JP2015184114A - 増強ラマン分光装置 - Google Patents

増強ラマン分光装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2015184114A
JP2015184114A JP2014060114A JP2014060114A JP2015184114A JP 2015184114 A JP2015184114 A JP 2015184114A JP 2014060114 A JP2014060114 A JP 2014060114A JP 2014060114 A JP2014060114 A JP 2014060114A JP 2015184114 A JP2015184114 A JP 2015184114A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flow path
flow
convex structure
metal fine
fine concavo
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014060114A
Other languages
English (en)
Inventor
昇吾 山添
Shogo Yamazoe
昇吾 山添
芽実 塩田
Megumi Shioda
芽実 塩田
納谷 昌之
Masayuki Naya
昌之 納谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2014060114A priority Critical patent/JP2015184114A/ja
Priority to PCT/JP2015/001357 priority patent/WO2015146036A1/ja
Publication of JP2015184114A publication Critical patent/JP2015184114A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/01Arrangements or apparatus for facilitating the optical investigation
    • G01N21/03Cuvette constructions
    • G01N21/05Flow-through cuvettes
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/62Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light
    • G01N21/63Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light optically excited
    • G01N21/65Raman scattering
    • G01N21/658Raman scattering enhancement Raman, e.g. surface plasmons

Abstract

【課題】気体、液体に拘わらず、高いS/Nで信号を検出可能な増強ラマン分光装置を提供する。
【解決手段】増強ラマン分光装置において、流体試料を流下させる流路11aと、流路11a内壁の少なくとも一部に設けられた金属微細凹凸構造11bを有する流路デバイス11と、流路デバイス11の流路11a内において流体試料を流動させるための流動機構13と、流路11a中の金属微細凹凸構造11bに向けて励起光を照射するための励起光学系20aと、励起光の照射により生じた光を検出する検出部29とを備え、励起光学系20aを流路デバイス11の流路11aの延びる方向に励起光を延伸照射するものとする。
【選択図】図2

Description

本発明は、局在プラズモンを誘起しうる微細な金属凹凸構造を備えた光電場増強デバイスを備えた増強ラマン分光装置に関するものであり、特には、光電場増強デバイスを流路内に備えてなる増強ラマン分光装置に関するものである。
ラマン分光法は、物質に単波長光を照射して得られる散乱光を分光して、ラマン散乱光のスペクトル(ラマンスペクトル)を得る方法であり、物質の同定等に利用されている。
ラマン分光法には、微弱なラマン散乱光を増強するために、表面増強ラマン(SERS: Surface Enhanced Raman Scattering)と呼ばれる、局在プラズモン共鳴によって増強された光電場を利用したラマン分光法がある。そして、このような増強ラマン分光法に用いられる、金属表面における局在プラズモン共鳴現象による電場増強効果を生じさせる電場増強デバイス(所謂、SERS基板)が知られている。
