JP2015180514A - 空隙形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】摩擦攪拌によって金属部材の内部に空隙を形成する際に、空隙が潰れにくく、かつ、表面欠陥ができにくい空隙形成方法を提供することを課題とする。【解決手段】攪拌ピン3の外周面に螺旋溝3aを刻設し、当該螺旋溝3aが上方から下方に向かうにしたがって右回りとなるように形成し、ショルダー部2の外径を攪拌ピン3の先端の外径で除した値が1.4以上2.2以下となるように設定し、且つ攪拌ピン3の軸方向を法線とする基準面に対する螺旋溝3aの角度を20度以上40度以下に設定し、螺旋溝3aが形成された螺旋溝部12と螺旋溝3aが形成されていない平坦面部11とを攪拌ピン3に形成し、攪拌ピン3の先端から螺旋溝部3aを刻設し、空隙形成用回転ツール1Aを金属部材に対して相対的に移動させる際に、空隙形成用回転ツール1Aを上方からみて右回転させることを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、摩擦攪拌によって金属部材の内部に空隙を形成する空隙形成方法に関する。
特許文献1には、ショルダー部とこのショルダー部の底面に垂下された攪拌ピンとを備えた空隙形成用回転ツールが記載されている。この攪拌ピンの外周面には、ネジ溝が刻設されている。金属部材の内部に空隙を形成する際には、ネジ溝の後退方向に回転させた空隙形成用回転ツールを平板状の金属部材の表面に押し込み、一定の高さを保った状態で金属部材に対して相対的に移動させる。これにより、塑性流動化された金属がネジ溝の螺旋誘導によってショルダー部の底面付近に掻き出されるとともに、掻き出された金属の一部がショルダー部の底面で押えられる。したがって、空隙の上部が摩擦攪拌によって塑性化された金属部材によって覆われるため、金属部材の内部にトンネル状の空隙を形成することができる。
特開平11−47961号公報
しかし、空隙形成用回転ツールの構成によっては、空隙が潰れてしまったり、空隙と金属部材の表面とに連通する孔(以下、「表面欠陥」とも言う)ができたりする可能性があった。
このような観点から、本発明は、摩擦攪拌によって金属部材の内部に空隙を形成する際に、空隙が潰れにくく、かつ、表面欠陥ができにくい空隙形成方法を提供することを課題とする。
このような課題を解決する本発明は、空隙形成用回転ツールを用いて金属部材の内部に空隙を形成する空隙形成方法であって、前記空隙形成用回転ツールは、ショルダー部とこのショルダー部から垂下する攪拌ピンとを有し、前記攪拌ピンの外周面に螺旋溝を刻設し、当該螺旋溝が上方から下方に向かうにしたがって右回りとなるように形成し、前記ショルダー部の外径を前記攪拌ピンの先端の外径で除した値が1.4以上2.2以下となるように設定し、且つ前記攪拌ピンの軸方向を法線とする基準面に対する前記螺旋溝の角度を20度以上40度以下に設定し、前記螺旋溝が形成された螺旋溝部と前記螺旋溝が形成されていない平坦面部とを前記攪拌ピンに形成し、前記攪拌ピンの先端から前記螺旋溝部を刻設し、前記空隙形成用回転ツールを前記金属部材に対して相対的に移動させる際に、前記空隙形成用回転ツールを上方からみて右回転させることを特徴とする。
また、本発明は、空隙形成用回転ツールを用いて金属部材の内部に空隙を形成する空隙形成方法であって、前記空隙形成用回転ツールは、ショルダー部とこのショルダー部から垂下する攪拌ピンとを有し、前記攪拌ピンの外周面に螺旋溝を刻設し、当該螺旋溝が上方から下方に向かうにしたがって左回りとなるように形成し、前記ショルダー部の外径を前記攪拌ピンの先端の外径で除した値が1.4以上2.2以下となるように設定し、且つ前記攪拌ピンの軸方向を法線とする基準面に対する前記螺旋溝の角度を20度以上40度以下に設定し、前記螺旋溝が形成された螺旋溝部と前記螺旋溝が形成されていない平坦面部とを前記攪拌ピンに形成し、前記攪拌ピンの先端から前記螺旋溝部を刻設し、前記空隙形成用回転ツールを前記金属部材に対して相対的に移動させる際に、前記空隙形成用回転ツールを上方からみて左回転させることを特徴とする。
かかる構成によれば、塑性流動化された金属を好適に掻き出すとともに、掻き出された金属をショルダー部の底面で押さえることができるため、空隙が潰れにくく、かつ、金属部材に表面欠陥ができにくい。前記ショルダー部の外径を前記攪拌ピンの先端の外径で除した値が1.4未満であると、掻き出された金属がショルダー部の底面で押えられないため、表面欠陥ができやすい。一方、前記ショルダー部の外径を前記攪拌ピンの先端の外径で除した値が2.2より大きいとショルダー部から金属が掻き出されにくくなるため、金属部材内の空隙が潰れやすい。また、摩擦攪拌装置の主軸モータにかかる負荷が大きくなる。
また、前記攪拌ピンの軸方向を法線とする基準面に対する前記螺旋溝の角度が20度以上40度以下にすることで、空隙がより潰れにくい。前記基準面に対する前記螺旋溝の角度が20度未満であると、角度が浅いためショルダー部から金属が掻き出されにくくなる。また、前記基準面に対する螺旋溝の角度が40度より大きいと、攪拌ピンに対する螺旋溝長さが短くなるので、ショルダー部から金属が掻き出されにくくなる。したがって、いずれの場合も空隙が潰れる可能性がある。また、攪拌ピンの基端側に平坦面部を形成すれば、金属部材の深い位置に大きな空隙を形成することができるとともに、表面欠陥がより形成されにくい。
