JP2015184638A - ハードコートフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】タッチパネルにおける導電性パターン層の視認側に、粘着剤層または樹脂層を介して積層されるハードコートフィルムであって、構成が単純であるにもかかわらず導電性パターン層のパターンを効果的に不可視化することができるとともに、ギラツキの発生を効果的に抑制することができ、かつ、導電性パターン層、あるいは導電性パターン層との間に介在するフィルム層等への接着性に優れたハードコートフィルムを提供する。【解決手段】タッチパネルにおける導電性パターン層の視認側に、粘着剤層等を介して積層されるハードコートフィルムであって、ハードコート層が所定成分を含む組成物の硬化物からなるとともに、樹脂微粒子の体積平均粒子径を所定の範囲内の値とし、その配合量を所定の範囲内の値とし、かつ、ハードコートフィルムにおける内部ヘイズ値を所定の範囲内の値とし、さらに、ハードコート層に対する水の接触角を90?以下の値とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ハードコートフィルムに関する。
特に、タッチパネルにおける導電性パターン層の視認側に、粘着剤層または樹脂層を介して積層されるハードコートフィルムであって、構成が単純であるにもかかわらず導電性パターン層のパターンを効果的に不可視化することができるとともに、ギラツキの発生を効果的に抑制することができ、かつ、導電性パターン層、あるいは導電性パターン層との間に介在するフィルム層等への接着性に優れたハードコートフィルムに関する。
従来、画像表示部に直接触れることにより情報を入力できるタッチパネルは、光透過性の入力装置をブラウン管(CRT)や液晶ディスプレイ(LCD)等のディスプレイ上に配置してなるものである。
かかるタッチパネルの代表的な形式としては、2枚の透明電極基板をそれぞれの透明電極層が向かい合うように隙間を設けつつ配置してなる抵抗膜式タッチパネルや、センサーと指との間に生じる静電容量の変化を利用する静電容量式タッチパネルが存在する。
このうち、静電容量式タッチパネルでは、指のタッチ位置を検出するためのセンサーとして、大別してITO等により形成される透明導電性層がガラス基材上に積層されてなるガラスセンサーと、透明導電性層が透明プラスチックフィルム基材上に積層されてなるフィルムセンサーとが存在する。
特にフィルムセンサーにおいては、ライン状にパターン化された透明導電性層を備えた透明導電性フィルム2枚を、それぞれのパターンが互いにクロスするように配置することにより、格子状のパターンが形成されることが多い(以下、パターン化された透明導電性層を「導電性パターン層」と称する場合がある。)。
また、静電容量式タッチパネルでは、通常、導電性パターン層の視認側に、ハードコートフィルムを介してトッププレートとしてのガラス板やアクリル板を積層する。
このとき、ハードコートフィルムと導電性パターン層、あるいは導電性パターン層上に積層され、ハードコートフィルムとの間に介在するフィルム層等(以下、まとめて「導電性パターン層」と称する場合がある。)との接着は、リワーク性や貼合の容易性等の観点から、積層面の外周部にのみ粘着剤層を設け、ハードコートフィルムと導電性パターン層との間には、エアギャップが形成される場合が多い。
しかしながら、かかるエアギャップが導電性パターン層およびハードコートフィルムとの間に大きな屈折率差を発生させることにより、光の散乱による輝度・コントラストの低下を招き、画面の視認性が低下しやすくなるという問題が見られた。
そこで、近年、ハードコートフィルムと導電性パターン層との積層面の全面に光学透明粘着剤(OCA)や光学透明樹脂(OCR)からなる層を設け、エアギャップを充填する技術が採用され始めている。
しかしながら、このようなエアギャップを有さないタッチパネルにおいては、導電性パターン層におけるパターン部と非パターン部との境界部分が視認されやすくなってしまい、静電容量式タッチパネルの見栄えが悪くなるという問題が見られた。
そこで、かかる問題を解決するための技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、特許文献1には、エッチング加工された透明導電性フィルムにおいて、表面のパターン部が、透明基材フィルムの表面から順に、ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層、ITO層が積層されており、表面の非パターン部が、透明基材フィルムの表面から順に、ハードコート層、高屈折率層が積層されており、裏面に機能層が形成されてなるエッチング加工された透明導電性フィルムが開示されている。
また、外部からの入射光が画面において反射することを抑制するための防眩性ハードコートフィルムの発明であるが、所定の防眩性を得つつも、画面におけるギラギラ感(以下、「ギラツキ」と称する場合がある。)の発生を抑制できるフィルムが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
すなわち、特許文献2には、透明プラスチックフィルムの表面に、(A)(a)多官能性(メタ)アクリレート系モノマーおよび/または(メタ)アクリレート系プレポリマーと、(b)反応性シリカ微粒子を含む活性エネルギー線感応型組成物、(B)球状有機微粒子、および(C)分子内に少なくとも一つの極性基を有する分散剤を含有するハードコート層形成材料を用いて形成されたハードコート層を有し、かつ該ハードコート層の厚さが、上記(B)球状有機微粒子の平均粒径よりも大きいことを特徴とする防眩性ハードコートフィルムが開示されている。
また、(B)球状有機微粒子の平均粒子径としては、6〜10μmの範囲内の値とすることが好ましいとされている。
特開2011−134482号公報(特許請求の範囲) 特許第5149052号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献1に開示されている透明導電性フィルムは、エアギャップを有さないタッチパネルに適用した場合、確かに導電性パターン層のパターンを不可視化することができるものの、製造工程が著しく煩雑になり、経済的にも不利であるという問題が見られた。
すなわち、特許文献1に開示されている透明導電性フィルムは、基材フィルム、ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層を積層する必要があるばかりか、各層の屈折率や膜厚を最適化する必要もあるため、歩留まりが低いという問題が見られた。
一方、特許文献2に開示されている防眩性ハードコートフィルムを、エアギャップを有さないタッチパネルにおけるハードコートフィルムとして適用した場合、導電性パターン層のパターンを不可視化することはできるものの、球状有機微粒子の平均粒子径が大きいことに起因して、ギラツキが発生しやすくなるという問題が見られた。
したがって、特に、解像度の高い高精細ディスプレイに適用した場合には、ギラツキの発生を抑制することが困難になり、画面を視認する際の快適性が低下するという問題が見られた。
そこで、本発明者等は、以上のような事情に鑑み、鋭意努力したところ、ハードコート層を形成するためのハードコート層形成用組成物に対し、所定の体積平均粒子径を有する樹脂微粒子を所定の割合で配合するとともに、ハードコートフィルムにおける内部ヘイズ値を所定の範囲とし、かつ、ハードコート層に対する水の接触角を所定の範囲とすることにより、構成が単純であるにもかかわらず導電性パターン層のパターンを効果的に不可視化することができるとともに、ギラツキの発生を効果的に抑制することができ、かつ、導電性パターン層への接着性についても効果的に向上させることができることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、タッチパネルにおける導電性パターン層の視認側に、粘着剤層または樹脂層を介して積層されるハードコートフィルムであって、構成が単純であるにもかかわらず導電性パターン層のパターンを効果的に不可視化することができるとともに、ギラツキの発生を効果的に抑制することができ、かつ、導電性パターン層への接着性に優れたハードコートフィルムを提供することにある。
本発明によれば、タッチパネルにおける導電性パターン層の視認側に、粘着剤層または樹脂層を介して積層されるプラスチック基材の表面にハードコート層を備えたハードコートフィルムであって、ハードコート層が、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂と、(B)成分としての樹脂微粒子と、(C)成分としての光重合開始剤と、を含むハードコート層形成用組成物の硬化物からなるとともに、(B)成分としての樹脂微粒子の体積平均粒子径を0.8〜2.5μmの範囲内の値とし、(B)成分としての樹脂微粒子の配合量を、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲内の値とし、かつ、ハードコートフィルムにおける内部ヘイズ値を1.5〜25%の範囲内の値とし、さらに、ハードコート層に対する23℃における水の接触角を90°以下の値とすることを特徴とするハードコートフィルムが提供され、上述した問題を解決することができる。
すなわち、本発明のハードコートフィルムであれば、ハードコート層を形成するためのハードコート層形成用組成物に対し、所定の体積平均粒子径を有する樹脂微粒子を所定の割合にて配合していることから、以下の2つの効果を得ることができる。
