JP2015184080A - 薄肉大型軸受の試験装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 試験対象となる薄肉大型の軸受を容易にかつ精度良く設置することができ、軸受を任意の姿勢に傾けて性能評価試験を行うことができ、さらに軸受がモーメント荷重、偏心荷重を受ける場合の性能評価試験も行うことができる薄肉大型軸受の試験装置を提供する。
【解決手段】 試験装置1は、試験対象となる薄肉大型の軸受60を設置可能な面盤2と、傾動中心軸12回りに面盤2を傾き可能に支持する面盤支持機構3と、面盤2の傾き角度を変える角度変更用駆動装置4と、軸受60の内輪を回転させる軸受回転用モータ52と、軸受60にモーメント荷重を生じさせる錘58Cを備える。面盤支持機構3および角度変更用駆動装置4は、面盤2を水平姿勢、垂直姿勢、および傾斜姿勢に渡って変更可能とする。面盤2に、軸受60の外周に嵌合し、かつ面盤2に嵌合状態に取り付けられる専用フレーム6を設ける。
【選択図】 図1

Description

この発明は、医療用検査機器であるCTスキャナ装置等に用いられる薄肉大型軸受の各種試験を行う試験装置に関する。
CTスキャナ装置(例えば特許文献1の図13)は、検査部として、患者等の被検査体を載せた寝台が出入りする環状の回転架台(ガントリ)を有する。回転架台は、外周側の固定部に対して軸受を介して回転自在に支持され、画像撮影のためのX線管球、X線検出器等が搭載されている。回転架台の支持に使用される軸受は、外径が約600〜1300mmの薄肉大型であり、その内輪には前記X線管球等の搭載物の荷重が約1t程度かかっている。例えば眼球等のように被撮影部位によっては撮影の角度を変える必要があるため、回転架台の傾き角度を変えられる構造のCTスキャナ装置もある。このようなCTスキャナ装置の場合、回転架台の傾き角度によって、軸受が受ける負荷が変動する。
一般に、CTスキャナ装置の回転架台支持用の軸受には、以下の性能が求められる。
(1)静粛性。これは、患者が緊張して臓器が委縮することを防ぎ、患者に安心感を与えて、臓器を正常に活動する状態に保つためである。
(2)低振動。振動が少ないほど、撮影画像の画質が向上する。
(3)高速性。撮影に要する時間を短縮することで、X線被ばく量を低減させられる。
回転架台支持用の軸受の上記性能を保証するために、軸受がCTスキャナ装置に組み込まれる前に、性能評価試験を行う必要がある。そのための試験装置として、例えば特許文献2に記載のものがある。この試験装置は、軸受保持機構により軸受を任意の角度に傾け可能に保持し、保持された軸受の内輪を任意の回転速度で回転させられるようにしたものであり、様々な条件下で軸受の性能評価試験を行うことができる。
特開2012−82844号公報 特開2005−315681号公報
特許文献2の試験装置は、軸受を任意の角度に傾け可能であるため、「例えばCTスキャナーガントリヘッドの支持に用いられる転がり軸受の取り付け姿勢を同じ取り付け姿勢」とすることができる旨の記載がある。しかし、同特許文献の明細書中に、軸受を水平に保持することができるとの記載はない。また、ハウジングの凹み部に軸受を嵌め込んで固定する方式であるため、軸受が垂直姿勢の状態でもハウジングに固定することが可能である。よって、この試験装置は、軸受が垂直姿勢または傾斜姿勢の状態で、軸受保持機構に軸受を取り付けると考えられる。CTスキャナ装置に用いられる軸受は大型で重量が重いため、軸受を適正な姿勢に人手で支えながら軸受保持機構に取り付けるのは容易でない。
この発明の目的は、試験対象となる薄肉大型の軸受を容易にかつ精度良く設置することができ、軸受を任意の姿勢に傾けて性能評価試験を行うことができ、さらに軸受がモーメント荷重を受ける場合の性能評価試験、並びに偏心荷重を受ける場合の性能評価試験も行うことができる薄肉大型軸受の試験装置を提供することである。
