JP2015176695A - 電極材料、膜電極接合体、燃料電池スタックおよび電極材料の製造方法 - Google Patents

電極材料、膜電極接合体、燃料電池スタックおよび電極材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料電池や電解セルなどに用いられる電極材料の活性及び耐久性を向上させる。【解決手段】本発明のある態様の電極材料10は、活性触媒11を導電性担体12に担持してなる電極触媒13と、電極触媒13の一部を被覆する多孔性無機材料14と、を含み、多孔性無機材料14の細孔表面が塩基性官能基15で修飾されている。塩基性官能基15の当量は、多孔性無機材料14に対して4meq/g以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池、電解セルなどに用いられる電極材料に関する。
固体高分子形燃料電池は、アノードに水素を含む燃料ガス、カソードに酸素を含む酸化剤ガスを供給し、以下の電気化学反応により発電する装置である。
アノード:H→2H+2e・・・(1)
カソード:1/2O+2H+2e→HO・・・(2)
また、固体高分子形水電解セルは、水供給下、以下の電気化学反応により、アノードで酸素を、カソードで水素を発生させる装置である。
アノード:HO→1/2O+2H+2e・・・(3)
カソード:2H+2e→H・・・(4)
固体高分子形燃料電池及び固体高分子形電解セルのアノードおよびカソードは、それぞれ触媒層とガス拡散層が積層した構造からなる。触媒層は、触媒を担持した炭素粒子とプロトン伝導性イオノマーにより構成される層である。各電極の触媒層がプロトン伝導性電解質膜を挟んで対向配置され、膜電極接合体が構成される。
固体高分子形燃料電池及び固体高分子形電解セルの触媒層は酸性雰囲気である。さらに、固体高分子形燃料電池のカソード、固体高分子形電解セルのアノードは高電位であるため、触媒には高い耐腐食性が求められる。また、固体高分子形燃料電池のカソード反応(酸素還元反応)、固体高分子形電解セルのアノード反応(酸素発生反応)の反応速度は非常に遅いため、触媒には高い活性が求められる。現在、それぞれの触媒として、PtまたはPt合金、IrOなどが用いられているが、安定性及び活性は必ずしも十分とは言えない。また、Ptは非常に高価であるため、より安価な触媒を用いることが望まれるが、前述の問題はより顕著になる。
特許文献1では、カーボン担体に担持された触媒(Pt)表面を多孔性無機材料(SiO)で被覆した電極材料が提案されている。この電極材料によれば、固体高分子形燃料電池のカソード環境下における触媒(Pt)の溶出をある程度は抑制することができる。
特許2008−4541号公報
しかしながら、特許文献1に記載の電極材料は、触媒金属の溶出を物理的に抑制するものであるため、多孔性無機材料の細孔径が大きい場合や、触媒がPtより卑な金属である場合に、その溶出を十分に抑制できない可能性があった。また、Pt以外の金属については、十分な触媒活性が得られず、改良の余地があった。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料電池や電解セルなどに用いられる電極材料の活性及び耐久性を向上させる技術の提供にある。
本発明のある態様は電極材料である。当該電極材料は、電極触媒と、前記電極触媒の表面の少なくとも一部を被覆する多孔性無機材料と、を備え、前記多孔性無機材料の細孔表面が、塩基性官能基で修飾され、かつ、前記塩基性官能基の当量が、前記多孔性無機材料に対して4meq/g以上であることを特徴とする。
上記態様の電極材料において、前記塩基性官能基が、第一級アミン誘導体、第二級アミン誘導体、第三級アミン誘導体、または第四級アンモニウム誘導体のうち少なくとも1種以上を含んでもよい。前記多孔性無機材料が、シリカ(SiO)を含んでもよい。前記多孔性無機材料が電極触媒を被覆している部分における平均被覆厚みが、0.5nm〜100nmであってもよい。前記電極触媒が、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Sn、Ba、La、Ce、Hf、Re、Os、Ir、Pt、Auのうち少なくとも1種以上の元素を含有する金属、金属錯体、酸化物、窒化物、または炭化物からなる活性触媒を含んでもよい。前記電極触媒が、前記活性触媒が導電性担体上に担持された形態であってもよい。
本発明の他の態様は膜電極接合体である。当該膜電極接合体は、イオン伝導性を有する電解質膜と、前記電解質膜の一方の面に設けられているカソード触媒層と、前記電解質膜の一方の面に設けられているアノード触媒層と、を備え、前記カソード触媒層、前記アノード触媒層のうち、少なくとも一方の触媒層が上述したいずれかの態様の電極材料を備えることを特徴とする。
本発明のさらに他の態様は燃料電池スタックである。当該燃料電池スタックは、上述した態様の膜電極接合体を備えることを特徴とする。
本発明のさらに他の態様は電極材料の製造方法である。当該電極材料の製造方法は 少なくとも1つの水素原子が電子吸引基に置換されたアルキル基を有する有機シラン化合物を前駆体の一部または全部として用いて電極触媒の表面の少なくとも一部を多孔性無機材料で被覆する被覆工程と、アンモニア、第一級アミン誘導体、第二級アミン誘導体、または第三級アミン誘導体のうち少なくとも1種以上の含窒素化合物を用いて、前記アルキル基を塩基性官能基に変換する変換工程と、を備えることを特徴とする。
上述した態様の電極材料の製造方法において、前記変換工程の後、熱処理によって、前記電子吸引基のうち未反応のものを分解させる工程を備えてもよい。前記熱処理の温度が100℃以上600℃未満であってもよい。前記被覆工程において、多孔性無機材料に対する電子吸引基の物質量が4mmol/g以上であってもよい。前記アルキル基がハロゲン化アルキル基であってもよい。前記ハロゲン化アルキル基が、クロロプロピル基、またはクロロメチル基のうち少なくとも1種以上を含んでもよい。前記電極触媒が、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Sn、Ba、La、Ce、Hf、Re、Os、Ir、Pt、Auのうち少なくとも1種以上の元素を含有する金属、金属錯体、酸化物、窒化物、または炭化物からなる活性触媒を含んでもよい。前記活性触媒が導電性担体上に担持された形態であってもよい。
なお、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれうる。
本発明によれば、燃料電池や電解セルなどに用いられる電極材料の活性及び耐久性を向上させることができる。
本発明の電極材料の一実施形態の構成を示す模式図である。 本発明の電極材料を、固体高分子形燃料電池用アノード材料として用いた場合における水素酸化反応の反応機構を示す模式図である。 本発明の電極材料を、固体高分子形燃料電池用カソード材料として用いた場合における酸素還元反応の反応機構を示す模式図である。 実施形態に係る燃料電池の構造を示す模式図である。 実施例1の電極触媒を被覆する多孔性無機材料(SiO)を撮像した透過電子顕微鏡像である。 実施例1〜6、比較例1〜3の多孔性無機材料に対する塩基性基の当量と、1000mA/cm発電時の電圧である。
以下では、本発明の電極材料を固体高分子形燃料電池用電極材料として用いる場合の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明の電極材料の実施形態がこれによって何ら制限されるものではない。
(1)電極材料