また、前記攪拌ピンの外周面に前記螺旋溝を一周以上巻き回すことが好ましい。螺旋溝の巻回が一周未満であると、空隙のいずれか一方の側壁に塑性化された金属が残存し、空隙が潰れる可能性があるが、かかる構成によれば、金属がバランスよく塑性流動化されるため、空隙が潰れるのを回避できる。
また、前記ショルダー部の底面に突条を突設し、前記突条を、前記攪拌ピンの周囲に渦巻き状に形成することが好ましい。かかる構成によれば、形成される空隙が比較的整った形状となる。
また、前記攪拌ピンを、先端から基端まで一定の外径で形成することが好ましい。かかる構成によれば、空隙の幅を一定にすることができる。
本発明に係る空隙形成方法によれば、摩擦攪拌によって金属部材の内部に空隙を形成する際に、空隙が潰れにくくなり、かつ、金属部材に表面欠陥ができにくくなる。
本実施形態に係る空隙形成用回転ツールを示す図であって、(a)は側面図、(b)は底面図を示す。 本実施形態に係る空隙形成方法を示す図であって、(a)は側断面図、(b)は(a)のI−I縦断面図を示す。 (a)は第一変形例を示す側面図であり、(b)は第二変形例を示すショルダー部の底面図である。 第三変形例を示す側面図である。 螺旋溝角度試験で用いた空隙形成用回転ツールであって、(a)はツールNO.S1、(b)はツールNO.S2、(c)はツールNO.S3の側面図及び底面図を示す。 螺旋溝角度試験の試験結果を示す金属部材の平面図であって、(a)はツールNO.S1の結果、(b)はツールNO.S2の結果、(c)はツールNO.S3の結果を示す。 (a)は、図6の(a)のII−II断面図、(b)は図6の(b)のII−II断面図、(c)は図6の(c)のII−II断面図である。 螺旋溝角度試験における空隙面積と隙間との関係をツール別に示すグラフである。 螺旋溝角度試験における空隙面積と隙間との関係を移動速度別に示すグラフである。 螺旋溝角度試験における空隙面積と移動速度との関係を隙間別に示すグラフである。 ショルダー部外径試験で用いた空隙形成用回転ツールであって、(a)はツールNO.T1、(b)はツールNO.T2、(c)はツールNO.T3の側面図及び底面図を示す。 ショルダー部外径試験の試験結果を示す金属部材の平面図であって、(a)はツールNO.T1の結果、(b)はツールNO.T2の結果、(c)はツールNO.T3の結果を示す。 (a)は図12の(a)のIII−III断面図、(b)は図12の(b)のIII−III断面図、(c)は図12の(c)のIII−III断面図である。 ショルダー部外径試験における空隙面積と隙間との関係をツール別に示すグラフである。 ショルダー部外径試験における空隙面積と隙間との関係をツール別に示すグラフである。 ショルダー部外径試験における空隙面積とショルダー部の外径との関係を隙間別に示すグラフである。 ショルダー部外径試験における空隙面積とショルダー部の外径との関係を隙間別に示すグラフである。 突条試験で用いた空隙形成用回転ツールであって、(a)はツールNO.S3−1、(b)はツールNO.S3−2、(c)はツールNO.S3−3の側面図及び底面図を示す。 突条試験の試験結果を示す金属部材の断面図であって、(a)はツールNO.S3−1の結果、(b)はツールNO.S3−2の結果、(c)はツールNO.S3−3の結果を示す。 突条試験における空隙面積と隙間との関係をツール別に示すグラフである。 攪拌ピン外径試験で用いた空隙形成用回転ツールであって、(a)はツールNO.U1、(b)はツールNO.U2、(c)はツールNO.U3、(d)はツールNO.U4の側面図及び底面図を示す。 攪拌ピン外径試験の試験結果を示す断面図であって、(a)はツールNO.U1の結果、(b)はツールNO.U2の結果、(c)はツールNO.U3の結果、(d)はツールNO.U4の結果を示す。 攪拌ピン外径試験における空隙面積と隙間との関係をツール別に示すグラフである。 攪拌ピン外径試験における空隙面積と隙間との関係をツール別に示すグラフである。 攪拌ピン外径試験における空隙面積と攪拌ピンの外径との関係を隙間別に示すグラフである。 空隙深さ試験で用いた空隙形成用回転ツールであって、(a)はツールNO.T2、(b)はツールNO.T2−1、(c)はツールNO.T2−2の側面図及び底面図を示す。 空隙深さ試験の試験結果を示す断面図であって、(a)及び(b)はツールNO.T2の結果、(c)及び(d)はツールNO.T2−1の結果を示す。 空隙深さ試験の試験結果を示す断面図であって、(a)及び(b)はツールNO.T2−2の結果を示す。 空隙深さ試験における空隙深さと平坦面部の高さとの関係を隙間別に表したグラフである。 空隙深さ試験における空隙深さと平坦面部の高さとの関係を隙間別に表したグラフである。 空隙深さ試験における空隙面積と隙間との関係を螺旋溝部の高さ別に表したグラフである。 空隙深さ試験における空隙面積と隙間との関係を螺旋溝部の高さ別に表したグラフである。 実施例における各ツールと形成された空隙の状況とを現した表である。 実施例における各ツールと形成された空隙の状況とを現した表である。
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態に係る空隙形成用回転ツール1は、ショルダー部2と、攪拌ピン3とを有する。空隙形成用回転ツール1は、例えば工具鋼等で形成されている。空隙形成用回転ツール1は、金属部材内で回転させつつ移動させることにより、金属部材の内部にトンネル状の空隙を形成するツールである。このツールで形成されたトンネル状の空隙に気体や液体等の流体を流すことで、例えば金属部材を冷却板として利用することができる。
