JP2015168741A - ポリエステルの解重合方法および当該解重合方法を用いたポリエステル原料の回収方法 - Google Patents

ポリエステルの解重合方法および当該解重合方法を用いたポリエステル原料の回収方法 Download PDF

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進一郎 金森
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寛之 加藤
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雅洋 山本
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Takehiko Kameyama
武彦 亀山
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Kazutoshi Ikenaga
和敏 池永
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Abstract

【課題】 簡便な装置を用いて容易に行なうことができ、且つ高効率のポリエステルの解重合方法を提供する。
【解決手段】 水の存在下、ポリエステルにマイクロ波を照射し、温度170〜270℃、圧力1.5〜3MPaの条件で解重合反応を行なう工程を備えることを特徴とするポリエステルの解重合方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエステルの解重合方法、特に不純物の少ないモノマーを容易且つ高収率で回収する解重合方法に関する。
ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略記することもある)やポリエチレンナフタレート(以下、「PEN」と略記することもある)に代表されるポリエステルは、その化学的安定性が優れていることから、繊維、フィルム、シート、あるいは飲料用のボトルなどに使用されている。
近年、これらポリエステル等の廃棄物の処理方法が問題となり、廃棄物を回収して再利用するための方法が各種検討されているが、その一つとして、ポリエステル等の廃棄物を解重合することによりモノマーに変換して回収し、そのモノマーを原料にして再度重合反応によってPET等のポリエステルを製造するケミカルリサイクルが検討されている。このケミカルリサイクルは不純物の分離が可能であり、原料としての品質も原油由来のバージン品とさほど変わらないため、資源の再利用を実現できる手段として期待されている。
ポリエステルをモノマー化する解重合方法は、多数提案されている。例えば、水を溶媒として用いる加水分解法として、PET溶融物を水蒸気と反応させ、ついで水酸化アンモニウムと反応させることにより、テレフタル酸(以下、「TPA」と略記することもある)及びエチレングリコール(以下、「EG」と略記することもある)へと分解する方法が知られている(特許文献1)。この方法は、反応のためにアルコールやグリコール等の溶媒を用いないですむという利点があるが、反応時間が長く、またテレフタル酸のアンモニウム塩を再び酸によってテレフタル酸へと戻す工程が必要であるため、精製にコストや時間がかかる。あるいは、触媒を使用せずに超臨界あるいは亜臨界状態の水と接触させてPETをモノマーへ分解する方法も知られており(非特許文献1)、この方法によれば反応時間は短縮できるものの、非常に高温かつ高圧の条件であるだけでなく、超臨界水あるいは亜臨界水は腐食性が高いため、特殊な反応装置を必要とする。
この他、アルキレングリコールを溶媒として用いるグリコリシス法として、ポリエステルを過剰のアルキレングリコール溶媒中で炭酸ナトリウム等の触媒とともに加熱することにより解重合し、飽和二塩基酸のビス(ヒドロキシアルキル)テレフタレートとエチレングリコールを生成する方法が知られている(特許文献2等)。得られたビス(ヒドロキシアルキル)テレフタレートは、さらにメタノールを用いてエステル交換反応を行なうことによりジメチルテレフタレートとして回収することができる。この方法は、常圧で反応させることができるものの、反応時間が比較的長いため生産性が上げられず、また、溶媒のアルキレングリコールが長時間の加熱により劣化してしまうという欠点がある。
近年、本発明者らは、常圧にて特定の触媒の存在下、アルキレングリコール等の溶媒中でPET等のポリエステルにマイクロ波を照射することによって、ポリエステルを解重合し、ポリエステルを構成していた化合物に由来する特定のモノマーを生成する方法を提案している(特許文献3)。例えば、一つの実施形態として、酸化チタンを分散させたアルキレングリコール溶媒中でポリエステルにマイクロ波を照射し、飽和二塩基酸のビス(ヒドロキシアルキル)エステルとアルキレングリコールを生成する方法を開示している。しかしながら、この方法では反応生成物から酸化チタン触媒を分離・回収する工程が必要となる。あるいは、この他の実施形態として、アルカリ金属塩を溶解させたモノアルコールまたは多価アルコール溶媒中で、PETにマイクロ波を照射することにより、テレフタル酸のジアルカリ金属塩とエチレングリコールを生成する方法も開示している。しかし、この方法では、原料モノマーとして利用するためには、反応生成物であるジアルカリ金属塩を酸処理により飽和二塩基酸に変換し、水中に析出させてから分離・精製する工程が必要となる。
