JP2015174440A - インクジェット記録材料 - Google Patents

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木山 秀人
Hideto Kiyama
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Abstract

【課題】水性インクで印字したときのインク吸収性が良好で、片面印字後のカールの発生が抑制され、かつプリンター搬送性に優れたインクジェット記録材料を提供する。
【解決手段】非吸収性支持体の両面に少なくとも2層のインク受容層をそれぞれ有し、支持体に近いインク受容層(A)がシリカ微粒子、およびケン化度が90%未満のPVAを含有し、支持体から最も離れたインク受容層(B)がシリカ微粒子、ケン化度が90%未満のPVA、およびシラノール変性PVAを含有し、前記インク受容層(B)におけるシラノール変性PVAと、インク受容層(B)のシリカ微粒子の含有量がそれぞれ特定の範囲内にあるインクジェット記録材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、非吸水性支持体の両面にインク受容層を設けたインクジェット記録材料に関する。
近年のインクジェット記録技術の進歩に伴い、インクジェット記録材料には、銀塩方式のカラー写真に迫る画質、保存性、高級感のある面質、および光沢等が要求されるようになってきた。フォトグレードといわれる銀塩写真並の高画質を要求されるインクジェット記録材料では、優れた光沢や面質を得ることを目的に、支持体として紙をポリエチレン樹脂でラミネートしたいわゆるRCベースやポリエステルフィルムなど非吸収性支持体が一般的に使用されている。これら非吸収性支持体を利用した場合、支持体上に設けられたインク受容層によって、印字される全てのインクを吸収する必要があり、インク受容層にはインクの乾燥性や吸収性などに対して高いレベルが要求される。
最近ハガキやカレンダーなどのカード用途やフォトアルバム、フォトブック用途等に支持体の両面にインク受容層を有し、両面に印字可能なインクジェット記録材料が用いられてきている。しかし両面印字が可能なインクジェット記録材料を使用して両面印字する場合、片面を印字した後もう一方の印字面に印字することとなるが、最初の片面印字によりインクジェット記録材料のカールバランスが崩れ、もう一方の印字面に印字する際、印字ヘッドによる擦れや搬送不良が発生しやすくなる。このためカールの発生が抑制され、両面印字する際のプリンター搬送性に優れたインクジェット記録材料が求められていた。
これまでに両面印字可能なインクジェット記録材料として、例えば特開平8−174996号で、インク吸収性支持体の一方の面に、無機顔料とバインダーを主体とし、他方の面に、カチオン性物質を塗布するインクジェット記録材料が開示されている。しかし、このようなインク吸収性支持体を用いた記録シートは、光沢、質感、耐水性、印字後のコックリング等の問題がある。
非吸水性支持体の両面にインク受容層を設けたインクジェット記録材料として、例えば特開2009−262438号公報(特許文献1)に高ケン化度のポリビニルアルコールをインク受容層に用いた技術が開示されている。特許文献1記載のインクジェット記録材料では印字後のカールの発生が改善されてはいるものの、印字環境によってはヘッド擦れや搬送不良が発生する場合があり、得られる効果は不十分であった。
一方、特開2010−58373号公報(特許文献2)には、乾燥性や画像の滲みの改善を目的に、ケン化度の異なるポリビニルアルコールを含有するインク受容層が積層されたインクジェット記録材料が開示され、また、特開2002−293009号公報(特許文献3)、特開2003−54120号公報(特許文献4)、特開2003−291502号公報(特許文献5)、特開2004−90513号公報(特許文献6)等には、インク吸収性や画像色彩性、インク受容層のひび割れ等の改善を目的に、インク受容層にシラノール変性ポリビニルアルコールを用いたインクジェット記録材料が開示されている。
特開2009−262438号公報 特開2010−58373号公報 特開2002−293009号公報 特開2003−54120号公報 特開2003−291502号公報 特開2004−90513号公報
本発明は、非吸水性支持体の両面にインク受容層を有するインクジェット記録材料に関し、水性インクで印字したときのインク吸収性が良好で、片面印字後のカールの発生が抑制され、かつプリンター搬送性に優れたインクジェット記録材料を提供することを課題とする。
上記の課題は、鋭意検討の結果、下記の手段によって達成できることが判明した。