ショルダー部2は、円柱状を呈し、図示しない摩擦攪拌装置に接続される。ショルダー部2の底面2aには、突条2bが形成されている。突条2bは、図1の(b)に示すように、攪拌ピン3の周囲に渦巻き状に形成されている。突条2bの断面形状は特に制限されないが、本実施形態では矩形になっている。突条2bの巻き数は特に制限されないが、本実施形態では約1周半以上巻き回されている。突条2bを備えることにより、摩擦攪拌の際に塑性流動化された金属(母材)が攪拌ピン3の基端側の周囲に流動されやすくなる。
突条2bの開始位置(攪拌ピン3の基端から突条2bの開始位置までの距離P1)や、突条2bのスクロールピッチ(突条2b間距離P2)は、特に制限されるものではなく適宜設定すればよい。また、突条2bは、設けなくてもよい。
攪拌ピン3は、ショルダー部2と同心であってショルダー部2の底面2aに垂下されている。また、攪拌ピン3は、本実施形態では先細りになっている。攪拌ピン3の長さは、特に制限されるものではなく適宜設定すればよい。
本実施形態では、ショルダー部2の外径X1と攪拌ピン3の先端の外径Y2とをX1/Y2=1.4〜2.2となるように設定している。このようにすると摩擦攪拌によって金属部材の内部に空隙を形成する際に、空隙が潰れにくく、かつ、金属部材に表面欠陥ができにくい。また、摩擦攪拌装置に与える負荷を軽減することができる。根拠については後記する。
攪拌ピン3の外周面には、攪拌ピン3の先端から基端まで螺旋溝3aが形成されている。螺旋溝3aは、本実施形態では、ボールエンドミルで溝加工して形成されている。螺旋溝3aの断面形状は特に制限されないが、本実施形態では半円になっている。螺旋溝3aは、本実施形態では上方から下方にたどったときに右回りに形成されている(右ネジ)。
攪拌ピン3の軸方向を法線とする基準面に対する螺旋溝3aの角度(リード角)αは、20〜40度の間で適宜設定されるのが好ましい。螺旋溝3aの角度αが20度未満であると、角度が浅すぎてショルダー部2から塑性流動化された金属が掻き出されにくい。一方、螺旋溝3aの角度αが40度より大きいと、攪拌ピン3に対する螺旋溝3aの長さが短くなるので、ショルダー部2から塑性流動化された金属が掻き出されにくくなる。したがって、いずれの場合も空隙が潰れる傾向がある。
螺旋溝3aの軸方向に対する巻回数は、特に制限されないが、少なくとも一周以上巻き回されていることが好ましい。一周以上巻き回されていると、空隙を大きく形成することができる。螺旋溝3aの巻回数が一周未満であると、攪拌ピン3に対する螺旋溝3aの位置に偏りが生じるため、形成された空隙のいずれか一方の側壁に塑性流動化された金属が残存する可能性がある。
なお、螺旋溝3aは、本実施形態では、前記したように構成したが、上方から下方にたどったときに左回りに形成してもよい(左ネジ)。
次に、本実施形態に係る空隙形成方法について説明する。図2に示すように、本実施形態では、平板状の金属部材Zを加工する場合を例示する。金属部材Zの素材は特に制限されないが、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金等摩擦攪拌可能な金属から選択すればよい。
金属部材Zの上方で空隙形成用回転ツール1を回転させて、金属部材Zの表面Zaに攪拌ピン3を押入し、一定の高さに保った状態で金属部材Zに対して相対的に空隙形成用回転ツール1を移動させる。空隙形成用回転ツール1の回転速度は、特に制限されないが、例えば700〜1300rpmの間で設定する。また、空隙形成用回転ツール1の移動速度は、例えば200mm/min〜400mm/minの間で設定する。ショルダー部2の底面2aと金属部材Zの表面Zaとは当接させつつ移動させてもよいし、隙間をあけて移動させてもよい。ショルダー部2の底面2aと金属部材Zの表面Zaとの隙間(距離)Kは、例えば0〜3.0mmの間で適宜設定すればよい。
図2の(a)に示すように、本実施形態では、上方から下方に向かうにしたがって右回りに螺旋溝3aが形成されているため、空隙形成方法では、上方から見て右回りに空隙形成用回転ツール1を回転させる。つまり、螺旋溝3aによって塑性流動化された金属が金属部材Zの表面Zaに掻き上げられる方向に空隙形成用回転ツール1を回転させつつ移動させる。
ちなみに、螺旋溝3aを上方から下方に向かうにしたがって左回りに形成した場合は、塑性流動化された金属が金属部材Zの表面Zaに巻き上げられる方向、つまり左回りに空隙形成用回転ツール1を回転させる。
空隙形成方法では、空隙形成用回転ツール1によって金属部材Zが摩擦攪拌され、螺旋溝3aによって上方への塑性流動が生じる。これにより、溶融した金属が螺旋溝3aに導かれて金属部材Zの表面Za側に掻き出される。掻き出された金属は、底面2aと接触しつつ、空隙形成用回転ツール1の押圧力によって押さえ込まれる。空隙形成用回転ツール1が通り過ぎた跡には、金属が掻き出されることによって形成されたトンネル状の空隙Mが形成されるとともに、空隙Mの上に塑性化領域Z2が形成される。