増強ラマン分光法は、金属体、特に表面にナノオーダの凹凸を有する金属体に物質を接触させた状態で光を照射すると、局在プラズモン共鳴による表面増強電場が生じ、金属体表面に接触された試料のラマン散乱光強度が増強されるという原理を利用するものである。蛍光よりも桁違いに強度が小さいラマン光においては、ハイパワーな励起光源および長い検出時間を要していた測定系を、表面増強電場を用いることにより低出力な半導体レーザで数秒以下の短時間測定の測定系とすることが可能となることから、その効果は非常に大きなものとなっている。
しかし、表面増強電場強度は金属表面から対数的に減少していくため、その増強された電場と検体を相互作用させるためには、検体を金属表面から10nm近傍に配置する必要がある。金属との親和性の高い検体においては、限られた励起領域においても十分な表面増強ラマン光を検出することが可能であるが、親和性の低い検体では、金属微細凹凸構造上に近づいたほんの僅かな瞬間にラマン光を放つことはあるが、時間が経つと金属表面から離れ、信号が検出されなくなってしまう。
非特許文献1においては、中空ファイバー内に金属微細凹凸構造を形成し、その中を検体含む液体で満たすことで、金属微細凹凸構造と検体が接する面積を増やし、高感度なSERS検出を行っている。
特許文献1、あるいは非特許文献2においては、流路デバイス中に金属微細凹凸構造を形成し、液体を流動させSERS計測を行っている。
特開2012−230042号公報
金属との親和性が低い検体においても高感度な信号を得るため、次の2つの手段が考えられる。一つが、低い確率で金属表面に近づく検体の信号を捉える確率を増やすため、金属微細凹凸構造と検体が接する面積を増やす。2つ目が、検体を流動させ、強制的に金属微細凹凸構造表面に近づける方法である。
非特許文献1の装置では、中空ファイバー内において微細凹凸構造が内壁全体に形成されているので、検体が微細凹凸構造と接触する面積を増やすことができる。一方で、中空ファイバー内に液体を導入する方法として、毛細管現象を利用している。液体を注入後、測定を行っており、検体に大きな動きがなく、アクディブに金属表面に近づく状態にない。また、気体では毛細管現象が起こらないため、気体分子を検出することはできない。
また、特許文献1においては、検体を流動させつつ検出を行うものであり、検体を微細凹凸構造表面に近づける効果が得られる。しかし、励起およびSERS信号を検出している領域が対物レンズで集光された限られた領域(スポット)となっており、十分なS/Nを得られているとは言えない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、気体、液体に拘わらず、高いS/Nで信号を検出可能な増強ラマン分光装置を提供することを目的とするものである。
本発明の増強ラマン分光装置は、流体試料を流下させる流路と、流路の内壁の少なくとも一部に設けられた金属微細凹凸構造を有する流路デバイスと、
流路デバイスの流路内において流体試料を流動させるための流動機構と、
流路中の金属微細凹凸構造に向けて励起光を照射するための励起光学系と、
励起光の照射により生じた光を検出する検出部とを備え、
励起光学系が流路デバイスの流路の延びる方向に励起光を延伸照射するものであることを特徴とする。
なお、ここで、金属微細凹凸構造は、励起光の照射を受けて局在プラズモンを生じうる微細凹凸構造を有するものである。なお、局在プラズモンを生じうる微細凹凸構造とは、一般に、凹凸構造をなす凸部および凹部の平均的な大きさと平均的なピッチが励起光の波長よりも小さい凹凸構造である。
また、流路デバイスの流路の延びる方向とは、流体試料の流動方向であり、金属微細凹凸構造は、この流路の延びる方向に沿って所定領域に設けられている。
励起光学系は、流路の延びる方向に対して垂直方向から、励起光を矩形または楕円状に金属微細凹凸構造上に集光するものであってもよい。
流路デバイスが、流路に屈曲部を有するものである場合、励起光学系は、励起光を屈曲部から金属微細凹凸構造が形成されている流路部分に向けて流路部分の延びる方向に光軸を一致させて励起光を照射するものであってもよい。
金属微細凹凸構造が形成されている流路部分に、流体試料の流れを乱すための突起構造が配置されていることが好ましい。
金属微細凹凸構造において、2つ以上の互いに異なるセンシング領域が設けられていてもよい。
2つ以上の互いに異なるセンシング領域とは、同一検体に対して異なるラマンシフトを生じる領域であってもよいし、異なる検体に対して親和性を有し、多検体検出を可能とするものであってもよい。
金属微細凹凸構造は、2つ以上の互いに異なるセンシング領域として、互いに異なる金属から構成された2つ以上の領域を有していてもよい。
あるいは、金属微細凹凸構造は、2つ以上の互いに異なるセンシング領域として、その凹凸構造上への表面修飾の有無および/または種類が異なる2以上の領域を有していてもよい。
表面修飾は、無機層であってもよいし、有機層であってもよく、試料流動中の被検体に応じて適宜選択すればよい。