図1は、本発明の電極材料の一実施形態の構成を示す模式図である。同図に示すように、本実施形態の電極材料10は、活性触媒11を導電性担体12に担持してなる電極触媒13と、電極触媒13の一部を被覆する多孔性無機材料14と、を含み、多孔性無機材料14の細孔表面が塩基性官能基15で修飾されているものである。また、主として、プロトン伝導性を有する電解質(イオノマー)16が、上記電極材料10に混合される。
以下に、これらの構成要素ごとに説明する。
(i)活性触媒
固体高分子形燃料電池用電極材料に用いられる活性触媒11は、水素酸化反応または酸素還元反応に活性を有するものであれば特に制限はなく、公知の触媒が使用できる。具体的には、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Sn、Ba、La、Ce、Hf、Re、Os、Ir、Pt、Auなどの金属、金属錯体、酸化物、窒化物、炭化物などが選択される。ただし、コストの観点から、白金を含まないものが望ましい。
活性触媒11の形状や大きさは、特に制限されず公知の形状や大きさが使用できるが、活性触媒11を導電性担体に担持して使用する場合、活性触媒11の形状は粒子状であることが望ましい。
活性触媒粒子の平均粒子径が小さいほど電気化学的に有効な表面積が大きくなり、酸素還元活性が高くなる。従って、活性触媒粒子の平均粒子径は、好ましくは100nm以下、より好ましくは20nm以下、最も好ましくは10nm以下であることが望ましい。なお、本発明における活性触媒粒子の平均粒径は、X線回折におけるピークの半値幅あるいは透過電子顕微鏡像より見積もることができる。
活性触媒11の濃度(活性触媒11の質量/(活性触媒11の質量+導電性担体12の質量))は、5〜80%であることが好ましい。活性触媒11の濃度が5%より低いと、所望の質量の活性触媒11を含むために必要なカソード触媒層の厚さが大きくなり、電極反応に必要なイオン伝導やガス拡散が阻害され、十分な発電性能が得られなくなる。活性触媒11の濃度が80%より高いと、活性触媒粒子同士が密集するため、ガス拡散等が阻害され、十分な発電性能が得られなくなる。
(ii)導電性担体
導電性担体12は、活性触媒粒子を所望の分散状態で担持し得る比表面積を有し、かつ、十分な導電性を有するものであれば特に制限はなく、公知のものが使用できる。具体的には、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノオニオンなどの導電性の炭素材料、酸化チタン、酸化スズなどの導電性金属酸化物、またはこれらの混合物が挙げられる。
導電性担体12のBET比表面積は、10〜2000m/gであることが好ましい。導電性担体12のBET比表面積が10m/gより小さいと、活性触媒粒子を均一に担持させることが難しくなる。このため、活性触媒粒子の電気化学的に有効な表面積が小さくなり、発電性能の低下を招く。導電性担体12のBET比表面積が2000m/gより大きいと、導電性担体12の耐久性が十分ではない場合がある。
(iii)多孔性無機材料
多孔性無機材料14は、固体高分子形燃料電池セル内の環境で安定であり、かつ、多孔性を有するものであればよい。具体的には、SiO、TiO、ZrOなどが使用できる。好ましくはSiOを含むことが望ましい。SiOを含むことで、後述の塩基性官能基で、容易、かつ安定的に細孔表面を修飾することができるためである。
多孔性無機材料14の被覆厚みは、0.5nm〜100nmであることが望ましい。多孔性無機材料14の被覆厚みが0.5nmより小さいと、イオノマーが活性触媒粒子まで浸透し、活性触媒粒子が酸性雰囲気となり、活性触媒11の活性及び耐久性が低下し、十分な発電性能及び耐久性が得られなくなる。多孔性無機材料14の被覆厚みが100nmより大きいと、電極反応に必要なイオン伝導やガス拡散が阻害され、十分な発電性能が得られなくなる。なお、多孔性無機材料14の被覆厚みは、透過電子顕微鏡像より見積もることができる。
多孔性無機材料14の平均細孔径は、0.1nm〜100nmであることが望ましい。多孔性無機材料の平均細孔径が0.1nmより小さいと、電極反応に必要なイオン伝導やガス拡散が阻害され、十分な発電性能が得られなくなる。多孔性無機材料14の平均細孔径が100nmより大きいと、イオノマーが細孔内部に浸透し、活性触媒粒子が酸性雰囲気となり、活性触媒11の活性及び耐久性が低下し、十分な発電性能及び耐久性が得られなくなる。
(iv)塩基性官能基
塩基性官能基15は、所望の塩基性を有する官能基であればよい。具体的には、第一級アミン誘導体、第二級アミン誘導体、第三級アミン誘導体、第四級アンモニウム誘導体、ピリジン誘導体、芳香族アミン誘導体のうち少なくとも1種以上を含む官能基が使用でき、中でも、第四級アンモニウム誘導体が好ましい。
塩基性官能基15の当量は、多孔性無機材料に対して4meq/g以上である。塩基性官能基15の当量が多孔性無機材料に対して4meq/gより小さいと、活性触媒粒子近傍が十分に塩基性雰囲気にならず、十分な発電性能及び耐久性が得られなくなる。なお、塩基性官能基15の当量は、CHN元素分析、ICP発光分析、熱重量分析等より測定することができる。
(v)イオノマー
イオノマー16は、高いプロトン伝導性を有するものであれば特に制限はなく、公知のものが使用できる。好ましくは、上記高いプロトン伝導性に加えて、高いガス透過性、高い化学的耐久性を有するものが望ましい。具体的には、酸性官能基を有する、パーフルオロカーボン重合体、芳香族ポリエーテルエーテルケトン、またはポリスルホンなどが挙げられる。酸性官能基としては、スルホン酸、ホスホン酸、またはカルボン酸などが挙げられる。スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体の例として、ナフィオン(デュポン社製:登録商標)などが挙げられる。
イオノマー16と電極触媒13の混合比(イオノマー16の質量/電極触媒13の質量)は、特に制限されるものではなく、後述の触媒層において、電極反応に必要なプロトン伝導とガス拡散が良好になされる範囲で適宜決定すればよい。好ましくは1%〜1000%、より好ましくは5%〜100%であることが望ましい。イオノマー16と電極触媒13の混合比が1%より低いと、電極反応に必要なプロトン伝導が良好になされず、十分な発電性能が得られない。イオノマー16と電極触媒13の混合比が1000%より高いと、電極反応に必要なガス拡散が良好になされず、十分な発電性能が得られない。
このような構成とすることにより、活性触媒11が酸性のイオノマー16から隔離され、活性触媒近傍が塩基性雰囲気となる。そのため、耐久性の観点から酸性雰囲気では用いることができなかったPtより卑な金属、または金属酸化物等を活性触媒11として用いても、十分な耐久性が得られる。また、一般に、活性触媒は塩基性雰囲気では酸性雰囲気より活性が高くなる性質があるため、高い発電性能が得られる。
さらに、この目的に沿って鋭意検討した結果、塩基性官能基の当量が、多孔性無機材料に対して4meq/g以上である場合、前述のような活性及び耐久性の向上が顕著になることを見出した。
図2は、本発明の電極材料を、固体高分子形燃料電池用アノード材料として用いた場合における水素酸化反応の反応機構を示す模式図である。活性触媒近傍が塩基性雰囲気となるため、活性触媒表面においては、下記(3)式で表される水素酸化反応が起こる。また、酸性のイオノマーと塩基性の多孔性無機材料の細孔との界面では、下記(4)式で表される水の解離反応が起こる。下記(4)式で生成したHは、イオノマー及び電解質膜を通ってカソードへ伝導される。また、下記(4)式で生成したOHは、多孔性無機材料の細孔内を通って活性触媒表面へ伝導される。アノード全体としては、下記(3)式と下記(4)式とを合わせた下記(5)式で表される水素酸化反応が起こり、従来公知の固体高分子形燃料電池のアノード反応と同様になる。
