JP2015173243A - 半導体発光素子及び半導体発光素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極形成が容易で、かつ、順方向電圧の低減し得る半導体発光素子及び半導体発光素子の製造方法を実現する。
【解決手段】m面GaN基板と、前記m面GaN基板のおもて面にGaN系半導体を用いて形成された発光構造と、前記発光構造の上面に形成された、金属(マグネシウムを除く)からなるp側コンタクト電極と、を備え、前記m面GaN基板、前記発光構造及び前記p側コンタクト電極に印加される順方向電流が20mAのときに、順方向電圧が4.7V以下であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、m面窒化物基板上に窒化物半導体で形成された発光構造を有するm面窒化物系半導体発光素子(以下、半導体発光素子と呼ぶ)に関する。
窒化物半導体は、窒化物系III−V族化合物半導体、窒化ガリウム(GaN)系半導体などとも呼ばれ、AlxGayIn1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)、(Al,Ga,In)Nなどの一般式で表される化合物半導体であり、六方晶系に属する結晶構造を取ることが知られている。典型的な窒化物系LED(Light Emitting Diode)は、ダブルヘテロpn接合型の発光構造を備え、その活性層は、InGaN井戸層と(In)GaN障壁層とが交互積層された多層膜構造を有する多重量子井戸層である。
例えば、サファイア基板を用いた窒化物系LEDの実用化の過程では、順方向電圧を低減する目的のために、p型コンタクト層(その表面にp側コンタクト電極が形成される窒化物半導体層)の結晶組成、添加する不純物の種類および濃度、層厚などの最適化が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
また、窒化物半導体に添加したMg(マグネシウム)、Zn(亜鉛)などのp型不純物を活性化させるためのポストアニール処理(窒化物半導体を積層したウェハをエピタキシャル成長炉から取出した後、RTA装置などを用いて行うアニール処理)を省略して、窒化物系LEDの製造を効率化する試みが以前より行われている。この目的のために、窒化物系LEDのp型コンタクト層(エピタキシャル成長工程の最後に形成される)の成長完了直後から基板温度を400℃以下まで降下させる間の基板温度や成長炉内雰囲気の制御に関する様々な考案がなされている(例えば、特許文献2参照)。
さらに量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)が誘起されないように、非極性基板であるm面GaN基板を用いてn型層、活性層およびp型層を六方晶のm軸方向に積層してダブルヘテロpn接合構造を形成した、m面窒化物系LEDの研究開発が行われている(例えば、非特許文献1参照)。
さらに、m面窒化物基板上で成長させたGaN系半導体素子のp側の電極として、Mg合金をコンタクト層としたものが検討されている。(例えば、特許文献3参照)。
特開平10−242587号公報 特開2005−235960号公報 特許4486701号公報
Mathew C. Schmidt et al., Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 46, No. 7, 2007, pp. L126-L128。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の窒化物系LEDは、c面窒化物基板の窒化物系LEDであり、c面窒化物基板の窒化物系LEDを作成したプロセスを、そのままm面窒化物基板の窒化物系LEDに適用した場合には、コンタクト抵抗が高くなる(例えば、特許文献3参照)。すなわち、特許文献1及び特許文献2の窒化物系LEDは、順方向電圧が高くなり、その結果、電力消費量及び発熱量が高くなるという問題がある。
また、特許文献3のm面窒化物基板の窒化物系LEDは、p側の電極として、Mg合金をコンタクト層としているが、Mgは極めて酸素と反応しやすいため、変質しやすく、電極形成が困難であるという問題がある。また、特許文献3では、m面上p側コンタクト抵抗がc面に比較して高いことが問題であると記載されている。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、電極形成が容易で、かつ、電力消費量及び発熱量を低減し得る半導体発光素子及び半導体発光素子の製造方法を提供することを主たる目的とする。
上記の目的を達成するべく、本発明の半導体発光素子は、m面GaN基板と、前記m面GaN基板のおもて面にGaN系半導体を用いて形成された発光構造と、前記発光構造の上面に形成された、金属(マグネシウムを除く)からなるp側コンタクト電極と、を備え、前記m面GaN基板、前記発光構造及び前記p側コンタクト電極に印加される順方向電流が20mAのときに、順方向電圧が4.7V以下であることを特徴とする。
また、上記の目的を達成するべく、本発明の半導体発光素子の製造方法は、m面GaN基板のおもて面にGaN系半導体を用いて発光構造を形成する第1ステップと、前記第1ステップにおいて形成した前記発光構造を酸素の存在下で熱処理する第2ステップと、記第2ステップにおいて熱処理を行った前記発光構造の上面に金属(マグネシウムを除く)からなるp側コンタクト電極を形成する第3ステップと、を備えることを特徴とする。