まず第1に、構成が単純であるにもかかわらずハードコートフィルムにおける内部ヘイズ値を安定的に所定の範囲に調節して、エアギャップを有さないタッチパネルに適用した場合に、導電性パターン層のパターンを効果的に不可視化することができる。
そして第2に、高精細ディスプレイに適用した場合であっても、ギラツキの発生を効果的に抑制することができる。
また、ハードコート層に対する水の接触角を所定の範囲としていることから、ハードコート層と粘着剤層や樹脂層との接着性が高いため、ハードコートフィルムと導電性パターン層とを安定的に接着させることができる。
なお、本発明における「内部ヘイズ値」とは、表面凹凸に起因するヘイズ値(外部ヘイズ値)が除かれた、ハードコート層内部に起因する光散乱のみを表すヘイズ値である。
かかる内部ヘイズ値は、ハードコート層の表面に、樹脂層(例えば、粘着剤層)を隙間なく貼付して得た積層体について、JIS K 7136に準拠してヘイズ値を測定し、当該樹脂層単独のヘイズ値を同様に測定し、積層体のヘイズ値から樹脂層単独のヘイズ値を差し引くことにより求められる。
一方、トータルヘイズ値とは、内部ヘイズ値と外部ヘイズ値を加算したトータルのヘイズ値を意味し、JIS K 7136に準拠して求められる通常のヘイズ値を意味する。
この点、本発明のハードコートフィルムにおけるハードコート層表面は、粘着剤層や樹脂層に対して直接的に接触することになるため、トータルヘイズ値や外部ヘイズ値ではなく、内部ヘイズ値を規定している。
また、本発明のハードコートフィルムは、導電性パターン層の視認側に、粘着剤層や樹脂層を介して積層されるが、より具体的には、導電性パターン層と、ハードコート層とが対向するように積層される。
また、本発明のハードコートフィルムを構成するにあたり、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂の屈折率をn(A)とし、(B)成分としての樹脂微粒子の屈折率をn(B)とした場合に、下記式(1)で表されるΔnの絶対値を0.005〜0.15の範囲内の値とすることが好ましい。
Δn=n(B)−n(A) (1)
このように構成することにより、内部ヘイズ値をより容易に所定の範囲に調節することができる。
また、本発明のハードコートフィルムを構成するにあたり、(B)成分としての樹脂微粒子が、アクリル重合体樹脂微粒子、アクリル−スチレン共重合体樹脂微粒子、スチレン重合体樹脂微粒子およびシリコーン樹脂微粒子からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
このように構成することにより、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂の屈折率と、(B)成分としての樹脂微粒子の屈折率との屈折率差の調節が容易になって、内部ヘイズ値をさらに容易に所定の範囲に調節することができる。
また、本発明のハードコートフィルムを構成するにあたり、ハードコート層形成用組成物が、(D)成分としてのシリカ微粒子を含むとともに、(D)成分としてのシリカ微粒子の体積平均粒子径を1〜500nmの範囲内の値とし、かつ、(D)成分としてのシリカ微粒子の配合量を、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、10〜200重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、ハードコート層形成用組成物をプラスチック基材の表面に塗布した際に、塗膜における(B)成分としての樹脂微粒子の沈降具合を効果的に制御して、ハードコート層中における厚さ方向の樹脂微粒子の濃度勾配を調整することができ、これにより、樹脂微粒子と、活性エネルギー線硬化性樹脂等により形成されるマトリックスと、の界面での光散乱具合を制御し、ひいては、内部ヘイズ値を制御、安定化させることができる。
また、ハードコート層の表面に対しても、微細な凹凸をより安定的に形成することができ、ひいてはハードコート層における外観欠陥を抑制することができる。
また、本発明のハードコートフィルムを構成するにあたり、ハードコート層形成用組成物が、(E)成分としての分散剤を含むとともに、(E)成分としての分散剤の配合量を、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、0〜2重量部(但し、0重量部を除く。)の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、シリカ微粒子添加の場合と同様に、ハードコート層形成用組成物をプラスチック基材の表面に塗布した際に、塗膜における(B)成分としての樹脂微粒子の沈降具合をより効果的に制御して、内部ヘイズ値の制御およびハードコート層表面の外観欠陥の抑制をより効果的に行うことができる。
また、本発明のハードコートフィルムを構成するにあたり、(E)成分としての分散剤が、分子内に少なくとも1つの極性基を有するとともに、極性基として、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、アミド基、第4級アンモニウム塩基、ピリジウム塩基、スルホニウム塩基およびホスホニウム塩基からなる群から選択される少なくとも一種を有する化合物であることが好ましい。
このように構成することにより、ハードコート層形成用組成物をプラスチック基材の表面に塗布した際に、塗膜における(B)成分としての樹脂微粒子の沈降具合をさらに効果的に制御して、内部ヘイズ値の制御およびハードコート層表面の外観欠陥お抑制をよりさらに効果的に行うことができる。
また、本発明のハードコートフィルムを構成するにあたり、ハードコート層形成用組成物が、(F)成分としての防汚剤を含むとともに、(F)成分としての防汚剤の配合量を、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、0重量部、または0〜0.3重量部(但し、0重量部を除く。)の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、ハードコート層に対する水の接触角をより容易に所定の範囲に調節することができる。
また、本発明のハードコートフィルムを構成するにあたり、(F)成分としての防汚剤が、フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤、あるいはいずれか一方であることが好ましい。
このように構成することにより、ハードコート層に対する水の接触角が過度に増加することを抑制することができる。
また、本発明のハードコートフィルムを構成するにあたり、ハードコート層の膜厚を0.5〜6μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、実使用上必要な硬度を得るとともに、活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化収縮に伴うカールの抑制と、ハードコートフィルムを曲げた際に生じるハードコート層におけるクラックの抑制をすることができる。
図1は、本発明のハードコートフィルムを説明するために供する図である。 図2は、樹脂微粒子の体積平均粒子径と、ハードコートフィルムにおけるギラツキおよび内部ヘイズ値と、の関係を説明するために供する図である。 図3は、防汚剤の配合量と、ハードコート層に対する水の接触角およびハードコート層と粘着剤との接着性と、の関係を説明するために供する図である。 図4(a)〜(e)は、ハードコートフィルムにおけるギラツキの評価方法を説明するために供する図である。 図5(a)〜(b)は、実施例1および3における樹脂微粒子の粒度分布チャートを説明するために供する図である。 図6(a)〜(b)は、比較例1および3における樹脂微粒子の粒度分布チャートを説明するために供する図である。
本発明の実施形態は、図1に示すように、タッチパネル20における導電性パターン層17の視認側に、粘着剤層15bまたは樹脂層(図示せず)を介して積層されるプラスチック基材12の表面にハードコート層13を備えたハードコートフィルム14であって、ハードコート層13が、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂と、(B)成分としての樹脂微粒子と、(C)成分としての光重合開始剤と、を含むハードコート層形成用組成物の硬化物からなるとともに、(B)成分としての樹脂微粒子の体積平均粒子径を0.8〜2.5μmの範囲内の値とし、(B)成分としての樹脂微粒子の配合量を、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲内の値とし、かつ、ハードコートフィルム14における内部ヘイズ値を1.5〜25%の範囲内の値とし、さらに、ハードコート層13に対する23℃における水の接触角を90°以下の値とすることを特徴とするハードコートフィルム14である。
以下、本発明の実施形態を、図面を適宜参照して、具体的に説明する。
なお、図1に示すタッチパネル20においては、導電性パターン層17の下に存在するCRTやLCD等のディスプレイを省略している。
また、タッチパネル20の最上層は、トッププレートとしてのガラス板16である。
1.ハードコート層
(1)ハードコート層形成用組成物
