JP2015171528A - 全樹脂製レトラクターの製造法ならびにその製法によって製作されたレトラクター - Google Patents

全樹脂製レトラクターの製造法ならびにその製法によって製作されたレトラクター Download PDF

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Abstract

【課題】レトラクターを構成するコンポーネントの組み合わせを容易にして成形金型の種類数の抑制が図られ、製作コストの大いなる低減を図るようにする。【解決手段】創内インサート部1は本体胴5が接続舌7および触接指4と一体をなして炭素繊維強化熱可塑性樹脂のセミプレグシート積層により、ハンドル部2とは独立して成形される。成形金型9に刻設されたハンドル部2の形成用キャビティ10と連なる創内インサート部1の保持用キャビティ11に、接続舌7が操作手6の創内インサート部寄りに一体形成される連接胴成形域9sに臨まされる。いずれのキャビティ周りも熱可塑性樹脂溶融温度を超えない程度に加温された成形金型9内へ炭素繊維チップ配合の熱可塑性樹脂コンパウンド融液を圧入して操作手6が注入成形される。【選択図】図1

Description

本発明は全樹脂製レトラクターの製造法に係り、特に低浸襲性切開部を通しての手術対象部位医療にあたり、X線観察の広域化を可能にしたオール樹脂製レトラクターの製造法ならびにその製法によって製作されたレトラクターに関するものである。
医療を施すべき箇所を覆う皮膚・筋肉などを切開した後に、その切開創から挿入され手術対象部位に至るまでの軟組織を圧排(器官の一部を切除することなく切り離す)または牽引する器具としてレトラクター(開創器)がある。最近では組織に与える損傷を軽減すべく低侵襲性が強まる傾向にあり、それゆえ切開部位の開口は可及的に小さくされ、その開口から処置を施そうとすると術野が狭小となるばかりでなく視野も狭くなる。このようなレトラクターは外科手術の補助具であって手術創を拡げておく器具として機能する。これは主として創内インサート部とハンドル部からなり、創内インサート部を創内に挿入して手術視野を確保するに都合がよく、また軟組織への損傷リスクを最小限にする器具であり、概ね先細で全体として偏平に形成される。
切開創が小さければ皮膚や筋肉などは復元しようとする作用を強く発揮するので、これら軟組織を牽引して積極的に開いておかねばならなくなる。その切開創に応じた形のレトラクターが必要となり、正面視が例えば「くの字状」に屈曲もしくは湾曲し、平面視はほぼストレートなシンプル形状のレトラクターが、他の複雑な形状のレトラクターとともにまたは単独で使用される。
そのような略棒状のレトラクターは切開創の開口状態を保つだけでなく、その先端に爪状の突起などが形成されることも多く、術野深くに挿入された突起などによって処置対象域に存する組織に対処したり、硬組織を起こしたり引っ掛けるなどしてレトラクター自体の姿勢のロックをなさせる使われ方もする。
ところで、レトラクターは人体に無害なものであり、また消毒が可能なものでなければならないことは言うまでもない。それゆえ、不錆鋼をはじめとした不錆性金属で製作されてきており、剛性を高くすることも極めて容易であることから信頼性の高い医療具として発展してきた経緯がある。しかし、上記したごとく低侵襲性の傾向(組織を侵す傾向が低い)が強まるにつれて術野のX線照射が不可避となり、その場合に金属製器具はX線の部分的不透過領域を生じさせる。
それゆえ、術野の視野を狭めることは否めず、処置の迅速化が妨げられたり屈曲度合いの異なるレトラクターに置き替えたりする事態が生じる。このような事情を勘案すると棒状レトラクターとはいえ創内挿入部の長さや角度、爪の形や向きなどに多種多様な形態が要求される。金属製である場合、キャスティングするなどして製造されるから形状に少しの違いがあっても、それごとに見合った成形金型が必要となり、レトラクター単価が上昇し治療費の高騰も招く。
