JP2015183845A - ロックアップクラッチ付きトルクコンバータ - Google Patents
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Abstract
Description
このロックアップクラッチ付きトルクコンバータであって、前記ポンプインペラーに連結された第1ディスクと、前記タービンランナーに連結された第2ディスクと、前記第1ディスクと前記第2ディスクのディスク対向面間に形成された磁気粘性流体層に対する通電により磁場を生成する電磁コイルと、を備える。
前記電磁コイルを、磁場による粘性変化に応じて伝達トルクを発生する前記磁気粘性流体層の径方向内側位置に配置した。
すなわち、コイル内周配置により、電磁コイルの径方向外側位置に配置される磁気粘性流体層の外径が、電磁コイルの断面積を大きくしても変わることがない。このため、トルクコンバータの外径寸法が規定されるとき、磁気粘性流体層によるトルク伝達面積が拡大され、伝達トルクが向上する。
コイル内周配置により、所望のコイル断面積(起磁力=電流×巻き数)を保つとき、コイル巻き線の全長が短くなる。このため、電磁コイルの電気抵抗が減り、消費電力が抑制される。
コイル内周配置により、遠心力に対抗する力が磁気粘性流体の強磁性粒子に働く。このため、磁気粘性流体の粒子分離が抑制される。
この結果、伝達トルクの向上と、消費電力の抑制と、磁気粘性流体の粒子分離抑制と、を併せて達成することができる。
実施例1におけるロックアップクラッチ付きトルクコンバータの構成を、[全体構成]、[MR流体クラッチ構成]に分けて説明する。
図1は、電動車両(ハイブリッド車、電気自動車等)に適用される実施例1のロックアップクラッチ付きトルクコンバータA1を示す。以下、図1に基づき、全体構成を説明する。
以下、図1に基づき、MR流体クラッチ構成を説明する。
前記MR流体クラッチ5は、図1に示すように、第1ディスク51と、第2ディスク52と、磁気粘性流体層53(以下、「MR流体層53」という。)と、電磁コイル54と、ヨーク部55と、クラッチ制御回路56と、を備えている。
実施例1のロックアップクラッチ付きトルクコンバータA1における作用を、[コイル内側配置による比較作用]、[他の特徴作用]に分けて説明する。
まず、電磁コイルをMR流体クラッチの外周位置に配置したコイル外周配置によるロックアップクラッチ付きトルクコンバータを比較例(図2)とする。この比較例の場合は、コイル外周配置であるため、下記に列挙する課題を有する。
コイル外周配置により、図2に示すように、電磁コイル54’の径方向内側位置に配置されるMR流体クラッチ5’の外径L1’が、電磁コイル54’の断面積を大きくするほど短くなる。このため、トルクコンバータの外径寸法がLに規定されているとき、MR流体クラッチ5’によるトルク伝達面積が小さくなる。
コイル外周配置により、図2に示すように、所望のコイル断面積(起磁力=電流×巻き数)を保つとき、コイル巻き線の全長が長くなる。このため、電磁コイル54’の電気抵抗が増し、消費電力が増大する。
コイル外周配置により、遠心力と同じ外径方向の力がMR流体の強磁性粒子に働く。このため、MR流体の強磁性粒子が分離する。
コイル内周配置により、図3に示すように、電磁コイル54の径方向外側位置に配置されるMR流体層53の外径L1が電磁コイル54の断面積を大きくしても変わることなく、かつ、比較例の外径L1’に比べ長く確保できる。このため、トルクコンバータの外径寸法がLに規定されているとき、MR流体層53によるトルク伝達面積が拡大され、伝達トルクが向上する。
更に、MR流体層53は、径方向外側に配置されるので、MR流体層53の径方向幅が同じであっても、トルク伝達面積を拡大することができるし、コンバータ回転軸CLからも遠ざかることからMR流体4のせん断力が同じであっても、伝達するトルクを大きくすることができる。
コイル内周配置により、図3に示すように、所望のコイル断面積(起磁力=電流×巻き数)を保つとき、コイル巻き線の全長が短くなる。このため、電磁コイル54の電気抵抗が減り、消費電力が抑制される。
