JP2015175375A - ディスクブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ディスクロータの異物を除去する除去性能と、ディスクロータに対するダメージの低減とを両立することができるディスクブレーキ装置を提供する。【解決手段】ディスクロータ3と、ブレーキパッド2とを備え、ブレーキパッドは、ディスクロータの摩擦面31と摩擦接触する際に摩擦面を研削する摩擦部材21と、摩擦部材よりも摩擦面を研削する研削性が高い研削部材22,23と、温度変化に伴い形状が変化する熱変形部材24と、を有し、温度の上昇に伴う熱変形部材の変形により、研削部材がディスクロータと接触可能な状態からディスクロータと接触不能な状態に移行する。【選択図】図1
Description
本発明は、ディスクブレーキ装置に関する。
従来、ディスクロータとブレーキパッドとを有するディスクブレーキ装置がある。例えば、特許文献1には、ディスクロータへ押圧されるパッドを有するディスクブレーキであって、前記パッドとは別に、前記ディスクロータへ押圧されて前記ディスクロータを削る矯正部材を有し、前記矯正部材は、前記パッドが摺接する前記ディスクロータの環帯状の環帯状領域を削ることで、前記環帯状領域を円滑状にするディスクブレーキの技術が開示されている。
ここで、ディスクロータを削る研削部材を設ける場合に、研削部材が常時ディスクロータに接触していると、ディスクロータが削られすぎてしまう可能性がある。例えば、ブレーキパッドの摩擦部材は、低温時に研削性が低く、高温時に研削性が高くなる。低温時には、研削部材によってディスクロータに付着した異物を除去する性能を高めることができる。一方、摩擦部材の研削性が高い高温時においても研削部材がディスクロータに接したままであることは、ディスクロータに対するダメージが大きくなるため好ましくない。
本発明の目的は、ディスクロータの異物を除去する除去性能と、ディスクロータに対するダメージの低減とを両立することができるディスクブレーキ装置を提供することである。
本発明のディスクブレーキ装置は、ディスクロータと、ブレーキパッドとを備え、前記ブレーキパッドは、前記ディスクロータの摩擦面と摩擦接触する際に前記摩擦面を研削する摩擦部材と、前記摩擦部材よりも前記摩擦面を研削する研削性が高い研削部材と、温度変化に伴い形状が変化する熱変形部材と、を有し、温度の上昇に伴う前記熱変形部材の変形により、前記研削部材が前記ディスクロータと接触可能な状態から前記ディスクロータと接触不能な状態に移行することを特徴とする。
本発明に係るディスクブレーキ装置は、ディスクロータと、ブレーキパッドとを備え、ブレーキパッドは、ディスクロータの摩擦面と摩擦接触する際に摩擦面を研削する摩擦部材と、摩擦部材よりも摩擦面を研削する研削性が高い研削部材と、温度変化に伴い形状が変化する熱変形部材と、を有し、温度の上昇に伴う熱変形部材の変形により、研削部材がディスクロータと接触可能な状態からディスクロータと接触不能な状態に移行する。本発明に係るディスクブレーキ装置によれば、ディスクロータの異物を除去する除去性能と、ディスクロータに対するダメージの低減とを両立することができるという効果を奏する。
以下に、本発明の実施形態に係るディスクブレーキ装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
[第1実施形態]
図1から図5を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、ディスクブレーキ装置に関する。図1は、本発明の第1実施形態に係るディスクブレーキ装置の要部を示す側面図、図2は、第1実施形態に係るブレーキパッドの平面図、図3は、低温時のブレーキパッドを示す側面図、図4は、高温時のブレーキパッドを示す側面図、図5は、実施形態に係るブレーキパッドの研削性を説明する図である。
図1から図5を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、ディスクブレーキ装置に関する。図1は、本発明の第1実施形態に係るディスクブレーキ装置の要部を示す側面図、図2は、第1実施形態に係るブレーキパッドの平面図、図3は、低温時のブレーキパッドを示す側面図、図4は、高温時のブレーキパッドを示す側面図、図5は、実施形態に係るブレーキパッドの研削性を説明する図である。
図1に示すように、第1実施形態に係るディスクブレーキ装置1は、ディスクロータ3と、ブレーキパッド2とを含んで構成されている。本実施形態では、ディスクブレーキ装置1が車両に搭載されたブレーキ装置である場合を例に説明する。
