以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係る作業機用の伝動装置を、作業機の一例である普通形コンバイン(全稈投入形コンバイン)に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態で例示する普通形コンバインは、走行車体1における前端部の左側箇所に、作業走行時に車体の前方に位置する収穫対象の未刈り穀稈を刈り取って後方に搬送する刈取搬送装置2を、走行車体1の前方に向けて延出する状態で昇降可能に連結している。又、走行車体1の左半部に、刈取搬送装置2が搬送した刈取穀稈に扱き処理を施し、この扱き処理で得た処理物に選別処理を施す脱穀装置3を搭載している。更に、走行車体1における右半部の後側領域に、脱穀装置3の底部から揚送コンベヤ(図示せず)を介して揚送した穀粒をホッパ4Aに一旦貯留して、その穀粒の籾袋5への詰め込みを可能にする袋詰装置4を搭載している。そして、これらにより、稲や麦あるいは大豆などの穀物を収穫し、収穫した穀物の袋詰めを可能にする袋詰め仕様に構成している。
尚、図示は省略するが、普通形コンバインは、袋詰め仕様に代えて、例えば、袋詰装置4の代わりに、揚送コンベヤにて揚送した穀粒を貯留する穀粒タンク、及び、穀粒タンクに貯留した穀粒の機外への排出を可能にするスクリュ搬送式又はバケット搬送式などの穀粒排出装置を装備する穀粒タンク仕様に構成してもよい。
図1〜5に示すように、走行車体1は、角パイプ材などの複数の鋼材を連結して車体フレーム6を構成している。そして、車体フレーム6の下部に、左右のクローラ(走行装置の一例)7を配備してフルクローラ仕様に構成している。又、車体フレーム6における右半部の前側領域に搭乗運転部8を形成し、搭乗運転部8の後部側に備えた運転座席9の下方に水冷式のディーゼルエンジン(以下、エンジンと称する)10などを配備している。そして、車体フレーム6における前部の左右中央側箇所に、エンジン10の出力軸(図示せず)に連動連結したベルト式の伝動機構11、主変速装置として使用する静油圧式の無段変速装置(以下、HSTと称する)12、及び、HST12から左右のクローラ7への伝動を可能にする伝動装置13、などを配備している。
尚、図示は省略するが、走行車体1は、フルクローラ仕様に代えて、例えば、左右の走行装置7として左右の前輪と左右の後輪とを装備するホイール仕様、あるいは、左右の走行装置7として左右の前輪と左右の後部クローラとを装備するセミクローラ仕様、などに構成してもよい。又、水冷式のディーゼルエンジン10に代えて、例えば、空冷式のディーゼルエンジン、あるいは、水冷式又は空冷式のガソリンエンジン、などを装備してもよい。更に、エンジン10と電動式の走行モータとを備えるハイブリッド仕様、あるいは、エンジン10に代えて電動式の走行モータを備える電動仕様に構成してもよい。又、搭乗運転部8を車体フレーム6における左半部の前側箇所などに形成してもよい。更に、搭乗運転部8を覆うキャビンを装備してもよい。
図1に示すように、搭乗運転部8は、十字揺動式で中立復帰型に構成した操縦レバー16、前後揺動式で位置保持型に構成した主変速レバー17と副変速レバー18、及び、バネ付勢により踏み込み解除位置に復帰する自己復帰型に構成したブレーキペダル19、などを備えている。
刈取搬送装置2は、収穫対象の穀稈を刈り取って所定位置に回収する刈取回収ユニット20と、所定位置に回収した刈取穀稈を脱穀装置3の穀稈投入口(図示せず)に向けて搬送するスラットコンベヤからなるフィーダ21とを装備している。そして、昇降用の油圧制御ユニット(図示せず)の作動により、脱穀装置3の前壁に相対回転可能に連結した左右向きのフィーダ駆動軸26を支点にして昇降揺動し、非作業位置に上昇変位させた状態では、伝動装置13などの前方を開放して、伝動装置13などに対する前方からのメンテナンス作業を許容するように構成している。油圧制御ユニットは、操縦レバー16の前後方向での揺動操作に基づいて刈取搬送装置2を昇降揺動させるように、操縦レバー16に昇降用の機械式連係機構(図示せず)を介して連係している。
図2〜6に示すように、HST12は、変速ケース30に油圧ポンプ31と油圧モータ32とを内蔵して構成している。又、油圧ポンプ31のポンプ軸がHST12の入力軸33になり、かつ、油圧モータ32のモータ軸がHST12の出力軸34になるように構成している。そして、その入力軸33に、エンジン10からの動力を、ベルト式の伝動機構11及び中継軸38などを介して伝達している。又、その出力軸34から取り出した変速後の動力を伝動装置13に伝達している。
HST12の油圧ポンプ31には、アキシャルプランジャ形の可変容量ポンプを採用している。又、油圧モータ32には、アキシャルプランジャ形の固定容量モータを採用している。
HST12は、油圧ポンプ31のポンプ斜板(図示せず)を操作する変速操作軸40を、変速ケース30の前壁から前方に突出する状態で備えている。変速操作軸40は、主変速レバー17の前後方向での揺動操作に連動して、ポンプ斜板の操作角が主変速レバー17の操作位置に対応した角度になるように、その前端部に備えた連係アーム41を、主変速用の機械式連係機構42を介して主変速レバー17に連係している。
上記の構成から、主変速レバー17を中立位置に操作すると、HST12の作動状態を、ポンプ斜板の操作角が零になる中立状態に切り替えることができる。主変速レバー17を中立位置から前進側の操作領域に操作すると、HST12の作動状態を、ポンプ斜板の操作角が主変速レバー17の操作位置に対応した前進側の操作角になる所望の前進変速状態に切り替えることができる。主変速レバー17を中立位置から後進側の操作領域に操作すると、HST12の作動状態を、ポンプ斜板の操作角が主変速レバー17の操作位置に対応した後進側の操作角になる所望の後進変速状態に切り替えることができる。
図2〜8に示すように、伝動装置13は、アルミダイカスト製の伝動ケース43に、左右向きの入力軸44と従動軸45とサイドクラッチ軸46、入力軸44から従動軸45に変速伝動する副変速装置として使用する選択歯車式の変速機47、サイドクラッチ軸46に装備する一対のサイドクラッチブレーキユニット48、及び、左右の伝動機構49、などを内蔵している。又、左右の伝動機構49から左右の対応するクローラ7にわたる左右向きの左右の走行駆動軸50、及び、左右の走行駆動軸50を個別に外囲した状態で回転可能に支持する左右の駆動軸ケース51、などを備えている。
伝動ケース43は、主ケース部品52と左右の補助ケース部品53とを備えている。主ケース部品52は、左ケース部材54と右ケース部材55とに分割可能な左右二分割構造に構成している。そして、左右のケース部材54,55をボルト連結することにより、その内部空間として第1空間部56と補助空間部57とを備えるように構成している。又、その左右の側壁の下部側には、主ケース部品52の内部に向けて凹入する凹入部52Aを備えている。そして、主ケース部品52の左右の側壁に、それらの凹入部52Aを覆う状態で左右の補助ケース部品53をボルト連結することにより、左右の側壁と左右の補助ケース部品53との間に左右の第2空間部58を形成している。
つまり、伝動ケース43は、その内部空間として第1空間部56と補助空間部57と左右の第2空間部58とを備えている。又、主ケース部品52における左側の側壁から凹入部52Aを除いた左外壁部と左側の補助ケース部品53とから左側の外壁を構成し、主ケース部品52における右側の側壁から凹入部52Aを除いた右外壁部と右側の補助ケース部品53とから右側の外壁を構成している。
