JP2015169199A - 2ストロークエンジンのシリンダ潤滑装置 - Google Patents

2ストロークエンジンのシリンダ潤滑装置 Download PDF

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Abstract

【課題】2ストロークエンジンを少ない潤滑油量で効果的に潤滑する。【解決手段】シリンダ22の内周面22Aに開口する油供給孔74から供給される潤滑油が、シリンダとピストン23との間の潤滑に用いられ、クランク室2Aに滴下してオイルタンク75に回収され、オイルポンプ76により油供給孔に圧送される。クランク室2Aをシリンダ側から仕切る鍔部71をクランクケース2の側壁2B〜2Eから突出させて形成し、鍔部の突出端によりコンロッド26を外囲する開口71Cを形成する。クランク室をシリンダ側から仕切るように設けられた壁の上面に潤滑油を集めることができ、その集められた潤滑油を壁に設けた開口からコンロッド大端部の潤滑が必要な部位に向けて滴下させることができ、大量に潤滑油を供給することなく、少ない供給量で効果的に潤滑を行うことができる。【選択図】図3

Description

本発明は、2ストロークエンジンのシリンダ潤滑装置に関し、特にシリンダの内周面に潤滑油供給孔を設けた2ストロークエンジンのシリンダ潤滑装置に関するものである。
従来、2ストロークエンジンでは、シリンダの側部とクランク室とを連通する掃気ポートが形成されている。掃気ポートは、シリンダ内を往復動するピストンの位置に応じて開閉され、ピストンが下死点付近にあるときにシリンダ上部の燃焼室と連通し、ピストンが上死点付近にあるときに燃焼室との連通が遮断される。この掃気ポートを介してクランク室からシリンダに燃料を含む混合気が供給される。
ところで、エンジン潤滑方式として、潤滑油を予め燃料に混合した混合燃料を用い、混合燃料によって潤滑を行う混合燃料潤滑がある。しかしながら、潤滑油を混合した混合燃料を用いるため、燃料とともに潤滑油が燃焼し、潤滑油の消費量が多くなって不経済になるうえ、燃料吹抜けによって排出ガス中に含まれる未燃焼炭化水素(HC)が増える短所がある。
一方、混合燃料を使わずに、専用の配管を用いて外部から潤滑油を供給する外部給油式がある。ところが、クランク室で予備圧縮を行う2ストロークエンジンでは、シリンダ摺動部を潤滑した潤滑油は、クランク室に滴下してクランクスローやコネクティングロッドによって撹拌されるため、燃焼室に流れて燃焼しやすい点では混合燃料潤滑と変わりはなく、動弁機構によって吸気を直接燃焼室に送り込むエンジンに比べて潤滑油の消費量および排出ガス中の未燃HCが多いという問題があった。
2ストロークエンジンの潤滑油量の低減を図る技術として、シリンダ内周面に潤滑油を供給する外部給油式のエンジンにおいて、シリンダ内周面の周方向に複数開口された油給油孔を設け、油給油孔と連通して掃気スワールの向きと同方向に斜めに延びる保油溝を設けた発明が公知となっている(特許文献1参照)。
特開2003−286816号公報
しかしながら上記特許文献1の技術は、専用の噴射装置によって適切なタイミングを計って潤滑油を供給するものであり、噴射装置の装備によって潤滑装置が複雑になるうえ、製造コストも高くなる。そのため、特に小型の2ストロークエンジンには、より簡単な構成でシリンダの潤滑を行える潤滑装置が望まれ、本出願人は、下死点に位置するピストンのトップリングよりも下側の部分に向けて開口するようにシリンダに形成された複数の油供給孔を備え、複数の油供給孔を、スラスト側および反スラスト側において他の部位に比べて供給する潤滑油量を多くするように構成したものを特願2013−271037号として提案している。
この構成によれば、シリンダの内周面に開口する複数の油供給孔の配置を、ピストンの中心からスラスト側および反スラスト側において他の部位よりも間隔を狭めたことにより、スラスト側および反スラスト側に潤滑油量を多く供給し、不必要な部位に潤滑油量を過剰に供給することが抑制されるため、全体の潤滑油量を低減することができる。しかしながら、2ストロークエンジンでは潤滑油は燃焼して消費されるため、潤滑性能が同じであれば、潤滑油量の消費をより一層低減することが望まれる。