ここで、図2の(b)に示すように、摩擦攪拌後の金属部材Zは、本体部Z1と、本体部Z1の内部に形成された空隙Mと、空隙Mの上部を覆う塑性化領域Z2と、で構成される。塑性化領域Z2は、摩擦攪拌によって金属が塑性流動化された後、硬化して形成された部位である。塑性化領域Z2は、本実施形態では断面視逆錐台形状を呈し、空隙Mの上方を覆うように形成される。塑性化領域Z2は、攪拌ピン3によって摩擦攪拌された金属が、ショルダー部2の底面2aによって押さえられることにより形成される。摩擦攪拌された金属のうち、ショルダー部2の底面2aから溢れ出た金属はバリVとなって表面Zaに露出する。バリVは、切削するなどして除去することが好ましい。
空隙Mは、本実施形態では断面視略矩形で形成されている。空隙Mは、本実施形態では、密閉空間となっており、塑性化領域Z2の内部や、本体部Z1と塑性化領域Z2の境界部分に空隙Mに連通する表面欠陥は形成されていない。なお、空隙Mの上端から表面Zaまでの距離を、「空隙深さD」とする。
空隙形成用回転ツール1の形状によっては、金属が好適に掻き出されずに、空隙Mが潰れてしまう可能性がある。一方、金属が掻き出され過ぎて、塑性化領域Z2が薄くなり、塑性化領域Z2の内部や、本体部Z1と塑性化領域Z2の境界部分に空隙Mに連通する表面欠陥が形成されてしまう可能性がある。
しかし、空隙形成用回転ツール1によれば、金属を好適に掻き出すとともに、掻き出された金属をショルダー部2の底面2aで押さえることができるため、空隙Mが潰れにくく、かつ、金属部材Zに表面欠陥ができにくい。また、摩擦攪拌装置に与える負荷を軽減することができる。ショルダー部2の外径X1と攪拌ピン2の先端の外径Y2との比率や螺旋溝の角度αの数値等の条件については実施例で述べる。
また、本実施形態に係る攪拌ピン3は先細り形状であるため、金属部材Zに押入する際の圧入抵抗を小さくすることができる。
<第一変形例>
次に、本発明の第一変形例について説明する。第一変形例に係る空隙形成用回転ツール1Aでは、攪拌ピン3に平坦面部11と螺旋溝部12とを備えている点で前記した実施形態と相違する。
第一変形例に係る攪拌ピン3の外周面には、図3の(a)に示すように、溝が形成されていない平坦面部11と、螺旋溝3aが形成された螺旋溝部12とを有する。平坦面部11の外周面は、平坦になっており、攪拌ピン3の基端から、攪拌ピン3のほぼ中央まで形成されている。
一方、螺旋溝部12の外周面には、先端からほぼ中央まで(平坦面部11まで)螺旋溝3aが形成されている。螺旋溝3aは、少なくとも一周以上巻き回されていることが好ましい。螺旋溝部12の高さH1は、金属部材Zに対する形成予定の隙間Mの深さに応じて適宜設定すればよいが、例えば、高さH1は攪拌ピン3の長さに対して30〜70%(平坦面部11の高さは攪拌ピン3の長さに対して70%〜30%)の長さにするのが好ましい。
図1に示す空隙形成用回転ツール1では、攪拌ピン3の先端から基端まで螺旋溝3aが形成されているため、金属が比較的掻き出されやすく、空隙深さDが比較的小さく(浅く)なる傾向がある。
しかし、第一変形例に係る空隙形成用回転ツール1Aによれば、螺旋溝部12によって金属が掻き出されて空隙Mが形成されるが、平坦面部11で摩擦攪拌される金属はショルダー部2から外部に掻き出されにくい。したがって、塑性化領域Z2の厚みが大きくなるため、空隙深さDを大きく(深く)することができる。これにより、金属部材Zの深い位置に大きな空隙Mを形成することができるとともに、塑性化領域Z2の内部や、本体部Z1と塑性化領域Z2との境界部分に表面欠陥がより形成されにくい。
<第二変形例>
次に、本発明の第二変形例について説明する。図3の(b)に示すように、第二変形例に係る空隙形成用回転ツール1Bでは、ショルダー部2の底面2aに形成された突条2bが断続的に形成されている点で前記した実施形態と相違する。
第二変形例に係る突条2bは、突条2を分断する複数の切欠き部2cを備えている。切欠き部2cを備えることにより、塑性流動化された金属が切欠き部2cを通るため、ショルダー部2の底面2aの半径方向に塑性流動化された金属が流動しやすくなっている。これにより、攪拌ピン3の基端の周囲に金属が集まりやすく、かつ、切欠き部2cから塑性流動化された金属が掻き出されやすくなる。これにより、比較的大きな空隙Mを形成することができる。なお、切欠き部2cの個数や大きさは適宜設定すればよい。
<第三変形例>
次に、本発明の第三変形例について説明する。図4に示すように、第三変形例に係る空隙形成用回転ツール1Cでは、攪拌ピン3の外径が一定である点で前記した実施形態と相違する。
空隙形成用回転ツール1Cの攪拌ピン3の基端の外径Y1と先端の外径Y2は同等になっている。このように攪拌ピン3の外径を一定としてもよい。これにより、空隙形成方法で形成される空隙Mを一定の幅で形成することができる。
以上本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明の趣旨を反しない範囲において適宜設計変更が可能である。
<試験概要>
次に、本発明の実施例について説明する。実施例では、空隙形成用回転ツールを構成する各要素の形状、大きさ、比率等を変化させて空隙形成方法を行い、形成された空隙を観察した。なお、説明の便宜上、空隙形成用回転ツールを以下単に「ツール」ともいう。
実施例では、大きく分けて5種類の試験を行った。ツールの螺旋溝の角度(リード角)の影響を調査する「螺旋溝角度試験」、ショルダー部の外径の影響を調査する「ショルダー部外径試験」、ショルダー部の底面の突条の影響を調査する「突条試験」、攪拌ピンの外径の影響を調査する「攪拌ピン外径試験」、形成された塑性化領域の空隙深さを調査する「空隙深さ試験」を行った。