この発明の薄肉大型軸受の試験装置は、試験対象となる薄肉大型の軸受を設置可能な面盤と、この面盤に設置された軸受の直径線と一致しまたは平行となる傾動中心軸を水平としてこの傾動中心軸回りに前記面盤を傾き可能に支持する面盤支持機構と、前記面盤の傾き角度を変える角度変更用駆動装置と、前記面盤に設置されて前記軸受の内輪を回転させる軸受回転用モータと、前記軸受の内輪に着脱可能に取り付けられて前記軸受にモーメント荷重を生じさせる錘を備える。前記面盤支持機構および前記角度変更用駆動装置は、前記面盤を水平姿勢、垂直姿勢、および傾斜姿勢に渡って変更可能とし、前記面盤に、前記軸受の外周に嵌合し、かつ前記面盤に設けられたフレーム設置孔に嵌合状態に取り付けられる専用フレームを設けたことを特徴とする。前記モーメント荷重は、前記試験対象の軸受に対して軸方向に離れた位置で同軸受の中心軸と垂直な方向に荷重が作用することによって、前記試験対象の軸受に与えられるモーメントのことである。
なお、この発明で試験対象とする「薄肉大型軸受」とは、内径に対して内外径の差が一般的な軸受に比べて大きく、かつ内径が大きな軸受を言い、例えば(外径−内径)/(内径)の値が0.3以下で、内径が600mm以上の軸受を言う。
この構成によると、面盤支持機構および角度変更用駆動装置により面盤を水平姿勢にし、この水平状態の面盤のフレーム設置孔に、試験対象の軸受の外周に嵌合させた専用フレームを嵌合状態に取り付けることで、試験対象の軸受を面盤に設置する。面盤が水平であるため、軸受設置時に、水平にした専用フレームまたは軸受を面盤に対して上から下ろすだけで良い。専用フレームまたは軸受を人手で適正姿勢に支えることが不要である。そのため、試験対象の軸受が薄肉大型の軸受であり大重量であっても、試験対象の軸受を面盤上に容易に設置することができる。専用フレームが面盤のフレーム設置孔に嵌合し、かつ試験対象の軸受の外周が専用フレームの内周面に嵌合するため、面盤の上面に対する専用フレームおよび試験対象の軸受の位置ずれが生じることが無く、面盤の中心に試験対象の軸受を精度良く設置することができる。
面盤に軸受を設置した後、面盤を垂直姿勢または傾斜姿勢にし、面盤に設置された軸受の内輪を軸受回転用モータにより回転させて、軸受の性能評価試験を行う。面盤を任意の傾き角度、または所定の傾き角度に変えることができるので、使用状態に近い状態で軸受の性能評価試験を行うことができる。錘により試験対象の軸受にモーメント荷重を与えることで、軸受がモーメントを受ける状態での性能評価試験を行うことができる。さらに、軸受の外周に専用フレームが嵌合し、かつ専用フレームは面盤のフレーム設置孔に嵌合しているため、錘により試験対象の軸受が軸受の中心軸に対して偏心した偏心荷重を受ける場合でも、その荷重が専用フレームを介して面盤で受けられる。そのため、試験対象の軸受が偏心荷重を受ける場合の性能評価試験も行うことができる。また、専用フレームを介して軸受を面盤に設置する構成であるため、軸受を直接に面盤に設置する構成とした場合と異なり、後述のように、複数種類の軸受に対応できる。
この発明において、前記専用フレームは、前記軸受の外周に嵌合する内周面、およびこの内周面の軸方向一端から内径側に突出して前記軸受の側面を受ける受け面を有し、かつ前記面盤の前記フレーム設置孔に嵌合する外周面、およびこの外周面の軸方向一端から突出して前記面盤上に載せられるフランジ部を有していても良い。
専用フレームが軸受の側面を受ける受け面を有すると、専用フレームで試験対象の軸受の軸方向荷重を受けることができる。また、専用フレームが面盤上に載せられるフランジ部を有すると、面盤で専用フレームの軸方向荷重を受けることができる。このため、試験対象の軸受を安定して支持することができる。
