JP2015170939A - 振動デバイスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動片の接着剤の乾燥工程の作業効率を高めると共に、アニール処理によるエージング特性の低下を防止できる振動デバイスの製造方法。【解決手段】本発明に係る振動デバイスの製造方法は、パッケージ20に振動片としての水晶振動素子10を導電性接着剤17によって接続する工程S101と、導電性接着剤17を乾燥する乾燥工程S102と、導電性接着剤17を含むパッケージ20をアニール処理するアニール工程S105と、を含み、乾燥工程S102、およびアニール工程S105を、不活性ガス雰囲気中で連続して行う。【選択図】図2
Description
本発明は、振動片などが接着される振動デバイスの製造方法に関する。
例えば圧電振動子などの振動デバイスの製造方法において、振動片をパッケージに接着剤を用いて接着した後、接着剤を乾燥させるために加熱する乾燥工程と、接着剤やパッケージなどの脱ガスを行うアニール工程とを含む方法が開示されている。例えば、特許文献1において開示されている方法では、接着剤の乾燥工程の後に、換気工程を挟んで第1アニール工程と第2アニール工程の2回のアニール工程を有している。また、特許文献2において開示されている方法では、接着剤を乾燥させるための加熱を大気中で行う乾燥工程と、続いてアニール処理を大気中で行うアニール工程とを有している。
しかしながら、上述の従来方法によれば、特許文献1に記載されている方法では、換気工程を挟んで第1アニール工程と第2アニール工程の2回のアニール工程を有しているため作業効率が悪い。また、特許文献2に記載されている方法では、大気中においてアニール処理を行っているため、振動片、あるいは接着剤などの酸化による振動特性の低下、特にエージング特性の低下を生じる虞を有していた。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る振動デバイスの製造方法は、パッケージに振動片を接着剤によって接続する振動片接着工程と、前記接着剤を乾燥する乾燥工程と、前記接着剤を含む前記パッケージをアニール処理するアニール工程と、を含み、少なくとも前記乾燥工程から前記アニール工程を、不活性ガス雰囲気中で行うことを特徴とする。
本適用例によれば、乾燥工程からアニール工程を、不活性ガス雰囲気中で行うことにより、接着剤が乾燥工程とアニール工程の間で酸素に触れ難くなり、接着剤の結合状態が安定する。また、一連の工程とすることで、接着剤の反応を効率的に促進させることができるため、付着ガスや、接着剤の乾燥(硬化)の未反応物がガス化した未反応ガスなどを排出する、所謂脱ガスも効率よく行うことができ、エージング特性を向上させた振動デバイスを提供することができる。
[適用例2]上記適用例に記載の振動デバイスの製造方法において、前記接着剤は、シリコーン系の接着剤を用いていることが好ましい。
本適用例によれば、乾燥工程およびアニール工程が、不活性ガス雰囲気中で一連の工程として連続して行われるため、シリコーン系接着剤のSi分子が酸素と反応して起きる酸化劣化が起き難くなり、シリコーン系接着剤の接着特性を維持することができる。
[適用例3]上記適用例に記載の振動デバイスの製造方法において、前記乾燥工程は、50℃以上100℃以下の温度で行う予備乾燥工程と、前記予備乾燥工程後に、200℃以上300℃以下の温度で行う本乾燥工程と、を含んでいることが好ましい。
本適用例によれば、先ず予備乾燥工程において接着剤中の溶剤を除去した後、本乾燥工程において接着剤を乾燥(硬化)させることができる。これにより、溶剤を取り込んだまま接着剤が乾燥(硬化)してしまうことを防止することが可能となり、接着剤に含まれる溶剤を、より効率的に且つ確実に排出することが可能な接着剤の乾燥(硬化)とすることができる。
[適用例4]上記適用例に記載の振動デバイスの製造方法において、前記アニール工程は、200℃以上300℃以下の温度で行うことが好ましい。
本適用例によれば、乾燥工程からアニール工程への昇温時間を短縮することが可能となり、アニール工程の時間短縮を図ることができ、作業効率を向上させることができる。
[適用例5]上記適用例に記載の振動デバイスの製造方法において、前記アニール工程は、前記本乾燥工程の温度と同じ温度で行うことが好ましい。
本適用例によれば、乾燥工程からアニール工程への昇温時間が不要となり、アニール工程の時間をさらに短縮することができる。