空隙深さ試験においては、A1050合金板を使用し、他の試験においては、A1100合金板を使用した。攪拌ピンに形成された螺旋溝の断面形状は半円形状を呈し、その半径は1.5mmになっている。突条の開始位置(図1の(b)の距離P1)は3.0mmとし、スクロールピッチ(図1の(b)の距離P2)は2.5mmとした。
空隙形成方法では、前記合金板に回転させたツールを押入し、所定の距離を移動させた。ツールの回転数は800RPMを基本とし、空隙深さ試験では1275RPMでも摩擦攪拌を行ってツールの回転数の影響についても調査した。
ツールの移動速度は100mm/min又は、300mm/minで移動させた。また、螺旋溝角度試験においては、移動速度を50〜300mm/minの間で変化させて移動速度との影響についても調査した。
さらに、各試験において、金属部材の表面からショルダー部の底面までの隙間(図2の(a)の距離K)を0mm、1.0mm、2.0mm、3.0mmと変化させ、単一の金属部材上で摩擦攪拌を行ってそれぞれ形成された空隙を比較した。いずれの合金板(試験体)においても、合金板の中央部を切断して、研磨、エッチングした後、形成された空隙の形状を観察した。また、画像装置を用いて形成された空隙の断面積を計測した。
<螺旋溝角度試験>
螺旋溝角度試験では、攪拌ピン3の螺旋溝3aの角度の影響を調査した。図5に示すように、この試験では三種類のツールNO.S1〜S3を使用した。螺旋溝3aの水平面との角度を、ツールNO.S1では40度、ツールNO.S2では30度、ツールNO.S3では20度に設定した。また、各ツールの螺旋溝の攪拌ピン3の軸方向に対する巻回数は、ツールNO.S1では約0.8周、ツールNO.S2では約1.3周、ツールNO.S3では約2.3周になっている。
螺旋溝3aの角度以外の構成は、三種類とも同等であって、ショルダー部2の外径は22mm、攪拌ピン3の基端の外径は10mm、先端の外径は7mm、攪拌ピン3の長さは11mmに設定した。また、いずれのツールもショルダー部2の底面2aに、渦巻き状の突条2bを備えている。突条2bの高さは1mmとした。
図6は、螺旋溝角度試験の試験結果を示す金属部材の平面図であって、(a)はツールNO.S1の結果、(b)はツールNO.S2の結果、(c)はツールNO.S3の結果を示す。図6の(a)、(b)、(c)とも金属部材Z(本体部Z1)の表面Zaに四本の塑性化領域Z2が形成されている。塑性化領域Z2は、図面の上から順番に、金属部材Zの表面Zaからショルダー部2の底面2aまでの隙間が0mmの場合、1.0mmの場合、2.0mmの場合、3.0mmの場合の結果を示している。
図7の(a)は、図6の(a)のII−II断面図、(b)は図6の(b)のII−II断面図、(c)は図6の(c)のII−II断面図である。
図6の(a)〜(c)に示すように、隙間0mm、1.0mmの条件では、ショルダー部2の底面2aの全面が塑性流動化された金属と接触して大きなバリVが発生している。隙間2.0mmでは、ショルダー部2の底面2aの全面が塑性流動化された金属と接触しているが、バリVが比較的少なかった。隙間3.0mmでは、塑性流動化して形成された塑性化領域Z2の幅が、ショルダー部2の外径X1(図1の(a)参照)よりも短かった。
ここで、図6及び図7に示すように、ツールの回転速度にツールの移動速度が加算される側を「Advancing side」(以下、「Ad側」とも言う)、ツールの回転速度にツールの移動速度が減算される側を「Retreating side」(以下、「Re側」とも言う)とする。本実施形態では、ツールを右回転させつつ、図6の左から右方向に移動させているため、進行方向左側がAd側、右側がRe側となる。
図7の(a)に示すように、ツールNO.S1における空隙Mは、縦に細長い矩形状を呈する。塑性化領域Z2は、空隙Mの上方を覆っているが、その一部は空隙MのRe側の側壁に残存している。
一方、ツールNO.S2及びツールNO.S3において、隙間1.0〜3.0の条件では、略同一形状の空隙Mが形成されており、空隙Mの側壁には塑性流動化された金属が残存せずに、外部に排出されている。
ツールNO.S1〜S3では、隙間が大きくなるにしたがって、空隙Mの高さ位置が金属部材Zの上方に移動するとともに、空隙Mの高さも大きくなることがわかった。また、ツールNO.S1〜S3で隙間が大きくなるにしたがって、塑性化領域Z2の断面積が小さくなり、空隙Mの上端から金属部材Zの表面Zaまでの空隙深さDが小さくなることが分かった。
また、ツールNO.S2及びツールNO.S3では、形成された空隙Mの幅と攪拌ピン2の先端の外径は略同等であったが、ツールNO.S1では、形成された空隙の幅は攪拌ピン2の先端の外径よりも小さかった。図7の(a)に示すように、空隙MのRe側の側壁に塑性化領域Z2の一部が残存している。これは、NO.S1ツールの螺旋溝3aの角度と巻回数に起因すると考えられる。
ツールNO.S1は、螺旋溝3aの角度が40度と深いため、攪拌ピン3に対する螺旋溝の長さが短い。したがって、塑性流動化された金属が排出されにくいと考えられる。また、ツールNO.1では、螺旋溝3aの巻回数が一周未満であるため、攪拌ピン3に対する螺旋溝3aの位置に偏りが生じている。このため、形成された空隙Mの一方の側壁(ここではRe側)に塑性化された金属が残存すると考えられる。