本発明のハードコートフィルムにおけるハードコート層は、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂と、(B)成分としての樹脂微粒子と、(C)成分としての光重合開始剤と、を含むハードコート層形成用組成物の硬化物からなる。
以下、ハードコート層形成用組成物に含まれる各成分について説明する。
(1)−1 (A)成分:活性エネルギー線硬化性樹脂
本発明におけるハードコート層形成用組成物に含まれる(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂の種類としては、特に制限されるものではなく、従来公知のものの中から選択することができ、エネルギー線硬化性のモノマー、オリゴマー、樹脂またはこれらの混合物が挙げられる。
より具体的には、多官能性(メタ)アクリル系モノマーや(メタ)アクリレート系プレポリマーを用いることが好ましい。
また、多官能性(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、これらのモノマーは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(メタ)アクリレート系プレポリマーとしては、例えば、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系などが挙げられる。
ここで、ポリエステルアクリレート系プレポリマーとしては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
また、エポキシアクリレート系プレポリマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。
また、ウレタンアクリレート系プレポリマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、ポリオールアクリレート系プレポリマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。これらのプレポリマーは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、上述した多官能性(メタ)アクリレート系モノマーと併用してもよい。
また、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂の屈折率n(A)を1.45〜1.6の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、屈折率n(A)が1.45〜1.6の範囲外の値となると、(B)成分としての樹脂微粒子の屈折率n(B)との差Δnの絶対値が過度に小さな値になりやすくなって、所定の内部ヘイズ値を得ることが困難になり、ひいてはエアギャップを有さないタッチパネルにおいて導電性パターン層のパターンの不可視化が困難になる場合があるためである。
したがって、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂の屈折率n(A)を1.47〜1.58の範囲内の値とすることがより好ましく、1.48〜1.55の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)−2 (B)成分:樹脂微粒子
(i)種類
本発明におけるハードコート層形成用組成物に含まれる(B)成分としての樹脂微粒子の種類としては、例えば、シリコーン樹脂微粒子、変性シリコーン樹脂微粒子、メラミン樹脂微粒子、アクリル重合体樹脂微粒子(例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂微粒子等が挙げられる。)、アクリル−スチレン共重合体樹脂微粒子、ポリカーボネート樹脂微粒子、ポリエチレン樹脂微粒子、スチレン重合体樹脂微粒子、ベンゾグアナミン樹脂微粒子などが挙げられる。
中でも、アクリル重合体樹脂微粒子、アクリル−スチレン共重合体樹脂微粒子、スチレン重合体樹脂微粒子およびシリコーン樹脂微粒子からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
この理由は、これらの樹脂微粒子であれば、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂の屈折率と、(B)成分としての樹脂微粒子の屈折率との屈折率差の調節が容易になって、内部ヘイズ値をさらに容易に所定の範囲に調節することができるためである。
なお、光の散乱状態を均質化して、内部ヘイズ値を安定化させる観点から、樹脂微粒子の形状を球状とすることが好ましい。
(ii)体積平均粒子径
また、本発明においては、樹脂微粒子の体積平均粒子径を0.8〜2.5μmの範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、樹脂微粒子の体積平均粒子径をかかる範囲内の値とすることにより、ハードコートフィルムにおける内部ヘイズ値を安定的に所定の範囲に調節して、エアギャップを有さないタッチパネルに適用した場合に、導電性パターン層のパターンを効果的に不可視化することができるためである。
また、それと同時に、高精細ディスプレイに適用した場合であっても、ギラツキの発生を効果的に抑制することができるためである。
すなわち、樹脂微粒子の体積平均粒子径が0.8μm未満の値となると、樹脂微粒子の分散性が過度に低下して、樹脂微粒子同士の凝集によりギラツキが発生しやすくなったり、十分に分散させた場合であっても内部ヘイズ値が低下しやすくなって導電性パターン層のパターンを安定的に不可視化することが困難になったりする場合があるためである。一方、樹脂微粒子の体積平均粒子径が2.5μmを超えた値となると、特に高精細ディスプレイに適用した場合に、ギラツキの発生を効果的に抑制することが困難になる場合があるためである。
したがって、樹脂微粒子の体積平均粒子径を1〜2.3μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1.2〜2μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、樹脂微粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
次いで、図2を用いて樹脂微粒子の体積平均粒子径と、ハードコートフィルムにおけるギラツキおよび内部ヘイズ値と、の関係を説明する。
すなわち、図2には、横軸に樹脂微粒子の体積平均粒子径(μm)を採り、左縦軸にハードコートフィルムにおけるギラツキ(ppi)を採った特性曲線A、および右縦軸にハードコートフィルムにおける内部ヘイズ値(%)を採った特性曲線Bを示してある。
また、ハードコートフィルムにおけるギラツキ(ppi)、および内部ヘイズ値(%)の具体的な測定方法については、実施例において記載する。
なお、ギラツキの値(ppi)が大きいほどギラツキの発生を効果的に抑制できていることを意味し、内部ヘイズ値(%)が大きいほどエアギャップを有さないタッチパネルにおいて導電性パターン層のパターンを不可視化できていることを意味する。
まず、特性曲線Aから理解されるように、ギラツキの値は、樹脂微粒子の体積平均粒子径が大きくなるのに伴って、減少する傾向がある。
ここで、280ppi以上の実際の高精細ディスプレイに適用した場合に、ギラツキの発生を安定的に抑制するためには、特性曲線Aにおけるギラツキの値を80ppi以上の値にすればよいことが確認されている。
したがって、ギラツキの値を80ppi以上の値とし、ギラツキを効果的に抑制するためには、樹脂微粒子の体積平均粒子径を2.5μm以下の値とすべきことが理解される。
次に、特性曲線Bから理解されるように、内部ヘイズ値は、樹脂微粒子の体積平均粒子径が大きくなるのに伴って、増加する傾向がある(但し、活性エネルギー線硬化性樹脂の材料および樹脂微粒子の材料を固定することにより、これらの間の屈折率差を固定し、かつ、樹脂微粒子同士の凝集を抑制した条件下での傾向である。)。
ここで、エアギャップを有さないタッチパネルにおいて導電性パターン層のパターンを不可視化するためには、内部ヘイズ値を1.5%以上の値にする必要があることが確認されている。
したがって、ヘイズ値を1.5%以上の値とし、導電性パターン層のパターンを不可視化するためには、樹脂微粒子の体積平均粒子径を0.8μm以上の値とすべきことが理解される。
以上、説明したように、特性曲線AおよびBからは、ギラツキの発生を効果的に抑制し、かつ、エアギャップを有さないタッチパネルにおいて導電性パターン層のパターンを不可視化するためには、樹脂微粒子の体積平均粒子径を0.8〜2.5μmの範囲内の値とすべきことが理解される。
また、樹脂微粒子のCv値を50%以下の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるCv値が50%を超えた値となると、体積平均粒子径よりも大きいまたは小さい粒径の粒子の存在量が増加し、大きい粒子の存在量が増加した場合にはギラツキの発生を抑制することが困難になり、小さい粒径の存在量が増加した場合には凝集によりギラツキが発生しやすくなったり、凝集を抑制したとしても内部ヘイズ値の低下により導電性パターン層のパターンを安定的に不可視化することが困難になったりする場合があるためである。
したがって、樹脂微粒子のCv値を40%以下の値とすることがより好ましく、30%以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、Cv値とは、下記式(2)で表される粒子径分布の変動係数を意味する。
