以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、画像形成出力による出力結果を読み取った読取画像とマスター画像とを比較することにより出力結果を検査する検査装置を含む画像検査システムにおいて、記録媒体である用紙の両面に画像が形成される場合に、画像の裏写りによる検査精度の低下を回避するための機能について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成システムの全体構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成システムは、DFE(Digital Front End)1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3、検査装置4及びインタフェース端末5を含む。
DFE1は、受信した印刷ジョブ、即ち画像形成出力の命令に基づいて印刷出力するべき画像データ、即ち出力対象画像であるビットマップデータを生成し、生成したビットマップデータをエンジンコントローラ2に出力する画像処理装置である。
また、本実施形態に係るDFE1は、印刷ジョブにおいて指定されている記録媒体である用紙に関する情報(以降、「用紙情報」とする)を検査装置4における適切な検査のために出力する機能を有する。この用紙情報には、裏写りのし易さを示す用紙の透過率の情報が含まれる。DFE1からの用紙情報の送信は、検査装置4が透過率の情報を取得する方法の一態様である。尚、本実施形態に係る透過率は、記録媒体である用紙の一方の面に形成された画像が他方の面に透ける割合を示す数値である。
エンジンコントローラ2は、DFE1から受信したビットマップデータに基づいてプリントエンジン3を制御して画像形成出力を実行させる。また、エンジンコントローラ2は、DFE1から受信したビットマップデータを、プリントエンジン3による画像形成出力の結果を検査装置4が検査する際に参照するための検査用画像の元となる情報として検査装置4に送信する。
プリントエンジン3は、エンジンコントローラ2の制御に従い、ビットマップデータに基づいて記録媒体である用紙に対して画像形成出力を実行する画像形成装置である。尚、記録媒体としては、上述した用紙の他、フィルム、プラスチック等のシート状の材料で、画像形成出力の対象物となるものであれば採用可能である。
また、本実施形態に係るプリントエンジン3は、画像形成出力において用いられる記録媒体の透過率を測定する機能を有する。プリントエンジン3は、記録媒体の透過率を測定した場合、その測定結果を検査装置4に送信する。プリントエンジン3による透過率の測定は、検査装置4が透過率の情報を取得する方法の一態様である。
検査装置4は、エンジンコントローラ2から入力されたビットマップデータに基づいてマスター画像を生成する。そして、検査装置4は、プリントエンジン3が出力した用紙を読取装置で読み取って生成した読取画像を上記生成したマスター画像と比較することにより、出力結果の検査を行う画像検査装置である。
本実施形態に係る検査装置4は、上述した読取画像を解析することにより用紙の特徴を取得し、上述した用紙情報が用紙の種類別に管理されているデータベースを検索して用紙の透過率を取得する機能を有する。この機能が、検査装置4が透過率の情報を取得する方法の一態様である。
そして、本実施形態に係る検査装置4は、上述した様々な態様のいずれかにより取得した透過率の情報に基づき、読取画像における裏写りの影響を考慮したマスター画像を生成することにより、裏写りの影響を考慮した比較検査を行う。このような制御が本実施形態に係る要旨の1つである。
検査装置4は、出力結果に欠陥があると判断した場合、その判断結果をDFE1やエンジンコントローラ2に通知する。これにより、欠陥ページの再印刷の制御や印刷ジョブの中断制御などが行われる。
インタフェース端末5は、検査装置4による欠陥判定結果を確認するためのGUI(Graphical User Interface)や、検査におけるパラメータを設定するためのGUIを表示するための情報処理端末であり、PC(Personal Computer)等の一般的な情報処理端末によって実現される。
ここで、本実施形態に係るDFE1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3、検査装置4及びインタフェース端末5を構成するハードウェアについて、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る検査装置4のハードウェア構成を示すブロック図である。図2においては、検査装置4のハードウェア構成を示すが、他の装置についても同様である。
図2に示すように、本実施形態に係る検査装置4は、一般的なPC(Personal Computer)やサーバ等の情報処理装置と同様の構成を有する。即ち、本実施形態に係る検査装置4は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス90を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60、操作部70及び専用デバイス80が接続されている。
CPU10は演算手段であり、検査装置4全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。