図8は、螺旋溝角度試験における空隙面積と隙間との関係をツール別に示すグラフである。図7及び図8に示すように、ツールNO.S2及びツールNO.S3で形成した空隙Mの空隙面積は、略同等であったが、ツールNO.S1で得られた空隙面積は、ツールNO.S2及びツールNO.S3の空隙面積よりも小さかった。
また、図8に示すように、ツールNO.S1〜S3で隙間が増加するにしたがって、空隙面積(空隙Mの断面積)が増加した。要するに、金属部材Zからツールを離して、塑性流動化された金属を掻き出しやすくすると、空隙Mの空隙面積を大きくすることができることがわかった。ツールNO.S1〜S3とも空隙面積の増加割合(グラフの傾き)は、約7mm/mmであって攪拌ピン3の先端の外径と略同等になった。
図9は、螺旋溝角度試験における空隙面積と隙間との関係を移動速度別に示すグラフである。ツールNO.S1〜S3ともに略同様な結果となったので、図9では代表例としてツールNO.S2の結果を示している。
図10は、螺旋溝角度試験における空隙面積と移動速度との関係を隙間別に示したグラフである。図10では、ツールNO.S3で得られた空隙面積と移動速度との関係を示している。
図9及び図10から明らかなように、空隙面積は、移動速度の変化によってはさほど影響を受けないことがわかった。
<ショルダー部外径試験>
ショルダー部外径試験では、ショルダー部2の外径の影響を調査した。図11に示すように、この試験では三種類のツールNO.T1〜T3を使用した。ショルダー部2の外径を、ツールNO.T1では20mm、ツールNO.T2では18mm、ツールNO.T3では16mmに設定した。ショルダー部2の外径以外の構成は、三種類とも同等であって、攪拌ピン3の基端の外径は10mm、先端の外径は7mm、攪拌ピン3の長さは11mmに設定した。また、いずれのツールもショルダー部2の底面2aに、渦巻き状の突条2bを備えている。突条2bの高さは1mmとした。
図12は、ショルダー部外径試験の試験結果を示す金属部材の平面図であって、(a)はツールNO.T1の結果、(b)はツールNO.T2の結果、(c)はツールNO.T3の結果を示す。また、図13の(a)は図12の(a)のIII−III断面図、(b)は図12の(b)のIII−III断面図、(c)は図12の(c)のIII−III断面図である。なお、図5の(c)に示すように、前記したツールNO.S3は、ショルダー部2の外径が22mmであり、他の構成がツールNO.T1〜T3と同等であるので、図6の(c)、図7の(c)とも対比して考察する。
ショルダー部2の外径を小さくすることによって、隙間が2.0mmであってもショルダー部2の底面2aに塑性流動化された金属が接触してRe側からバリVが多く排出されていることがわかった。隙間3.0mmでは、Re側にバリVが排出されているが、ツールNO.T1、ツールNO.T3で塑性化領域Z2の金属が不足して空隙Mに連通する表面欠陥Eが形成された。
一方、ショルダー部2の外径が小さくなるにしたがって、空隙Mの高さが増加した。ショルダー部2の外径を小さくすることにより、ショルダー部2の底面2aによって押えられる金属が減少する。このため、塑性流動化された金属が掻き出されやすくなり、空隙Mの高さの増加に繋がったと考えられる。
図14及び図15は、いずれもショルダー部外径試験における空隙面積と隙間との関係をツール別に示すグラフであって、図14は移動速度を100mm/min、図15は移動速度を300mm/minに設定した場合の結果を示している。
図14及び図15に示すように、全てのツールで隙間が大きくなるにしたがって、空隙面積が増加した。要するに、金属部材Zからツールを離して、塑性流動化された金属を掻き出しやすくすると、空隙Mの空隙面積を大きくすることができることがわかった。ツールNO.S3、ツールNO.T1〜T3とも空隙面積の増加割合(増加の傾き)は、約7mm/mmであり攪拌ピン3の先端の外径と同等になった。
図16及び図17は、いずれもショルダー部外径試験における空隙面積とショルダー部の外径との関係を隙間別に示すグラフであって、図16は移動速度を100mm/min、図17は移動速度を300mm/minに設定した場合の結果を示している。
図16及び図17に示すように、隙間2.0mmの条件では、ショルダー部2の外径が22mmで得られた空隙面積と、ショルダー部2の外径が20mmで得られた空隙面積とが略同等であった。ショルダー部2の外径が20mmから16mmの範囲では、ショルダー部2の外径が減少するにしたがって、空隙面積が増加した。空隙面積の増加割合(増加の傾き)は、約5mm/mmであった。
図16に示すように、移動速度が100mm/minで隙間3.0mmの条件では、ショルダー部2の外径が22mmから16mmの範囲でショルダー部2の外径が小さくなるにしたがって、空隙面積が直線的に増加した。これは、ショルダー部2の外径が小さくなるにしたがってショルダー部2からの加圧が減少して、排出される金属が増加するためであると考えられる。
一方、図17に示すように、移動速度が300mm/minの条件で隙間3.0mmの条件では、ショルダー部2の外径が16mm、18mmで塑性化領域に表面欠陥が発生したので空隙面積が減少した。
<突条試験>