Cv値(%)=(標準偏差粒子径/体積平均粒子径)×100 (2)
また、かかるCv値は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
(iii)屈折率
また、(B)成分としての樹脂微粒子の屈折率n(B)を1.4〜1.65の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、屈折率n(B)が1.4〜1.65の範囲外の値となると、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂の屈折率n(A)との差Δnの絶対値が過度に小さな値になりやすくなって、所定の内部ヘイズ値を得ることが困難になり、ひいてはエアギャップを有さないタッチパネルにおいて導電性パターン層のパターンの不可視化が困難になる場合があるためである。
したがって、(B)成分としての樹脂微粒子の屈折率n(B)を1.41〜1.63の範囲内の値とすることがより好ましく、1.42〜1.6の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(iv)屈折率の差
また、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂の屈折率をn(A)とし、(B)成分としての樹脂微粒子の屈折率をn(B)とした場合に、下記式(1)で表されるΔnの絶対値を0.005〜0.15の範囲内の値とすることが好ましい。
Δn=n(B)−n(A) (1)
この理由は、Δnの絶対値をかかる範囲内の値とすることにより、内部ヘイズの値をより容易に所定の範囲に調節することができるためである。
すなわち、Δnの絶対値が0.005未満の値となると、内部ヘイズの値が過度に小さな値となって、エアギャップを有さないタッチパネルにおいて、導電性パターン層のパターンの不可視化が困難になる場合があるためである。
一方、Δnの絶対値が0.15を超えた値となると、内部ヘイズ値が過度に高くなり、ディスプレイの表示画像の視認性が低下する場合がある。
したがって、式(1)で表されるΔnの絶対値を0.01〜0.15の範囲内の値とすることがより好ましく、0.02〜0.1の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(v)配合量
また、樹脂微粒子の配合量を、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、樹脂微粒子をかかる範囲で配合することによって、ハードコートフィルムに対して内部ヘイズを付与し、導電性パターン層のパターンを不可視化することができるためである。
すなわち、樹脂微粒子の配合量が0.1重量部未満の値となると、ハードコートフィルムに対して内部ヘイズを付与することができず、導電性パターン層のパターンを不可視化することが困難になる場合があるためである。一方、樹脂微粒子の配合量が20重量部を超えた値となると、ハードコートフィルムの内部ヘイズ値が過度に高くなって、ディスプレイの表示画像の視認性が低下する場合があるためである。
したがって、樹脂微粒子の配合量を、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、0.12〜17重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.15〜15重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)−3 (E)成分:分散剤
本発明におけるハードコート層形成用組成物は、(E)成分としての分散剤を含むことが好ましい。
この理由は、分散剤を含むことにより、ハードコート層形成用組成物をプラスチック基材の表面に塗布した際に、塗膜における(B)成分としての樹脂微粒子の沈降具合を効果的に制御して、ハードコート層中における厚さ方向の樹脂微粒子の濃度勾配を調整することができ、これにより、樹脂微粒子と、活性エネルギー線硬化性樹脂等により形成されるマトリックスと、の界面での光散乱具合を制御し、ひいては、内部ヘイズ値を制御、安定化させることができる。
また、ハードコート層表面の微細な凹凸を安定的に形成することができ、ひいてはハードコート層における外観欠陥を抑制することができるためである。
すなわち、ハードコート層の表面側に樹脂微粒子を好適な範囲で偏在させ、ハードコート層表面の微細な凹凸を安定的に形成することができ、その結果、所定の内部ヘイズ値を安定化させるとともに、ハードコート層における外観欠陥を抑制することができる。
なお、ハードコート層における外観欠陥は、欠陥部のハードコート層表面の形状を局所的に変化させるため、ギラツキを発生させる原因となる場合があることが知られている。
(i)種類
本発明におけるハードコート層形成用組成物に含まれる(E)成分としての分散剤は、分子内に少なくとも1つの極性基を有するとともに、極性基として、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、アミド基、第4級アンモニウム塩基、ピリジウム塩基、スルホニウム塩基およびホスホニウム塩基を有する化合物であることが好ましい。
この理由は、これらの極性基を有する分散剤であれば、プラスチック基材表面に塗布されたハードコート層形成用組成物の塗膜における樹脂微粒子の沈降具合をより効果的に制御することができるためである。
かかる分散剤のメカニズムは、明確には解明されていないが、分散剤中の極性基が、樹脂微粒子の表面に配位し、その結果、樹脂微粒子の表面の極性が変化し、樹脂微粒子が塗膜の表面近傍に存在する確率が高くなるものと推定される。
また、上述した極性基の中でも、カルボキシル基、スルホ基、1〜3級アミノ基が特に好ましい。
この理由は、これらの極性基であれば、樹脂微粒子の表面に対して、分散剤を効果的に配位させることができるためである。
また、上述した極性基は、分子内に1つ導入されていてもよく、複数導入されていてもよい。
また、分子内に複数の極性基を有する場合、それぞれの極性基を有する有機化合物同士を結合する基本骨格が必要となるが、そのような基本骨格としては、エステル連鎖、ビニル連鎖、アクリル連鎖、エーテル連鎖およびウレタン連鎖等で構成されるものが好ましい。
また、これらの分子中の水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい。
また、これらの中でもアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂およびアルキド樹脂が好ましく、特にアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
また、上述した極性基は、樹脂の分子中に全くランダムに配置されていてもよいが、ブロック構造、またはグラフト構造により、極性基が分子中の末端部分に配置されているものが好ましい。
この理由は、極性基が末端部分に配置されることにより、樹脂微粒子への吸着性能が高くなるためである。
また、分散剤の分子量は特に限定されないが、100〜90万までの幅広いものの中から選択することができる。
なお、分散剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(ii)配合量
また、分散剤の配合量を、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、0〜2重量部(但し、0重量部を除く。)の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、分散剤をかかる範囲で配合することで、樹脂微粒子がハードコート層形成用組成物の塗膜中に安定的に配列され、外観欠陥を抑制することができるためである。
すなわち、分散剤の配合量が0重量部となると、樹脂微粒子が塗膜中に安定的に配列されず、外観欠陥が発生する場合があるためである。一方、分散剤の配合量が2重量部を超えた値となると、樹脂微粒子を塗膜中に安定的に配列させる効果は2重量部以下で飽和し、配合量を増やしても得られる効果がないばかりか、鉛筆硬度等のハードコート性能が低下する場合があるためである。
したがって、分散剤の配合量を、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、0.1〜1.5重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.2〜1量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)−4 (D)成分:シリカ微粒子
本発明におけるハードコート層形成用組成物は、(D)成分としてのシリカ微粒子を含むことが好ましい。
この理由は、ハードコート層形成用組成物をプラスチック基材の表面に塗布した際に、塗膜における(B)成分としての樹脂微粒子の沈降具合をより効果的に制御して、ハードコート層中における厚さ方向の樹脂微粒子の濃度勾配を調整することができ、これにより、樹脂微粒子と、活性エネルギー線硬化性樹脂等により形成されるマトリックスと、の界面での光散乱具合を制御し、ひいては、内部ヘイズ値を制御、安定化させることができる。
また、ハードコート層の表面に対しても、微細な凹凸をより安定的に形成することができ、ひいてはハードコート層における外観欠陥を抑制することができるためである。
