JP2015175757A - 電流センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】本明細書は、L字に屈曲しているバスバ(導電部材)のL字の近傍に磁電変換素子を設置しなければならないときに好適な電流センサの形態を提供する。
【解決手段】電流センサ20は、L字に屈曲しており計測対象の電流を通すバスバ2と磁電変換素子3と磁気遮蔽板4を備える。磁電変換素子3は、バスバのL字の一方の直線部分21の側面であってL字の屈曲の外側の側面21aに隣接して配置されている。磁気遮蔽板4は、バスバのL字の他方の直線部分22の側面であってL字の屈曲の内側の側面22aに沿って配置されている。
【選択図】図1
【解決手段】電流センサ20は、L字に屈曲しており計測対象の電流を通すバスバ2と磁電変換素子3と磁気遮蔽板4を備える。磁電変換素子3は、バスバのL字の一方の直線部分21の側面であってL字の屈曲の外側の側面21aに隣接して配置されている。磁気遮蔽板4は、バスバのL字の他方の直線部分22の側面であってL字の屈曲の内側の側面22aに沿って配置されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、電流センサに関する。
三相交流モータを電流フィードバック制御するシステムでは、三相の出力電流をモニタする電流センサが備えられる。モータの出力が大きい場合、三相交流出力の伝達にはバスバと呼ばれる細長い金属棒あるいは金属板が使われる。三相交流電力は、平行に伸びるバスバで伝達される。電流センサは少なくとも1本のバスバに備えられる。電流センサは、典型的には磁電変換素子であり、バスバを流れる電流に起因する磁界を検知する。検知した磁界の大きさでバスバを流れる電流の大きさが解る。
従来は計測対象のバスバをC字型の集磁コアで囲み、C字の切れ目に磁電変換素子を配置していた。近年、磁電変換素子の感度が向上し、集磁コアなしで磁電変換素子だけで電流を計測する電流センサが登場している。集磁コアを要しないため、この電流センサは小型で低コストである。しかし、集磁コアを備えないため、磁電変換素子は、計測対象以外のバスバを流れる電流に起因する磁界を検知してしまう。すなわち、計測精度が高くはない。
そこで、集磁コアを備えず、計測対象の電流を流す細長平板状の金属部材(バスバ)と磁電変換素子で構成された電流センサの感度を高める技術が検討されている(特許文献1−2)。特許文献1の技術は次の通りである。計測対象の電流を流す導電部材の一部がL字に屈曲させられる。そのL字の屈曲の内側に磁電変換素子が配置される。磁電変換素子は、その2方向をL字の導電部材で囲まれる。L字を含む平面内で、L字の導電部材で囲まれていない磁電変換素子の他の2方向が磁気遮蔽板によって囲まれる。導電部材を流れる電流により、L字の2つの直線部分の夫々が発生する磁束が磁電変換素子を貫通する。従って磁電変換素子が計測する磁束が強くなり、その結果、電流の計測精度が高まる。また、L字の導電部材は、L字が囲む2方向から来るノイズを遮断する役割も果たす。磁気遮蔽板は、他の2方向から来るノイズを遮断する。
特許文献2に開示された技術は次の通りである。計測対象の電流を流す細長平板状の金属材がU字に曲げられ、U字の先端を互いに逆方向に直角に屈曲させた導電部材のU字の内側に磁電変換素子が配置される。U字部分が空芯コアとなり、導電部材を流れる電流による磁束はU字の内側に集中する。従って磁電変換素子が計測する磁束が強くなり、その結果、電流の計測精度が高まる。
以下では、集磁コアを備えずに導電部材と磁電変換素子で構成される電流センサをコアレス電流センサと称することにする。
電流センサの適用先の一つに電動車両に搭載され、走行用のモータに電力を供給する電力変換器が挙げられる。電力変換器は走行用モータを電流制御するので三相交流出力用のバスバの夫々に電流センサが設けられる。例えば、図4にそのようなバスバの一例を示す。図4に示すように、三相交流を出力するため、3本のバスバ91が平行に並んでいる。バスバ91の一端91aは、インバータ回路のパワーデバイスの端子に接続される。バスバ91の孔が設けられた他端91bは、モータに電力を供給するパワーケーブルが接続されるコネクタの端子に相当する。図4の例では、各バスバに電流センサの集磁コア92が配置されている。C字の集磁コアの切れ目に磁電変換素子が配置されるが図4ではその図示は省略されている。なお、符号93は、磁電変換素子の信号を処理する基板である。図では省略しているが、3個の集磁コア92と磁電変換素子、及び、基板93は、樹脂でモールドされる。
