JP2015168845A - 疲労特性に優れた中空材とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動車用部品、機械構造用部品等として好適に用いられる耐疲労特性に優れた部材とその製造方法を提供する。
【解決手段】鋼管を冷間加工により所定の形状に成形してなる中空材であって、質量%で、C:0.20〜0.60%、Si:0.01〜0.30%、Mn:0.5〜1.5%、P:0.030%以下、S:0.0050%以下、Al:0.050%以下、N:0.0050%以下、O:0.0050%以下であり、残部がFe及び不可避的不純物からなり、ビッカース硬さの肉厚方向での平均値Hvaveが400Hv以上800Hv以下であり、外表面側と内表面側とのビッカース硬さの差ΔHvが30Hv以下であり、X線法により測定される外表面での残留応力σr(MPa)と、肉厚t(mm)と外径D(mm)の比であるt/Dとが、所定の関係を満足することを特徴とする、疲労特性に優れた中空材。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車用部品、機械構造用部品等として好適に用いられる疲労特性に優れた中空材とその製造方法に関するものである。
近年、自動車や機械構造等の部品には、軽量化による自動車低燃費化や孔空け工程省略による製造コスト低減の観点から、中空化ニーズが高まっている。さらに、自動車や機械構造等の性能の向上に伴い、一段と高い疲労特性の向上が要求されている。特に、自動車用部品等に用いられる部品には、繰り返し応力が負荷されるものであるため、一層の疲労特性の向上が要求されている。
一般的には、疲労特性の向上を図るうえでは、鋼材に圧縮の残留応力を導入することと高強度化することとが効果的であることが知られている。特許文献1では、鋼材に圧縮の残留応力を導入する方法として、鋼材の表面に高周波焼き入れ等の表面焼き入れをする方法が開示されている。しかしながら、表面焼き入れをした中空部材は、内外面での硬さの差が大きくなり、硬さの低い内面側を起点に疲労破壊しやすくなり、高い疲労特性が得られない。さらに、特許文献2では、中空材を高周波焼き入れ処理することによって、外表面側と内表面側とのそれぞれに圧縮の残留応力を導入し、かつ、外表面側と内表面側との硬さの差を150Hv以下とする点が開示されており、これにより疲労特性の更なる改善が図られている。
特開平07−003324号公報 特開2005−330562号公報
ここで、本発明者が検討したところ、熱処理した中空材の残留応力は、中空部材の断面形状、特に、中空部材の肉厚(t)と外径(D)に比であるt/Dが大きく影響しており、その残留応力とt/Dの関係について最適化しなければ、優れた疲労特性を得られないことを知見した。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、鋼管を素材とした中空材について、疲労特性に優れた中空材とその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上述した課題を解決するために、鋭意検討の末、下記の疲労特性に優れた中空材とその製造方法を発明した。
本発明に係る耐疲労特性に優れた中空部材は、鋼管を冷間加工により所定の形状に成形してなる中空材であって、質量%で、C:0.20〜0.60%、Si:0.01〜0.30%、Mn:0.5〜1.5%、P:0.030%以下、S:0.0050%以下、Al:0.050%以下、N:0.0050%以下、O:0.0050%以下であり、残部がFe及び不可避的不純物からなり、ビッカース硬さの肉厚方向での平均値Hvaveが400Hv以上800Hv以下であり、外表面側と内表面側とのビッカース硬さの差ΔHvが30Hv以下であり、X線法により測定される外表面での残留応力σr(MPa)と、肉厚t(mm)と外径D(mm)の比であるt/Dとが、下記式(1)、式(2)及び式(3)を満足することを特徴とする。
σr≦−2600*(t/D)+490 ・・・ 式(1)
0.20≦t/D≦0.35 ・・・ 式(2)
2≦t≦10 ・・・ 式(3)
本発明に係る耐疲労特性に優れた中空部材は、更に、質量%で、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Ni:1.0%以下、Cu:1.0%以下、Nb:0.100%以下、B:0.0050%以下、Ti:0.050%以下、V:0.100%以下、Ca:0.0100%以下のうちから選ばれた1種又は2種以上の元素を含有しても良い。