特表2003−527363号公報 特開2002−167468号公報 米国特許7,897,651号
阿尻雅文,佐藤修,町田勝彦,斎藤功夫,新井邦夫,化学工学論文集,第23巻,第4号,1997年,pp505−511
上述のように、従来公知のポリエステルの解重合方法である加水分解法では、水酸化アンモニウム等の触媒を使用するため、反応生成物の分離精製にコストや時間がかかり、また、超臨界水あるいは亜臨界水を用いる方法では、特殊な反応装置が必要とされていた。他方、グリコール溶媒あるいはアルコール溶媒を用いてマイクロ波加熱する方法も提案されているものの、反応生成物から酸化チタンやアルカリ金属塩といった触媒を分離・回収する必要があり、実用面で満足のいくものとは言えなかった。
本発明は、このような従来のポリエステルの解重合方法における問題点の解決を目的として行なわれたものであって、簡便な装置を用いて容易に行なうことができ、且つ高効率のポリエステルの解重合方法を提供することを目的とする。さらに、このような解重合方法を用いた不純物の少ないポリエステル原料の回収方法を提供することを目的とする。
上記従来技術の課題に鑑み、本発明者らが鋭意検討を行なった結果、水の存在下、ポリエステルにマイクロ波を照射し、温度、圧力を所定の範囲となるように調整することによって、ポリエステルの解重合反応を容易かつ高効率で行なうことができることを見出した。また、比較的濃度の薄い塩酸水溶液を用いることによって、さらに解重合反応に要する時間を短縮できることも見出した。
すなわち、本発明にかかるポリエステルの解重合方法は、水の存在下、ポリエステルにマイクロ波を照射し、温度170〜270℃、圧力1.5〜3MPaの条件で解重合反応を行なう工程を備えることを特徴とするものである。
また、前記解重合方法において、解重合反応に供する水とポリエステルの質量比が、水:ポリエステル=1:1〜50:1であることが好ましい。
また、前記解重合方法において、塩酸水溶液の存在下で前記解重合反応を行なうことが好ましい。また、前記塩酸水溶液の濃度が0.1〜3.0mol/lであることが好ましい。また、この条件での解重合方法において、解重合反応を5〜30分間行なうことが好ましい。
また、前記解重合方法において、水中に反応触媒を含まない条件下で解重合反応を行なうことが好ましい。また、この条件での解重合方法において、解重合反応を30〜180分間行なうことが好ましい。
また、前記解重合方法において、ポリエステルがポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートであることが好ましい。
また、本発明にかかるポリエステル原料の回収方法は、ポリエステルを含有する成型品又は廃棄物を、水を含む溶媒中に浸漬する工程と、前記ポリエステルの解重合方法を行ない、該ポリエステルの原料モノマーである飽和二塩基酸及びアルキレングリコールを生成する工程を備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、水の存在下、ポリエステルにマイクロ波を照射し、温度、圧力を特定の範囲となるように調整することによって、ポリエステルの解重合反応を容易かつ高効率で行なうことができる。また、比較的濃度の薄い塩酸水溶液を用いることによって、さらに解重合反応に要する時間を短縮できる。
本発明にかかるポリエステルの解重合方法は、水の存在下、ポリエステルにマイクロ波を照射し、温度170〜270℃、圧力1.5〜3MPaの条件で解重合反応を行なう工程を備えることを特徴とする。
<ポリエステル>
本発明の解重合方法の対象となるポリエステルは、飽和二塩基酸とアルキレングリコールとを重合してなるポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)である。これらのポリエステルを解重合することにより、飽和二塩基酸とアルキレングリコールを回収することができる。
ポリエステルを構成する、すなわち本発明により回収することができるアルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ベンゼンジオール等が挙げられる。
ポリエステルを構成する、すなわち本発明により回収することができる飽和二塩基酸としては、例えば、テレフタル酸、フタル酸(オルト体)、イソフタル酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、2,6−ナフタレンジカルボン酸、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’−ジフェニルカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。また、その他のジカルボン酸として、例えば、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、及びコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸等も、上記飽和二塩基酸として挙げられる。