また、金属製レトラクターの先端がセラミックインプラントに接触するなどすれば硬さの違いによってインプラントが傷つけられやすい。これがインプラントの機能低下や耐用年数の低減をきたすなどして、再施術の頻繁化をきたすなどの問題を生じさせる。
ところで、特許文献1には、金属製レトラクターの組織と接触する部位(触接指)に樹脂をコーティングするなどして軟化させておけばよいことが記載されている。しかし、これではレトラクターによる組織やインプラントに対する保護性能は向上しても依然として多種多様な形状に対応させた成形金型の必要性は残されたままとなる。レトラクターを作用部と把持部に分割して成形し、これらの組み合わせにより成形金型の減少を図る提案もなされるが、接合機構が付加されるなどするから重量の大きいレトラクターの更なる重量増をきたす。
それらの金属製に代えて樹脂製とすることもできると開示される。その樹脂はPEEKといったものを使用すればよいとも述べられている。しかし、単なるアイデアに止まるもので、今日まで実用化された樹脂製レトラクターは陽の目を見るに至っていない。問題はどのようにしてレトラクターを成形し仕上げるのかの具体的な技術が発展して来なかったからに外ならない。
レトラクターの把持部を樹脂で形成し、この把持部でのX線透過により、X線照射画像を見ながら創内処置を可能にすることが特許文献2に記載されている。これにはレトラクターの本体などを樹脂とすることも提案されている。しかし、これまたその製造手順に関する開示は見られるところでない。
ところで、上でも触れたが、患者ごとに形の異なるレトラクターが必要となったり、施術部位に応じたレトラクターが必要となるわけであるが、200種ものレトラクターが要求される場合もあるという。しかし、代表的には、例えば本体形状で4種類、把持部形状で3種類、触接指形状で4種類に絞ったとしても48種類ものレトラクターが必要とされる。これらを製作するためにはたとえ樹脂製とする場合でも、成形金型は48種が必要となる。
特開昭59−141938公報 特開2007−143824
本発明は上記の問題に鑑みなされたもので、その目的は、X線透過を可能にして軟組織への損傷リスクを最小限にする低侵襲性に沿うべく全体の非金属化が図られかつ軽量化の推進がなされること、レトラクターを構成するコンポーネントの組み合わせを容易にして成形金型の種類数の抑制が図られ、製作コストの大いなる低減を期待できるようにすることを実現する全樹脂製レトラクターの製造法ならびにその製法によって製作されたレトラクターを提供することである。
本発明は、切開創から挿入され手術対象部位に至るまでの軟組織を圧排または牽引等する触接指を本体胴の先端部位に備えた創内インサート部と、触接指に所望作用させるための操作手を備えたハンドル部とからなり、そのハンドル部に対して創内インサート部が一体化されているレトラクターの製造法に適用される。その特徴とするところは、図1を参照して、創内インサート部1はハンドル部2の爾後的な成形中に溶着される接続舌7を本体胴5の基端部位に備え、その本体胴5が接続舌7および触接指4と一体をなして炭素繊維強化熱可塑性樹脂のセミプレグシート8の積層により(図2の(b)を参照)、ハンドル部2とは独立して成形される(図5の(a)を参照)。
図3を参照して、下型9Dおよび上型9Uからなる成形金型9に刻設されたハンドル部2の形成用キャビティ10と連なり成形金型縁9eで開口する創内インサート部1の保持用キャビティ11に、接続舌7が操作手6の創内インサート部寄りに一体形成される連接胴成形域9sに臨まされるとともに本体胴5の触接指寄り部分が成形金型縁外に位置されるように、既に製作された創内インサート部1を収容保持する。そして、
少なくともいずれのキャビティ周りも熱可塑性樹脂溶融温度を超えない程度に加温された成形金型9内へ炭素繊維チップ配合の熱可塑性樹脂コンパウンドの融液を圧入して操作手6を注入成形するとともに、接続舌7の上または下もしくは上下もしくは周囲に流入したコンパウンド融液で接続舌表層を融解しつつ連接胴13を一体形成してハンドル部2を成形するようにしたことである。