I/F50は、バス90と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザが検査装置4の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボードやマウス等、ユーザが検査装置4に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
専用デバイス80は、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3及び検査装置4において、専用の機能を実現するためのハードウェアであり、プリントエンジン3の場合は、画像形成出力対象の用紙を搬送する搬送機構や、紙面上に画像形成出力を実行するプロッタ装置である。また、エンジンコントローラ2、検査装置4の場合は、高速に画像処理を行うための専用の演算装置である。このような演算装置は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成される。また、紙面上に出力された画像を読み取る読取装置も、専用デバイス80によって実現される。
このようなハードウェア構成において、ROM30に格納されているプログラムや、HDD40若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体からRAM20に読み出されたプログラムに従ってCPU10が演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係るDFE1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3、検査装置4及びインタフェース端末5の機能を実現する機能ブロックが構成される。
図3は、本実施形態に係るDFE1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3及び検査装置4の機能構成を示すブロック図である。図3においては、データの送受信を実線で、用紙の流れを破線で示している。図3に示すように、本実施形態に係るDFE1は、ジョブ情報処理部101、RIP処理部102及びタグビット処理部103を含む。また、エンジンコントローラ2は、データ取得部201、エンジン制御部202、ビットマップ送信部203を含む。また、プリントエンジン3は、印刷処理部301を含む。また、検査装置4は、読取装置400、読取画像取得部401、マスター画像処理部402、検査制御部403及び比較検査部404を含む。
ジョブ情報処理部101は、DFE1外部からネットワークを介して入力される印刷ジョブや、オペレータの操作によりDFE1内部に格納された画像データに基づいて生成される印刷ジョブに基づき、画像形成出力の実行を制御する。画像形成出力の実行に際して、ジョブ情報処理部101は、印刷ジョブに含まれる画像データに基づき、RIP処理部102にビットマップデータを生成させる。また、ジョブ情報処理部101は、印刷ジョブにおいて用紙が指定されている場合には、その用紙の用紙情報を検査装置4に送信する機能を有する。
図4は、本実施形態に係る用紙情報の例を示す図である。図4に示すように、本実施形態に係る用紙情報は、“用紙種類”、“読取平均値”、“読取標準偏差”、“用紙透過率”、“用紙サイズ”、“用紙サイズ補正情報”及び“色変換テーブル”の情報を含む。
“用紙種類”は、用紙の種類を示す情報である。“読取平均値”は、画像形成されていない用紙の無地の状態を読み取った読取値の平均値である。“読取標準偏差”は、用紙の無地の状態を読み取った読取値のバラつきを標準偏差として計算した値である。
“用紙透過率”は、用紙の裏写りのし易さを示す値であり、裏写りによって影響する濃度の割合を示す値である。この値に基づき、検査装置4において裏写りを考慮したマスター画像が生成される。“用紙サイズ”は、用紙のサイズを示す情報である。用紙情報に含まれる“用紙透過率”は、用紙の種類毎に一律の値である。
“用紙サイズ補正情報”は、検査装置4におけるマスター画像生成において、用紙の種類に合わせて解像度を変換する際に用いられる係数である。“色変換テーブル”は、検査装置4におけるマスター画像生成において、用紙の種類に合わせて色調を変換するための情報であり、変換前の階調値と変換後の階調値とが夫々関連付けられたテーブルである。
RIP処理部102は、ジョブ情報処理部101の制御に従い、印刷ジョブに含まれる画像データに基づいてプリントエンジン3が画像形成出力を実行するためのビットマップデータを生成する。ビットマップデータは、画像形成出力するべき画像を構成する各画素の情報である。
本実施形態に係るプリントエンジン3は、CMYK(Cyan,Magenta,Yellow,blacK)各色二値の画像に基づいて画像形成出力を実行する。これに対して、一般的に、印刷ジョブに含まれる画像のデータは、一画素が256階調等の多階調で表現された多値画像である。そのため、RIP処理部102は、印刷ジョブに含まれる画像データを多値画像から少値画像に変換して、CMYK各色二値の600dpiのビットマップデータを生成し、エンジンコントローラ2に送信する。