+2OH→2HO+2e・・・(3)
O→H+OH・・・(4)
+2e→2H・・・(5)
図3は、本発明の電極材料を、固体高分子形燃料電池用カソード材料として用いた場合における酸素還元反応の反応機構を示す模式図である。活性触媒近傍が塩基性雰囲気となるため、活性触媒表面においては、下記(6)式で表される酸素還元反応が起こる。また、酸性のイオノマーと塩基性の多孔性無機材料の細孔との界面では、下記(7)式で表される水の生成反応が起こる。下記(7)式で反応するHは、イオノマー及び電解質膜を通ってアノードから伝導される。また、下記(7)式で反応するOHは、多孔性無機材料の細孔内を通って活性触媒表面から伝導される。カソード全体としては、下記(6)式と下記(7)式とを合わせた下記(8)式で表される酸素還元反応が起こり、従来公知の固体高分子形燃料電池のカソード反応と同様になる。
+2HO+4e→4OH・・・(6)
+OH→HO・・・(7)
+4H+4e→2HO・・・(8)
(2)電極材料の製造方法
実施の形態に係る電極材料の製造方法は、少なくとも1つの水素原子が電子吸引基に置換されたアルキル基を有する有機シラン化合物を前駆体の一部または全部として用いて電極触媒の表面の少なくとも一部を多孔性無機材料で被覆する被覆工程、およびアンモニア、第一級アミン誘導体、第二級アミン誘導体、または第三級アミン誘導体のうち少なくとも1種以上の含窒素化合物を用いて、前記アルキル基を塩基性官能基に変換する変換工程を有する。以下、各工程について詳細に説明する。
(i)被覆工程について一例を説明する。
電極触媒を、所定温度の溶媒に分散させる。該溶媒としては、水、エタノール、またはこれらの混合物などが挙げられるが、特に制限されるものではない。該温度についても、特に制限されるものではない。
次に、pH調整剤を所定量添加する。これは、次に述べる多孔性無機材料の前駆体の加水分解−縮重合反応を促進するためである。該pH調整剤は、硝酸、アンモニア、トリエチルアミンなどが挙げられるが、特に制限されるものではない。
次に、多孔性無機材料の前駆体1を添加し、所定時間攪拌する。多孔性無機材料の前駆体1は、加水分解−縮重合反応によりゲル化するもので、かつ、活性触媒に選択的に吸着するものであればよい。具体的には、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。攪拌時間は、多孔性無機材料が活性触媒に選択的に吸着するのに十分な時間であればよく、特に制限されるものではない。
次に、多孔性無機材料の前駆体2を添加し、所定時間攪拌する。多孔性無機材料の前駆体2は、加水分解−縮重合反応によりゲル化するもので、かつ、少なくとも1つの水素原子が電子吸引基に置換されたアルキル基を有する有機シラン化合物を含んでいればよい。電子吸引基としては、ハロゲン類、ニトロ基、シアノ基、トシル基、メシル基などが挙げられる。ハロゲン類としては、具体的には塩素、フッ素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。有機シラン化合物として、具体的には、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、3−ブロモプロピルトリエトキシシラン、またはこれらの混合物などが好ましく用いられる。攪拌時間は、所望の加水分解−縮重合反応を起こすのに十分であればよく、特に制限されるものではない。
その後、試料を洗浄、分離、乾燥し、最後に、熱処理を行い、多孔性無機材料を結晶化させる。洗浄、分離、乾燥の方法は、特に制限されるものではなく、公知のものを利用できる。熱処理時の雰囲気は、特に制限されるものではないが、電極触媒の導電性担体にカーボン材料を含む場合は、酸化反応を防ぐために、不活性ガス雰囲気、還元性ガス雰囲気、またはこれらの混合ガス雰囲気であることが望ましい。不活性ガスとしては、ヘリウム、窒素、アルゴンなどが挙げられる。還元性ガスとしては、水素などが挙げられる。熱処理温度は、所望の細孔構造が得られ、かつ、前記電子吸引基が分解しない範囲で適宜決定すればよい。好ましくは100℃から400℃、より好ましくは150℃から350℃が望ましい。熱処理時間は特に制限されるものではない。
なお、前述の3−クロロプロピルトリエトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、3−ブロモプロピルトリエトキシシラン等のハロゲン化アルキル基を有する有機シラン化合物は、あらかじめナトリウムベンジルアルコキシドと反応させて、ハロゲン化アルキル基を、熱的により安定なベンジルエーテル基に変換してから用いてもよい。その場合、熱処理後にベンジルエーテル基をヒドロキシアルキル基に変換し、その後、ヒドロキシ基を、電子吸引基であるメシラート等に変換すればよい。ベンジルエーテル基をヒドロキシアルキル基に変換する方法は、特に制限されるものではなく、触媒存在下で水素還元するなど、公知の方法を用いることができる。また、ヒドロキシ基をメシラート等に変換する方法も、特に制限されるものではなく、塩基存在下でメタンスルホニルクロリドと反応させるなど、公知の方法を用いることができる。
多孔性無機材料に対する電子吸引基の物質量は、4mmol/g以上であることが望ましい。多孔性無機材料に対する電子吸引基の物質量が4mmol/g未満の場合、後述の、アンモニア、第一級アミン誘導体、第二級アミン誘導体、または第三級アミン誘導体のうち少なくとも1種以上の含窒素化合物を用いて、前記アルキル基を塩基性官能基に変換する変換工程において、十分な量の塩基性官能基が得られなくなる。
(ii)次に、変換工程について一例を説明する。
上記被覆工程で得られた試料を、アンモニア、第一級アミン誘導体、第二級アミン誘導体、または第三級アミン誘導体のうち少なくとも1種以上の含窒素化合物と、所定時間、所定温度で反応させる。アンモニア、第一級アミン誘導体、第二級アミン誘導体、または第三級アミン誘導体としては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ペンチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、N−メチル-o-フェニレンジアミン、N−フェニルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N‘−ジイソブチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N‘−ジ−n−ブチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N−ジメチル-p-フェニレンジアミン、N,N−ジメチル-o-フェニレンジアミン、N,N,N‘−トリメチルエチレンジアミン、N,N,N‘−トリメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N‘−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N‘−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N‘−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N‘−テトラエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N‘−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N,N’,N‘−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N,N’,N‘−テトラメチル-p-フェニレンジアミン、1,3−ジフェニルグアニジン、1,2、3−トリフェニルグアニジン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどが挙げられる。これらを所定の溶媒に分散させてもよい。該溶媒としては、水、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、トルエン、ヘキサン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、またはこれらの混合物が挙げられるが、特に制限されるものではない。該時間、該温度については、所望の反応を起こすのに十分であればよく、特に制限されるものではない。
