JP6719171B2 - フローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置及び鉄道車両用ディスクブレーキ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、フローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置及び鉄道車両用ディスクブレーキ装置に関する。
ブレーキパッドの引摺り現象が防止されたフローティングキャリパ型ディスクブレーキが、従来から知られている(特許文献1参照)。
このフローティングキャリパ型ディスクブレーキは、一方のパッド(ブレーキパッド)が、両端部を二股に開いたキャリパ(フローティングキャリパ)の一端の腕に固定され、他方のパッドがこれと反対側の腕に設けたピストン(駆動ピストン)によりロータに向けて押し出されるように構成されている。キャリパの他端の腕には、2本のガイドピンが固定され、これらのガイドピンは、台車枠等に結合されたサポートの筒状部に軸方向へ摺動自在に支承されている。
すなわち、図10(a)に示すように、キャリパの二股になった一対の腕501の間には、上下一対のガイドピン503(上側のみを図示する)が掛渡され、それぞれフランジ505とナット(図示略)とにより腕501に固定されている。上側のガイドピン503を囲むサポート(図示略)の筒状部507の内面には、一対の保持リング509が段部511とスナップリング(図示略)とにより挟持されて取り付けられている。この保持リング509の内側には、断面がH形状のリトラクションゴムリング(フリクションゴムリング)513が嵌着されている。
上記の構成において、非制動時は、断面H形のリトラクションゴムリング513の内周の突条515おける先端部が、図10(a)のように、ガイドピン503の外周面に真直に当接している。
制動すると、パッドがロータに押付けられた反力でガイドピン503がキャリパと共に図10(b)の矢印Aの方向に移動する。これと共にガイドピン503の外周面と突条515の先端部との摩擦のため、リトラクションゴムリング513の突条515が矢印Aの方向に曲がる(撓む)。
制動を解除すると、リトラクションゴムリング513はその弾力のため元の姿勢に戻ろうとし、内周の突条515の先端部とガイドピン503の外周面との摩擦によりガイドピン503が、図10(c)の矢印Bの方向へ動かされる。これによりガイドピン503に結合されたキャリパが矢印Bの方向へ僅かに移動し、キャリパに固定されたパッドをロータから僅かながら離す。これにより車両の始動を軽くすることができる。車両が走行を始めると、振動等のためパッドとロータとの間隙は十分大きくなる。
このようなフローティングキャリパ型ディスクブレーキによれば、リトラクションゴムリング513によって、制動解除時に直ちにキャリパに固定されたパッドをロータから引離して、引摺りを防止し、始動トルクの増大を防ぎ、ライニングの摩耗を防止することができる。
実開平6−32773号公報
しかしながら、上述した従来のフローティングキャリパ型ディスクブレーキは、リトラクションゴムリング513のみでキャリパのリトラクション効果(戻し力)と戻し量を管理しているため、リトラクションゴムリング513の製造バラつきや寸法公差などによって所望するキャリパ戻し動作を安定的に発揮させることが難しいという問題があった。また、異なる仕様のキャリパに対しては、戻し量の微調整が必要となるため、既存のキャリパに対して追加工を行ったり、部品点数を増やしたりせずに戻し量の微調整が可能となる構造が望まれている。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、キャリパ戻し動作が安定的に発揮されてパッドの引き摺りを確実に防止できるフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置及び鉄道車両用ディスクブレーキ装置を提供することにある。
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) サポートの筒状支持部に対しガイドピンを介して摺動自在に支承された基部と、該基部からディスクロータを軸方向両側から挟む位置にまで延出された一対の押圧腕とを有するフローティングキャリパと、前記ディスクロータの側面に対向するように前記一対の押圧腕の先端部にそれぞれ設けられた一対のブレーキパッドと、前記ブレーキパッドの一方を前記ディスクロータの側面に向けて駆動するために前記一対の押圧腕の一方に設けられた駆動ピストンと、前記筒状支持部内に嵌装されて前記ガイドピンを摺動自在に弾性支持するフリクションゴムリングと、前記フリクションゴムリングの軸方向両側に配置されて該フリクションゴムリングの軸方向移動を規制するために前記筒状支持部の内周面に固定され、該フリクションゴムリングを挟むように配置した一対のワッシャ部材と、を備え、前記一対のワッシャ部材における前記フリクションゴムリング側の各内周部には、前記フリクションゴムリングにおける内周部の軸方向への弾性変形量を調整するための面取り部が対向して設けられ、前記ワッシャ部材は、前記筒状支持部の内周面に形成された段部とスナップリングとによって軸方向の移動が規制される外周部の厚み寸法と比較して、内周部の厚み寸法が前記面取り部の傾斜面の長さを確保するために前記フリクションゴムリング側と反対側へ厚くされていることを特徴とするフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置。