この発明において、前記専用フレームとして、前記面盤に対して交換可能に設置されてそれぞれが異なる外径の軸受を嵌合させる複数種類の専用フレームを備えるのが良い。
この場合、試験対象の軸受の外径に合わせて専用フレームを交換することで、外径が異なる複数種類の軸受に対応することができる。
この発明において、前記角度変更用駆動装置とは別に、前記面盤を任意の傾き角度、または所定の傾き角度で前記面盤支持機構に固定する面盤固定機構を設けても良い。
面盤固定機構を設けると、試験中等に面盤の傾き角度が不意に変わることが確実に防げて安全である。
以上のことから、この発明の薄肉大型軸受の試験装置は、CTスキャナ装置の回転架台を支持する軸受の性能評価試験を行うのに好適である。
この発明の薄肉大型軸受の試験装置は、試験対象となる薄肉大型の軸受を設置可能な面盤と、この面盤に設置された軸受の直径線と一致しまたは平行となる傾動中心軸を水平としてこの傾動中心軸回りに前記面盤を傾き可能に支持する面盤支持機構と、前記面盤の傾き角度を変える角度変更用駆動装置と、前記面盤に設置されて前記軸受の内輪を回転させる軸受回転用モータと、前記軸受の内輪に着脱可能に取り付けられて前記軸受にモーメント荷重を生じさせる錘を備え、前記面盤支持機構および前記角度変更用駆動装置は、前記面盤を水平姿勢、垂直姿勢、および傾斜姿勢に渡って変更可能とし、前記面盤に、前記軸受の外周に嵌合し、かつ前記面盤に設けられたフレーム設置孔に嵌合状態に取り付けられる専用フレームを設けたため、試験対象となる薄肉大型の軸受を容易にかつ精度良く設置することができ、軸受を任意の姿勢に傾けて性能評価試験を行うことができ、さらに軸受がモーメント荷重を受ける場合の性能評価試験、並びに偏心荷重を受ける場合の性能評価試験も行うことができる。
この発明の一実施形態にかかる薄肉大型軸受の試験装置の正面図である。 同薄肉大型軸受の試験装置の側面図である。 (A),(B),(C)は同薄肉大型軸受の試験装置のそれぞれ異なる状態を簡略化して表した側面図である。 同薄肉大型軸受の試験装置の面盤固定機構の側面図である。 同面盤固定機構の斜視図にその部分拡大図を加えた図である。 同薄肉大型軸受の試験装置の一部分の破断側面図である。 (A)は同一部分の異なる状態を示す破断側面図、(B)は同一部分のさらに異なる状態を示す破断側面図である。 CTスキャナ装置の一例の断面図である。
この発明にかかる薄肉大型軸受の試験装置の一実施形態を図1〜図7と共に説明する。
図1はこの薄肉大型軸受の試験装置の正面図、図2はその側面図である。この薄肉大型軸受の試験装置1は、面盤2と、面盤支持機構3と、角度変更用駆動装置4と、面盤固定機構5と、軸受設置用の専用フレーム6と、軸受回転機構7と、試験対象の軸受60にモーメント荷重を生じさせる錘58A,58B,58Cとを備える。この試験装置1により性能評価試験される試験対象の軸受60は、例えば図8に示すCTスキャナ装置70のガントリ等の回転架台71を支持するために用いられる薄肉大型の軸受である。薄肉大型の軸受は、例えば深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、4点接触玉軸受、円筒ころ軸受、円すいころ等の転がり軸受である。CTスキャナ装置70については、後で説明する。
図1および図2において、前記面盤2は、薄肉大型の軸受である試験対象の軸受60を設置するものであり、この例では外形が八角形で中央部にフレーム設置孔2a(図6)を有する環状の板状体とされている。
前記面盤支持機構3は、床面Fに設置されるフレーム10と、このフレーム10の上端に設けられた左右一対の傾動支持用軸受機構11とを有し、面盤2の左右の側面から突出する一対の傾動中心軸12を、前記左右一対の傾動支持用軸受機構11でそれぞれ回転自在に支持する。傾動中心軸12の軸心C1は、左右方向に沿った水平状で、かつ面盤2に設置された試験対象の軸受60の直径線と一致する。傾動中心軸12の軸心C1が、試験対象の軸受60の直径線と一致せずに、試験対象の軸受60の直径線と平行であっても良い。この面盤支持機構3により、面盤2が傾動中心軸12の軸心C1回りに傾き可能に支持される。