そして、電磁コイル54が発生する磁界は、コイル電流とその断面によって決まるが、断面が同じであった場合、径方向内側に配置する方が、電磁コイル54の周長を短くして、コイルの容積を小さくすることができる。また、電磁コイル54の材料は、銅等の比重が重い金属である場合が多いが、そのような場合でも径方向内側に配置することで、イナーシャを小さくして制御性を向上することができる。
コイル内周配置により、遠心力に対抗する力(内径方向の力)がMR流体4の強磁性粒子に働く。このため、MR流体4の粒子分離が抑制される。
すなわち、比較例のように、MR流体の粒子分離が発生すると、MR流体層によるトルク伝達面積での径方向伝達トルク分布が内径側ほど低トルクになるというように不均一分布になり、トータル伝達トルクが低下したりばらついたりする。
これに対し、MR流体4の粒子分離が抑制されると、MR流体層53によるトルク伝達面積での径方向伝達トルク分布が内径側から外径側までのトルク変化が抑えられた均一分布になり、トータル伝達トルクが安定して確保される。
実施例1では、第1ディスク51及び第2ディスク52を、それぞれドーナツ盤形状による多層ディスク構造とし、MR流体層53を、コンバータ回転軸CLに直交する面に沿って延在するように複数層形成する構成を採用した。
例えば、円筒状のMR流体層を持つMR流体クラッチとした場合、MR流体層を複数層形成しようとすると、複数の均等隙間を均等にする隙間管理を要し、製造上、多層化が難しくなる。
これに対し、トルク伝達面となるMR流体層53を径方向に延在させたので、MR流体層53を多層化する際、多層ディスク構造による第1ディスク51と第2ディスク52の軸方向隙間を管理するだけで、製造容易性を向上することができる。そして、MR流体層53の多層化によりトルク伝達面が増加し、MR流体クラッチ5の伝達トルク容量の増大要求に応えることができる。
このように、MR流体層53の多層化に際し、製造容易性の向上とコスト低減を達成しながら、MR流体クラッチ5の伝達トルク容量の増大を図ることができる。
例えば、ポンプインペラーの外周端部にそのまま第2ディスクを連結しようとすると、第2ディスクは、径方向外側に向かって延在することになり、更に、その外側に第1ディスクの連結部が設けられることになり、装置全体として径方向のサイズが大きくなってしまい車両搭載性が悪化してしまう。
これに対し、第1ディスク51と第2ディスク52の取り付け範囲が、ポンプインペラー2の外周端部より径方向内側の第1フランジ部57と第2フランジ部58の範囲に規定される。すなわち、第2ディスク52の外周端部が、ポンプインペラー2の外周端部より径方向外側へ突出するのが抑制される。
したがって、ロックアップクラッチ付きトルクコンバータA1の装置全体としての径方向のサイズの大型化が回避され、良好な車両搭載性を確保することができる。
例えば、ヨーク部により囲まれた電磁コイルを別体に形成し、これをコンバータカバーの内面に設ける場合、コンバータカバーが軸方向に突出する。
これに対し、コンバータカバー7の一部に対して一体にカバー兼用のヨーク部55を設けることにより、電磁コイル54をヨーク部55により囲みながらも、コンバータカバー7が軸方向に突出するのが抑制される。
したがって、ロックアップクラッチ付きトルクコンバータA1の装置全体としての軸方向のサイズの大型化が回避され、良好な車両搭載性を確保することができる。
例えば、電磁コイルをタービンライナー側に設けると、タービンライナーはポンプインペラーと共に回転するトルクコンバータカバーに内包されているので、2組のスリップリングを設け、相対回転があっても電流を通電できるようにしなければならない。
これに対し、スリップリング10,10を、ポンプインペラー1の回転軸部9に設け、同じポンプインペラー1側に電磁コイル54を設けているので、1組のスリップリング10,10と電磁コイル54を直接、電気的に接続することができる。
したがって、1組のスリップリング10,10を設けるだけの簡単な構成で、スリップリング10,10と電磁コイル54を電気的に接続することができる。