図2〜6及び図9に示すように、伝動装置13は、その伝動ケース43の右上部にHST12をボルト連結している。そして、その入力軸44とHST12の出力軸34とを、それらにスプライン嵌合する筒軸59を介して連動連結している。つまり、HST12による変速後の動力を伝動装置13の入力軸44に伝達している。
図2〜6、図8及び図9に示すように、変速機47は、伝動ケース43における第1空間部56の上部に、低速伝動用の低速駆動ギヤ60と低速従動ギヤ61、中速伝動用の中速駆動ギヤ62と中速従動ギヤ63、高速伝動用の高速駆動ギヤ64と高速従動ギヤ65、及び、それらのギヤ選択操作を可能にするシフト機構66、などを配備して、左右のクローラ7への伝動を遮断する中立状態と、畦越え走行時などに使用する低速伝動状態と、作業走行時などに使用する中速伝動状態と、移動走行時などに使用する高速伝動状態とに切り替え可能に構成している。
低速駆動ギヤ60は、伝動装置13の入力軸44と一体回転する筒軸59に一体形成している。中速駆動ギヤ62及び高速駆動ギヤ64は、伝動装置13の入力軸44と一体回転するように入力軸44にスプライン嵌合している。各従動ギヤ61,63,65は、従動軸45に相対回転可能に外嵌装備している。又、それらの一端側に、対応する駆動ギヤ60,62,64と常に噛み合う状態のギヤ部61A,63A,65Aを備え、かつ、それらの他端側にギヤ選択用のスプラインボス部61B,63B,65Bを備えている。
シフト機構66は、従動軸45と一体回転する状態で従動軸45に備えた第1スプライン軸部45Aと第2スプライン軸部45B、第1スプライン軸部45Aにスプライン嵌合する高低速選択用の第1シフタ67、第2スプライン軸部45Bにスプライン嵌合する中速選択用の第2シフタ68、第1シフタ操作用の第1フォーク部69Aと第2シフタ操作用の第2フォーク部69Bとを備えたシフトフォーク69、シフトフォーク69を相対摺動可能に支持する左右向きの変速支軸70、シフトフォーク69と変速支軸70との間に介装した位置保持用のデテント機構71、シフトフォーク69を左右方向に摺動操作する操作アーム72、及び、操作アーム72を支持する前後向きの変速操作軸73、などを備えている。第2スプライン軸部45Bは、従動軸45の左端部に着脱可能にスプライン嵌合したスプラインボス74により構成している。
デテント機構71は、シフトフォーク69の凹部69Cに備えたボール75と圧縮バネ76、及び、変速支軸70の外周面に環状に形成した4つの係合溝70N,70L,70M,70H、などにより、シフトフォーク69を、変速機47の中立状態に対応する中立位置、変速機47の低速伝動状態に対応する低速位置、変速機47の中速伝動状態に対応する中速位置、及び、変速機47の高速伝動状態に対応する高速位置に係合保持するように構成している。
変速操作軸73は、伝動ケース43の前壁を貫通している。そして、伝動ケース43の内部に位置する内端部に操作アーム72を備え、かつ、伝動ケース43の前壁から前方に突出する外端部に連係アーム77を備えている。連係アーム77は、副変速レバー18の前後方向での揺動操作に連動して、シフトフォーク69の操作位置が副変速レバー18の操作位置に対応した位置に変更されるように、その遊端部を、副変速用の機械式連係機構78を介して副変速レバー18に連係している。
上記の構成から、副変速レバー18を中立位置に操作すると、シフトフォーク69が中立位置に変位するとともに変速機47が中立状態に切り替わり、この中立状態をデテント機構71により保持することができる。副変速レバー18を低速位置に操作すると、シフトフォーク69が低速位置に変位するとともに変速機47が低速伝動状態に切り替わり、この低速伝動状態をデテント機構71により保持することができる。副変速レバー18を中速位置に操作すると、シフトフォーク69が中速位置に変位するとともに変速機47が中速伝動状態に切り替わり、この中速伝動状態をデテント機構71により保持することができる。副変速レバー18を高速位置に操作すると、シフトフォーク69が高速位置に変位するとともに変速機47が高速伝動状態に切り替わり、この高速伝動状態をデテント機構71により保持することができる。
図5〜10に示すように、従動軸45は、その左右中央側の部位にスプライン嵌合する小径の出力ギヤ81を備えている。サイドクラッチ軸46は、その左右中間位置にスプライン嵌合し、かつ、出力ギヤ81と噛み合い連動する大径の伝動ギヤ82を備えている。つまり、変速機47による変速後の動力を、従動軸45からサイドクラッチ軸46に減速伝達するように構成している。
図5〜8及び図10に示すように、各サイドクラッチブレーキユニット48は、それぞれ、伝動ギヤ82から対応するクローラ7への伝動を断続する噛み合い式のサイドクラッチ83と、対応するクローラ7を制動する多板式のサイドブレーキ84とを備えている。そして、サイドクラッチ軸46の軸上において、伝動ギヤ82を中心にした左右対称になるように伝動ギヤ82を挟んだ状態で左右に分散配備して、左側のサイドクラッチブレーキユニット48が、左側の伝動機構49及び左側の走行駆動軸50を介して左側のクローラ7に作用し、かつ、右側のサイドクラッチブレーキユニット48が、右側の伝動機構49及び右側の走行駆動軸50を介して右側のクローラ7に作用するように構成している。
各サイドクラッチ83は、サイドクラッチ軸46に対するサイドクラッチ軸46の軸心方向での摺動による着脱が可能な状態でサイドクラッチ軸46に相対回転可能に外嵌する筒軸85、一側端に噛合部86Aを備えた移動側回転体86、被噛合部87Aを備えた固定側回転体87、噛合部86Aと被噛合部87Aとが噛み合う入り位置に向けて移動側回転体86を付勢する圧縮バネ88、移動側回転体86を入り位置にて受け止めるC字形の止め輪からなるストッパ89、及び、圧縮バネ88の一端部を受け止めるバネ受け90、などを備えている。そして、対応する移動側回転体86が、圧縮バネ88の作用によって入り位置に摺動することにより、移動側回転体86の噛合部86Aと固定側回転体87の被噛合部87Aとが噛み合う伝動状態に切り替わり、かつ、圧縮バネ88の作用に抗して切り位置に摺動することにより、移動側回転体86の噛合部86Aと固定側回転体87の被噛合部87Aとが噛み合いを解除する遮断状態に切り替わるように構成している。
各筒軸85は、伝動ギヤ82に近接する内端側に大径の第1スプライン軸部85Aを備えている。又、伝動ギヤ82から離れる外端側に小径の第2スプライン軸部85Bを備えている。そして、第1スプライン軸部85Aの内端に位置する段差部85Cがバネ受け90として機能するように構成している。又、第2スプライン軸部85Bの外端部に、ストッパ89が着脱可能に外嵌する環状の係合溝85Dを形成している。
各移動側回転体86は、それらの内周部が、筒軸85の第2スプライン軸部85Bに相対摺動可能にスプライン嵌合するスプラインボス部86Bとして機能するように構成している。又、それらの外周部を形成するリム部86Cにおける外端側の内周部分に複数の内歯を周方向に一定ピッチで形成することにより、リム部86Cの内周部分が噛合部86Aとして機能するように構成している。
各固定側回転体87は、複数の外歯を備えた平ギヤにより、その外周部が被噛合部87Aとして機能するように構成している。そして、サイドクラッチ軸46に対するサイドクラッチ軸46の軸心方向での摺動による着脱が可能な状態でサイドクラッチ軸46と一体回転するように、サイドクラッチ軸46における対応する筒軸85よりも軸端側の両端部位に、筒軸85と隣接する状態でスプライン嵌合している。これにより、各固定側回転体87は、サイドクラッチ軸46を介して伝動ギヤ82と一体回転するように構成している。