本発明の増強ラマン分光装置は、流体試料を流下させる流路と、流路の内壁の少なくとも一部に設けられた金属微細凹凸構造を有する流路デバイスと、流路デバイスの流路内において流体試料を流動させるための流動機構とを備え、検体を含む流体試料を流動させつつ測定することができるので、検体を強制的に金属微細凹凸構造表面に近づける効果を得ることができる。また、流動機構を備えているので、流体試料が液体、気体であるかを問わず、流路内を流下させることができる。さらに、励起光学系が流路デバイスの流路の延びる方向に励起光を延伸照射するものであることから、励起光のスポット照射時と比べて、検出可能な面積を増やすことができる。従って、金属との親和性が低い検体についても、高感度なセンシングが可能となる。
第1の実施形態に係る増強ラマン分光装置の概略構成を示す図である。 図1に示す増強ラマン分光装置の流路系の概略構成を示す図である。 図2に示す流路デバイスのIIIA-IIIA断面図、IIIB-IIIB断面図および流路デバイス内の励起光量分布を示す図である。 SERS基板を示す斜視図である。 図4に示したSERS基板の側面の一部を拡大した図である。 図4に示すSERS基板の作製工程を示す図である。 設計変更例1の流路デバイスを示す断面模式図である。 設計変更例2の流路デバイスを示す断面模式図である。 設計変更例3の流路デバイスを示す断面模式図である。 設計変更例4の流路デバイスを示す断面模式図である。 筒状流路デバイスの設計変更例を示す図である。 第2の実施形態に係る増強ラマン分光装置の概略構成を示す図である。 図12に示す流路デバイスを示す断面模式図である。 設計変更例の流路デバイスを示す断面模式図である。 筒状流路デバイスを用い、励起光方向を増加させる構成を示す模式図である。 第3の実施形態に係る増強ラマン分光装置の概略構成を示す図である。 励起光の光軸Laxisと流路の流動軸Faxisとの関係および流動軸方向における励起光の光量分布を模式的に示す図である。 設計変更例の流路デバイスを示す断面模式図である。
以下、図面を参照して本発明の光電場増強デバイスの製造方法の実施形態について説明する。なお、視認しやすくするため、図面中の各構成要素の縮尺等は実際のものとは適宜異ならせてある。
図1は本発明の第1の実施形態の増強ラマン分光装置1の概略構成を示す図である。増強ラマン分光装置1は、一部に金属微細凹凸構造を備えた流路デバイス11を含む流路系10と、流路デバイス11に測定光を照射して、被検体から生じたラマン光を検出する光学センシング系20を備えている。
光学センシング系20は、励起光学系20aとラマン光検出光学系20bとからなる。励起光学系20aは、後述する流路デバイス中の金属微細凹凸構造に向けて励起光を照射するための光学系であり、ラマン光検出光学系20bは励起光の照射により生じたラマン光を検出するための分光検出器29を含む光学系である。
本実施形態において、光学センシング系20は、レーザ光を射出するレーザ光源21と、光源21からのレーザ光をコリメートするコリメートレンズ22、レーザ光のスペクトルを狭帯域化するためのレーザラインフィルター23、レーザ光を楕円化するためのシリンドリカルレンズ24、レーザ光である励起光を反射し、励起光よりも長波長のラマン光を透過するダイクロイックミラー25、ダイクロイックミラー25により反射された励起光を後述の流路デバイス11の金属微細凹凸構造上に集光するための集光レンズ26、ダイクロイックミラー25を通過した光から励起光を取り除くシャープカットロングウェーブレングスパスフィルター27、ラマン光を分光検出する分光検出器29および分光検出器にラマン光を入射させるレンズ28からなる。
励起光学系20aは、レーザ光源21、コリメートレンズ22、レーザラインフィルター23、シリンドリカルレンズ24、ダイクロイックミラー25、集光レンズ26から構成され、ラマン光検出光学系20bは、集光レンズ26、ダイクロイックミラー25、シャープカットロングウェーブレングスパスフィルター27、レンズ28および分光検出器29から構成される。ダイクロイックミラー25および集光レンズ26は励起光学系20aおよびラマン光検出光学系20bの両方の要素を兼ねている。
図2は流路系10の概略構成を示す図である。図2に示すように、流路系10は、内部に金属微細凹凸構造を備えた流路デバイス11、流体試料を流動させるための流動機構である吸引ポンプ13、吸引した液体試料を溜める廃液容器14、液体試料を貯留する貯留容器15備え、貯留容器15、流路デバイス11、廃液容器14、吸引ポンプ13の順にチューブ16で接続されている。
吸引ポンプ13の作用により、貯留容器15の液体試料は、チューブ16を介して流路デバイス11中の流路11aを流動され、さらにチューブ16を介して廃液容器14へと流動される。