本発明に係る疲労特性に優れた中空材の製造方法は、質量%で、C:0.20〜0.60%、Si:0.01〜0.30%、Mn:0.5〜1.5%、P:0.030%以下、S:0.0050%以下、Al:0.050%以下、N:0.0050%以下、O:0.0050%以下であり、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼管を冷間加工して所定の形状の中空材に成形し、続いて中空材をAc3変態点以上、Ac3変態点+100℃以下の温度に加熱した後に20℃/sec以上の冷却速度で冷却し、続いて100℃以上、400℃以下の温度で焼鈍することを特徴とする。
本発明に係る疲労特性に優れた中空材の製造方法において、前記鋼管は、更に、質量%で、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Ni:1.0%以下、Cu:1.0%以下、Nb:0.100%以下、B:0.0050%以下、Ti:0.050%以下、V:0.100%以下、Ca:0.0100%以下のうちから選ばれた1種又は2種以上の元素を含有しても良い。
本発明によれば、自動車用、機械構造用等に使用される中空材について、疲労特性に優れた中空材を提供することが可能となる。
中空材の疲労寿命に対する中空材の外表面の残留応力と肉厚と外径の比であるt/Dの関係を示す図である。
本発明者は、疲労特性に優れた中空材を得るために鋭意検討を行ったところ、Ac3変態点以上、Ac3変態点+100℃以下の温度域で熱処理をして得られた中空材は、その残留応力について、その肉厚(t)と外径(D)の比であるt/Dと相関関係があることを知見した。そして、疲労特性に優れた中空材を得るうえでは、その残留応力と肉厚と外径に比であるt/Dの関係について最適化することが重要であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、上述のような知見に基づくものであり、以下、その本発明を適用した中空材とその製造方法を実施するための形態について説明する。
まず、本発明に係る中空材の組成の数値範囲を限定した理由について説明する。なお、以下においては、中空材の組成を質量%で表すときは、単に%と記載して説明する。
Cは、自動車用部品及び機械構造用部品等として強度を確保しつつ、目的とする硬さを確保するために必要な元素であり、C量が0.20%未満であると最終製品の強度、目的とする硬さが不足してしまう。また、C量が0.60%超であると、かえって硬くなりすぎることにより水素脆化による疲労特性の低下を招く。したがって、C量は0.20%〜0.60%とする。
Siは、脱酸剤として作用するのみでなく強度、硬さの上昇に有効に寄与する元素であり、Si量が0.01%未満であると強度、硬さが不足する恐れがある。また、Si量が0.30%超であると、かえって硬くなりすぎることにより水素脆化による疲労特性の低下を招く。したがって、Si量は0.01〜0.30%とする。
Mnは、強度、硬さの確保に有効な元素であるが、Mn量が0.5%未満であるとこの効果が不十分となる。また、Mn量が1.5%超であると、過度の硬さの増大に伴い水素脆化による疲労特性の低下を招く。したがって、Mn量は0.5〜1.5%とする。
Pは、鋼中に不可避的に含有される不純物であり、粒界偏析や中心偏析を起こすことにより疲労特性の劣化の原因となるが、P量が0.030%以下であれば疲労特性について許容できる範囲となる。したがって、P量は0.030%以下に制限する。
Sは、鋼中に不可避的に含有される不純物であり、鋼中で硫化物を生成することにより疲労特性の劣化の原因となるが、S量が0.0050%以下であれば疲労特性について許容できる範囲となる。したがって、S量は0.0050%以下に制限する。
Alは、脱酸元素として作用するが、Al量が0.050%超であると、鋼中の洗浄度の低下を招くうえ、鋼中に粗大な介在物が増加することにより疲労特性の劣化の原因となる。したがって、Al量は0.050%以下に制限する。
Nは、鋼中に不可避的に含有される不純物であり、N量が0.0050%超であると、鋼中に粗大な窒化物が増加することにより疲労特性の劣化の原因となる。したがって、N量は0.0050%以下に制限する。