(1)非吸収性支持体の両面にシリカ微粒子を主体に含有する少なくとも2層のインク受容層をそれぞれ有し、非吸収性支持体に近いインク受容層(A)がシリカ微粒子、およびケン化度90%未満のポリビニルアルコールを含有し、支持体から最も離れたインク受容層(B)がシリカ微粒子、ケン化度90%未満のポリビニルアルコール、およびシラノール変性ポリビニルアルコールを含有し、インク受容層(B)におけるシラノール変性ポリビニルアルコールの含有量が、インク受容層(B)が含有するケン化度90%未満のポリビニルアルコールの量に対して7〜30質量%であり、インク受容層(B)におけるシリカ微粒子の含有量が、インク受容層(A)とインク受容層(B)が含有するシリカ微粒子の合計量に対して7〜50質量%であるインクジェット記録材料。
本発明のインクジェット記録材料によって、水性インクで印字したときのインク吸収性が良好で、片面印字後のカールの発生が抑制され、かつプリンター搬送性に優れたインクジェット記録材料を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録材料は、非吸収性支持体の両面に少なくとも2層のインク受容層をそれぞれ有し、両面共に支持体側に近いインク受容層(A)(以下、単にインク受容層(A)と記載)と支持体から最も離れたインク受容層(B)(以下、単にインク受容層(B)と記載)は、それぞれシリカ微粒子を主体に含有する。ここで主体に含有するとは、個々のインク受容層において、該インク受容層が含有する全固形分に対してシリカ微粒子を50質量%以上含有することであり、好ましくは65質量%以上含有することであり、更に好ましくは70質量%以上含有することである。上限は95質量%以下であることが好ましい。シリカ微粒子としては、合成シリカである気相法シリカ、あるいは湿式法シリカが好ましい。
気相法シリカは、乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって製造される。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されており入手することができる。
本発明に用いられる気相法シリカは、平均一次粒子径が5〜50nmのものが好ましい。より高い光沢を得るためには、5〜20nmでかつBET法による比表面積が90〜400m/gの気相法シリカが好ましい。本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
上記のようにして製造された気相法シリカは、数nm〜数十nmの一次粒子が網目構造あるいは鎖状につながりあって二次的に凝集した状態で存在する。本発明において、インク受容層(A)およびインク受容層(B)が含有する気相法シリカのこの凝集粒子の平均粒子径(平均二次粒子径)は500nm以下であることが好ましく、より好ましくは300nm以下である。下限の粒子径は30nm程度である。ここで、凝集粒子の平均粒径は、透過型電子顕微鏡による写真撮影で求めることができる。
気相法シリカの平均粒子径を上記した範囲とするための分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。
湿式法シリカは、製造方法によって更に沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは、珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造される。製造過程で粒子成長したシリカ粒子は、凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。この方法で製造されたシリカの二次粒子は緩やかな凝集粒子となり、比較的粉砕しやすい粒子が得られる。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシール、ファインシールとして市販されている。
ゲル法シリカは、珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造される。この場合、熟成中に小さなシリカ粒子が溶解し、大きな粒子の一次粒子間に一次粒子どうしを結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば水澤化学(株)からミズカシルとして、グレースジャパン(株)からサイロジェットとして市販されている。
ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られる。例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。
本発明で用いられる湿式法シリカとしては、沈降法シリカあるいはゲル法シリカである。これらの湿式法シリカの平均粒径(平均二次粒子径)は、通常1μm以上である。本発明に使用する湿式法シリカの平均粒子径は、500nm以下であることが好ましく、より好ましくは、平均粒径が300nm以下である。下限の粒子径は30nm程度である。上記した平均粒子径になるまで粉砕された湿式法シリカの粒子径は、前述したように透過型電子顕微鏡で求めることができる。