図10に示すように、各サイドクラッチ83においては、移動側回転体86と圧縮バネ88とストッパ89とバネ受け90とを、筒軸85の外周部に、ストッパ89とバネ受け90との間に移動側回転体86と圧縮バネ88とが左右に並んで位置する配置で、かつ、移動側回転体86が筒軸85に対してサイドクラッチ軸46の軸心方向に摺動可能な状態で筒軸85と一体回転するように装備している。そして、これにより、筒軸85と移動側回転体86と圧縮バネ88とストッパ89とバネ受け90とを、サイドクラッチ軸46に対してサイドクラッチ軸46の軸心方向に着脱可能に一体摺動する摺動ユニット91に構成している。各摺動ユニット91は、対応するクローラ7に連動連結する駆動ギヤ92を、構成部品の一つとして、筒軸85と一体回転する状態で備えている。
各サイドブレーキ84は、摺動ユニット91と一体回転するブレーキハブ94、ブレーキハブ94に外嵌した複数のセパレータプレート95、複数のセパレータプレート95とサイドクラッチ軸46の軸心方向に交互に配置する複数のブレーキディスク96と単一のプレッシャプレート97、及び、複数のブレーキディスク96と単一のプレッシャプレート97とを支持するブレーキハウジング98、などから構成している。
各ブレーキハブ94は、対応する摺動ユニット91に、その構成部品の一つとして外嵌装備している。そして、複数のセパレータプレート95を、サイドクラッチ軸46の軸心方向に摺動可能な状態で摺動ユニット91と一体回転するように支持している。
各ブレーキハウジング98は、セパレータプレート95及びブレーキディスク96などを外囲する略筒状で、伝動ケース43における左右の側壁の上下中間部位に一体形成している。そして、複数のブレーキディスク96と単一のプレッシャプレート97とを、サイドクラッチ軸46の軸心方向に摺動可能な状態で回転不能に支持している。又、それらの内端部位に、サイドクラッチ軸46の軸心に沿って伝動ケース43の内部側に摺動するセパレータプレート95及びブレーキディスク96を受け止める受止部98Aを備えている。
各摺動ユニット91は、筒軸85と一体回転するスプラインボス99を備えている。各スプラインボス99は、伝動ケース内の左右中央側に位置する内端側が駆動ギヤ92として機能し、かつ、伝動ケース内の左右一端側に位置する外端側がブレーキハブ94として機能する兼用部品に構成している。そして、駆動ギヤ側の内周面に、対応する筒軸85の内端側に備えた第1スプライン軸部85Aに外嵌するスプライン穴部99Aを備えている。又、ブレーキハブ側の内周面に、筒軸85との間に圧縮バネ用の収納空間100を形成する拡径部99Bを備えている。
各筒軸85は、大径側の軸端部における第1スプライン軸部85Aの外周側に略環状に凹入形成した係合部85Eを備え、この係合部85EにC字形の止め輪101を着脱可能に外嵌装備している。
各移動側回転体86は、圧縮バネ88の作用に抗して、前述した切り位置から入り位置とは反対側の制動位置に向けて摺動させた場合に、それらのリム部86Cの内端が、スプラインボス99のブレーキハブ側に外嵌した複数のセパレータプレート95及びブレーキディスク96を、プレッシャプレート97を介してブレーキハウジング98の受止部98Aに向けて押圧するように構成している。
これにより、各サイドブレーキ84は、対応する移動側回転体86が切り位置及び切り位置よりも入り位置側に位置する状態では、複数のセパレータプレート95及びブレーキディスク96などが、移動側回転体86のリム部86Cによる押圧を受けない制動解除状態になり、対応する移動側回転体86が切り位置から制動位置に向けて移動するのに伴って、複数のセパレータプレート95及びブレーキディスク96が、移動側回転体86のリム部86Cによる押圧を受けて圧接する制動状態に切り替わるように構成している。
図2〜7及び図10に示すように、伝動ケース43は、その左右の側壁におけるサイドクラッチ軸46の軸心方向での各サイドクラッチブレーキユニット48との対向箇所に、摺動ユニット91、セパレータプレート95、ブレーキディスク96、及び、プレッシャプレート97、などの通過を許容する開口43Bを備え、かつ、これらの開口43Bを塞ぐカバー部材102をボルト連結によって着脱可能に備えている。
各カバー部材102は、固定側回転体87の通過を許容する補助開口102Aを備え、かつ、この補助開口102Aを塞ぐ補助カバー部材103をボルト連結によって着脱可能に備えている。各補助開口102Aは、サイドクラッチ軸46の軸心を中心とする円形に形成している。各補助カバー部材103は、補助開口102Aに内嵌する大径部103Aと、補助開口102Aとの間に環状の空間104を形成する小径部103Bとを、小径部103Bが伝動ケース43の内部側に位置する状態で備えている。そして、その小径部103Bに、サイドクラッチ軸46の端部を支持するベアリング105などを備えている。
各摺動ユニット91は、移動側回転体86のリム部86Cがカバー部材102に備えた環状の空間104に対向する状態でサイドクラッチ軸46の軸上に装備している。各カバー部材102は、それらの環状の空間104に、移動側回転体86を摺動操作する環状のピストン106を、サイドクラッチ軸46の軸心方向に摺動可能な状態で嵌入装備している。そして、環状の空間104がピストン操作用の油室104として機能するように構成している。
各ピストン106は、伝動ケース43に備えたステアリング用のバルブユニット107の作動によりサイドクラッチ軸46の軸心方向に摺動する。そして、この摺動により、対応する移動側回転体86をサイドクラッチ軸46の軸心方向に摺動操作する。具体的には、バルブユニット107の作動による油室104の昇圧に伴って、サイドクラッチ軸46の軸心に沿ってサイドクラッチ軸46の中央側に摺動する。そして、この摺動により、対応する移動側回転体86を圧縮バネ88の作用に抗して入り位置から切り位置に摺動操作し、その後、切り位置から制動位置に摺動操作する。又、バルブユニット107の作動による油室104の減圧に伴って、サイドクラッチ軸46の軸心に沿ってサイドクラッチ軸46の軸端側に摺動する。そして、この摺動により、対応する移動側回転体86を圧縮バネ88の作用によって制動位置から切り位置に摺動操作し、その後、切り位置から入り位置に摺動操作する。
ステアリング用のバルブユニット107は、操縦レバー16の左右方向での揺動操作に基づいて作動状態が切り替わるように、操縦レバー16にステアリング用の機械式連係機構108を介して連係している。具体的には、操縦レバー16が中立位置に位置する状態では、各ピストン106に対する操作圧を減圧する減圧状態を維持する。操縦レバー16が中立位置から左方に揺動操作されると、減圧状態から左側のピストン106に対する操作圧を昇圧する左昇圧状態に切り替わる。操縦レバー16が中立位置から右方に揺動操作されると、減圧状態から右側のピストン106に対する操作圧を昇圧する右昇圧状態に切り替わる。操縦レバー16が中立位置に揺動操作されると、左昇圧状態又は右昇圧状態から減圧状態に切り替わる。