突条試験では、ショルダー部2の底面2aに形成された突条2bの影響を調査した。図18に示すように、この試験では三種類の空隙形成用回転ツールツールNO.S3−1〜S3−3を使用した。突条2bの切欠き部2cの幅を、ツールNO.S3−1では2mm、ツールNO.S3−2では6mmに設定した。ツールNO.S3−3では突条を設けていない。突条2b以外の構成は、三種類とも同等であって、ショルダー部2の外径は22mm、攪拌ピン3の基端の外径は10mm、先端の外径は7mm、攪拌ピンの長さは11mmに設定した。
図19は、突条試験の試験結果を示す金属部材の断面図であって、(a)はツールNO.S3−1の結果、(b)はツールNO.S3−2の結果、(c)はツールNO.S3−3の結果を示す。図20は、突条試験における空隙面積と隙間との関係をツール別に示すグラフである。なお、図5の(c)に示すように、前記した空隙形成用回転ツールツールNO.S3は、切欠き部2cの無い突条2bを備えており、他の構成がツールNO.S3−1〜S3−3と同等であるので、図6の(c)、図7の(c)とも対比して考察する。
図7の(c)、図19の(a)及び図20に示すように、ツールNO.3、ツールNO.3−1及びツールNO.3−3との空隙面積は略同等であった。ツールNO.3の結果とツールNO.3−3の結果とを対比すると、突条2bの有無では空隙面積の結果に影響が無いことがわかった。しかし、図7の(c)と図19の(c)を対比すると、突条2bを有するツールNO.3の空隙Mの方が、形状が整っていることがわかった。これは、突条2bがあることで、攪拌ピン3の基端側の周囲に塑性流動化された金属が集まりやすいことに起因すると考えられる。
ツールNO.3−2のように、切欠き部2cの長さが6mmとその長さが比較的大きいと、空隙面積も大きかった。これは、切欠き部2cの長さが大きいと、塑性流動化された金属がショルダー部2の底面2aの半径方向に流れやすくなり、この金属が掻き出されやすくなることに起因すると考えられる。
<攪拌ピン外径試験>
攪拌ピン外径試験では、攪拌ピン3の外径を一定にしつつ、外径の大きさを可変させて攪拌ピン3の外径の影響を調査した。図21に示すように、この試験では4種類の空隙形成用回転ツールツールNO.U1〜U4を使用した。攪拌ピン3の外径を、ツールNO.U1では10mm、ツールNO.U2では12mm、ツールNO.U3では14mm、ツールNO.U4では16mmに設定した。攪拌ピン3の外径以外の構成は、四種類とも同等であって、ショルダー部2の外径は22mm、攪拌ピン3の長さは11mmに設定した。また、いずれのツールもショルダー部2の底面2aに、渦巻き状の突条2bを備えている。突条2bの高さは1mmとした。
図22の(d)に示すように、ツールNO.U4の隙間3.0mmの条件では、表面欠陥Eができることがわかった。図22及び図23に示すように、ツールNO.U1〜U4で隙間が大きくなるにしたがって空隙面積も大きくなることがわかった。ツールNO.U1〜U3の空隙面積の増加割合(グラフの傾き)は、それぞれのツールの攪拌ピン3の外径に近い値となった。
つまり、ツールNO.U1の空隙面積の増加割合(グラフの傾き)は図23では10mm/mm、図24では10.7mm/mm、ツールNO.U2の空隙面積の増加割合は図23では12.6mm/mm、図24では12.5mm/mm、ツールNO.U3の空隙面積の増加割合は図23では13.7mm/mm、図24では14.4mm/mmであった。これは、各ツールとも隙間を1mm大きくすると、攪拌ピン3の外径分空隙Mが増えることになるため、形成される空隙面積も攪拌ピン3の外径分大きくなると考えられる。
なお、図23及び図24に示すように、移動速度の差異は、空隙面積には影響しないことがわかった。また、図25に示すように、攪拌ピン3の外径が大きくなるにしたがって、空隙面積も増加するが、その増加傾向は二次関数的であることがわかった。
<空隙深さ試験>
空隙深さ試験では、図3の(a)に示すように、螺旋溝3aが形成されていない平坦面部11を備えた空隙形成用回転ツールを用いて、形成される空隙Mの深さ位置を調査した。図26に示すように、この試験では3種類の空隙形成用回転ツールを使用した。ツールNO.T2は、比較例であって図11の(b)で示すツールと同等である。
図27の(a)に示すように、ツールNO.T2の螺旋溝部12の高さは、攪拌ピン3の長さと同等であって11.0mmである。図27の(c)に示すように、ツールNO.T2−1の平坦面部11の高さは3.5mm、螺旋溝部12の高さは7.5mmである。図28の(a)に示すように、ツールNO.T2−2の平坦面部11の高さは6.0mm、螺旋溝部12の高さは5.0mmである。
螺旋溝部12の高さ以外の構成は、三種類とも同等であって、ショルダー部2の外径は18mm、攪拌ピン3の基端の外径は10mm、先端の外径は7mmとした。いずれのツールもショルダー部2の底面2aに、渦巻き状の突条2bを備えている。突条2bの高さは1mmとした。なお、空隙深さ試験では、金属部材Zの表面Zaからショルダー部2の底面2aまでの隙間は0mm、1.0mm、2.0mmの三種類とした。また、各ツールにおいて、800RPMと1275RPMの二種類の回転数で試験を行った。