[適用例6]上記適用例に記載の振動デバイスの製造方法において、前記不活性ガス雰囲気は、0〜200×10-6の酸素濃度であることが好ましい。
本適用例によれば、不活性ガス雰囲気における酸素濃度を0〜200×10-6(0〜200ppm)とすることにより、シリコーン系接着剤のSi分子が酸素と反応して起きる酸化劣化を、さらに起き難くすることが可能となり、シリコーン系接着剤の接着特性を高めることができる。
以下、本発明を添付図面に示した実施形態にもとづいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態では本発明に係る振動デバイスの製造方法を用いた振動デバイスとして、ATカット振動片を用いた水晶振動子を一例として説明する。
(水晶振動子の構成)
先ず、本発明に係る振動デバイスの製造方法を用いた振動デバイスとして、ATカット振動片を用いた水晶振動子を一例に、その構成について図1を参照しながら説明する。図1は、振動デバイスの一例としての水晶振動子の概略構成を示し、図1(a)は平面図、図1(b)は正断面図である。なお、図1(a)の平面図では、説明の便宜上シームリングおよび蓋体を省略している。
先ず、本発明に係る振動デバイスの製造方法を用いた振動デバイスとして、ATカット振動片を用いた水晶振動子を一例に、その構成について図1を参照しながら説明する。図1は、振動デバイスの一例としての水晶振動子の概略構成を示し、図1(a)は平面図、図1(b)は正断面図である。なお、図1(a)の平面図では、説明の便宜上シームリングおよび蓋体を省略している。
水晶振動子1は、セラミックシート等、シート状の絶縁材料から形成された底板2と搭載板8と壁板9とが積層されたパッケージ20(絶縁容器)の凹部である収容部6に振動片としての水晶振動素子10が収納され、その収容部6を金属製の蓋体(リッド)16により封止された構成を備えている。なお、蓋体(リッド)16は、例えばシーム溶接によりパッケージ20に接続されている。また、水晶振動子1は、この構成に限らず、パッケージ20の収容部6に水晶振動素子10が収納され、パッケージ20の開口端面をガラス封止によってセラミック等からなる蓋体16が接合されている構成であってもよい。
パッケージ20は、底板2、水晶振動素子10の搭載部としての搭載板8、および外壁としての壁板9が、この順に積層されている。パッケージ20は、平面視で略矩形の容器形状を有しており、略矩形の底板2の底面3に実装端子としての実装電極5が備えられている。実装電極5は、例えば下地金属として焼成されたタングステンのメタライズ層上にニッケル(Ni)メッキ、さらに金(Au)メッキを施した構成が用いられた導電性の金属層である。さらに、パッケージ20には、底板2の底面3と表裏関係をなす他方面(他方の面)4側に、搭載板8および壁板9の開口部によって囲まれた凹部である収容部6が設けられている。なお、他方面4は、パッケージ20に蓋体16が接続される側の面であり、図示では便宜上底板2の一面を指している。そして、収容部6内に露出する搭載板8(搭載部8a)の露出面には、水晶振動素子10と電気的に接続される2つの内部パッド14が備えられている。各内部パッド14は、夫々対応する実装電極5と導通しているが、図示は省略している。
振動片としての水晶振動素子10は、本実施形態ではATカット水晶振動片を一例としている。水晶振動素子10は、表裏の主面に励振電極11が形成され、励振電極11から延在された配線電極12を介して2つの接続電極13が設けられている。そして、水晶振動素子10は、パッケージ20を構成する搭載板8の収容部6内に設けられた内部パッド14に導電性接着剤17などを用いることにより電気的導通を取って接続固定されている。この導電性接着剤17は、水晶振動素子10の振動特性(電気的特性)を安定して維持するために、シリコーン系樹脂を基材とし、例えば銀(Ag)などの導電体の細粒(フィラー)を混在させたシリコーン系導電接着剤が用いられている。
水晶振動素子10が収納された収容部6は、パッケージ20を構成する壁板9の上面に設けられているシームリング15を介して蓋体16がパッケージ20(壁板9)とシーム溶接され封止されている。蓋体16は、リッドとも呼ばれ、例えば、42アロイ(鉄にニッケルが42%含有された合金)やコバール(鉄、ニッケルおよびコバルトの合金)等の金属、セラミックス、あるいはガラスなどを用いて形成することができる。シームリング15は、例えば、金属により蓋体16を形成した場合には、コバール合金などを矩形の環状に型抜きして形成される。パッケージ20および蓋体16によって形成される凹部空間である収容部6は、水晶振動素子10が動作するための空間となるため、減圧空間または窒素(N2)などの不活性ガス雰囲気に密閉・封止することが好ましい。
