重合、電解(共)重合等により得ることができる。これらポリマーが官能基を有する場合には、それを主鎖及び/又は側鎖に有していても良く、それが架橋剤との結合部位として存在してもよい。これらポリマーは、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記ポリマーは、有機架橋剤化合物により架橋されていてもよい。ただし、架橋されたポリマーが吸水性を有する場合、構造体にクラックを生じることがあるため、架橋されたポリマーは吸水性を持たない方がよい。
上記ポリマーの重量平均分子量は、200〜7000000であることが好ましい。これにより、アニオン伝導性材料のイオン伝導性、粘性、可とう性、強度等を調節することができる。該重量平均分子量は、より好ましくは、400〜6500000であり、更に好ましくは、500〜5000000である。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
本発明の電池用電極は、活物質層を備える。該活物質層内に上述した構造体が含まれていてもよく、活物質層上に上記構造体が別途配置されていてもよい。
本発明の電池用電極は、活物質層内に、活物質粒子の他、ポリマーや導電助剤、その他の成分を更に含んでもよい。以下では、本発明の電池用電極の活物質層に含まれる、活物質粒子、結着剤、導電助剤、その他の成分について順に説明する。
〔活物質粒子〕
本発明の電池用電極の活物質層に含まれる活物質粒子は、正極の活物質でもよく、負極の活物質でもよいが、負極の活物質が好ましい。
本発明の電池用電極が負極である場合は、上記負極の活物質としては、炭素種・リチウム種・ナトリウム種・マグネシウム種・カドミウム種・鉛種・亜鉛種・錫種・シリコン含有材料・水素吸蔵合金材料、白金等の貴金属材料等、電池の負極活物質として通常用いられるものを用いることができる。これらの中でも、本発明の電池用電極における上記活物質は、亜鉛種を含有することが好ましい。これにより、シェイプチェンジやデンドライトを抑制する本発明の効果が顕著なものになる。ここで亜鉛種とは、亜鉛含有化合物を言う。なお、上記亜鉛種は、亜鉛を含有する限り、電池の駆動によりそれ自体が反復的に酸化・還元されるものであってもよい。
上記亜鉛含有化合物は、活物質として用いることができるものであればよく、例えば、酸化亜鉛(JIS K 1410(2006年)に規定する1種/2種/3種)や、水酸化亜鉛・硫化亜鉛・テトラヒドロキシ亜鉛アルカリ金属塩・テトラヒドロキシ亜鉛アルカリ土類金属塩・亜鉛ハロゲン化合物・亜鉛カルボキシラート化合物・亜鉛合金・亜鉛固溶体・ホウ酸亜鉛・リン酸亜鉛・リン酸水素亜鉛・ケイ酸亜鉛・アルミン酸亜鉛・炭酸化合物・炭酸水素化合物・硝酸化合物・硫酸化合物等に代表される周期表の第1族〜第17族に属する元素からなる群より選択される少なくとも1つの元素を有する亜鉛(合金)化合物、有機亜鉛化合物、亜鉛化合物塩等が挙げられる。これらの中でも、酸化亜鉛(JIS K 1410(2006年)に規定する1種/2種/3種)、水酸化亜鉛、テトラヒドロキシ亜鉛アルカリ金属塩、テトラヒドロキシ亜鉛アルカリ土類金属塩、亜鉛ハロゲン化合物、亜鉛カルボキシラート化合物、亜鉛合金、亜鉛固溶体、ホウ酸亜鉛、リン酸亜鉛、ケイ酸亜鉛、アルミン酸亜鉛、炭酸亜鉛、周期表の第1族〜第17族に属する元素からなる群より選択される少なくとも1つの元素を有する亜鉛(合金)化合物がより好ましい。上記亜鉛合金は、(アルカリ)乾電池や空気電池に使用される亜鉛合金であってもよい。上記亜鉛含有化合物は、1種でも2種以上でも使用することができる。
本発明の電池用電極が正極である場合は、上記正極の活物質としては、一次電池や二次電池の正極活物質として通常用いられるものを用いることができる。例えば、オキシ水酸化ニッケル、水酸化ニッケル、コバルト含有水酸化ニッケル等のニッケル含有化合物;二酸化マンガン等のマンガン含有化合物;酸化銀;コバルト酸リチウム等のリチウム含有化合物;鉄含有化合物;コバルト含有化合物等が挙げられる。
上記活物質粒子の形状としては、微粉状、粉状、粒状、顆粒状、鱗片状、多面体状、ロッド状、曲面含有状等が挙げられる。活物質粒子は、一次粒子だけでなく、一次粒子が凝集した二次粒子であってもよい。
本発明の電池用電極は、これを用いて蓄電池を作製した際に水含有電解液を使用した場合には、電池の使用の過程で水の分解副反応を進行させる場合があり、該副反応を抑制するために、特定の元素を活物質に導入してもよい。特定の元素としては、Al、B、Ba、Bi、Br、C、Ca、Cd、Ce、Cl、Cu、Eu、F、Ga、Hg、In、La、Mg、Mn、N、Nb、Nd、Ni、P、Pb、S、Sb、Sc、Si、Sm、Sn、Sr、Ti、Tl、Y、Zr等が挙げられる。
ここで、特定の元素を活物質に導入するとは、活物質を、これらの元素を構成元素とする化合物とすることを意味する。
上記活物質粒子の平均粒子径は、5nm以上であることが好ましい。より好ましくは10nm以上であり、更に好ましくは50nm以上であり、一層好ましくは200nm以上であり、特に好ましくは500nm以上である。また、上記平均粒子径は、500μm以下であることが好ましい。より好ましくは、100μmであり、更に好ましくは、60μm以下であり、一層好ましくは、10μm以下であり、特に好ましくは、3μm以下である。
上記平均粒子径は、粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