前記角度変更用駆動装置4は、傾動中心軸12の軸心C1回りの面盤2の傾き角度を変える変更する装置である。角度変更用駆動装置4は、面盤2の左右片側(図の例では右側)の側面に固定された被回転体14と、フレーム10に設けられた回転体15とからなる回転伝達機構16を有し、フレーム10に設けたモータ等の回転駆動源17により回転体15を回転させることで、被回転体14と共に面盤2を傾動させる。回転駆動源17の回転は、ウォーム減速機などの減速機(図示せず)を介して、回転体15に減速して伝達される。被回転体14は、例えば、傾動中心軸12の軸心C1を中心とする扇形の板材の外周にチェーン14aを固定して取り付けたものであり、回転体15は、前記チェーン14aと噛み合う爪15aが外周に形成されたスプロケットである。被回転体14と回転体15は、互いの歯が噛み合う歯車としても良い。
図3に示すように、上記角度変更用駆動装置4により、面盤2を水平姿勢、垂直姿勢、および傾斜姿勢に渡って変更可能である。例えば、同図(A)の垂直姿勢基準にして、同図(B)の前傾35°の姿勢から同図(C)の後傾90°(水平)の姿勢まで、面盤2を姿勢変更することが可能である。なお、CTスキャナ装置70(図8)は、回転架台71(図8)を±30°前後の範囲で傾き変化させて検査を行う。
前記面盤固定機構5は、面盤2を任意の傾き角度、または所定の傾き角度で面盤支持機構3に固定する機構である。面盤固定機構5の一例を図4および図5に示す。この面盤固定機構5は、傾動中心軸12の軸心C1と同心で半径が互いに異なる複数の円弧状のガイド溝20a,20b,20cを有する固定用プレート20が、フレーム10の上に設置されている。そして、この固定用プレート20の各ガイド溝20a,20b,20cに、先端を面盤2の側面に螺入させたねじ軸21A,21B,21Cがそれぞれ挿通されている。各ねじ軸21A,21B,21Cには、これらねじ軸21A,21B,21Cよりも直径の大きい当接部材22が一体に設けられ、この当接部材22に回転操作用レバー23が取り付けられている。回転操作用レバー23を回し操作して、ねじ軸21A(21B,21C)を面盤2にねじ込み、当接部材22を固定用プレート20に強く当接させることにより、当接部材22と固定用プレート20との摩擦力により、固定用プレート20に対して面盤2を固定する。これにより、面盤2が任意の傾き角度に固定する。
上記構成に代えて、ねじ軸21A,21B,21Cを面盤2に固定して設け、ねじ軸21A,21B,21Cに螺着させたナット(図示せず)を締め付けることにより、ナットと固定用プレート20との摩擦力で固定用プレート20に対して面盤2を固定する構成としても良い。図の例では、ガイド溝20a,20b,20cとねじ軸21A,21B,21Cの組み合わせが3組設けられているが、3組に限定しない。また、図の例では、面盤固定機構5が左右にそれぞれ設けられているが、左右いずれか一方だけに設けても良い。
前記専用フレーム6は、面盤2に試験対象の軸受60を設置するためのフレームであり、試験対象の軸受60の外周に嵌合し、かつ面盤2の前記フレーム設置孔2aに嵌合状態に取り付けられる。専用フレーム6は、外径が異なる複数の試験対象の軸受60ごとに、複数種類(例えば3種類)が用意されている。
図6は、複数種類の専用フレーム6のうちの一つの専用フレーム6を用いた試験装置の一部分の破断側面図である。同図に示すように、専用フレーム6は、環状の部材であり、試験対象の軸受60の外周に嵌合する内周面6a、およびこの内周面6aの軸方向一端から内径側に突出して試験対象の軸受60の側面を受ける受け面6bを有する。また、面盤2のフレーム設置孔2aに嵌合する外周面6c、およびこの外周面6cの軸方向一端から突出して面盤2上に載せられるフランジ部6dを有する。