上記(1)の構成のフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置によれば、フリクションゴムリング自体が、キャリパ摺動抵抗(フリクションゴムリングの抵抗を除く)以上の復元力を有するようにして構成される。そして、フリクションゴムリングの弾性変形量(戻し量)は、フリクションゴムリングの側部に配置されたワッシャ部材の面取り部の形状によって微調整される。すなわち、現行のフローティングキャリパ内にあるフリクションゴムリング及び側部に配置される位置決めワッシャを所定のフリクションゴムリング及びワッシャ部材と交換することで、部品点数の増加なしに、極めて容易にフローティングキャリパの戻し力と戻し量の調整が可能となる。
(2) 前記ガイドピンを揺動可能に支持する調心軸受が、前記筒状支持部の内周面に固定され、一対の前記フリクションゴムリングが、前記調心軸受の軸方向両側に配置されることを特徴とする上記(1)の構成のフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置。
上記(2)の構成のフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置によれば、筒状支持部の内周面に固定された一対のフリクションゴムリングの間に調心軸受が配置されることで、台車枠に弾力的に支持される車輪やディスクロータが台車枠に対して相対的に変位してガイドピンとサポートの筒状支持部とが不平行になっても、ブレーキパッドとディスクロータとの摺動面は、制動時に密接することができる。そして、この調心軸受の両側に、一対のフリクションゴムリング及びワッシャ部材がそれぞれ配置される。これにより、例えば車輪の揺動時において必要となる駆動ピストン側と反対側へガイドピンを戻す力を作ることが可能となる。
(3) 上記(1)又は(2)のフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置を備えたことを特徴とする鉄道車両用ディスクブレーキ装置。
上記(3)の構成の鉄道車両用ディスクブレーキ装置によれば、上記のフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置の構成を備えることで、鉄道車両用の車輪の両側面に取り付けたディスクロータにブレーキパッドを押圧して制動する際に、ブレーキパッドとディスクロータのパッドクリアランスを一定に維持できる。これにより、ブレーキパッドの偏摩耗及び引きずりを防止するとともに、車両の始動トルクの増大を抑制可能とすることができる。
本発明に係るフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置及び鉄道車両用ディスクブレーキ装置によれば、キャリパ戻し動作が安定的に発揮されてパッドの引き摺りを確実に防止できる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
本発明の一実施形態に係るフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置の斜視図である。 図1に示したフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置の側面図である。 図2におけるA−A断面図である。 図2におけるB−B断面図である。 図4に示した上側のガイドピン近傍の要部拡大図である。 (a)はワッシャ部材の全体斜視図、(b)は(a)の側面図、(c)は(a)の正面図、(d)は(c)におけるC−C断面図である。 図1に示したフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置の動作説明図であり、(a)はイニシャル時の動作説明図、(b)はブレーキ制動時の動作説明図、(c)はブレーキ緩開時の動作説明図である。 (a)は図7の(a)に示した変形前のフリクションゴムリングの要部断面図、(b)は図7の(b)に示した変形後のフリクションゴムリングの要部断面図である。 (a)は異なる仕様のワッシャ部材が配置されたフリクションゴムリングの変形前の要部断面図、(b)は異なる仕様のワッシャ部材が配置されたフリクションゴムリングの変形後の要部断面図である。 (a)は従来構成における非制動時のリトラクションゴムリングのガイドピンに対する姿勢を示す模式図、(b)は(a)の制動時におけるリトラクションゴムリングの突条の変形を示す模式図、(c)はリトラクションゴムリングの復位時の作用を示す模式図である。
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1〜図4に示すように、本発明の一実施形態に係るフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置11は、鉄道車両用ディスクブレーキ装置に用いられる場合を例に説明する。この他、フローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置11は、例えばエレベータ等、回転部材に対して制動力を発生させる種々の産業用駆動装置のブレーキ装置にも好適に用いることができるものである。