湿式法シリカの粉砕工程は、分散媒にシリカ微粒子を添加し混合(予備分散)する一次分散工程と、該一次分散工程で得られた粗分散液中のシリカを粉砕する二次分散工程からなる。一次分散工程における予備分散は、通常のプロペラ撹拌、歯状ブレード型分散機、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌、超音波撹拌等で行うことができる。湿式法シリカの粉砕方法としては、分散媒中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。湿式分散機としては、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用することができるが、本発明では特にビーズミル等のメディアミルが好ましく用いられる。
本発明に用いられる湿式法シリカは、平均粒子径(平均二次粒子径)が5μm以上のものが好ましい。比較的大きな粒子径のシリカを粉砕することによって、より高濃度での分散が可能となる。本発明に用いられる湿式法シリカの平均粒子径の上限は特に制限されないが、平均粒子径は50μm以下が好ましい。
本発明のインク受容層に用いられる湿式法シリカとしては、沈降法シリカが好ましい。前述したように、沈降法シリカは、その二次粒子が緩やかな凝集粒子であるので、粉砕するのに好適である。
本発明において、気相法シリカ、湿式シリカ等のシリカ微粒子はカチオン性化合物を添加してカチオン化することが好ましい。カチオン性化合物としては、カチオン性ポリマー、水溶性多価金属化合物、あるいはシランカップリング剤が用いられる。これらのカチオン性化合物の中でも特にカチオン性ポリマー及び水溶性多価金属化合物が好ましく、特にカチオン性ポリマーが好ましい。
本発明に用いられるカチオン性ポリマーとしては、4級アンモニウム基、ホスホニウム基、あるいは1〜3級アミンの酸付加物を有する水溶性カチオン性ポリマーが挙げられる。例えば、ポリエチレンイミン、ポリジアルキルジアリルアミン、ポリアリルアミン、アリキルアミンエピクロルヒドリン重縮合物、特開昭59−20696号、同59−33176号、同59−33177号、同59−155088号、同60−11389号、同60−49990号、同60−83882号、同60−109894号、同62−198493号、同63−49478号、同63−115780号、同63−280681号、特開平1−40371号、同6−234268号、同7−125411号、同10−193776号、WO99/64248号公報等に記載されたカチオン性ポリマーが挙げられる。本発明に用いられるカチオン性ポリマーの重量平均分子量は10万以下が好ましく、より好ましくは5万以下であり、特に好ましくは2千〜3万程度である。
本発明において、カチオン性ポリマーの使用量はシリカ微粒子に対して1〜10質重%の範囲が好ましい。
本発明に用いられる水溶性金属化合物として、例えば水溶性の多価金属塩が挙げられる。バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガン二水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。
上記以外の水溶性アルミニウム化合物として、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましく用いられる。この化合物は、主成分が下記の一般式1、2または3で示され、例えば[Al(OH)153+、[Al(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
[Al(OH)Cl6−n ・・式1
[Al(OH)AlCl ・・式2
Al(OH)Cl(3n−m) 0<m<3n ・・式3
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学工業(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って市販されており、各種グレードのものが容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できる。これらの塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物は、特公平3−24907号、同平3−42591号公報にも記載されている。
上記した水溶性多価金属塩化合物の添加量は、シリカ微粒子に対して0.1〜10質量%の範囲が好ましい。
本発明に用いられるシランカップリング剤としては、特開2000−233572号公報に記載されており、それらの中からカチオン性のものを用いることができる。シランカップリング剤の添加量は、シリカ微粒子に対して0.1〜10質量%の範囲が好ましい。
本発明において、インク受容層(A)とインク受容層(B)が含有するシリカ微粒子の合計の含有量は、10〜45g/mであることが好ましく、15〜40g/mの範囲がより好ましい。含有量が上記範囲より多くなるとひび割れが生じやすくなる。また含有量が上記範囲より少なくなると十分なインク吸収性が得られない場合がある。