本発明は、このような背景に鑑み、少ない潤滑油量で効果的に潤滑を行い得る2ストロークエンジンのシリンダ潤滑装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、シリンダ軸線(A)を概ね上下方向に向けると共に、潤滑油供給手段(76)に接続されかつシリンダ(22)の内周面(22A)に開口する潤滑油供給孔(74)を有する2ストロークエンジン(E)のシリンダ潤滑装置であって、クランク室(2A)を前記シリンダ(22)側から仕切るように設けられ、コンロッド(26)を外囲する開口(71C)を画成する壁(71)を有することを特徴とする。
この構成によれば、潤滑油供給孔からシリンダ内周面に供給された潤滑油は、ピストンのクランクケース側への移動によりクランクケース内に落ちるが、クランク室をシリンダ側から仕切るように設けられた壁により捕捉される。その壁の上面に集められた潤滑油を壁に設けた開口からコンロッド大端部の潤滑が必要な部位に向けて滴下させることができ、大量に潤滑油を供給することなく、少ない供給量で効果的に潤滑を行うことができる。
また、前記開口(71C)は、コンロッド大端部(26A)に近接するように設けられているとよい。
この構成によれば、コンロッド大端部、すなわちクランクピンの軸受に集中して潤滑油を滴下させることができる。
また、前記壁(71)の上面(71A)は、前記開口(71C)に向けて下向きに傾斜しているとよい。
この構成によれば、壁の上面を流れ落ちる潤滑油を開口に向けて速やかに集めることができ、潤滑油の供給量を多くすることなく、コンロッド大端部への必要な潤滑油量を確保し得る。
また、前記開口(71C)は、前記シリンダ(22)の軸線(A)方向から見てクランクシャフト(8)と直交する方向に長い形状とされているとよい。
この構成によれば、コンロッドの揺動運動する範囲と干渉することなく、開口をできるだけ狭くすることができ、それに伴って壁の上面の面積を広くすることができるため、壁により捕捉される潤滑油の量を増大し得る。
また、前記壁(71)の上面(71A)は、前記開口(71C)の長辺に沿う方向の中央部分(71B)で最も低くなるように形成されているとよい。
この構成によれば、壁により捕捉された潤滑油は、壁の上面を開口の長辺に沿う方向の中央部分に集められるため、その中央部分から潤滑油を集中的に滴下させることができ、クランクシャフトの回転による風圧に飛ばされることなくコンロッド大端部に潤滑油を滴下させることができる。
このように本発明によれば、クランク室をシリンダ側から仕切るように設けられた壁の上面に潤滑油を集めることができ、その集められた潤滑油を壁に設けた開口からコンロッド大端部の潤滑が必要な部位に向けて滴下させることができ、大量に潤滑油を供給することなく、少ない供給量で効果的に潤滑を行うことができる。
実施形態に係るエンジンの縦断面図 図1のII-II断面図 本発明に基づく鍔部を示す図1の要部拡大断面図 図3の矢印IV線方向に見た鍔部の開口部分を示す要部拡大平面図
以下、図面を参照して、本発明をユニフロー型単気筒2ストロークエンジン(以下、エンジンEという)に適用した実施形態について詳細に説明する。
(エンジンの概略構成)
図1および図2に示すように、エンジンEの機関本体1は、内部にクランク室2Aを画成するクランクケース2と、クランクケース2の上部に接合されたシリンダブロック3と、シリンダブロック3の上部に接合されたシリンダヘッド4と、シリンダヘッド4の上部に接合され、シリンダヘッド4との間に上部動弁室6を画成するヘッドカバー5とを有する。
クランクケース2は、図2に示すように、上下に延びる面(シリンダ軸線Aを通る面)で左右に分割された一対のクランクケース半体によって構成される。左右のクランクケース半体は、ボルトによって互いに締結され、両半体間にクランク室2Aを形成する。クランクケース2の左右の側壁2B、2Cには、軸受7を介してクランクシャフト8が回転可能に支持される。
