JP2015169633A - プルシャンブルーを担持した繊維からなるセシウム吸着材、その製造方法およびそれを用いた放射性セシウムの吸着除去方法 - Google Patents

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【課題】放射性セシウムを含有する排水から放射性セシウムを分離除去するためのセシウム吸着材、その製造方法およびセシウムを吸着除去する方法を提供する。【解決手段】セルロース繊維、または、ナイロン繊維の表面をキトサンで被覆し、このキトサンにプルシャンブルーを担持してなるプルシャンブルー担持キトサン被覆繊維からなるセシウム吸着材を、放射性セシウムを含有する排水と接触させて放射性セシウムを吸着除去する。【選択図】なし

Description

本発明は、プルシャンブルーを担持した繊維からなるセシウム吸着材とその製造方法、およびこのセシウム吸着材を用いて、放射性セシウム(以下「セシウム」をCsで示す。)を含有する排水から放射性Csを吸着除去する方法に関する。
原子力発電所の事故により放出された種々の放射性物質のうちとくに重要な放射性Cs(134Csと137Csがあるが、以下の記述においては、まとめて「放射性Cs」と記す。)を、自然界や居住環境から分離除去し、安全に貯蔵して放射能の減衰を待つための、さまざまな除染方法や減容貯蔵の方法が開発されている。種々の可燃物に付着ないし吸収された放射性Csは、可燃物を都市ゴミ焼却炉で焼却処理したときに飛灰に濃縮され、主灰や飛灰を溶融処理したときは、溶融飛灰に移行すること、これらの焼却灰および飛灰(以下「灰」と略記する)の中に存在するCsは、水に溶けやすい形態であることから、灰からCsを水で抽出し、その抽出液からCsを適宜の吸着剤に吸着させて分離することができる。除染のための水洗作業により発生した排水中に存在するCsも、同様に、適宜の吸着剤に吸着させて分離することができる。
これらの抽出液または排水(以下あわせて「除染排液」という)中のCsイオンを吸着して分離するための吸着剤としては、まずゼオライト、とくにモルデナイト型のものが挙げられ、有効に使用できることが確認されている。しかし、一定量のゼオライトが吸着できるCsの量は、ときに期待したほど多くない場合があるのが難点である。とくに除染排液が灰の抽出液である場合にそうであって、これは、灰の中にはカリウムやナトリウムの化合物のような、これも水に溶けやすい物質が多量に含まれており、それらに由来するイオンがゼオライトの吸着サイトの大部分を占めるため、Csが吸着できるサイトが減ってしまうということがその理由である。ゼオライトはまた、除染排液と接触させると泥化するので、処理が面倒である。
一方、Csを選択的に吸着する物質として、古くからプルシャンブルー、すなわち、フェロシアン化鉄(II)酸鉄(III)カリウムKFe[Fe(CN)]によって代表される顔料が有効であることが知られ、これを用いて核燃料再処理廃液から137Csを分離除去する技術が、以前から研究されている(非特許文献1)。東日本大震災が引きおこした原子力発電所の事故を契機に、Csの吸着除去の技術が注目され、各方面で急速に研究が進められた(非特許文献2)。上記の化合物は、原料によってKをNaに置き換えたものもあり得、また、フェリシアン化物の系統の化合物もCsを選択的に吸着する性質があることがわかっているが、ここではそうしたものを含めて「プルシャンブルー」と呼び、以下、記号「KFe」であらわす。KFeがCsを選択的に吸着するのは、Csイオンの水和半径がKFeの内部空孔の大きさに合致しているからと考えられている。
KFeは安定な化合物であって、放射性Csを吸着した状態で長い年月保存し、放射能の減衰を待っても、分解して放射性Csを放出するような心配は、実質上しなくてよいと考えられるが、なにぶんKFeの化合物名に「シアン」が含まれていることから、放射性Csを吸着したKFeを貯蔵すること自体に抵抗感をもつ人々も少なくないと懸念される。このような事情を考えれば、いったんKFeに吸着させた放射性Csが、強固に結合して脱離する可能性がないことが望ましい。環境基準の観点からは、排水中に含まれるKFeの許容限度は、1mg/Lとされている。
KFeによるCsの吸着除去に伴う基本的な問題は、KFeとCsの結合によって沈殿が生成することである。このことは、工場規模における分離作業に関する限り有利であるが、そのような作業を行ない難い除染の現場では、できるだけ重量および容積が小さくて、多量のCsを処理できる吸着材を用いることが望まれる。このような観点から、さまざまな担持材にKFeを担持させた吸着材が開発され、提案されている。担持材としては、代表的にはプラスチック類や繊維の、織布および不織布が採用されている。織布にせよ不織布にせよ、通水性のシートにすれば、たとえばフィルターの形で使用できて好都合である。こうした担持材にKFeを担持させる場合、吸着により形成されたKFe−Cs結合体が担持材から離脱しないよう、KFeの担持を強固に行なうことが求められるので、その観点からの研究が進められている。