本体胴5は屈曲もしくは湾曲して成形されているとよい。触接指4は本体胴5に対して屈曲または湾曲したフック片4A(図1の(b)を参照)もしくは反りを呈した起こし片4B(図7の(c)を参照)をなし、その触接指4および接続舌7は本体胴5に対して平面視略直線状をなして一体成形しておくことができる。
図7の(e)に示すように、触接指4を分岐爪14とするときは、創内インサート部1を成形後に機械加工することによって形成するとよい。
接続舌7の側方には以後に成形される連接胴13より幅方向にはみ出した左の拡幅域17および右の拡幅域18が形成され(図6を参照)、その拡幅域にはノッチ19を形成し、キャビティの対応箇所にはノッチ係合突起20が設けられ、コンパウンド融液加圧注入時に創内インサート部1のキャビティ抜けを阻止しておくようにする。いずれの製造法によってもレトラクターを製作することができる。
本発明によれば、創内インサート部が炭素繊維強化熱可塑性樹脂のセミプレグシート積層によりハンドル部とは独立して成形される。創内インサート部の一部がその保持用キャビティに収容保持された状態で、触接指と一体をなす本体胴他端の接続舌がハンドル部の形成用キャビティにおける連接胴成形域に臨まされる。少なくともいずれのキャビティ周りも熱可塑性樹脂溶融温度を超えない程度に加温された成形金型内へ炭素繊維チップ配合の熱可塑性樹脂コンパウンドの融液が圧入されて操作手を注入成形する。接続舌の上または下もしくは上下もしくは周囲に流入したコンパウンド融液で接続舌表層を融解しつつ連接胴を一体形成してハンドル部が成形される。創内インサート部は一方向材繊維や織布材繊維に樹脂が含浸されたセミプレグシート積層体ゆえに、高強度高剛性が達成される。一方、ハンドル部は樹脂コンパウンドの固化物であるから手触りの優れた操作手が形成される。創内インサート部を形成する樹脂はハンドル部の樹脂とは同一種とされ、その樹脂が熱可塑性であることから加熱による軟化もしくは再溶融による溶着・融着で円滑に一体化が図られる。
創内インサート部のみならずハンドル部も樹脂製であるゆえオール樹脂製レトラクターとなる。このいずれの箇所にX線が照射されても術野の観察はほとんど妨げられなく、切開創の小形化すなわち低侵襲性が助成され、患者の肉体的精神的な負担も大いに軽減される。また、接続工程を含むとはいえ、一つのレトラクターとなった時点では一体品であるから、接続取外しといったためのジョイント機構は必要でなく、樹脂製であることも相まって軽量な医療器材となる。
レトラクターの完成品は永久一体性のあるものとなるが、製作の段階では創内インサート部はハンドル部から独立して作られる。創内インサート部はハンドル部の形状に左右されることなく成形できるから、そのための成形金型の種類分だけ準備しておけばよい。創内インサート部の接続舌およびその近傍の本体胴形状や寸法を共通化しておけば、ハンドル部の成形ならびに創内インサート部との一体化をするための成形金型の準備数も抑制される。レトラクターの単価の低下に大きく寄与する。
本体胴を屈曲もしくは湾曲して成形しておけば、小切開創においてもレトラクターの操作が容易となるが、屈曲もしくは湾曲の程度が異なったものを成形するにおいてもハンドル部の成形に特別な拘束や制限を及ぼすことが可及的に少なくなる。
触接指は本体胴に対して屈曲または湾曲したフック片もしくは反りを呈した起こし片をなし、この触接指および接続舌が本体胴に対して平面視略直線状をなして一体成形されるようにしておけば、セミプレグシートの積層による成形が極めて円滑になされ、強度や剛性の確保も容易となる。
触接指を分岐爪とするときは、創内インサート部を成形後に機械加工することによって形成することができる。したがって、分岐爪の形成自体はセミプレグシート積層による成形に何ら関連性を有しないから、創内インサート部は、幅の複数倍もしくはそれ以上の寸法を持つ数個取り成形品なるかたちで成形することができる。これを所定幅に切断するなどすればよく、分岐爪の違いによる金型の増加は回避され。創内インサート部の数個分成形手法によれば、触接指の形状にとらわれることがないから多量生産も可能となる。