すなわち、樹脂微粒子との比重差を利用して、ハードコート層の表面側に樹脂微粒子をより好適な範囲で偏在させ、ハードコート層表面の微細な凹凸をより安定的に形成することができ、ひいてはハードコート層における内部ヘイズ値を安定化させつつ、外観欠陥を抑制することができる。
(i)種類
また、シリカ微粒子の種類としては、コロイド状シリカ微粒子や、表面官能基を有するシリカ微粒子を用いることが好ましい。
また、表面官能基を有するシリカ微粒子としては、例えば、表面官能基として(メタ)アクリロイル基を含む基を有するシリカ微粒子(以下、反応性シリカ微粒子と称する場合がある。)を挙げることができる。
かかる反応性シリカ微粒子は、例えば、シリカ微粒子の表面のシラノール基に、該シラノール基と反応し得る官能基を有する重合性不飽和基含有有機物を反応させることにより得ることができる。
また、重合性不飽和基としては、例えば、ラジカル重合性の(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
また、シラノール基と反応し得る官能基を有する重合性不飽和基含有有機化合物としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸クロリド、アクリル酸2−イソシアナートエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2,3−イミノプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等、およびこれらのアクリル酸誘導体に対応するメタクリル酸誘導体を好ましく用いることができる。
なお、これらのアクリル酸誘導体やメタクリル酸誘導体は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(ii)体積平均粒子径
また、シリカ微粒子の体積平均粒子径を1〜500nmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、シリカ微粒子の体積平均粒子径が1nm未満の値となると、シリカ微粒子の分散安定性が低下する場合があるためである。一方、シリカ微粒子の体積平均粒子径が500nmを超えた値となると、シリカ微粒子に起因して内部ヘイズ値が過度に増加する場合があるためである。
したがって、シリカ微粒子の体積平均粒子径を2〜300nmの範囲内の値とすることがより好ましく、3〜100nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、シリカ微粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
(iii)配合量
また、シリカ微粒子の配合量を、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、10〜200重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、シリカ微粒子の配合量が10重量部未満の値となると、樹脂微粒子をハードコート層の表面において好適な範囲で偏在させることが困難になる場合があるためである。一方、シリカ微粒子の配合量が200重量部を超えた値となると、活性エネルギー線硬化性樹脂の配合割合が減ることで、耐擦傷性が低下する場合があるためである。
したがって、シリカ微粒子の配合量を、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、10〜175重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、10〜150重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)−5 (C)成分:光重合開始剤
(i)種類
本発明におけるハードコート層形成用組成物に含まれる(C)成分としての光重合開始剤の種類としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル等が挙げられる。
なお、これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(ii)配合量
また、光重合開始剤の配合量を、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、0.2〜10重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、光重合開始剤の配合量が0.2重量部未満の値となると、十分な硬化性を得ることが困難となる場合があるためである。一方、光重合開始剤の配合量が10重量部を超えた値となると、耐擦傷性が低下する場合があるためである。
したがって、光重合開始剤の配合量を、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、0.5〜7重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)−6 (F)成分:防汚剤
また、本発明におけるハードコート層形成用組成物は、(F)成分としての防汚剤の配合量を制限することが好ましい。
より具体的には、(F)成分としての防汚剤の配合量を、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、0重量部、または0〜0.3重量部(但し、0重量部を除く。)の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、防汚剤の配合量を制限することにより、ハードコート層に対する水の接触角をより容易に所定の範囲に調節することができるためである。
すなわち、図1に示すように、本発明のハードコートフィルム14は、タッチパネル20おいて、導電性パターン層17と、ハードコート層13とが対向するように、積層面の全面に設けられた粘着剤層15bまたは樹脂層(図示せず)により積層される。
このため、ハードコート層13に対する水の接触角を増加させる因子である防汚剤の配合量を所定の範囲に制限することが好ましいことになる。
一方、防汚剤は、ハードコート層形成用組成物の加工適正を向上させ、塗膜の均一性向上に寄与することをも考慮し、配合するのであれば、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、0〜0.1重量部(但し、0重量部を除く。)の範囲内の値とすることがより好ましい。
次いで、図3を用いて、防汚剤の配合量と、ハードコート層に対する水の接触角およびハードコート層と粘着剤との接着性と、の関係を説明する。
すなわち、図3には、横軸に(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対する(F)成分としての防汚剤の配合量(重量部)を採り、左縦軸にハードコート層に対する23℃における水の接触角(°)を採った特性曲線A、および右縦軸にハードコート層と粘着剤層との接着性(N/25mm)を採った特性曲線Bを示す。
また、水の接触角(°)および接着性(N/25mm)の具体的な測定方法については、実施例において記載する。
まず、特性曲線Aから理解されるように、水の接触角の値は、防汚剤の配合量が増加するのに伴って、増加する傾向がある。
ここで、図1に示すようなエアギャップを有するタッチパネル20において、ハードコート層13と導電性パターン層17とを安定的に接着するには、ハードコート層と粘着剤15bとの接着性を所定以上とする必要があり、そのためには上述した水の接触角を90°以下の値とする必要あることが確認されている。
したがって、水の接触角を90°以下の値とし、ハードコート層と導電性パターン層、あるいは導電性パターン層との間に介在するフィルム層等とを安定的に接着するためには、防汚剤の配合量を0.3重量部以下の値とすべきことが理解される。
また、特性曲線Bからは、ハードコート層と粘着剤との接着性の値は、防汚剤の配合量が増加するのに伴って、減少する傾向が理解される。
したがって、特性曲線AおよびBから、ハードコート層に対する水の接触角の値が大きくなる程、ハードコート層と粘着剤との接着性が低下することが理解される。
なお、ハードコート層と粘着剤との接着性を3N/25mm以上の値とすれば、実用上問題無いことが確認されている。
また、防汚剤の種類としては、フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤、あるいはいずれか一方であることが好ましい。
この理由は、これらの防汚剤であれば、ハードコート層に対する水の接触角が過度に増加することを抑制することができるためである。
より具体的には、反応性フッ素オリゴマー、フッ素オリゴマー、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル等が挙げられる。
(1)−7 ハードコート層形成用組成物の調製
本発明で用いるハードコート層形成用組成物は、必要に応じ、適当な溶媒中に、上述した必須成分としての(A)〜(C)成分、および任意成分としての(D)〜(F)成分を加え、溶解または分散させることにより調製することができる。
このとき、(A)〜(F)成分の他にも、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シラン系カップリング剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤等を加えることもできる。