Oは、鋼中に不可避的に含有される不純物であり、鋼中で酸化物を生成することにより疲労特性の劣化の原因となるが、O量が0.0050%超であれば疲労特性について許容できる範囲となる。したがって、O量は0.0050%以下に制限する。
以上が、本発明に係る中空部材の基本元素の限定理由である。本発明に係る中空部材は、この基本元素の他に、残部がFe及び不可避的不純物からなる。
また、本発明に係る中空部材は、必要に応じて、Cr、Mo、Ni、Cu、Nb、B、Ti、V、Caのうちから選ばれた1種又は2種以上の元素を、以下に説明するような数値範囲で更に含有していてもよい。
Cr、Mo、Ni、Cuは、強度、硬さ確保に有効な元素であるが、何れも1.0%超の含有量であると、過度の硬さの増大により水素脆化による疲労特性の低下を招く。したがって、Cr、Mo、Ni、Cuの含有量は1.0%以下とする。
Nbは、強度、硬さ確保に有効な元素であるが、Nb量が0.100%超であると、過度の硬さの増大により水素脆化による疲労特性の低下を招く。したがって、Nb量は0.100%以下とする。
Bは、強度、硬さ確保に有効な元素であるが、B量が0.0050%超であると、粒界脆化により疲労特性の劣化を招く。したがって、B量は0.0050%以下とする。
Tiは、Nとの親和力が強く、Bを添加した場合にBNの析出を防止し、固溶Bを確保するためにBとともに添加することが好ましい。しかし、Ti量が0.050%超であると、粗大な炭化物、窒化物の生成により疲労特性の劣化を招く。したがって、Ti量は0.050%以下とする。
Vは、鋼中に炭化物、窒化物を生成することにより強度、硬さの向上に有効な元素であるが、V量が0.100%超であると、粗大な炭化物、窒化物の生成により疲労特性の劣化を招く。したがって、V量は0.100%以下とする。
Caは、介在物の形態を調整することにより疲労特性の向上に有効な元素であるが、Ca量が0.0050%超であると、かえって介在物量が増大することにより疲労特性の劣化を招く。したがって、Ca量は0.0100%以下とする。
次に、本発明に係る中空材の硬さ、残留応力、肉厚と外径の比であるt/Dの限定理由について説明する。
中空材が硬くなるほど鋼中での水素トラップサイトとなる転位量が増大してしまい、水素脆化による疲労特性の低下を招き、柔らかくなるほど疲労破壊が発生しやすくなり疲労特性の劣化を招く。しかしながら、ビッカース硬さの肉厚方向での平均値Hvaveが400Hv以上800Hv以下であれば疲労特性について許容できる範囲となる。従って、硬さは、ビッカース硬さの肉厚方向での平均値Hvaveを400Hv以上800Hv以下とする。なお、ここでいうビッカース硬さの平均値Hvaveは、外表面から肉厚方向に0.5mmピッチで間隔を空けた位置を測定位置として、各測定位置でのビッカース硬さの測定値を算術平均して求めた値のことをいう。
また、中空材の肉厚方向での硬さにばらつきがあると軟質部で応力集中が起きることにより疲労破壊が発生しやすくなり、疲労特性の劣化の原因となる。しかしながら、中空材の外表面側と内表面側とのビッカース硬さの差ΔHvが30HV以下であれば、疲労特性について許容できる範囲となる。従って、外表面側と内表面側とのビッカース硬さの差ΔHvを30Hv以下とする。なお、ここでいうビッカース硬さの差△Hvは、中空材の外表面の外表面から肉厚方向に0.5mm位置を測定位置とするビッカース硬さを外表面側のビッカース硬さとし、中空材の内表面の内表面から肉厚方向に0.5mm位置を測定位置とするビッカース硬さを内表面側のビッカース硬さとし、それらの測定値の差分値から求められる。
中空材の外表面の残留応力σr(MPa)と中空材の肉厚t(mm)と外径D(mm)の比であるt/Dとは、下記式(1)、式(2)及び式(3)を満足する必要がある。以下、各式(1)〜(3)の理由について説明する。
σr≦−2600*(t/D)+490 ・・・ 式(1)
0.20≦t/D≦0.35 ・・・ 式(2)
2≦t≦10 ・・・ 式(3)
残留応力σrは、圧縮の残留応力として鋼中に導入されることにより疲労特性の向上が図られることから、式(1)を満足することを条件とした。
図1は中空材の疲労寿命に対する中空材の外表面の残留応力と肉厚と外径の比であるt/Dの関係を示す図である。図1には、後述の実施例における製造No.1〜No.8、製造No.9〜No.12のデータをプロットしており、各データは、上述の組成と硬さの平均値ΔHaveについて本発明の条件を満足している。図中の○は実施例において、目的とする疲労特性が得られたものを示し、×は目的とする疲労特性が得られなかったものを示す。