なお、上述では、振動片としての水晶振動素子10についてATカット水晶振動片を一例としたが、ATカット水晶振動片以外も適用することができる。例えば、音叉型水晶振動片、所謂ダブルT型のジャイロ素子や音叉型のジャイロ素子などにも適用することができる。また、振動片としての水晶振動素子10は、水晶振動素子10発振させる機能を少なくとも有し、水晶振動素子10と、水晶振動素子10と電気的に接続されている回路部とが、パッケージ20内に収納されている水晶発振器にも適用可能である。同様に、ジャイロ素子を用いたジャイロセンサーなどのセンサーデバイスにも適用することができる。また、水晶以外の圧電体を素材とした、例えばタンタル酸リチウム,ニオブ酸リチウム等の圧電材料を利用することができる。
(水晶振動子の製造方法)
次に、図2、および図3を参照しながら、本発明に係る振動デバイスとしての水晶振動子の製造方法の一例について説明する。図2は、振動デバイスの一例としての水晶振動子の製造方法を示すフローチャートである。図3は、乾燥工程(予備乾燥工程と本乾燥工程)およびアニール工程における温度プロファイルを示し、図3(a)は実施例1の温度プロファイル、図3(b)は実施例2の温度プロファイルを示している。なお、本説明においては、前述の図1も併せて参照し、それぞれの構成部位では図1の符号を用いて説明する。
次に、図2、および図3を参照しながら、本発明に係る振動デバイスとしての水晶振動子の製造方法の一例について説明する。図2は、振動デバイスの一例としての水晶振動子の製造方法を示すフローチャートである。図3は、乾燥工程(予備乾燥工程と本乾燥工程)およびアニール工程における温度プロファイルを示し、図3(a)は実施例1の温度プロファイル、図3(b)は実施例2の温度プロファイルを示している。なお、本説明においては、前述の図1も併せて参照し、それぞれの構成部位では図1の符号を用いて説明する。
(製造工程の説明1)
水晶振動子の製造方法においては、先ず、パッケージ20を構成するためのセラミックグリーンシートから形成されるパッケージ20と、振動片としての水晶振動素子10と、蓋体(リッド)16とを別々に準備する。
水晶振動子の製造方法においては、先ず、パッケージ20を構成するためのセラミックグリーンシートから形成されるパッケージ20と、振動片としての水晶振動素子10と、蓋体(リッド)16とを別々に準備する。
次に、パッケージ20の収容部6内に、水晶振動素子10を搭載(マウント)する(振動片接着工程S101)。水晶振動素子10は、パッケージ20の搭載板8上の内部パッド14に導電性接着剤17などを用いることにより電気的導通を取って接続固定される。ここでは、搭載板8上の内部パッド14に導電性接着剤17を塗布し、水晶振動素子10の接続電極13が内部パッド14と対向するように水晶振動素子10を搭載する。この導電性接着剤17は、水晶振動素子10の振動特性(電気的特性)を安定して維持するために、シリコーン系樹脂を基材とし、例えば銀(Ag)などの導電体の細粒(フィラー)を混在させたシリコーン系導電接着剤を用いる。
次に、導電性接着剤17を乾燥(硬化)する乾燥工程S102と、導電性接着剤17を含むパッケージ20をアニール処理するアニール工程S105と、を一連の工程として連続して行う。以下、この工程における説明では、図3(a)に示す実施例1の温度プロファイルを適用した例について説明する。
ここでの乾燥工程S102は、導電性接着剤17の予備乾燥工程S103と、本乾燥工程S104との二つの乾燥工程を有している。そして、導電性接着剤17の本乾燥工程S104の後、アニール工程S105が行われる。乾燥工程S102からアニール工程S105までは、一連の工程として、例えば、窒素(N2)ガスなどの不活性ガスが充填された高温処理槽内で、連続して行う。即ち、導電性接着剤17上に水晶振動素子10が搭載されたパッケージ20は、高温処理槽内から取り出されることなく予備乾燥工程S103、本乾燥工程S104、およびアニール工程S105の一連の工程を経る。