また、使用する溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤等が挙げられる。
なお、このようにして調製されたハードコート層形成用組成物の濃度および粘度としては、プラスチック基材の表面にコーティング可能な数値範囲であればよく、状況に応じて適宜選定することができる。
(2)膜厚
また、ハードコート層の膜厚を0.5〜6μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ハードコート層の膜厚が0.5μm未満の値となると、鉛筆硬度において実使用上必要な硬度を得ることが困難となる場合があるためである。一方、ハードコート層の膜厚が6μmを超えた値となると、活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化収縮に伴うカールの抑制と、ハードコートフィルムを曲げた際に生じるハードコート層におけるクラックの抑制をすることが困難になる場合があるためである。
したがって、ハードコート層の膜厚を1〜6μmの範囲内の値とすることがより好ましく、2〜5μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
2.プラスチック基材
本発明におけるプラスチック基材の種類としては、従来光学用ハードコートフィルムの基材として公知のプラスチック基材の中から適宜選択して用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、フッ素樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン樹脂等が挙げられる。
なお、プラスチック基材の膜厚を15〜300μmの範囲内の値とすることが好ましく、30〜200μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
3.ハードコートフィルムの特性
(1)内部ヘイズ値
また、ハードコートフィルムの内部ヘイズ値を1.5〜25%の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、内部ヘイズ値が1.5%未満の値となると、導電性パターン層のパターンを十分に不可視化することが困難となる場合があるためである。一方、内部ヘイズ値が25%を超えた値となると、ディスプレイの表示画像の視認性が低下する場合があるためである。
したがって、ハードコートフィルムの内部ヘイズ値を1.5〜20%の範囲内の値とすることがより好ましく、2〜15%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、内部ヘイズ値の具体的な測定方法については、実施例において記載する。
(2)ギラツキ
また、図4(a)〜(e)に示すような所定のppi(ピクセル/インチ)となるように光透過部を設けた格子状パターンを用いて、実施例において後述するようにして実施されるギラツキの評価結果を、80ppi以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるギラツキの評価結果が80ppi未満の値となると、280ppi以上の実際の高精細ディスプレイに適用した場合に、ギラツキが発生しやすくなる場合があるためである。
したがって、実施例において後述するようにして実施されるギラツキの評価結果を90ppi以上の値とすることがより好ましく、100ppi以上の値とすることがさらに好ましい。
なお、ハードコートフィルムに起因したギラツキは、格子状パターンにおけるppiが大きくなるほど、言い換えればディスプレイが高精細になるほど発生しやすくなる。
したがって、上述したppiの数値は、大きければ大きいほどギラツキの発生を効果的に抑制できることを意味する。
(3)全光線透過率
また、JIS K 7361に準拠して測定されるハードコートフィルムの全光線透過率を85%以上の値とすることが好ましい。
この理由は、全光線透過率が85%未満の値となると、ディスプレイの表示画像の視認性が低下する場合があるためである。
したがって、JIS K 7361に準拠して測定されるハードコートフィルムの全光線透過率を88%以上の値とすることがより好ましく、90%以上の値とすることがさらに好ましい。
(4)水の接触角
また、ハードコート層に対する23℃における水の接触角を90°以下の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる水の接触角が90°を超えた値となると、ハードコート層と粘着剤との接着性が所定以下となり、ひいてはハードコート層と導電性パターン層とを安定的に接着することが困難になる場合があるためである。
したがって、ハードコート層に対する23℃における水の接触角を87°以下の値とすることがより好ましく、85°以下の値とすることがさらに好ましい。
(5)硬度
また、JIS K 5600−5−4に準拠して測定されるハードコートフィルムの鉛筆硬度がHB以上であることが好ましい。
この理由は、かかる鉛筆硬度がHB未満の値となると、十分な耐擦傷性を得ることが困難になる場合があるためである。
4.ハードコートフィルムの製造方法
本発明のハードコートフィルムの製造方法としては、まず、プラスチック基材の表面に、ハードコート層形成用組成物を、従来公知の方法、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等を用いてコーティングし、塗膜を形成する。
次いで、塗膜を乾燥した後、活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化させて、塗膜をハードコート層とすることによりハードコートフィルムが得られる。
また、塗膜を硬化させる際の活性エネルギー線としては紫外線が挙げられ、かかる紫外線は高圧水銀ランプ、無電極ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等により照射することができる。
また、紫外線の照射量としては、通常100〜500mJ/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
以下、実施例を参照して、本発明のハードコートフィルムをさらに詳細に説明する。
[実施例1]
1.ハードコートフィルムの製造
(1)ハードコート層形成用組成物の準備工程
表1および以下に示すように、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂と、(B)成分としての樹脂微粒子と、(C)成分としての光重合開始剤と、(D)成分としてのシリカ微粒子と、(E)成分としての分散剤と、を混合するとともに、プロピレングリコールモノメチルエーテルにて希釈し、固形分30重量%のハードコート層形成用組成物を調製した。
なお、表1および下記における配合量は、固形分換算された値を示す。
(A)成分:多官能性アクリレート : 100重量部
(B)成分:架橋アクリル−スチレン共重合体樹脂微粒子 : 6重量部
(積水化成品工業(株)製、テクポリマーXX16LA、体積平均粒子径:2.5μm、Cv値:28%、屈折率1.55)
(C)成分:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン: 6重量部
(BSF(株)製、イルガキュア 184)
(D)成分:アクリロイル基導入ナノシリカゾル : 150重量部
(体積平均粒子径:50nm)
(E)成分:カルボキシル基含有ポリマー変性物 : 0.8重量部
(共栄社化学(株)製、フローレン G700)
また、(B)成分のCv値とは、下記式(2)で表される粒子径分布の変動係数を意味する。
Cv値(%)=(標準偏差粒子径/体積平均粒子径)×100 (2)
また、(B)成分の体積平均粒子径およびCv値は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所(株)製、LA−920)を用いて測定した。
このとき、分散溶剤としてメチルエチルケトンを使用した。
なお、実施例1で用いた(B)成分の粒度分布チャートを図5(a)に示す。
(2)塗布工程
次いで、得られたハードコート層形成用組成物を、プラスチック基材としての易接着層付きポリエステルフィルム(東レ(株)製、ルミラーU48、膜厚:100μm)の易接着剤層に、ワイヤーバー#14を用いて、硬化後の膜厚が5μmとなるように塗布し、塗布層を形成した。
(3)乾燥工程
次いで、得られた塗布層を、熱風乾燥装置を用いて、70℃、1分間の条件で乾燥させた。
(4)硬化工程
次いで、乾燥させた塗布層に対して、紫外線照射装置(ジーエスユアサコーポレーション(株)製、光源:高圧水銀灯)を用いて、下記条件にて紫外線を照射して、塗布層を硬化してハードコート層とし、最終的なハードコートフィルムを得た。
ランプ出力:1.4kW
コンベアスピード:1.2m/分
照度:100mW/cm2
光量:240mJ/cm2
2.評価
(1)パターン視認性の評価1
得られたハードコートフィルムにおける導電性パターン層のパターン視認性を評価した。