上記変換工程で、第三級アミン誘導体を含む含窒素化合物を用い、4級アンモニウム基を得た場合、上記変換工程で得られた試料を所定の水溶液中に浸漬し、対イオンをヒドロキシイオン、炭酸イオン、重炭酸イオン等に置換した後、純水で洗浄するのが望ましい。該水溶液としては、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液などが挙げられるが、特に制限されるものではない。浸漬時間については、対イオンを置換するのに十分であればよく、特に制限されるものではない。
上記変換工程の後、熱処理によって、前記電子吸引基のうち未反応のものを分解させるのが望ましい。熱処理時の雰囲気は、特に制限されるものではないが、電極触媒の導電性担体にカーボン材料を含む場合は、酸化反応を防ぐために、不活性ガス雰囲気、還元性ガス雰囲気、またはこれらの混合ガス雰囲気であることが望ましい。不活性ガスとしては、ヘリウム、窒素、アルゴンなどが挙げられる。還元性ガスとしては、水素などが挙げられる。熱処理温度は、前記電子吸引基のうち未反応のものが分解し、かつ、前記変換工程で修飾された塩基性官能基が分解しない範囲で適宜決定すればよい。好ましくは100℃から600℃、より好ましくは150℃から350℃が望ましい。熱処理時間は特に制限されるものではない。
(3)燃料電池
次に、本発明の一実施形態に係る燃料電池について、図面を参照しながら説明する。
図4は、実施形態に係る燃料電池20の構造を示す模式図である。燃料電池20は、平板状の膜電極接合体21を備え、この膜電極接合体21の両側にはセパレータ22aおよびセパレータ22bが設けられている。セパレータ22aやセパレータ22bを介して複数の燃料電池20が積層されることにより、燃料電池スタックを構成する積層体が形成される。
膜電極接合体21は、電解質膜23、アノード24a、およびカソード24bを有する。アノード24aは、アノード触媒層25aとアノードガス拡散層26aとからなる積層体を有する。一方、カソード24bは、カソード触媒層25bとカソードガス拡散層26bとからなる積層体を有する。アノード触媒層25aとカソード触媒層25bは、電解質膜23を挟んで対向するように設けられている。アノードガス拡散層26aは、電解質膜23とは反対側のアノード触媒層25aの面に設けられている。また、カソードガス拡散層26bは、電解質膜23とは反対側のカソード触媒層25bの面に設けられている。
アノード24a側に設けられるセパレータ22aにはガス流路27aが設けられている。燃料供給用のマニホールド(図示せず)から、水素、または水素を含む改質ガスがガス流路27aに分配され、ガス流路27aを通じて膜電極接合体21に水素、または水素を含む改質ガスが供給される。同様に、カソード24b側に設けられるセパレータ22bにはガス流路27bが設けられている。酸化剤供給用のマニホールド(図示せず)から酸化剤として空気がガス流路27bに分配され、ガス流路27bを通じて膜電極接合体21に空気が供給される。
以下に、これらの構成要素ごとに説明する。
(i)電解質膜
電解質膜23は、高いガス遮断性と高いプロトン伝導性を有するものであればよい。好ましくは、高いガス遮断性と高いプロトン伝導性に加えて、高い化学的・機械的耐久性を有するものが好ましい。具体的には、酸性官能基を有する、パーフルオロカーボン重合体、芳香族ポリエーテルエーテルケトン、またはポリスルホンなどが挙げられる。酸性官能基としては、スルホン酸、ホスホン酸、またはカルボン酸などが挙げられる。スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体の例として、ナフィオン(デュポン社製:登録商標)などが挙げられる。
電解質膜23の膜厚は、5〜300μmであることが好ましい。電解質膜23の膜厚が5μmより薄いと、十分なガス遮断性と機械的耐久性とを得にくくなる。電解質膜23の膜厚が300μmより厚いと、プロトン伝導抵抗が大きくなり、十分な発電性能を得にくくなる。
(ii)触媒層
本発明の一実施形態に係る燃料電池20は、アノード触媒層25aとカソード触媒層25bのうち、少なくとも一方に、本発明の固体高分子形燃料電池用電極材料からなることを特徴とするものである。好ましくはカソード触媒層25bが、より好ましくはアノード触媒層25aとカソード触媒層25bの両方が、本発明の固体高分子形燃料電池用電極材料からなることが望ましい。
本実施の形態で用いられる固体高分子形燃料電池用電極材料については、既に説明した通りであるので、ここでの説明は省略する。
本実施の形態の固体高分子形燃料電池用電極材料からなる触媒層の厚さは、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは1〜50μmである。触媒層の厚さが0.1μmより薄いと、含まれる活性触媒の量が少ないため、十分な発電性能を得にくくなる。触媒層の厚さが100μmより厚いと、電極反応に必要なプロトン伝導、ガス拡散が阻害され、十分な発電性能を得にくくなる。
アノード触媒層25aとカソード触媒層25bのうち、いずれか一方のみが上述した体高分子形燃料電池用電極材料からなる場合は、もう一方には公知の触媒層を用いることができる。公知の触媒層は、主として、導電性担体に金属粒子が担持された形態である電極触媒と、プロトン伝導性を有するイオノマーとで構成される。公知の触媒層の厚さは、本発明の体高分子形燃料電池用電極材料からなる触媒層の厚さと同様の範囲でよい。
(iii)ガス拡散層
ガス拡散層26は、ガス拡散基材により形成される。ガス拡散基材は、電子伝導性を有する多孔体で構成であればよく、公知のものが使用でき、たとえば、金属板、金属フィルム、導電性高分子、カーボンペーパー、カーボンの織布または不織布などが挙げられる。
(iv)セパレータ
セパレータ22は、高い導電性と高い耐腐食性を有していればよく、公知のものが使用できる。たとえば、炭素板等のカーボン材料、またはステンレスなどが挙げられる。
以上説明した電極材料によれば、電極触媒の表面の少なくとも一部を多孔性無機材料が被覆し、当該多孔性無機材料の細孔表面が、塩基性官能基で修飾され、かつ、前記塩基性官能基の当量が、前記多孔性無機材料に対して4meq/g以上であることにより、触媒活性及び耐久性の向上が図られる。
なお、上述の実施の形態では、燃料電池が例示されているが、上記燃料電池と同様な構成を電解セルとして用いることが可能である。
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれ得るものである。
以下、本発明の実施例を説明するが、これら実施例は、本発明を好適に説明するための例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