上記活物質粒子の比表面積は、0.1m/g以上であることが好ましい。より好ましくは、1m/g以上である。また、1500m/g以下であることが好ましい。より好ましくは、1200m/g以下であり、更に好ましくは、900m/g以下であり、より更に好ましくは、250m/g以下であり、特に好ましくは、50m/g以下である。
活物質粒子の比表面積を上記範囲内とすることにより、電池の使用の過程で活物質のシェイプチェンジや不動態の形成を抑制することができる等の効果がある。
上記比表面積は、窒素吸着BET法で比表面積測定装置等により測定することができる。
なお、比表面積が上述のような範囲の粒子は、例えば、粒子をナノ粒子化したり、粒子製造の際の調製条件を選択することにより粒子表面に凹凸をつけたりすることにより製造することが可能である。
上記活物質粒子は、アスペクト比(縦/横)が1.1以上であることが好ましい。該アスペクト比(縦/横)は、より好ましくは、2以上であり、更に好ましくは、3以上である。また、該アスペクト比(縦/横)は、100000以下であることが好ましい。該アスペクト比(縦/横)は、より好ましくは50000以下である。
上記アスペクト比(縦/横)は、例えば、SEMにより観察した粒子の形状から求めることができる。例えば、上記化合物の粒子が直方体状の場合は、最も長い辺を縦、2番目に長い辺を横として、縦の長さを横の長さで除することにより求めることができる。その他の形状の場合には、アスペクト比が最も大きくなるように、ある一つの部分を底面に置き、それをアスペクト比が最も大きくなるような方向から投影した時にできる二次元の形において、ある一点から最も離れた一点の長さを測定し、その最も長い辺を縦、縦の中心点を通る直線のうち最も長い辺を横として、縦の長さを横の長さで除することにより求めることができる。
なお、アスペクト比(縦/横)が上述のような範囲の化合物の粒子は、例えば、そのようなアスペクト比を有する粒子を選択する方法や、粒子を製造する段階で調製条件を最適化し、該粒子を選択的に得る方法等により得ることが可能である。
上記活物質の活物質層中の配合割合は、上記構造体以外の活物質層100質量%に対して、40〜99.9質量%であることが好ましい。活物質の配合量がこのような範囲であると、本発明の電池用電極を電池に用いた場合に、より良好な電池性能を発揮する。より好ましくは、60〜99.5質量%であり、更に好ましくは、80〜99質量%であり、特に好ましくは85〜98質量%である。
〔結着剤〕
本発明の電池用電極の活物質層は、更に、結着剤を含むものであることが好ましい。
上記結着剤としては、種々の公知のものを用いることができるが、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のハロゲン含有ポリマーが好ましいものとして挙げられる。中でも、上記結着剤は、ポリテトラフルオロエチレンがより好ましい。なお、上記結着剤は、1種でも2種以上でも使用することができる。
上記結着剤の重量平均分子量は、200〜7000000であることが好ましい。これにより、活物質層のイオン伝導性、粘性、可とう性、強度等を調節することができる。該重量平均分子量は、より好ましくは、400〜6500000であり、更に好ましくは、500〜5000000である。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
上記結着剤の活物質層中の質量割合は、上記構造体以外の活物質層100質量%に対して、0.1〜60質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜40質量%であり、更に好ましくは、1〜20質量%であり、特に好ましくは、2〜15質量%である。
〔導電助剤〕
本発明の電池用電極は、上記活物質粒子、結着剤とともに、導電助剤を含んでいてもよい。
上記導電助剤としては、例えば、導電性カーボン、導電性セラミックス、亜鉛・亜鉛末・亜鉛合金・(アルカリ)(蓄)乾電池や空気電池に使用される亜鉛(以下、纏めて金属亜鉛とも称する)、銅・真鍮・ニッケル・銀・ビスマス・インジウム・鉛・錫等の金属等を用いることができる。
上記導電性カーボンとしては、天然黒鉛・人造黒鉛等の黒鉛、グラッシーカーボン、アモルファス炭素、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素、カーボンナノフォーム、活性炭、グラフェン、ナノグラフェン、グラフェンナノリボン、フラーレン、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、ケッチェンブラック、気相法炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、メソカーボンマイクロビーズ、金属によりコートしたカーボン、カーボンコートした金属、ファイバー状カーボン、ホウ素含有カーボン、窒素含有カーボン、多層/単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、バルカン、アセチレンブラック、酸素含有官能基を導入することにより親水処理したカーボン、SiCコートカーボン、分散・乳化・懸濁・マイクロサスペンジョン重合等により表面処理したカーボン、マイクロカプセルカーボン等が挙げられる。