上記の構成から、操縦レバー16を中立位置に保持すると、ステアリング用のバルブユニット107を減圧状態に維持することができる。これにより、各移動側回転体86を入り位置に維持することができ、結果、走行状態を、左右のクローラ7を等速駆動する直進状態に維持することができる。又、操縦レバー16を中立位置から左方に揺動操作すると、ステアリング用のバルブユニット107を減圧状態から左昇圧状態に切り替えることができる。これにより、右側の移動側回転体86を入り位置に維持しながら、左側の移動側回転体86を入り位置から切り位置又は制動位置に摺動させることができ、結果、走行状態を、直進状態から左側のクローラ7を従動又は制動させて車体を左方向に旋回させる左旋回状態に切り替えることができる。逆に、操縦レバー16を中立位置から右方に揺動操作すると、ステアリング用のバルブユニット107を減圧状態から右昇圧状態に切り替えることができる。これにより、左側の移動側回転体86を入り位置に維持しながら、右側の移動側回転体86を入り位置から切り位置又は制動位置に摺動させることができ、結果、走行状態を、直進状態から右側のクローラ7を従動又は制動させて車体を右方向に旋回させる右旋回状態に切り替えることができる。そして、左旋回状態又は右旋回状態において、操縦レバー16を中立位置に揺動操作すると、ステアリング用のバルブユニット107を左昇圧状態又は右昇圧状態から減圧状態に切り替えることができる。これにより、切り位置又は制動位置に位置する左右いずれか一方の移動側回転体86を入り位置に摺動させることができ、結果、走行状態を、左旋回状態又は右旋回状態から直進状態に切り替えることができる。
又、各サイドクラッチブレーキユニット48においては、伝動ケース43に内蔵のサイドクラッチ軸46及び伝動ケース43と一体の各ブレーキハウジング98に対して、移動側回転体86、固定側回転体87、セパレータプレート95、及び、ブレーキディスク96、などを伝動ケース43の各開口43Bから着脱することができる。又、各サイドクラッチブレーキユニット48に対する操作用のピストン106、及び、サイドクラッチ軸用のベアリング105などは、各開口43Bを閉塞するカバー部材102とともに伝動ケース43に対して着脱することができる。これにより、移動側回転体86、固定側回転体87、セパレータプレート95、ブレーキディスク96、ピストン106、及び、ベアリング105の交換などのメンテナンス作業を行う場合には、伝動ケース43から各カバー部材102を取り外すことにより、伝動ケース43を分解する手間を要することなく簡単に行うことができる。又、固定側回転体87、ピストン106、及び、ベアリング105に対するメンテナンス作業に関しては、カバー部材102から補助カバー部材103を取り外すことにより、移動側回転体86、セパレータプレート95、及び、ブレーキディスク96、などをカバー部材102によって伝動ケース内に保持した状態で、固定側回転体87、ピストン106、及び、ベアリング105に対するメンテナンス作業を行うことができる。
又、サイドクラッチ83の筒軸85と移動側回転体86と圧縮バネ88とストッパ89とバネ受け90、駆動ギヤ92、及び、サイドブレーキ84のブレーキハブ94、などを、サイドクラッチ軸46に対して一体的に着脱可能な摺動ユニット91としてユニット化していることから、移動側回転体86や圧縮バネ88などをサイドクラッチ軸46に対して個々に着脱する場合に比較して、サイドクラッチ軸46に対する着脱性の向上を図ることができる。
図2、図4〜6及び図10に示すように、各サイドクラッチブレーキユニット48は、搭乗運転部側に位置する右側のサイドクラッチブレーキユニット48に備えたサイドブレーキ84がメインブレーキ112として機能するように、右側のサイドブレーキ84を、制動用の操作機構113及び制動用の機械式連係機構114を介してブレーキペダル19に連係している。
制動用の操作機構113は、プレッシャプレート97に作用するように右側のカバー部材102に内嵌したリング状の操作部材115、操作部材115をサイドクラッチ軸46の軸心を中心にして回動操作する制動操作軸116、制動操作軸116の右端部に連結した連係アーム117、及び、操作部材115の回動を操作部材115の左右方向への摺動に変換するように右側のカバー部材102と操作部材115との間に形成した乗り上げ式のカム機構118、などを備えている。
制動用の機械式連係機構114は、制動用の操作機構113における連係アーム117の遊端部をブレーキペダル19に連係している。そして、この連係により、ブレーキペダル19の踏み込み操作を行うと、その操作に連動して制動操作軸116が正転し、この正転に連動して操作部材115が正転するとともに左方向に摺動して右側のプレッシャプレート97を押圧するように構成している。これにより、右側のサイドブレーキ84を制動解除状態から制動状態に切り替えることができる。又、ブレーキペダル19の踏み込み解除操作を行うと、その操作に連動して制動操作軸116が逆転し、この逆転に連動して操作部材115が逆転するとともに右方向に摺動して右側のプレッシャプレート97に対する押圧を解除するように構成している。これにより、右側のサイドブレーキ84を制動状態から制動解除状態に切り替えることができる。
つまり、操縦レバー16が中立位置に位置する直進状態において、ブレーキペダル19の踏み込み操作を行うことにより、右側のサイドブレーキ84を制動状態から制動解除状態に切り替えることができ、右側のサイドブレーキ84による制動力を左右のサイドクラッチブレーキユニット48を介して左右のクローラ7に作用させることができる。その結果、右側のサイドブレーキ84をメインブレーキ112として機能させることができる。
図5〜8及び図11に示すように、伝動ケース43は、サイドクラッチ軸46と左右の走行駆動軸50との間の位置に、左右の中継軸119を、第1空間部56と対応する第2空間部58とにわたる左右向きの姿勢で配備している。そして、その主ケース部品52における左右の側壁に、対応する中継軸119における伝動ケース43の左右中央側に位置する内端部を支持するベアリング120を備えている。又、各補助ケース部品53に、対応する中継軸119における伝動ケース43の左右両端側に位置する外端部を支持するベアリング121を備えている。これにより、各中継軸119を、それらの両端部を支持する両持ち状態で安定性良く回転可能に支持することができる。
各伝動機構49は、伝動ケース43の左右中央側に位置する第1空間部56においてサイドクラッチ軸46と対応する中継軸119とにわたる第1伝動部122と、伝動ケース43の左右両端側に位置する左右の第2空間部58において対応する中継軸119と走行駆動軸50とにわたる第2伝動部123とを備えている。そして、第1伝動部122が第2伝動部123よりも上方に位置する状態で、伝動ギヤ82を中心にして左右対称になるように構成している。
各第1伝動部122は、対応する摺動ユニット91に備えた駆動ギヤ92と、この駆動ギヤ92よりも大径で対応する中継軸119と一体回転する従動ギヤ124とを備えて、これらのギヤ92,124が噛み合い連動するギヤ連動式に構成している。そして、この噛み合い連動により、対応するサイドクラッチブレーキユニット48を経由した動力を減速する第1減速部として機能するように構成している。各従動ギヤ124は、第1空間部56に位置する中継軸119の内端部にスプライン嵌合している。
各第2伝動部123は、対応する中継軸119に一体形成した小径の駆動ギヤ125と、対応する走行駆動軸50と一体回転する出力回転体としての大径の従動ギヤ126とを備えて、これらのギヤ125,126が噛み合い連動するギヤ連動式に構成している。そして、この噛み合い連動により、対応する第1伝動部122から走行駆動軸50に減速伝動する第2減速部として機能するように構成している。