クランクシャフト8は、クランクケース2の側壁2B、2Cに支持される一対のジャーナル8Aと、両ジャーナル8A間に設けられた一対のウェブ8Bと、両ウェブ8Bによってジャーナル8Aから偏心した位置に支持されたクランクピン8Cとを有する。
右側壁2Cの外面側にはエンドプレート11が締結される。エンドプレート11は、周縁部において右側壁2Cの外面に締結され、右側壁2Cとの間に下部動弁室12を形成する。クランクシャフト8の左端部8Dは、クランクケース2の左側壁2Bを貫通して左方に延出する。クランクシャフト8の右端部8Eは、クランクケース2の右側壁2C及びエンドプレート11を貫通して右方へと延出する。クランクシャフト8の左端部8Dが左側壁2Bを貫通する部分、及び右端部8Eがエンドプレート11を貫通する部分には、クランク室2Aの気密性を確保するためのシール部材13がそれぞれ設けられる。
クランクケース2の上部には、上下に延び、上端がクランクケース2の上端面に開口すると共に、下端がクランク室2Aに向けて開口する断面円形の第1スリーブ受容孔16が形成される。
シリンダブロック3は、上下に延在し、下端面においてクランクケース2の上端面に接合される。シリンダブロック3には、上端面から下端面に上下に貫通する第2スリーブ受容孔18が形成される。第2スリーブ受容孔18は、上部が下部に対して段違いに拡径された円形断面の段付き孔であり、上部及び下部の境界部に上方を向く環状の肩面18Aを有する。第2スリーブ受容孔18の下端開口は、シリンダブロック3の第1スリーブ受容孔16の上端開口と同軸に対向し、互いに連通する。第1スリーブ受容孔16及び第2スリーブ受容孔18の下部の内径は等しく、連続した孔を形成する。
第1及び第2スリーブ受容孔16、18には、円筒状のシリンダスリーブ19が固定される。シリンダスリーブ19は、外周部に径方向外方に突出する環状の凸部21を有する。凸部21が肩面18Aに当接することによって、シリンダスリーブ19の第1及び第2スリーブ受容孔16、18に対する位置が定まる。シリンダスリーブ19の下端は、第1スリーブ受容孔16の下端開口から下方に突出し、クランク室2Aの内部において突出端となっている。シリンダスリーブ19の上端はシリンダブロック3の上端面と面一となる位置に配置され、シリンダブロック3に接合されるシリンダヘッド4の下端面に当接する。これにより、シリンダスリーブ19は、肩面18Aとシリンダヘッド4の下面との間に挟持され、シリンダ軸線A方向において位置が定まる。シリンダスリーブ19の内孔は、シリンダ22を形成する。
シリンダ22には、往復動可能にピストン23が受容される。ピストン23は、クランクシャフト8と平行に延びるピストンピン23Aを有する。ピストンピン23Aには、軸受24を介してコンロッド26の小端部(26C)が回動可能に支持される。コンロッド26の大端部(26A)は、軸受25を介してクランクピン8Cに回動可能に支持される。ピストン23とクランクシャフト8とがコンロッド26によって連結されることによって、ピストン23の往復動がクランクシャフト8の回転運動に変換される。
図1および図2に示すように、シリンダヘッド4の下端面におけるシリンダスリーブ19に対応する位置には、半球状の燃焼室凹部28が形成されている。燃焼室凹部28は、ピストン23の頂面との間に燃焼室29を形成し、シリンダ22の上端部となる。
シリンダヘッド4には、点火プラグ30が燃焼室29に臨むように設けられている。また、シリンダヘッド4には、排気ポート31が燃焼室29の頂部に開口するように形成されると共に、排気ポート31を開閉するポペット型の排気弁32が設けられている。排気弁32は、そのステムエンドが上部動弁室6に配置され、バルブスプリング33によって閉方向に付勢されている。排気弁32は、動弁機構34によって、クランクシャフト8の回転に同期して開閉駆動される。