接続舌の側方には以後に成形される連接胴より幅方向にはみ出した左の拡幅域および右の拡幅域が形成され、その拡幅域にはノッチを形成し、キャビティの対応箇所にノッチ係合突起が設けられると、コンパウンド融液加圧注入時に創内インサート部のキャビティ抜けを阻止しておくことができる。
以上いずれの手法で製造されたものであってもレトラクターはオール樹脂であり、軽量であって術者の操作負担を少なくし、X線照射により患部の確認においても遮られるものがなくなり、施術の円滑化・正確化の増進に大きく寄与する。
本発明に係る製造法により製作された全樹脂製レトラクターの平面図、正面図、連接胴と接続舌の重合部やその他の箇所の断面図、レトラクターの展開平面図、およびレトラクターの斜視図。 レトラクターの正面図および創内インサート部の積層状態を示す平面図。 レトラクターの成形手順であって、(a)は下型に創内インサート部成形品を設置した状態の斜視図、(b)は上型を載せて型締めした状態図、(c)は型開き状態の斜視図。 ハンドル部を成形するとともにレトラクター2個どり用とした金型の平面図。 創内インサート部の成形金型の斜視図、成形された創内インサート部の切断前図、裁断された創内インサート部の斜視図、接続舌部位の拡大斜視図。 連接胴成形域の金型キャビティに創内インサート部を載置した状態の部分斜視図および連接胴成形域の金型キャビティを含む部分斜視図。 他の形態のレトラクターであって、操作手が異なる例や創内インサート部が異なる形の数例の斜視図。
以下に、本発明に係る全樹脂製レトラクターの製造法ならびにその製法によって製作されたレトラクターを、その実施の形態を表した図面に基づいて詳細に説明する。図1は創内インサート部1とハンドル部2とからなり、そのハンドル部に対して創内インサート部が一体化されているレトラクター3の一例である。創内インサート部1は、図示しない切開創から挿入され手術対象部位に至るまでの軟組織を圧排または牽引等する触接指4を本体胴5の先端部位に備える。ハンドル部2は触接指に所望作用させるための操作手6を備える。
創内インサート部1はハンドル部2の爾後的な成形中に溶着される接続舌7を本体胴5の基端部位に備え、本体胴5が接続舌7および触接指4と一体をなして、炭素繊維強化熱可塑性樹脂のセミプレグシート8の積層により(図2(b)を参照)、図1中の(c),(d),(e)に示すように、全体として偏平な断面形を有して、後述するごとくハンドル部2とは独立して成形される。セミプレグシート8は強化用の炭素繊維間の一部にまたは全部に樹脂が含浸された状態にあって、予めオートクレーブなどによって加熱加圧された後徐冷されるなどした薄い補強済み樹脂板である。これは、プリプレグ、セミプレグ、部分含浸プリプレグなどとも呼ばれ、また時として樹脂半含浸基材、半含浸プリプレグとも称されるものである。
熱可塑性樹脂としては人体に無害であるとともに300℃を超える温度にならないと軟化も溶融もしないポリエーテルエーテルケトン(PEEK)やポリエーテルイミド(PEI)といったものが使用される。これらは強靱で吸湿せず耐候性に優れている。いずれにしても例えば200〜650GPaの高弾性炭素繊維で強化されるからステンレススチールやチタンといった高価な不錆金属に十分代替しえるものである。したがって、生体に対する毒性やアレルギー誘発性のないレトラクター3とすることができる。
ちなみに、複合の材料のうちの補強用繊維としては、炭素繊維、セラミックス繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などを例示することができ、それら繊維を長繊維として、糸状、簾状、織布、不織布などとしたものや、短繊維としてチョップ状にしたものなどのかたちで使用することができる。特に、炭素繊維が好ましく、なかでも高弾性炭素繊維を用いることが最も好ましい。また、樹脂としては、上記したポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミドのほかに、ポリエーテルケトン、ポリアクリルエーテルケトン、ポリフェニレンサルフィド、ポリサルフォンなどを挙げることもできる。なお、炭素繊維に樹脂との接着性を高めるためのサイジング処理を予め施しておくなどすれば更によい。