インク受容層(B)におけるシリカ微粒子の含有量は、インク受容層(A)とインク受容層(B)が含有するシリカ微粒子の合計量の7〜50質量%である。含有量が7質量%未満では片面印字後のカール抑制効果が十分でなく、また両面印字した際のプリンター搬送性、特に高湿条件下での搬送性が十分でない。含有量が50質量%を超えた場合、十分なインク吸収性とカール抑制効果が得られない。更にインク受容層(B)におけるシリカ微粒子の含有量が、インク受容層(A)とインク受容層(B)が含有するシリカ微粒子の合計量の14〜32質量%である場合、インク吸収性と、両面印字する際のプリンター搬送性にとりわけ優れたインクジェット記録材料が得られるため、より好ましい。
本発明においてインク受容層(A)およびインク受容層(B)は、ケン化度が90%未満のポリビニルアルコールを含有する。好ましくはケン化度が80%以上90%未満の部分ケン化ポリビニルアルコールであり、より好ましくはケン化度が85%以上90%未満の部分ケン化ポリビニルアルコールである。該ポリビニルアルコールの重合度としては、平均重合度が500〜5000であることが好ましく、より好ましくは2000〜4500である。
インク受容層(A)およびインク受容層(B)におけるケン化度90%未満のポリビニルアルコールの含有量は、当該インク受容層が含有するシリカ微粒子の種類によって好ましい範囲が適宜選択される。インク受容層が気相法シリカを含有する場合は、ケン化度90%未満のポリビニルアルコールの比率は、気相法シリカに対して15〜30質量%が好ましく、16〜27質量%の範囲がより好ましく、特に17〜25質量%の範囲が好ましい。インク受容層が湿式法シリカを含有する場合は、ケン化度90%未満のポリビニルアルコールの比率は、湿式法シリカに対して10〜20質量%の範囲が好ましく、特に12〜19質量%の範囲が好ましい。
本発明においてインク受容層(B)は、シラノール変性ポリビニルアルコールを含有する。シラノール変性ポリビニルアルコールとは、シラノール基を含有するアルキレンモノマーを酢酸ビニルのような低級脂肪酸ビニルエステルとラジカル共重合し、得られた共重合体をケン化する方法等によって得られるポリビニルアルコール系重合体であり、該シラノール変性ポリビニルアルコールのケン化度は85%以上であることが好ましく、重合度は500〜2000であることが好ましく、分子内のシラノール基の含有量は単量体単位として0.05〜1.5モル%であることが好ましい。
本発明において、インク受容層(B)が含有するシラノール変性ポリビニルアルコールの含有量は、インク受容層(B)が含有するケン化度90%未満のポリビニルアルコールの量に対して7〜30質量%である。シラノール変性ポリビニルアルコールの含有量が7質量%未満である場合、良好なカール抑制効果と、プリンター搬送性が得られない。またシラノール変性ポリビニルアルコールの含有量が30質量%を超えた場合、良好なインク吸収性やカール抑制効果が得られない。シラノール変性ポリビニルアルコールの含有量が12〜22質量%である場合、インク吸収性と、両面印字する際のプリンター搬送性にとりわけ優れたインクジェット記録材料が得られるため、より好ましい。
本発明において、インク受容層(A)は、ケン化度が90%未満のポリビニルアルコールを含有する。ケン化度が90%以上のポリビニルアルコールを含有した場合、良好なインク吸収性とカール抑制効果が得られず、また低湿条件下で両面印字した際に十分な搬送性は得られない。ケン化度90%未満のポリビニルアルコールの使用によりポリビニルアルコールの結晶化による過硬膜を防ぎ、片面印字後のカール抑制に作用していると考えられる。
本発明において、インク受容層(A)は上記したケン化度が90%未満のポリビニルアルコール以外に、またインク受容層(B)は上記したケン化度が90%未満のポリビニルアルコールおよびシラノール変性ポリビニルアルコール以外に、各種水溶性ポリマーあるいはポリマーラテックスを含有することができる。水溶性ポリマーとしては、例えばポリエチレングリコール、澱粉、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸エステル系等やそれらの誘導体が挙げられる。ポリマーラテックスとしては、例えば、アクリル系ラテックスとしては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヒドロキシアルキル基等のアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステル類、アクリルニトリル、アクリルアミド、アクリル酸及びメタクリル酸等の単独重合体または共重合体、あるいは上記モノマーと、スチレンスルホン酸やビニルスルホン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、ビニルメチルエーテル、酢酸ビニル、スチレン、ジビニルベンゼン等との共重合体が挙げられる。