図3には、図2に示す流路デバイス11のIIIA−IIIA断面図(A)およびIIIB−IIIB断面図(B)を示している。本実施形態の流路デバイス11は、流体試料を流下させる流路11aと、流路11aの内壁の少なくとも一部に設けられた金属微細凹凸構造11bを有する。流路デバイス11は、長さ方向に沿って形成された溝17aを有する流路部材17と、流路部材17の溝17aを覆う蓋板となるSERS基板18とから構成されている。SERS基板18は、透明基材18a、透明基材18aの一面に形成された透明な微細凹凸構造層18bおよび金属微細凹凸構造層18cから構成されている。溝17aの壁面およびSERS基板18の基材18aにより流路11aの内壁が構成されている。
流路部材17は、例えば、10mm×10mm×50mmのPDMS(polydimethylsiloxane)からなるロッドの中央に1mm×2mm角の溝が形成されてなるものであり、溝が流路となる。SERS基板18は、例えば、特開2012−06393号公報に記載のSERS基板であり、10mm×50mm×厚み1mmのガラス基板上に、ベーマイトが形成され、その上に金を蒸着したものを用いることができる。
図4は、SERS基板18を示す斜視図であり、図5は図4に示したSERS基板18の側面の一部Vの拡大図である。
図4および図5に示すように、SERS基板18は、透明基材18aと、透明な微細凹凸構造層18bと、その微細凹凸構造表面に形成された金属膜18cとからなる。SERS基板18は、金属膜18cが透明な微細凹凸構造層の表面に沿って形成されて金属の微細凹凸構造を構成するものとなり、金属微細凹凸構造に照射された光(以下において、励起光とする。)により、局在プラズモン共鳴が誘起され、この局在プラズモン共鳴により金属微細凹凸構造の表面に増強された光電場を生じさせるものである。
金属微細凹凸構造は、凹凸の凸部の平均的な大きさおよび平均ピッチが励起光の波長より短いものとなる程度の微細な凹凸構造であるが、金属微細凹凸構造の表面に局在プラズモンを生じさせうるものであればよい。特には、金属微細凹凸構造は、凸部頂点から隣接する凹部の底部までの平均深さが200nm以下、凹部を隔てた最隣接凸部の頂点同士の平均ピッチが200nm以下であることが望ましい。
金属膜18cは、励起光の照射を受けて局在プラズモンを生じうる金属からなるものであればよいが、例えば、Au、Ag、Cu、Al、Pt、およびこれらを主成分とする合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属からなるものである。特には、AuあるいはAgが好ましい。
金属膜18cの膜厚は、透明微細凹凸構造層18bの表面に形成されたときに、金属微細凹凸構造として励起光の照射を受けて局在プラズモンを生じうる凹凸形状を維持することができる程度の厚みであれば特に制限はないが、10〜100nmであることが好ましい。
透明微細凹凸構造層18bは、アルミナの水和物を主成分とする材料から構成されていることが好ましく、具体的には、ベーマイトまたはバイヤーライトであることが好ましい。
図6を参照してSERS基板18の作製方法を説明する。
板状の透明基材(透明基板)18aを用意し、透明基材18aは純水洗浄する。
その後、透明基材18aの表面にスパッタ法によりアルミニウム8を数十nm程度成膜する。
その後、純水を沸騰させた中に、アルミニウム8付き透明基材18aを浸水させ、数分(5分程度)後に取り出す。この煮沸処理(ベーマイト処理)により、アルミニウム8は透明化し、ベーマイト層からなる透明微細凹凸構造層18bとなる。
透明微細凹凸構造層18b上に金属膜18cを蒸着することにより金属微細凹凸構造を表面に有するSERS基板18を得ることができる。
上記の金属微細凹凸構造の形成方法は非常に簡単な方法であり、上記方法によれば、透明基材が板状でなくても、例えば、湾曲面に対しても同様の手法により金属微細凹凸構造を容易に形成することができる。
本実施形態の増強ラマン分光装置1においては、光源21から射出されたレーザ光がレンズ22、フィルタ23を経てシリンドリカルレンズに24により一方向に延伸されて楕円状に成形された後、ダイクロイックミラー25により流路デバイス11に向けて反射され、レンズ26により流路デバイス11の金属微細凹凸構造11bに照射される。このとき、図2に示すように、レーザ光の延伸方向(楕円状照射野の長軸方向)と流路11aの延びる方向とが一致しており、励起光が流路の広い範囲に亘って同時に照射される。この励起光の照射範囲に存在する検体からのラマン光はSERS基板により増強され、ラマン光検出光学系20bの分光検出器29で検出される。
図3のcは、流路デバイス11の流動方向における励起光量を示すグラフである。図3のcに示されているように、励起光は、流動方向の広い範囲に亘って励起光が延伸されて照射されている。
本実施形態の増強ラマン分光装置1によれば、流路デバイス11の流路11a中を流体試料を流動させることにより、流動試料中の検体を金属微細構造に近接する機会を多くさせると共に、広い範囲に励起光を照射することにより、より多くのラマン光を検出することを可能とし、高感度な検出が可能となる。
流路デバイスの設計変更例について説明する。以下の設計変更例については、主として上述の流路デバイス11と異なる点について説明するものとし、同一要素は同一符号を付し説明を省略する。