データ取得部201は、DFE1から入力されるビットマップデータを取得し、エンジン制御部202及びビットマップ送信部203夫々を動作させる。エンジン制御部202は、データ取得部201から転送されたビットマップデータに基づき、プリントエンジン3に画像形成出力を実行させる。ビットマップ送信部203は、データ取得部201が取得したビットマップデータを、マスター画像生成の為に検査装置4に送信する。
印刷処理部301は、エンジンコントローラ2から入力されるビットマップデータを取得し、印刷用紙に対して画像形成出力を実行し、印刷済みの用紙を出力する画像形成部である。本実施形態に係る印刷処理部301は、電子写真方式の一般的な画像形成機構によって実現されるが、インクジェット方式等の他の画像形成機構を用いることも可能である。また、本実施形態に係る印刷処理部301は、画像形成出力において用いられる用紙の透過率を測定する機能を有する。
読取装置400は、印刷処理部301によって印刷が実行されて出力された印刷用紙の紙面上に形成された画像を読み取り、読取画像を出力する画像読取部である。読取装置400は、例えば印刷処理部301によって出力された印刷用紙の、検査装置4内部における搬送経路に設置されたラインスキャナであり、搬送される印刷用紙の紙面上を走査することによって紙面上に形成された画像を読み取る。
読取装置400によって生成された読取画像が検査装置4による検査の対象となる。読取画像は、画像形成出力によって出力された用紙の紙面を読み取って生成された画像であるため、出力結果を示す画像となる。読取画像取得部401は、印刷用紙の紙面が読取装置400によって読み取られて生成された読取画像の情報を取得する。
読取画像取得部401が取得した読取画像の情報は、比較検査のために比較検査部404に入力される。尚、比較検査部404への読取画像の入力は検査制御部403の制御によって実行される。その際、検査制御部403が読取画像を取得してから比較検査部404に入力する。また、読取画像取得部401は、上述した用紙のデータベースの検索のため、読取画像をマスター画像処理部402に入力する。
マスター画像処理部402は、上述したようにエンジンコントローラ2から入力されたビットマップデータを取得し、上記検査対象の画像と比較するための検査用画像であるマスター画像を生成する。本実施形態に係るマスター画像処理部402は、上述したように様々な態様により取得された透過率の情報に基づき、読取装置400が印刷用紙を読み取って読取画像を生成する際の裏写りの影響を加味したマスター画像を生成する。
また、マスター画像処理部402は、上述した透過率の取得方法の一態様として、読取画像取得部401から入力された読取画像から用紙の特徴を取得し、データベースを検索して用紙の透過率を取得する機能を有する。本実施形態に係る用紙の特徴とは、用紙の無地の領域に関する値であり、例えば無地の領域を読み取った画像を構成する画素の値の平均値や標準偏差である。マスター画像処理部402によるマスター画像の生成処理については後に詳述する。
検査制御部403は、検査装置4全体の動作を制御する制御部であり、検査装置4に含まれる各構成は検査制御部403の制御に従って動作する。比較検査部404は、読取画像取得部401から入力される読取画像とマスター画像処理部402が生成したマスター画像とを比較し、意図した通りの画像形成出力が実行されているか否かを判断する。
比較検査部404は、膨大な計算量を迅速に処理するために上述したASICによって構成される。本実施形態においては、検査制御部403が、比較検査部404を制御することによって画像検査部として機能すると共に、比較検査部404による検査結果を取得する検査結果取得部として機能する。
比較検査部404においては、上述したようにRGB各色8bitで表現された読取画像及びマスター画像を対応する画素毎に比較し、夫々の画素毎に上述したRGB各色8bitの画素値の差分値を算出する。検査制御部403は、そのようにして算出された差分値と閾値との大小関係に基づき、読取画像における欠陥の有無を判断する。即ち、検査制御部403が検査装置4に含まれる各部を制御することにより画像検査部として機能する。
尚、読取画像とマスター画像との比較に際して、比較検査部404は、図5に示すように、所定範囲毎に分割されたマスター画像を、分割された範囲に対応する読取画像に重ね合わせて各画素の画素値、即ち濃度の差分算出を行う。このような処理は、検査制御部403が、重ね合わせる範囲の画像をマスター画像及び読取画像夫々から取得し、比較検査部404に入力することによって実現される。
更に、検査制御部403は、分割された範囲を読取画像に重ね合わせる位置を縦横にずらしながら、即ち、読取画像から取得する画像の範囲を縦横にずらしながら、算出される差分値の合計値が最も小さくなる位置を正確な重ね合わせの位置として決定すると共に、その際に算出された各画素の差分値を比較結果として採用する。そのため、比較検査部404は、各画素の差分値と共に、位置合わせの位置として決定した際の縦横のずれ量を出力することが可能である。
図5に示すように方眼上に区切られている夫々のマスが、上述した各画素の差分値を合計する所定範囲である。また、図5に示す夫々の分割範囲のサイズは、例えば、上述したようにASICによって構成される比較検査部404が一度に画素値の比較を行うことが可能な範囲に基づいて決定される。