予備乾燥工程S103では、例えば、図3(a)に示されているように、パッケージ20を、窒素(N2)ガスなどの不活性ガス雰囲気、且つ50℃〜100℃の温度範囲で、本実施例1では75℃の温度環境下において10分〜60分の範囲内、本実施例1では30分程度保持する。この予備乾燥工程S103では、主剤であるシリコーン樹脂が硬化しない温度環境下で、溶剤だけが蒸発(除去)する。これにより、硬化する際にシリコーン中に取り込まれてしまう溶剤を減少させることができ、後々この取り込まれた溶剤がパッケージ20内に蒸散することによる水晶振動素子10の振動特性(電気的特性)の劣化を減少させることが可能となる。
続く本乾燥工程S104では、例えば、図3(a)に示されているように、窒素(N2)ガスなどの不活性ガス雰囲気である高温処理槽内を、200℃〜300℃の温度範囲内で、本実施例1では220℃に昇温し、この中でパッケージ20を30分〜120分の範囲内、本実施例1では60分程度保持する。これにより、導電性接着剤17の主剤であるシリコーン樹脂の硬化反応が促進されて導電性接着剤17が硬化し、導電性接着剤17の所定の導電特性を得ることができる。
続くアニール工程S105では、例えば、図3(a)に示されているように、窒素(N2)ガスなどの不活性ガス雰囲気である高温処理槽内を、200℃〜300℃の温度範囲で、本実施例1では280℃に昇温し、この中でパッケージ20を60分〜180分の範囲内、本実施例1では120分程度保持する。これにより、導電性接着剤17の乾燥(硬化)時の未反応物のガスや、パッケージ20に付着している水分などを含む付着ガスを排出する、所謂ガス出し(脱ガス)処理を行うことができる。
上述のように、予備乾燥工程S103から本乾燥工程S104さらにアニール工程S105を、不活性ガス雰囲気中で行うことにより、各工程間で導電性接着剤17が酸素に触れ難くなり、導電性接着剤17の主剤であるシリコーン樹脂の酸化劣化を防止できる。これにより、導電性接着剤17の結合状態が安定する。
また、上述した三つの工程を、不活性ガス雰囲気中で一連の工程として連続して行うことにより、昇温時間の短縮を図ることができることから効率よく導電性接着剤17の硬化を行うことができる。また、予備乾燥工程S103により、導電性接着剤17中に取り込まれる溶剤を減少させることができるため、効率よく導電性接着剤17の脱ガス処理を行うことができる。
(シリコーン系樹脂の耐熱劣化)
ここで、上述で用いたシリコーン系導電性接着剤17の主剤であるシリコーン系樹脂の耐熱劣化について、図4を参照しながら簡単に説明する。図4は、シリコーン系導電性接着剤17の主剤であるシリコーン系樹脂の耐熱劣化を示す分子構造図であり、図4(a)は酸化劣化を示し、図4(b)は主鎖シロキサンの解裂を示している。
ここで、上述で用いたシリコーン系導電性接着剤17の主剤であるシリコーン系樹脂の耐熱劣化について、図4を参照しながら簡単に説明する。図4は、シリコーン系導電性接着剤17の主剤であるシリコーン系樹脂の耐熱劣化を示す分子構造図であり、図4(a)は酸化劣化を示し、図4(b)は主鎖シロキサンの解裂を示している。
シリコーン系樹脂(シリコーンゴム)の耐熱性は、一般の有機ゴムなどに比べて非常に優れており、180℃を超える温度環境下でも連続使用が可能である。しかしながら、シリコーン系樹脂にも、耐熱劣化が存在する。シリコーン系樹脂の耐熱劣化には、図4(a)に示す酸化劣化と、図4(b)に示す主鎖シロキサンの解裂による劣化が知られている。
先ず、図4(a)を参照してシリコーン系樹脂の酸化劣化について説明する。シリコーン系樹脂の酸化劣化は、空気中(有酸素環境下)において、側鎖メチル基の酸化反応とシロキサン基の生成による硬化物の劣化を引き起こす(式(1))ことによって生じる。このシリコーン系樹脂の酸化劣化は、有酸素環境下(例えば、空気中)にて生じる反応であり、例えば窒素(N2)ガス雰囲気中、あるいは真空中(低酸素濃度環境)などにおいては生じない。
次に、図4(b)を参照してシリコーン系樹脂の主鎖シロキサンの解裂による劣化について説明する。シリコーン系樹脂の主鎖シロキサンの解裂は、無酸素環境下(例えば窒素(N2)ガス雰囲気中、あるいは真空中)にて生じる反応であり、シロキサン結合の不均化結合反応(式(2))や環状シロキサンの脱離(式(3))が起こることによって生じる。この主鎖シロキサンの解裂により、シリコーン系樹脂の耐熱劣化が生じる。