図7は、設計変更例1の流路デバイス31の長さ方向の断面図(A)および長さ方向に垂直な断面図(B)を示す。
図7に示す流路デバイス31は、流路内に突起19aが設けられており、流路を流れる流体に乱流を生じさせる構成となっている。突起19aは、流路となる溝を有する流路部材19の溝底面に設けられている。この乱流発生させる機構(突起構造)を有することにより、流体試料中の検体がSERS基板18の金属表面に近づく確率を高めることができ、高感度化により好ましい構造となっている。なお、突起構造の突起は流路の断面積(流路軸に垂直な面)に対し、1%以上の面積を占有する程度の大きさを有するものとする。
図8は、設計変更例2の流路デバイス32の長さ方向の断面図を示す。
図8に示す流路デバイス32は、上述の流路デバイス11とは、SERS基板の構成が一部異なる。流路デバイス32の蓋板となるSERS基板18Aは、金属微細凹凸構造が異なる金属から構成された2つの領域を有している。透明基材18a表面に設けられた透明微細凹凸構造層18bの表面の一領域33aは金、他の領域33bは白金からなる金属膜18c、18dをそれぞれ備えた構成となっている。
このようにSERS基板の金属によって得られるラマンスペクトルがシフトする検体(詳細は、Analytical Chemistry, Vo.73 5953 (2001)参照されたい。)においては、単純なピークが複雑化(ダブルピーク)し、特異性を高めることが可能となり、特に夾雑物中でピークが重なるようなサンプルでは、物質同定を高めることが可能となる。異なる領域33a、33bからの信号は分光検出器において同時に検出され、スペクトル形状で切り分けて分析に供される。
図9は、設計変更例3の流路デバイス34の長さ方向の断面図を示す。
図9に示す流路デバイス34は、上述の流路デバイス11とは、SERS基板の構成が一部異なる。流路デバイス34の蓋板となるSERS基板18Bは、金属微細凹凸構造上に検体に対する親和性が異なる2つの領域35a、35bを有している。透明基材18a表面に設けられた透明微細凹凸構造層18bの表面に一様に金属膜18cが形成されており、その一領域35bにのみSAM(自己組織化単分子膜)による修飾18eが施されている。
SAM形成領域に対する特異吸着などを利用し、多検体の検出が可能となる。また、金膜上にSH(チオール)を用いて表面修飾を施した場合、Sと金の結合で生じる2つのラマンシフトピークの強度比が溶液のpHに依存するため、同時にpHをモニターすることができる。
表面修飾は、SAMに限定されるものではなく、無機層であってもよい。また本例では、表面修飾をしない領域35aと表面修飾した領域35bとを設けたが、異なる種類の表面修飾領域を2以上設けてもよい。異なる領域35a、35bからの信号は分光検出器において同時に検出され、スペクトル形状で切り分けて分析に供される。
図10は、設計変更例4の流路デバイス36の長さ方向の断面図(A)および長さ方向に垂直な断面図(B)を示す。
図10に示す流路デバイス36は、筒状流路デバイスである。筒状流路デバイス36は半円筒流路部材36A,36Bを貼り合わせて構成されている。筒状流路デバイスは内部に円筒形の流路36aを有し、流路36aの内壁のほぼ全域に亘って金属微細凹凸構造36bを備えている。この金属微細凹凸構造36bは上述のSERS基板作製における微細凹凸構造形成および金属膜蒸着工程により作製することができる。また、筒状流路36aには、流路長さ方向に所定間隔で突起37が設けられており、流路36a中を流動する流体に乱流を生じさせるものとなっている。
なお、この筒状流路デバイス36においては、内壁面または外壁面に励起光反射用のコーティングを施すことにより、効率よく増強場を励起することが可能となる。例えば、図11に示すように、筒状流路デバイス36の励起光入射領域を除く外周領域に励起光反射用コーティング39を施しておく、この構成により、レンズ12を経て流路デバイス36内に照射された励起光は流路内部で反射するため、励起効果を高めることができる。
図12に本発明の第2の実施形態の増強ラマン分光装置2の概略構成図を示す。以下においては、第1の実施形態の装置1と同一の要素は同一の符号を付し詳細な説明は省略し、第1の実施形態の装置1と異なる点について主として説明する。
第2の実施形態の増強ラマン分光装置2においては、光学センシング系20が2つ備えられており、流路デバイス40を2方向から励起するよう構成されている。励起光を楕円化して照射することにより励起光密度の減少が生じることから、光源を増やすことで励起光密度の減少を補う構成となっている。2つの光学センシング系20において、分光検出器29は共有となっており、各検出光学系20bのレンズ28を経たラマン光はそれぞれラインバンドルファイバー30により集光され、2本のバンドルファイバー30は途中でバンドルされてから、分光検出器29に接続されている。