従って、p側コンタクト電極を、極めて酸素と反応しやすいMgを除いた、Ni(ニッケル)層やAu(金)層のような一般的に取り扱いが容易な金属で形成することができると共に、半導体発光素子の順方向電圧(Vf)を著しく低減することができる。
本発明によれば、電極形成が容易で、かつ、順方向電圧の低減し得る半導体発光素子及び半導体発光素子の製造方法を実現することができる。
本実施形態に係る半導体発光素子1の模式図であり、図1(a)は上面図、図1(b)は図1(a)のX−X線の位置における断面図である。 本実施形態に係る半導体発光素子1の製造方法のフローチャートである。 p側コンタクト電極のコンタクト間隔が10μmのときのI−V特性を示すグラフである。 Ni層のp側コンタクト電極におけるコンタクト抵抗の温度特性を示すグラフである。 Ni層、Pt層及びAl層のp側コンタクト電極におけるコンタクト抵抗の温度特性を示すグラフである。
以下、図面及び表を参照し、本発明の実施の形態について、実施例及び変形例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、実施例、比較例及び変形例の説明に用いる図面及び表は、いずれも本発明による半導体発光素子を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、又は省略などを行っており、各構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。更に、実施例、比較例及び変形例で用いる様々な数値及び数量は、いずれも一例を示すものであり、必要に応じて様々に変更することが可能である。
(本実施形態の半導体発光素子1の構成)
図1は、本実施形態に係る半導体発光素子1の模式図である。図1(a)は上面図、図1(b)は図1(a)のX−X線の位置における断面図である。半導体発光素子1は、m面窒化物基板上に窒化物半導体で形成された発光構造を有するm面窒化物系半導体発光素子である。図1(b)に示すように、半導体発光素子1は、m面GaN基板2の上にGaN系半導体からなる半導体積層体3を有している。半導体積層体3は、m面GaN基板2のおもて面2A上に配置されている。
m面GaN基板2は、ジャスト基板であってもよいし、オフ角が付与されたものであってもよい。オフ角は、通常10度以内、好ましくは6度以内である。半導体積層体3の厚さ方向が、各層を構成するGaN系半導体結晶のm軸との間でなす角度は、m面GaN基板2のオフ角に等しい。また、m面GaN基板2は、半導体積層体3を積層する表面がm面であれば良いが、一般に結晶性が良好な自立基板がより望ましい。
半導体積層体3は、m面GaN基板2側から順に、第1のアンドープGaN層31、n型GaNコンタクト層32、第2のアンドープGaN層33、n型GaNクラッド層34、活性層35、p型AlGaNクラッド層36、p型GaNコンタクト層37及びp型InGaNコンタクト層38を有している。
第1のアンドープGaN層31は、例えば、TMG(トリメチルガリウム)、アンモニアを原料として作製される。第1のアンドープGaN層31の厚さは、例えば、1〜1000nm、好ましくは2〜20nmである。第1のアンドープGaN層31の成長温度は、結晶品質を良好にするよう決められており、通常900℃〜1100℃程度である。第1のアンドープGaN層31は、m面GaN基板2の表面を安定化し、その上面の半導体積層体の品質を良好にする働きがある。一方、第1のアンドープGaN層31は、厚さを厚くしすぎた場合には、当該第1のアンドープGaN層31からm面GaN基板2側に電流が流れにくくなるため、例えば、図1(b)のような構造では、横方向電流がm面GaN基板2側に広がることができず、電圧が高くなるという問題がある。また、m面GaN基板2のうら面にn側の電極を形成する縦型素子においても、電流系路上にアンドープ層が存在する場合、電気抵抗の増加につながるため、第1のアンドープGaN層31の厚みは小さいほうが好ましい。
n型GaNコンタクト層32は、例えば、Si(シリコン)、Ge(ゲルマニウム)のようなn型不純物でドープされている。n型GaNコンタクト層32の厚さは、例えば、1〜6μm、好ましくは2〜4μmであり、成長温度は第1のアンドープGaN層31と同様である。n型不純物濃度は、例えば、2×1018〜2×1019cm-3、好ましくは5×1018cm-3以上、1×1019cm-3以下である。
第2のアンドープGaN層33は、例えば、TMG(トリメチルガリウム)、アンモニアを原料として作製される。第2のアンドープGaN層33の厚さは、例えば、20〜1000nm、好ましくは50〜200nmである。第2のアンドープGaN層33は、その上面の活性層35と同じ低温成長を用いることで、活性層35にかかる歪を軽減し、発光特性を向上させることができる。
n型GaNクラッド層34は、例えば、Si(シリコン)、Ge(ゲルマニウム)のようなn型不純物でドープされている。n型GaNクラッド層34の厚さは、例えば、10〜50nm、好ましくは10〜20nmであり、成長温度は第2のアンドープGaN層33と同様である。n型不純物濃度は、例えば、5×1017〜2×1018cm-3、好ましくは1×1018cm-3以上、5×1018cm-3以下である。上記の第2のアンドープGaN層33、n型GaNクラッド層34は、場合によっては省略しても良い。すなわち、n型GaNコンタクト層32の直上に活性層35を設けることが可能である。