ブレーキパッド2は、ディスクロータ3に対して押圧されて、ディスクロータ3の回転を規制する。ブレーキパッド2は、ディスクロータ3を挟んで軸方向の一方側と他方側にそれぞれ配置されている。なお、本明細書では、特に記載しない場合、「軸方向」はディスクロータ3の軸方向を示し、「径方向」はディスクロータ3の半径方向を示し、「周方向」はディスクロータ3の周方向を示すものとする。
ディスクブレーキ装置1は、油圧等を駆動源とするキャリパーによって、一対のブレーキパッド2をディスクロータ3に対して押圧する。ディスクロータ3に対して押圧された一対のブレーキパッド2は、ディスクロータ3を挟み込み、ディスクロータ3と摩擦接触する。これにより、ディスクロータ3の回転が規制され、ディスクロータ3と連結された車輪に制動力が発生する。ブレーキパッド2は、マウンティング等の支持部材によって支持されており、周方向や径方向の移動が規制されている。
ここで、ディスクブレーキ装置1における制動に係るドライバビリティの変化を抑制できることが望まれている。例えば、異物がディスクロータ3とブレーキパッド2との間に混入した状態で、低温で摺り合わせが行われると、ディスクロータ3の摩擦面が滑らかになるなどして、摩擦係数μが変動してしまうことがある。これにより、ブレーキ操作力と発生する制動力との関係が変動し、ドライバビリティの変化を招く可能性がある。
本実施形態に係るディスクブレーキ装置1のブレーキパッド2は、摩擦部材21と、研削部材22,23と、熱膨張材24と、裏板25とを含んで構成されている。熱膨張材24は、温度変化に伴い形状が変化する熱変形部材の一例である。本実施形態のブレーキパッド2では、温度の上昇に伴う熱膨張材24の変形により、研削部材22,23がディスクロータ3と接触可能な状態(図3に示す状態)からディスクロータ3と接触不能な状態(図4に示す状態)に移行する。よって、本実施形態に係るディスクブレーキ装置1によれば、ディスクロータ3に付着した異物を除去する除去性能と、ディスクロータ3に対するダメージの低減とを両立することが可能となる。
図1に戻り、摩擦部材21は、ディスクロータ3の摩擦面31と摩擦接触してディスクロータ3の回転を規制する。摩擦部材21は、摩擦面31と摩擦接触する際に摩擦面31を研削する。摩擦部材21は、板状の部材である。本実施形態の摩擦部材21は、所謂硬質材であり、アルミナ等の高い硬度を有する材質を含んで構成されている。なお、摩擦部材21は、研削材を含んで構成されていてもよい。摩擦部材21の研削性は、基材の硬度、研削材の硬度や粒径、含有量等に応じて決まる。
摩擦部材21は、熱膨張材24を介して裏板25に接続されている。裏板25は、金属等で形成された板状の部材である。裏板25は、マウンティングブラケット等によって支持されている。ディスクブレーキ装置1は、油圧等によって駆動されるキャリパーによって、裏板25をディスクロータ3に向けて押圧する。熱膨張材24は、裏板25におけるディスクロータ3側の面に取り付けられている。熱膨張材24は、板状の部材であり、軸方向視した場合の形状(図2に示す平面視の形状)は、摩擦部材21の形状と同一である。熱膨張材24は、温度が高くなるに従い膨張する。熱膨張材24の線膨張係数の値は、少なくとも研削部材22,23の線膨張係数の値よりも大きい。熱膨張材24は、例えば、フッ素樹脂を封入した弾性部材である。
裏板25には、入口側研削部材22および出口側研削部材23が接続されている。各研削部材22,23は、裏板25におけるディスクロータ3側の面に取り付けられている。入口側研削部材22は、摩擦部材21よりもディスクロータ3の回転方向における入口側に配置されている。また、出口側研削部材23は、摩擦部材21よりもディスクロータ3の回転方向における出口側に配置されている。
なお、ディスクロータ3の回転方向は、特に記載しない場合、ディスクロータ3の主回転方向であるものとする。例えば、ディスクブレーキ装置1が車両に搭載される場合、ディスクロータ3の主回転方向は、前進走行時の回転方向となる。回転方向の入口側とは、ディスクロータ3の摩擦接触部が、回転方向に沿って一対のブレーキパッド2の間の空間部に進入するときの入口側である。また、回転方向の出口側とは、ディスクロータ3の摩擦接触部が、一対のブレーキパッド2の間の空間部から進出するときの出口側である。以下の説明において、特に記載しない場合、「回転方向」は車両の前進走行時におけるディスクロータ3の回転方向を示すものとする。