一方向繊維材を含むセミプレグシートや織布繊維材を含むセミプレグシートが例えば交互に重ねて積層されるので(図2の(b)を参照)、図1中に示したように偏平な断面形であっても高強度・高剛性の創内インサート部1を形成することができる。ましてや触接指4も接続舌7も本体胴5に対して平面視略直線状をなしていると(図1(a)や(f)を参照)、一体成形するにあたってはセミプレグシート8を直線的に裁断しておくだけでよいから、図示しない成形金型内に短冊状積層することも簡単となる。ちなみに、接続舌7におけるセミプレグシート積層数は本体胴5の他部における積層数よりも徐々に少なくされる。触接指4における積層数は本体胴5の他部における積層数に略等しく、先端のみが急激に減らされるなどする。
図3に示すように、ハンドル部2の成形のための金型9は下型9Dおよび上型9Uからなり、金型内にはハンドル部2の形成用キャビティ10が刻設される。このキャビティに連なるように創内インサート部1の保持用キャビティ11も形成される。これは成形金型縁9eで開口するもので十分であるが、既に成形されている創内インサート部1の接続舌7が操作手6の創内インサート部寄りに一体形成される連接胴成形域9sに臨まされる。なお、本体胴5の触接指寄り部分は成形金型縁外に位置される。そして、少なくともいずれのキャビティ周りも熱可塑性樹脂溶融温度を超えない程度に加温された成形金型内へ炭素繊維チップ配合の同種の熱可塑性樹脂のコンパウンド融液が図4中の通路12を経て圧入され、操作手6が注入成形される。ちなみに、図示は2個どり用であり、通路12は左右に枝分かれしている。接続舌7の上または下もしくは上下もしくは周囲に流入したコンパウンド融液で接続舌7の表層を融解しつつ連接胴13が一体形成され、ハンドル部2を成形する(図3(c)を参照)。
なお、本体胴5は図5(a)〜(c)に示すように屈曲もしくは湾曲して成形しておくことができる。このような形状にしておけば、小切開創においてもレトラクターの操作が容易となり、屈曲もしくは湾曲の程度が異なったものを成形するにおいても(後述する図7を参照)ハンドル部2の成形に特別な拘束や制限などの影響を与えることが可及的に少なくなる。このような創内インサート部1には、その触接指4を本体胴5に対して屈曲または湾曲したフック片4A(図1(b)を参照)もしくは反りを呈した起こし片4B(図7(c)や(e)などを参照)として形成しておくことができる。軟組織を圧排または牽引等するほかに硬組織への係留性も高められる。この触接指4および接続舌は本体胴5に対して平面視略直線状をなして一体成形しておくようにすれば、すでに述べたごとくセミプレグシート8の積層による成形が極めて円滑になされ、強度や剛性の確保も容易となる。
触接指4はへら状とされたり、図7(c)に示すように単独爪としたり、図7(e)に示すように分岐爪14としておくことができる。単独爪であれ分岐爪であれ、創内インサート部1の完成後に機械加工することによって形成することができる。したがって、分岐爪の形成自体はセミプレグシート積層による成形に何ら関連しないから、創内インサート部1は、図5の(a),(b)に示すように幅の複数倍もしくはそれ以上の寸法を持つ数個取り成形品15なるかたちで成形することができ、これを所定幅に切断するなどすればよく(図5(c)を参照)、爪の形状の違いによる金型の増加は回避され、コストダウンも促進することができる。なお、分岐爪とする場合にかぎらず、へら状の触接指4とする場合も同様となる。したがって、創内インサート部1の数個分成形手法によれば、触接指4の形状にとらわれることなくコストダウンが図られ、多量生産も可能となる。