車載機器には小型化も求められる。バスバの配索も自由度が少なく、図4に典型的に示されているように、バスバを数回屈曲させることも珍しくない。長く直線的な導電部材であれば、発生する磁界は導電部材を中心に円筒状に形成されるので、磁電変換素子に影響を与える磁束は導電部材に直交する平面内だけで考慮すればよい。しかしながら、図4に示すように導電部材が屈曲している場合、屈曲している箇所では磁界は三次元的な拡がりを有する。そのようなバスバにコアレス電流センサが採用されると、隣接するバスバだけでなく、計測対象の電流が流れる自らのバスバが発生する磁束が磁電変換素子のノイズとなる可能性がある。
本明細書は上記の課題に鑑みて創作された。本明細書が開示する技術は、例えば他のデバイスとの搭載レイアウトの都合でL字に屈曲しているバスバ(導電部材)のL字の近傍に磁電変換素子を設置しなければならないときに好適な電流センサの形態を提供する。
本明細書が開示する電流センサの一態様は、L字に屈曲しており、計測対象の電流を通す導電部材と、磁電変換素子と、磁気遮蔽板を備える。磁電変換素子は、導電部材のL字の一方の直線部分の側面であってL字の屈曲の外側の側面に隣接して配置されている。磁気遮蔽板は、導電部材のL字の他方の直線部分の側面であってL字の屈曲の内側の側面に沿って配置されている。以下では、L字の導電部材の一部であって、磁電変換素子が隣接している直線部分を「計測部位」と称し、計測部位に対して屈曲している他方の直線部分を「非計測部位」と称する。
上記の電流センサでは、磁電変換素子が計測部位から発生する磁束を計測する。同時に上記の電流センサでは、磁気遮蔽板が、非計測部位から発生する磁束を磁電変換素子から遮断する。本明細書が開示する技術は、特許文献1や2の技術ように導電部材を意図的に屈曲させて磁電変換素子を貫通する磁束を増大させるのではなく、むしろ逆に、磁電変換素子には隣接する近傍の導電部材の部位からの磁束だけを選択的に計測させる。即ち、この技術により、他の部位が発生する磁束が遮断される。そのような機能により、磁電変換素子が計測する磁束と電流の関係を精密に特定することができ、それによって電流センサの感度が高まる。
本明細書が開示する技術によれば、集磁コアを要しない電流センサの感度を高めることができる。本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
(第1実施例)図1を参照して第1実施例の電流センサ20を説明する。図1に示すように、電流センサ20は、屈曲したバスバ2(導通部材)と磁電変換素子3と磁気遮蔽板4により構成されている。図1に示すように、電流センサ20は、集磁コアを有していない。図中の太線矢印の方向に示すように、バスバ2には計測対象の電流が流れると仮定する。図中に示すバスバ2は、延伸するバスバの一部である。なお、本明細書で開示する技術は、特定の形状を有しているバスバに対する磁電変換素子と磁気遮蔽板のレイアウトにより磁電変換素子の計測精度を高めることに関する。そのため、特定の形状を有しているバスバの一部も、電流センサ20を構成する要素の一部である。以下、電流センサ20を「コアレス電流センサ20」と称する。また、図中には座標系が示されており、本明細書では適時その座標系を用いて、実施例の構成を説明する。
図1に示すように、バスバ2は2箇所でL字形状に屈曲している。以下、2箇所の内、電流の流れにおける下流側に位置するL字に屈曲した部分について説明する。ここで、このL字部分において、L字の一方の直線部分であって、電流の下流側に位置する部位を「計測部位21」と称し、L字の他方の直線部分であって、電流の上流側に位置する部位を「非計測部位22」と称する。
磁電変換素子3は、計測部位21の側面であってL字の屈曲の外側の側面21aに隣接して配置されている。