本実施形態に係るフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置11は、図示しない台車枠に結合されたサポート27に摺動自在に支承された基部25から車輪39の両側面に取り付けられたディスクロータ40,40を軸方向両側から挟む位置にまで延出された一対の押圧腕41,43を有するフローティングキャリパ13と、ディスクロータ40,40の外側面に対向するように一対の押圧腕41,43の先端部にそれぞれ設けられた一対のブレーキパッド15,15と、押圧腕41に設けられた駆動ピストン17と、サポート27の筒状支持部29内に嵌装されてガイドピン31を摺動自在に弾性支持するフリクションゴムリング19と、フリクションゴムリング19の軸方向両側に配置されたワッシャ部材21a,21bと、を主要な構成として有している。
フローティングキャリパ13における基部25の上部及び下部には、サポート27の上下一対の筒状支持部29,30に対し、それぞれガイドピン31,33が掛け渡されている。フローティングキャリパ13の基部25は、一対のガイドピン31,33を介して筒状支持部29,30に摺動自在に支承される。ガイドピン31,33は、それぞれフランジ35とナット37とにより基部25に固定されている。
基部25には、車輪39(図7参照)を軸方向両側から挟む位置にまで延出された一対の押圧腕41,43が二股になって設けられる。押圧腕41,43の先端には、それぞれブレーキパッド15が取り付けられている。なお、本実施形態では、ブレーキパッド15のライニング面が、車輪39の両側面に取り付けられたディスクロータ40,40を押圧してブレーキ動作を行う構造を例に説明する。勿論、フローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置11は、車輪39の両側面を直接挟圧して制動する構成であってもよい。
ブレーキパッド15は、車輪39の両側面に取り付けられたディスクロータ40,40の外側面に対向するように一対の押圧腕41,先端部にそれぞれ設けられる。
駆動ピストン17は、ブレーキパッド15の一方をディスクロータ40の外側面に向けて駆動するために一方の押圧腕41に設けられている。
上部のガイドピン31を囲む筒状支持部29の内周面中央には、図5に示すように、段部47とスナップリング49とにより調心軸受51が固定されている。調心軸受51は、ガイドピン31を揺動可能に支持する。
一対のフリクションゴムリング19,19は、上部の筒状支持部29の内周面において、調心軸受51の軸方向両側に配置される。一対のフリクションゴムリング19,19は、筒状支持部29内に嵌装されてガイドピン31を摺動自在に弾性支持する。
ワッシャ部材21a,21bは、フリクションゴムリング19の軸方向両側に配置されて、フリクションゴムリング19の軸方向移動を規制する。本実施形態において、フリクションゴムリング19の両側に配置されるワッシャ部材21a,21bは、図5に示すように、一方が筒状支持部29の内周面に形成された段部53によって軸方向の移動が規制され、他方がスナップリング55によって軸方向の移動が規制される。これにより、一対のフリクションゴムリング19,19は、筒状支持部29の内周面に固定される。
フリクションゴムリング19は、高い弾性域(変形量)と戻し力(リトラクション効果)を有する形状及び材質のものが選定される。本実施形態において、フリクションゴムリング19の軸線を含む面による断面形状は、内周面にグリスが保持できる環状溝20を有する断面U字形状に形成されている。フリクションゴムリング19は、図8に示すように、環状溝20を有する内周面側の一対の凸部先端57がガイドピン31の外周面に摺接する。フリクションゴムリング19の凸部先端57とガイドピン31の外周面との間には、両者間の摺動抵抗値を適性値である5〜50kgfにするために、二硫化モリブデン等の固化潤滑材を混入した高性能グリスを保持させることができる。
なお、本発明に係るフリクションゴムリングの断面形状は、本実施形態のU字形状に限定されるものではなく、弾性復元作用の調整を可能とするものであれば、断面H形等の種々の形状を採りうる。
そして、一対のワッシャ部材21a,21bのうち少なくとも駆動ピストン17側のワッシャ部材21aにおけるフリクションゴムリング19側の内周部には、面取り部23が設けられる。本実施形態においては、面取り部23が、フリクションゴムリング19を挟む一対のワッシャ部材21a,21bのフリクションゴムリング19側の内周部にそれぞれ設けられている。この面取り部23は、フリクションゴムリング19における内周部(凸部先端57)の軸方向への弾性変形量を調整可能とする。本実施形態のように、面取り部23が設けられた一対のワッシャ部材21a,21bがフリクションゴムリング19を挟むことで、例えば車輪揺動時において必要となる駆動ピストン17側と反対側へガイドピン31を戻す力を作ることが可能となる。