このような処理により、読取画像とマスター画像とが位置合わせされた上で差分値が算出される。このように算出された差分値が所定の閾値と比較されることにより、画像の欠陥が判定される。また、例えば、読取画像全体とマスター画像全体とで縮尺に差異があったとしても、図5に示すように範囲毎に分割して位置合わせを行うことにより、縮尺の際による影響を低減することが可能となる。
また、図5に示すように分割された夫々の範囲において、隣接する範囲の位置ずれ量は比較的近いことが予測される。従って、分割された夫々の範囲についての比較検査を行う際、隣接する領域の比較検査によって決定された位置ずれ量を中心として上述した縦横にずらしながらの計算を行うことにより、縦横にずらしながら計算を行う回数を少なくしても、正確な重ね合わせ位置による計算が実行される可能性が高く、全体として計算量を減らすことが出来る。
次に、プリントエンジン3及び検査装置4の機械的な構成及び用紙の搬送経路について、図6を参照して説明する。図6に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン3に含まれる印刷処理部301は、無端状移動手段である搬送ベルト11に沿って各色の感光体ドラム12Y、12M、12C、12K(以降、総じて感光体ドラム12とする)が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ13から給紙される用紙(記録媒体の一例)に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである搬送ベルト11に沿って、この搬送ベルト11の搬送方向の上流側から順に、感光体ドラム12Y、12M、12C、12Kが配列されている。
各色の感光体ドラム12の表面においてトナーにより現像された各色の画像が、搬送ベルト11に重ね合わせられて転写されることによりフルカラーの画像が形成される。そのようにして搬送ベルト11上に形成されたフルカラー画像は、図中に破線で示す用紙の搬送経路と最も接近する位置において、転写ローラ14の機能により、経路上を搬送されてきた用紙の紙面上に転写される。
紙面上に画像が形成された用紙は更に搬送され、定着ローラ15にて画像を定着された後、検査装置4に搬送される。また、両面印刷の場合、片面上に画像が形成されて定着された用紙は反転パス16に搬送され、反転された上で再度転写ローラ14の転写位置に搬送される。
読取装置400は、検査装置4内部における用紙の搬送経路において、印刷処理部301から搬送された用紙の夫々の面を読み取り、読取画像を生成して検査装置4内部の情報処理装置によって構成される読取画像取得部401に出力する。また、読取装置400によって紙面が読み取られた用紙は検査装置4内部を更に搬送され、排紙トレイ410に排出される。尚、図6においては、検査装置4における用紙の搬送経路において、用紙の片面側にのみ読取装置400が設けられている場合を例としているが、用紙の両面の検査を可能とするため、用紙の両面側に夫々読取装置400を配置しても良い。
また、本実施形態に係るプリントエンジン3は、給紙トレイ13から給紙される用紙の透過率を測定するための透過率測定部17を含む。透過率測定部17は、用紙を照射するための光源と、光源から照射された光を受光する受光部とが、用紙の搬送経路を挟んで配置された構成を有する。この構成により、透過率測定部17は、受光部が受光した光の強さに基づいて用紙の紙面上の位置(x,y)に応じた透過率T(x,y)を取得する。透過率測定部17によって測定された透過率T(x,y)は、上述したように、検査装置4に送信される。
次に、本実施形態に係るマスター画像処理部402の機能構成について説明する。図7は、マスター画像処理部402内部の構成を示すブロック図である。図7に示すように、マスター画像処理部402は、少値多値変換処理部421、階調補正処理部422、解像度変換処理部423、色変換処理部424、用紙情報DB425、透過率取得部426、画像出力処理部427及び裏写り補正部500を含む。尚、本実施形態に係るマスター画像処理部402は、図2において説明した専用デバイス80、即ち、ASICとして構成されたハードウェアが、ソフトウェアの制御に従って動作することにより実現される。
少値多値変換処理部421は、有色/無色で表現された二値画像に対して少値/多値変換処理を実行して多値画像を生成する。本実施形態に係るビットマップデータは、プリントエンジン3に入力するための情報であり、プリントエンジンはCMYK(Cyan,Magenta,Yellow,blacK)各色二値の画像に基づいて画像形成出力を実行する。これに対して検査対象の画像である読取画像は、基本三原色であるRGB(Red,Green,Blue)各色多階調の多値画像であるため、少値多値変換処理部421により先ず二値画像が多値画像に変換される。多値画像としては、例えばCMYK各8bitで表現された画像を用いることができる。
少値多値変換処理部421は、少値/多値変換処理として、8bit拡張処理、平滑化処理を行う。8bit拡張処理は、0/1の1bitであるデータを8bit化し、「0」は「0」のまま、「1」は「255」に変換する処理である。平滑処理は、8bit化されたデータに対して平滑化フィルタを適用し、画像を平滑化する処理である。
尚、本実施形態においては、プリントエンジン3がCMYK各色二値の画像に基づいて画像形成出力を実行する場合を例とし、マスター画像処理部402に少値多値変換処理部421が含まれる場合を例とするが、これは一例である。即ち、プリントエンジン3が多値画像に基づいて画像形成出力を実行する場合は、少値多値変換処理部421は省略可能である。