図2に示すように、動弁機構34は、クランクシャフト8の回転に応じて回転するカムシャフト41と、カムシャフト41によって進退駆動されるプッシュロッド42と、プッシュロッド42によって駆動され、排気弁32を開方向に押すロッカアーム43とを有する。カムシャフト41は、下部動弁室12にクランクシャフト8と平行に配置されている。カムシャフト41は、一端がクランクケース2の右側壁2Cに回転可能に支持されると共に、他端がエンドプレート11に回転可能に支持される。クランクシャフト8は、下部動弁室12に位置する部分にクランクギヤ45を有し、カムシャフト41はクランクギヤ45に噛み合うカムギヤ46を有する。クランクギヤ45とカムギヤ46のギヤ比は1:1である。カムシャフト41には、板カムであるカム47が設けられている。
プッシュロッド42は、両端が開口した管状のロッドケース51に進退可能に収容されている。ロッドケース51は、上下に延在し、下端がクランクケース2の右側壁2Cに接合されて下部動弁室12に連通すると共に、上端がシリンダブロック3に接合されて上部動弁室6に連通する。プッシュロッド42は、下端においてカムシャフト41のカム47に当接し、カムシャフト41の回転に応じて進退する。プッシュロッド42の下端にローラを設け、ローラにおいてカム47に転接するようにしてもよい。
ロッカアーム43は、シリンダヘッド4に支持されたロッカシャフト52に回動可能に支持される。ロッカシャフト52は、シリンダ軸線A及びクランクシャフト8の軸線と直交する方向に延在している。ロッカアーム43は、一端にプッシュロッド42の上端に当接する受け部43Aを有し、他端に排気弁32のステムエンドに当接するスクリュアジャスタ43Bを有する。
以上の構成の動弁機構34によって、クランクシャフト8が1回転する毎に、所定のタイミングで排気弁32が1回開かれる。
図1に示すように、クランクケース2の前側壁2Dには、クランク室2Aに連通する開口である吸気ポート53が形成されている。吸気ポート53は、図の左方の吸気通路(図示省略)からクランクシャフト8側に向けて吸気を流すように形成されている。吸気ポート53には、吸気ポート53側からクランク室2A側への流体の流れを許容する一方で、クランク室2A側から吸気ポート53側への流体の流れを阻止するリード弁54が設けられている。リード弁54は、通常は閉弁しており、ピストン23の上昇によってクランク室2A内の圧力が低下すると開弁する。
シリンダスリーブ19の第1スリーブ受容孔16内に対応する部分には、径方向に貫通する掃気口55が形成されている。掃気口55の高さ寸法は、ピストン23の外周面の高さ寸法よりも小さく設定されている。クランクケース2の上部であって、第1スリーブ受容孔16の周囲には、クランク室2Aと掃気口55とを連通する掃気ポート56が形成されている。掃気口55は掃気ポート56の下流端をなす。掃気口55(掃気ポート56)は、ピストン23の往復動によって開閉される。具体的には、ピストン23が掃気口55と対応する位置にあるときには、掃気ポート56はピストン23の外周部によって閉じられ、ピストン23の下縁が掃気口55の下縁55Bよりも上方(上死点側)にあるときには、掃気ポート56がシリンダ22のピストン23よりも下側部分と連通するように開かれ、ピストン23の上縁が掃気口55の上縁55Aよりも下方(下死点側)にあるときには、掃気ポート56がシリンダ22のピストン23よりも上側部分と連通するように開かれる。
図1に示すように、シリンダスリーブ19のクランク室2Aに突入した下端部の外周部には環状の油路形成部材60が接合されている。油路形成部材60の内周面は、シリンダスリーブ19の外周面と周方向にわたって面接触する。図3に併せて示されるように、シリンダスリーブ19の外周面であって、油路形成部材60の内周面に対向する部分には、周方向に環状に延在する環状溝72が形成されている。環状溝72は、油路形成部材60によって覆われ、環状の通路を形成する。油路形成部材60には、径方向に貫通し、環状溝72に連通する油入口孔73が形成されている。シリンダスリーブ19には、径方向に貫通し、環状溝72と連通する油供給孔(潤滑油供給孔)74が形成されている。油供給孔74は、シリンダスリーブ19の周方向において複数形成されている。