活性層35は、InGaNまたはInAlGaNからなる単層であってもよいが、好ましくは、障壁層と井戸層とが交互に積層された構造を有する多重量子井戸(MQW)活性層である。井戸層は、好ましくは、InGaN、InAlGaNのような、Inを含む窒化物半導体で形成される。井戸層の厚さは、例えば、2〜15nm、好ましくは3〜10nmである。障壁層は、井戸層よりバンドギャップエネルギーの大きな窒化物半導体で形成される。障壁層の厚さは、例えば、2〜30nm、好ましくは10〜20nmである。
p型AlGaNクラッド層36は、例えば、活性層130とp型GaNコンタクト層37のいずれに対してもより大きなバンドギャップエネルギーを有するAlyGa1-yN(好ましくは0.08≦y≦0.2)で形成される。p型AlGaNクラッド層36は、例えば、Mg(マグネシウム)、Zn(亜鉛)のようなp型不純物でドープされている。p型AlGaNクラッド層36の厚さは、例えば、10〜200nm、好ましくは10nm以上、50nm以下であり、p型不純物濃度は、例えば、1×1019〜5×1020cm-3とされる。p型AlGaNクラッド層36は省略することができる。すなわち、活性層35の直上にp型GaNコンタクト層37を設けることが可能である。
p型GaNコンタクト層37は、Mg、Znのようなp型不純物でドープされている。p型GaNコンタクト層37のp型不純物濃度は、例えば、1×1019〜5×1020cm-3であり、内部で不純物濃度を意図的に変化させることも行われる。p型GaNコンタクト層37の厚さは、例えば、40〜200nmである。p型GaNコンタクト層37にAlを混入させて、p型AlxGa1-xN(好ましくは0.01≦x≦0.05)コンタクト層とすることも可能である。
p型InGaNコンタクト層38は、例えば、InxGa1-xN(好ましくは0.01≦x≦0.05)で形成され、Mg、Znのようなp型不純物でドープされている。p型InGaNコンタクト層38の厚さは、例えば、1〜20nm、好ましくは10nm以下、特に好ましくは5nm以下である。p型InGaNコンタクト層38の組成は、好ましくは、そのバンドギャップエネルギーが活性層35のバンドギャップエネルギー(活性層がMQWの場合には、井戸層のバンドギャップエネルギー)よりも大きくなるように定められる。
n型GaNコンタクト層32の一部露出した表面にはn側メタル電極41が形成されている。図1(b)に示すように、n側メタル電極41は、接続部41A及び当該接続部41Aから延びる2本の延伸部41Bとから構成されている。n側メタル電極41の延伸部41Bは、屈曲したライン状を呈しており、n側メタル電極41は、全体として逆コの字状を呈している。
図1(b)に示すように、p型InGaNコンタクト層38の上面には、p側電極として、例えば、極めて酸素と反応しやすいMgを除く、Ni(ニッケル)やAu(金)のような一般的に取り扱いが容易な金属を含むp側コンタクト電極42が形成されている。p側コンタクト電極42は、例えば、ニッケル、プラチナ、チタン、タングステン、クロム、或いはこれら金属が含まれる合金であってもよい。また、p側コンタクト電極42上の一部には、p側メタル電極43が形成されている。
(本実施形態の半導体発光素子1の製造方法)
図2は、本実施形態に係る半導体発光素子1の製造方法のフローチャートである。本実施形態に係る半導体発光素子1の製造方法では、まず、m面GaN基板2のおもて面2A上に半導体積層体3を形成する(ステップSP1)。
続いて、半導体発光素子1の製造方法では、半導体積層体3を形成したm面GaN基板2(以下、エピタキシャルウェハとも呼ぶ。)にメサ構造を形成する(ステップSP2)。続いて、半導体発光素子1の製造方法では、メサ構造を形成したエピタキシャルウェハを大気中で熱処理する(ステップSP3)。続いて、半導体発光素子1の製造方法では、大気中で熱処理したエピタキシャルウェハにp側コンタクト電極42及びp側メタル電極43を形成する(ステップSP4)。
続いて、半導体発光素子1の製造方法では、p側コンタクト電極42及びp側メタル電極43を形成したエピタキシャルウェハを窒素雰囲気中で熱処理(アロイ処理)する(ステップSP5)。続いて、半導体発光素子1の製造方法では、窒素雰囲気中で熱処理したエピタキシャルウェハにn側メタル電極41を形成する(ステップSP6)。
(実施例)
以下に、本発明者等が行った実験の結果を記す。ただし、これらの実験で用いられた方法やサンプルの構造によって、本発明は何らの限定を受けるものではない。
(実施例1)
実施例1の半導体発光素子は、図1に示した半導体発光素子1と同じ構成である。実施例1の半導体発光素子は、次の手順に従い作製した。
(エピタキシャル成長)
まず、縦×横×厚さが8mm×20mm×330μmのm面GaN基板をMOVPE装置内に準備した。このm面GaN基板はキャリア濃度が1.9×1017cm-3で、+c方向へのオフ角は0.01°であった。上記準備したm面GaN基板の、ポリッシング仕上げされたおもて面上に、常圧MOVPE法を用いて、半導体積層体をエピタキシャル成長させた。すなわち、m面GaN基板のおもて面上に、第1のアンドープGaN層、n型GaNコンタクト層、第2のアンドープGaN層、n型GaNクラッド層、活性層、p型AlGaNクラッド層、p型GaNコンタクト層及びp型InGaNコンタクト層を順次エピタキシャル成長させた。
第1のアンドープGaN層は、基板温度を1040℃とし、原料にTMG(トリメチルガリウム)、アンモニアを用いて、10nmの厚さに成長させた。n型GaNコンタクト層は、基板温度を1040℃とし、原料にTMG、アンモニア、シランを用いて、Si濃度が約7×1018cm-3、かつ、2000nmの厚さに成長させた。第2のアンドープGaN層は、基板温度を820℃とし、原料にTMG、アンモニアを用いて、100nmの厚さに成長させた。n型GaNクラッド層は、基板温度を820℃とし、原料にTMG、アンモニア、シランを用いて、Si濃度が約5×1018cm-3、かつ、20nmの厚さに成長させた。