入口側研削部材22および出口側研削部材23は、それぞれ板状の部材であり、例えば、矩形の部材である。図1および図2に示すように、入口側研削部材22は、摩擦部材21における回転方向の入口側の面21bと対向しており、摩擦部材21の入口側の空間部を閉塞するように設けられている。出口側研削部材23は、摩擦部材21における回転方向の出口側の面21cと対向しており、摩擦部材21の出口側の空間部を閉塞するように設けられている。研削部材22,23における径方向の幅の大きさは、例えば、摩擦部材21の径方向の幅の大きさと同じである。
入口側研削部材22および出口側研削部材23は、摩擦部材21よりもディスクロータ3の摩擦面31を研削する研削性が高い。入口側研削部材22および出口側研削部材23は、例えば、ロースチール材である。ロースチール材は、スチール繊維を含む部材である。スチール繊維の含有量は、例えば、10〜30%である。研削部材22,23は、摩擦部材21よりも高い研削性を有する材質で構成されている。すなわち、同一の接触面積でディスクロータ3に接触した場合に、研削部材22,23の材質は、摩擦部材21の材質よりも高い研削性を有する。
更に、本実施形態の研削部材22,23は、ディスクロータ3との接触面積が小さいにもかかわらず、摩擦部材21よりも高い研削性を有している。摩擦部材21は板状部材の平面部分である摩擦面21aがディスクロータ3と接触する。一方、研削部材22,23は、板状部材の1つの側面である先端面22a,23aがディスクロータ3と接触する。摩擦部材21の摩擦面21aの面積は、研削部材22,23の先端面22a,23aの面積よりも大きい。しかしながら、研削部材22,23は、高い研削性を有する材質で構成されているため、ディスクロータ3との接触面積は小さいものの、摩擦部材21よりも大きな研削性を有している。
研削部材22,23は、所定温度以下の温度帯では、摩擦面21aよりもディスクロータ3の摩擦面31に向けて突出している。熱膨張材24は、低温時には体積が縮小し、これに応じて摩擦部材21は入口側研削部材22と出口側研削部材23との間の空間部に収容される。
従って、図3に示すように、ブレーキパッド2の温度が所定温度以下である場合、制動開始時に研削部材22,23がディスクロータ3の摩擦面31に接触する。研削部材22,23は、ディスクロータ3の摩擦面31に付着した異物Cnを削り落とす。これにより、摩擦部材21とディスクロータ3との間に異物が進入することが抑制される。つまり、異物が摩擦部材21とディスクロータ3との間に挟まった場合に摩擦係数の変動が生じやすい低温時において、高い研削性を有する研削部材22,23によって、ディスクロータ3に付着した異物の除去を促進することができる。よって、本実施形態のディスクブレーキ装置1は、制動時のドライバビリティの変化を抑制することができる。
なお、ブレーキ液圧が小さい場合など、ブレーキパッド2に対する押圧力が小さい場合、図3に示すように摩擦部材21がディスクロータ3から離間した状態となるが、更にブレーキパッド2に対する押圧力が大きくなると、研削部材22,23だけでなく、摩擦部材21も摩擦面31に接触する。摩擦部材21が摩擦面31に接触するときには、研削部材22,23によって既に摩擦面31の異物Cnが削り取られている。従って、制動初期から安定した制動力が得られ、ドライバビリティが向上する。
研削部材22,23や摩擦部材21が摩擦面31と摩擦接触すると、摩擦熱が発生する。研削部材22,23と摩擦面31との接触により発生した摩擦熱は、図4に矢印Y1で示すように、研削部材22,23から裏板25を介して熱膨張材24に伝達されて、熱膨張材24の温度を上昇させる。また、摩擦部材21と摩擦面31との接触により発生した摩擦熱は、摩擦部材21から熱膨張材24に伝達されて、熱膨張材24の温度を上昇させる。熱膨張材24は、温度の上昇に伴って膨張し、摩擦部材21を摩擦面31に向けて移動させる。ブレーキパッド2の温度、言い換えると熱膨張材24の温度が所定温度を超えると、図4に示すように、摩擦部材21の摩擦面21aが研削部材22,23の先端面22a,23aよりもディスクロータ3側に突出する。これにより、研削部材22,23は、ディスクロータ3と接触不能な状態になる。温度が所定温度を超えている場合の熱膨張材24の厚さt1は、温度が所定温度以下である場合(図1参照)の熱膨張材24の厚さt0よりも大きい。