上記導電性セラミックスとしては、例えば、酸化亜鉛と共に焼成したBi、Co、Nb、及び、Yから選ばれる少なくとも1種を含有する化合物等が挙げられる。
上記導電助剤の中でも、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素、グラフェン、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、メソカーボンマイクロビーズ、ファイバー状カーボン、多層/単層カーボンナノチューブ、バルカン、アセチレンブラック、酸素含有官能基を導入することにより親水処理したカーボン、金属亜鉛、銅・真鍮・ニッケル・銀・ビスマス・インジウム・鉛・錫等の金属が好ましい。なお、金属亜鉛はアルカリ(蓄)電池や空気電池のような実電池に使用されるものであってもよく、表面を他元素やカーボン等で処理されたものであってもよいし、合金化されていてもよい。固溶体であってもよい。上記導電助剤は、1種でも2種以上でも使用することができる。
上記金属亜鉛は活物質としても働くことが可能である。言い換えれば、電池の使用の過程で、導電助剤である金属亜鉛は酸化還元反応をおこなって活物質としても機能する。なお、同様に、電池の使用の過程で、活物質である亜鉛含有化合物から生成する金属亜鉛は導電助剤としても機能する。負極等の電極の調製段階で電池用電極組成物に添加する金属亜鉛及び亜鉛含有化合物は、電池の使用の過程では、活物質かつ導電助剤として実質的に機能する。
上記導電助剤は、これを用いて蓄電池を作製した際に水含有電解液を使用した場合には、電池の使用の過程で水の分解副反応を進行させる場合があり、該副反応を抑制するために、特定の元素を導電助剤に導入してもよい。特定の元素としては、上述した活物質に導入する特定の元素と同様のものが挙げられる。導電性カーボンを導電助剤の一つとして使用する場合には、特定の元素としては、Al、B、Ba、Bi、C、Ca、Cd、Ce、Cu、F、Ga、In、La、Mg、Mn、N、Nb、Nd、Ni、P、Pb、S、Sb、Sc、Si、Sn、Ti、Tl、Y、Zrが好ましい。
ここで、特定の元素を導電助剤に導入するとは、導電助剤を、これらの元素を構成元素とする化合物とすることを意味する。
上記導電助剤の粒子の好ましい平均粒子径は、上記した活物質粒子の好ましい平均粒子径と同様である。
なお、上記平均粒子径は、上記した活物質粒子の平均粒子径と同様の方法で測定することができる。
上記導電助剤の好ましい比表面積は、上記した活物質粒子の好ましい比表面積と同様である。導電助剤の比表面積を上記範囲内とすることにより、電池の使用の過程で電極のシェイプチェンジや不動態の形成を抑制することができる等の効果がある。
なお、上記比表面積は、上記活物質粒子の比表面積と同様の方法で測定することができる。
本発明の電池用電極が導電助剤を含む場合は、上記導電助剤の活物質層中の含有割合は、本発明の活物質層中の活物質100質量%に対して、0.0001〜100質量%であることが好ましい。導電助剤の含有割合がこのような範囲であると、本発明の電池用電極を電池に用いた場合に、より良好な電池性能を発揮する。より好ましくは、0.0005〜60質量%であり、更に好ましくは、0.001〜40質量%である。
なお、金属亜鉛を電池用電極組成物や亜鉛負極の調製時に使用する場合には、金属亜鉛は活物質ではなく、導電助剤として考えて計算する。また、亜鉛含有化合物である酸化亜鉛や水酸化亜鉛等から電池の使用の過程で生成する金属亜鉛は、系中で導電助剤としての機能も果たすことになるが、電池用電極組成物や亜鉛負極調製時には0価の金属亜鉛ではないため、ここでは導電助剤と考えず、活物質と考えて計算する。すなわち、上記活物質、導電助剤の好ましい含有割合は、電池用電極組成物や亜鉛負極の調製時における亜鉛含有化合物は活物質として考え、金属亜鉛は導電助剤として考えて計算する。
〔その他の成分〕
本発明の電池用電極の活物質層は、更に、周期表の第1族〜第17族に属する元素からなる群より選択される少なくとも1つの元素を有する化合物、有機化合物、及び、有機化合物塩からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。上記その他の成分は、上記活物質、上記導電助剤、上記結着剤とは異なる化合物である。
本発明の電池用電極の活物質層が上記その他の成分を含む場合は、上記その他の成分の質量割合は、本発明に係る上記構造体以外の活物質層100質量%に対して、0.001質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、0.01質量%以上であり、更に好ましくは、0.05質量%以上である。また、30質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、20質量%以下であり、更に好ましくは、10質量%以下である。本発明に係る活物質層は、その他の成分を全く含まなくてもよい。
本発明に係る構造体と、該構造体以外の活物質層との質量割合は、1/1〜1000であることが好ましい。より好ましくは、1/2〜500であり、更に好ましくは、1/5〜200であり、特に好ましくは、1/10〜80である。
本発明の電池用電極は、更に、集電体を備える。