一例を挙げれば、不織布にバインダを介してKFeを担持させたものが、「セシウム回収シート」として提案された(特許文献1)。不織布の材料としてはポリエステルやポリアミド系の繊維が、バインダ樹脂としてはポリウレタンやアクリル樹脂を用い、不織布の通水性を維持するための内部空隙を閉塞しないように存在させる。別の例では、繊維集合体にKFeを接着剤で付着させる(特許文献2)。この場合の接着剤としては、数平均粒子径が1μm以下の微粒子状のポリオレフィン樹脂が採用されている。
一方、特殊な用途に向けるため、異なる性質の物質を複合させた繊維を製造することが試みられている。たとえば、アルギン酸とキトサンの複合体からなる医療用繊維である。さらに、繊維に対してその表面形状を変化させ、その形状を利用して、繊維に特殊な性能を与えることも提案されている。たとえば、再生ポリエチレンテレフタレート繊維を断面形状がC字型で凸部を有するように成形し、そこへさまざまな機能剤を付着させたものである(特許文献3)。
見塩規行ほか「日本原子力学会誌」vol.6, No.1 (1964) p.2 (独)産業技術総合研究所プレスリリース 2012年2月8日 特開2013−253948 特開2014−015693 特開2008−266812
上記のキトサンは、エビやカニの殻に含まれるキチンと呼ばれる物質を脱アセチル化して得られる化合物であって、構造中に−NH基を有する。発明者らは、レーヨンのようなセルロース繊維を酸化処理し、グルコース残基のC2−C3結合を切断してCHO−基を生成させたものに対してキトサンを作用させると、繊維のCHO−基と、キトサンの−NH基とがシッフ塩基を形成して強固に結びつくであろうという可能性を考えた。この可能性を前提にすれば、セルロース繊維をキトサンで被覆することができ、キトサン被覆繊維にKFeを作用させれば、キトサンのもつ−NH基とKFeのFe[Fe(CN)とがイオン結合によって強固に担持される、ということが期待できる。実験したところ、この期待どおりの結果が得られたので、キトサン被覆セルロース繊維にKFeを担持させたCs吸着材という着想が現実のものとなった。
さらに発明者らは、繊維状のCs吸着材において、レーヨンよりも強度が高いナイロンを基材として使用できないかと考えた。塩化カルシウム二水和物のメタノール溶媒に対する飽和溶液(以下、塩化カルシウム二水和物のメタノール溶液を「Ca/MeOH」と記す)が、ナイロンおよびキチンに対する良好な溶媒であるという事実に基づき、ナイロン繊維をキチンで被覆すること、そしてこのようにして得たキチン被覆ナイロン繊維にKFeを担持させたCs吸着除去材の可能性を着想した。キチンはアセトアミド基とアミノ基を有しているため、KFeが配位結合またはイオン結合によって好適に担持されるであろうという期待である。これも実験の結果、期待どおりの成果が得られた。
したがって本発明の概括的な目的は、発明者らの得た上記の知見を活用し、繊維状の基材にKFeを強固に担持させたCs吸着除去材を提供することにある。本発明の具体的な目的の第一は、レーヨンのようなセルロース繊維をキトサンで被覆したものにKFeを担持させてなるCs吸着除去材を提供することにある。具体的な目的の第二は、ナイロン繊維をキチンで被覆したものにKFeを担持させてなるCs吸着除去材を提供することにある。それらの除去材の製造方法と、それらを使用して放射性Csを含有する排水から放射性Csを選択的に吸着除去する方法を提供することもまた、もちろん本発明の目的に包含される。
具体的な目的の第一を達成する本発明のCs吸着材は、セルロース繊維の表面をキトサンで被覆し、このキトサンにプルシャンブルーを担持させたプルシャンブルー担持キトサン被覆セルロース繊維からなるCs吸着材である。
このセルロース繊維を基材とするCs吸着材を製造する方法は、セルロース繊維を酸化処理した後、キトサン水溶液と接触させることによりセルロース繊維の表面をキトサンで被覆し、ついでプルシャンブルーの水溶液と接触させて、キトサン被覆セルロース繊維にプルシャンブルーを担持させることからなる。
具体的な目的の第二を達成する本発明のCs吸着材は、ナイロン繊維の表面をキチンで被覆し、このキチンにプルシャンブルーを担持させたプルシャンブルー担持キチン被覆ナイロン繊維からなるCs吸着材である。
このナイロン繊維を基材とする繊維状Cs除去材を製造する方法は、ナイロン繊維を塩化カルシウムのメタノール溶液で処理して繊維表面を部分的に溶解させたものを、塩化カルシウムのメタノール中飽和溶液にキチンおよびナイロンを溶解させた液と接触させることによりナイロン繊維の表面をキチンで被覆し、ついでプルシャンブルーの水溶液と接触させてキチン被覆ナイロン繊維にプルシャンブルーを担持させることからなる。
上記の繊維状Cs除去材を使用して放射性Csを含有する排水から放射性Csを吸着除去する方法は、いずれかの繊維状Cs除去材を放射性Csを含有する排水と接触させ、プルシャンブルーに放射性Csを吸着させることからなる。