図1に示されるように、シリンダブロック3には、第1油路64が形成されている。第1油路64は、シリンダブロック3の側面に開口する一端と、シリンダブロック3の下端面に開口する他端とを有する。クランクケース2には、掃気ポート56からシリンダブロック3の下端面であって、第1油路64が開口する部分に延びる通路65が形成されている。第1油路64のシリンダブロック3の下端面における開口端には、第2油路を形成する第2油路管66の一端が接続されている。第2油路管66は、通路65内を延びて掃気ポート56内に突入し、他端が油路形成部材60の油入口孔73に接続されている。これにより、潤滑油供給手段としてのオイルポンプ76によって圧送された潤滑油は、第1油路64、第2油路管66、油入口孔73、環状溝72、及び油供給孔74を順に通過してシリンダスリーブ19の内壁(シリンダ22の内周面22A)に供給される。
クランクケース2の後側壁2Eには、燃料噴射弁68が取り付けられている。燃料噴射弁68の先端は、クランク室2Aに配置され、クランクシャフト8側を向いている。燃料噴射弁68は、所定のタイミングでクランク室2Aに燃料を噴射する。
図1、図2に示すように、クランクケース2の側壁2B〜2Eの内面には、本発明の壁として、互いに近接する方向に突出する鍔部71が設けられている。鍔部71は、クランク室2Aをシリンダ22側から仕切り、かつクランクシャフト8と干渉しないように、ピストン23が上死点に位置するときのウェブ8Bの上端(クランクアーム8F)よりも上方に配置される。また、クランクシャフト8の軸線方向(図1)及びこれに直交する方向(図2)から見て一対の鍔部71は、コンロッド26と干渉しないように、その先端により開口71Cを画成している。
このように構成されたエンジンEは、始動後、次のように動作する。図1を参照すると、まず、ピストン23の上昇行程では、これに伴うクランク室2Aの減圧によってリード弁54が開弁し、新気がクランク室2Aに流入する。クランク室2Aに流入した新気には、燃料噴射弁68から燃料が噴射され、混合気が生成される。同時に、シリンダ22内の混合気はピストン23によって圧縮され、ピストン23が上死点近傍にあるときに点火プラグ30が火花点火を行い、燃料が燃焼する。
その後、ピストン23が下降行程に移ると、リード弁54が閉じられ、クランク室2A内の混合気が圧縮される。ピストン23の下降が進み、ピストン23が掃気ポート56を開放する前に、動弁機構34に駆動された排気弁32が排気ポート31を開く。次いで、ピストン23が掃気口55を開くと、クランク室2Aにおいて圧縮された混合気が掃気ポート56を通ってシリンダ22内(燃焼室29内)に流入する。燃焼室29内の既燃焼ガス(排気ガス)は混合気によって押し出されるように排気ポート31から排出され、その一部は内部EGRガスとして燃焼室29内に残留する。
ピストン23が再び上昇行程に移ると、ピストン23が掃気ポート56を閉じた後、カム47によって駆動された排気弁32が排気ポート31を閉じ、ピストン23の上昇に伴ってシリンダ22(燃焼室29)内の混合気が圧縮される。同時に、クランク室2A内が減圧され、リード弁54から混合気が吸入される。
このようにして、エンジンEは2サイクル動作を行う。掃気ポート56からシリンダ22を経由して排気ポート31へと流れる掃排気の流れは、曲がりの少ないユニフローとなる。
このようにして構成されたエンジンEにおいて、エンジンEの運転中には上記した複数の油供給孔74からシリンダ22の内周面22Aに潤滑油が供給される。潤滑油は、図1に示されるように、クランクケース2の底部に設けられた排油路2Gからオイルタンク75に回収され、オイルタンク75からオイルポンプ76により吸い出されて油供給孔74に向けて圧送される。シリンダブロック3の第1油路64が開口する外壁面には油路形成部材77が取り付けられており、油路形成部材77には第1油路64と連通する油路77Aが形成されている。オイルポンプ76から圧送された潤滑油は、油路形成部材77の油路77Aと、第1油路64と、通路65と、第2油路管66とを通って、図3に示す油路形成部材60の油入口孔73に供給され、環状溝72を介して複数の油供給孔74に分配されてシリンダ22の内周面22Aに供給される。