本発明の解重合方法およびモノマー回収方法の産業上の利用においては、ポリエステルを含有する成形品、特に廃棄物を対象とすることが想定される。この廃棄物とは、成形品を使用した後に発生する廃棄物のほか、成形品製造時に発生する残余物、不良品等をいう。例えば、使用済みのPET製ボトル、カップ、ひも、包装容器等、あるいはこれらを成形する際のバリ、スプール、真空成形後のカップ切り取り後のシート等が挙げられる。
また、ポリエステルを含有する成形品は、ポリエステルのみで構成された成形品もしくは、ポリエステルとのその他の成分(着色剤等の公知慣用の添加物)とを含有する成形品であってもよい。また、ポリエステルを含む布や衣類であってもよい。
<水>
本発明の解重合方法においては、反応のための溶媒として水が用いられる。この溶媒としては、主たる成分が水であればよく、例えば、少量のアルコール等を含んでいてもよいが、溶媒全量の95質量%以上を水とすることが望ましい。なお、本発明の解重合反応においては、例えば、前処理として粉砕したポリエステル粒子を、水中に浸漬させた状態でマイクロ波照射し、解重合反応を開始する。この際、反応溶媒である水とポリエステルとの質量比は、水:ポリエステル=1:1〜50:1の範囲であることが好ましく、さらには1:1〜5:1の範囲であることがより好ましい。水の量が少なすぎると、解重合反応が不完全となり、オリゴマーが残存して収率が悪くなる場合があり、一方で、水の量が多すぎると、過剰のマイクロ波照射が必要となるため、エネルギー効率が悪くなる。
なお、本発明の解重合方法に用いる水には、反応のための触媒が添加されている必要はないが、塩酸を少量含有した塩酸水溶液を好適に用いることができる。比較的濃度の薄い塩酸水溶液を用いることで、解重合反応に要する時間を著しく短縮することができる。例えば、ある特定の温度、圧力条件下でマイクロ波照射によるポリエステルの解重合反応を行なった場合、水のみを使用すると15分間の反応時間で飽和二塩基酸モノマーを約40%程度回収することができるのに対して、0.3mol/lの塩酸水溶液を用いて同じ15分間の解重合反応を行なうことで約90%の飽和二塩基酸モノマーを回収することができる。
塩酸水溶液を使用する場合、その濃度は、好ましくは0.1〜3.0mol/lであり、より好ましくは0.2〜1.5mol/l、特に好ましくは0.2〜0.5mol/lである。0.1mol/l未満であると塩酸添加による反応性の改善が見られず、一方で、3.0mol/lを超えて塩酸を添加しても、それ以上の反応性の改善が見込めないほか、反応容器あるいは装置の耐食性が必要となったり、反応生成物が扱い難くなる。なお、一般的な加水分解反応の触媒として酸を用いることも知られているものの、塩酸をこのような加水分解触媒として使用する場合、通常、5mol/lあるいはそれ以上の高濃度で用いられる。これに対し、本発明に用いられる塩酸水溶液は、そのような公知の酸触媒と比較して低濃度であるにもかかわらず、解重合反応の促進効果が得られる。反応溶媒として塩酸水溶液を使用する場合、解重合反応は5〜30分間程度行なうことが好適であり、より好ましくは10〜20分間である。
あるいは、反応溶媒として用いられる水には、酸や塩基、金属酸化物、無機塩といった反応触媒を一切含まないことが望ましい。水のみを反応溶媒として用いた場合、塩酸水溶液と比べて時間はかかるものの、例えば、60分間以上の反応を行なうことで、約90%以上の飽和二塩基酸モノマーを回収することができる。また、反応生成物の中和や固体触媒の分離回収等の必要がないため、反応生成物の後処理を考えるとむしろ好ましい。反応溶媒を水のみとした場合、反応時間は30〜180分間程度行なうことが望ましく、特に60〜120分間程度とすることが望ましい。
<マイクロ波照射>
本発明の解重合方法においては、ポリエステルの解重合反応を促進するためにマイクロ波を用いる。マイクロ波は周波数が100MHz〜100GHz程度の高周波である。例えば、日本においては、一般的に2450MHzのマイクロ波の使用が家庭用に認められており、食品解凍用としては915MHzのマイクロ波も使用されているが、いずれの周波数も本発明において使用できる。
このようなマイクロ波を発生させるための装置としては、例えば、家庭用または業務用に用いられている電子レンジのほか、公知のバッチ式あるいは連続式の各種マイクロ波発生装置を用いることが可能である。ただし、反応系内の圧力を制御する必要があるため、例えば、CEM社製のDiscoverSP(300W,2.0MPa)、アントンパール・ジャパン社製のMonowave300(300W,3.0MPa)、MultiwavePro(1500W,8.0MPa)等の圧力制御が可能な公知のマイクロ波発生装置を好適に用いることができる。なお、括弧内に示したように、装置によって使用可能なマイクロ波出力及び上限圧力範囲は異なるので、実施形態に応じて適切な装置を選択すればよい。あるいは、一度に大量のポリエステルの解重合処理が行なえるように、マイクロ波照射と圧力制御が可能な、より大型化された装置を用いてもよい。