活性層は、原料にTMG、TMI(トリメチルインジウム)、アンモニアを用いて、最下層および最上層が障壁層となるように、7層のInGaN障壁層と、6層のInGaN井戸層とを交互に成長させることにより形成した。成長温度はInGaN障壁層では820℃、InGaN井戸層では780℃とし、井戸層の厚さは9nm、障壁層の厚さは18nmとした。活性層には不純物を添加しなかった。
以上の結晶成長は、キャリアガスとして窒素を用いて成長させた。
p型AlGaNクラッド層は、エピタキシャル成長させたm面GaN基板の温度を960℃とし、原料にTMG、TMA(トリメチルアルミニウム)、アンモニア、ビスシクロペンタジエニルマグネシウムを用いて、50nmの厚さに成長させた。p型AlGaNクラッド層は、Mgでドープされており、Mg濃度が約1×1019cm-3、である。TMGとTMAの流量は、結晶組成がAl0.1Ga0.9Nとなるように調節した。
p型GaNコンタクト層は、原料にTMG、アンモニア、ビスシクロペンタジエニルマグネシウムを用いて、40nmの厚さに成長させた。p型GaNコンタクト層は、Mgでドープされており、Mg濃度が約7×1019cm-3、である。p型GaNコンタクト層の成長時、MOCVD装置内へのアンモニア供給レートは10SLM、エピタキシャル成長させたm面GaN基板の温度は1000℃とした。このp型GaNコンタクト層の成長が完了したら、直ちに、エピタキシャル成長させたm面GaN基板の加熱を停止して820℃までエピタキシャル成長させたm面GaN基板を冷却した。
p型AlGaNクラッド層及びp型GaNコンタクト層の結晶成長は、キャリアガスとして水素及び窒素の混合ガスを用いて成長させた。
p型InGaNコンタクト層は、エピタキシャル成長させたm面GaN基板の温度を820℃に保った状態で、原料にTMG、TMI(トリメチルインジウム)、アンモニア、ビスシクロペンタジエニルマグネシウムを用いて、1nmの厚さに成長させた。p型InGaNコンタクト層は、Mgでドープされており、Mg濃度は表面層のため不明である。
p型InGaNコンタクト層の結晶成長は、キャリアガスとして窒素を用いて成長した。
結晶成長が終了すると、直ちに、半導体積層体をエピタキシャル成長させたm面GaN基板(以下、エピタキシャルウェハとも呼ぶ)の加熱を停止して冷却し、500℃に達した時点でアンモニアを遮断した。キャリアガスとしてはm面GaN基板が冷却するまで窒素フローを継続させた。
表1は、実施例1の半導体積層体の各層の構成、成長させた際のキャリアガス、基板温度、厚さ及びドーパントを示している。
(メサ形成)
上記手順により得たエピタキシャルウェハを、フォトリソグラフィー法を用いてパターニングし、その後、RIEドライエッチング装置により、n型GaNコンタクト層に達するまでエッチングして、メサを形成した。
ここで、メサを形成したエピタキシャルウェハを1/2に分割し、その片側についてプロセスを継続した。
(大気中での熱処理)
続いて、大気中(酸素の存在下)で石英製加熱炉を用いて、メサを形成したエピタキシャルウェハを520℃で20分間熱処理した。ここでは、あらかじめ温度を一定にしておいた石英製加熱炉に、サセプタに載せたエピタキシャルウェハを挿入し、所定の時間挿入した後、大気中で熱処理したエピタキシャルウェハを取り出した。なお、熱処理する温度は、400℃以上700℃以下が望ましい。
(p側電極の形成)
次に、大気中で熱処理したエピタキシャルウェハの表面上にフォトリソグラフィー法を用いて、電極パターンのフォトレジストマスクを形成し、その後、p型InGaNコンタクト層上にp側コンタクト電極として、メサ全面に厚さ30nmのNi層及び厚さ300nmのAu層を、電子ビーム蒸着装置により形成した。その後、リフトオフ法を用いて、p側コンタクト電極を形成したエピタキシャルウェハにTi−W層(厚さ108nm)、Au層(厚さ300nm)をこの順に含むp側メタル電極を形成し、その後、熱処理炉を用いて、窒素雰囲気中において500℃で1分間熱処理(アロイ処理)した。
(n側電極の形成)
次に、p側コンタクト電極及びp側メタル電極を形成したエピタキシャルウェハにおいて、メサ形成により部分的に露出させたn型GaNコンタクト層2の表面に、メタル製のn側メタル電極を形成した。このn側メタル電極は、Ti−W層(厚さ108nm)、Au層(厚さ300nm)をこの順に含む積層膜とした。n側メタル電極のパターニングは、通常のリフトオフ法により行った。
最後に、ダイヤモンドスクライバを用いてn側メタル電極を形成したエピタキシャルウェハを500μm×550μm角に分断することにより、実施例1の半導体発光素子を得た。
(評価)
上記手順により得た実施例1の半導体発光素子に順方向電流1mAを印加したときの順方向電圧(Vf)を測定したところ、2.83Vという極めて低い値であった。また、実施例1の半導体発光素子に順方向電流20mAを印加したときの順方向電圧(Vf)を測定したところ、3.09Vという極めて低い値であった。さらに、実施例1の半導体発光素子に順方向電流100mAを印加したときの順方向電圧(Vf)を測定したところ、3.48Vという極めて低い値であった。さらに、実施例1の半導体発光素子に順方向電流350mAを印加したときの順方向電圧(Vf)を測定したところ、4.00Vという極めて低い値であった。
なお、測定に際して、実施例1の半導体発光素子への電流供給は、p側メタル電極及びn側メタル電極のそれぞれに接続したAuワイヤを通して行った。