(実施例1)
実施例1に係る電極触媒を以下の工程に従って作製した。
(1)導電性担体上に活性触媒が担持された電極触媒を作製する工程
PdCl360mgとカーボンブラック(CB)500mgを純水300ml中に分散させ、60℃で30分間超音波処理を行った後、そのまま溶液をドライアップした。得られた試料を60℃で一晩乾燥させた後、350℃で水素還元した。得られた試料を、以下、Pd/CBと記す。ICP発光分析より測定されたPd/CBにおけるPdの濃度は28wt%であった。
(2)電極触媒の表面の少なくとも一部を多孔性無機材料で被覆する工程
上記工程で得たPd/CB550mgを純水220ml中に分散させ、60℃で5分間超音波処理を行った。次に、トリエチルアミンを適量添加して溶液のpHを約10にした後、3−アミノプロピルトリエトキシシラン68mgを添加し、30分間攪拌した。次に、テトラエトキシシラン64mg及びクロロメチルトリエトキシシラン1476mgを添加し、60℃で24時間攪拌した。その後、遠心分離により試料を回収し、60℃で一晩乾燥させた。得られた試料をH/N(H:10vol%)流通下、200℃で120分間熱処理し、多孔性無機材料を結晶化した。得られた試料を、以下、CM−SiO/Pd/CBと記す。ICP発光分析より測定されたCM−SiO/Pd/CBの各構成要素の質量比は、CM−SiO/Pd/CB=51%/14%/35%であった。また、燃焼イオンクロマトグラフより測定された、CM−SiOに対するClの物質量は8.9mmol/gであった。
(3)アルキル基を塩基性官能基に変換する変換工程
上記工程で得たCM−SiO/Pd/CB300mgをN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン50ml中に分散させた後、80℃で7日間反応させ、クロロメチル基を4級アンモニウムに変換した。その後、遠心分離により試料を回収し、1Mの炭酸水素ナトリウム水溶液100ml中に室温で2時間浸漬してイオン交換し、濾過、洗浄して、60℃で一晩乾燥させた。得られた試料を、以下、TMEDA−SiO/Pd/CBと記す。CNH元素分析より測定された、TMEDA−SiOに対する塩基性官能基の当量は、8.2meq/gであった。また、燃焼イオンクロマトグラフより測定された、TMEDA−SiOに対する残留Clの物質量は0.4mmol/gであった。透過電子顕微鏡より、Pd/CBが、TMEDA−SiOで被覆されていることが確認できた。また、平均被覆厚みは約3nmと見積もられた(図2参照)。
(実施例2)
実施例1の作製方法で得たTMEDA−SiO/Pd/CBを、H/N(H:10vol%)流通下、250℃で120分間熱処理し、残留Clを除去して実施例2の電極触媒を作製した。CNH元素分析より測定された、TMEDA−SiOに対する塩基性官能基の当量は、7.6meq/gであった。また、燃焼イオンクロマトグラフより測定された、TMEDA−SiOに対する残留Clの物質量は0.1mmol/g以下であった。
(実施例3)
実施例3に係る電極触媒を以下の工程に従って作製した。
(1)導電性担体上に活性触媒が担持された電極触媒を作製する工程
実施例1(1)の工程に準じ、Pd/CBを得た。
(2)電極触媒の表面の少なくとも一部を多孔性無機材料で被覆する工程
実施例1(2)の工程に準じ、CM−SiO/Pd/CBを得た。
(3)アルキル基を塩基性官能基に変換する変換工程
上記工程で得たCM−SiO/Pd/CB300mgをトリエチルアミン50ml中に分散させ、80℃で7日間反応させ、クロロメチル基を4級アンモニウムに変換した。その後、遠心分離により試料を回収し、1Mの炭酸水素ナトリウム水溶液100ml中に室温で2時間浸漬してイオン交換し、濾過、洗浄して、60℃で一晩乾燥させた。得られた試料を、以下、TEA−SiO/Pd/CBと記す。CNH元素分析より測定された、TEA−SiOに対する塩基性官能基の当量は、4.5meq/gであった。また、燃焼イオンクロマトグラフより測定された、TMEDA−SiOに対する残留Clの物質量は0.2mmol/gであった。
(実施例4)
実施例3の作製方法で得たTEA−SiO/Pd/CBを、H/N(H:10vol%)流通下、250℃で120分間熱処理し、残留Clを除去して実施例4の電極触媒を作製した。CNH元素分析より測定された、TEA−SiOに対する塩基性官能基の当量は、4.2meq/gであった。また、燃焼イオンクロマトグラフより測定された、TEA−SiOに対する残留Clの物質量は0.1mmol/g以下であった。
(実施例5)
実施例5に係る電極触媒を以下の工程に従って作製した。
(1)導電性担体上に活性触媒が担持された電極触媒を作製する工程
実施例1(1)の工程に準じ、Pd/CBを得た。
(2)電極触媒の表面の少なくとも一部を多孔性無機材料で被覆する工程
上記工程で得たPd/CB550mgを純水220ml中に分散させ、60℃で5分間超音波処理を行った。次に、トリエチルアミンを適量添加して溶液のpHを約10にした後、3−アミノプロピルトリエトキシシラン68mgを添加し、30分間攪拌した。次に、テトラエトキシシラン64mg及びブロモメチルトリエトキシシラン1788mgを添加し、60℃で24時間攪拌した。その後、遠心分離により試料を回収し、60℃で一晩乾燥させた。得られた試料をH/N(H:10vol%)流通下、200℃で120分間熱処理し、多孔性無機材料を結晶化した。得られた試料を、以下、BM−SiO/Pd/CBと記す。ICP発光分析より測定されたBM−SiO/Pd/CBの各構成要素の質量比は、BM−SiO/Pd/CB=54%/13%/33%であった。また、燃焼イオンクロマトグラフより測定された、BM−SiOに対するBrの物質量は6.4mmol/gであった。
(3)アルキル基を塩基性官能基に変換する変換工程
上記工程で得たBM−SiO/Pd/CB300mgをトリエチルアミン50ml中に分散させ、80℃で7日間反応させ、クロロメチル基を4級アンモニウムに変換した。その後、遠心分離により試料を回収し、1Mの炭酸水素ナトリウム水溶液100ml中に室温で2時間浸漬してイオン交換し、濾過、洗浄して、60℃で一晩乾燥させた。さらに、H/N(H:10vol%)流通下、250℃で120分間熱処理し、残留Clを除去した。得られた試料を、以下、TEA(Br)−SiO/Pd/CBと記す。CNH元素分析より測定された、TEA(Br)−SiOに対する塩基性官能基の当量は、4.1meq/gであった。また、燃焼イオンクロマトグラフより測定された、TEA(Br)SiOに対する残留Clの物質量は0.1mmol/g以下であった。
(実施例6)
実施例6に係る電極触媒を以下の工程に従って作製した。
(1)導電性担体上に活性触媒が担持された電極触媒を作製する工程
実施例1(1)の工程に準じ、Pd/CBを得た。
(2)電極触媒の表面の少なくとも一部を多孔性無機材料で被覆する工程
クロロメチルトリエトキシシラン10.6gとナトリウムベンジルアルコキシド5.9gを、トルエン300ml溶媒中、60℃で12時間反応させ、ベンジル(トリエトキシリルメチル)エーテルを得た。上記工程で得たPd/CB550mgを純水220ml中に分散させ、60℃で5分間超音波処理を行った。次に、トリエチルアミンを適量添加して溶液のpHを約10にした後、3−アミノプロピルトリエトキシシラン68mgを添加し、30分間攪拌した。次に、テトラエトキシシラン64mg及びベンジル(トリエトキシリルメチル)エーテル1870mgを添加し、60℃で24時間攪拌した。その後、遠心分離により試料を回収し、60℃で一晩乾燥させた。得られた試料をH/N(H:10vol%)流通下、200℃で120分間熱処理し、多孔性無機材料を結晶化すると同時に、ベンジルエーテル基をヒドロキシアルキル基に変換した。得られた試料を、以下、OH−SiO/Pd/CBと記す。