このように、高温状態でのシリコーン樹脂は、無酸素環境下である窒素(N2)ガス雰囲気中と、真空中(低酸素濃度環境)とにおいて、耐熱劣化を生じるが、温度条件と酸素濃度を適かうに管理することによって、予備乾燥工程S103、本乾燥工程S104、およびアニール工程S105は、真空中(低酸素濃度環境)でなく、不活性ガス雰囲気中で一連の工程として連続して行うことができる。
(不活性ガス雰囲気における酸素濃度)
上述したように、シリコーン系樹脂の酸化劣化は、有酸素環境下(例えば、空気中)にて生じる反応である。したがって、上述の予備乾燥工程S103、本乾燥工程S104、およびアニール工程S105では、窒素(N2)ガスなどの不活性ガス雰囲気中にて行う。このときの、窒素(N2)ガスなどの不活性ガス雰囲気における酸素濃度は、0〜200×10-6の酸素濃度であることが好ましい。このように、不活性ガス雰囲気における酸素濃度を0〜200×10-6(0〜200ppm)とすることにより、シリコーン系接着剤のSi分子が酸素と反応して起きる酸化劣化を、さらに起き難くすることが可能となり、シリコーン系接着剤の接着特性の劣化を防止することができる。
上述したように、シリコーン系樹脂の酸化劣化は、有酸素環境下(例えば、空気中)にて生じる反応である。したがって、上述の予備乾燥工程S103、本乾燥工程S104、およびアニール工程S105では、窒素(N2)ガスなどの不活性ガス雰囲気中にて行う。このときの、窒素(N2)ガスなどの不活性ガス雰囲気における酸素濃度は、0〜200×10-6の酸素濃度であることが好ましい。このように、不活性ガス雰囲気における酸素濃度を0〜200×10-6(0〜200ppm)とすることにより、シリコーン系接着剤のSi分子が酸素と反応して起きる酸化劣化を、さらに起き難くすることが可能となり、シリコーン系接着剤の接着特性の劣化を防止することができる。
図5に、不活性ガス雰囲気における酸素濃度の例を示し、その酸素濃度において予備乾燥工程S103、本乾燥工程S104、およびアニール工程S105を行った水晶振動子1のエージングデータを図6に示す。図5において、酸素濃度を略1000×10-6(1000ppm)に維持した場合のプロファイルを符号Hで示し、略酸素濃度を略0に維持した場合のプロファイルを符号Lで示している。また、図6(a)は、図5の符号Hプロファイルにて予備乾燥工程S103〜アニール工程S105を行った水晶振動子1のエージングデータであり、図6(b)は、図5の符号Lのプロファイルにて予備乾燥工程S103〜アニール工程S105を行った水晶振動子1のエージングデータである。図6に示されているように、酸素濃度を略1000×10-6(1000ppm)であっても、高温(85℃)での加速エージングにおいても、殆んど周波数変化は生じず、良好な周波数特性が維持されていることがわかる。しかしながら、酸素濃度の管理ばらつきなどの余裕度を考慮して、酸素濃度を0〜200×10-6(0〜200ppm)とすれば、高温(85℃)での加速エージングにおいても、殆んど周波数変化は生じず、良好な周波数特性が確保できると規定した。
(製造工程の説明2)
図2に戻り、製造工程について説明する。
予備乾燥工程S103、本乾燥工程S104、およびアニール工程S105を経た水晶振動素子10が接続されたパッケージ20は、周波数調整工程S106に投入される。周波数調整工程S106では、例えばプラズマ法などを用い、励振電極11の表面を研削することによって水晶振動素子10の共振周波数を調整する。なお、周波数調整方法は、プラズマ法に限らず、例えばレーザー光を用いた方法、真空蒸着法を用いた方法などによっても行うことができる。
図2に戻り、製造工程について説明する。
予備乾燥工程S103、本乾燥工程S104、およびアニール工程S105を経た水晶振動素子10が接続されたパッケージ20は、周波数調整工程S106に投入される。周波数調整工程S106では、例えばプラズマ法などを用い、励振電極11の表面を研削することによって水晶振動素子10の共振周波数を調整する。なお、周波数調整方法は、プラズマ法に限らず、例えばレーザー光を用いた方法、真空蒸着法を用いた方法などによっても行うことができる。
次に、周波数調整が終わったパッケージ20は、収容部6を蓋体(リッド)16によって封止する封止工程S107に投入される。封止工程S107では、水晶振動素子10の収納された収容部6を、シームリング15を介して蓋体(リッド)16をパッケージ20(壁板9)とシーム溶接することによって封止する。
以上の工程を経た後、図示しない検査工程を経て、振動デバイスとしての水晶振動子1が完成する。
(温度プロファイルの実施例2)