以上の説明から分かるように、創内インサート部1が炭素繊維強化熱可塑性樹脂のセミプレグシート積層によりハンドル部2とは独立して図5(a)に示す金型16で成形される。この成形の一例は後で述べる。図3(b)に示すごとく、創内インサート部1の一部がその保持用キャビティ11に収容保持された状態で、触接指4と一体をなす本体胴他端の接続舌7がハンドル部2の形成用キャビティ10における連接胴成形域9sに臨まされる。少なくともいずれのキャビティ周りも熱可塑性樹脂溶融温度を超えない程度に加温された成形金型9内へカーボンファイバ(チョップドファイバ)、カーボンナノファイバ、カーボンナノチューブといった短炭素繊維配合の熱可塑性樹脂コンパウンドの融液が圧入されて操作手6を注入成形する。接続舌7の上または下もしくは上下もしくは周囲に流入したコンパウンド融液で接続舌表層を融解しつつ連接胴13を一体形成してハンドル部2が成形される。
創内インサート部1は一方向材繊維や織布材繊維に樹脂が含浸されたセミプレグシート積層体ゆえに、高強度高剛性が達成される。一方、ハンドル部2は樹脂コンパウンドの固化物であるから手触りの優れた操作手6が形成される(ファイバ混入量の調整により弾性率を変えることができる)。創内インサート部1を形成する樹脂とハンドル部2の樹脂とは同一種とされ、その樹脂が熱可塑性であることから加熱による軟化もしくは再溶融による溶着・融着で円滑に一体化が図られる。多くの場合、連接胴の接続舌との一体部位は接続舌を上下から挟むように重合した形となり、連接胴13には二股に割れた上片と下片からなる鰐口が形成された恰好となる(図1(c)を参照)。この接続舌7の挟み込みによれば、その一体化は一層強固なものとなる。
創内インサート部1のみならずハンドル部2も樹脂製であるゆえオール樹脂製レトラクター3となるから、これのいずれの箇所にX線が照射されても術野の観察はほとんど妨げられなくなり、切開創の小形化すなわち低侵襲性が助成され、患者の肉体的精神的な負担も大いに軽減される。すなわち術者の視界が妨げられることは極めて少なくなる。また、接続舌を介した接続工程を含むとはいえ、一つのレトラクターとなった時点では一体品であるから、接続取外しといったためのジョイント機構は必要でなく、樹脂製であることも相まって軽量な医療器材となる。
レトラクター3の完成品は永久一体性のあるものとなるが、製作の段階では創内インサート部1はハンドル部2から独立して作られる。創内インサート部1はハンドル部2の形状に左右されることなく成形できるから、図5(a)に示すような創内インサート部のための成形金型16の種類分だけ準備しておけばよい(例えば金型の樹脂フィルムバッグ被覆式真空成形などにより造形される)。創内インサート部1の接続舌7およびその近傍の本体胴5の形状や寸法を共通化しておけば、ハンドル部2の成形ならびに創内インサート部1との一体化をするための成形金型9の準備数も抑制される。すでに述べたごとくの全48種類のレトラクターを所望する場合でも、金型は48種類を必要とすることがなく、創内インサート部用を12個、ハンドル部用を4個の計16すなわち1/3の数の金型の準備で済ませることができる。これはレトラクター3の単価の低下に大きく寄与する。なお、操作手6には丸孔6A、長円孔6Bなどの指掛けもしくは牽引具係止輪が形成されるが(図1(a)を参照)、その有無や組み合わせのために成形金型が急増するということもない。
ところで、図6(a)に示すように、接続舌7の側方には以後に成形される連接胴より幅方向にはみ出した左の拡幅域17および右の拡幅域18が形成され、その拡幅域にはノッチ19を形成し、キャビティの対応箇所にはノッチ係合突起20(図6(b)を参照)を設けておくとよい。こうしておけば、コンパウンド融液加圧注入時に創内インサート部1のキャビティ抜け(金型からの抜け出し)を阻止しておくことができる。なお、左右の拡幅域17,18はハンドル部成形後にグラインディングするなどにより除去され、連接胴13と本体胴5とが滑らかに連なる外形をなさせるとともに、操作手6における把持の違和感や患者の皮膚等との無用の接触を著しく減らすことができる。