試験対象の軸受60は、外輪60aの外周が専用フレーム6の前記内周面6aに嵌合し、かつ外輪60aの片方の側面が専用フレーム6の前記受け面6bに受けられた状態で、専用フレーム6に保持される。そして、外輪60aに設けられた軸方向のボルト挿通孔61にボルト33を挿通し、そのボルト33のねじ部を、専用フレーム6に設けられたねじ孔34に螺合させることで、外輪60aが専用フレーム6に固定される。前記ボルト挿通孔61およびねじ孔34は、外輪60aおよび専用フレーム6のそれぞれにつき、同心円上の複数箇所に設けられている。
なお、面盤2および専用フレーム6に軸方向の貫通孔(図示せず)を設け、かつ外輪60aにねじ孔(図示せず)を設け、面盤2側から挿入したボルト(図示せず)で専用フレーム6に対して外輪60aを締め付け固定しても良い。但し、取扱い性、取付け性等を考慮すると、この実施形態のように、外輪60a側から挿入したボルト33で専用フレーム6に対して外輪60aを締め付け固定する方が良い。
専用フレーム6は、前記外周面6cが面盤2のフレーム設置孔2aに嵌合し、前記フランジ部6dが面盤2上に載せられた状態で、面盤2に保持される。そして、専用フレーム6に設けられた軸方向のボルト挿通孔36にボルト37を挿通し、そのボルト37のねじ部を面盤2に設けられたねじ孔38に螺合させることで、専用フレーム6が面盤2に固定される。前記ボルト挿通孔36およびねじ孔38は、専用フレーム6および面盤2のそれぞれにつき、同心円上の複数箇所に設けられている。
また、面盤2には、互いに直径が異なる複数(この例では3つ)の同心円上のそれぞれにねじ孔38が設けられている。これら各同心円上のねじ孔38は、複数種類の専用フレーム6のボルト挿通孔36にそれぞれ対応している。図6は、直径が最小の同心円上に設けられたねじ孔38にボルト37を螺合させて、専用フレーム6が面盤2に固定されている状態を示す。この場合の専用フレーム6は、3種類の専用フレーム6のうちの、外径が最も小さい試験対象の軸受60を固定するものである。
外径が中間の試験対象の軸受60が固定される専用フレーム6は、例えば図7(A)に示す断面形状で、直径が中間の同心円上に設けられたねじ孔38にボルト37を螺合させて、専用フレーム6が面盤2に固定される。また、外径が最大の試験対象の軸受60が固定される専用フレーム6は、例えば図7(B)に示す断面形状で、直径が最大の同心円上に設けられたねじ孔38にボルト37を螺合させて、専用フレーム6が面盤2に固定される。いずれの専用フレーム6も、断面形状は互いに異なるが、それぞれ前記内周面6a、受け面6b、外周面6c、およびフランジ部6dを有する。
図1および図2において、前記軸受回転機構7は、面盤2に固定のブラケット51に設置された軸受回転用モータ52の回転を、ベルト伝動装置53を介して試験対象の軸受60の内輪60bに伝達する。ベルト伝動装置53は、軸受回転用モータ52の出力軸52aに取り付けられた駆動側プーリ54と、試験対象の軸受60の内輪60bに固定された従動側プーリ55にベルト56を巻き掛けたものである。従動側プーリ55は、内輪60bと同心に設けられ、図6に示すように、ベルト掛け部55aよりも外径側に張り出した大径部55bでボルト57により内輪60bに固定されている。例えば、この軸受回転機構7により、試験対象の軸受60の内輪60bを毎分400回転程度の回転速度で回転させることが可能である。
従動側プーリ55の試験対象の軸受60の内輪60bと接する面と反対側の面には、内輪60bに対してモーメント荷重を付与するための複数の錘58A,58B,58Cが、ボルト59により重ねて取り付けられている。錘58A,58B,58Cの個々の重量、および取り付ける個数を任意に選ぶことができる。従動側プーリ55および錘58A,58B,58Cを試験対象の軸受60に対して軸方向の同じ側に配置したことにより、試験対象の軸受60にモーメント荷重を効果的に付与することができる。
