JP2015174140A - アルミダイカスト工法及びダイカスト鋳放し製品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】製品形状のキャビティ空間を作り出すように二つの金型(固定金型2及び可動金型4)を型締めする型締め工程(図1)と、キャビティ空間にアルミ合金の溶湯を圧入充填する溶湯充填工程(図2)と、アルミ合金の溶湯が凝固した後、固定金型2及び可動金型4からダイカスト鋳放し製品Aを取り出す製品離型工程(図3)と、を備える。このアルミダイガスト工法において、溶湯充填工程(図2)を、溶湯をキャビティ空間に充填するとき、ダイカスト鋳放し製品Aの下穴23の位置にて、製品外形面よりはみ出した冷却用突出部21を設ける工程とした。
【選択図】図5
Description
このアルミダイガスト工法において、前記溶湯充填工程を、前記溶湯を前記キャビティ空間に圧入充填するとき、前記製品の切削加工予定部位の位置にて、製品外形面よりはみ出した冷却用突出部を設ける工程とした。
上記目的を達成するため、本発明のダイカスト鋳放し製品は、金型からの離型により取り出した製品であるダイカスト鋳放し製品において、
前記製品の切削加工予定部位の位置に、製品外形面よりはみ出し、かつ、切削加工により取り除かれる冷却用突出部を設けた。
すなわち、製品の切削加工予定部位に設けられた冷却用突出部により冷却表面積が拡大されることで、冷却用突出部を含む加工表面が、急激な凝固スピードで冷却される。このため、加工表面の素材密度が高まり鋳巣が存在しても製品の加工表面から内部に追いやられ、加工表面に鋳巣が存在しなくなる。よって、ダイカスト鋳放し製品を切削加工しても、切削加工面に鋳巣が現れることが防止される。
更に、金型部品に冷却機構を設けるのではなく、充填するアルミ合金自体を冷却部品として活用できるようにしたので、コスト削減及び冷却の応答性改善が達成される。
この結果、切削加工面に鋳巣が現れることを防止することができると共に、コスト削減及び冷却の応答性改善を達成することができる。
まず、図1〜図3に基づき、変速機のトランスミッションケースの製造に適用された実施例1のアルミダイカスト工法を説明する。
次に、図4〜図6に基づき、実施例1におけるダイカスト鋳放し製品Aの詳細構成を説明する。
アルミダイカスト工法におけるエアーベント(ガス抜き)は、様々な文献により、一般的に、0.1mm〜0.2mmが推奨されています。このエアーベントは、ガスのみを通過させて、アルミ合金による溶湯の流動を止める役割をしている。つまり、金型の隙間tを0.2mm以下に規定すると、アルミ合金による溶湯の流動が止まり、鋳バリが出ないことになる。
(a) 冷却用突出部21のダイカスト鋳放し製品Aとの連結部の厚みDは、ダイカスト鋳放し製品Aの下穴23の加工表面から加工により切削される深さD’と同等の厚みとされる。
(b) 冷却用突出部21は、下穴23の最外周加工表面のうち、全加工表面域に亘って設けられる。実施例1の場合、図5に示すように、ダイカスト鋳放し製品Aに、ボルト穴が加工される下穴23の周りを取り囲むように、円環状に突出する冷却用突出部21が設けられる。
(c) 冷却用突出部21は、該突出部21の底面が製品と連結されている面から外側に延出され、延出先端部に向かって徐々に断面積が小さくなるように形成される。実施例1の場合、図6に示すように、断面三角による先細り形状とされる。そして、冷却用突出部21の底面の厚みDは、0.3mm以上で略1mm以下の範囲で設定され、底面に対峙する頂点部dの厚みは、0.2mm以下に形成される。
(d) 冷却用突出部21の底面と垂直な線分との成す角度θは、固定金型2の抜き勾配以上に設定される。実施例1での冷却用突出部21の底面と垂直な線分との成す角度θは、固定金型2の抜き勾配の大きさと同等のθ=略1.5°に設定される。
(e) 冷却用突出部21の高さXは、加工深さや下穴径等により適切な寸法(例えば、3mm〜5mm)に設定される。
次に、図7に基づき、実施例1のアルミダイカスト工法によるダイカスト製品Bの構成を説明する。