また、プリントエンジン3が1bitではなく2bit等の少値の画像に基づいて画像形成出力を行う機能を有する場合もあり得る。その場合、8bit拡張処理の機能を変更することにより対応することができる。即ち、2bitの場合、階調値は0、1、2、3の4値である。従って、8bit拡張に際しては、「0」は「0」、「1」は「85」、「2」は「170」、「3」は「255」に変換する。
階調補正処理部422は、印刷処理部301によって紙面上に形成される画像の色調及び読取装置400によって読み取られて生成される画像の色調に、マスター画像の色調を合わせるための色調の変換処理を行う。このような処理は、変換前の階調値と変換後の階調値とが夫々関連付けられた色変換テーブルを参照し、少値多値変換処理部421によって生成された8itの多階調の値を変換前の値として、それに関連付けられた変換後の値に変換することにより行われる。
また、そのような色変換テーブルは、上述した用紙情報に含まれる色変換テーブルの他、例えば、様々な階調色のカラーパッチを含む画像が印刷処理部301によって紙面上に形成され、その用紙を読み取って生成された読取画像における各カラーパッチの階調値と、夫々のカラーパッチを形成するための元の画像における階調値とが関連付けられて生成されたテーブルが用いられる。即ち、階調補正処理部422は、このような階調変換テーブルに基づき、少値多値変換処理部421が出力した画像の各色の階調値を変換する。
解像度変換処理部423は、階調補正処理部422によって生成された多値画像の解像度を、検査対象の画像である読取画像の解像度に合わせるように解像度変換を行う。本実施形態に係るビットマップデータは600dpiである。これに対して、読取装置400は200dpiの読取画像を生成するため、解像度変換処理部423は、階調補正処理部422によって生成された600dpiの多値画像の解像度を200dpiに変換する。
また、本実施形態に係る解像度変換処理部423は、上述したような用紙情報に含まれる“用紙サイズ補正情報”に基づき、印刷処理部301によって出力される用紙の収縮等を考慮して画像のサイズを調整する。
色変換処理部424は、解像度変換処理部423によって解像度が変換された画像を取得して色表現形式の変換を行う。色表現形式の変換処理は、CMYK形式の画像をRGB形式の画像に変換する処理である。上述したように、本実施形態に係る読取画像はRGB形式の画像であるため、色変換処理部424は、階調変換処理のされたCMYK形式の画像をRGB形式に変換する。
これにより、画素毎にRGB各色8bit(合計24bit)で表現された200dpiの多値画像が生成される。即ち、本実施形態においては、少値多値変換処理部421、階調補正処理部422、解像度変換処理部423及び色変換処理部424が、検査用画像生成部として機能する。
用紙情報DB425は、プリントエンジン3において記録媒体として用いられる可能性のある複数種類の用紙の用紙情報を記憶して管理しているデータベースである。即ち、用紙情報DB425が、透過率記憶部として機能する。用紙情報DB425においては、図4において説明した用紙情報が、複数の種類の用紙の分記憶されて管理されている。
透過率取得部426は、上述した様々な態様において取得される情報に基づき、検査対象の読取画像の元となった印刷用紙に用いられている用紙の透過率(以降、「検査対象透過率」とする)の情報を取得する。その一態様として、DFE1から図4に示す用紙情報が入力された場合、透過率取得部426は、用紙情報に含まれる“用紙透過率”の情報を、検査対象透過率として取得する。
また、読取画像取得部401から読取画像を取得した場合、透過率取得部426は、読取画像を解析して抽出した情報に基づいて用紙情報DB425を検索し、検索の結果抽出された用紙情報の“用紙透過率”を検査対象透過率として取得する。
また、プリントエンジン3の透過率測定部17によって測定された用紙の位置毎の透過率T(x,y)が検査装置4に入力された場合、透過率取得部426は、入力された透過率T(x,y)を検査対象透過率として取得する。これらの透過率の取得態様は、例えばインタフェース端末5を介したユーザの設定によって切り替えられる。そして、マスター画像処理部402は、設定に従って透過率を取得してマスター画像を生成する。
裏写り補正部500は、色変換処理部424によって生成されたマスター画像を2ページ分ずつ取得して表面及び裏面のマスター画像とし、透過率取得部426から入力される透過率に基づいて裏写り補正処理を行う。この裏写り補正処理が本実施形態に係る要旨の1つである。詳細は後述する。
画像出力処理部427は、裏写り補正部500によって裏写り補正処理が施されたマスター画像を出力する。これにより、検査制御部403が、マスター画像処理部402からマスター画像を取得する。
次に、本実施形態に係る裏写り補正部500の詳細な機能構成及び動作について図8及び図9を参照して説明する。図8は、裏写り補正部500の詳細な機能構成を示すブロック図であり、図9は、裏写り補正部500の動作を示すフローチャートである。
図8に示すように、本実施形態に係る裏写り補正部500は、マスター画像取得部501、対象ページ処理部502、裏面ページ処理部503及び補正値加算部504を含む。マスター画像取得部501は、色変換処理部424によって生成された裏写り補正前のマスター画像を2ページ分取得する。