図27は、空隙深さ試験の試験結果を示す断面図であって、(a)及び(b)はツールNO.T2の結果、(c)及び(d)はツールNO.T2−1の結果を示す。図28は、空隙深さ試験の試験結果を示す断面図であって、(a)及び(b)はツールNO.T2−2の結果を示す。図29は、空隙深さ試験における空隙深さと平坦面部の高さとの関係を隙間別に表したグラフである。図30は、空隙深さ試験における空隙深さと平坦面部の高さとの関係を隙間別に表したグラフである。図29と図30とはツールの回転数が相違し、図29に係る試験の回転数は800RPM、図30に係る試験の回転数は1275RPMである。
図29及び図30に示すように、平坦面部11の高さ(攪拌ピン3の長さ−螺旋溝部12の高さ)が大きくなるほど、空隙深さDも大きくなることがわかった。また、隙間が小さくなるほど空隙深さDが大きくなることがわかった。図29と図30とを対比すると、ツールの回転数が高い方が空隙深さDが若干大きくなることがわかった。
図31は、空隙深さ試験における空隙面積と隙間との関係を螺旋溝部の高さ別に表したグラフである。図32は、空隙深さ試験における空隙面積と隙間との関係を螺旋溝部の高さ別に表したグラフである。図31と図32とはツールの回転数が相違し、図31に係る試験の回転数は800RPM、図32に係る試験の回転数は1275RPMである。
図31,32及び図27,28に示すように、螺旋溝部11の高さが大きくなるほど、空隙面積が大きくなることがわかった。図31と図32とを対比すると、ツールの回転数は空隙面積の増減にはほぼ影響がないことがわかった。
以上より、空隙試験によると、平坦面部11の高さを大きくすると、空隙Mを深い位置に形成することができることがわかった。一方、平坦面部11の高さを大きくしすぎると、空隙Mの空隙面積が小さくなってしまうことがわかった。
<ショルダー部の外径/攪拌ピンの先端の外径と試験結果との対比>
図33及び図34は、実施例における各ツールと形成された空隙の状況とを現した表である。「状況」の項目の「○」は空隙Mの状態が良好を示し、「×」は表面欠陥Eが発生している状態を示す。
図33及び図34に示すように、ショルダー部の外径を攪拌ピンの先端の外径で除した値は1.4〜2.2である場合に、表面欠陥Eが発生せず、空隙Mの状態が概ね良好であった。この値が1.4未満であると、掻き出された金属がショルダー部2の底面2aで押えられないため、表面欠陥Eができやすい。一方、この値が2.2よりも大きいとショルダー部2から塑性流動化された金属が掻き出されにくくなるため、空隙が潰れやすい。また、この値が、2.2よりも大きいと摩擦攪拌装置の主軸モータにかかる負荷が大きくなるため好ましくない。
1 空隙形成用回転ツール
2 ショルダー部
2a 底面
2b 突条
2c 切欠き部
3 攪拌ピン
3a 螺旋溝
D 空隙深さ
K 隙間
M 空隙
V バリ
Z 金属部材
Z1 本体部
Z2 塑性化領域
Za 表面

Claims (5)

  1. 空隙形成用回転ツールを用いて金属部材の内部に空隙を形成する空隙形成方法であって、
    前記空隙形成用回転ツールは、
    ショルダー部とこのショルダー部から垂下する攪拌ピンとを有し、
    前記攪拌ピンの外周面に螺旋溝を刻設し、当該螺旋溝が上方から下方に向かうにしたがって右回りとなるように形成し、
    前記ショルダー部の外径を前記攪拌ピンの先端の外径で除した値が1.4以上2.2以下となるように設定し、且つ前記攪拌ピンの軸方向を法線とする基準面に対する前記螺旋溝の角度を20度以上40度以下に設定し、前記螺旋溝が形成された螺旋溝部と前記螺旋溝が形成されていない平坦面部とを前記攪拌ピンに形成し、前記攪拌ピンの先端から前記螺旋溝部を刻設し、
    前記空隙形成用回転ツールを前記金属部材に対して相対的に移動させる際に、前記空隙形成用回転ツールを上方からみて右回転させることを特徴とする空隙形成方法。
  2. 空隙形成用回転ツールを用いて金属部材の内部に空隙を形成する空隙形成方法であって、
    前記空隙形成用回転ツールは、
    ショルダー部とこのショルダー部から垂下する攪拌ピンとを有し、
    前記攪拌ピンの外周面に螺旋溝を刻設し、当該螺旋溝が上方から下方に向かうにしたがって左回りとなるように形成し、
    前記ショルダー部の外径を前記攪拌ピンの先端の外径で除した値が1.4以上2.2以下となるように設定し、且つ前記攪拌ピンの軸方向を法線とする基準面に対する前記螺旋溝の角度を20度以上40度以下に設定し、前記螺旋溝が形成された螺旋溝部と前記螺旋溝が形成されていない平坦面部とを前記攪拌ピンに形成し、前記攪拌ピンの先端から前記螺旋溝部を刻設し、
    前記空隙形成用回転ツールを前記金属部材に対して相対的に移動させる際に、前記空隙形成用回転ツールを上方からみて左回転させることを特徴とする空隙形成方法。
  3. 前記攪拌ピンの外周面に前記螺旋溝を一周以上巻き回すことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空隙形成方法。
  4. 前記ショルダー部の底面に突条を突設し、
    前記突条を、前記攪拌ピンの周囲に渦巻き状に形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の空隙形成方法。
  5. 前記攪拌ピンを、先端から基端まで一定の外径で形成することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の空隙形成方法。
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