なお、いずれのマイクロ波発生装置を用いる場合であっても、ポリエステル/水からなる反応物は、マイクロ波を吸収しない容器、例えば、ガラス、セラミックスまたはフッ素樹脂製の容器内へと収容することが望ましい。大型反応器の場合は、部分的に石英ガラスまたは耐熱ガラスの窓を設けて、そこへマイクロ波の発振部を取り付けて反応容器に照射してもよい。発振部からは金属の導波管を通してマイクロ波を導いた装置を用いることも可能である。また、本発明の解重合方法においては、マイクロ波を照射する際に所定の圧力がかかるので、圧力に耐えられる耐圧性を備えた反応容器あるいは装置を用いる必要がある。
<温度条件>
水の存在下でマイクロ波を照射することによって、反応系内が加熱される。ここで、本発明のポリエステルの解重合方法においては、反応時の系内の温度を170〜270℃の範囲に調整する必要がある。ここで、前記温度範囲は、マイクロ波照射間における反応系内の温度の平均値を意味する。反応系内の温度は、マイクロ波の照射時間や出力量によって適宜調整することができる。温度条件が170℃未満である場合、解重合反応がほとんど起こらず、一方、270℃を超えると、圧力条件によっては水が亜臨界あるいは超臨界状態となるため、特殊な反応容器あるいは装置が必要となる。なお、反応系内の温度条件は、より好ましくは、180〜250℃である。
<圧力条件>
また、本発明のポリエステルの解重合方法においては、反応系内の圧力を1.5〜3MPaの範囲に調整する必要がある。ここで、前記圧力範囲は、マイクロ波照射間における反応系内の圧力の平均値を意味する。反応系内が密閉されている場合、通常、圧力はマイクロ波加熱とともに上昇する。あるいは、別途外部装置を用いて反応系内を加圧あるいは減圧して、所定の圧力範囲に調整してもよい。好ましくは、市販の圧力制御可能なマイクロ波発生装置を用いることができる。圧力条件が1.5MPa未満である場合、解重合反応が十分に進行せず、モノマー回収効率が悪い。一方で、3MPaを超えると、耐圧性の高い反応容器あるいは装置が必要となる。なお、反応系内の圧力条件は、より好ましくは、1.8〜2.8MPaである。
<解重合方法>
本発明にかかるポリエステルの解重合方法は、水の存在下、特定の範囲の温度、圧力条件においてPETにマイクロ波を照射することによって行なわれる。このような解重合方法は、一般的に、ポリエステルを水中に浸漬する工程、およびマイクロ波を照射して解重合反応を進行させる工程等により構成される。
以下、ポリエステルの解重合方法についてステップを追って説明する。
(前処理工程:洗浄・粉砕処理等)
ポリエステルを含有する成形体または廃棄物を解重合処理の対象とする場合、必要に応じて、洗浄・粉砕処理等の前処理工程を行なってもよい。
例えば、回収したポリエステルの廃棄物を対象とする場合は、本発明の解重合方法に供する前に、これらの廃棄物を洗浄し、廃棄物に付着している汚れ、例えば、内容物、土等を除去することが望ましい。また、本発明における解重合反応は反応速度が速いため、回収したポリエステルの廃棄物等は、比較的大きい切片のまま解重合反応に供することが可能であるが、より効率的に反応を進行させるため、公知の粉砕方法を用いて粉砕処理を行ってもよい。
さらに、必要に応じて、比重分離等の公知の方法を用いて、ポリエステルよりも軽いキャップやラベル等の異種プラスチックの成分を分離除去してもよい。なお、キャップ、ラベル、異物等を完全に除去しなくとも解重合反応にはなんら影響を及ぼさないので、現状のケミカルリサイクル法のように分別・洗浄・粉砕を綿密に行う必要はない。
(準備工程:ポリエステルの浸漬)
次に、ポリエステルを水中に浸漬させる。水とポリエステルとの質量比は、水:ポリエステル=1:1〜50:1の範囲であることが好ましく、さらには1:1〜5:1の範囲であることがより好ましい。なお、塩酸水溶液を用いる場合は、ポリエステルを塩酸水溶液中に浸漬させる。この場合、使用する塩酸水溶液の濃度は、好ましくは0.1〜3.0mol/lであり、より好ましくは0.2〜1.5mol/l、特に好ましくは0.2〜0.5mol/lである。
(解重合工程:マイクロ波の照射による解重合反応)
以上の準備が完了した後、水/ポリエステル混合物にマイクロ波を照射する。反応形式はバッチ式、連続式のいずれでもよい。これらの混合物は、前述のようにマイクロ波を吸収しない、所定の耐圧性を備えた容器あるいは装置に収容された状態で反応に供されることが望ましい。
解重合工程におけるマイクロ波の出力は、通常、100〜3000W程度、好ましくは300〜1500W程度である。
マイクロ波の照射時間(反応時間)は、特に制限されるものではなく、使用する溶媒および解重合反応に供するポリエステル対象物の種類や量などに応じて適宜調整することが可能である。通常、反応溶媒として塩酸水溶液を使用した場合、マイクロ波照射時間は5〜30分間程度程度、より好ましくは10〜20分間の範囲である。あるいは、反応溶媒を水のみとした場合、マイクロ波照射時間は30〜180分間程度であり、特に60〜120分間の範囲が望ましい。