図13は、本実施形態に用いられている流路デバイス40の流路長さ方向の断面図(A)長さ方向に垂直な断面図(B)を示している。
流路デバイス40は、流路となる開口41aを備えた流路部材41と流路部材41の上下に配置された2枚のSERS基板18とからなる。すなわち、本流路デバイス40においては、流路の上下にそれぞれ金属微細凹凸構造を有するセンシング領域が形成された構成となっている。
本構成の増強ラマン分光装置2によれば、金属微細凹凸構造と接触する面積を増加させると共に、2つの光学センシング系20により励起光量を増加させているため、より高感度なセンシングを実現することができる。
図14は、設計変更例の流路デバイス42の長さ方向の断面図(A)および長さ方向に垂直な断面図(B)を示す。
図14に示す流路デバイス42は、流路内に突起43aが設けられており、流路を流れる流体に乱流を生じさせる構成となっている。突起43aは、流路部材43の流路となる開口内に壁面間をつなぐ橋状に設けられている。
本流路デバイス42は、SERS基板間に乱流を生じさせるための突起43aを流路内部に設けることで流体試料中の検体が流路の上下面を構成しているSERS基板の金属表面に近づく確率を高めたものであり、高感度化により好ましい構造となっている。
さらに、図10に示した筒状の流路デバイス36を用い、図15に示すように、4方向から励起光を照射する構成とすれば、さらに励起方向(励起光量)を増やし、高感度化することができる。
図16に本発明の第3の実施形態の増強ラマン分光装置3の概略構成図を示す。
本実施形態では光学センシング系120は、第1の実施形態の光学センシング系20と異なり、シリンドリカルレンズを備えておらず、励起光自体は延伸させず、円形の励起光を流路デバイスに照射する構成である。
本実施形態の流路系130においては、流路デバイス135の形状が第1の実施形態の流路デバイス11と異なる。円筒型状の流路と、流体の流動方向が変化する屈曲部136を有している。より詳細には、流路デバイス135は、内壁に微細凹凸構造が形成された流路部138と直交する方向に延びる流路部139とが、屈曲部136で接続された構成であり、流路135aは屈曲部136で直角に曲がっている。流路部138の延びる方向に垂直な壁面137(屈曲部136の一側面)には、励起光の集光窓を構成するフラットな面を有している。このような特殊な構造は、PDMSを金型成型することで作製することができる。流路デバイスは2つ以上のパーツとして成形した後に、組立て構成することができる。
流路デバイス135の内壁には金属微細凹凸構造135bが形成されている。この金属微細凹凸構造135bの作製方法は、上述SERS基板の作製方法と同様であり、内壁面にアルミニウムを含む膜を成膜後、水熱処理を施して透明微細凹凸構造膜を形成し、その透明微細凹凸構造膜上に金を蒸着する方法である。このとき、アルミニウムを含む膜を成膜する前に、内壁に銀をコーティングしている。この銀のコーティングはその後のアルミニウムを含む膜の成膜、水熱処理等の後にも特に変化しない。
図17は、励起光の光軸Laxisと流路の流動軸Faxisとの関係および流動軸方向における励起光の光量分布を模式的に示す図である。図17中において、流路デバイス135中の流体の流動軸Faxisを破線で、励起光の光軸Laxisを一点鎖線で示している。流動軸Faxisは屈曲部136で直角に変化している。
光学センシング系120の集光レンズ26を介して励起光は流路内に照射される。このとき、励起光の光軸Laxisが、金属微細凹凸構造135bが形成されている流路部138における流体の流動軸Faxisと一致するように励起光は屈曲部136の側壁137から流路135a中に入射される。励起光は、流路内の銀のコーティングにより、励起光流路内を導波し、結果として励起光は流路の延びる方向に延伸照射されることとなる。すなわち、流路部138の広い範囲に亘って金属微細凹凸構造135bに励起光が照射されることとなる。ここで、延伸照射は励起光の照射野形状を楕円や矩形にして一軸方向に延伸させた形状として照射するのではなく、光を導波させることにより、流路の延びる方向に照射領域を広げる(延伸させる)構成である。すなわち、本発明において、励起光を延伸照射するとは、このように流路内を励起光を導波させることにより、広範囲の金属微細凹凸構造に励起光を照射させる場合を含むものである。
このとき、励起光の光量は、図17に示すように、流路内の光入射側で最も大きく、入射位置から離れるにしたがって、励起光量は減少する。
なお、ここでは、流路内壁面に銀コーティングが施されていているものとしたが、銀コーティングは金属微細凹凸構造が形成されている領域の外壁面に施されていても同様の効果が得られる。
図18に設計変更例の流路デバイス140を示す。
流路デバイス140においては、円筒形状の流路と、流体の流動方向が変化する屈曲部145を有している。流路140aが屈曲部145近傍で広がる広がり部142を有しており、屈曲部の角の一面143が解放されており、光学センシング系120の集光レンズ26によってフタがされる構造となっている。流路の側壁による反射、収差などの影響を回避することが可能となる。