つまり、各伝動機構49は、対応するサイドクラッチブレーキユニット48を経由した動力を2段階に減速して対応する走行駆動軸50に伝達する減速機構として機能するように構成している。
尚、図示は省略するが、各伝動機構49は、対応する中継軸119と一体回転する第2伝動部123の駆動ギヤ125を、中継軸119に着脱可能に外嵌装備するように構成してもよい。又、伝動ケース43に単一の中継軸119を左右向きに固定装備し、この中継軸119に、第1伝動部122の従動ギヤ124と第2伝動部123の駆動ギヤ125とを一体形成した筒軸を相対回転可能に外嵌装備するように構成してもよい。更に、従動ギヤ124及び駆動ギヤ125を備えずに、駆動ギヤ92と従動ギヤ126とが噛み合い連動するように構成してもよい。又、対応する走行駆動軸50と一体回転する出力回転体126として大径の従動スプロケット又は従動プーリを備えて、各第2伝動部123をチェーン連動式やベルト連動式に構成してもよい。
図5、図7及び図11に示すように、伝動ケース43は、その主ケース部品52における左右の側壁に、対応する従動ギヤ126における主ケース部品側のボス部126Aを回転可能に支持する支持部としてのベアリング127を備えている。又、各補助ケース部品53に、対応する従動ギヤ126における補助ケース部品側のボス部126Bを回転可能に支持する支持部としてのベアリング128を備えている。これにより、各従動ギヤ126を、それらの両端部を支持する両持ち状態で安定性良く回転可能に支持することができる。
図1、図5、図7及び図11に示すように、各走行駆動軸50は、それらの外端部に、対応するクローラ7の駆動スプロケット129をスプライン嵌合した状態で抜け止め固定している。又、それらにおける伝動ケース側の端部に、対応する従動ギヤ126との一体回転を可能にする連動嵌合部としてのスプライン軸部50Aを備えている。各従動ギヤ126は、それらの中心部に、対応する走行駆動軸50との一体回転を可能にする連動嵌合部としてのスプライン穴部126Cを備えている。伝動ケース43の各補助ケース部品53は、それらにおける従動ギヤ126の中心部との対向箇所に、従動ギヤ126のスプライン穴部126Cにスプライン嵌合する走行駆動軸50のスプライン軸部50Aが通る出力用の開口53Aを備えている。
この構成から、対応する従動ギヤ126と走行駆動軸50とを、伝動ケース内の従動ギヤ126に対する走行駆動軸50の左右方向での抜き差しが可能な状態で一体回転可能に連結することができる。そして、この連結により、対応する伝動機構49とクローラ7とを連動連結することができる。
図2〜5、図7及び図11に示すように、各補助ケース部品53は、それらにおける開口53Aの周辺部を、対応する駆動軸ケース51が着脱可能にボルト連結される被連結部53Bに構成している。各駆動軸ケース51は、円筒形状で、それらの伝動ケース側の端部にフランジ部51Aを備えている。そして、それらのフランジ部51Aを、対応する補助ケース部品53の被連結部53Bに着脱可能にボルト連結する連結部に構成している。これにより、各補助ケース部品53に対応する駆動軸ケース51を着脱可能にボルト連結することができる。
図5、図7及び図11に示すように、各補助ケース部品53は、それらに備える開口53Aの口径を、それらの開口53Aを挿通する各走行駆動軸50の開口挿通部となるスプライン軸部50Aの外径よりも大きく、かつ、対応する従動ギヤ126の外径よりも小さく設定している。これにより、例えば各開口53Aの口径を従動ギヤ126の外径よりも大きくする場合に比較して、各駆動軸ケース51におけるフランジ部51Aの外径を小さくすることができる。その結果、各駆動軸ケース51の小型軽量化を図ることができる。
各駆動軸ケース51は、それらにおけるクローラ側(走行装置側)の端部に拡径部51Bを備えている。そして、拡径部51Bに、走行駆動軸50におけるクローラ側の端部を回転可能に支持する第1ベアリング141を内嵌装備している。又、フランジ部51Aを備える伝動ケース側の端部に、走行駆動軸50における伝動ケース側の端部を回転可能に支持する第2ベアリング142が内嵌する第1嵌合部51Cを備えている。
つまり、各駆動軸ケース51により、対応する走行駆動軸50を、それらの両端部を第1ベアリング141又は第2ベアリング142を介して支持する両持ち状態で、適正位置に安定性良く回転可能に支持することができる。これにより、例えば、各駆動軸ケース51における伝動ケース側の端部を、伝動ケース43により、それらの内部に内嵌装備したベアリングを介して支持する場合に比較して、各駆動軸ケース51における伝動ケース側の支持位置から対応するクローラ7までの距離を短くすることができる。その結果、各クローラ7を作動させた走行時に各走行駆動軸50にかかる曲げモーメントを小さくすることができ、各走行駆動軸50の耐久性を向上させることができる。
各駆動軸ケース51は、それらの第1嵌合部51Cに第2ベアリング142における駆動軸ケース側の部分が内嵌するように構成している。各補助ケース部品53は、第2ベアリング142における補助ケース部品側(外壁側)の部分が内嵌する第2嵌合部53Cを備えている。各第2ベアリング142は、対応する第1嵌合部51Cと第2嵌合部53Cとに内嵌して、対応する駆動軸ケース51と補助ケース部品53とにわたるように構成している。
この構成から、各第2ベアリング142を、対応する駆動軸ケース51と補助ケース部品53との位置合わせ、及び、駆動軸ケース側の走行駆動軸50と補助ケース部品側の従動ギヤ126との芯合わせを可能にする位置合わせ用の嵌合部材として機能させることができる。これにより、例えば、各駆動軸ケース51に、それらのフランジ部51Aから補助ケース部品側に突出して、補助ケース部品53の開口53Aに内嵌する位置合わせ用の嵌合部を備える必要がなく、結果、各駆動軸ケース51の構成の簡素化を図りながら、対応する駆動軸ケース51と補助ケース部品53との位置合わせ、及び、駆動軸ケース側の走行駆動軸50と補助ケース部品側の従動ギヤ126との芯合わせを容易にすることができる。
各駆動軸ケース51は、それらの内径を第1嵌合部51Cの内径よりも小さくして、駆動軸ケース51の内周面と第1嵌合部51Cの内周面との間に、第2ベアリング142のアウタレース142Aを駆動軸ケース側から受け止める受止面51Dを形成している。これにより、例えば、駆動軸ケース51の内径を第1嵌合部51Cの内径と同じにする場合に必要になる止め輪などを備えることなく、各駆動軸ケース51に対する適正な嵌入深さ位置にて第2ベアリング142を受け止めることができる。
各補助ケース部品53は、それらに備える開口53Aの口径を第2嵌合部53Cの内径よりも小さくして、開口53Aの内周面と第2嵌合部53Cの内周面との間に、第2ベアリング142のアウタレース142Aを伝動ケース側から受け止める受止面53Dを形成している。これにより、例えば、開口53Aの口径を第2嵌合部53Cの内径と同じにする場合に必要になる止め輪などを備えることなく、各補助ケース部品53に対する適正な嵌入深さ位置にて第2ベアリング142を受け止めることができる。
各走行駆動軸50は、それらのクローラ側の端部に第1ベアリング受け止め用の段差部50Bを形成している。そして、その段差部50Bと駆動スプロケット129との間に、第1ベアリング141とカラー143とを挟持保持している。
各駆動軸ケース51は、拡径部51Bにおける第1ベアリング141よりもクローラ側の部位に、カラー143との間からのオイル漏れを防止するオイルシール144を内嵌装備している。又、伝動ケース側の端部における第2ベアリング142よりもクローラ側の部位に、走行駆動軸50との間からのオイル漏れを防止するオイルシール145を内嵌装備している。