実施例1のロックアップクラッチ付きトルクコンバータA1にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
前記ポンプインペラー1に連結された第1ディスク51と、
前記タービンランナー2に連結された第2ディスク52と、
前記第1ディスク51と前記第2ディスク52のディスク対向面間に形成された磁気粘性流体層(MR流体層53)に対する通電により磁場を生成する電磁コイル54と、を備え、
前記電磁コイル54を、磁場による粘性変化に応じて伝達トルクを発生する前記磁気粘性流体層(MR流体層53)の径方向内側位置に配置した。
このため、伝達トルクの向上と、消費電力の抑制と、磁気粘性流体(MR流体4)の粒子分離抑制と、を併せて達成することができる。
前記磁気粘性流体層(MR流体層53)を、コンバータ回転軸CLに直交する面に沿って延在するように複数層形成した。
このため、(1)の効果に加え、磁気粘性流体層(MR流体層53)の多層化に際し、製造容易性の向上とコスト低減を達成しながら、MR流体クラッチ5の伝達トルク容量の増大を図ることができる。
前記第2ディスク52の外周端部を、前記ポンプインペラー1の外周端部から前記コンバータカバー7に向かって軸方向に延在する第2フランジ部58の内周面に設けた。
このため、(2)の効果に加え、ロックアップクラッチ付きトルクコンバータA1の装置全体としての径方向のサイズの大型化が回避され、良好な車両搭載性を確保することができる。
前記電磁コイル54を、前記第1フランジ部57の内周側位置であって、前記第1フランジ部57を除く外周部分が前記ヨーク部55により囲まれる位置に配置した。
このため、(1)〜(3)の効果に加え、ロックアップクラッチ付きトルクコンバータA1の装置全体としての軸方向のサイズの大型化が回避され、良好な車両搭載性を確保することができる。
前記電磁コイル54を、前記ポンプインペラー1に連結された前記コンバータカバー7に設けた。
このため、(1)〜(4)の効果に加え、1組のスリップリング10,10を設けるだけの簡単な構成で、スリップリング10,10と電磁コイル54を電気的に接続することができる。
図4は、実施例2のロックアップクラッチ付きトルクコンバータA2を示す。以下、図4に基づき、全体構成を説明する。
前記ロックアップクラッチ付きトルクコンバータA2は、図4に示すように、ポンプインペラー1と、タービンランナー2と、ステータ3と、MR流体4と、MR流体クラッチ5と、永久磁石59と、クラッチ制御回路60と、を備えている。
なお、他の構成は、実施例1の図1と同様であるので、図面に同一符号を付して説明を省略する。
まず、電磁コイル54への通電をゼロにすると、永久磁石59のN極とS極の関係により決まる方向の磁力線により所定の磁場が生成され、この永久磁石59により生成された磁場に応じてMR流体層53の粘性が変化することによりMR流体クラッチ5を介してトルクが伝達される(ノーマルクローズ)。
したがって、電磁コイル54への電気系統が断線フェールになっても、MR流体クラッチ5を介したトルク伝達が確保される。
したがって、電磁コイル54への(+)側通電を徐々に高くしてゆくと、MR流体クラッチ5を介したトルク伝達容量を上乗せすることができる(図5のトルク上乗せ区間)。
したがって、電磁コイル54への(-)側通電を徐々に高くしてゆくと、MR流体クラッチ5を介したトルク伝達容量を減少することができると共に(図5のトルク減少区間)、MR流体クラッチ5をロックアップ開放とすることができる。
なお、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
実施例2のロックアップクラッチ付きトルクコンバータA2にあっては、実施例1の(1)〜(5)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
このため、電磁コイル54への通電をゼロにしても、MR流体クラッチ5を介したトルク伝達を確保するノーマルクローズのMR流体クラッチ5とすることができる。