図中では、側面21aは計測部位21の上面に相当する。計測部位21には、電流の流れる方向(Y軸の負の方向)に直交する断面を囲うように磁束が発生し、この磁束は計測部位21の側面21aに配置された磁電変換素子3を通過する。磁電変換素子3を通過するこの磁束の大きさから計測部位21(バスバ2)を流れる電流の大きさを計測することができる。
図中では、側面21aは計測部位21の上面に相当する。計測部位21には、電流の流れる方向(Y軸の負の方向)に直交する断面を囲うように磁束が発生し、この磁束は計測部位21の側面21aに配置された磁電変換素子3を通過する。磁電変換素子3を通過するこの磁束の大きさから計測部位21(バスバ2)を流れる電流の大きさを計測することができる。
磁気遮蔽板4は、強磁性体材料、具体的には鉄で作られた平板である。磁気遮蔽板4は、バスバ2の非計測部位22の側面であってL字の屈曲の内側の側面22aに沿って配置されている。
磁気遮蔽板4は、その幅広の側面と側面22aが対向するように配置されている。また、磁気遮蔽板4は、計測部位21の延伸方向(Y軸方向)から見たときに、非計測部位22を挟んで線対称になっている。
磁気遮蔽板4は、その幅広の側面と側面22aが対向するように配置されている。また、磁気遮蔽板4は、計測部位21の延伸方向(Y軸方向)から見たときに、非計測部位22を挟んで線対称になっている。
理論的には、バスバを流れる電流に起因する磁束は、電流の流れ方向と直交するバスバの断面を囲うように発生する。しかし、実施例のように、バスバが屈曲している場合、屈曲している箇所では磁束は三次元的な拡がりを有する。図1では、符号MF1で示す矢印が、その磁束の一例を表している。なお、非計測部位22が発する磁束は前述したように3次元的に拡がるが、矢印線MF1は、その一部だけを示している。磁束MF1は、非計測部位22を流れる電流に起因して発生する磁束であり、磁束MF1は、非計測部位22の電流の流れ方向と直交する断面に対して、計測部位21が位置する方向に向かって斜めになるように発生する。ここで、L字の屈曲の内側には、磁気遮蔽板4が非計測部位22の側面22aに沿って配置されている。実線矢印MF1に続く破線矢印で示すように、磁束MF1は磁気遮蔽板4によって遮断され、磁気遮蔽板4を境に計測部位21が位置する側には、非計測部位22に流れる電流に起因する磁束がほとんど発生しない(破線矢印は、磁束が存在しない、あるいは、磁束MF1よりも遥かに弱い磁束しか存在しないことを表している)。したがって、計測部位21に位置する磁電変換素子3は、計測部位21を流れる電流に起因する磁束だけを選択的に計測することができる。よって、磁電変換素子が計測する磁束と電流の関係を精密に特定することができ、それによって電流センサ20の感度を高めることができる。
(第2実施例)図2を参照して第2実施例の電流センサ100について説明する。電流センサ100のバスバ12は、第1実施例の電流センサ20のバスバ2の下流側の先をさらにL字に屈曲させた形状をしている。即ち、バスバ12の延伸方向と直交するバスバ幅方向(X軸方向)から見ると、バスバ12はU字に直角に屈曲した形状をしている。磁電変換素子13は、そのU字形状の底に相当する直線部分121の側面であって、U字の屈曲の外側に相当する側面121aに隣接して配置されている。また、電流センサ100は2枚の磁気遮蔽板14b、14cを備えている。磁気遮蔽板14bは、U字形状の一方の縦の直線に相当する直線部分122の側面であって、U字の屈曲の内側に相当する側面122aに沿って配置されている。磁気遮蔽板14cは、U字形状の他方の縦の直線に相当する直線部分123の側面であって、U字の屈曲の内側に相当する側面123aに沿って配置されている。即ち、電流センサ100を観察すると、直線部分121と直線部分122と磁電変換素子13と磁気遮蔽板14bを有する構成は、第1実施例の電流センサ20と同様の構成をしている。同様に、直線部分121と直線部分123と磁電変換素子13と磁気遮蔽板14cを有する構成も、第1実施例の電流センサ20と同様の構成をしている。この場合、直線部分121が第1実施例の計測部位21に相当し、直線部分122、123が第1実施例の非計測部位22に相当する。