これにより、例えば、拡径部51Bに備えたクローラ側のオイルシール144が劣化して、駆動軸ケース内のオイルがクローラ側のオイルシール144から漏れ出す不具合が発生しても、伝動ケース側のオイルシール145により、伝動ケース内のオイルがクローラ側のオイルシール144から漏れ出す虞を回避することができる。つまり、クローラ側のオイルシール144の劣化に起因したオイル漏れを最小限に抑えることができ、変速機47などの潤滑油やステアリング用などの作動油に使用する伝動ケース内のオイル量を確保することができる。その結果、クローラ側のオイルシール144からのオイル漏れに起因して、変速機47の焼き付きやステアリング不良などの不具合が発生する虞を回避することができる。
図2〜5、図7及び図11に示すように、各駆動軸ケース51は、それらにおけるクローラ側のオイルシール144と伝動ケース側のオイルシール145との間に位置するケース部51Eに、ケース部内へのオイルの補給を可能にする給油部51Fと、ケース部外へのオイルの排出を可能にする排油部51Gと、ケース部外への空気の排出を可能にする空気抜き部51Hとを備えている。
各給油部51Fは、各ケース部51Eにおける対応するクローラ7の内端よりも伝動ケース側の部分の上端部位に形成した給油用のネジ孔51Fa、給油用のネジ孔51Faに螺合するボルト51Fb、及び、給油用のネジ孔51Faとボルト51Fbとの間からのオイル漏れを防止するゴム付き座金51Fc、により構成している。つまり、各ケース部51Eにおける対応するクローラ7の内端よりも伝動ケース側の部分の上端部位に備えている。
各排油部51Gは、各ケース部51Eにおける対応するクローラ7の内端よりも伝動ケース側の部分の下端部位に形成した排油用のネジ孔51Ga、排油用のネジ孔51Gaに螺合するボルト51Gb、及び、排油用のネジ孔51Gaとボルト51Gbとの間からのオイル漏れを防止するゴム付き座金51Gc、により構成している。つまり、各ケース部51Eにおける対応するクローラ7の内端よりも伝動ケース側の部分の下端部位に備えている。
各空気抜き部51Hは、各ケース部51Eにおける対応するクローラ7の内端よりも伝動ケース側で、かつ、給油部51Fよりもクローラ側の部分の上端部位に形成した空気抜き用のネジ孔51Ha、空気抜き用のネジ孔51Haに螺合するボルト51Hb、及び、空気抜き用のネジ孔51Haとボルト51Hbとの間からのオイル漏れを防止するゴム付き座金51Hc、により構成している。つまり、各ケース部51Eにおける対応するクローラ7の内端よりも伝動ケース側の部分の上端部位に備えている。
この構成から、各駆動軸ケース51のケース部内にオイルを供給する場合には、対応する空気抜き部51Hのボルト51Hbを緩める又は取り外すことにより、空気抜き部51Hでの空気の流動を可能にする。又、対応する給油部51Fのボルト51Fbを取り外して給油用のネジ孔51Faを開放することにより、給油用のネジ孔51Faからの給油を可能にする。これにより、給油用のネジ孔51Faからオイルを供給するのに伴って、ケース部内の空気を空気抜き部51Hからケース部外に排出することができ、ケース部内へのオイルの供給を円滑に行うことができる。そして、給油部51F及び空気抜き部51Hをケース部51Eの上端部位に備えることにより、ケース部内にオイルが充満すると、オイル面が給油部51F又は空気抜き部51Hに達することにより、ケース部内にオイルが充満したことを容易に視認することができる。
逆に、各駆動軸ケース51のケース部内のオイルを排出する場合には、対応する排油部51Gのボルト51Gbを取り外して排油用のネジ孔51Gaを開放することにより、排油用のネジ孔51Gaからの排油を可能にする。又、対応する空気抜き部51Hのボルト51Hbを緩める又は取り外すことにより、空気抜き部51Hでの空気の流動を可能にする。これにより、排油用のネジ孔51Faからオイルを排出するのに伴って、ケース部外の空気を空気抜き部51Hからケース部内に取り込むことができ、ケース部内のオイルの排出を円滑に行うことができる。そして、排油部51Gをケース部51Eの下端部位に備えることにより、ケース部内に残留するオイル量を最少にすることができる。
又、各給油部51F、各排油部51G、及び、各空気抜き部51Hを、対応する駆動軸ケース51のケース部51Eにおけるクローラ7よりも伝動ケース側の部分に備えることにより、各ケース部51Eに対するオイルの給排作業を行う場合には、刈取搬送装置2を上昇変位させて、伝動装置13を車体前方から目視可能に露出させるのに伴って、各給油部51F、各排油部51G、及び、各空気抜き部51Hのそれぞれが、車体前方から目視可能に露出するようになる。これにより、例えば、各給油部51F、各排油部51G、及び、各空気抜き部51Hを、対応する駆動軸ケース51のケース部51Eにおけるクローラ7との重合部位に備える場合に比較して、各ケース部51Eに対するオイルの給排作業を行い易くすることができる。
図5、図7及び図11に示すように、各駆動軸ケース51は、それらの拡径部51Bの内周面に、拡径部51Bに対する第1ベアリング141の抜け止めを行う止め輪146を係合装備している。各第2ベアリング142は、走行駆動軸50との嵌合状態が第2嵌合部53Cとの嵌合状態よりもきつくなるように構成している。これにより、左右の対応する走行駆動軸50、駆動軸ケース51、駆動スプロケット129、第1ベアリング141、第2ベアリング142、カラー143、及び、各オイルシール144,145、などを、対応する駆動軸ケース51と補助ケース部品53とのボルト連結を解除した場合に、補助ケース部品53に対して一体的に取り外すことが可能になる部分組立品に構成している。
以上の構成から、伝動ケース43の各第2空間部58に備えた各伝動機構49の第2伝動部123などに対するメンテナンスを行う場合には、主ケース部品52に対する各補助ケース部品53のボルト連結を解除した後、各補助ケース部品53を主ケース部品52の左右の側壁から主ケース部品52の横外方に離間させることにより、対応する走行駆動軸50と従動ギヤ126とのスプライン嵌合などを解除することができ、各第2伝動部123の駆動ギヤ125及び従動ギヤ126を主ケース部品52の各凹入部52Aに残した状態で、主ケース部品52に対して、左右の補助ケース部品53とともに、左右の対応する走行駆動軸50、駆動軸ケース51、第1ベアリング141、及び、第2ベアリング142、などを一体的に取り外すことができる。これにより、主ケース部品52を左右に分割する場合のような大きな手間を要することなく、簡単に各第2伝動部123を露出させることができる。その結果、各第2伝動部123などに対するメンテナンス、特に、従動ギヤ126あるいは補助ケース部品側のベアリング121,128の交換などを容易に行うことができる。
そして、各第2伝動部123を露出させた状態においても、各中継軸119及び各第2伝動部123の駆動ギヤ125や従動ギヤ126を、主ケース部品52の各凹入部52Aにおける適正位置に、主ケース部品側の各ベアリング120,127によって安定的に支持することができる。これにより、従動ギヤ126に対する走行駆動軸50のスプライン嵌合、並びに、補助ケース部品側のベアリング121,128による中継軸119及び従動ギヤ126の支持などを行いながら、各補助ケース部品53を主ケース部品52の左右の側壁にボルト連結する組み付け作業を容易に行うことができる。