複数の油供給孔74からシリンダ22の内周面22Aに供給された潤滑油は、ピストン23が下死点に向けて下降しているときにピストン23の外周面に付着し、ピストン23が下死点に達したときには、コンプレッションリングとオイルリングとの間でピストン23の外周面に付着する。ピストン23の外周面に付着した潤滑油は、ピストン23の上昇(燃焼室29側への移動)に伴って上方に引っ張られ、このようにして上下運動するピストン23の外周面とシリンダ22の内周面22Aとを潤滑する。重力で滴下した潤滑油、あるいは下降(クランクシャフト8側へ移動)するピストン23によってシリンダ22の内周面22Aから掻き落とされて滴下した潤滑油は、鍔部71の上面71A(シリンダ22側の面)により捕捉される。
また、鍔部71は、シリンダ22とクランクシャフト8との間に介在するように、機関本体1を構成するクランクケース2の側壁2B〜2Eからシリンダ22の下方(クランクシャフト8側)に向けて突出し、その突出端は開口71Cを画成している。鍔部71の上面71Aは、クランクケース2の側壁2B〜2Eにおけるシリンダ22の側方部分からシリンダ22の下方に至る凹状の曲面形状に形成されている。
図2及び図3により示される断面では、上面71Aの曲面の傾斜は、シリンダ軸線Aに直交する面(側壁2B、2Cの面を垂直とした場合には水平面)に対して側壁2B、2Cから鍔部71の突出端に至るに連れて緩やかになり、鍔部71の突出端近傍部分ではシリンダ軸線Aに直交する面と平行になるように形成されている。一方、図1により示される断面では、鍔部71は、側壁2D、2Eから中央に向けて凹状に湾曲している。
図3に示されるように、シリンダ軸線Aに直交する面と平行になる部分が開口71Cの長辺に沿う中央部分であり、その中央部分が上面71Aの最も低い部分となり、図示例ではその最も低い部分にさらに溝71Bが形成されている。溝71Bは、上面71Aのクランクシャフト8の軸線に沿う方向の傾斜面上側の任意の位置から開口71Cの縁に至るまで延在している。これにより、鍔部71の表面を伝わり落ちる潤滑油が溝71Bに集まり易くなる。これにより、溝71Bから、潤滑油を集中的に滴下させることができるため、鍔部71の突出端から滴下させる潤滑油を大粒状態にすることができる。コンロッド大端部26Aは高速で回転することから、潤滑油が細かな小粒状態では風圧により吹き飛ばされる虞があるが、大粒状態で滴下されることによりクランクピン8Cの軸受25に到達し易くなる。なお、クランクケース2の下部に溜まった潤滑油は、コンロッド大端部26Aにより跳ね上げられ、コンロッド小端部26Cの潤滑に用いられる。
また、鍔部71の突出端では、平面部分からクランクシャフト8側に落ち込むR面取りが施され、クランクシャフト8側では直角断面に形成されている。これにより、鍔部71の突出端での潤滑油の流れが円滑になると共に、滴下する際の潤滑油の切れが良い。
シリンダ22の下方では、ピストン23の往復運動及びクランクシャフト8の回転に伴ってコンロッド大端部26Aが回転しながらコンロッド26が揺動運動する。シリンダ軸線Aの方向から見て、開口71C内でコンロッド26が揺動する範囲は図4のSにより示されるようになる。開口71Cは、上記範囲Sを移動するコンロッド26を囲む矩形状に形成されている。矩形状の開口71Cの長辺に対応する縁は、シリンダ軸線Aの方向から見て、コンロッド大端部26Aのクランク軸線方向端面26Bに近接して位置する。