この際、図9に示すように、マスター画像取得部501は、奇数ページを取得し(S901)、その次のページがある場合には(S902/YES)、偶数ページを取得する(S903)。即ち、マスター画像取得部501は、検査対象の面の読取画像との比較のために生成されたマスター画像及びその裏面の読取画像との比較のために生成されたマスター画像を夫々取得する。他方、奇数ページを取得した時点でそのページが最終ページであった場合(S902/NO)、マスター画像取得部501は、S901において取得したマスター画像をそのまま画像出力処理部427に出力して処理を終了する。
図10(a)は、S901及びS903の処理によって取得される奇数ページ及び偶数ページの例を示す図である。奇数ページ及び偶数ページを取得したマスター画像取得部501は、まず奇数ページを検査対象のページである表面として対象ページ処理部502に、偶数ページを裏面として裏面ページ処理部503に夫々入力する(S904)。即ち、対象ページ処理部502に入力されたマスター画像が表面検査用画像であり、裏面ページ処理部503に入力された画像が裏面検査用画像である。裏面ページ処理部503においては、透過率取得部426から透過率の情報を取得すると共に(S905)、裏面ページの数値を明度反転して(S906)、表面のマスター画像に裏写りを反映するための補正値を算出する(S907)。
上述したように、裏写り補正部500に入力されるマスター画像は、RGB各色8bitの256階調によって各画素が表現された情報である。即ち、各色、最も明度が高く、裏面に影響を与えない状態の値が「255」であり、最も明度が低く、裏写りが懸念される状態の値が「0」である。
従って、裏面ページ処理部503は、裏写りの度合いを数値化するためにS906において以下の式(1)により明度反転処理する。ここで、式(1)におけるR(x,y)は、反転処理前の各画素の値であり、R´(x,y)は、反転処理後の画素値の値である。裏面ページ処理部503は、RGB各色の画素値について以下の式(1)の計算を行い、明度反転値を取得する。
そして、S907において、裏面ページ処理部503は、S905において取得した透過率の情報及びS906において算出した明度反転後の裏面ページの画素値に基づき、裏写り状態を反映するための補正値を算出する。ここで、裏写り状態を反映するための補正値とは、即ち、表面ページの読取画像のうち、裏面ページの画像の裏写りによって表面ページの読み取りの際に読み取られた画像の成分を示す値である。
そのような補正値を算出するため、裏面ページ処理部503は、上記式(1)によって算出された裏面ページの各画素の明度反転値R´(x,y)に透過率を乗ずる。ここで、透過率測定部17による測定により用紙各部の位置に応じた透過率T(x,y)が取得された場合、裏面ページ処理部503は、以下の式(2)により、表面のマスター画像の補正値dP(x,y)を算出する。
他方、DFE1からの送信や、用紙情報DB425からの抽出により、用紙の位置によらない固定値としての透過率Tが取得された場合、裏面ページ処理部503は、以下の式(3)により、表面のマスター画像の補正値dP(x,y)を算出する。
図10(b)は、奇数ページ、偶数ページ夫々について、裏面ページ処理部503に入力された場合に算出される補正値によって示される画像の例の図である。図10(a)、(b)夫々に示すように、透過率T若しくはT(x,y)に応じて濃度が調整された画像が補正値となる。
このようにして、表面ページのマスター画像の各部を示す座標(x,y)毎に補正値dP(x,y)が算出されると、補正値加算部504が、対象ページ処理部502から入力される表面ページの各画素の画素値P(x,y)と、裏面ページ処理部503から入力される補正値dP(x,y)とに基づき、以下の式(4)の計算により、補正後の表面ページの画素値Pcomp(x,y)を算出する(S908)。
上述したように、本実施形態に係るマスター画像の画素値は明度信号であるため、補正値dP(x,y)を適用して裏写りによる明度の低下を再現するため、補正値dP(x,y)を差し引く計算を行う。
図10(c)は、奇数ページ、偶数ページ夫々について、上記式(4)の計算結果によって示される画像の例を示す図である。図10(c)に示すように、夫々の画像は、図10(a)に示す画像に、図10(b)に示す画像の反対側の面が重畳された画像となっている。このような処理により、裏写りが反映されたマスター画像が生成される。S904においてマスター画像取得部501が、奇数ページを表面として、偶数ページを裏面として入力した場合には、図10(c)の左側の画像が裏写り補正処理後のマスター画像として生成される。
表面とされたページの補正処理が完了すると、マスター画像取得部501は、S901において取得した奇数ページ及びS903において取得した偶数ページについて、夫々を表面及び裏面とした両面の処理を完了したか確認し(S909)、完了していなければ(S909/NO)、表面、裏面を入れ替えてS904からの処理を繰り返す。
繰り返しの処理において、マスター画像取得部501は、偶数ページを表面として、奇数ページを裏面として入力する。その結果、図10(c)の右側の画像が裏写り処理後のマスター画像として生成される。