本発明の電池用電極を構成するのに用いる集電体としては、(電解)銅箔、銅メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡銅、パンチング銅、真鍮等の銅合金、真鍮箔、真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡真鍮、パンチング真鍮、ニッケル箔、耐食性ニッケル、ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)、パンチングニッケル、金属亜鉛、耐食性金属亜鉛、亜鉛箔、亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)、(パンチング)鋼板、導電性を付与した不織布;Ni・Zn・Sn・Pb・Hg・Bi・In・Tl・真鍮等を添加した(電解)銅箔・銅メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡銅・パンチング銅・真鍮等の銅合金・真鍮箔・真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡真鍮・パンチング真鍮・ニッケル箔・耐食性ニッケル・ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)・パンチングニッケル・金属亜鉛・耐食性金属亜鉛・亜鉛箔・亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)・(パンチング)鋼板・不織布;Ni・Zn・Sn・Pb・Hg・Bi・In・Tl・真鍮等によりメッキされた(電解)銅箔・銅メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡銅・パンチング銅・真鍮等の銅合金・真鍮箔・真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡真鍮・パンチング真鍮・ニッケル箔・耐食性ニッケル・ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)・パンチングニッケル・金属亜鉛・耐食性金属亜鉛・亜鉛箔・亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)・(パンチング)鋼板・不織布;銀;アルカリ(蓄)電池や空気亜鉛電池に集電体や容器として使用される材料等が挙げられる。
本発明の電池用電極の厚さは、電池構成や集電体からの活物質の剥離抑制等の点から1nm以上、10000μm以下であることが好ましい。より好ましくは、10nm以上であり、更に好ましくは、20nm以上である。また、より好ましくは、1500μm以下であり、更に好ましくは、1000μm以下である。
電極の厚さは、マイクロメーター、段差計や輪郭形状測定器等により測定することができる。
本発明の電池用電極は、上述した以外に、電極に用いられる保護部材等の一般的な部材を更に含んで構成されるものであってもよい。
本発明の電池用電極は、後述する本発明の電池用電極の調製方法により得られるものであることが好ましい。中でも、後述する本発明の電池用電極の調製方法の好ましい方法により得られるものであることが特に好ましい。
〔本発明の電池用電極の調製方法〕
本発明の電池用電極の調製方法を以下に説明する。
本発明の電池用電極は、公知の種々の方法により調製することができるが、電極の活物質層と、該活物質層内の構造体とを形成する方法と、電極の活物質層と、該活物質層上の構造体とを形成する方法の具体例についてそれぞれ以下に説明する。
(電極の活物質層と、該活物質層内の構造体とを形成する方法)
本発明の電池用電極の活物質層と、該活物質層内の構造体とを形成する方法としては、例えば、上述した活物質層内の構造体を形成できる電極組成物を集電体に塗工・圧着・接着・圧電・圧延・延伸・溶融等し、その後、電極活物質の一部を除去することにより調製する次のような方法が挙げられる。なお、この方法は、通常は構造体として空隙部がランダムに連通した構造体を形成するための方法である。
上記活物質層内の構造体を形成できる電極組成物は、上記活物質粒子と、電気的に絶縁性の材料と、必要に応じて結着剤や、導電助剤、その他の成分を混合して調製することができる。混合には、ミキサー、ブレンダー、ニーダー、ビーズミル、レディミル、ボールミル等を使用することができる。混合の際、水や、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン等の有機溶剤、又は、水と有機溶剤との混合溶剤を加えてもよい。混合の前後に、活物質粒子や空隙部分を所望の径に揃えるために、上記活物質粒子をふるいにかける等の操作を行ってもよく、造粒を行ってもよい。混合は、固体成分に水や有機溶剤等の液体成分を加えて行う湿式法、又は、液体成分を加えずに固体成分のみで行う乾式法のいずれの方法で行ってもよい。混合を湿式法で行った場合は、混合した後、乾燥により水や有機溶剤等の液体成分を除去してもよい。混合は、湿式法と乾式法を組み合わせて行うこともできる。混合の際に加圧・減圧を行ってもよいし、温度をかけてもよい。
上述した調製方法により、上記活物質層内の構造体を形成できる電極組成物を、スラリー又はペースト混合物として得る。次に、得られたスラリー又はペースト混合物を、集電体上に、できる限り膜厚が一定になるように塗工、圧着、接着、圧電、圧延、延伸、溶融等する。これらは、層状であってもよいし、非層状であってもよい。