オレフィン系ラテックスとしては、ビニルモノマーとジオレフィン類のコポリマーからなるポリマーが好ましく、ビニルモノマーとしてはスチレン、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル等が好ましく用いられ、ジオレフィン類としてはブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。これらケン化度90%未満のポリビニルアルコールおよびシラノール変性ポリビニルアルコール以外の成分は、インク受容層(A)においては、ケン化度が90%未満のポリビニルアルコールに対して50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。インク受容層(B)においては、ケン化度が90%未満のポリビニルアルコールとシラノール変性ポリビニルアルコールの合計量に対して50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
上述したケン化度が90%未満のポリビニルアルコールやシラノール変性ポリビニルアルコール、および各種水溶性ポリマーやポリマーラテックス等は、インク受容層のバインダー成分として作用するが、本発明においてインク受容層(A)およびインク受容層(B)は、該バインダー成分と共に硬膜剤を含有することが好ましい。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸及びほう酸塩の如き無機硬膜剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にほう酸あるいはほう酸塩が好ましい。硬膜剤の添加量はインク受容層が含有するバインダー成分に対して、0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%である。
インク受容層には、更に着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を含有することもできる。また本発明のインクジェット記録材料の製造に用いるインク受容層の塗布液のpHは、3.3〜6.5の範囲が好ましく、特に3.5〜5.5の範囲が好ましい。
本発明のインクジェット記録材料が有する非吸収性支持体としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジアサテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルム、及び紙と樹脂フィルムを貼り合わせたもの、基紙の両面にポリオレフィン樹脂層を被覆したポリオレフィン樹脂被覆紙等の非吸収性支持体が挙げられる。これらの非吸収性支持体の厚みは50〜300μmであることが好ましく、より好ましくは80〜260μmである。
本発明に好ましく用いられるポリオレフィン樹脂被覆紙支持体(以降、ポリオレフィン樹脂被覆紙と称す)について詳細に説明する。ポリオレフィン樹脂被覆紙は、その含水率は特に限定しないが、カール調整の観点から好ましくは5.0〜9.0質量%の範囲であり、より好ましくは6.0〜9.0質量%である。ポリオレフィン樹脂被覆紙の含水率は、任意の水分測定法を用いて測定することができる。例えば、赤外線水分計、絶乾重量法、誘電率法、カールフィッシャー法等を用いることができる。
ポリオレフィン樹脂被覆紙を構成する基紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。基紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この基紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
また、基紙の厚みに関しては特に制限はないが、紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性の良いものが好ましく、その坪量は30〜250g/mが好ましい。
基紙を被覆するポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合体及びこれらの混合物であり、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
また、ポリオレフィン樹脂被覆紙の樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、イルガノックス1010、イルガノックス1076などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。
ポリオレフィン樹脂被覆紙の主な製造方法としては、走行する基紙上にポリオレフィン樹脂を加熱溶融した状態で流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、基紙の両面が樹脂により被覆される。また、樹脂を基紙に被覆する前に、基紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。樹脂被覆層の厚みとしては、5〜50μmが適当である。