このようにt/Dが0.20未満の場合、中空材の外表面の圧縮残留応力は、低下し、目的とする疲労特性が得られていない。一方、t/Dが0.35超と大きい場合であると、中空材の外表面の圧縮残留応力は向上するものの、内径が小さくなり製造が困難となり、製造コスト高となってしまう。
次に、t/Dが式(2)を満足するとともに、肉厚(t)についても式(3)を同時に満足することを条件とした。肉厚tが2mm未満と薄すぎる場合、中空材の剛性が低下し目的の疲労特性が得られないとともに、薄肉のため製造が困難となり製造コスト高となってしまう。また、肉厚tが10mm超と厚すぎる場合、中空材の外表面側と内表面側とで硬さの差ΔHvが過度に大きくなってしまう。以上のことから、中空材の肉厚tは、2mm以上10mm以下であること、即ち、式(3)を満足することを条件とした。
因みに、残留応力を測定するために用いられる測定方法としては、公知のX線法が用いられる。X線法は、X線回折を利用して測定位置の結晶格子の格子間隔を求め、その格子間隔から測定位置の応力を測定する非破壊測定方法である。
次に、本発明に係る中空材を製造するうえで好適となる、本発明に係る中空材の製造方法の実施形態について説明する。
まず、上述の数値範囲内の組成を有する鋼管を冷間加工して所定の形状の中空材に成形する。この素材となる鋼管は、その造管方法について特に限定されるものではなく、電縫鋼管、鍛接鋼管、継目無鋼管等が用いられる。
続いて、所定の形状に成形した中空部材をAc3変態点以上、Ac3変態点+100℃以下の温度に加熱した後に20℃/s以上の冷却速度で冷却する。中空材の熱処理は、冷却時のオーステナイトからマルテンサイトへの変態に伴う体積膨張による変態応力と肉厚方向での温度差による熱応力のバランスによって中空部材の外表面に圧縮の残留応力を導入するために行われる。熱処理温度がAc3変態点未満および加熱後の冷却速度が20℃/s未満では、中空材の外表面への圧縮の残留応力が小さくなってしまうとともに、ビッカース硬さの肉厚方向での平均値が低下し、疲労特性の劣化を招いてしまう。一方、熱処理温度がAc3変態点+100℃超では、オーステナイト粒径が粗大化し、結晶粒粗大化によって、疲労特性の劣化を招いてしまう。
なお、熱処理をするうえでの加熱は、例えば、加熱炉、高周波加熱、通電加熱等を用いて行う。
続いて、焼鈍処理は、100℃以上、400℃以下で行う。焼鈍温度が100℃未満であると、焼き入れ処理時に鋼中に侵入した水素を鋼中から完全に放出することができないため、耐水素脆化を招き、疲労特性が劣化してしまう。一方、焼鈍温度が400℃超であると、過度に軟質化してしまうことにより、十分な硬さを確保できない。
以下、本発明の効果を実施例により更に説明する。
下記の表1に示す各鋼種A〜Hの組成の鋼管を冷間加工して所定の形状の中空材に成形し、得られた中空材に対して下記の表2に示す熱処理を行った。
熱処理後に得られた中空材は、その肉厚t、外径Dの他に、以下に説明するように残留応力、硬さを測定した。また、疲労特性を評価するためにねじり疲労試験を行った。
残留応力は、上述のX線法を用いて測定した。
硬さは、ビッカース硬さ試験機を用いてJIS Z 2244に準拠して測定することとし、試験荷重を9.8Nとして測定した。
ねじり疲労試験は、繰り返し周波数を3Hz、応力振幅を±400MPa、両振りの条件で試験片が破壊するまでの繰り返し数を求めることとした。この繰り返し数が10万回以上である例を合格、10万回未満である例を不合格として、疲労特性を評価することとした。
これらの結果を表3に示す。なお、表1〜表3における下線は、本発明の条件を満足していないことを示す。
Figure 2015168845
Figure 2015168845
Figure 2015168845
製造No.1〜8は本発明例であり、これらは何れも、その組成、硬さ、残留応力、肉厚と外径の比であるt/D、肉厚が本発明の条件を満足しているため、疲労寿命が繰り返し数で10万回以上と優れた疲労特性が得られている。また、これらは何れも、その製造方法が本発明の条件を満足しているため、組成、肉厚と外径の比であるt/D、肉厚の他に、硬さ、残留応力について本発明の条件を満足する中空材が得られている。