また、シリンダ軸線Aの方向から見た図4に併せて示されるように、鍔部71の上面71Aは、開口71Cの長辺に沿う方向の中央部分71Dで最も低くなるように形成されている。図示例では、開口71Cの中央部分71Dに対応する縁は、コンロッド大端部26Aとクランクアーム8F(図2、図3参照)との間に位置する。これにより、シリンダ22側から滴下して鍔部71により捕捉され、上面71Aを流れ落ちて溝71Bに集まった潤滑油は、中央部分71Dの開口71Cの縁からコンロッド大端部26Aとクランクアーム8Fとの間に滴下し得る。これにより、クランクピン8Cの軸受25に対する潤滑油の供給をピンポイントで行うことができるため、少ない潤滑油量で効果的にコンロッド大端部26A及びクランクピン8Cの軸受25に対する潤滑を行うことができる。
また、開口71Cは、コンロッド26の移動範囲Sを確保し、かつできるだけ狭く設定されているとよい。これにより、鍔部71の上面71Aを広くして、捕捉し得る潤滑油の量をできるだけ多くすることができるため、開口71Cが大きい場合や鍔部71が設けられていない場合などに、コンロッド大端部26A及びクランクアーム8Fの間と軸受25とに滴下されずに無駄となる潤滑油を少なくすることができ、より一層効果的な潤滑を行うことができる。なお、鍔部71によりクランク室2Aが仕切られるようになるが、ピストン23の往復動に伴うクランク室2A内の空気における開口71Cを通る流れは、コンロッド26の揺動範囲(図4のS)に大きく開いていることから、何等問題無く行われる。
以上、本発明を、その好適実施形態の実施例について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、鍔部71は、図示例ではクランクケース2と一体に形成されているが、別部材であってもよく、板材の一端部を側壁2B〜2Eに固定し、他端をシリンダ22の下方に位置させるようにしてもよい。また、図示例では、壁としての鍔部71の上面71Aの最も低い部分に溝71Bを設けたが、必ずしも溝71Bを形成しなくてもよく、溝71Bを設けた位置が最も低くなるように全体として凹状に形成されていてもよい。また、動弁形式としてOHV(Over Head Valve)形式としたが、OHV形式に限られるものではなく、サイドバルブ形式やOHC(Overhead Camshaft)形式でもよく、燃焼室29の形状も半球状に限定されない。また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
2A クランク室
22 シリンダ
22A 内周面
26 コンロッド
26A コンロッド大端部
71 鍔部(壁)
71A 上面
71B 溝(中央部分)
71C 開口
74 油供給孔(潤滑油供給孔)
76 オイルポンプ(潤滑油供給手段)
A シリンダ軸線
E エンジン(2ストロークエンジン)

Claims (5)

  1. シリンダ軸線を概ね上下方向に向けると共に、潤滑油供給手段に接続されかつシリンダの内周面に開口する潤滑油供給孔を有する2ストロークエンジンのシリンダ潤滑装置であって、
    クランク室を前記シリンダ側から仕切るように設けられ、コンロッドを外囲する開口を画成する壁を有することを特徴とする2ストロークエンジンのシリンダ潤滑装置。
  2. 前記開口は、コンロッド大端部に近接するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の2ストロークエンジンのシリンダ潤滑装置。
  3. 前記壁の上面は、前記開口に向けて下向きに傾斜していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の2ストロークエンジンのシリンダ潤滑装置。
  4. 前記開口は、前記シリンダの軸線方向から見てクランクシャフトと直交する方向に長い形状とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の2ストロークエンジンのシリンダ潤滑装置。
  5. 前記壁の上面は、前記開口の長辺に沿う方向の中央部分で最も低くなるように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の2ストロークエンジンのシリンダ潤滑装置。
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