すなわち、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡(株)製、コスモシャイン A4300、膜厚100μm)上にITOからなる導電性パターン層を設けてなる透明導電性パターンフィルム(縦100mm×横100mm)における導電性パターン層上に、光学透明粘着剤(リンテック(株)製、OPTERIA MO−T015)からなる膜厚50μmの粘着剤層を介して、得られたハードコートフィルム(縦100mm×横100mm)を、ハードコート層が導電性パターン層と対向するように積層し、パターン視認性評価用の積層体を得た。
なお、透明導電性パターンフィルムは、以下のようにして作成した。
すなわち、ポリエチレンテレフタレートフィルムを縦100mm×横100mmにカットした後、ITOターゲット(酸化錫10重量%、酸化インジウム90重量%)を用いてポリエチレンテレフタレートフィルム上にスパッタリングを行い、縦60mm×横60mmの正方形状、厚さ30nm、表面抵抗250Ω/□の透明導電性層を形成した。
次いで、得られた透明導電性層の表面上に格子状にパターン化されたフォトレジスト膜を形成した。
次いで、室温下にて、10重量%の塩酸に1分間浸漬することによりエッチング処理を行った後、フォトレジスト膜を除去し、導電性パターン層を有する透明導電性パターンフィルムを得た。
当該透明導電性パターンフィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、線幅2mmの透明導電性の線により1辺2mmの正方形の空隙が格子状に区画化されたパターン形状を有する厚さ30nmの導電性パターン層を有するものであった。
次いで、得られた積層体のハードコートフィルム側から3波長蛍光灯を点灯し、導電性パターン層のパターンの視認性を目視により観察して、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表2に示す。
○:導電性パターン層のパターンが全く確認されない
△:導電性パターン層のパターンが僅かに確認される
×:導電性パターン層のパターンが明確に確認される
(2)パターン視認性の評価2
得られたハードコートフィルムにおける導電性パターン層のパターン視認性を、内部ヘイズ値(%)により評価した。
すなわち、まず、アクリル系粘着剤(日本カーバイト(株)製、PE−121)100重量部に対し、イソシアナート架橋剤(東洋インキ(株)製、BHS−8515)2重量部およびトルエン100重量部を加えて粘着剤溶液を調製した。
次いで、得られた粘着剤溶液を、膜厚50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡(株)製、コスモシャイン A4300)に対して塗布した後、100℃で3分間乾燥させて粘着シートを作成した。
次いで、ハードコートフィルムのハードコート層に対して、得られた粘着シートを貼合し、ハードコート層表面の微細な凹凸を埋めた状態とした後、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、NDH5000)を用いて、ヘイズ(%)をJIS K 7136に準拠して測定した。
そして、測定したヘイズ値から粘着シート単独のヘイズ値を差し引くことにより内部ヘイズ値を求めた。
また、粘着シートを貼合することなく、そのままのハードコートフィルムを対象として、同様の条件にてトータルヘイズ値(%)も測定した。得られた結果を表2に示す。
(3)ギラツキの評価1
得られたハードコートフィルムにおけるギラツキの発生を評価した。
すなわち、図4(a)に示すように、60ppi(ピクセル/インチ)となるように光透過部を設けた格子状パターンを用意した。
かかる格子状パターンは、ガラス板上に金属蒸着層を設けた後、金属蒸着層にレジスト処理を行い、エッチングし、さらにレジストを除去することにより作成した。
次いで、用意した格子状パターンをバックライト(キング(株)製、ブライトボックス5000)上に載置した。
次いで、内部ヘイズ値の測定に用いた粘着シートを貼合した状態のハードコートフィルムを格子状パターン上にハードコート層が下になるように載置し、ギラツキの発生箇所を確認した。
次いで、粘着シートを貼合した状態のハードコートフィルムを、格子状パターン上でこれと平行な方向に移動させ、予め確認しておいたギラツキの発生箇所が、粘着シートを貼合した状態のハードコートフィルムと共に移動した場合は、当該ギラツキの発生がハードコートフィルムに起因したものと判断した。
また、60ppiの格子状パターンではハードコートフィルムに起因したギラツキの発生が確認されなかった場合には、10ppi刻みでppiを増加させた格子状パターンを順次用いて、ハードコートフィルムに起因したギラツキの発生が確認されるまで、同様の作業を繰り返した。
表2に、ハードコートフィルムに起因したギラツキの発生が確認されない一番大きな格子状パターン(ppi)を示す。
なお、ハードコートフィルムに起因したギラツキは、格子状パターンにおけるppiが大きくなるほど、言い換えればディスプレイが高精細になるほど発生しやすくなる。
したがって、表2に示すppiの値が大きいほどギラツキの発生を効果的に抑制できていることを意味する。
また、図4(b)には80ppiの格子状パターンの写真を、図4(c)には100ppiの格子状パターンの写真を、図4(d)には140ppiの格子状パターンの写真を、図4(e)には180ppiの格子状パターンの写真をそれぞれ示す。
(4)ギラツキの評価2
得られたハードコートフィルムにおけるギラツキを、実際の264ppiのディスプレイを用いて評価した。
すなわち、264ppiのディスプレイ(アップル(株)製、NEW iPad)を全面緑色表示にした。
次いで、内部ヘイズ値の測定に用いた粘着シートを貼合した状態のハードコートフィルムをディスプレイ上にハードコート層が下になるように載置した。
次いで、上述したギラツキの評価1と同様に、粘着シートを貼合した状態のハードコートフィルムを移動させ、予め確認しておいたギラツキの発生箇所が、粘着シートを貼合した状態のハードコートフィルムと共に移動した場合は、当該ギラツキの発生がハードコートフィルムに起因したものと判断し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表2に示す。
○:ハードコートフィルムに起因したギラツキが確認されなかった
×:ハードコートフィルムに起因したギラツキが確認された
(5)全光線透過率の評価
得られたハードコートフィルムにおける全光線透過率(%)を評価した。
すなわち、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、NDH5000)を用いて、得られたハードコートフィルムの全光線透過率(%)を、JIS K 7361に準拠して測定した。得られた結果を表2に示す。
(6)水の接触角の評価
得られたハードコートフィルムにおける水の接触角(°)を評価した。
すなわち、全自動接触角計(協和界面科学(株)製)を用いて、23℃におけるハードコート層における水の接触角(°)を測定した。
このとき、滴下した水滴の液量を2マイクロリットルとし、滴下から3秒後の水の接触角(°)を測定した。得られた結果を表2に示す。
(7)粘着剤との接着性の評価
得られたハードコートフィルムの粘着剤との接着性(N/25mm)を評価した。
すなわち、得られたハードコートフィルムのポリエステルフィルム面を、両面テープ(リンテック(株)製、LT−85S−12)を用いてガラス板に貼合した。
次いで、粘着シート(リンテック(株)製、PET25(A)P1069 11L)を25mm×250mmのサイズに切り出した後、粘着シートの剥離フィルムを剥離してハードコート層表面に貼合し、測定試料を得た。
次いで、得られた測定試料を23℃、50%RHの環境下で24時間保管した後、同環境下において引張試験機(オリエンテック(株)製、テンシロン)を用いて、JIS Z 0237に準拠して剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件にて粘着シートを剥離し、粘着力(N/25mm)を測定した。得られた結果を表2に示す。
[実施例2]
実施例2では、ハードコート層形成用組成物における(B)成分の種類を以下のように変えるとともに、ハードコート層の膜厚を3μmに変えたほかは、実施例1と同様にハードコートフィルムを製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
(B)成分:シリコーン樹脂微粒子 : 6重量部
(モメンティブ(株)製、トスパール 120、体積平均粒子径:2μm、Cv値:20%、屈折率1.43)
[実施例3]
実施例3では、ハードコート層形成用組成物における(A)〜(B)および(D)成分の種類および配合量を以下のように変えるとともに、(E)成分を配合せず、ハードコート層の膜厚を3μmに変えたほかは、実施例1と同様にハードコートフィルムを製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
また、実施例3で用いた(B)成分の粒度分布チャートを図5(b)に示す。
(A1)成分:ウレタンアクリレート系プレポリマー : 70重量部
(A2)成分:多官能性アクリレート : 30重量部
(B)成分 :架橋アクリル重合体樹脂微粒子 : 10重量部
(綜研化学(株)製、MX−80H3wt、体積平均粒子径:0.8μm、Cv値:10%、屈折率:1.49)
(D)成分 :反応性ナノシリカゾル : 12重量部
(日産化学(株)製、MIBK−SD、体積平均粒子径:10nm)
[実施例4]