また、実施例1の半導体発光素子では、p型InGaNコンタクト層上のほぼ全体にp側コンタクト電極を形成したので、p側コンタクト電極側から光を取り出すことはできない。従って、実施例1の半導体発光素子として動作させるときには、実施例1の半導体発光素子の上下を逆にして、フリップチップ構造とし、m面GaN基板側から光を取り出すことが望ましい。
(比較例1)
比較例1の半導体発光素子は、メサ形成後に大気中での熱処理を行っていない点を除いて、実施例1の半導体発光素子と同じ手順で作製した。比較例1の半導体発光素子は、実施例1の半導体発光素子の作製で使用した残りの1/2のエピタキシャルウェハを使用して作製した。
(評価)
上記手順により得た比較例1の半導体発光素子に順方向電流1mAを印加したときの順方向電圧(Vf)を測定したところ、4.79Vという高い値であった。また、比較例1の半導体発光素子に順方向電流20mAを印加したときの順方向電圧(Vf)を測定したところ、5.39Vという高い値であった。さらに、比較例1の半導体発光素子に順方向電流100mAを印加したときの順方向電圧(Vf)を測定したところ、5.83Vという高い値であった。さらに、比較例1の半導体発光素子に順方向電流350mAを印加したときの順方向電圧(Vf)を測定したところ、6.09Vという高い値であった。
(比較例2)
比較例2の半導体発光素子は、メサ形成後に窒素雰囲気中で熱処理した点を除いて、実施例1の半導体発光素子と同じ手順で作製した。熱処理温度及び熱処理時間は、実施例1の半導体発光素子と同じである。比較例2の半導体発光素子は、キャリア濃度が1.32×1017cm-3で、+c方向へのオフ角が−0.01°であるm面GaN基板を使用して作製した。基板サイズは、実施例1のm面GaN基板と同じである。
(評価)
上記手順により得た比較例2の半導体発光素子に順方向電流1mAを印加したときの順方向電圧(Vf)を測定したところ、4.52Vという高い値であった。また、比較例2の半導体発光素子に順方向電流20mAを印加したときの順方向電圧(Vf)を測定したところ、4.98Vという高い値であった。さらに、比較例2の半導体発光素子に順方向電流100mAを印加したときの順方向電圧(Vf)を測定したところ、5.32Vという高い値であった。さらに、比較例2の半導体発光素子に順方向電流350mAを印加したときの順方向電圧(Vf)を測定したところ、5.41Vという高い値であった。
(実施例2)
実施例2の半導体発光素子は、p側コンタクト電極を、厚さ30nmのNi層及び厚さ300nmのAg(銀)層で形成した点を除いて、実施例1の半導体発光素子と同じ手順で作製した。実施例2の半導体発光素子は、キャリア濃度が1.32×1017cm-3で、+c方向へのオフ角が−0.05°であるm面GaN基板を使用して作製した。基板サイズは、実施例1のm面GaN基板と同じである。
(評価)
上記手順により得た実施例1の半導体発光素子に順方向電流20mAを印加したときの順方向電圧(Vf)を測定したところ、3.09Vという極めて低い値であった。
(測定結果)
表2は、実施例1、比較例1、比較例2及び実施例2の半導体発光素子に順方向電流を印加したときの順方向電圧(Vf)の測定結果を示している。
実施例1の半導体発光素子に順方向電流1mAを印加したときの順方向電圧(Vf)は2.83Vである一方、比較例1及び比較例2の半導体発光素子に順方向電流1mAを印加したときの順方向電圧(Vf)はそれぞれ4.79V、4.52Vであり、実施例1の半導体発光素子の順方向電圧(Vf)は1.8〜2.0Vと著しく低減した。
また、実施例1及び実施例2の半導体発光素子に順方向電流20mAを印加したときの順方向電圧(Vf)はいずれも3.09Vである一方、比較例1及び比較例2の半導体発光素子に順方向電流1mAを印加したときの順方向電圧(Vf)はそれぞれ5.39V、4.98Vであり、実施例1の半導体発光素子の順方向電圧(Vf)は2.0〜2.3Vと著しく低減した。
さらに、実施例1の半導体発光素子に順方向電流100mAを印加したときの順方向電圧(Vf)は3.48Vである一方、比較例1及び比較例2の半導体発光素子に順方向電流100mAを印加したときの順方向電圧(Vf)はそれぞれ5.83V、5.32Vであり、実施例1の半導体発光素子の順方向電圧(Vf)は1.8〜2.4Vと著しく低減した。
さらに、実施例1の半導体発光素子に順方向電流350mAを印加したときの順方向電圧(Vf)は4.00Vである一方、比較例1及び比較例2の半導体発光素子に順方向電流1mAを印加したときの順方向電圧(Vf)はそれぞれ6.09V、5.41Vであり、実施例1の半導体発光素子の順方向電圧(Vf)は1.4〜2.1Vと著しく低減した。
(考察)
表3は、実施例1、比較例1、比較例2及び実施例2のプロセス条件の違いを示している。
実施例1、比較例1、比較例2及び実施例2のプロセス条件の違いを考察すると、メサ形成後に大気中(酸素の存在下)で熱処理を行うことによって、順方向電圧(Vf)が著しく低下したことは明白である。また、p側コンタクト電極の構成の違いによっては、順方向電圧(Vf)には差異が生じないことが分かった。さらに、p側コンタクト電極を、極めて酸素と反応しやすいMgを除いた、Ni(ニッケル)層やAu(金)層のような一般的に取り扱いが容易な金属で形成したことによって、容易にp側コンタクト電極を形成することができた。
(実施例3)
実施例3では、TLM(Transmission Line Methode)測定を行った。TLM測定によれば、電極間のコンタクト抵抗とシート抵抗の導出が可能になる。