このため、(6)の効果に加え、MR流体クラッチ5によるロックアップ開放機能を得ることができると共に、MR流体クラッチ5を介したトルク伝達容量の上乗せ機能と減少機能を達成することができる。
1 ポンプインペラー
2 タービンランナー
3 ステータ
4 MR流体(磁気粘性流体)
5 MR流体クラッチ
51 第1ディスク
52 第2ディスク
53 MR流体層(磁気粘性流体層)
54 電磁コイル
55 ヨーク部
56 クラッチ制御回路
57 第1フランジ部
58 第2フランジ部
59 永久磁石
60 クラッチ制御回路
Claims (7)
- 入力軸にコンバータカバーを介して連結されるポンプインペラーと、前記ポンプインペラーに対向配置され、出力軸に連結されるタービンランナーと、内部に封入される磁気粘性流体と、を有し、ロックアップクラッチを、磁気粘性流体を用いたMR流体クラッチにより構成したロックアップクラッチ付きトルクコンバータであって、
前記ポンプインペラーに連結された第1ディスクと、
前記タービンランナーに連結された第2ディスクと、
前記第1ディスクと前記第2ディスクのディスク対向面間に形成された磁気粘性流体層に対する通電により磁場を生成する電磁コイルと、を備え、
前記電磁コイルを、磁場による粘性変化に応じて伝達トルクを発生する前記磁気粘性流体層の径方向内側位置に配置した
ことを特徴とするロックアップクラッチ付きトルクコンバータ。 - 請求項1に記載されたロックアップクラッチ付きトルクコンバータにおいて、
前記第1ディスク及び前記第2ディスクを、それぞれドーナツ盤形状による多層ディスク構造とし、
前記磁気粘性流体層を、コンバータ回転軸に直交する面に沿って延在するように複数層形成した
ことを特徴とするロックアップクラッチ付きトルクコンバータ。 - 請求項1又は2に記載されたロックアップクラッチ付きトルクコンバータにおいて、
前記第1ディスクの内周端部を、前記コンバータカバーから前記タービンランナーに向かって軸方向に延在する第1フランジ部の外周面に設け、
前記第2ディスクの外周端部を、前記ポンプインペラーの外周端部から前記コンバータカバーに向かって軸方向に延在する第2フランジ部の内周面に設けた
ことを特徴とするロックアップクラッチ付きトルクコンバータ。 - 請求項3に記載されたロックアップクラッチ付きトルクコンバータにおいて、
前記コンバータカバーのうち前記磁気粘性流体層が形成される領域を、磁力線経路による磁気回路を構成するヨーク部とし、
前記電磁コイルを、前記第1フランジ部の内周側位置であって、前記第1フランジ部を除く外周部分が前記ヨーク部により囲まれる位置に配置した
ことを特徴とするロックアップクラッチ付きトルクコンバータ。 - 請求項1から4までの何れか一項に記載のロックアップクラッチ付きトルクコンバータにおいて、
前記電磁コイルに電流を印加するスリップリングを、前記出力軸を内包する前記ポンプインペラーの回転軸部に設け、
前記電磁コイルを、前記ポンプインペラーに連結された前記コンバータカバーに設けた
ことを特徴とするロックアップクラッチ付きトルクコンバータ。 - 請求項1から5までの何れか一項に記載のロックアップクラッチ付きトルクコンバータにおいて、
前記磁気粘性流体層の径方向内側位置に、前記磁気粘性流体層に対し所定の磁場を生成する永久磁石を、前記電磁コイルとともに配置した
ことを特徴とするロックアップクラッチ付きトルクコンバータ。 - 請求項6に記載のロックアップクラッチ付きトルクコンバータにおいて、
前記電磁コイルに、コイル電流の流れ方向とコイル電流の大きさを制御するクラッチ制御回路を接続した
ことを特徴とするロックアップクラッチ付きトルクコンバータ。
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JPH01148160U (ja) * | 1988-03-31 | 1989-10-13 | ||
JP2013092204A (ja) * | 2011-10-26 | 2013-05-16 | Jatco Ltd | 磁気粘性流体を用いたトルクコンバータ |
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