ポリオレフィン樹脂層は、ポリオレフィン樹脂を押出機で加熱溶融し、紙基体とクーリングロールとの間にフィルム状に押出し、圧着、冷却して製造される。この際、クーリングロールはポリオレフィン樹脂層の表面形状の形成に使用され、樹脂層の表面の形状により鏡面、微粗面、またはパターン化された絹目状やマット状等に型付け加工することができる。
本発明において、非吸収性支持体のインク受容層が塗設される側には、下引き層を設けるのが好ましい。この下引き層は、インク受容層が塗設される前に、予め非吸収性支持体の表面に塗布乾燥されたものである。この下引き層は、皮膜形成可能な水溶性ポリマーやポリマーラテックス等を主体に含有する。好ましくは、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース等の水溶性ポリマーであり、特に好ましくはゼラチンである。これらの水溶性ポリマーの付着量は、10〜500mg/mが好ましく、20〜300mg/mがより好ましい。更に、下引き層には、他に界面活性剤や硬膜剤を含有するのが好ましい。非吸収性支持体上に下引き層を設けることによって、インク受容層塗布時のひび割れ防止に有効に働き、均一な塗布面が得られる。
本発明において、インク受容層(A)およびインク受容層(B)の塗布方法は、1層ずつ塗布する逐次塗布方法(例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、リバースコーター等)、あるいは多層重層塗布方法(例えば、スライドビードコーターやスライドカーテンコーター等)のいずれの方法であってもよい。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。なお、部及び%は、質量部及び質量%を示す。
(実施例1)
<ポリオレフィン樹脂被覆紙の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して0.2%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/mになるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の基紙とした。抄造した基紙の両面に、密度0.918g/cmの低密度ポリエチレン100%の樹脂に対して、10%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、厚さ35μmになるように押出被覆し、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し、ポリオレフィン樹脂被覆紙を得た。
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙の両面にそれぞれ高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下引き層をゼラチンが50mg/mとなるようにそれぞれ塗布乾燥した。
<下引き層>
石灰処理ゼラチン 100部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 10部
上記のようにして作製した支持体の一方の面に、下記組成のインク受容層(A−1)塗布液を下層(支持体に近い層)として、インク受容層(B−1)塗布液を上層(支持体から最も離れた層)としてスライドビードコーターで重層塗布した。インク受容層(A−1)のシリカ微粒子塗布量は18g/mであり、インク受容層(B−1)のシリカ微粒子塗布量は4g/mである。塗布後の乾燥条件は、10℃で20秒間冷却後、30〜55℃の加熱空気を吹き付けて乾燥した。続いて支持体の他方の面にも同様にしてインク受容層(A−1)および(B−1)塗布液を重層塗布し、両面印字可能なインクジェット記録材料を作製した。
<気相法シリカ分散液1の作製>
水 430部
変性エタノール 22部
カチオン性ポリマー 3部
(ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー、第一工業製薬(株)製、シャロールDC902P、平均分子量9000)
気相法シリカ 100部
(平均一次粒径7nm、BET法による比表面積300m/g)
分散媒の水と変性エタノールの中にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマーを添加し、次いで気相法シリカを添加し予備分散して粗分散液を作製した。次にこの粗分散液を高圧ホモジナイザーで2回処理して、シリカ濃度が20質量%の気相法シリカの分散液を作製した。気相法シリカの平均粒子径は125nmであった。
<インク受容層塗布液(A−1)>
気相法シリカ分散液1 (気相法シリカの固形分として) 100部
ほう酸 4部
ポリビニルアルコール 23部
(クラレ(株)製、PVA235、ケン化度88%、平均重合度3500)