他方、両面の処理を終了していれば(S909/YES)、裏写り補正部500は、印刷ジョブが完了したか否か判断し(S910)、完了していなければ、次に入力されるページについてS901からの処理を繰り返す(S910/NO)。他方、印刷ジョブが完了していれば(S910/YES)、裏写り補正部500はそのまま処理を終了する。
次に、本実施形態に係る透過率取得部426による透過率の取得処理について、図11を参照して説明する。上述したように、透過率取得部426は、透過率の取得方法を指定する設定に応じた態様で透過率を取得する。そのため、透過率取得部426は、まず設定を確認し、プリントエンジン3の透過率測定部17による測定が設定されている場合には(S1101/YES)、プリントエンジン3から入力される測定値である透過率T(x,y)を取得して(S1102)、処理を終了する。
透過率測定部17による測定ではなく(S1101/NO)、読取画像から抽出される情報に基づく検索が設定されている場合(S1103/YES)、透過率取得部426は、読取画像取得部401から読取画像を取得する(S1104)。読取画像を取得すると、透過率取得部426は、まず読取画像を構成する画素値を解析し、トナーが転写されていない無地領域、即ち用紙の地肌の領域を抽出する(S1105)。
S1105において透過率取得部426は、例えば読取画像を白黒の二値に分類する二値化処理を行い、白と分類された領域を抽出することにより地肌領域を抽出する。地肌領域を抽出した透過率取得部426は、抽出した地肌領域に相当する画素の画素値について平均値及び標準偏差を算出する(S1106)。S1106の処理により、平均値Nave及び標準偏差Nstdが算出される。
S1106の処理により平均値Nave及び標準偏差Nstdを算出した透過率取得部426は、算出した値を、用紙情報DB425に記憶されている用紙情報の“読取平均値”、“読取標準偏差”と比較することにより、用紙情報DB425に記憶されている用紙情報から読取画像の印刷用紙に用いられている用紙の用紙情報を検索する(S1107)。
S1107において、透過率取得部426は、例えば、以下の式(5)、式(6)により、平均値の差分値diffave及び標準偏差の差分値diffstdを算出する。
透過率取得部426は、用紙情報DB425に記憶されている全ての用紙情報について上記式(5)、式(6)を計算し、算出されたdiffave及びdiffstdの値に基づき、該当する用紙情報の有無を判断する(S1108)。
S1108において、透過率取得部426は、例えば、夫々の用紙情報についてdiffaveとdiffstdとの合計値を計算した上で、夫々の用紙情報の合計値のうち最も小さい値を参照し、その値が所定の閾値を超えていた場合には、該当する用紙情報が無いと判断して(S1108/NO)、エラー処理を行う(S1110)。
他方、夫々の用紙情報のdiffaveとdiffstdとの合計値のうち最も小さい値が所定の閾値以内であれば、その値の用紙情報が該当すると判断し(S1108/YES)、その用紙情報の“用紙透過率”を検索結果として抽出して(S1109)処理を終了する。
尚、S1007における用紙情報の検索処理は、上述したdiffaveとdiffstdとの合計値に基づく判断に限らず、算出されたdiffave及びdiffstdに基づいて最も近い用紙情報を抽出する処理であれば良い。
他方、読取画像から抽出される情報に基づく検索が設定されていない場合(S1103/NO)の設定は、DFE1からの送信設定であるため、透過率取得部426は、DFE1から送信される図4に示す用紙情報から“用紙透過率”を取得する(S1111)。このような処理により、本実施形態に係る透過率取得部426による透過率の取得処理が完了する。
このように、本実施形態に係る裏写り補正処理によれば、読取画像における裏写りを考慮したマスター画像が生成される。このような処理によれば、読取画像における裏写り成分を除去する処理とは違い、検査対象のページの画像が薄くなるようなことがなく、記録媒体の両面に画像が形成される場合に裏写りの影響を考慮した画像の比較検査を適切に行うことが可能となる。
また、検査対象の裏側のページの画像に透過率を乗じた画像を、検査対象のページの画像に重畳する処理は、簡易な処理により実現可能である。即ち、マスター画像処理部402に裏写り補正部500を追加することは比較的容易に可能であり、従来の検査装置4に大きな変更を加えることなく実現可能である。
また、用紙の種類によっては、部位毎の透過率の差異が大きい場合がある。そのため、図4において説明したように用紙の種類毎に一律の値である用紙透過率を用いた場合には、夫々の部位の透過率が不正確であり、結果的に不正確なマスター画像が生成される可能性がある。これに対して、透過率測定部17によって用紙の透過率を測定することにより、用紙の位置に応じた透過率T(x,y)を取得した場合には、そのような課題を解決することが可能である。
次に、本実施形態に係る検査制御部403の機能構成及び画像の検査動作について説明する。図12は、本実施形態に係る検査制御部403の機能構成を示すブロック図である。また、図13は、本実施形態に係る検査制御部403による1ページ分の画像検査の動作を示すフローチャートである。図12に示すように、本実施形態に係る検査制御部403は、情報入力部431、差分画像取得部432、欠陥判定部433及びコントローラ通信部434を含む。