つまり、本実施形態のディスクブレーキ装置1では、温度の上昇に伴う熱膨張材24の膨張変形により、摩擦部材21がディスクロータ3に押し当てられる。熱膨張材24が更に膨張変形することにより、裏板25がディスクロータ3から離れる方向に押し出され、その結果研削部材22,23がディスクロータ3から離間してディスクロータ3に接触不能となる。所定温度よりも高温となった摩擦部材21は、所定温度以下の状態よりも研削性が高く、ディスクロータ3に付着した異物Cnを削り落とすことができる。従って、研削部材22,23がディスクロータ3に接触不能な状態であっても、摩擦係数の変動によるドライバビリティの変化は生じにくい。また、高温時には研削部材22,23がディスクロータ3から離間することで、ディスクロータ3の摩擦面31を過度に研削してしまうことが抑制される。
図5には、本実施形態のディスクブレーキ装置1の研削性が示されている。図5において、横軸はブレーキパッド2の温度、縦軸はブレーキパッド2全体の研削性を示す。破線L1は、摩擦部材21のみで研削部材22,23を有さない従来のブレーキパッドの研削性を示す。実線L2は、摩擦部材21に加えて研削部材22,23を有する本実施形態のブレーキパッド2の研削性を示す。
低温の温度帯における摩擦部材21の研削性は、高温の温度帯における摩擦部材21の研削性よりも低い。これにより、従来のブレーキパッドでは、ディスクロータ3の異物Cnを十分に除去することが困難であった。これに対して、本実施形態のディスクブレーキ装置1では、温度が所定温度T1以下である場合、研削部材22,23がディスクロータ3に接触する。従って、所定温度T1以下の温度帯において、実線L2で示す本実施形態のブレーキパッド2の研削性は、破線L1で示す従来のブレーキパッドの研削性よりも高い。また、本実施形態のディスクブレーキ装置1では、温度が所定温度T1を超えると、研削部材22,23がディスクロータ3に接触不能となる。これにより、摩擦部材21の研削性が高くなる、所定温度T1よりも高い温度帯において、研削部材22,23による研削を抑制し、ディスクロータ3を保護することができる。
[第1実施形態の第1変形例]
第1実施形態の第1変形例について説明する。図6は、第1実施形態の第1変形例に係るブレーキパッドを示す平面図である。図6には、ディスクロータ3から軸方向視したブレーキパッド2の形状が示されている。第1変形例に係るブレーキパッド2において、上記第1実施形態に係るブレーキパッド2と異なる点は、摩擦部材21が分割されており、その間に研削部材27が挟まれている点である。摩擦部材21は、第一摩擦部材21Aと第二摩擦部材21Bとに分割されている。第一摩擦部材21Aと第二摩擦部材21Bは、回転方向に置いて所定の間隔を設けて隣接して配置されている。研削部材27は、第一摩擦部材21Aと第二摩擦部材21Bとの間に配置されている。
第1実施形態の第1変形例について説明する。図6は、第1実施形態の第1変形例に係るブレーキパッドを示す平面図である。図6には、ディスクロータ3から軸方向視したブレーキパッド2の形状が示されている。第1変形例に係るブレーキパッド2において、上記第1実施形態に係るブレーキパッド2と異なる点は、摩擦部材21が分割されており、その間に研削部材27が挟まれている点である。摩擦部材21は、第一摩擦部材21Aと第二摩擦部材21Bとに分割されている。第一摩擦部材21Aと第二摩擦部材21Bは、回転方向に置いて所定の間隔を設けて隣接して配置されている。研削部材27は、第一摩擦部材21Aと第二摩擦部材21Bとの間に配置されている。
[第1実施形態の第2変形例]
第1実施形態の第2変形例について説明する。図7は、第1実施形態の第2変形例に係るブレーキパッドを示す平面図である。第2変形例に係るブレーキパッド2において、上記第1実施形態のブレーキパッド2と異なる点は、摩擦部材21の全周が研削部材26によって囲まれている点である。研削部材26は、摩擦部材21に対して回転方向の入口側、出口側だけでなく、摩擦部材21に対して径方向の両側にも隣接して配置されている。これにより、摩擦部材21とディスクロータ3との間に異物が進入することがより確実に抑制される。
第1実施形態の第2変形例について説明する。図7は、第1実施形態の第2変形例に係るブレーキパッドを示す平面図である。第2変形例に係るブレーキパッド2において、上記第1実施形態のブレーキパッド2と異なる点は、摩擦部材21の全周が研削部材26によって囲まれている点である。研削部材26は、摩擦部材21に対して回転方向の入口側、出口側だけでなく、摩擦部材21に対して径方向の両側にも隣接して配置されている。これにより、摩擦部材21とディスクロータ3との間に異物が進入することがより確実に抑制される。
[第2実施形態]
図8および図9を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態については、上記実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図8は、第2実施形態に係るディスクブレーキ装置の要部を示す側面図、図9は、第2実施形態に係るブレーキパッドの高温時の状態を示す側面図である。