図6及び図8に示すように、面取り部23は、フリクションゴムリング19側から離反する方向に縮径されるテーパー穴として形成することができる。テーパー穴は、軸線を含む断面において、半径方向内側に向かう傾斜面59を有する。ワッシャ部材21a,21bは、このテーパー穴における傾斜面59の開始位置Pや傾斜角度θを種々に設定することで、フリクションゴムリング19における凸部先端57の弾性変形量を調整可能としている。ワッシャ部材21a,21bは、凸部先端57の弾性変形量を大きくする場合には、面取り部23が例えば深く形成される(図8参照)。これにより、ワッシャ部材21a,21bは、フリクションゴムリング19のリトラクション効果を大きくすることができる。また、ワッシャ部材21a,21bは、凸部先端57の弾性変形量を小さくする場合には、面取り部23が例えば浅く形成される(図9参照)。これにより、ワッシャ部材21a,21bは、フリクションゴムリング19のリトラクション効果を小さくすることができる。
このように、ワッシャ部材21a,21bは、種々の面取り部23の形状のものをフローティングキャリパ13の仕様に応じて揃えておくことで、それぞれの仕様に応じた所定のものを取り付けるのみで、所望のリトラクション効果をフリクションゴムリング19に発現させることが可能となる。すなわち、フローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置11は、引き摺り対策装置が、後から付加できるように構成されている。
次に、上記した構成のフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置11の作用を説明する。
本実施形態に係るフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置11では、一対のフリクションゴムリング19が、キャリパ摺動抵抗(フリクションゴムリング19の抵抗を除く)以上の復元力を有するようにして構成される。
ここで、図7(a)に示すように、制動前(イニシャル時)において、各ブレーキパッド15とディスクロータ40とのクリアランスdを3mmとする。図7(b)に示すブレーキ制動時は、駆動ピストン17が6mm突出する(ピストンストロークs=6mm)ことで、基部25は反力によって3mmだけ駆動ピストン17の突出方向と逆に移動する。この時、サポート27は移動せずガイドピン31がスライド移動するため、フリクションゴムリング19は主に凸部先端57が変形する。この変形による復元力がガイドピン31を戻す力(リトラクション効果)を作る。従って、図7(c)に示すブレーキ緩開後においては、駆動ピストン17が6mm引き戻すのと同時に、フローティングキャリパ13が3mmだけ反ピストン側へ移動し、両パッドクリアランスが3mmとなる。なお、ライニング摩耗量αが生じている場合には、ブレーキ緩開後において、その分がサポート27と基部25とのズレ量となって現れる。
このように作動するフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置11において、フリクションゴムリング19の弾性変形量(戻し量)は、フリクションゴムリング19の側部に配置されたワッシャ部材21a,21bの面取り部23の形状によって微調整される。すなわち、現行のフローティングキャリパ内にあるフリクションゴムリング及びその側部に配置される位置決めワッシャを所定のフリクションゴムリング19及びワッシャ部材21a,21b交換することで、部品点数の増加なしに、極めて容易にフローティングキャリパ13の戻し力と戻し量の調整が可能となる。
本実施形態のフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置11では、フローティングキャリパ13を戻す力に、フリクションゴムリング19の弾性力(復元力)を用いている。各部品同士の摺動抵抗は、下式の関係に設定される。すなわち、ガイドピン31とフリクションゴムリング19の摺動抵抗をF1、フリクションゴムリング19の戻し力をF2、キャリパスライド時の摺動抵抗をF3、としたとき、F1>F2>F3の関係式が成立するよう設定される。但し、キャリパスライド時の摺動抵抗は、フリクションゴムリング19の抵抗を除いた値とする。これにより、フリクションゴムリング19の復元力を戻し力に安定的に用いることができる。
本実施形態のフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置11において、仕様に応じて交換されるワッシャ部材21a,21bは、面取り部23の形状によって、戻し力や戻し量の調整が可能となる。すなわち、図8に示すワッシャ部材21a,21bは、面取り部23の深さが深く形成されている。これにより、フリクションゴムリング19の変形量を大きくすることができ、その結果、大きな弾性復元作用(つまり、戻し力や戻し量)を得ることができる。一方、図9に示すワッシャ部材61は、面取り部63の深さが浅く形成されている。これにより、フリクションゴムリング19の変形量を小さくすることができ、その結果、小さな弾性復元作用(つまり、戻し力や戻し量)を得ることができる。この他、ワッシャ部材21a,21bは、面取り部23の傾斜面59の開始高さPを変更することによっても、フリクションゴムリング19に異なる弾性復元作用が生じるように制御が可能となる。