以上いずれの手法で製造されたものであってもレトラクターはマトリックス全てを樹脂とするものであり、軽量であって術者の操作負担を少なくし、小切開創を開く方向に牽引すれば軟組織が圧排、牽引による術野の視野が確保される。X線照射により患部の確認においてもオール樹脂ゆえに遮られるものがなく、施術の円滑化・正確化の増進に大きく寄与する。上記したごとく金型の数は少なくなるが、図7に示したように、本体胴5の長さを違えたり、屈曲や湾曲度合いを変えたり、ハンドル部2の形を所望のものにするなどでき、特に術者の好みに応じたレトラクターを少ない金型形態でもって実現することができる。
1…創内インサート部、2…ハンドル部、3…レトラクター、4…触接指、4A…フック片、4B…起こし片、5…本体胴、6…操作手、6A…丸孔、7…接続舌、8…セミプレグシート、9…金型、9e…成形金型縁、9s…連接胴成形域、9D…下型、9U…上型、10…形成用キャビティ、11…保持用キャビティ、13…連接胴、14…分岐爪、15…数個取り成形品、16…創内インサート部成形金型、17…左の拡幅域、18…右の拡幅域、19…ノッチ、20…ノッチ係合突起。

Claims (6)

  1. 切開創から挿入され手術対象部位に至るまでの軟組織を圧排または牽引等する触接指を本体胴の先端部位に備えた創内インサート部と、前記触接指に所望作用させるための操作手を備えたハンドル部とからなり、該ハンドル部に対して前記創内インサート部が一体化されているレトラクターの製造法において、
    前記創内インサート部は前記ハンドル部の爾後的な成形中に溶着される接続舌を前記本体胴の基端部位に備え、該本体胴が接続舌および前記触接指と一体をなして炭素繊維強化熱可塑性樹脂のセミプレグシート積層により、前記ハンドル部とは独立して成形され、
    下型および上型からなる成形金型に刻設された前記ハンドル部の形成用キャビティと連なり成形金型縁で開口する創内インサート部の保持用キャビティに、前記接続舌が前記操作手の創内インサート部寄りに一体形成される連接胴成形域に臨まされるとともに前記本体胴の触接指寄り部分が成形金型縁外に位置されるように、既に製作された前記創内インサート部を収容保持し、
    少なくとも前記いずれのキャビティ周りも前記熱可塑性樹脂溶融温度を超えない程度に加温された成形金型内へ炭素繊維チップ配合の熱可塑性樹脂コンパウンドの融液を圧入して前記操作手を注入成形するとともに、前記接続舌の上または下もしくは上下もしくは周囲に流入したコンパウンド融液で接続舌表層を融解しつつ前記連接胴を一体形成してハンドル部を成形するようにしたことを特徴とする全樹脂製レトラクターの製造法。
  2. 前記本体胴が屈曲もしくは湾曲して成形されていることを特徴とする請求項1に記載された全樹脂製レトラクターの製造法。
  3. 前記触接指は本体胴に対して屈曲または湾曲したフック片もしくは反りを呈した起こし片をなし、該触接指および前記接続舌は本体胴に対して平面視略直線状をなして一体成形されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された全樹脂製レトラクターの製造法。
  4. 前記触接指を分岐爪とするときは、前記創内インサート部を成形後に機械加工することによって形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載された全樹脂製レトラクターの製造法。
  5. 前記接続舌の側方には以後に成形される連接胴より幅方向にはみ出した左の拡幅域および右の拡幅域が形成され、該拡幅域にはノッチを形成し、前記キャビティの対応箇所にはノッチ係合突起が設けられ、コンパウンド融液加圧注入時に創内インサート部のキャビティ抜けを阻止しておくようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載された全樹脂製レトラクターの製造法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載された製造法により製作されたことを特徴とする全樹脂製レトラクター。
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