まず、実施例3では、実施例1と同様のm面GaN基板の、ポリッシング仕上げされたおもて面上に、常圧MOVPE法を用いて、アンドープGaN層、p型GaNコンタクト層及びp型InGaNコンタクト層を順次エピタキシャル成長させてエピタキシャルウェハを作製した。
アンドープGaN層は、実施例1のn型GaNコンタクト層にSiをドープしない条件で2000nmの厚さに成長させた。p型GaNコンタクト層は、実施例1のp型GaNコンタクト層と同様の条件で65nmの厚さに成長させた。p型GaNコンタクト層は、Mgでドープされており、Mg濃度が約1.3×1020cm-3、である。p型InGaNコンタクト層は、実施例1のp型InGaNコンタクト層と同様の条件で1nmの厚さに成長させた。p型InGaNコンタクト層は、Mgでドープされており、Mg濃度は表面層のため不明である。
続いて、大気中(酸素の存在下)で石英製加熱炉を用いて、上記手順により作製したエピタキシャルウェハを520℃で20分間熱処理した。
続いて、大気中で熱処理したエピタキシャルウェハの表面上にフォトリソグラフィー法を用いて、実施例1のp側コンタクト電極と同様の条件でp側コンタクト電極として厚さ30nmのNi層及び厚さ300nmのAu層を形成した。p側コンタクト電極は、TLMパターンで形成した。TLMパターンのパッドサイズは、200×300μmとし、TLMパターンのパッド間隔は、2〜18μmとした。TLMパターンを含む領域は、基板面方向の電流拡がりを防止するために、RIEドライエッチング装置によりエッチングして、メサを形成した。
図3は、p側コンタクト電極のコンタクト間隔が10μmのときのI−V特性を示すグラフである。p側コンタクト電極は、図3に示すように、順方向電圧の上昇に従って順方向電流が線形的に増加しており、オーミック性に近づいていることが分かった。
図4は、p側コンタクト電極におけるコンタクト抵抗の温度特性を示すグラフである。p側コンタクト電極は、図4に示すように、温度上昇に従ってコンタクト抵抗が指数関数的に減少していた。このことから、p側コンタクト電極とp型InGaNコンタクト層とコンタクト界面では、熱電子電界放出(TFE)が支配していると考えられる。すなわち、p側コンタクト電極については、界面のショットキー障壁が電子が熱励起される高さまで減少していると推察される。この原因については、Ni蒸着後の大気中アニールによるGa空孔の形成や界面におけるNiOの形成が考えられるが、現状は不明である。
以上から、p側コンタクト電極は、オーミック特性を示していることが判明した。逆に言うと、デバイス温度を上げたときにコンタクト抵抗が低下する状況となれば、その電極はオーミック性を有しており、良質な電極が形成されていると考えることができる。
(実施例4)
実施例4では、大気中での熱処理温度を一定としたときの熱処理時間依存性を調査した。まず、実施例4では、実施例3と同様の手順によりエピタキシャルウェハを4枚作製した。続いて、大気中(酸素の存在下)で石英製加熱炉を用いて、上記手順により作製した各エピタキシャルウェハについて、熱処理温度を520℃と一定とし、熱処理時間を1分間、20分間、60分間、120分間としてそれぞれ熱処理した。
続いて、大気中で熱処理した各エピタキシャルウェハの表面上にフォトリソグラフィー法を用いて、実施例3のp側コンタクト電極と同様の条件でそれぞれp側コンタクト電極を形成した。
表4は、大気中での熱処理温度を520℃と一定とし、熱処理時間を1分間、20分間、60分間、120分間としてそれぞれ熱処理したときのエピタキシャルウェハにおけるp側コンタクト電極のコンタクト抵抗を示している。
熱処理時間を1分間としたときのコンタクト抵抗は1×109Ωcm2と非常に高く、導電性は得られなかった。これに対して、熱処理時間を20分間、60分間、120分間としたときのコンタクト抵抗はそれぞれ5.50×10-3Ωcm2、4.20×10-3Ωcm2、6.00×10-3Ωcm2と著しく低減し、順方向電流20mAを印加したときの順方向電圧(Vf)(計算値)はそれぞれ、3.59V、3.40V、3.66Vであった。従って、熱処理温度を520℃としたときの熱処理時間は、10分間以上が好ましい。
以上から、大気中での熱処理条件は、520℃10分間以上の条件が必要であることが判明した。一方、大気中での熱処理条件は、活性層にダメージを与えることが懸念されるため、ダメージ低減の観点からは低温、短時間が望ましいと考えられる。
(実施例5)
実施例5−1の半導体発光素子は、(エピタキシャル成長)→(大気中での熱処理)→(メサ形成)の手順で作製した点を除いて、実施例1の半導体発光素子と同じ手順で作製した。実施例5−2の半導体発光素子は、(エピタキシャル成長)→(メサ形成)→(p側電極の形成)の手順で作製し、p側電極の形成後に窒素雰囲気中で熱処理せずに(大気中での熱処理)を行った点を除いて、実施例1の半導体発光素子と同じ手順で作製した。実施例5−1及び実施例5−2の半導体発光素子は、キャリア濃度が1.32×1017cm-3で、+c方向へのオフ角が0.05°であるm面GaN基板を使用して作製した。基板サイズは、実施例1のm面GaN基板と同じである。
(評価)
上記手順により得た実施例5−1の半導体発光素子に順方向電流1mAを印加したときの順方向電圧(Vf)を測定したところ、2.64Vという極めて低い値であった。また、実施例5−1の半導体発光素子に順方向電流20mAを印加したときの順方向電圧(Vf)を測定したところ、2.94Vという極めて低い値であった。さらに、実施例5−1の半導体発光素子に順方向電流100mAを印加したときの順方向電圧(Vf)を測定したところ、3.37Vという極めて低い値であった。さらに、実施例5−1の半導体発光素子に順方向電流350mAを印加したときの順方向電圧(Vf)を測定したところ、4.13Vという極めて低い値であった。