ポリ塩化アルミニウム水溶液 8部
(多木化学(株)製、タキバイン#1500、有効成分量は23.5%)
<インク受容層塗布液(B−1)>
気相法シリカ分散液1 (気相法シリカの固形分として) 100部
ほう酸 4部
ポリビニルアルコール 20部
(クラレ(株)製、PVA235)
シラノール変性ポリビニルアルコール 3部
(クラレ(株)製、R1130)
ポリ塩化アルミニウム水溶液 8部
(多木化学(株)製、タキバイン#1500)
界面活性剤 0.1部
(ノニオン系;日光ケミカルズ(株)製、NIKKOL BT−9)
(実施例2)
<インク受容層塗布液(B−2)>
気相法シリカ分散液1 (気相法シリカの固形分として) 100部
ほう酸 4部
ポリビニルアルコール 21部
(クラレ(株)製、PVA235)
シラノール変性ポリビニルアルコール 2部
(クラレ(株)製、R1130)
ポリ塩化アルミニウム水溶液 8部
(多木化学(株)製、タキバイン#1500)
界面活性剤 0.1部
(ノニオン系;日光ケミカルズ(株)製、NIKKOL BT−9)
実施例1のインクジェット記録材料の作製において、インク受容層塗布液(B−1)を上記インク受容層塗布液(B−2)に変更した以外は実施例1と同様にして実施例2のインクジェット記録材料を得た。
(実施例3)
<インク受容層塗布液(B−3)>
気相法シリカ分散液1 (気相法シリカの固形分として) 100部
ほう酸 4部
ポリビニルアルコール 18部
(クラレ(株)製、PVA235)
シラノール変性ポリビニルアルコール 5部
(クラレ(株)製、R1130)
ポリ塩化アルミニウム水溶液 8部
(多木化学(株)製、タキバイン#1500)
界面活性剤 0.1部
(ノニオン系;日光ケミカルズ(株)製、NIKKOL BT−9)
実施例1のインクジェット記録材料の作製において、インク受容層塗布液(B−1)を上記インク受容層塗布液(B−3)に変更した以外は実施例1と同様にして実施例3のインクジェット記録材料を得た。
(実施例4)
実施例1のインクジェット記録材料の作製において、インク受容層塗布液(A−1)とインク受容層塗布液(B−1)のシリカ微粒子塗布量をそれぞれ20g/mと2g/mに変更した以外は実施例1と同様にして実施例4のインクジェット記録材料を得た。
(実施例5)
実施例1のインクジェット記録材料の作製において、インク受容層塗布液(A−1)とインク受容層塗布液(B−1)のシリカ微粒子塗布量をそれぞれ12g/mと10g/mに変更した以外は実施例1と同様にして実施例5のインクジェット記録材料を得た。
(実施例6)
実施例1のインクジェット記録材料の作製において、インク受容層塗布液(B−1)が含有するシラノール変性ポリビニルアルコール(R1130)を、同じくシラノール変性ポリビニルアルコールであるクラレ(株)製R1230に変更した以外は実施例1と同様にして実施例6のインクジェット記録材料を得た。
(実施例7)
実施例1のインクジェット記録材料の作製において、インク受容層塗布液(B−1)が含有するポリビニルアルコール(PVA235)を、クラレ(株)製PVA217(ケン化度88%、平均重合度1700)に変更した以外は実施例1と同様にして実施例7のインクジェット記録材料を得た。
(比較例1)
<インク受容層塗布液(B−4)>
気相法シリカ分散液1 (気相法シリカの固形分として) 100部
ほう酸 4部
ポリビニルアルコール 22部
(クラレ(株)製、PVA235)
シラノール変性ポリビニルアルコール 1部
(クラレ(株)製、R1130)
ポリ塩化アルミニウム水溶液 8部
(多木化学(株)製、タキバイン#1500)
界面活性剤 0.1部
(ノニオン系;日光ケミカルズ(株)製、NIKKOL BT−9)
実施例1のインクジェット記録材料の作製において、インク受容層塗布液(B−1)を上記インク受容層塗布液(B−4)に変更した以外は実施例1と同様にして比較例1のインクジェット記録材料を得た。
(比較例2)
<インク受容層塗布液(B−5)>
気相法シリカ分散液1 (気相法シリカの固形分として) 100部
ほう酸 4部
ポリビニルアルコール 17部
(クラレ(株)製、PVA235)
シラノール変性ポリビニルアルコール 6部
(クラレ(株)製、R1130)
ポリ塩化アルミニウム水溶液 8部
(多木化学(株)製、タキバイン#1500)
界面活性剤 0.1部
(ノニオン系;日光ケミカルズ(株)製、NIKKOL BT−9)
実施例1のインクジェット記録材料の作製において、インク受容層塗布液(B−1)を上記インク受容層塗布液(B−5)に変更した以外は実施例1と同様にして比較例2のインクジェット記録材料を得た。
(比較例3)
実施例1のインクジェット記録材料の作製において、インク受容層塗布液(A−1)とインク受容層塗布液(B−1)のシリカ微粒子塗布量をそれぞれ21g/mと1g/mに変更した以外は実施例1と同様にして比較例3のインクジェット記録材料を得た。
(比較例4)