また、本実施形態および設計変更例の流路デバイスにおいては、上述の第2の実施形態の設計変更例、あるいは第3の実施形態の設計変更例の場合と同様に、乱流を発生させる突起を設けることが好ましい。さらに、SERS基板上に、異なる金属からなる微細凹凸構造が形成されていること、または、それら金属表面に有機または無機材料による修飾が施されていることが好ましい。
1、2、3 増強ラマン分光装置
10,130 流路系
11,31,32,34,36,40,135,140 流路デバイス
11a, 流路
11b 金属微細凹凸構造
13 吸引ポンプ
14 廃液容器
15 貯留容器
16 チューブ
17 流路部材
18,18A,18B SERS基板
20,120 光学センシング系
20a 励起光学系
20b 光検出光学系
21 光源
24 シリンドリカルレンズ
26 集光レンズ
29 分光検出器

Claims (7)

  1. 流体試料を流下させる流路と、該流路の内壁の少なくとも一部に設けられた金属微細凹凸構造を有する流路デバイスと、
    該流路デバイスの前記流路内において流体試料を流動させるための流動機構と、
    前記流路中の前記金属微細凹凸構造に向けて励起光を照射するための励起光学系と、
    前記励起光の照射により生じた光を検出する検出部とを備え、
    前記励起光学系が前記流路デバイスの前記流路の延びる方向に励起光を延伸照射するものであることを特徴とする増強ラマン分光装置。
  2. 前記励起光学系が、前記流路の延びる方向に対して垂直方向から、前記励起光を矩形または楕円状に前記金属微細凹凸構造上に集光する請求項1記載の増強ラマン分光装置。
  3. 前記流路デバイスが、前記流路に屈曲部を有するものであり、
    前記励起光学系が、前記励起光を前記屈曲部の流路外壁から前記金属微細凹凸構造が形成されている流路部分に向けて該流路部分の延びる方向に平行に励起光を照射する請求項1記載の増強ラマン分光装置。
  4. 前記金属微細凹凸構造が形成されている流路部分に、前記流体試料の流れを乱すための突起構造が配置されている請求項1から3いずれか1項記載の増強ラマン分光装置。
  5. 前記金属微細凹凸構造が、2つ以上の互いに異なるセンシング領域を備えている請求項1から4いずれか1項記載の増強ラマン分光装置。
  6. 前記金属微細凹凸構造が、前記2つ以上の互いに異なるセンシング領域として、互いに異なる金属から構成された2つ以上の領域を有している請求項5記載の増強ラマン分光装置。
  7. 前記金属微細凹凸構造が、前記2つ以上の互いに異なるセンシング領域として、前記金属微細凹凸構造上への表面修飾の有無および/または種類が異なる2以上の領域を有している請求項5記載の増強ラマン分光装置。
JP2014060114A 2014-03-24 2014-03-24 増強ラマン分光装置 Pending JP2015184114A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014060114A JP2015184114A (ja) 2014-03-24 2014-03-24 増強ラマン分光装置
PCT/JP2015/001357 WO2015146036A1 (ja) 2014-03-24 2015-03-12 増強ラマン分光装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014060114A JP2015184114A (ja) 2014-03-24 2014-03-24 増強ラマン分光装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015184114A true JP2015184114A (ja) 2015-10-22

Family

ID=54194590

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014060114A Pending JP2015184114A (ja) 2014-03-24 2014-03-24 増強ラマン分光装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2015184114A (ja)
WO (1) WO2015146036A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN117626260A (zh) * 2019-03-29 2024-03-01 佳能株式会社 吸光隔热膜、吸光隔热构件、物品及其制备方法
US11555788B2 (en) * 2020-03-15 2023-01-17 Alexander K. Pourshalchi Nondestructive fluid sensing