マイクロ波を照射することによって、反応系内が加熱される。ここで、本発明のポリエステルの解重合方法においては、反応時の系内の温度を170〜270℃の範囲、圧力を1.5〜3MPaの範囲に調整する必要がある。反応系内の温度、圧力は、マイクロ波の照射時間や出力量の調節、あるいは適切な圧力調整手段を用いることで適宜調整することができる。なお、より好ましい温度条件は180〜250℃,圧力条件は1.8〜2.8MPaである。
<モノマーの回収方法>
本発明の解重合方法においては、ポリエステルの解重合により、ポリエステルを構成していた飽和二塩基酸とアルキレングリコールを生成、回収することができる。得られたアルキレングリコールや飽和二塩基酸は、ポリエステルの原料として再利用することができる。
本発明のポリエステルの原料モノマーの回収方法は、以上のような解重合方法により生成した特定の化合物を回収する工程等により構成される。なお、前記特定の化合物の回収は、反応溶媒から分離された状態で回収することのみならず、反応溶媒から分離されない状態で回収することを包含する。また、本発明により回収される化合物は、ポリエステルの原料としてのほか、ポリウレタン等、その他のポリマーの原料として用いることもできる。
本発明のポリエステル原料モノマーの回収方法において、例えば、PETを解重合反応に供した場合、飽和二塩基酸モノマーであるテレフタル酸は水等の溶媒に溶解せず、常温で固体であるため、反応生成物中から容易にろ別・分離することができる。一方、エチレングリコールは、反応溶媒として用いられた水と一旦混合するものの、公知の蒸留・濃縮法等によって分離・回収することが可能である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制約されるものではない。
なお、本実施例において、マイクロ波照射装置としては、圧力制御が可能なCEM社製のDiscoverSP(300W,0−2.0MPa),アントンパール・ジャパン社製のMonowave300(300W,0−3.0MPa)を用いた。
[試験例1−1]
30mlスリ付き試験管にPET0.96g(5.0mmol)、及びイオン交換水6.00g(333mmol)を量り取り、撹拌子を入れた。この試験管に還流冷却器を付けてDiscoverSPに装着し、常圧還流条件下で120分間マイクロ波(2450MHz,300W)を照射した。その際の試験管内の温度は104℃,圧力は0.1MPaであった。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液(12.5mmolのNaOHを含む)を加えて超音波照射しながら生成物を溶解し、未反応PET(0.93g、96.6%)を吸引ろ過によってろ別した。ろ液に10%塩酸を加えpH2以下としたが、白色固体は全く生成せずTPAは得られなかった(収率0.0%)。
[試験例1−2]
30ml専用耐圧試験管に、PET0.96g(5.0mmol)、イオン交換水6.00g(333mmol)及び撹拌子を入れ、専用の蓋で密閉した。この耐圧試験管をDiscoverSPに装着し、120分間マイクロ波(2450MHz,300W)を照射した。その際の試験管内の温度は188℃,圧力は1.9MPaであった。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液(12.5mmolのNaOHを含む)を加えて超音波照射しながら生成物を溶解した。未反応PETの回収を吸引ろ過によって試みたが得られなかった(0.00g,0.0%)。ろ液に10%塩酸を加えpH2以下にすると、白色固体が生成した。吸引ろ過により白色固体0.79gを得た。この白色固体をIR及びNMRより分析すると、TPAのものと一致した。収率は95.7%となった。
[試験例1−3]
試験例1−2と同じスケールで試料を準備し、90分間マイクロ波(2450MHz,300W)を照射した。その際の試験管内の温度は200℃,圧力は1.8MPaであった。反応終了後、試験例1−2と同様の処理操作を行ない、未反応PETは0.00g(0.00%)であり、白色固体のTPAを0.80g(収率96.8%)を得た。
[試験例1−4]
試験例1−2と同じスケールで試料を準備し、60分間マイクロ波(2450MHz,300W)を照射した。その際の試験管内の温度は194℃,圧力は1.8MPaであった。反応終了後、試験例1−2と同様の処理操作を行ない、未反応PET0.016g(1.7%)、白色固体のTPA0.74g(収率89.5%)をそれぞれ得た。
[試験例1−5]
試験例1−2と同じスケールで試料を準備し、30分間マイクロ波(2450MHz,300W)を照射した。その際の試験管内の温度は158℃,圧力は1.8MPaであった。反応終了後、試験例1−2と同様の処理操作を行ない、未反応PET0.91g(94.6%)、白色固体のTPA0.01g(収率1.3%)をそれぞれ得た。
<未反応PET>
各試験例の反応生成物から分離された未反応PETの収量と仕込み量との比率として未反応PET(%)を算出した。