実施例4では、ハードコート層形成用組成物における(A)〜(E)成分の種類や配合量を以下のように変えたほかは、実施例1と同様にハードコートフィルムを製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
(A)成分:多官能性アクリレート(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
: 100重量部
(新中村工業(株)製、NK エステル A−DPH)
(B)成分:架橋アクリル−スチレン共重合体樹脂微粒子 :0.15重量部
(積水化成品工業(株)製、テクポリマーXX16LA、体積平均粒子径:2.5μm、Cv値:28%、屈折率1.55)
(C)成分:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン: 3重量部
(BSF(株)製、イルガキュア 184)
(D)成分:ナノシリカゾル : 6重量部
(日産化学(株)製、MIBK−ST、体積平均粒子径:10nm)
(E)成分:カルボキシル基含有ポリマー変性物 : 0.40重量部
[実施例5]
実施例5では、ハードコート層形成用組成物において、(F)成分としての下記防汚剤をさらに配合したほかは、実施例1と同様にハードコートフィルムを製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
(F)成分:反応性フッ素オリゴマー : 0.04重量部
(DIC(株)製、メガファック RS−75)
[比較例1]
比較例1では、ハードコート層形成用組成物における(B)成分の種類および配合量を以下のように変えたほかは、実施例1と同様にハードコートフィルムを製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
また、比較例1で用いた(B)成分の粒度分布チャートを図6(a)に示す。
(B)成分:シリコーン樹脂微粒子 : 2重量部
(モメンティブ(株)製、トスパール 130、体積平均粒子径:3μm、Cv値:19%、屈折率1.43)
[比較例2]
比較例2では、ハードコート層形成用組成物における(B)成分の配合量を以下のように変えるとともに、ハードコート層の膜厚を3μmに変えたほかは、実施例1と同様にハードコートフィルムを製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
(B)成分:架橋アクリル−スチレン共重合体樹脂微粒子 :0.1重量部
(積水化成品工業(株)製、テクポリマーXX16LA、体積平均粒子径:2.5μm、Cv値:28%、屈折率1.55)
[比較例3]
比較例3では、ハードコート層形成用組成物における(B)成分の種類および配合量を以下のように変えたほかは、実施例1と同様にハードコートフィルムを製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
また、比較例3で用いた(B)成分の粒度分布チャートを図6(b)に示す。
(B)成分:架橋アクリル重合体樹脂微粒子 : 20重量部
(積水化成品工業(株)製、テクポリマーXX−27LA、体積平均粒子径:1.5μm、Cv値:23%、屈折率:1.49)
[比較例4]
比較例4では、ハードコート層形成用組成物において、(F)成分としての下記防汚剤をさらに配合したほかは、実施例1と同様にハードコートフィルムを製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
(F)成分:反応性フッ素オリゴマー : 0.2重量部
(DIC(株)製、メガファック RS−75)
以上、詳述したように、本発明によれば、ハードコート層を形成するためのハードコート層形成用組成物に対し、所定の体積平均粒子径を有する樹脂微粒子を所定の割合で配合するとともに、ハードコートフィルムにおける内部ヘイズ値を所定の範囲とし、かつ、ハードコート層に対する水の接触角を所定の範囲とすることにより、構成が単純であるにもかかわらず導電性パターン層のパターンを効果的に不可視化することができるとともに、ギラツキの発生を効果的に抑制することができ、かつ、導電性パターン層、あるいは導電性パターン層との間に介在するフィルム層等への接着性についても効果的に向上させることができるようになった。
その結果、本発明によれば、タッチパネルにおける導電性パターン層の視認側に、粘着剤層または樹脂層を介して積層されるハードコートフィルムであって、構成が単純であるにもかかわらず導電性パターン層のパターンを効果的に不可視化することができるとともに、ギラツキの発生を効果的に抑制することができ、かつ、導電性パターン層、あるいは導電性パターン層との間に介在するフィルム層等への接着性に優れたハードコートフィルムを得ることができるようになった。
したがって、本発明のハードコートフィルムは、エアギャップを有さないタイプのタッチパネルにおける視認性の向上に著しく寄与することが期待される。
12:プラスチック基材、13:ハードコート層、14:ハードコートフィルム、15a、15b:粘着剤層、16:ガラス板、17:導電性パターン層、20:タッチパネル

Claims (9)

  1. タッチパネルにおける導電性パターン層の視認側に、粘着剤層または樹脂層を介して積層されるプラスチック基材の表面にハードコート層を備えたハードコートフィルムであって、
    前記ハードコート層が、(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂と、(B)成分としての樹脂微粒子と、(C)成分としての光重合開始剤と、を含むハードコート層形成用組成物の硬化物からなるとともに、
    前記(B)成分としての樹脂微粒子の体積平均粒子径を0.8〜2.5μmの範囲内の値とし、
    前記(B)成分としての樹脂微粒子の配合量を、前記(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲内の値とし、かつ、
    前記ハードコートフィルムにおける内部ヘイズ値を1.5〜25%の範囲内の値とし、さらに、
    前記ハードコート層に対する23℃における水の接触角を90°以下の値とすることを特徴とするハードコートフィルム。
  2. 前記(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂の屈折率をn(A)とし、前記(B)成分としての樹脂微粒子の屈折率をn(B)とした場合に、下記式(1)で表されるΔnの絶対値を0.005〜0.15の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
    Δn=n(B)−n(A) (1)
  3. 前記(B)成分としての樹脂微粒子が、アクリル重合体樹脂微粒子、アクリル−スチレン共重合体樹脂微粒子、スチレン重合体樹脂微粒子およびシリコーン樹脂微粒子からなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1または2に記載のハードコートフィルム。
  4. 前記ハードコート層形成用組成物が、(D)成分としてのシリカ微粒子を含むとともに、前記(D)成分としてのシリカ微粒子の体積平均粒子径を1〜500nmの範囲内の値とし、かつ、前記(D)成分としてのシリカ微粒子の配合量を、前記(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、10〜200重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。
  5. 前記ハードコート層形成用組成物が、(E)成分としての分散剤を含むとともに、前記(E)成分としての分散剤の配合量を、前記(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、0〜2重量部(但し、0重量部を除く。)の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。
  6. 前記(E)成分としての分散剤が、分子内に少なくとも1つの極性基を有するとともに、前記極性基として、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、アミド基、第4級アンモニウム塩基、ピリジウム塩基、スルホニウム塩基およびホスホニウム塩基からなる群から選択される少なくとも一種を有する化合物であることを特徴とする請求項5に記載のハードコートフィルム。
  7. 前記ハードコート層形成用組成物が、(F)成分としての防汚剤を含むとともに、前記(F)成分としての防汚剤の配合量を、前記(A)成分としての活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、0重量部、または0〜0.3重量部(但し、0重量部を除く。)の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。
  8. 前記(F)成分としての防汚剤が、フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤、あるいはいずれか一方であることを特徴とする請求項7に記載のハードコートフィルム。
  9. 前記ハードコート層の膜厚を0.5〜6μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。
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