また、この試験装置1の適正箇所に、試験対象の軸受60に作用するトルク、回転時に発生する振動、熱、音等を検出するためのセンサ(図示せず)が取り付けられる。
この試験装置1の使用方法を説明する。
面盤支持機構3および角度変更用駆動装置4により、面盤2を図3(C)の水平姿勢にする。そして、この水平状態の面盤2のフレーム設置孔2aに、試験対象の軸受60の外周に嵌合させた専用フレーム6を嵌合状態に取り付けることで、試験対象の軸受60を面盤2に設置する。面盤2に専用フレーム6を固定してから、専用フレーム6に試験対象の軸受60を固定しても良く、専用フレーム6に試験対象の軸受60を固定してから、専用フレーム6を面盤2に固定しても良い。いずれの場合も、面盤2が水平姿勢であるため、水平にした専用フレーム6または軸受60を、クレーン等を用いて面盤2に対して上から下ろすだけで良い。専用フレーム6または軸受60を人手で適正姿勢に支えることが不要である。そのため、試験対象の軸受60が薄肉大型の軸受であり大重量であっても、試験対象の軸受60を面盤2上に容易に設置することができる。専用フレーム6が面盤2のフレーム設置孔2aに嵌合し、かつ試験対象の軸受60の外周が専用フレーム6の内周面6aに嵌合するため、面盤2の上面に対する専用フレーム6および試験対象の軸受60の位置ずれが生じることが無く、面盤2の中心Oに試験対象の軸受60を精度良く設置することができる。
面盤2上に試験対象の軸受60を設置した後、試験対象の軸受60の内輪60bに従動側プーリ55および錘58A,58B,58Cを取り付ける。従動側プーリ55および錘58A,58B,58Cは、面盤2上に専用フレーム6を設置する前に、試験対象の軸受60の内輪60bに取り付けておいても良い。最後に、駆動側プーリ54および従動側プーリ55にベルト56を巻き掛けることで、試験準備が完了する。
試験準備が完了したら、面盤2を垂直姿勢または傾斜姿勢にして、試験対象の軸受60の性能評価試験を行う。このとき、面盤固定機構5により、面盤2を決められた傾き角度に固定しておく。それにより、試験中等に面盤2の傾き角度が不意に変わることを確実に防げて安全である。性能評価試験は、試験対象の軸受60の内輪60bを軸受回転用モータ52により回転させ、前記各センサの値を読み取ることで行う。面盤2を任意の傾き角度、または所定の傾き角度に変えることができるので、使用状態に近い状態で試験対象の軸受60の性能評価試験を行うことができる。また、錘58A,58B,58Cにより試験対象の軸受60にモーメント荷重が与えられるので、この軸受60によって回転支持される物体(例えばCTスキャナの回転架台)に検査機器等を取り付けた状態を再現した性能評価試験を行うことができる。
通常の性能評価試験は、錘58A,58B,58Cの重心が面盤2の中心Oと同軸上に位置していて、試験対象の軸受60が偏心荷重を受けない状態で行う。しかし、この試験装置1は、試験対象の軸受60が偏心荷重を受ける状態で性能評価試験を行うこともできる。これは、試験対象の軸受60の外周が専用フレーム6の内周面6aに嵌合しているため、偏心荷重が専用フレーム6を介して面盤2で受けられるからである。
試験対象の軸受60に偏心荷重を与える方法としては、例えば、前記錘58A,58B,58Cの代わりに、重心が面盤2の中心Oからずれた別の錘(図示せず)を用いる方法、前記錘58A,58B,58Cを径方向に偏心させて従動側プーリ55に取り付ける方法、前記錘58A,58B,58Cの円周方向の一部に偏心荷重付加用の錘(図示せず)を着脱可能に取り付ける方法等があり、いずれの方法を採用しても良い。