このような構成によれば、第1実施例と同様に、図2の矢印で示す磁束MF2、MF3のように、非計測部位である直線部分122、123から発生する磁束は磁気遮蔽板14b、14cにより遮断される。実線矢印MF2、MF3に続く破線矢印が、磁束が遮断されて磁気遮蔽板14bと14cの間の空間には磁束が及ばないことを表している。したがって、磁電変換素子13は、計測部位である直線部分121を流れる電流による磁束だけを選択的に計測することができる。よって、第1実施例と同様に、電流センサ100の感度を高めることができる。
図3を参照して、上記の実施例の電流センサを三相交流出力用のバスバに適用した一例を説明する。図3の電流センサ400は、3本のバスバ42と3個の磁電変換素子43と、3個の磁気遮蔽板44で構成される。図3に示すバスバ42は走行用の三相交流モータに電力を供給する電力変換器に内蔵される。この電力変換装置は、電動車両に搭載される。この電力変換器の小型化に伴いバスバ42の配策は制限され、それによりバスバ42は複数回屈曲して配策される。バスバ42は、三相出力に対応するために3本備えられており、各バスバ42は互いに平行に並んでいる。バスバ42の一端42dには、電力変換器に内蔵されたインバータ回路のパワーデバイスの端子が接続される。一方、バスバ42の孔が設けられた他端42eには、三相交流モータに電力を供給するパワーケーブルが接続される。図3に示すように、複数回屈曲したバスバ42の一部のL字に屈曲した部分に磁電変換素子43及び磁気遮蔽板44が配置されている。磁電変換素子43は、L字の一方の直線部分421の側面であって、L字の屈曲の外側の側面421aに隣接して配置されている。また、磁気遮蔽板44は、L字の他方の直線部分422の側面であって、L字の屈曲の内側の側面422aに沿って配置されている。即ち、バスバ42の直線部分421、422と磁電変換素子43と磁気遮蔽板44を有する構成は、第1実施例の電流センサ20と同様の構成をしている。残り2本のバスバ42についても、同様に磁電変換素子43と磁気遮蔽板44が備えられている。この構成により、第1実施例と同様の効果を有した電流センサを三相交流出力用のバスバに適用することができる。
なお、直線部分421と別の直線部分423もL字に屈曲している。直線部分421が発する磁束が磁電変換素子43を貫く方向と、直線部分423が発する磁束が磁電変換素子43を貫く方向はほぼ直交する。磁電変換素子3は磁束を検知する方向と検知しない方向を有している。直線部分421が発する磁束が磁電変換素子43を貫く方向が磁束を検知する方向であるとき、直線部分423が発する磁束が磁電変換素子43を貫く方向は磁束を検知しない方向に相当する。それゆえ、図3の電流センサ400は、別の直線部分423が発する磁束を遮断する遮蔽板は備えない。ただし、本明細書が開示する技術は、別の直線部分423が発する磁束を遮断する遮蔽板を備えることを除外するものではないことに留意されたい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2、12、42:バスバ
3、13、43:磁電変換素子
4、14b、14c、44:磁気遮蔽板
21、121、421:計測部位(直線部分)
22、122、422:非計測部位(直線部分)
MF1、MF2、MF3:磁束
20、100、400:電流センサ
3、13、43:磁電変換素子
4、14b、14c、44:磁気遮蔽板
21、121、421:計測部位(直線部分)
22、122、422:非計測部位(直線部分)
MF1、MF2、MF3:磁束
20、100、400:電流センサ
Claims (1)
- L字に屈曲しており、計測対象の電流を通す導電部材と、
前記導電部材のL字の一方の直線部分の側面であってL字の屈曲の外側の側面に隣接して配置されている磁電変換素子と、
前記導電部材のL字の他方の直線部分の側面であってL字の屈曲の内側の側面に沿って配置されている磁気遮蔽板と、
を備えることを特徴とする電流センサ。
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