本発明の繊維状Cs除去材であって、レーヨン繊維を基材とするものは、レーヨン繊維すなわちセルロース繊維を酸化処理してグルコース残基のC2−C3結合を切断することにより−CHO基を生成させ、それとキトサンの−NH基とでシッフ塩基を形成させるという処理を前提にしているため、キトサンが繊維を被覆した形で存在し、そのキトサンの−NH 基とKFeのFe[Fe(CN)とがイオン結合しているため、KFeがすこぶる強固に担持されている。したがって、この除去材を使用して放射性Csを含有する排水から放射性Csを吸着除去するに当たり、排水に接触させた除去材からCsを吸着したKFeが脱離する懸念はなく、除去操作を行なうことができる。レーヨンを基材とする除去材は廉価に製造できるから、放射性Csの分離除去のコストを抑えることができる。
本発明の繊維状Cs除去材であってナイロン繊維を基材とするものも同様であって、前記した飽和Ca/MeOHがナイロンおよびキチンに対して良好な溶媒であるため、キチンによるナイロン繊維の被覆が良好に行なわれ、その上でKFeの担持を行なうから、ナイロン基材に対してKFeがきわめて強固に担持されている。したがって、この場合も、除去材を使用して放射性Csを吸着除去するに当たり、排水に接触させた除去材からCsを吸着したKFeが脱離することを心配する必要はなく、除去操作を行なうことができる。ナイロン繊維を基材とする除去材は強度が高いから、放射性Csの分離除去に当たって除去材に力が加わるような用途にも、好適に使用することができる。
本発明の繊維状Cs除去材を使用して放射性Csを含有する排水から放射性Csを吸着除去する方法は、除去材を排水に浸漬して十分な接触をはかるだけで、放射性Csを高度に除去し、排水の放射能を環境基準に合致するように低下させることが容易であるから、泥状の物を処理したり、沈殿物を分離したりする、工場の設備でなければできない作業をする必要がない。したがって、除染の対象がまとまったものでなくても処理することができ、除染作業の可能性を拡大することができる。
レーヨン繊維すなわちセルロース繊維を酸化処理してグルコース残基のC2−C3結合を切断する操作には、種々の酸化剤を使用することができるが、後記する実施例で使用した過ヨウ素酸カリが最適である。この酸化剤は水溶液としてセルロース繊維に作用させるが、その適切な濃度は、これを0.3〜5.0mg/mLの範囲の種々の濃度で試験したところ、1.0mg/mL近辺が、KFeの担持量を最も高くできるようなキトサン被覆を与えることがわかった。
酸化処理したセルロース繊維をキトサンで被覆する工程は、処理後の繊維にキトサンの水溶液を作用させて実施するが、このときのキトサン濃度は、後記する実施例において1〜5%の水溶液を使用してKFe担持量を調べて確認したところからわかったところによれば、3%で足りる。
キトサン被覆をしたセルロース繊維は、つぎにKFeの担持を行なう。これも繊維にKFeの水溶液を作用させて行なうが、そのときのKFeの濃度は、これも後記する実施例のデータにみるとおり、100mM以上あればよい。担持されるKFeの量は、溶液を作用させるときの温度で大きく異なり、高温ほど有利であることがわかったから、100℃またはそれに近い高温を採用すべきである。セルロース繊維へのKFeの担持は、染色に使用する装置を利用して行なうことが有利であって、推奨される実施態様である。
このようにして得たKFe担持キトサン被覆セルロース繊維は、通常の用途に対しては、そのCs吸着容量を増すためにスケールを増大することが好ましい。この目的には組紐化を行なうことが効果的であるが、材料として、単糸(30/1)は強度が不足で切れやすいから不適切で、引き揃えの二子(30//2)や四子(30//4)が適切である。さらに、組紐をより太く強くするためには、芯を加えた二重繊維組紐とすることもできる。芯には、木綿篠が好適である。
レーヨン繊維(オーミケンシ製紡績糸 30)の組紐を製造した。ボビンに2本のレーヨン繊維を引き揃えた二子(30//2)および4本のレーヨン繊維を引き揃えた四子(30//4)を材料として、組紐機で組紐化した。得られた組紐をより太くするとともに繊維密度を高めるため、芯を加えた二重レーヨン繊維組紐を製造した。芯には、引揃え十子(30/10)、30//2×16組紐、30//4×16組紐、フィルター用篠を用いた。組紐機としては、16打丸紐用製紐機(コクブンリミテッド製)を使用した。
得られた組紐5gを、60℃の過ヨウ素酸カリウム水溶液(濃度1mg/mL)に1時間浸漬した。つづいて、濃度が1%、3%または5%のキトサン(甲陽ケミカル製 FL-80 DAC 84.7%)水溶液により、60℃で2時間処理して、キトサン被覆レーヨン繊維集合体を得た。このキトサン被覆レーヨン繊維1gを、濃度が0.04〜95mMの範囲にある5種のKFe水溶液100mLに、室温で1時間、撹拌下に浸漬してKFeを担持させた。繊維を取り出して純水で一夜洗浄してから、50℃のオーブンに一夜放置して乾燥させた。
乾燥したKFe担持レーヨン繊維を王水で酸分解し、ICP発光分析により存在するFeイオン量を測定することにより、KFe担持量を調べた。結果は、表1のとおりである。この結果から、担持用のKFe溶液の濃度は、100mM以上とすべきことがわかった。