また、本実施形態のフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置11では、筒状支持部29の内周面に固定された一対のフリクションゴムリング19,19の間に調心軸受51が配置されることで、台車枠に弾力的に支持される車輪39が台車枠に対して相対的に変位(揺動)してガイドピン31とサポート27の筒状支持部29とが不平行になっても、ブレーキパッド15とディスクロータ40との摺動面が、制動時に密接することができる。そして、本実施形態のフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置11は、この調心軸受51の両側に、一対のフリクションゴムリング19,19及びワッシャ部材21a,21bがそれぞれ配置される。これにより、例えば車輪39の揺動時において必要となる駆動ピストン17側と反対側へガイドピン31を戻す力を作ることが可能となる。
本実施形態に係る鉄道車両用ディスクブレーキ装置では、上記のフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置11の構成を備えることで、鉄道車両用の車輪39の両側面に取り付けたディスクロータ40にブレーキパッド15を押圧して制動する際に、ブレーキパッド15とディスクロータ40のパッドクリアランスを一定に維持できる。これにより、ブレーキパッド15の偏摩耗及び引きずりを防止するとともに、鉄道車両の始動トルクの増大を抑制することができる。
次に、上記構成を有するフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置11の車輪揺動時における作用を説明する。
鉄道車両において、車輪39は、カーブ走行時のブレーキングにおいて、台車枠に固定されたフローティングキャリパ13に対して揺動する。
上記の構成を有するフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置11は、車輪揺動時についても、車輪揺動量がパッドクリアランスの2倍までならば車輪揺動後も両方のブレーキパッド15のクリアランスは同値で維持される。
本実施形態のフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置11は、車輪揺動量±6mmまでは、両パッドクリアランス3mmの確保が可能である。
ピストン側へ6mm以上車輪が揺動した場合の各パッドクリアランスの予想値を下記表1に示す。表1は、車輪39の揺動によって、駆動ピストン17側へ車輪39が移動された後に、車輪39が移動前の位置に戻った場合の各パッドクリアランスを示している。
なお、揺動時のフローティングキャリパ13の動作において、反ピストン側へ車輪39が移動した場合は、表1における各クリアランス(ピストン側のクリアランスと反ピストン側のクリアランス)は逆転する。
また、車輪揺動量が9mmを超えた場合は、フリクションゴムリング19のたわみにより、ディスクロータ40に対するブレーキパッド15の押圧力が発生する。
Figure 0006719171
即ち、イニシャル時にフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置11は、車輪39がイニシャル時から駆動ピストン方向に6mm揺動すると、サポート27と基部25とのズレ量が3mmとなり、車輪39と基部25とのズレ量が3mmとなる。この場合、フリクションゴムリング19には、3mmの戻し力が発生する。フローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置11は、揺動が解消後されれば、両パッドクリアランス3mmの確保が可能となる。
また、イニシャル時にフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置11は、車輪39がイニシャル時から駆動ピストン方向に10mm揺動すると、サポート27と基部25とのズレ量が7mmとなり、車輪39と基部25とのズレ量が3mmとなる。
そこで、車輪戻り量が6mmの場合、サポート27と基部25とのズレ量は、4mmとなり、車輪39と基部25とのズレ量は、0mmとなる。そして、ディスクロータ40とブレーキパッド15のパッドクリアランスは、3mmとなる。
また、車輪戻り量が9mmの場合、サポート27と基部25とのズレ量は、4mmとなり、車輪39と基部25とのズレ量は、0mmとなる。そして、車輪39は、残り移動量が1mmとなってブレーキパッド15にディスクロータ40が当接する。この残り移動量の1mm分、車輪39が移動することで、フリクションゴムリング19がたわみ、ディスクロータ40に対するブレーキパッド15の押付力が発生する。
上述したように、本実施形態に係るフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置11及び鉄道車両用ディスクブレーキ装置によれば、キャリパ戻し動作が安定的に発揮されてパッドの引き摺りを確実に防止できる。