上記スラリー又はペースト混合物は、集電体の片面に塗工、圧着、接着、圧電、圧延、延伸、溶融等してもよいし、集電体の両面・全面に塗工、圧着、接着、圧電、圧延、延伸、溶融等してもよい。塗工・圧着・接着・圧電・圧延・延伸・溶融中、及び/又は、塗工・圧着・接着・圧電・圧延・延伸・溶融後、0〜400℃で乾燥する。乾燥温度としてより好ましくは、15〜380℃である。乾燥は真空乾燥や減圧乾燥で行ってもよい。乾燥時間は、5分間〜48時間であることが好ましい。塗工と乾燥の工程を繰り返し行ってもよい。また、上記スラリー又はペースト混合物の乾燥後にロールプレス機等により常圧〜20tの圧力で、ロールプレス機等によりプレスを行うことが好ましい。プレスする圧力としてより好ましくは、常圧〜15tの圧力である。プレス時に、10〜500℃の温度をかけてもよい。また、プレス工程は1回であってもよいし、複数回であってもよい。プレスを行う際に、活物質同士、活物質と結着剤、結着剤同士、活物質と集電体等の密着性を向上させ、また、構造体の厚み、強度、可とう性等を調節することも可能である。
上記スラリー又はペースト混合物の乾燥後、上記活物質粒子等の粒状物のうち電気的に絶縁性の材料に囲まれているものの少なくとも一部を除去して活物質層内に本発明に係る構造体を形成することができる。例えば、一旦集電体、及び、上記スラリー又はペースト混合物の乾燥物からなる電極前駆体と、電解液とを備える電池前駆体を作製し、当該電池前駆体において充放電を繰り返し行って活物質粒子等の粒状物のうち電気的に絶縁性の材料に囲まれているものの少なくとも一部を溶出させ、これにより本発明に係る空隙部がある構造体を有する電極を完成することができる。
上述した電極の活物質層と、該活物質層内の構造体とを形成する方法において、上記活物質粒子の質量割合は、上記活物質層内の構造体を形成できる電極組成物100質量%に対して、40質量%以上であることが好ましい。活物質の配合量がこのような範囲であると、本発明の電池用電極を電池に用いた場合に、より良好な電池性能を発揮することができる。より好ましくは、60質量%以上であり、更に好ましくは、80質量%以上であり、特に好ましくは94質量%以上である。また、99.9質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、99.5質量%以下であり、更に好ましくは、99質量%以下であり、特に好ましくは、98質量%以下である。
上記電気的に絶縁性の材料の質量割合は、上記活物質層内の構造体を形成できる電極組成物100質量%に対して、0.025質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、0.125質量%以上であり、更に好ましくは、0.25質量%以上であり、特に好ましくは、0.5質量%以上である。また、15質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、10質量%以下であり、更に好ましくは、5質量%以下であり、特に好ましくは、1.5質量%以下である。
上記結着剤の質量割合は、上記活物質層内の構造体を形成できる電極組成物100質量%に対して、0.075質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、0.375質量%以上であり、更に好ましくは、0.75質量%以上であり、特に好ましくは1.5質量%以上である。また、45質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、30質量%以下であり、更に好ましくは、15質量%以下であり、特に好ましくは、4.5質量%以下である。
(電極の活物質層と、該活物質層上の構造体とを形成する方法)
本発明の電池用電極の活物質層と、該活物質層上の構造体とを形成する方法としては、例えば、電池用電極組成物を不織布等の複数の繊維を絡めて構成されたシートに塗工・圧着・接着・圧電・圧延・延伸・溶融等し、上記活物質層を集電体上に塗工・圧着・接着・圧電・圧延・延伸・溶融等することにより調製する次のような方法が挙げられる。
上記活物質層を調製するのに用いられる電池用電極組成物は、活物質粒子と共に、必要に応じて、結着剤や、導電助剤、その他の成分を混合して調製することができる。好ましい混合方法は、上述した活物質層内の構造体を形成できる電極組成物を調製する際の好ましい混合方法と同様である。
上述した調製方法により、上記電池用電極組成物を、スラリー又はペースト混合物として得る。次に、得られたスラリー又はペースト混合物を、不織布等の複数の繊維を絡めて構成されたシート上に、できる限り膜厚が一定になるように塗工、圧着、接着、圧電、圧延、延伸、溶融等する。これらは、層状であってもよいし、非層状であってもよい。
上記スラリー又はペースト混合物は、上記シートの片面に塗工、圧着、接着、圧電、圧延、延伸、溶融等してもよいし、両面・全面に塗工、圧着、接着、圧電、圧延、延伸、溶融等してもよい。
なお、上記スラリー又はペースト混合物を上記シートに塗工、圧着、接着、圧電、圧延、延伸、溶融等する際の該スラリー又はペースト混合物の厚みは、例えば10μm以上であることが好ましく、80μm以上であることがより好ましく、160μm以上であることが更に好ましい。また、該スラリー又はペースト混合物の厚みは、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることがさらに好ましい。