試験対象の軸受60が偏心荷重を受ける状態で行う性能評価試験の一例として、例えば、試験対象の軸受60に偏心荷重を与えて、内輪60bの振れを計測する試験がある。内輪60bの振れの計測には、例えばダイヤルゲージ(図示せず)が用いられる。その場合、この図の例のように試験対象の軸受60の正面側に錘58A,58B,58Cが設けられていても、面盤2の裏面側から、ダイヤルゲージを面盤2のフレーム設置孔2aおよび環状の専用フレーム6の開口部分に挿入して、内輪60bの振れの計測することができる。
図8に示すCTスキャナ装置70について説明する。このCTスキャナ装置70は、開口部72が設けられた検査部73と、前記開口部72内を移動可能な寝台74とを備える。検査部73は、外周側の固定部75に対して内周側の回転架台71が2個の転がり試験対象の軸受60を介して回転自在に支持されている。回転架台71には、直径方向に対向配置してX線管球76とX線検出器77が搭載されている。患者等の被検査体78を載せた寝台74を検査部73の開口部72内に入れ、X線管球76からX線を照射した状態で、回転架台71を寝台74の周囲で回転させて、被検査体を透過したX線をX線検出器77で検出することにより、被検査体78の断面画像を得る。
1…試験装置
2…面盤
3…面盤支持機構
4…角度変更用駆動装置
5…面盤固定機構
6…専用フレーム
6a…内周面
6b…受け面
6c…外周面
6d…フランジ部
7…軸受回転機構
12…傾動中心軸
52…軸受回転用モータ
58A,58B,58C…錘
60…試験対象の軸受
70…CTスキャナ装置
71…回転架台
C1…傾動中心軸の軸心

Claims (5)

  1. 試験対象となる薄肉大型の軸受を設置可能な面盤と、この面盤に設置された軸受の直径線と一致しまたは平行となる傾動中心軸を水平としてこの傾動中心軸回りに前記面盤を傾き可能に支持する面盤支持機構と、前記面盤の傾き角度を変える角度変更用駆動装置と、前記面盤に設置されて前記軸受の内輪を回転させる軸受回転用モータと、前記軸受の内輪に着脱可能に取り付けられて前記軸受にモーメント荷重を生じさせる錘を備え、
    前記面盤支持機構および前記角度変更用駆動装置は、前記面盤を水平姿勢、垂直姿勢、および傾斜姿勢に渡って変更可能とし、
    前記面盤に、前記軸受の外周に嵌合し、かつ前記面盤に設けられたフレーム設置孔に嵌合状態に取り付けられる専用フレームを設けたことを特徴とする薄肉大型軸受の試験装置。
  2. 請求項1に記載の薄肉大型軸受の試験装置において、前記専用フレームは、前記軸受の外周に嵌合する内周面、およびこの内周面の軸方向一端から内径側に突出して前記軸受の側面を受ける受け面を有し、かつ前記面盤の前記フレーム設置孔に嵌合する外周面、およびこの外周面の軸方向一端から突出して前記面盤上に載せられるフランジ部を有する薄肉大型軸受の試験装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の薄肉大型軸受の試験装置において、前記専用フレームとして、前記面盤に対して交換可能に設置されてそれぞれが異なる外径の軸受を嵌合させる複数種類の専用フレームを備える薄肉大型軸受の試験装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の薄肉大型軸受の試験装置において、前記角度変更用駆動装置とは別に、前記面盤を任意の傾き角度、または所定の傾き角度で前記面盤支持機構を固定する面盤固定機構を設けた薄肉大型軸受の試験装置。
  5. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の薄肉大型軸受の試験装置において、前記軸受はCTスキャナ装置の回転架台を支持する軸受である薄肉大型軸受の試験装置。
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