(3)アルキル基を塩基性官能基に変換する変換工程
上記工程で得たOH−SiO/Pd/CB300mgをN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン50ml中に分散させ、メタンスルホニルクロリド800mgを添加し、80℃で3日間反応させた。これにより、ヒドロキシ基をメシラートに変換し、さらにメシラートを4級アンモニウム基に変換した。その後、遠心分離により試料を回収し、1Mの炭酸水素ナトリウム中に室温で2時間浸漬してイオン交換し、濾過、洗浄して、60℃で一晩乾燥させた。さらに、H/N(H:10vol%)流通下、250℃で120分間熱処理し、残留Clを除去した。得られた試料を、以下、TMEDA(OH)−SiO/Pd/CBと記す。CNH元素分析より測定された、TMEDA(OH)−SiOに対する塩基性官能基の当量は、6.1meq/gであった。また、燃焼イオンクロマトグラフより測定された、TMEDA(OH)−SiOに対する残留Clの物質量は0.1mmol/g以下であった。
(実施例7)
実施例7に係る電極触媒を以下の工程に従って作製した。
(1)導電性担体上に活性触媒が担持された電極触媒を作製する工程
RuCl・nHO400mgとカーボンブラック(CB)600mgを純水300ml中に分散させ、60℃で30分間超音波処理を行った。その後、KOH水溶液(KOH:10mM)を、溶液のpHが約9になるまで滴下し、60℃で120分間攪拌した。その後、遠心分離により試料を回収し、純水中に分散させ、室温で120分間攪拌し、洗浄を行った。同様の洗浄をさらに2回繰り返した後、遠心分離で試料を回収し、120℃で一晩乾燥した。得られた試料を、以下、RuO2−x/CBと記す。ICP発光分析より測定されたRuO2−x/CBにおけるRuO2−xの濃度は35wt%であった。
(2)電極触媒の表面の少なくとも一部を多孔性無機材料で被覆する工程
上記工程で得たRuO2−x/CB450mgを純水220ml中に分散させ、60℃で5分間超音波処理を行った。次に、トリエチルアミンを適量添加して溶液のpHを約10にした後、3−アミノプロピルトリエトキシシラン70mgを添加し、30分間攪拌した。次に、テトラエトキシシラン66mg及びクロロメチルトリエトキシシラン1510mgを添加し、60℃で24時間攪拌した。その後、遠心分離により試料を回収し、60℃で一晩乾燥させた。得られた試料をN流通下、200℃で120分間熱処理し、多孔性無機材料を結晶化した。得られた試料を、以下、CM−SiO/RuO2−x/CBと記す。ICP発光分析より測定されたCM−SiO/RuO2−x/CBの各構成要素の質量比は、CM−SiO/RuO2−x/CB=50%/16%/34%であった。また、燃焼イオンクロマトグラフより測定された、CM−SiOに対するClの物質量は8.9mmol/gであった。
(3)アルキル基を塩基性官能基に変換する変換工程
上記工程で得たCM−SiO/RuO2−x/CB300mgをN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン50ml中に分散させ、80℃で7日間反応させ、クロロメチル基を4級アンモニウムに変換した。その後、遠心分離により試料を回収し、1Mの炭酸水素ナトリウム水溶液100mlg中に室温で2時間浸漬してイオン交換し、濾過、洗浄して、60℃で一晩乾燥させた。さらに、H/N(H:10vol%)流通下、250℃で120分間熱処理し、残留Clを除去した。得られた試料を、以下、TMEDA−SiO/RuO2−x/CBと記す。CNH元素分析より測定された、TMEDA−SiOに対する塩基性官能基の当量は、7.5meq/gであった。また、燃焼イオンクロマトグラフより測定された、TMEDA−SiOに対する残留Clの物質量は0.1mmol/g以下であった。
(実施例8)
実施例8に係る電極触媒を以下の工程に従って作製した。
(1)導電性担体上に活性触媒が担持された電極触媒を作製する工程
実施例7(1)の工程に準じ、RuO2−x/CBを得た。
(2)電極触媒の表面の少なくとも一部を多孔性無機材料で被覆する工程
実施例7(2)の工程に準じ、CM−SiO/RuO2−x/CBを得た。
(3)アルキル基を塩基性官能基に変換する変換工程
上記工程で得たCM−SiO/RuO2−x/CB300mgをトリエチルアミン50ml中に分散させ、80℃で7日間反応させ、クロロメチル基を4級アンモニウムに変換した。その後、遠心分離により試料を回収し、1Mの炭酸水素ナトリウム水溶液100ml中に室温で2時間浸漬してイオン交換し、濾過、洗浄して、60℃で一晩乾燥させた。さらに、H/N(H:10vol%)流通下、250℃で120分間熱処理し、残留Clを除去した。得られた試料を、以下、TEA−SiO/RuO2−x/CBと記す。CNH元素分析より測定された、TEA−SiOに対する塩基性官能基の当量は、4.3meq/gであった。また、燃焼イオンクロマトグラフより測定された、TEA−SiOに対する残留Clの物質量は0.1mmol/g以下であった。
(実施例9)
実施例9に係る電極触媒を以下の工程に従って作製した。
(1)導電性担体上に活性触媒が担持された電極触媒を作製する工程
AgNO150mgとカーボンブラック(CB)500mgを純水300ml中に分散させ、60℃で30分間超音波処理を行った後、そのまま溶液をドライアップした。得られた試料を60℃で一晩乾燥させた後、400℃で水素還元した。得られた試料を、以下、Ag/CBと記す。ICP発光分析より測定されたAg/CBにおけるAgの濃度は15wt%であった。
(2)電極触媒の表面の少なくとも一部を多孔性無機材料で被覆する工程
上記工程で得たAg/CB1000mgを純水220ml中に分散させ、60℃で5分間超音波処理を行った。次に、トリエチルアミンを適量添加して溶液のpHを約10にした後、3−アミノプロピルトリエトキシシラン66mgを添加し、30分間攪拌した。次に、テトラエトキシシラン62mg及びクロロメチルトリエトキシシラン1598mgを添加し、60℃で24時間攪拌した。その後、遠心分離により試料を回収し、60℃で一晩乾燥させた。得られた試料をH/N(H:10vol%)流通下、200℃で120分間熱処理し、多孔性無機材料を結晶化した。得られた試料を、以下、CM−SiO/Ag/CBと記す。ICP発光分析より測定されたCM−SiO/Ag/CBの各構成要素の質量比は、CM−SiO/Ag/CB=27%/11%/62%であった。また、燃焼イオンクロマトグラフより測定された、CM−SiOに対するClの物質量は9.1mmol/gであった。
(3)アルキル基を塩基性官能基に変換する変換工程
上記工程で得たCM−SiO/Ag/CB300mgをN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン50ml中に分散させ、80℃で7日間反応させ、クロロメチル基を4級アンモニウムに変換した。その後、遠心分離により試料を回収し、1Mの炭酸水素ナトリウム水溶液100ml中に室温で2時間浸漬してイオン交換し、濾過、洗浄して、60℃で一晩乾燥させた。さらに、H/N(H:10vol%)流通下、250℃で120分間熱処理し、残留Clを除去した。得られた試料を、以下、TMEDA−SiO/Ag/CBと記す。CNH元素分析より測定された、TMEDA−SiOに対する塩基性官能基の当量は、8.1meq/gであった。また、燃焼イオンクロマトグラフより測定された、TMEDA−SiOに対する残留Clの物質量は0.1mmol/g以下であった。