表1 KFe水溶液の濃度と担持量
Figure 2015169633
キトサン3%水溶液を用いて被覆したレーヨン繊維1gを、濃度2mMのKFe溶液100mLで処理した場合、液温を100℃に高めたところ、同じ撹拌下1時間の条件で、KFe担持量は室温の場合の約8倍にのぼる16.7μM/gとなって、処理温度を高めることがKFe担持量の増大をもたらすことがわかった。
KFe担持量に与えるキトサン水溶液の濃度の影響は、表2のとおりである。このデータは、キトサン濃度が3%以上あればよいことを示している。比較のため、未処理のレーヨン繊維および過ヨウ素酸カリウム処理だけのレーヨン繊維についてもKFe溶液処理をおこなったが、KFe担持はまったく認められなかった。

表2 キトサンの濃度と担持量
Figure 2015169633
得られたKFe担持レーヨン繊維からKFeが脱離するおそれがないかを調べるため、繊維0.5gを100mLの純水中に浸漬し、室温で3時間、撹拌したのち、サンプルとして水10mLを採取して王水で酸分解し、ICP発光分析Fe濃度を測定してKFeの量を見積もったところ、環境基準の1mg/L未満であった。
[コールドラン]
レーヨン繊維を濃度1mg/mLの過ヨウ素酸カリウム水溶液で処理し(60℃、撹拌下1時間)、3%キトサン水溶液500mLを用いて被覆し(60℃、撹拌下2時間)、濃度2mMのKFe溶液300mLを用いてKFe担持(100℃、撹拌下1時間)を行なって得たKFe担持レーヨン繊維を対象に、Cs吸着試験を行なった。Cs濃度がそれぞれ200,300,400ppmであるCsCl水溶液各100mLを用意し、上記のKFe担持レーヨン繊維2gを浸漬して、室温で1時間、撹拌した。その後レーヨン繊維を取り出し、液中に残ったCs量を測定することにより、Cs吸着量を求めた。結果は表3のとおりである。
レーヨン繊維のKFe担持量は前記のとおり16.7μM/gであったから、CsはKFeに対しておおむね1:1のモル比で吸着されたことがわかる。