また上記スラリー又はペースト混合物を上記シートに塗工、圧着、接着、圧電、圧延、延伸、溶融等する際の該シートの厚みは、例えば5μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましく、80μm以上であることが更に好ましい。また、該シートの厚みは、500μm以下であることが好ましく、250μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることがさらに好ましい。
上記スラリー又はペースト混合物の厚みと、上記シートの厚みを上記範囲内に設定することで、本発明の効果が好適に得られる。
更に、上記スラリー又はペースト混合物の上記シートが貼り付けられていない面を、集電体に塗工、圧着、接着、圧電、圧延、延伸、溶融等してもよい。その際の好ましい温度条件・圧力条件等の条件は、上述した活物質層内の構造体を形成できる電極組成物を用いて活物質層と該活物質層内の構造体とを形成する場合の好ましい条件と同様である。また、上記スラリー又はペースト混合物の上記シートが貼り付けられた面を、電池を組む際の物理的応力により集電体と接触させてもよい。
上記スラリー又はペースト混合物の乾燥後、本発明に係る電池用電極を形成することができる。なお、一旦集電体、スラリー又はペースト混合物の乾燥物、及び、シートからなる電極と、電解液とを備える電池を作製し、当該電池において充放電を繰り返し行うと、活物質層中の活物質粒子由来のイオンがシートの空隙部内で過飽和状態となり、活物質がシートの内部で再析出するように制御できると考えられる。またこのようにシートに活物質が入り込んでシート層が活物質層の一部又は全部となることにより、構造体の内部で析出した活物質粒子由来のイオンが集電体側から電極表面に向けて直進するのを阻害することができ、これによっても本発明の効果が好適に得られる。
なお、このように活物質粒子がシート内に導入された場合、該シートが活物質層の機能を持つため、本明細書中、これを「活物質層」とも言う。
上述した電極の活物質層と、該活物質層上の構造体とを形成する方法において、上記活物質粒子の質量割合は、上記活物質層を調製するのに用いられる電池用電極組成物100質量%に対して、70質量%以上であることが好ましい。活物質の配合量がこのような範囲であると、本発明の電池用電極を電池に用いた場合に、より良好な電池性能を発揮することができる。より好ましくは、80質量%以上であり、更に好ましくは、90質量%以上であり、特に好ましくは94質量%以上である。また、99.9質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、99.5質量%以下であり、更に好ましくは、99質量%以下であり、特に好ましくは、98質量%以下である。
上記結着剤の質量割合は、上記活物質層を調製するのに用いられる電池用電極組成物100質量%に対して、0.1質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、0.5質量%以上であり、更に好ましくは、1質量%以上であり、特に好ましくは2質量%以上である。また、30質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、20質量%以下であり、更に好ましくは、10質量%以下であり、特に好ましくは、6質量%以下である。
本発明の電池用電極は、上記亜鉛を負極に使用する電池の負極として使用する以外にも、当該電池の正極や、リチウム金属等のアルカリ金属負極電池、マグネシウム金属等のアルカリ土類金属負極電池、アルミニウム金属負極電池、リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、マグネシウムイオン電池、カルシウムイオン電池、アルミニウムイオン電池、ニッケル・水素電池、ニッケル・金属水素化物電池、ニッケル・カドミウム電池、リチウム・空気電池等の空気電池や、燃料電池等における正極及び/又は負極として使用することが可能である。
<本発明の電池>
本発明は、本発明の電池用電極、及び、電解質を備える電池でもある。
本発明の電池の形態としては、一次電池;充放電が可能な二次電池(蓄電池);メカニカルチャージ(電極の機械的な交換)の利用;正極や負極とは別の第3極(例えば、充放電中に発生する酸素や水素を除去する極)の利用等、いずれの形態であってもよいが、二次電池(蓄電池)であることが好ましい。
本発明の電池は、正極及び/又は負極として本発明の電池用電極を用いて構成される。中でも、本発明の電池が、少なくとも負極において本発明の電池用電極を用いて構成されることが好ましい。
なお、本発明の電池用電極が負極である場合に、該負極を用いて構成される電池において、正極としては本発明の電池が正極である場合に正極に用いることができる活物質として上述したものを適宜用いることができる。
また、本発明の電池用電極が負極である場合に、該負極を用いて構成される電池において、正極の活物質として酸素(酸素が正極活物質となる場合、正極は、酸素の還元や水の酸化が可能なペロブスカイト型化合物、コバルト含有化合物、鉄含有化合物、銅含有化合物、マンガン含有化合物、バナジウム含有化合物、ニッケル含有化合物、イリジウム含有化合物、白金含有化合物、パラジウム含有化合物、金含有化合物、銀含有化合物、炭素含有化合物等より構成される空気極となる)を用いることも可能である。
中でも、酸素、マンガン含有化合物、ニッケル含有化合物が好ましい。すなわち、正極としては、ニッケル極、マンガン極、又は、空気極であることが好ましい。より好ましくは、ニッケル極である。