又、伝動ケース43から左右の駆動軸ケース51及び走行駆動軸50などを取り外す場合には、左右の対応する駆動軸ケース51と補助ケース部品53とのボルト連結を解除した後、各駆動軸ケース51を対応する補助ケース部品53の被連結部53Bから補助ケース部品53の横外方に離間させることにより、対応する走行駆動軸50と従動ギヤ126とのスプライン嵌合を解除することができ、伝動ケース43に対して、左右の駆動軸ケース51とともに、左右の対応する走行駆動軸50、第1ベアリング141、及び、第2ベアリング142、などを一体的に取り外すことができる。逆に、伝動ケース43に左右の駆動軸ケース51及び走行駆動軸50などを取り付ける場合には、各走行駆動軸50を対応する従動ギヤ126にスプライン嵌合し、かつ、各第2ベアリング142を対応する補助ケース部品53の第2嵌合部53Cに内嵌することにより、各走行駆動軸50及び駆動軸ケース51を対応する補助ケース部品53及び従動ギヤ126に対する適正位置に安定的に位置させることができる。これにより、各補助ケース部品53に対する各駆動軸ケース51のボルト連結を簡単に行うことができ、この連結により、対応する走行駆動軸50と従動ギヤ126とをスプライン嵌合状態に維持することができる。
つまり、伝動ケース43に対する左右の走行駆動軸50及び駆動軸ケース51などの着脱を容易に行うことができる。これにより、例えば、伝動装置13を輸送する場合には、伝動ケース43から左右の走行駆動軸50及び駆動軸ケース51などを取り外すことにより、伝動装置13を、各走行駆動軸50及び駆動軸ケース51などの左右方向への張り出しを無くした伝動ケース側の部分組立品と、駆動軸ケース側の左右の部分組立品とに簡単に3分割することができる。その結果、輸送時に各伝動装置が占める空間を小さくすることができ、輸送の面において有利にすることができる。
又、駆動軸ケース側の部分組立品として、走行駆動軸50及び駆動軸ケース51の長さが異なるものを用意することにより、伝動ケース側の部分組立品に対して駆動軸ケース側の部分組立品を付け替えることにより、伝動ケース側の部分組立品には同じものを使用しながら、左右のクローラ7のトレッド幅を機種などに応じて容易に変更することができる。
ところで、例えば、各駆動軸ケース51における伝動ケース側の端部を、伝動ケース43により、それらの内部に内嵌装備したベアリングを介して支持する構成では、駆動軸ケース側の各部分組立品を伝動ケース側の部分組立品から分離した場合に、各走行駆動軸50の支持状態が、対応する駆動軸ケース51により走行駆動軸50のクローラ側の端部のみを第1ベアリング141を介して支持する片持ち状態になる。そのため、走行駆動軸50を適正位置に安定性良く支持することができなくなり、これにより、第1ベアリング141に大きい荷重がかかることに起因した第1ベアリング141の損傷や、伝動ケース側のオイルシール145に走行駆動軸50の荷重がかかることに起因した伝動ケース側のオイルシール145の損傷、などを招く虞がある。
これに対し、この伝動装置13における駆動軸ケース側の各部分組立品は、伝動ケース側の部分組立品から分離した状態においても、各駆動軸ケース51により、対応する走行駆動軸50を、それらの両端部を第1ベアリング141又は第2ベアリング142を介して支持する両持ち状態で適正位置に安定性良く支持することができる。これにより、駆動軸ケース側の部分組立品を分離した場合に第1ベアリング141や伝動ケース側のオイルシール145の損傷する虞を回避することができる。
図2〜5及び図7に示すように、左右の補助ケース部品53、左右の走行駆動軸50、及び、左右の駆動軸ケース51は、それぞれ、左右に兼用可能な左右同一形状の共通部品に構成している。これにより、左右の補助ケース部品53、左右の走行駆動軸50、及び、左右の駆動軸ケース51を、それぞれ、左右固有の形状に個別に構成する場合に比較して、それらの部品管理を容易にしながら、左右の組み違えを防止することができる。
図5〜7、図10、図12及び図13に示すように、各サイドブレーキ84において、各ブレーキディスク96と単一のプレッシャプレート97とのそれぞれは、それらの外周部に、周方向に一定間隔をあけて放射状に突出する6つの係合部96A,97Aを備えている。各ブレーキハウジング98は、それらの内周面に、対応する各係合部96A,97Aをサイドクラッチ軸46の軸心方向に摺動案内する6つの係合溝98Bを、伝動ケース43の開口43Bからブレーキハウジング98の受止部98Aにわたる長さを有する状態で周方向に一定間隔をあけて形成している。そして、対応する各係合部96A,97Aと係合溝98Bとの間には、各係合部96A,97Aの周方向への移動を阻止する一対の受止面147Aを備えるU字状に形成した鋼板製の保護部材147を介装している。
つまり、左右の各ブレーキハウジング98は、それぞれ、6つの保護部材147を介した状態で、複数のブレーキディスク96と単一のプレッシャプレート97とを、サイドクラッチ軸46の軸心方向に摺動可能な状態で回転不能に支持している。
これにより、アルミダイカスト製の各ブレーキハウジング98が、6つの保護部材147を介さずに、複数のブレーキディスク96と単一のプレッシャプレート97とを直に支持するように構成した場合に生じる、ブレーキディスク96及びプレッシャプレート97の各係合部96A,97Aが対応するブレーキハウジング98の係合溝98Bに衝突及び摺接することに起因した各係合溝98Bの損傷を回避することができる。又、各保護部材147が損傷した場合には、セパレータプレート95及びブレーキディスク96の交換などのメンテナンス作業を行う場合と同様に、伝動ケース43から各カバー部材102を取り外すことにより、伝動ケース43を分解する手間を要することなく簡単に行うことができる。
尚、保護部材147としては、図14及び図15に示すように、各係合部96A,97Aの周方向への移動を阻止する一対の受止面147Aを備えるU字状に形成した6つの保護部147Bを周方向に一定間隔をあけて装備する鋼板製の筒状に形成したものであってもよい。又、図示は省略するが、各係合部96A,97Aの周方向への移動を阻止する受止面147Aを備える鋼板製の平板状に形成して、各係合溝98Bに一対ずつ配備するように構成したものであってもよい。
図6、図7、図10、図12及び図13に示すように、各サイドブレーキ84は、プレッシャプレート97を押圧解除方向に復帰付勢する3本の圧縮バネ148を備えている。各ブレーキディスク96は、それらの係合部96Aに圧縮バネ148の挿通を許容する凹部96Bを備えている。各圧縮バネ148は、各ブレーキハウジング98の6つの係合溝98Bのうちの3つの係合溝98Bの溝内に、ブレーキハウジング98の受止部98Aとプレッシャプレート97とにわたるように対応するブレーキディスク96の凹部96Bを挿通する状態で、周方向に一定間隔をあけて並ぶように配備している。これにより、各プレッシャプレート97をバランス良く押圧解除方向に復帰付勢することができる。
図16及び図17に示すように、ブレーキペダル19は、その設定踏み込み位置での係合保持を可能にする左右向きの係止ピン19Aを備えている。ブレーキペダル19の横側方箇所には、その係止ピン19Aとの係合によるブレーキペダル19の設定踏み込み位置での係合保持を可能にする駐車用の係合アーム149を、前方の係合解除位置と後方の係合位置とにわたる前後揺動操作が可能な状態で配備している。