表3
Figure 2015169633
[ホットラン]
放射性Csを約8000Bq/kgの濃度で含む飛灰抽出液100mLに、KFe担持レーヨン繊維の4種の組紐各5gを浸漬し、24時間振とうした。組紐を取り出して残った液について、スペクトロサーベイメータにより放射能を測定した。結果は表4のとおりである。

表4
Figure 2015169633
ナイロン糸(サンヨーナイロン製 EXTRA V-500 1号)を繊維材料として用い、実施例1と同じ組紐装置を使用して、下記2種のナイロン組紐を製作した。
単糸で16打(1号/1×16)
引き揃えの三子で16打(1号//3×16)
上記の組紐を10%Ca/MeOHで1分間、前処理することにより、ナイロン繊維の表面を部分的に溶解させた後、MeOHで洗浄した。飽和Ca/MeOHにキチン(0.75%)およびナイロン(1%)を溶解させた溶液を用意し、これをキチン被覆溶液とし、そこに上記の表面処理をしたナイロン組紐を5分間浸漬して、キチン被覆ナイロン繊維とした。余分なカルシウムを除去するために、1%NaOH溶液で、ついで1%HCl溶液でそれぞれ2分間処理した後、MeOHで洗浄した。KFeを担持させるため、キチン被覆ナイロン繊維1gに対して2mM−KFe溶液100mLの割合で使用し、100℃×1時間の条件で処理した。得られたKFe担持キチン被覆ナイロン繊維に含まれるKFe量は、王水180mLで酸分解して得られた被検液を誘導結合プラズマ(ICP)発光分析法により測定したところ、0.51μM/gであった。
比較のため、10%Ca/MeOHを用いた前処理を省略したほかは上記したところと同じ処理を行なって、KFe担持キチン被覆ナイロン繊維を用意した。そのKFe担持量は0.26μM/gと、上記の実施例の約1/2であった。

Claims (7)

  1. 放射性Csを含有する排水から放射性Csを分離除去するためのCs吸着材であって、セルロース繊維の表面をキトサンで被覆し、このキトサンにプルシャンブルーを担持させたプルシャンブルー担持キトサン被覆セルロース繊維からなるCs吸着材。
  2. 繊維が組紐状に加工されている請求項1のCs吸着材。
  3. 請求項1に記載したCs吸着材を製造する方法であって、セルロース繊維を酸化剤で処理した後、キトサン水溶液と接触させることによりセルロース繊維の表面をキトサンで被覆し、ついでプルシャンブルーの水溶液と接触させてキトサン被覆セルロース繊維にプルシャンブルーを担持させることからなる製造方法。
  4. 放射性Csを含有する排水から放射性Csを分離除去するためのCs吸着材であって、ナイロン繊維の表面をキチンで被覆し、このキチンにプルシャンブルーを担持させたプルシャンブルー担持キチン被覆ナイロン繊維からなるCs吸着材。
  5. 繊維が組紐状に加工されている請求項4のCs吸着材。
  6. 請求項4に記載したCs吸着材を製造する方法であって、ナイロン繊維を塩化カルシウムのメタノール溶液で処理して繊維表面を部分的に溶解させたものを、塩化カルシウムのメタノール中飽和溶液にキチンおよびナイロンを溶解させた液と接触させることによりナイロン繊維の表面をキチンで被覆し、ついでプルシャンブルーの水溶液と接触させてキチン被覆ナイロン繊維にプルシャンブルーを担持させることからなる製造方法。
  7. 放射性Csを含有する排水から放射性Csを分離除去する方法であって、請求項1または請求項4に記載のCs吸着材を、放射性Csを含有する排水と接触させることにより、排水中の放射性CsをCs吸着材中のプルシャンブルーに吸着させることからなる方法。
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