これに対して、製造No.9〜19は比較例である。製造No.9は、肉厚と外径の比であるt/Dが大きく、圧縮残留応力は向上するものの、内径が小さくなり製造が困難となり製造コスト高となってしまう。製造No.10は、肉厚と外径の比であるt/Dが小さく、圧縮残留応力の低下により疲労特性が劣化した例である。製造No.11は、肉厚tが薄いため、疲労特性が劣化した例である。製造No.12は、肉厚tが厚すぎるため外表面側と内表面側とでの硬さの差ΔHvが大きくなり、かつ圧縮残留応力の低下により疲労特性が劣化した例である。製造No.13は、熱処理時の加熱温度がAc3変態点温度未満であるため、引張残留応力となり、疲労特性が劣化した例である。製造No.14は、熱処理時の加熱温度がAc3変態点+100℃を超えているため、粒径粗大化により、疲労特性が劣化した例である。製造No.15は、熱処理時における加熱後の冷却速度が20℃/s未満であるため、冷却時のオーステナイトからマルテンサイトへの変態に伴う体積膨張による変態応力と肉厚方向での温度差による熱応力の低下、さらに硬さの平均値Hvaveが小さくなり、疲労特性が劣化した例である。製造No.16は、熱処理後の焼鈍温度が400℃超えているため、硬さの平均値Hvaveが小さくなり、疲労特性が劣化した例である。製造No.17は、熱処理後の焼鈍温度が100℃未満であるため、水素脆化により疲労特性が劣化した例である。製造No.18は、C量が多いため硬さが過度に増大しており、水素脆化により疲労特性が劣化した例である。製造No.19は、C量が少ないため硬さが過度に低減しており、疲労特性が劣化した例である。






Claims (4)

  1. 鋼管を冷間加工により所定の形状に成形してなる中空材であって、
    質量%で、
    C :0.20〜0.60%、
    Si:0.01〜0.30%、
    Mn:0.5〜1.5%、
    P :0.030%以下、
    S :0.0050%以下、
    Al:0.050%以下、
    N :0.0050%以下、
    O :0.0050%以下
    であり、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
    ビッカース硬さの肉厚方向での平均値Hvaveが400Hv以上800Hv以下であり、
    外表面側と内表面側とのビッカース硬さの差ΔHvが30Hv以下であり、
    X線法により測定される外表面での残留応力σr(MPa)と、肉厚t(mm)と外径D(mm)の比であるt/Dとが、下記式(1)、式(2)及び式(3)を満足することを特徴とする、疲労特性に優れた中空材。
    σr≦−2600*(t/D)+490 ・・・ 式(1)
    0.20≦t/D≦0.35 ・・・ 式(2)
    2≦t≦10 ・・・ 式(3)
  2. 更に、質量%で、
    Cr:1.0%以下、
    Mo:1.0%以下、
    Ni:1.0%以下、
    Cu:1.0%以下、
    Nb:0.100%以下、
    B :0.0050%以下、
    Ti:0.050%以下、
    V :0.100%以下、
    Ca:0.0100%以下
    のうちから選ばれた1種又は2種以上の元素を含有することを特徴とする、請求項1に記載の疲労特性に優れた中空材。
  3. 質量%で、C:0.20〜0.60%、Si:0.01〜0.30%、Mn:0.5〜1.5%、P:0.030%以下、S:0.0050%以下、Al:0.050%以下、N:0.0050%以下、O:0.0050%以下であり、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼管を冷間加工して所定の形状の中空材に成形し、続いて中空材をAc3変態点以上、Ac3変態点+100℃以下の温度に加熱した後に20℃/sec以上の冷却速度で冷却し、続いて100℃以上、400℃以下の温度で焼鈍することを特徴とする、請求項1乃至2記載の疲労特性に優れた中空材の製造方法。
  4. 請求項3記載の中空材の製造方法であって、前記鋼管は、更に、質量%で、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Ni:1.0%以下、Cu:1.0%以下、Nb:0.100%以下、B:0.0050%以下、Ti:0.050%以下、V:0.100%以下、Ca:0.0100%以下のうちから選ばれた1種又は2種以上の元素を含有することを特徴とする、疲労特性に優れた中空材の製造方法。
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