これにより、操縦レバー16が中立位置に位置する直進状態において、ブレーキペダル19を設定踏み込み位置に踏み込み操作し、係合アーム149によりブレーキペダル19を設定踏み込み位置にて係合保持することにより、右側のサイドブレーキ84を制動状態に維持することができ、右側のサイドブレーキ84による制動力を左右のサイドクラッチブレーキユニット48を介して左右のクローラ7に作用させる状態を維持することができる。つまり、右側のサイドブレーキ84を駐車ブレーキとして機能させることができる。
図16〜18に示すように、制動用の機械式連係機構114は、ブレーキペダル19と左右向きの支軸150を介して一体揺動する天秤アーム151、及び、この天秤アーム151の後端部から制動用の操作機構113に備えた連係アーム117にわたる制動用の連係ロッド152、などを備えている。
天秤アーム151は、その前端部を中立操作用の一対の連係ロッド153を介して主変速レバー17に連係している。そして、この連係により、主変速レバー17が前進側又は後進側の操作領域に位置する場合には、ブレーキペダル19の設定踏み込み位置への踏み込み操作に連動して、主変速レバー17が中立位置に復帰揺動し、HST(主変速装置)12の作動状態が中立状態に切り替わるように構成している。
つまり、天秤アーム151及び一対の連係ロッド153により、ブレーキペダル19の設定踏み込み位置への踏み込み操作に連動してHST(主変速装置)12を中立状態に切り替える主変速用の中立操作機構154を構成している。
副変速用の機械式連係機構78は、副変速レバー18と左右向きの支軸155を介して一体揺動する操作アーム156、及び、この操作アーム156の後端部から副変速用の連係アーム77にわたる副変速用の連係ロッド157、などを備えている。
操作アーム156は、その前後中間部位に連係部156Aを垂下装備している。連係部156Aは、副変速レバー18の操作規制を可能する連係溝156Bを備えている。連係溝156Bは、副変速レバー18が中立位置に位置する状態でブレーキペダル19が設定踏み込み位置に踏み込み操作されていない場合に副変速レバー18の前後揺動操作を阻止する第1規制溝部156Ba、副変速レバー18が低速位置に位置する状態でブレーキペダル19が設定踏み込み位置に踏み込み操作されていない場合に副変速レバー18の前後揺動操作を阻止する第2規制溝部156Bb、副変速レバー18が中速位置に位置する状態でブレーキペダル19が設定踏み込み位置に踏み込み操作されていない場合に副変速レバー18の前後揺動操作を阻止する第3規制溝部156Bc、副変速レバー18が高速位置に位置する状態でブレーキペダル19が設定踏み込み位置に踏み込み操作されていない場合に副変速レバー18の前後揺動操作を阻止する第4規制溝部156Bd、及び、副変速レバー18の操作位置にかかわらずブレーキペダル19が設定踏み込み位置に踏み込み操作された場合に副変速レバー18の前後揺動操作を許容する第5規制溝部156Beを備えている。ブレーキペダル19は、支軸150から後方に延出する後端部に、操作アーム156の連係溝156Bに係合連係する横向きの連係ピン19Bを備えている。そして、連係ピン19Bと連係溝156Bとの係合連係により、ブレーキペダル19が設定踏み込み位置に位置する場合にのみ、副変速レバー18の前後揺動操作を許容して、副変速レバー18による変速機(副変速装置)47の変速操作が可能になるように構成している。
つまり、ブレーキペダル19の連係ピン19B及び操作アーム156により、ブレーキペダル19が設定踏み込み位置に位置する場合にのみ変速機(副変速装置)47の変速操作を可能する副変速用の操作規制機構158を構成している。
そして、主変速用の中立操作機構154と副変速用の操作規制機構158とを備えることにより、ブレーキペダル19が設定踏み込み位置に位置して、右側のサイドブレーキ84が左右のクローラ7に制動作用し、かつ、HST(主変速装置)12が中立状態になる走行停止状態においてのみ、副変速レバー18による変速機(副変速装置)47の変速操作が可能になるように構成している。又、ブレーキペダル19の踏み込み解除位置への復帰に伴って、主変速レバー17によるHST(主変速装置)12の中立状態から所望の変速状態への変速操作が可能になるように構成している。
これにより、走行中に変速機47の変速操作が行われることに起因した変速機47における低速従動ギヤ61、中速従動ギヤ63、高速従動ギヤ65、及び、シフト機構66などの破損を防止することができる。又、副変速レバー18が中立位置以外の操作位置に位置し、かつ、主変速レバー17が前進側又は後進側の操作領域に位置する状態で、ブレーキペダル19の踏み込み操作が解除された場合に生じる虞のある急発進を阻止することができる。
〔別実施形態〕
〔1〕伝動ケース43は、左側の補助ケース部品53と左ケース部材54とを一体形成し、右側の補助ケース部品53と右ケース部材55とを一体形成したものであってもよい。
〔2〕伝動ケース43における左右の開口53Aの内周面に、第2ベアリング142のアウタレース142Aを伝動ケース側から受け止める止め輪などを装備してもよい。
〔3〕各走行駆動軸50における伝動ケース側の端部に、出力回転体126を止め輪などを用いて固定装備するように構成してもよい。
〔4〕各走行駆動軸50における伝動ケース側の端部に、第2ベアリング142のインナレースを駆動軸ケース側から受け止める止め輪などを装備してもよい。
〔5〕各走行駆動軸50における伝動ケース側の端部に、第2ベアリング142のインナレースを伝動ケース側から受け止める止め輪などを装備してもよい。
〔6〕走行駆動軸50により出力回転体126を支持し、伝動ケース43により出力回転体126を支持しないように構成してもよい。
この構成では、伝動ケース43により出力回転体126を支持する場合に必要になる、伝動ケース側の出力回転体126と駆動軸ケース側の走行駆動軸50との芯合わせ、及び、伝動ケース43と駆動軸ケース51との精度の高い位置合わせ、などを不要にすることができる。
〔7〕対応する出力回転体126と走行駆動軸50とをキー連結するように構成してもよい。
〔8〕走行駆動軸50の連動嵌合部50Aを四角形や六角形などの角軸部とし、出力回転体126の連動嵌合部126Cを四角形や六角形などの角孔部としてもよい。又、走行駆動軸50の連動嵌合部50Aを小判形などの面取り軸部とし、出力回転体126の連動嵌合部126Cを小判形などの面取り孔部としてもよい。
〔9〕伝動ケース43における左右の外壁に第2ベアリング用の第2嵌合部53Cを備えずに、左右の駆動軸ケース51のみに第2ベアリング142を内嵌するように構成してもよい。
〔10〕各第2ベアリング142を、駆動軸ケース51の第1嵌合部51Cとの嵌合状態が伝動ケース43の第2嵌合部53Cとの嵌合状態よりもきつくなるように構成してもよい。
〔11〕各駆動軸ケース51を、伝動ケース側の端部における第2ベアリング142よりも伝動ケース側の部位にオイルシール145を内嵌装備するように構成してもよい。又、伝動ケース側の端部にオイルシール145を装備しないように構成してもよい。
〔12〕空気抜き部51Hを、各駆動軸ケース51におけるケース部51Eの上端部位よりも低い上部側の部位に配備してもよい。
〔13〕給油部51Fと排油部51Gとを、各駆動軸ケース51のケース部51Eにおける対応するクローラ7の内端よりも伝動ケース側の部分に備え、空気抜き部51Hを、各駆動軸ケース51のケース部51Eにおける対応するクローラ7の内端よりもクローラ側の部分に備えるようにしてもよい。又、給油部51Fと排油部51Gと空気抜き部51Hとを、各駆動軸ケース51のケース部51Eにおける対応するクローラ7の内端よりもクローラ側の部分に備えるようにしてもよい。