<TPA収率>
各試験例の反応生成物を分離精製後、白色固体の残渣として得られたTPA収量と理論値の比率としてTPA収率(%)を算出した。
上記試験例1−1〜1−5の結果をまとめたものを下記表1に示す。
Figure 2015168741
上記表1に示すように、水中に浸漬したPET試料を、常圧下、約100℃の条件で120分間マイクロ波を照射した試験例1−1においては、PETの解重合反応がほとんど進行せず、TPAモノマーがまったく得られなかった。これに対して、反応系内の圧力を1.9MPa、加熱温度を188℃に制御して120分間マイクロ波加熱を行なった試験例1−2では、95.7%と非常に高い収率でTPAモノマーを得ることができた。また、試験例1−2とほぼ同程度の温度、圧力条件で、マイクロ波照射時間を90分、60分とした試験例1−3,1−4においても、それぞれ96.8%,89.5%と高い収率でTPAモノマーを回収することができた。これに対して、加熱温度を158℃、圧力を1.8MPaとしてマイクロ波加熱した試験例1−5では、TPA収率が1.3%と低く、PETの解重合反応は促進されなかった。
[試験例2−1]
30ml専用耐圧試験管に、PET0.96g(5.0mmol)、イオン交換水6.00g(333mmol)及び撹拌子を入れ、専用の蓋で密閉した。この耐圧試験管をMonowave300に装着し、60分間マイクロ波(2450MHz,300W)を照射した。その際の試験管内の温度は237℃,圧力は2.9MPaであった。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液(12.5mmolのNaOHを含む)を加えて超音波照射しながら生成物を溶解させた後、ろ過をしたが残渣は回収されず、未反応のPETは分離されなかった。その後、試験例1−2と同様の処理操作を行ない、白色固体のTPA0.81gを得た(収率97.0%)。
[試験例2−2]
試験例2−1とほぼ同じスケールで試料を準備し、30分間マイクロ波(2450MHz,300W)を照射した。その際の試験管内の温度は235℃,圧力は2.8MPaであった。反応終了後、試験例2−1と同様の処理操作を行ない、未反応のPET0.0012g(0.1%)が分離された。その後、試験例2−1と同様の処理操作を行ない、白色固体のTPA0.77gを得た(収率92.8%)。
[試験例2−3]
試験例2−1とほぼ同じスケールで試料を準備し、15分間マイクロ波(2450MHz,300W)を照射した。その際の試験管内の温度は230℃,圧力は2.6MPaであった。反応終了後、試験例2−1と同様の処理操作を行ない、未反応のPET0.50g(52.4%)が分離された。その後、試験例2−1と同様の処理操作を行ない、白色固体のTPA0.34gを得た(収率41.7%)。
[試験例2−4]
試験例2−1とほぼ同じスケールで試料を準備し、10分間マイクロ波(2450MHz,300W)を照射した。その際の試験管内の温度は225℃,圧力は2.3MPaであった。反応終了後、試験例2−1と同様の処理操作を行ない、未反応のPET0.88g(91.4%)が分離された。その後、試験例2−1と同様の処理操作を行ない、白色固体のTPA0.058gを得た(収率7.0%)。
上記試験例2−1〜2−4の結果をまとめたものを下記表2に示す。
Figure 2015168741
上記表2に示すように、温度237℃,圧力2.9MPaの条件で、60分間マイクロ波照射した試験例2−1では、未反応のPETはまったく残存しておらず、また、TPA収率も97.0%と高効率で解重合反応が生じていることが確認できた。また、ほぼ同程度の温度、圧力にて30分間マイクロ波加熱した試験例2−2においても、未反応PETは0.1%、TPA収率は92.8%であり、ほぼ全量のPETが解重合していた。他方、15分間マイクロ波加熱を行なった試験例2−3では、未反応PETが52.4%残存し、TPA収率は41.7%であった。また、10分間マイクロ波加熱を行なった試験例2−4では、未反応PETが91.4%、TPA収率が7.0%であり、解重合反応の進行が不十分であった。
[試験例3−1]
30ml専用耐圧試験管に、PET0.96g(5.0mmol)、イオン交換水6.00g(333mmol)及び撹拌子を入れ、専用の蓋で密閉した。この耐圧試験管をMonowave300に装着し、15分間マイクロ波(2450MHz,300W)を照射した。その際の試験管内の温度は230℃,圧力は2.6MPaであった。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液(12.5mmolのNaOHを含む)を加えて超音波照射しながら生成物を溶解して、吸引ろ過したところ、未反応のPET0.50g(52.4%)が分離された。その後、試験例1−2と同様の処理操作を行ない、白色固体のTPA0.35gを得た(収率41.7%)。
[試験例3−2]