図8および図9を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態については、上記実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図8は、第2実施形態に係るディスクブレーキ装置の要部を示す側面図、図9は、第2実施形態に係るブレーキパッドの高温時の状態を示す側面図である。
第2実施形態のブレーキパッド4において、上記第1実施形態のブレーキパッド2と異なる点は、熱膨張材24に代えて熱収縮材44,45が設けられている点である。熱収縮材44,45は、温度の上昇に従って収縮する特性を有する。熱収縮材44,45は、熱変形部材の一例である。熱収縮材44,45としては、例えば、ペロブスカイト材料等を用いることができる。熱収縮材44,45は、研削部材42,43と裏板25との間に介在している。入口側研削部材42と裏板25との間には、第一熱収縮材44が設けられている。出口側研削部材43と裏板25との間には、第二熱収縮材45が設けられている。本実施形態のブレーキパッド4では、熱膨張材24は設けられておらず、摩擦部材41は直接裏板25に接続されている。
図8には、熱収縮材44,45の温度が所定温度以下である場合のブレーキパッド4が示されている。熱収縮材44,45の温度が所定温度以下である場合、研削部材42,43の先端面42a,43aは、摩擦部材41の摩擦面41aよりもディスクロータ3側に突出している。従って、制動時にブレーキパッド4がディスクロータ3に向けて押圧されると、まず研削部材42,43がディスクロータ3の摩擦面31に接触する。制動時に発生する摩擦熱等によって熱収縮材44,45の温度が上昇すると、熱収縮材44,45が収縮する。これにより、熱収縮材44,45と研削部材42,43を合わせた長さは、温度の上昇に応じて短くなる。
図9には、熱収縮材44,45の温度が所定温度を超えた状態が示されている。熱収縮材44,45の温度が所定温度を超えると、摩擦部材41の摩擦面41aが研削部材42,43の先端面42a,43aよりもディスクロータ3側に突出する。つまり、本実施形態のディスクブレーキ装置1では、温度の上昇に伴う熱収縮材44,45の収縮変形により、研削部材42,43がディスクロータ3と接触可能な状態(図8)からディスクロータ3と接触不能な状態(図9)に移行する。
研削部材42,43がディスクロータ3と接触不能な状態となった後も、摩擦部材41とディスクロータ3との摩擦熱が、裏板25を介して熱収縮材44,45に供給される。よって、研削部材42,43がディスクロータ3と接触不能な状態が維持される。
[第3実施形態]
図10および図11を参照して、第3実施形態について説明する。第3実施形態については、上記第1実施形態および第2実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図10は、第3実施形態に係るディスクブレーキ装置の要部を示す側面図、図11は、第3実施形態に係るブレーキパッドの高温時の状態を示す側面図である。
図10および図11を参照して、第3実施形態について説明する。第3実施形態については、上記第1実施形態および第2実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図10は、第3実施形態に係るディスクブレーキ装置の要部を示す側面図、図11は、第3実施形態に係るブレーキパッドの高温時の状態を示す側面図である。
第3実施形態のブレーキパッド5において、上記第2実施形態のブレーキパッド4と異なる点は、熱収縮材44,45に代えてバイメタル54,55が設けられている点である。バイメタル54,55は、線膨張係数が異なる2つの金属材料が並列的に配置されている。バイメタル54,55は、熱変形部材の一例である。第一バイメタル54は、入口側研削部材52と裏板25との間に設けられている。第二バイメタル55は、出口側研削部材53と裏板25との間に設けられている。第一バイメタル54は、内側板部54aと外側板部54bとを貼り合わせて構成されている。内側板部54aの線膨張係数の値は、外側板部54bの線膨張係数の値よりも大きい。第二バイメタル55は、内側板部55aと外側板部55bとを貼り合わせて構成されている。内側板部55aの線膨張係数の値は、外側板部55bの線膨張係数の値よりも大きい。