実施例1のインクジェット記録材料の作製において、インク受容層塗布液(A−1)とインク受容層塗布液(B−1)のシリカ微粒子塗布量をそれぞれ9g/mと13g/mに変更した以外は実施例1と同様にして比較例4のインクジェット記録材料を得た。
(比較例5)
<インク受容層塗布液(B−6)>
気相法シリカ分散液1 (気相法シリカの固形分として) 100部
ほう酸 4部
ポリビニルアルコール 23部
(クラレ(株)製、PVA235)
ポリ塩化アルミニウム水溶液 8部
(多木化学(株)製、タキバイン#1500)
界面活性剤 0.1部
(ノニオン系;日光ケミカルズ(株)製、NIKKOL BT−9)
実施例1のインクジェット記録材料の作製において、インク受容層塗布液(B−1)を上記インク受容層塗布液(B−6)に変更した以外は実施例1と同様にして比較例5のインクジェット記録材料を得た。
(比較例6)
実施例1のインクジェット記録材料の作製において、インク受容層塗布液(B−1)が含有するポリビニルアルコール(PVA235)を、クラレ(株)製ポリビニルアルコールPVA117(ケン化度98%、平均重合度1700)に変更した以外は実施例1と同様にして比較例6のインクジェット記録材料を得た。
(比較例7)
実施例1のインクジェット記録材料の作製において、インク受容層塗布液(A−1)およびインク受容層塗布液(B−1)が含有するポリビニルアルコール(PVA235)を、日本酢ビ・ポバール(株)製JC−33(ケン化度99%、平均重合度3300)に変更した以外は実施例1と同様にして比較例7のインクジェット記録材料を得た。
(比較例8)
実施例1のインクジェット記録材料の作製において、インク受容層塗布液(A−1)およびインク受容層塗布液(B−1)が含有するポリビニルアルコール(PVA235)を、日本酢ビ・ポバール(株)製JM−26(ケン化度96%、平均重合度2600)に変更した以外は実施例1と同様にして比較例8のインクジェット記録材料を得た。
上記のようにして作製したインクジェット記録材料について下記の評価を行った。その結果を表1に示す。
<インク吸収性>
市販のインクジェットプリンター(キヤノン(株)製、PIXUS MP960)を用いて、レッド(マゼンタ+シアン)とグリーン(シアン+イエロー)の重色系のベタ印字を隣接して交互に行い、印字直後にベタ部のインクの吸収状態、モットリング(画像の濃淡むら)及びレッドとグリーンの境界の滲み具合の程度を目視で観察した。下記の基準で評価した。
◎:速やかにインクが吸収され、モットリング及び境界の滲みもみられない。
○:インクの吸収はやや遅く、境界滲みが少しみられるが、実用上問題ない。
△:印字面にインクがややあふれ、モットリングと境界滲みが少しみられる。
×:印字面にインクがあふれ、強いモットリングと境界滲みが発生。
<片面印字後カール>
インクジェット記録材料を15℃30%RH環境下にて2時間シーズニングを行い、同じ環境下において市販のインクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、Colorio EP−302)にて、片面のインク受容層側全面に黒色のベタ印字を行いカールの発生状況を目視観察し、下記の基準で判定した。
○:カールの発生がほとんどなく良好。
△:カールの発生が認められる。
×:カールの発生が大きい。
<プリンター搬送性>
インクジェット記録材料を15℃30%RHと30℃80%RHそれぞれの環境下において、市販のインクジェットプリンター(キヤノン(株)製、PIXUS iP4300)にて、両面印字可能な用紙を自動的に反転させて片面ずつ連続的に印刷する自動両面印刷機能を利用して、自動搬送による両面印字を行った。搬送性の状況を観察し、下記基準で判定した。
○:問題なく印字ができ、搬送性良好。
△:エッジに僅かにヘッド擦れの跡が認められるが、実用上問題なし。
×:ヘッド擦れの発生が酷く、搬送性に劣る。
Figure 2015174440
表1から明らかなように、本発明のインクジェット記録材料は水性インクで印字したときのインク吸収性、片面印字後のカール、およびプリンター搬送性に優れていることが判る。

Claims (1)

  1. 非吸収性支持体の両面にシリカ微粒子を主体に含有する少なくとも2層のインク受容層をそれぞれ有し、非吸収性支持体に近いインク受容層(A)がシリカ微粒子、およびケン化度90%未満のポリビニルアルコールを含有し、支持体から最も離れたインク受容層(B)がシリカ微粒子、ケン化度90%未満のポリビニルアルコール、およびシラノール変性ポリビニルアルコールを含有し、インク受容層(B)におけるシラノール変性ポリビニルアルコールの含有量が、インク受容層(B)が含有するケン化度90%未満のポリビニルアルコールの量に対して7〜30質量%であり、インク受容層(B)におけるシリカ微粒子の含有量が、インク受容層(A)とインク受容層(B)が含有するシリカ微粒子の合計量に対して7〜50質量%であるインクジェット記録材料。
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