つまり、最終的なダイカスト製品Bには、図7に示すように、同時切削加工によるネジ穴31及び加工端面32と、雌ネジ部33と、Oリングを介装してボルトを螺合するシールテーパ面34と、を有する。そして、ダイカスト製品Bとしては、シールテーパ面34に所定の径以上の鋳巣が存在しないことが要求される。
次に、図8及び図9に基づき、比較例のアルミダイカスト工法でダイカスト製品を製造する際の課題を説明する。
次に、図10に基づき、実施例1のアルミダイカスト工法でダイカスト製品を製造する際の作用を説明する。
次に、実施例1のアルミダイカスト工法及びダイカスト鋳放し製品Aの他の特徴作用を説明する。
この構成により、工法に供する部品点数を増大させることなく、鋳抜きピン6と固定金型2の隙間溝22の寸法管理により意図的に形成した鋳バリにより、容易に冷却用突出部21を設けることができる。
この構成により、ダイカスト鋳放し製品Aを切削加工するとき、冷却用突出部21が削除されるので、別の追加工程で冷却用突出部21を削除する手間を省くことができる。
この構成により、下穴23の全周に亘って均等に凝固スピードがアップすることで、全加工表面域を急速に冷却させ、鋳巣の無い緻密な組織とすることができる。
この構成により、アルミ合金の溶湯充填を促しながら、冷却用突出部21を形成することができ、エアーベント領域迄の区間で溶湯の充填を規定の位置で止める事ができるので、余分なコスト作業工程を増やすことなく対応することができる。
この構成により、アルミダイカスト工法において、新たな工程増加をせずに、従来通りの工程による手順にて冷却用突出部21を形成することができる。
この構成により、エアーベント領域以上の隙間であり、アルミ合金による溶湯の充填時に確実に冷却用突出部21を成形することができる。
この構成により、冷却用突出部21の先端部にまで確実にアルミ合金による溶湯を充填でき、更にエアーベント領域内の値に設定する事で充填領域の境界が明確となり必要以上の溶湯の流出を防ぐことができる。
この構成により、通常の抜き勾配で対応でき、特殊な金型に設計し直すこともないので、設計的な信頼性を確保することができる。
実施例1のアルミダイカスト工法及びダイカスト鋳放し製品Aにあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
キャビティ空間にアルミ合金の溶湯を圧入充填する溶湯充填工程(図2)と、
アルミ合金の溶湯が凝固した後、金型(固定金型2、可動金型4)から製品(ダイカスト鋳放し製品A)を取り出す製品離型工程(図3)と、
を備えるアルミダイガスト工法において、
溶湯充填工程(図2)を、溶湯をキャビティ空間に充填するとき、製品(ダイカスト鋳放し製品A)の切削加工予定部位(下穴23)の位置にて、製品外形面よりはみ出した冷却用突出部21を設ける工程とした。
このため、コスト削減と共に、冷却の応答性改善を達成するので切削加工面に鋳巣が現れることを防止するアルミダイカスト工法を提供することができる。
鋳抜きピン6と金型(固定金型2)の間に、溶湯が入り込む隙間幅を持つ隙間溝22を形成し、
冷却用突出部21を、隙間溝22に入り込んだ溶湯が凝固することにより意図的に形成される鋳バリにより設けた。
このため、(1)の効果に加え、工法に供する部品点数を増大させることなく、鋳抜きピン6と金型(固定金型2)の隙間溝22の寸法管理により意図的に形成した鋳バリにより、容易に冷却用突出部21を設けることができる。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、製品(ダイカスト鋳放し製品A)を切削加工するとき、冷却用突出部21が削除されるので、別の追加工程で冷却用突出部21を削除する手間を省くことができる。
このため、(1)〜(3)の効果に加え、切削加工予定部位(下穴23)の全周に亘って均等に凝固スピードがアップすることで、全加工表面域を急速に冷却させ、鋳巣の無い緻密な組織とすることができる。
このため、(1)〜(4)の効果に加え、アルミ合金の溶湯充填を促しながら、冷却用突出部21を形成することができ、余分なコスト作業工程を増やすことなく対応することができる。
このため、(5)の効果に加え、アルミダイカスト工法において、新たな工程増加をせずに、従来通りの工程による手順にて冷却用突出部21を形成することができる。