30ml専用耐圧試験管に、PET0.96g(5.0mmol)、35%濃塩酸を用いて調製した1%塩酸水溶液(0.28mol/l)6.0gと撹拌子を入れ、専用の蓋で密閉した。この耐圧試験管をMonowave300に装着し、15分間マイクロ波(2450MHz,300W)を照射した。その際の試験管内の温度は231℃,圧力は2.6MPaであった。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液(12.5mmol のNaOHを含む)を加えて超音波照射しながら生成物を溶解して、吸引ろ過したところ、未反応のPETは分離されなかった。その後、試験例1−2と同様の処理操作を行ない、白色固体のTPA0.77gを得た(収率93.1%)。
[試験例3−3]
試験例3−2とほぼ同じスケールで試料を準備し、35%濃塩酸を用いて調製した0.5%塩酸水溶液(0.14mol/l)6.0gを添加した。同様にして15分間マイクロ波照射を行なった。マイクロ波照射の際の試験管内の温度は231℃,圧力は2.5MPaであった。反応終了後、試験例3−2と同様の処理操作を行ない、未反応のPET0.36g(37.7%)が分離された。その後、試験例3−2と同様の処理操作を行ない、白色固体のTPA0.47gを得た(収率56.7%)。
[試験例3−4]
試験例3−2とほぼ同じスケールで試料を準備し、35%濃塩酸を用いて調製した0.1%塩酸水溶液(0.03mol/l)6.0gを添加した。同様にして15分間マイクロ波照射を行なった。マイクロ波照射の際の試験管内の温度は231℃,圧力は2.6MPaであった。反応終了後、試験例3−2と同様の処理操作を行ない、未反応のPET0.66g(68.6%)が分離された。その後、試験例3−2と同様の処理操作を行ない、白色固体のTPA0.20gを得た(収率24.1%)。
[試験例4−1]
30ml専用耐圧試験管に、PET0.96g(5.0mmol)、イオン交換水6.00g(333mmol)及び撹拌子を入れ、専用の蓋で密閉した。この耐圧試験管をMonowave300に装着し、10分間マイクロ波(2450MHz,300W)を照射した。その際の試験管内の温度は225℃,圧力は2.3MPaであった。反応終了後、試験例1−2と同様の処理操作を行ない、未反応のPET0.88g(91.8%)を分離した。その後、白色固体のTPA0.058gを得た(収率7.0%)。
[試験例4−2]
30ml専用耐圧試験管に、PET0.95g(4.95mmol)、イオン交換水6.02g(333mmol)を入れ、さらにテレフタル酸0.0084g(0.05mmol)を添加した。ここに撹拌子を入れ、専用の蓋で密閉した。この耐圧試験管をMonowave300に装着し、10分間マイクロ波(2450MHz,300W)を照射した。その際の試験管内の温度は226℃,圧力は2.4MPaであった。反応終了後、アセトン40mlを用いて生成物を溶解し、ろ紙でろ過したところ、未反応のPET0.86g(90.8%)が分離された。その後、試験例1−2と同様の処理操作を行ない、白色固体のTPA0.060gを得た(収率7.3%)。
[試験例4−3]
試験例4−2とほぼ同じスケールで試料を準備し、テレフタル酸添加量を0.041g(0.25mmol)として、同様にして10分間マイクロ波照射を行なった。マイクロ波照射の際の試験管内の温度は227℃,圧力は2.5MPaであった。反応終了後、試験例4−2と同様の処理操作を行ない、未反応のPET0.83g(91.1%)が分離された。その後、試験例4−2と同様の処理操作を行ない、白色固体のTPA0.054gを得た(収率6.8%)。
[試験例4−4]
試験例4−2に対してPET濃度を約半量(0.48g)とした試料を準備し、さらにテレフタル酸添加量を0.42g(2.5mmol)として、同様にして10分間マイクロ波照射を行なった。マイクロ波照射の際の試験管内の温度は225℃,圧力は2.3MPaであった。反応終了後、試験例4−2と同様の処理操作を行ない、未反応のPET0.41g(86.9%)が分離された。その後、試験例4−2と同様の処理操作を行ない、白色固体のTPA0.018gを得た(収率4.2%)。
[試験例4−5]
30ml専用試験管に、PET0.96g(4.95mmol)、イオン交換水6.00g(333mmol)を入れ、さらに塩化ナトリウム0.06gを添加した(水溶液濃度:0.1質量%)。ここに撹拌子を入れ、専用の蓋で密閉した。この密閉容器をMonowave300に装着し、10分間マイクロ波(2450MHz,300W)を照射した。その際の試験管内の温度は228℃,圧力は2.6MPaであった。反応終了後、アセトン40mlを用いて生成物を溶解し、ろ紙でろ過したところ、未反応のPET0.94g(97.5%)が分離された。その後、試験例4−2と同様の処理操作を行ない、白色固体のTPA0.013gを得た(収率1.5%)。
上記試験例3−1〜3−4の結果をまとめたものを下記表3に示す。
Figure 2015168741
上記試験例4−1〜4−5の結果をまとめたものを下記表4に示す。
Figure 2015168741