本実施形態に係る検査制御部403においては、図13に示すように、まず情報入力部431が、マスター画像処理部402からマスター画像を取得する(S1301)。S1301において取得されるマスター画像は、図9及び図10において説明したように裏写り補正処理が施されたマスター画像である。そして、画像形成出力が実行されて読取装置400による画像の読み取りが実行されることにより、情報入力部431が、読取画像を取得する(S1302)。
マスター画像及び読取画像を取得した情報入力部431は、図5において説明したように、マスター画像及び読取画像から夫々所定範囲の画像を抽出して比較検査部404に入力することにより、比較検査部404に画像の比較検査を実行させる(S1303)。
S1203の処理により、読取画像を構成する各画素とマスター画像を構成する各画素との差分値を示す差分画像が生成され、生成された差分画像を差分画像取得部432が取得する。差分画像を構成する画素は、上述した読取画像を構成する画素とマスター画像を構成する画素との差分値である。
このような差分画像を差分画像取得部432が取得すると、欠陥判定部433が差分画像に基づいて欠陥判定を行う(S1304)。S1304において欠陥判定部433は、差分画像を構成する画素の値である差分値と所定の閾値とを比較することにより各画素について欠陥を判定する処理や、欠陥と判定した欠陥画素を連結して欠陥部分を認識する処理や、連結された欠陥画素の画素数と所定の閾値とを比較することにより、所定の面積以上の欠陥のみを欠陥として認識する処理等を行う。即ち、欠陥判定部433が画像検査部として機能する。
S1304の処理が完了すると、コントローラ通信部434が、欠陥判定部433による判定結果に基づいて再印刷要求等のコントローラ制御、エンジン制御を実行する(S1305)。このような処理により、本実施形態に係る画像検査動作が完了する。
以上説明したように、本実施形態に係る画像検査システムによれば、裏写りの画像を重畳したマスター画像を生成して比較検査を行うため、裏写りの影響を考慮した比較検査を行い、裏写りによって誤った欠陥判定が行われてしまうことを防ぐことが出来る。
尚、上記実施形態においては、検査対象の画像がフルカラーであり、RGB各色について処理を行うことを例として説明した。他方、モノクロ画像の場合には、輝度信号のみに基づいて同様に処理を行うことが可能である。
他方、上記実施形態においては、マスター画像を構成する画素値のRGB各色について裏写り補正処理を行う場合を例として説明した。これに対して、処理負荷を低減する方法として、裏写りによる影響の大きい成分のみ裏写り補正処理を行っても良い。例えば、RGB形式の場合、G信号のみ裏写り補正処理を行っても良い。
画像の裏写りは、色味よりも明度に大きく影響する。ここで、G、即ち三原色の緑の成分の波長帯域は、人間が視覚によって明るさを感じる分光感度と近い性質を有している。そのため、画像を構成する画素の値のうちGの値を用いることにより、簡易な処理によって画像の明度に影響の大きい成分を抽出し、効率的な裏写り補正を実現することが可能である。
尚、RGBのR、B信号についても裏写りにより画素値の変動が発生することが考えられるが、その変動は、例えば欠陥判定部433において用いられる閾値の設定により吸収することが可能である。即ち、画像を構成する信号成分のうち、裏写りによる影響の大きい成分については裏写り補正処理を行い、その他の成分についてはマスター画像と読取画像との差分値に基づいて欠陥判定を行う際の閾値を調整して対応することにより、効率的な画像検査を行うことが可能である。
換言すると、画像を構成する画素を表現する複数の成分のうち、一部の成分についてのみ裏写り補正を行って処理の簡略化を行った場合、欠陥判定部433は、裏写り補正を行った成分とそれ以外の他の成分とで、差分画像を構成する差分値と比較する閾値を変更する。このように、裏写り補正を行った成分と他の成分として、マスター画像と読取画像との比較結果に対する判断方法を変えることにより、簡略化された処理により裏写りを考慮した適切な検査を行うことが可能となる。
また、上記実施形態においてはRGB形式の画像により比較検査を行う場合を例として説明したが、その他の形式の画像により比較検査を行うことも可能である。例えば、L*a*b*形式のような、人間の視覚特性に近いスケールを有する形式を用いることにより、上述したような処理の効率化をより効果的に行うことが可能である。
L*a*b*形式を用いる場合、上述した裏写り補正処理を行うのは輝度信号であるL*信号のみである。上述したように、裏写りによる影響は主として画像の明るさに現れるため、L*信号について裏写り補正処理を行うことにより、裏写りによる影響の大きい成分について裏写り補正処理を行うことが可能である。
他方、裏写りによる数値への影響が比較的小さいと考えられるa*b*信号については、上述したように欠陥判定部433において用いられる閾値の設定により吸収することが可能である。これにより、効率的な処理により裏写りを考慮した比較検査を実現することが可能である。
また、上記実施形態においては、DFE1から図4に示すような用紙情報が送信される場合を例として説明した。この他、例えば、DFE1から送信される情報は、図4に示す“用紙種類”の情報のみであり、透過率取得部426は、DFE1から送信された“用紙種類”の情報に基づいて用紙情報DB425を検索することにより、図4に示す“用紙透過率”を取得しても良い。