また、実施例1の半導体発光素子の発光出力は47(相対値)、実施例5−1の半導体発光素子の発光出力は48(相対値)であった。
上記手順により得た実施例5−2の半導体発光素子に順方向電流1mAを印加したときの順方向電圧(Vf)を測定したところ、3.12Vという極めて低い値であった。また、実施例5−1の半導体発光素子に順方向電流20mAを印加したときの順方向電圧(Vf)を測定したところ、3.64Vという極めて低い値であった。さらに、実施例5−1の半導体発光素子に順方向電流100mAを印加したときの順方向電圧(Vf)を測定したところ、4.27Vという極めて低い値であった。さらに、実施例5−1の半導体発光素子に順方向電流350mAを印加したときの順方向電圧(Vf)を測定したところ、5.19Vという値であった。
また、実施例1の半導体発光素子の発光出力は47(相対値)、実施例5−2の半導体発光素子の発光出力は49(相対値)であった。
(測定結果)
表5は、実施例1、実施例5−1及び実施例5−2の半導体発光素子に順方向電流を印加したときの順方向電圧(Vf)及び発光出力の測定結果を示している。
実施例5−1の半導体発光素子の順方向電流は、実施例1の半導体発光素子の順方向電流と同等であり、実施例5−1の半導体発光素子の発光出力は、実施例1の半導体発光素子の発光出力と同等であった。
また、実施例5−2の半導体発光素子に順方向電流は、実施例1の半導体発光素子に比してやや高くなっているが、比較例1及び比較例2の半導体発光素子に比して著しく低減した。実施例5−2の半導体発光素子の発光出力は、実施例1の半導体発光素子の発光出力と同等であった。
以上より、実施例5−1及び実施例5−2の半導体発光素子は、実施例1の半導体発光素子の工程の順序を変更したものだが、順方向電圧が比較例1及び比較例2の半導体発光素子に比して著しく低減し、発光出力が実施例1の半導体発光素子とほぼ変わらないことが分かった。
(実施例6)
実施例6の半導体発光素子は、実施例3と同じTLM構造である。ただし、電極依存性を調査するためにp側コンタクト電極のNi層を他の金属に変更した。実施例6−1の半導体発光素子は、Ni層をPt層に変更した。実施例6−2の半導体発光素子は、Ni層をAl層に変更した。実施例6−1及び実施例6−2の半導体発光素子は、キャリア濃度が1.95×1017cm-3で、+c方向へのオフ角が−0.26°であるm面GaN基板を使用して作製した。基板サイズは、実施例1のm面GaN基板と同じである。
(評価)
上記手順により得た実施例6−1の半導体発光素子は、コンタクト抵抗が1.0×10-2Ωcm2と極めて低い値であり、順方向電流20mAを印加したときの順方向電圧(Vf)(計算値)が4.23Vという極めて低い値であった。
上記手順により得た実施例6−2の半導体発光素子は、コンタクト抵抗が1.3×10-2Ωcm2と極めて低い値であり、順方向電流20mAを印加したときの順方向電圧(Vf)(計算値)が4.66Vという極めて低い値であった。
(測定結果)
表6は、実施例6−1及び実施例6−2の半導体発光素子のコンタクト抵抗の測定結果及び順方向電流を印加したときの順方向電圧(Vf)の計算値を示している。
実施例6−1の半導体発光素子に順方向電流20mAを印加したときの順方向電圧(Vf)は、4.23Vである一方、比較例1及び比較例2の半導体発光素子に順方向電流1mAを印加したときの順方向電圧(Vf)はそれぞれ5.39V、4.98Vであり、実施例1の半導体発光素子の順方向電圧(Vf)は0.8〜1.2Vと著しく低減した。なお、比較例1の条件でPt層の半導体発光素子を作製した場合には、さらに順方向電圧(Vf)は高くなるものと考えられる。従って、実施例6−1の半導体発光素子と比較例1の条件で作製したPt層の半導体発光素子との差異は、さらに顕著なものとなる。
実施例6−2の半導体発光素子に順方向電流20mAを印加したときの順方向電圧(Vf)は、4.66Vである一方、比較例1及び比較例2の半導体発光素子に順方向電流1mAを印加したときの順方向電圧(Vf)はそれぞれ5.39V、4.98Vであり、実施例1の半導体発光素子の順方向電圧(Vf)は0.3〜0.6Vと著しく低減した。なお、比較例1の条件でAl層の半導体発光素子を作製した場合には、さらに順方向電圧(Vf)は高くなるものと考えられる。従って、実施例6−2の半導体発光素子と比較例1の条件で作製したAl層の半導体発光素子との差異は、さらに顕著なものとなる。
以上より、実施例1の半導体発光素子は、Ni層をMg以外の他の金属に変更したとしても、順方向電圧を比較例に比して低減できることが分かった。なお、実施例6−1及び実施例6−2の半導体発光素子では、順方向電流が20mAのときの順方向電圧は、4.7V以下が望ましく、より望ましくは4.3V以下、さらに望ましくは4.0V以下である。
図5は、Ni層、Pt層及びAl層のp側コンタクト電極におけるコンタクト抵抗の温度特性を示すグラフである。Ni層のp側コンタクト電極は、上述のように、温度上昇に従ってコンタクト抵抗が指数関数的に減少していた。このことから、p側コンタクト電極とp型InGaNコンタクト層とコンタクト界面では、熱電子電界放出(TFE)が支配していると考えられる。すなわち、p側コンタクト電極については、界面のショットキー障壁が電子が熱励起される高さまで減少していると推察される。