ここで、上述した本発明に係るフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置及び鉄道車両用ディスクブレーキ装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下に簡潔に纏めて列記する。
[1] サポート(27)の筒状支持部(29)に対しガイドピン(31,33)を介して摺動自在に支承された基部(25)と、該基部(25)からディスクロータ(40)を軸方向両側から挟む位置にまで延出された一対の押圧腕(41,43)とを有するフローティングキャリパ(13)と、
前記ディスクロータ(40)の側面に対向するように前記一対の押圧腕(41,43)の先端部にそれぞれ設けられた一対のブレーキパッド(15,15)と、
前記ブレーキパッド(15,15)の一方を前記ディスクロータ(40)の側面に向けて駆動するために前記一対の押圧腕の一方(41)に設けられた駆動ピストン(17)と、
前記筒状支持部(29)内に嵌装されて前記ガイドピン(31)を摺動自在に弾性支持するフリクションゴムリング(19)と、
前記フリクションゴムリング(19)の軸方向両側に配置されて該フリクションゴムリング(19)の軸方向移動を規制するために前記筒状支持部(29)の内周面に固定された一対のワッシャ部材(21a,21b)と、
を備え、
前記一対のワッシャ部材(21a,21b)のうち少なくとも前記駆動ピストン(17)側の前記ワッシャ部材(21a)における前記フリクションゴムリング(19)側の内周部には、前記フリクションゴムリング(19)における内周部の軸方向への弾性変形量を調整可能な面取り部(23)が設けられることを特徴とするフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置(11)。
[2] 前記ガイドピン(31)を揺動可能に支持する調心軸受(51)が、前記筒状支持部(29)の内周面に固定され、
一対の前記フリクションゴムリング(19)が、前記調心軸受(51)の軸方向両側に配置されることを特徴とする上記[1]に記載のフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置(11)。
[3] 上記[1]又は[2]に記載のフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置(11)を備えたことを特徴とする鉄道車両用ディスクブレーキ装置。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
11…フローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置
13…フローティングキャリパ
15…ブレーキパッド
17…駆動ピストン
19…フリクションゴムリング
21a,21b…ワッシャ部材
23…面取り部
25…基部
27…サポート
29…筒状支持部
31…ガイドピン
33…ガイドピン
39…車輪(ディスクロータ)
41…押圧腕(押圧腕)
43…押圧腕(押圧腕)
51…調心軸受

Claims (3)

  1. サポートの筒状支持部に対しガイドピンを介して摺動自在に支承された基部と、該基部からディスクロータを軸方向両側から挟む位置にまで延出された一対の押圧腕とを有するフローティングキャリパと、
    前記ディスクロータの側面に対向するように前記一対の押圧腕の先端部にそれぞれ設けられた一対のブレーキパッドと、
    前記ブレーキパッドの一方を前記ディスクロータの側面に向けて駆動するために前記一対の押圧腕の一方に設けられた駆動ピストンと、
    前記筒状支持部内に嵌装されて前記ガイドピンを摺動自在に弾性支持するフリクションゴムリングと、
    前記フリクションゴムリングの軸方向両側に配置されて該フリクションゴムリングの軸方向移動を規制するために前記筒状支持部の内周面に固定され、該フリクションゴムリングを挟むように配置した一対のワッシャ部材と、を備え、
    前記一対のワッシャ部材における前記フリクションゴムリング側の各内周部には、前記フリクションゴムリングにおける内周部の軸方向への弾性変形量を調整するための面取り部が対向して設けられ
    前記ワッシャ部材は、前記筒状支持部の内周面に形成された段部とスナップリングとによって軸方向の移動が規制される外周部の厚み寸法と比較して、内周部の厚み寸法が前記面取り部の傾斜面の長さを確保するために前記フリクションゴムリング側と反対側へ厚くされていることを特徴とするフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置。
  2. 前記ガイドピンを揺動可能に支持する調心軸受が、前記筒状支持部の内周面に固定され、
    一対の前記フリクションゴムリングが、前記調心軸受の軸方向両側に配置されることを特徴とする請求項1に記載のフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置。
  3. 請求項1又は2に記載のフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置を備えたことを特徴とする鉄道車両用ディスクブレーキ装置。
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