図3(b)を参照して、予備乾燥工程S103、本乾燥工程S104、およびアニール工程S105における温度プロファイルの実施例2について説明する。実施例2の温度プロファイルは、本乾燥工程S104の温度と、アニール工程S105の温度とが、同じ温度に設定されている。
図3(b)を参照して、予備乾燥工程S103、本乾燥工程S104、およびアニール工程S105における温度プロファイルの実施例2について説明する。実施例2の温度プロファイルは、本乾燥工程S104の温度と、アニール工程S105の温度とが、同じ温度に設定されている。
実施例2の温度プロファイルにおいても、予備乾燥工程S103では、実施例1と同じように、窒素(N2)ガスなどの不活性ガス雰囲気、且つ50℃〜100℃の温度範囲で、本実施例2では75℃の温度環境下において10分〜60分の範囲内にパッケージ20を30分程度保持する。
続く本乾燥工程S104およびアニール工程S105では、窒素(N2)ガスなどの不活性ガス雰囲気である高温処理槽内を200℃〜300℃の範囲内の温度、本実施例2では280℃に昇温する。そして、この中で、本乾燥工程S104にあたる乾燥時間として60分程度、アニール工程S105にあたる処理時間として120分程度、合計で180分程度パッケージ20を保持する。これにより、導電性接着剤17の本乾燥とアニール処理を連続して行うことができる。なお、本乾燥時間は30分〜120分の範囲内、アニール処理時間は60分〜180分の範囲内とすること、即ち合計の処理時間は、90分〜300分の範囲内とすることが好ましく、それぞれの処理を行うことができる。
実施例2の温度プロファイルのように、アニール工程S105および本乾燥工程S104の温度を同じ温度で行うことにより、本乾燥工程S104からアニール工程S105への昇温時間(図3(a)のt1)が不要となり、アニール工程S105の時間をさらに短縮することができ、処理の効率化を図ることができる。
上述のような水晶振動子1の製造方法によれば、予備乾燥工程S103から本乾燥工程S104さらにアニール工程S105を、不活性ガス雰囲気中で行うことにより、各工程間で導電性接着剤17が酸素に触れ難くなり、導電性接着剤17の主剤であるシリコーン樹脂の酸化劣化を防止できる。これにより、導電性接着剤17の結合状態が安定する。
また、上述した三つの工程を、不活性ガス雰囲気中で一連の工程として連続して行うことにより、昇温時間の短縮を図ることができることから効率よく導電性接着剤17の硬化を行うことができる。また、予備乾燥工程S103により、導電性接着剤17中に取り込まれる溶剤を減少させることができるため、効率よく導電性接着剤17の脱ガスを行うことができる。
また、上述した三つの工程を、不活性ガス雰囲気中で一連の工程として連続して行うことにより、昇温時間の短縮を図ることができることから効率よく導電性接着剤17の硬化を行うことができる。また、予備乾燥工程S103により、導電性接着剤17中に取り込まれる溶剤を減少させることができるため、効率よく導電性接着剤17の脱ガスを行うことができる。
(水晶振動子の適用例)
本発明に係る製造方法によって製造された水晶振動子1は、種々の電子機器に適用することができる。水晶振動子1は、電子機器の一例としてのモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターに適用することができる。パーソナルコンピューターは、キーボードを備えた本体部と、表示部を有する表示ユニットと、により構成されている。表示ユニットは、本体部に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューターには、水晶振動子1が内蔵されている。
本発明に係る製造方法によって製造された水晶振動子1は、種々の電子機器に適用することができる。水晶振動子1は、電子機器の一例としてのモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターに適用することができる。パーソナルコンピューターは、キーボードを備えた本体部と、表示部を有する表示ユニットと、により構成されている。表示ユニットは、本体部に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューターには、水晶振動子1が内蔵されている。