本発明の電池において、セパレーターを使用する場合、上記セパレーターは、国際公開第2013/027767号の記載に代表される一般的なセパレーターを用いることができる。
上記セパレーターは、1種でも2種以上でも使用することができ、抵抗が上昇し電池性能が低下しなければ、任意の枚数を使用することができるが、1枚だけのものが好適である。本発明の電池においては、少ない工程数で簡便に作製できる単一層からなる安価な不織布等をセパレーターとして好適に用いることができる。すなわち、本発明の電池においては、電池のセパレーターとして不織布を用いることが1つの好ましい形態である。
本発明の電池において、電解液を使用する場合、電解液は電池の電解液として通常用いられるものであればよく、国際公開第2013/027767号の段落番号〔0056〕〜〔0059〕に記載の電解液を用いることができる。なお、電解液は、循環させてもよいし、させなくてもよい。
また電解液の代わりに、負極と正極との間に固体電解質(ゲル電解質)が挟持されるものであってもよい。
本発明の電池は、本発明の電池用電極を用いることができる上記の種々の電池として使用することが可能であるが、特にアルカリ性電解液に対して耐久性がある点で、アルカリ水溶液含有電解液を使用する電池、例えば、ニッケル・亜鉛(蓄)電池、マンガン・亜鉛(蓄)電池、銀・亜鉛(蓄)電池、亜鉛イオン(蓄)電池、ニッケル・カドミウム(蓄)電池、ニッケル・水素(蓄)電池、燃料電池、空気(蓄)電池等の電極として好適に用いることが可能である。中でも、シェイプチェンジが発生しやすいニッケル・亜鉛(蓄)電池として用いることが本発明の効果が顕著になる点で特に好ましい。また、アルカリ水溶液含有電解液以外の電解液を使用する電池、例えば、鉛蓄電池に対して用いることも可能である。なお、鉛蓄電池として用いた場合は、電極反応を反応系中でより均一に生じさせることができる。
例としてニッケル・亜鉛蓄電池の構成を以下に説明する。
上記ニッケル・亜鉛蓄電池は、上記亜鉛負極、ニッケル正極、正極と負極を隔てるセパレーター、電解質や電解液、それらを含むアッセンブリ、及び、保持容器から成る。
ニッケル極としては、特に制限はなく、ニッケル・水素電池、ニッケル・金属水素化物電池(ニッケル水素吸蔵合金電池)、ニッケル・カドミウム電池等に使用されるニッケル極を使用することも可能である。アッセンブリや保持容器の内壁は、腐食や電池の使用の過程での反応等により劣化しない物質を使用する。アルカリ電池や空気亜鉛電池に使用される容器を使用することも可能である。蓄電池は、単一型、単二型、単三型、単四型、単五型、単六型、R123A型、R−1/3N型等の円筒型;9V型、006P型等の角型;ボタン型;コイン型;ラミネート型;積層型;短冊状に成形した正負極板をプリーツ加工したセパレーターに交互に挟み込んだ型等でもよく、また、密閉型や開放型でもよいし、ベント型でもよい。電池の使用の過程で発生する気体をリザーブする部位を有していてもよい。
本発明の電池の製造工程は、湿式工程でもよいし、乾式工程でもよい。湿式工程は、例えば、正極集電体を、正極組成物のペーストあるいはスラリーで被覆し、負極集電体を、負極組成物のペーストあるいはスラリーで被覆して、被覆した電極シートを乾燥・圧縮し、カッティングとクリーニングの後、カッティングした電極とセパレーターを層状に重ね、電池アッセンブリを形成する。乾式工程は、例えば、スラリーやペーストの代わりに、電極成分の粉末や顆粒状乾燥混合物を用いる工程で、(1)乾燥状態で負極組成物を集電体に塗布、(2)乾燥状態で正極組成物を集電体に塗布、(3)(1)と(2)のシートの間にセパレーターを配置して層状構造を作り、電池アッセンブリを形成、(4)(3)の電池アッセンブリを巻きつけ、あるいは、折りたたむ等して三次元構造を形成、等の工程を経るものである。電極は、セパレーター等で包んだり、それらでコートしたりしてもよい。正極や負極は電池を構成する容器を兼ねていてもよい。端子を取り付ける工程としては、スポット溶接、超音波溶接、レーザー溶接、はんだ付け、端子と集電体の材料に適したその他任意の導電接合法が選ばれる。電池の製造工程や保存時においては、該電池は(部分)充電状態であってもよいし、放電状態であってもよい。
本発明の電池が蓄電池である場合、蓄電池の充放電レートとしては、0.01C以上、100C以下であることが好ましい。より好ましくは、0.05C以上、80C以下であり、更に好ましくは、0.1C以上、60C以下であり、特に好ましくは、0.1C以上、30C以下である。蓄電池は地球上の寒冷地及び熱帯地の両方で使用できることが好ましく、−50℃〜100℃の温度で使用できることが好ましい。
本発明の電池用電極は、上述の構成よりなり、本発明の電池用電極を用いて電池を構成した場合に、電極のシェイプチェンジやデンドライト化を充分に制御することができ、長寿命化することができる。また、水素発生を抑制することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、平均粒子径は、上述の方法で測定した。
(実施例1)
ポリオレフィン水分散液(三井化学 ケミパールS100)とポリテトラフルオロエチレンと酸化亜鉛(平均粒子径1μm)を1:3:96の質量割合(固形分割合)で混錬し、ペースト化したものを銅メッシュに圧延して張付けた後、乾燥させ負極とした。