このため、(5)又は(6)の効果に加え、アルミ合金による溶湯の充填時に確実に冷却用突出部21を成形することができる。
このため、(7)の効果に加え、冷却用突出部21の先端部にまで確実にアルミ合金による溶湯を充填でき、更に溶湯の充填境界値が明確になり必要以上の溶湯の流出を防ぐことができる。
このため、(6)〜(8)の効果に加え、通常の抜き勾配で対応でき、特殊な金型に設計し直すこともないので、設計的な信頼性を確保することができる。
製品(ダイカスト鋳放し製品A)の切削加工予定部位(下穴23)の位置に、製品外形面よりはみ出し、かつ、切削加工により取り除かれる冷却用突出部21を設けた。
このため、切削加工面に鋳巣が現れることを防止すると共に、コスト削減及び冷却の応答性改善を達成するダイカスト鋳放し製品を提供することができる。
1 固定金型ベース
2 固定金型(金型)
2a ピン固定穴
2b ピン穴
3 可動金型ベース
4 可動金型(金型)
5 キャビティ
6 鋳抜きピン
6a ピン基部
6b ピン挿着部
6c ピン先端部
6d 冷却水穴
6e ピンテーパ面
21 冷却用突出部
22 隙間溝
23 下穴(切削加工予定部位)
Claims (10)
- 製品形状のキャビティ空間を作り出すように二つの金型を型締めする型締め工程と、
前記キャビティ空間にアルミ合金の溶湯を圧入充填する溶湯充填工程と、
前記アルミ合金の溶湯が凝固した後、前記金型から製品を取り出す製品離型工程と、
を備えるアルミダイガスト工法において、
前記溶湯充填工程を、前記溶湯を前記キャビティ空間に充填するとき、前記製品の切削加工予定部位の位置にて、製品外形面よりはみ出した冷却用突出部を設ける工程とした
ことを特徴とするアルミダイカスト工法。 - 請求項1に記載されたアルミダイカスト工法において、
前記金型に、前記製品に鋳抜き形状を作り出す鋳抜きピンを設け、
前記鋳抜きピンと前記金型の間に、溶湯が入り込む隙間幅を持つ隙間溝を形成し、
前記冷却用突出部を、前記隙間溝に入り込んだ溶湯が凝固することにより意図的に形成される鋳バリにより設けた
ことを特徴とするアルミダイカスト工法。 - 請求項1又は請求項2に記載されたアルミダイカスト工法において、
前記冷却用突出部の前記製品との連結部の厚みを、前記製品の切削加工予定部位の加工表面から加工により切削される深さと同等の厚みとした
ことを特徴とするアルミダイカスト工法。 - 請求項1から3までの何れか一項に記載されたアルミダイカスト工法において、
前記冷却用突出部を、前記切削加工予定部位の最外周加工表面のうち、全加工表面域に亘って設けた
ことを特徴とするアルミダイカスト工法。 - 請求項1から4までの何れか一項に記載されたアルミダイカスト工法において、
前記冷却用突出部を、該突出部の底面が前記製品と連結されている面から外側に延出され、延出先端部に向かって徐々に断面積が小さくなるように形成した
ことを特徴とするアルミダイカスト工法。 - 請求項5に記載されたアルミダイカスト工法において、
前記冷却用突出部の前記底面と垂直な線分との成す角度を、前記金型の抜き勾配以上に設定した
ことを特徴とするアルミダイカスト工法。 - 請求項5又は請求項6に記載されたアルミダイカスト工法において、
前記冷却用突出部の前記底面の厚みを、0.3mm以上で略1mm以下の範囲で設定した
ことを特徴とするアルミダイカスト工法。 - 請求項7に記載されたアルミダイカスト工法において、
前記冷却用突出部の前記底面に対峙する頂点部の厚みを、略0.2mmに形成した
ことを特徴とするアルミダイカスト工法。 - 請求項6から8までの何れか一項に記載されたアルミダイカスト工法において、
前記冷却用突出部の底面と垂直な線分との成す角度を、前記金型の抜き勾配の大きさと同等のθ=略1.5°に設定した
ことを特徴とするアルミダイカスト工法。 - 金型からの離型により取り出した製品であるダイカスト鋳放し製品において、
前記製品の切削加工予定部位の位置に、製品外形面よりはみ出し、かつ、切削加工により取り除かれる冷却用突出部を設けた
ことを特徴とするダイカスト鋳放し製品。
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