図10には、バイメタル54,55の温度が所定温度以下である場合の状態の一例が示されている。所定温度以下のバイメタル54,55の形状は、側面視において直線状である。バイメタル54,55の温度が所定温度以下である場合、研削部材52,53の先端面52a,53aは、それぞれ摩擦部材51の摩擦面51aよりもディスクロータ3側に突出している。
温度が上昇するに従って、バイメタル54,55の内側板部54a,55aおよび外側板部54b,55bはそれぞれ膨張する。ここで、第一バイメタル54は、温度が上昇するに従って、入口側研削部材52の先端面52aを入口側へ移動させるように湾曲する。また、第二バイメタル55は、温度が上昇するに従って、出口側研削部材53の先端面53aを出口側へ移動させるように湾曲する。つまり、バイメタル54,55は、それぞれ温度の上昇に従って入口側研削部材52および出口側研削部材53を摩擦部材51から離間させる方向に湾曲する。
図11には、バイメタル54,55の温度が所定温度を超えた状態が示されている。温度が所定温度を超えると、摩擦部材51の摩擦面51aは、研削部材52,53の先端面52a,53aよりもディスクロータ3側へ突出する。つまり、本実施形態のディスクブレーキ装置1では、温度の上昇に伴うバイメタル54,55の湾曲変形により、研削部材52,53がディスクロータ3と接触可能な状態(図10)からディスクロータ3と接触不能な状態(図11)に移行する。
研削部材52,53がディスクロータ3と接触不能な状態となった後も、摩擦部材51とディスクロータ3の摩擦熱が、裏板25を介してバイメタル54,55に供給される。よって、研削部材52,53がディスクロータ3と接触不能な状態が維持される。
上記の各実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
1 ディスクブレーキ装置
2,4,5 ブレーキパッド
3 ディスクロータ
21,41,51 摩擦部材
22,42,52 入口側研削部材
23,43,53 出口側研削部材
24 熱膨張材(熱変形部材)
25 裏板
26,27 研削部材
44 第一熱収縮材(熱変形部材)
45 第二熱収縮材(熱変形部材)
54 第一バイメタル(熱変形部材)
55 第二バイメタル(熱変形部材)
2,4,5 ブレーキパッド
3 ディスクロータ
21,41,51 摩擦部材
22,42,52 入口側研削部材
23,43,53 出口側研削部材
24 熱膨張材(熱変形部材)
25 裏板
26,27 研削部材
44 第一熱収縮材(熱変形部材)
45 第二熱収縮材(熱変形部材)
54 第一バイメタル(熱変形部材)
55 第二バイメタル(熱変形部材)
Claims (1)
- ディスクロータと、ブレーキパッドとを備え、
前記ブレーキパッドは、
前記ディスクロータの摩擦面と摩擦接触する際に前記摩擦面を研削する摩擦部材と、
前記摩擦部材よりも前記摩擦面を研削する研削性が高い研削部材と、
温度変化に伴い形状が変化する熱変形部材と、
を有し、
温度の上昇に伴う前記熱変形部材の変形により、前記研削部材が前記ディスクロータと接触可能な状態から前記ディスクロータと接触不能な状態に移行する
ことを特徴とするディスクブレーキ装置。
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ID=54254771
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014049457A Pending JP2015175375A (ja) | 2014-03-12 | 2014-03-12 | ディスクブレーキ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015175375A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110774129A (zh) * | 2019-11-05 | 2020-02-11 | 安川双菱电梯有限公司 | 一种自动智能化电梯加工生产线 |
-
2014
- 2014-03-12 JP JP2014049457A patent/JP2015175375A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110774129A (zh) * | 2019-11-05 | 2020-02-11 | 安川双菱电梯有限公司 | 一种自动智能化电梯加工生产线 |
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