上記表3に示すように、約0.3mol/lの塩酸水溶液を用い、適当な温度・圧力条件下でPETを10分間マイクロ波照射した試験例3−2においては、未反応のPETはまったく残存しておらず、TPA収率も93.1%と非常に高いことが確認された。これに対して、ほぼ同一の条件で水のみを溶媒として用いた試験例3−1では、未反応PETが52.4%残存し、TPA収率も41.7%程度であったことから、塩酸水溶液を用いることによって解重合反応が促進され、反応の完遂に要する時間を著しく短縮できることがわかった。また、塩酸濃度を0.15mol/lとした試験例3−3においても、未反応PETの残存率は37.7%、TPA収率も約56.7%であり、水のみの試験例3−1よりも高効率で解重合反応が進行していた。しかし、約0.03mol/lの塩酸水溶液を用いた試験例3−4では、未反応PET残存率68.6%、TPA収率24.1%と、水のみの試験例3−1よりも反応率が低かった。
さらに、上記表4に示すように、テレフタル酸及び塩化ナトリウムを使用して、PETの解重合反応の触媒効果について検討したところ、いずれの場合も解重合反応を促進する効果は十分に得られなかった。より具体的には、反応系内にテレフタル酸を0.05mmol,0.25mmol,2.5mmol添加し、所定の温度、圧力条件で10分間マイクロ波照射した試験例4−2〜4−4においては、未反応PETの割合が90.7〜86.9%、TPA収率が4.2〜7.3%であり、ほぼ同一の条件で水のみを用いた試験例4−1(未反応PET:91.8%,TPA収率:7.0%)と比べてあまり差がなく、テレフタル酸の添加による触媒効果は非常に小さかった。また、塩化ナトリウム1%水溶液を使用した試験例4−5においては、未反応PETが97.5%TPAモノマー収率が1.5%であり、水のみの試験例4−1と比較してむしろ反応率が低下してしまっていた。
[試験例5−1]
30ml専用耐圧試験管に、PEN1.22g(5.0mmol)、イオン交換水6.00g(333mmol)及び撹拌子を入れ、専用の蓋で密閉した。この耐圧試験管をDiscoverSPに装着し、60分間マイクロ波(2450MHz,300W)を照射した。その際の試験管内の温度は236℃,圧力は2.9MPaであった。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液(12.5mmolのNaOHを含む)を加えて超音波照射しながら生成物を溶解し、吸引ろ過によって未反応PENを0.049g回収した(4.0%)。ろ液に10%塩酸を加えpH2以下にすると、白色固体が生成した。吸引ろ過により白色固体1.02gを得た。この白色固体をIR及びNMRより分析すると、2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDC)のものと一致した。収率は94.4%となった。
上記試験例5−1の結果をまとめたものを下記表5に示す。
Figure 2015168741
上記表5に示すように、解重合反応に供するポリエステル対象物をPENとして実施した試験例5−1においても、反応系内の圧力を2.9MPa、加熱温度を236℃に制御して60分間マイクロ波加熱を行なったところ、94.4%と高い収率で2,6−ナフタレンジカルボン酸モノマーを回収することができた。

Claims (9)

  1. 水の存在下、ポリエステルにマイクロ波を照射し、温度170〜270℃、圧力1.5〜3MPaの条件で解重合反応を行なう工程
    を備えることを特徴とするポリエステルの解重合方法。
  2. 前記解重合反応に供する水とポリエステルの質量比が、水:ポリエステル=1:1〜50:1であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルの解重合方法。
  3. 塩酸水溶液の存在下で前記解重合反応を行なうことを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステルの解重合方法。
  4. 前記塩酸水溶液の濃度が0.1〜3.0mol/lであることを特徴とする請求項3に記載のポリエステルの解重合方法。
  5. 前記解重合反応を5〜30分間行なうことを特徴とする請求項3又は4に記載のポリエステルの解重合方法。
  6. 前記水中に反応触媒を含まない条件下で解重合反応を行なうことを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステルの解重合方法。
  7. 前記解重合反応を30〜180分間行なうことを特徴とする請求項6に記載のポリエステルの解重合方法。
  8. 前記ポリエステルがポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のポリエステルの解重合方法。
  9. ポリエステルを含有する成型品又は廃棄物を、水を含む溶媒中に浸漬する工程と、
    請求項1から8のいずれかに記載のポリエステルの解重合方法を行ない、該ポリエステルの原料モノマーである飽和二塩基酸及びアルキレングリコールを生成する工程
    を備えることを特徴とするポリエステル原料の回収方法。
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