US20230236129A1 (en) * 2020-06-16 2023-07-27 Riken Raman scattering spectrometric apparatus and raman scattering spectroscopic method

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4812393B2 (ja) * 2005-03-04 2011-11-09 株式会社日立ハイテクノロジーズ 蛍光分子計測システム
JP2008116422A (ja) * 2006-11-08 2008-05-22 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 微粒子検出装置
JP2009103651A (ja) * 2007-10-25 2009-05-14 Fujifilm Corp 光電場増強デバイス、表面増強ラマン分光方法および表面増強ラマン分光装置
JP5204078B2 (ja) * 2009-11-20 2013-06-05 三菱重工業株式会社 配管中のガス成分計測装置及び排ガス成分計測用煙道
JP5494954B2 (ja) * 2010-03-29 2014-05-21 学校法人 東洋大学 分析用基板及びその製造方法
JP5807373B2 (ja) * 2011-04-27 2015-11-10 セイコーエプソン株式会社 検出装置
WO2013051651A1 (ja) * 2011-10-05 2013-04-11 株式会社日立ハイテクノロジーズ 生体分子分析方法及び生体分子分析装置

Also Published As

Publication number Publication date
WO2015146036A1 (ja) 2015-10-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8107071B2 (en) Method for detecting molecular analysis light, and apparatus and sample plate for use with the same
US7643156B2 (en) Sensor, multichannel sensor, sensing apparatus, and sensing method
KR101879794B1 (ko) 나노구조를 가지는 표면 플라스몬 공명(spr) 센서 장치
JP5552007B2 (ja) 光電場増強デバイス
JP5848013B2 (ja) 光電場増強デバイスおよび該デバイスを備えた測定装置
JP5553717B2 (ja) 光電場増強デバイスを用いた光の測定方法および測定装置
US9678014B2 (en) Capillary flow plasmonic sensor
JP2008002943A (ja) センサ、センシング装置、及びセンシング方法
US10768112B2 (en) Optical detection device and optical detection method
WO2015146036A1 (ja) 増強ラマン分光装置
WO2012051451A2 (en) Highly efficient plasmonic devices, molecule detection systems, and methods of making the same
US7474397B2 (en) Raman and hyper-Raman excitation using superlensing
JP2013096939A (ja) 光デバイス及び検出装置
WO2017082043A1 (ja) 光学式検体検出システム
JP5673211B2 (ja) 光学式検体検出装置
WO2010066727A1 (en) A system and method for detecting the presence and/or absence of chemical or biological substances
WO2014007134A1 (ja) センサーチップ
WO2014021171A1 (ja) センサー部材の製造方法およびセンサーチップの製造方法ならびにセンサー部材の使用方法
JP2007024869A (ja) マルチチャンネルセンサ、センシング装置、及びセンシング方法
JP2016142617A (ja) 電場増強素子、分析装置、及び電子機器
JP6586884B2 (ja) チップおよび表面プラズモン増強蛍光測定方法
JP2015522830A (ja) 試料を観察し、化学種または生物学的種を検出または計量するための光学的方法
JP5786985B2 (ja) 表面プラズモン増強蛍光センサおよび表面プラズモン増強蛍光センサに用いられるチップ構造体ユニット
JP6213160B2 (ja) 分析チップ
JP2016114356A (ja) 蛍光検出装置、及び蛍光検出方法