(実施例10)
実施例10に係る電極触媒を以下の工程に従って作製した。
(1)導電性担体上に活性触媒が担持された電極触媒を作製する工程
実施例9(1)の工程に準じ、Ag/CBを得た。
(2)電極触媒の表面の少なくとも一部を多孔性無機材料で被覆する工程
実施例9(2)の工程に準じ、CM−SiO/Ag/CBを得た。
(3)アルキル基を塩基性官能基に変換する変換工程
上記工程で得たCM−SiO/Ag/CB300mgをトリエチルアミン50ml中に分散させ、80℃で7日間反応させ、クロロメチル基を4級アンモニウムに変換した。その後、遠心分離により試料を回収し、1Mの炭酸水素ナトリウム水溶液100ml中に室温で2時間浸漬してイオン交換し、濾過、洗浄して、60℃で一晩乾燥させた。さらに、H/N(H:10vol%)流通下、250℃で120分間熱処理し、残留Clを除去した。得られた試料を、以下、TEA−SiO/Ag/CBと記す。CNH元素分析より測定された、TEA−SiOに対する塩基性官能基の当量は、4.5meq/gであった。また、燃焼イオンクロマトグラフより測定された、TEA−SiOに対する残留Clの物質量は0.1mmol/g以下であった。
(比較例1)
比較例1に係る電極触媒を以下の工程に従って作製した。
(1)導電性担体上に活性触媒が担持された電極触媒を作製する工程
実施例1(1)の工程に準じ、Pd/CBを得た。
(2)電極触媒の表面の少なくとも一部を多孔性無機材料で被覆する工程
上記工程で得たPd/CB550mgを純水220ml中に分散させ、60℃で5分間超音波処理を行った。次に、トリエチルアミンを適量添加して溶液のpHを約10にした後、3−アミノプロピルトリエトキシシラン68mgを添加し、60℃で30分間攪拌した。次に、テトラエトキシシラン800mgを添加し、60℃で180分間攪拌した。その後、遠心分離により試料を回収し、60℃で一晩乾燥させた。得られた試料をH/N(H:10vol%)流通下、350℃で120分間熱処理し、多孔性無機材料を結晶化した。得られた試料を、以下、SiO/Pd/CBと記す。ICP発光分析より測定されたSiO/Pd/CBの各構成要素の質量比は、SiO/Pd/CB/=25%/21%/54%であった。
(3)多孔性無機材料を塩基性官能基で修飾する工程
上記工程で得たSiO/Pd/CB300mgをトルエン50ml中に分散させ、室温で5分間超音波処理を行った。次に、トリメチル[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロリド(50wt%メタノール溶液)280mgを添加し、室温で120分間攪拌した。その後、遠心分離により試料を回収し、メタノール/水(メタノール:80vol%)100ml中に分散させて、室温で30分間攪拌し、洗浄を行った。その後、再び遠心分離により試料を回収し、120℃で一晩乾燥した。得られた試料を1Mの炭酸水素ナトリウム中に室温で2時間浸漬してイオン交換し、濾過、洗浄して、60℃で一晩乾燥させた。得られた試料を、以下、TMPA−SiO/Pd/CBと記す。CNH元素分析より測定された、TMPA−SiOに対する塩基性官能基の当量は、2.5meq/gであった。
(比較例2)
比較例2に係る電極触媒を以下の工程に従って作製した。
(1)導電性担体上に活性触媒が担持された電極触媒を作製する工程
実施例1(1)の工程に準じ、Pd/CBを得た。
(2)電極触媒の表面の少なくとも一部を多孔性無機材料で被覆する工程
比較例1(2)の工程に準じ、SiO/Pd/CBを得た。
(3)多孔性無機材料を塩基性官能基で修飾する工程
上記工程で得たSiO/Pd/CB300mgをトルエン50ml中に分散させ、室温で5分間超音波処理を行った。次に、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン250mgを添加し、室温で120分間攪拌した。その後、遠心分離により試料を回収し、メタノール/水(メタノール:80vol%)中に分散させて、室温で30分間攪拌し、洗浄を行った。その後、再び遠心分離により試料を回収し、120℃で一晩乾燥した。得られた試料を、以下、AEAP−SiO/Pd/CBと記す。CNH元素分析より測定された、AEAP−SiOに対する塩基性官能基の当量は、3.3meq/gであった。
(比較例3)
比較例3に係る電極触媒を以下の工程に従って作製した。
(1)導電性担体上に活性触媒が担持された電極触媒を作製する工程
実施例1(1)の工程に準じ、Pd/CBを得た。
(2)電極触媒の表面の少なくとも一部を多孔性無機材料で被覆する工程
比較例1(2)の工程に準じ、SiO/Pd/CBを得た。
(比較例4)
比較例4に係る電極触媒を以下の工程に従って作製した。
(1)導電性担体上に活性触媒が担持された電極触媒を作製する工程
実施例7(1)の工程に準じ、RuO2−x/CBを得た。
(2)電極触媒の表面の少なくとも一部を多孔性無機材料で被覆する工程
上記工程で得たRuO2−x/CB450mgを純水220ml中に分散させ、60℃で5分間超音波処理を行った。次に、トリエチルアミンを適量添加して溶液のpHを約10にした後、3−アミノプロピルトリエトキシシラン70mgを添加し、60℃で30分間攪拌した。次に、テトラエトキシシラン819mgを添加し、60℃で180分間攪拌した。その後、遠心分離により試料を回収し、60℃で一晩乾燥させた。得られた試料をH/N(H:10vol%)流通下、350℃で120分間熱処理し、多孔性無機材料を結晶化した。得られた試料を、以下、SiO/Pd/CBと記す。ICP発光分析より測定されたSiO/RuO2−x/CBの各構成要素の質量比は、SiO/RuO2−x/CB=27%/26%/47%であった。
(比較例5)
比較例5に係る電極触媒を以下の工程に従って作製した。
(1)導電性担体上に活性触媒が担持された電極触媒を作製する工程
実施例9(1)の工程に準じ、Ag/CBを得た。
(2)電極触媒の表面の少なくとも一部を多孔性無機材料で被覆する工程
上記工程で得たAg/CB1000mgを純水220ml中に分散させ、60℃で5分間超音波処理を行った。次に、トリエチルアミンを適量添加して溶液のpHを約10にし、3−アミノプロピルトリエトキシシラン66mgを添加し、60℃で30分間攪拌した。次に、テトラエトキシシラン1092mgを添加し、60℃で180分間攪拌した。その後、遠心分離により試料を回収し、60℃で一晩乾燥させた。得られた試料をH/N(H:10vol%)流通下、350℃で120分間熱処理し、多孔性無機材料を結晶化した。得られた試料を、以下、SiO/Ag/CBと記す。ICP発光分析より測定されたSiO/Ag/CBの各構成要素の質量比は、SiO/Ag/CB=17%/13%/70%であった。
以下に、実施例1〜10及び比較例1〜5の電極材料をカソード電極材料として用いた固体高分子形燃料電池の単セルの作製方法、及び発電試験の方法について説明する。
<カソード触媒スラリーの作製>
実施例1〜10及び比較例1〜5で得られた各電極材料につき、それぞれ、20wt%Nafion溶液(デュポン社製:登録商標)、水、及び1−プロパノールの混合溶液中に分散させ、室温で60分間超音波処理を行い、カソード触媒スラリーを作製した。ここで、各カソード触媒スラリーは、総体積が50ml、水と1−プロパノールの体積比が水/プロパノール=1/4、含まれる活性触媒が0.5g、カーボンブラックに対するNafionの質量比が1.0となるようにした。
<カソードの作製>
面積5cmのガス拡散基材(カーボンペーパー)に、上記カソード触媒スラリーを塗布してカソード触媒層を形成した後、一晩乾燥させた。なお、それぞれ活性触媒の量が0.5mg/cmとなるようにした。