また、水晶振動子1は、電子機器として、携帯電話機(PHSも含む)に適用することができる。携帯電話機は、複数の操作ボタン、受話口および送話口を備え、操作ボタンと受話口との間には、表示部が配置されている。このような携帯電話機には、水晶振動子1が内蔵されている。
また、水晶振動子1は、電子機器として、デジタルスチールカメラに適用することができる。デジタルスチールカメラは、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。デジタルスチールカメラにおけるケース(ボディー)の背面には、表示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっている。表示部は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニットが設けられている。撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッターボタンを押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリーに転送・格納される。このようなデジタルスチールカメラには、水晶振動子1が内蔵されている。
なお、上記水晶振動子1は、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ヘッドマウントディスプレイ、ビデオテープレコーダー、各種ナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、ロケット、船舶の計器類)、ロボットや人体などの姿勢制御、フライトシミュレーターなどにも適用することができる。
また、本発明に係る製造方法によって製造された水晶振動子1は、移動体の一例としての自動車にも適用することができる。例えば、移動体としての自動車には、水晶振動子1を内蔵してタイヤなどを制御する電子制御ユニットが車体に搭載されている。また、水晶振動子1は、他にもキーレスエントリー、イモビライザー、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター、車体姿勢制御システム、等の電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)に広く適用できる。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…振動デバイスとしての水晶振動子、2…底板、3…底面、4…他方面、5…実装電極、6…収容部、8…搭載板、8a…搭載部、9…壁板、10…振動片としての水晶振動素子、11…励振電極、12…配線電極、13…接続電極、14…内部パッド、15…シームリング、16…蓋体(リッド)、17…導電性接着剤、20…パッケージ、S101…振動片接着工程、S102…乾燥工程、S103…予備乾燥工程、S104…本乾燥工程、S105…アニール工程、S106…周波数調整工程、S107…封止工程。
Claims (6)
- パッケージに振動片を接着剤によって接続する振動片接着工程と、
前記接着剤を乾燥する乾燥工程と、
前記接着剤を含む前記パッケージをアニール処理するアニール工程と、を含み、
少なくとも前記乾燥工程から前記アニール工程を、不活性ガス雰囲気中で行うことを特徴とする振動デバイスの製造方法。 - 前記接着剤は、シリコーン系の接着剤を用いていることを特徴とする請求項1に記載の振動デバイスの製造方法。
- 前記乾燥工程は、
50℃以上100℃以下の温度で行う予備乾燥工程と、
前記予備乾燥工程後に、200℃以上300℃以下の温度で行う本乾燥工程と、を含んでいることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の振動デバイスの製造方法。 - 前記アニール工程は、200℃以上300℃以下の温度で行うことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の振動デバイスの製造方法。
- 前記アニール工程は、前記本乾燥工程の温度と同じ温度で行うことを特徴とする請求項3に記載の振動デバイスの製造方法。
- 前記不活性ガス雰囲気は、0〜200×10-6の酸素濃度であることを特徴とする請求項1に記載の振動デバイスの製造方法。
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2014
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