負極として上記作製した亜鉛極、正極としてニッケル極、参照極として正極と同じ電極を50%充電した電極、正極及び負極間には不織布を配置し、電解液として酸化亜鉛を飽和させた8M水酸化カリウム水溶液を用いて三極セルを構成し、充放電サイクル試験を行った。電極面積は1.948cmとし、電流値は25mA/cm(充放電時間:各1時間)とした。この時、充放電に伴い酸化亜鉛が溶出し、酸化亜鉛の粒子径1μmの孔が多数あいたポリオレフィンによる網目構造が形成された。その結果、充放電特性として200サイクル以上クーロン効率は低下することなく、安定な充放電が可能であった。また、水素の発生やデンドライトの発生・成長は観測されなかった。
(実施例2)
ポリテトラフルオロエチレンと酸化亜鉛(平均粒子径1μm)を4:96の質量割合(固形分割合)で混錬し、ペースト化したもの(厚さ200μm)の片面にポリアミドからなる厚さ100μmの不織布を貼り付け負極活物質層及び該層上の構造体を構成した。
上記作製した負極活物質層及び該層上の構造体と、負極集電体として銅メッシュを、電池を組む際の物理的応力により構造体(不織布)を負極集電体側へむけて接触させて負極とし、正極としてニッケル極、参照極として正極と同じ電極を50%充電した電極、正極及び負極間には不織布を配置し、電解液として酸化亜鉛を飽和させた8M水酸化カリウム水溶液を用いて三極セルを構成し、充放電サイクル試験を行った。電極面積は1.948cmとし、電流値は25mA/cm(充放電時間:各1時間)とした。この時、充放電に伴い酸化亜鉛が溶出し、構造体(不織布)の網目構造内で過飽和状態になり、当該網目構造内で酸化亜鉛として再度析出したと考えられる。その結果、充放電特性として100サイクル以上クーロン効率は低下することなく、安定な充放電が可能であり、亜鉛負極のシェイプチェンジも抑制された。また、水素の発生やデンドライトの発生・成長は観測されなかった。
実施例2においては、活物質が酸化亜鉛であり、電極近傍で電極反応に寄与するのは活物質層から溶けだした亜鉛酸イオンである。活物質層/不織布層/集電体がこの順で積層する場合、電極反応が起こると、電極近傍で、充電時には亜鉛酸イオンから亜鉛へ、放電時には亜鉛から亜鉛酸イオンへの化学変化が生じる。ここで電極の近傍に不織布(多孔質体)が配置されていることで、この亜鉛酸イオンが多孔質体の孔の中で過飽和状態となり易くなり、亜鉛酸イオンが過飽和となった当該多孔質体の孔の中で酸化亜鉛が形成される。つまり、初期状態は活物質層/不織布層/集電体と分かれていたが、充放電をするに従い、活物質入りの不織布層/電極と活物質の位置が移る。これによっても本発明に係る活物質層と、該活物質層内及び/又は活物質層上の構造体を有する電極の構成が実現されている。
なお、上記実施例においては、構造体として空隙部がランダムに連通した構造を有するものや、複数の繊維を絡めて構成された不織布を使用しているが、アニオンが主に電極近傍で過飽和状態となり、活物質が電極の近傍で再析出するように制御でき、その結果電極のシェイプチェンジの顕著な抑制効果を発揮でき、電池を長寿命化でき、また、水素発生を抑制でき、デンドライトによる電極間短絡を物理的に抑制できる機構は、放電時に溶出したアニオンが活物質層から離脱するのを阻害することができる構造体を用いた場合には全て同様である。
また、上記実施例は、亜鉛負極や当該亜鉛負極を用いたニッケル・亜鉛電池に係るものであり、これが本発明の好適な形態であるが、その他の種々の電極・電池においても、本発明に係る構造体を用いるものであれば、本発明の作用効果を発揮することが可能である。従って、上記実施例の結果から、本発明の技術的範囲全般において、また、本明細書において開示した種々の形態において本発明が適用でき、有利な作用効果を発揮できることが実証されている。

Claims (8)

  1. 集電体と、活物質粒子を含む活物質層とを備える電池用電極であって、
    該電極は、活物質層内及び/又は活物質層上に、電気的に絶縁性の材料から構成される構造体を有し、
    該構造体は、活物質粒子由来のイオンの活物質層からの離脱を阻害する構造をもつ
    ことを特徴とする電池用電極。
  2. 前記構造体は、前記イオンが通過可能な空隙部がある
    ことを特徴とする請求項1に記載の電池用電極。
  3. 前記構造体は、前記空隙部がランダムに連通した構造を有する
    ことを特徴とする請求項2に記載の電池用電極。
  4. 前記空隙部は、粒状の孔である
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載の電池用電極。
  5. 前記構造体は、複数の繊維を絡めて構成されたものである
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電池用電極。
  6. 前記構造体は、貫通孔のあるシートを孔の位置が重ならないように複数枚重ね合わせて構成され、前記空隙部が規則的に連通したものである
    ことを特徴とする請求項2に記載の電池用電極。
  7. 前記活物質粒子は、亜鉛種を含有する
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電池用電極。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の電池用電極、及び、電解質を備える
    ことを特徴とする電池。
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