<アノード触媒スラリーの作製>
白金担持カーボンブラック(TEC10E50E、田中貴金属工業株式会社)を、20wt%Nafion溶液(デュポン社製:登録商標)、水、及び1−プロパノールの混合溶液中に分散させ、室温で60分間超音波処理を行い、カソード触媒スラリーを作製した。ここで、各カソード触媒スラリーは、総体積が50ml、水と1−プロパノールの体積比が水/プロパノール=1/4、含まれる活性触媒(白金)が0.5g、カーボンブラックに対するNafionの質量比が1.0、となるようにした。
<アノードの作製>
面積5cmのガス拡散基材(カーボンペーパー)に、上記アノード触媒スラリーを塗布してアノード触媒層を形成した後、一晩乾燥させた。なお、それぞれ活性触媒(白金)の量が0.5mg/cmとなるようにした。
<膜電極接合体の作製>
上記アノードと上記カソードとの間に電解質膜を狭持した状態でホットプレスを行い、膜電極接合体を作製した。ここで、電解質膜としてNafion212(デュポン社製:登録商標)を用いた。また、ホットプレスの条件は、120℃、5MPa、160秒とした。
<燃料電池の作製>
上記膜電極接合体のアノード面、カソード面に、それぞれ、燃料流路が設けられたセパレータ、酸化剤流路が設けられたセパレータを配設し、燃料電池を作製した。電極の有効面積は5cmで、燃料流路及び酸化剤流路は、ともに1流路のサーペンタイン型流路であり、燃料流路および酸化剤流路は並行流とした。
<発電試験>
実施例1〜10及び比較例1〜5の燃料電池について、それぞれ下記条件で発電試験を行った。発電試験は、初期及び後述の電位サイクル試験後に行った。
アノードガス:H、流量100ml/min
カソードガス:O、流量100ml/min
セル温度:70℃
アノードガス用バブラー温度:70℃
カソードガス用バブラー温度:70℃
<電位サイクル試験>
実施例1〜10及び比較例1〜5の燃料電池について、劣化加速試験として、それぞれ下記条件で電位サイクル試験を行った。
アノードガス:H、流量100ml/min
カソードガス:N、流量100ml/min
セル温度:70℃
アノードガス用バブラー温度:70℃
カソードガス用バブラー温度:70℃
電位走査範囲:0.05V〜1.2V(vs RHE)
電位走査速度:0.5V/s
電位サイクル数:10000回
実施例1〜10及び比較例1〜5の活性触媒、多孔性無機材料に対する塩基性基の当量、同じく残留Clの物質量、及び各電極材料を用いた燃料電池の1000mA/cm発電時の電圧(実施例9,10、比較例5については300mA/cm時の電圧)を表1に示す。また、実施例1〜6、比較例1〜3の多孔性無機材料に対する塩基性基の当量と、1000mA/cm発電時の電圧を図6に示す。
Figure 2015176695
以上から、少なくとも1つの水素原子が電子吸引基に置換されたアルキル基を有する有機シラン化合物を用いて電極触媒の表面を多孔性無機材料で被覆し、含窒素化合物を用いて、上記少なくとも1つの水素原子が電子吸引基に置換されたアルキル基を塩基性官能基に変換することで、4meq/g以上の塩基性基の当量を有する多孔性無機材料で電極触媒が被覆された電極材料が得られ、その結果、各々の活性触媒の活性及び耐久性が著しく向上し、高い発電性能及び耐久性が得られることがわかった。また、熱処理によって残留電子吸引基を除去することで、さらに高い発電性能を示すことがわかった。
10 電極材料、11 活性触媒、12 導電性担体、13 電極触媒、14 多孔性無機材料、15 塩基性官能基、16 電解質

Claims (16)

  1. 電極触媒と、
    前記電極触媒の表面の少なくとも一部を被覆する多孔性無機材料と、
    を備え、
    前記多孔性無機材料の細孔表面が、塩基性官能基で修飾され、
    かつ、前記塩基性官能基の当量が、前記多孔性無機材料に対して4meq/g以上であることを特徴とする電極材料。
  2. 前記塩基性官能基が、第一級アミン誘導体、第二級アミン誘導体、第三級アミン誘導体、または第四級アンモニウム誘導体のうち少なくとも1種以上を含む請求項1に記載の電極材料。
  3. 前記多孔性無機材料が、シリカ(SiO)を含む請求項1または2に記載の電極材料。
  4. 前記多孔性無機材料が電極触媒を被覆している部分における平均被覆厚みが、0.5nm〜100nmである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電極材料。
  5. 前記電極触媒が、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Sn、Ba、La、Ce、Hf、Re、Os、Ir、Pt、Auのうち少なくとも1種以上の元素を含有する金属、金属錯体、酸化物、窒化物、または炭化物からなる活性触媒を含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電極材料。
  6. 前記電極触媒が、前記活性触媒が導電性担体上に担持された形態である請求項5に記載の電極材料。
  7. イオン伝導性を有する電解質膜と、
    前記電解質膜の一方の面に設けられているカソード触媒層と、
    前記電解質膜の一方の面に設けられているアノード触媒層と、
    を備え、
    前記カソード触媒層、前記アノード触媒層のうち、少なくとも一方の触媒層が請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電極材料を備えることを特徴とする膜電極接合体。
  8. 請求項7に記載の膜電極接合体を備えることを特徴とする燃料電池スタック。
  9. 少なくとも1つの水素原子が電子吸引基に置換されたアルキル基を有する有機シラン化合物を前駆体の一部または全部として用いて電極触媒の表面の少なくとも一部を多孔性無機材料で被覆する被覆工程と、
    アンモニア、第一級アミン誘導体、第二級アミン誘導体、または第三級アミン誘導体のうち少なくとも1種以上の含窒素化合物を用いて、前記アルキル基を塩基性官能基に変換する変換工程と、
    を備えることを特徴とする電極材料の製造方法。
  10. 前記変換工程の後、
    熱処理によって、前記電子吸引基のうち未反応のものを分解させる工程を備えることを特徴とする請求項9に記載の電極材料の製造方法。
  11. 前記熱処理の温度が100℃以上600℃未満であることを特徴とする請求項10に記載の電極材料の製造方法。
  12. 前記被覆工程において、
    多孔性無機材料に対する電子吸引基の物質量が4mmol/g以上であることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の電極材料の製造方法。
  13. 前記アルキル基がハロゲン化アルキル基である請求項9乃至12のいずれか1項に記載の電極材料の製造方法。
  14. 前記ハロゲン化アルキル基が、クロロプロピル基、またはクロロメチル基のうち少なくとも1種以上を含む請求項13に記載の電極材料の製造方法。
  15. 前記電極触媒が、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Sn、Ba、La、Ce、Hf、Re、Os、Ir、Pt、Auのうち少なくとも1種以上の元素を含有する金属、金属錯体、酸化物、窒化物、または炭化物からなる活性触媒を含む請求項9乃至14のいずれか1項に記載の電極材料の製造方法。
  16. 前記活性触媒が導電性担体上に担持されている請求項15に記載の電極材料の製造方法。
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