Pt層のp側コンタクト電極は、図5に示すように、温度上昇に伴ってコンタクト抵抗がわずかに上昇した。この場合、界面の伝導特性は熱電子電界放出(TFE)ではなく、界面のショットキー障壁を通過するトンネル電流が主体となっていると考えられる。
Al層のp側コンタクト電極は、図5に示すように、温度上昇に伴ってコンタクト抵抗がわずかに上昇した。この場合、界面の伝導特性は熱電子電界放出(TFE)ではなく、界面のショットキー障壁を通過するトンネル電流が主体となっていると考えられる。
(本実施形態の半導体発光素子1の作用・効果)
このようにして、本実施形態の半導体発光素子1では、m面GaN基板2と、m面GaN基板2のおもて面2AにGaN系半導体を用いて形成された半導体積層体3と、半導体積層体3の上面に形成された、金属(マグネシウムを除く)からなるp側コンタクト電極42と、を備え、m面GaN基板2、半導体積層体3及びp側コンタクト電極42に印加される順方向電流が20mAのときに、順方向電圧が4.7V以下である。
なお、本実施形態の半導体発光素子1では、順方向電流が20mAのときの順方向電圧は、4.7V以下が望ましく、より望ましくは4.3V以下、さらに望ましくは4.0V以下である。また、4.0V以下が望ましく、より望ましくは3.6V以下、さらに望ましくは3.2V以下である。また、本実施形態の半導体発光素子1では、順方向電流が1mAのときの順方向電圧は、4.3V以下が望ましく、より望ましくは3.9V以下、さらに望ましくは3.5V以下である。さらに、本実施形態の半導体発光素子1では、順方向電流が100mAのときの順方向電圧は、4.7V以下が望ましく、より望ましくは4.3V以下、さらに望ましくは3.9V以下である。さらに、本実施形態の半導体発光素子1では、順方向電流が350mAのときの順方向電圧は、5.2V以下が望ましく、より望ましくは4.8V以下、さらに望ましくは4.4V以下である。
また、本実施形態の半導体発光素子1の製造方法では、m面GaN基板2のおもて面2AにGaN系半導体を用いて半導体積層体3を形成する第1ステップと、第1ステップにおいて形成した半導体積層体3を酸素の存在下で熱処理する第2ステップと、第2ステップにおいて熱処理を行った半導体積層体3の上面に金属(マグネシウムを除く)からなるp側コンタクト電極42を形成する第3ステップと、を備える。
従って、p側コンタクト電極42を、極めて酸素と反応しやすいMgを除いた、Ni(ニッケル)層やAu(金)層のような一般的に取り扱いが容易な金属で形成することができると共に、半導体発光素子1の順方向電圧(Vf)を著しく低減することができる。このように半導体発光素子1の順方向電圧(Vf)が低減したのは、電気特性としての表面のショットキーバリア高さが変化したからであると考えられる。
また、明細書中では全てp層の再表面はMgドープInGaN層としていたが、この層を省略して、最表面をMgドープGaN層としても本手法により同様の低い電圧を得ることができる。また、最表面をGaNではなくMgドープAlGaNとした場合も検討したが、この場合についてもAl組成が低い場合には問題なく電圧を下げることができることを確認している。その場合、最表面のAl組成は概ね6%以下が望ましい。また、明細書中では、エピタキシャル成長の終了後ヒーターへの通電を切断し、500Cまで冷却された時点でNH3ガスの供給をストップしたが、筆者らの検討の中で、エピタキシャル成長の終了後、ヒーター通電の終了と同時にNH3を遮断することも検討したが、結果に大きな差は見られなかった。
1……半導体発光素子、2……m面GaN基板、3……半導体積層体、31……第1のアンドープGaN層、32……n型GaNコンタクト層、33……第2のアンドープGaN層、34……n型GaNクラッド層、35……活性層、36……p型AlGaNクラッド層、37……p型GaNコンタクト層、38……p型InGaNコンタクト層、41……n側メタル電極、42……p側コンタクト電極、43……p側メタル電極

Claims (5)

  1. m面GaN基板と、
    前記m面GaN基板のおもて面にGaN系半導体を用いて形成された発光構造と、
    前記発光構造の上面に形成された、金属(マグネシウムを除く)からなるp側コンタクト電極と、
    を備え、
    前記m面GaN基板、前記発光構造及び前記p側コンタクト電極に印加される順方向電流が20mAのときに、順方向電圧が4.7V以下である
    ことを特徴とする半導体発光素子。
  2. 前記p側コンタクト電極は、少なくともニッケル、プラチナ又はアルミニウムを含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. m面GaN基板のおもて面にGaN系半導体を用いて発光構造を形成する第1ステップと、
    前記第1ステップにおいて形成した前記発光構造を酸素の存在下で熱処理する第2ステップと、
    前記第2ステップにおいて熱処理を行った前記発光構造の上面に金属(マグネシウムを除く)からなるp側コンタクト電極を形成する第3ステップと、
    を備える
    ことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
  4. 前記第2ステップでは、前記発光構造を大気中で熱処理する
    ことを特徴とする請求項4に記載の半導体発光素子の製造方法。
  5. 前記第2ステップでは、前記発光構造を400℃以上700℃以下で熱処理する
    ことを特徴とする請求項4に記載の半導体発光素子の製造方法。
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